このドキュメントでは、プロトコル変換を使用して Generic Routing Encapsulation(GRE)トンネル経由ローカル エリア トランスポート(LAT)を有効にするためにシステムを設定する方法について説明します。
この設定を行う前に、以下の要件を満たしていることを確認してください。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
Digital Equipment Corporation(DEC)LAT は、端末を DEC ホストに接続するときに最もよく使用されるプロトコルです。LAT は DEC 独自のプロトコルであり、Cisco は DEC からライセンスを受けた LAT テクノロジーを使用しています。LAT プロトコルでは、あるサイトのユーザが別のサイトのホストへの接続を確立でき、その後キーストロークがシステム間で渡される点で、TCP/IP Telnet プロトコルに似ています。
ターミナル サーバから DEC ホストへの LAT 接続を確立する場合、実行する必要がある操作はホスト名の入力だけです。TCP/IP Telnet と LAT プロトコルの大きな違いは、LAT では IP プロトコルによるルーティングができませんが、Telnet では可能である点です。DEC LAT プロトコルには専用のトランスポート プロトコルが含まれており、このトランスポート プロトコルは標準ルーティング レイヤではなくイーサネット経由で直接実行されるため、ルータは DEC LAT プロトコル渡すことができません。ワイドエリア ネットワークで LAT トラフィックを送信するには、ブリッジまたはブリッジとルータの組み合わせ(シスコ ルータなど)を使用する必要があります。
LAT プロトコルは非対称です。マスター機能とスレーブ機能があります。まず LAT マスターが、回線開始メッセージを送信し LAT 回線を開始します。その後 LAT スレーブが、スレーブ自体の回線開始メッセージで応答します。最大 255 の LAT セッションを回線上で多重化できます。
ユーザの端末がルータに接続している一般的なセットアップでは、ルータがマスターとして機能し、ターゲット ホストがスレーブとして機能します。たとえば、次のコマンドを実行するとデバイス router1 がマスター(またはサーバ)となり、ターゲット ホスト ORANGE がスレーブ(またはホスト)になります。
router1> lat ORANGE
ユーザがアクセス サーバどうしを接続する場合には、ルータはスレーブとしても動作できます。たとえば、次のコマンドを実行すると router1 がマスター(サーバ)、router2 がスレーブ(ホスト)になります。
router1> lat router2
LAT ホスト開始接続では、Virtual Memory System(VMS)が常に LAT スレーブとして動作します。たとえば、VMS システムからの出力ジョブにより、プリンタが接続しているルータが開始またはトリガーされ、LAT マスターとして動作します。マスター/スレーブ関係は、LAT スレーブからのホスト開始セッションにも適用されます。
LAT ネットワークではモデム、コンピュータ、およびアプリケーション ソフトウェアなどのリソースが、ネットワークのすべてのユーザが使用可能なサービスとして示されます。LAT ノードはこのような LAT サービスを 1 つ以上提供でき、また複数の LAT ノードが同一の LAT サービスを提供できます。
まとめてアドバタイズ サービスと呼ばれるサービスを 1 つ以上提供する LAT ノードは、サービスをイーサネット マルチキャスト メッセージ(LAT サービス アナウンスメント)の形式でブロードキャストします。LAT ノードはネットワーク上で LAT サービス アナウンスメントをリッスンできます。これらのメッセージは、既知の LAT サービス(まとめて学習サービスと呼ばれる)が含まれているダイナミック テーブルにキャッシュされます。
Cisco IOS® ソフトウェアでは、学習 LAT サービスとアドバタイズ LAT サービスの両方がサポートされています。したがって、着信および発信 LAT セッションもサポートされています。アドバタイズされるノードのサービス レーティングは動的に決定しますが、静的に設定することもできます。
LAT サービスへの発信接続を確立するため、Cisco IOS ソフトウェアは学習サービス キャッシュ内でサービスを検索します。1 つ以上のノードが同じサービスを提供する場合、レーティングが最も高いノードが選択されます。たとえば、VAX(Virtual Address eXtension)クラスタにより提供されるサービスへの LAT 接続の場合、そのクラスタ内で負荷が最も小さいノード、つまりサービス レーティングが最も高いノードに接続します。これらの接続では、同じサービスを提供するノードのグループに関連して、ロード バランシングが行われます。
着信接続を確立するため、LAT セッションは別の LAT ノードから、ローカル LAT ノードによりアドバタイズされるサービスに接続します。
LAT ネットワークでは、すべてのユーザがすべてのサービスにアクセスできます。このため、LAT サーバ マネージャは、グループ コードという概念を使用してサービスへのアクセスを許可または制限します。
ルータと LAT ホストの両方が共通グループ コードを共有している場合は、このルータと LAT ホストの間で接続を確立できます。いずれの側でもデフォルトのグループ コードが変更されていない場合は、すべてのルータのユーザが、ネットワーク上の任意の学習サービスに接続できます。
ただし、アクセス サーバ、またはルータと LAT ホストのグループを定義する場合には、これらのサービスを論理サブネットワークに分けることができます。グループを編成することで、あるデバイスのユーザに対して特定のサービス セットを表示し、別のデバイス(または同一デバイスの別回線)のユーザには別のサービス セットを表示することができます。また、グループ番号と組織グループ(部門など)を相関付けるプランを設計できます。
LAT セッションは、LAT サービスとルータ間の双方向論理接続です。LAT セッションに接続しているコンソールのユーザには、この接続は意識されません。該当するデバイスまたはアプリケーション プログラムへ直接接続しているように見えます。非同期端末からルータへの作成可能な LAT セッションの数には、固有の上限はありません。
ルータに接続されたホスト印刷ジョブは、ホスト開始接続と呼ばれます。Cisco IOS ソフトウェアは、接続を要求するホストが入ったキューを保持し、これらのホストに対して定期的にステータス メッセージを送信します。
指定されるポート番号または定義済みサービスを介してホスト開始接続を確立できます。この同じサービスが、他のアクセス サーバまたはルータからの接続に使用されます。
GRE を介して LAT を実行するというこの要件タイプは、リモート サイト(LAT デバイス A)が Router-A に接続されるシナリオで使用されます。1 番目のプロトコル変換が Router-A で行われます(LAT から Telnet)。Router-A は Router-B(このルータの背後で LAT サービスがホストされている)に GRE トンネル、x25、またはその他の任意の IP 方式により接続されます。Router-B で、Telnet から LAT へのプロトコル変換がもう一度行われます。
LAT は GRE タイプのカプセル化ではサポートされていないため、プロトコル変換が唯一のオプションです。
Error: LAT: Encapsulation failed
プロトコル変換を使用して LAT over GRE を設定するには、この項の説明を参照してください。
R1 の設定の例を次に示します。
!
translate lat TEST tcp 192.168.2.3
!! translating lat TEST to telnet to ip 192.168.2.3 that is in same
tunnel subnet but not used by any interface
!
interface FastEthernet0/0
ip address 192.168.1.1 255.255.255.0 !! Going towards R2
duplex auto
speed auto
lat enabled !! lat must be enabled on interface
end
!
interface Tunnel1
ip address 192.168.2.1 255.255.255.0
load-interval 30
tunnel source FastEthernet0/0
tunnel destination 192.168.1.2
end
!
R2 の設定の例を次に示します。
!
interface FastEthernet0/0
ip vrf forwarding TEST
ip address 192.168.1.2 255.255.255.0 !! Going towards R1
duplex auto
speed auto
lat enabled
end
!
interface FastEthernet0/1
ip address 192.168.3.1 255.255.255.0 !! Going towards R3
duplex auto
speed auto
lat enabled
end
!
interface Tunnel1
ip address 192.168.2.2 255.255.255.0
ip mtu 1400
tunnel source FastEthernet0/0
tunnel destination 192.168.1.1
tunnel vrf TEST
end
!
translate tcp 192.168.2.3 lat TEST
!! Translating tcp connection from R1 to lat TEST
(LAT service TEST hosted on R3)
R3 の設定の例を次に示します。
!
interface FastEthernet0/0
ip address 192.168.3.2 255.255.255.0 !! Going towards R2
duplex auto
speed auto
lat enabled
end
!
lat service TEST enabled
!!LAT service TEST hosted
!
line vty 0 4
password cisco
login
!
このセクションでは、設定の確認について説明します。
R1 の設定を確認するには、次のコマンドを入力します。
R1#show lat service
Service Name Rating Interface Node (Address)
TEST 5 Local
R1#lat TEST
Trying TEST...Open
Password: !!enter password configured under line vty of R3
R3> !!Access to R3
R3 の設定を確認するには、次のコマンドを入力します。
R3#show lat session
tty98, virtual tty from host R2
!! LAT coming in from R2
Session:
Name TEST, Remote Id 1, Local Id 1
Remote credits 2, Local credits 0, Advertised Credits 4
Flags: none
Max Data Slot 255, Max Attn Slot 255, Stop Reason 0
Remote Node:
No known LAT nodes.
R3#show lat traffic
Local host statistics:
1/95 circuits, 1/0 sessions, 1/0 services
255 sessions/circuit, circuit timer 80, keep-alive timer 20
Recv: 219 messages (0 duplicates), 141 slots, 714 bytes
0 bad circuit messages, 111 service messages (8 used)
Xmit: 228 messages (0 retransmit), 140 slots, 787 bytes
0 circuit timeouts, 111 service messages
Total: 16 circuits created, 16 sessions
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。ただし、エラー メッセージを確認するときには次のデバッグが役立ちます。
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
1.0 |
19-Dec-2013 |
初版 |