この文書では、Cisco 800 シリーズ ルータをアップグレードする手順をステップごとに説明します。 800 シリーズでは、他の Cisco ルータと同様に Cisco IOS® ソフトウェアが動作しますが、ROM モニタ(TinyROM)と一部の指示が少し異なります。
注: Cisco 806、826、827、または 828 シリーズ ルータを使用している場合は、『Cisco 806、826、827、828、および SOHO70 ルータ用 Cisco IOS ソフトウェアのアップグレード』を参照してください。
TCP/IP 対応ワークステーションに、トリビアル ファイル転送プロトコル(TFTP)サーバまたはリモート コピー プロトコル(RCP)サーバ アプリケーションをインストールする必要があります。 アプリケーションをインストールしたら、次の最小限の設定を行う必要があります。
まず、TFTP アプリケーションを TFTP クライアントではなく TFTP サーバとして動作するように設定する必要があります。
次に、発信ファイル ディレクトリを指定する必要があります。 これは、Cisco IOS イメージが格納されるディレクトリです。 ほとんどの TFTP アプリケーションには、このような設定作業用にセットアップ ルーチンが用意されています。
ほとんどの TFTP アプリケーションには、このような設定作業用にセットアップ ルーチンが用意されています。
注: ソフトウェア フィーチャ パック CD-ROM に収録されている TFTP サーバが使用できるのは、Windows 95 が動作している PC だけです。 それ以外のオペレーティング システムでは、独立系ソフトウェア ベンダーから提供されている、またはワールド ワイド ウェブ上でシェアウェアとして公開されている多数の TFTP または RCP アプリケーションを使用できます。 ソフトウェア フィーチャパック CD に入っている TFTP サーバ アプリケーションは、Cisco.com でも入手可能です。
この文書の情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
Cisco 801、802、803、804、および 805 シリーズ ルータ
すべての Cisco IOS ソフトウェア バージョン
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されたものです。 このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。 対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのような作業についても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
Cisco 800 シリーズ ルータをアップグレードするには、次の手順に従います。
Cisco IOS ソフトウェア イメージを TFTP サーバの送信ディレクトリにインストールします。
TFTP サーバでは、このディレクトリで、ルータの Cisco IOS ソフトウェア イメージが検索されます。 フラッシュにコピーする Cisco IOS ソフトウェアがこのディレクトリにあることを確認してください。 イメージを配置する場所を確認する前に、正しいイメージを入手する必要があります。 このイメージは「Download Software」エリア(登録ユーザ専用)にあります。 そのイメージのメモリとフラッシュの要件を確認し、show version コマンドを使用してルータに十分なメモリがあることを確認します。
Router#show version Cisco Internetwork Operating System Software IOS (tm) C800 Software (C800-NSY6-MW), Version 12.1(3.1), MAINTENANCE INTERIM SOFTWARE Copyright (c) 1986-2000 by cisco Systems, Inc. Compiled Tue 11-Jul-00 01:10 by cmong Image text-base: 0x000EA000, data-base: 0x0075F000 ROM: TinyROM version 1.0(2) wiener uptime is 1 week, 4 days, 3 hours, 30 minutes System returned to ROM by power-on System restarted at 12:36:28 UTC Thu Aug 10 2000 System image file is "flash:c800-nsy6-mw.121-3.1" Cisco C803 (MPC850) processor (revision F) with 52244K bytes of virtual memory. Processor board ID CPU part number 33 X.25 software, Version 3.0.0. Bridging software. Basic Rate ISDN software, Version 1.1. 2 POTS Ports 1 Ethernet/IEEE 802.3 interface(s) 1 ISDN Basic Rate interface(s) 12M bytes of physical memory (DRAM) 8K bytes of non-volatile configuration memory 12M bytes of flash on board (8M from flash card) Configuration register is 0x2102
ルータへのコンソール セッションを確立します。
これは、直接コンソール接続または仮想 Telnet 接続によって実行できます。 Telnet 接続はソフトウェア インストールのリブート フェーズで切断されるので、Telnet 接続よりも直接コンソール接続よりも優先されます(ステップ 8 を参照)。 コンソール接続にはロール型ケーブル(黒または青のフラット ケーブル)を使用し、これによってルータのコンソール ポートと PC の COM ポートを接続します。 PC で HyperTerminal を起動し、次のように設定します。
Speed 9600 bits per second 8 databits 0 parity bits 1 stop bit No Flow Control
TFTP サーバからルータへの IP 接続が確立されたことを確認します。
TFTP サーバがルータにネットワーク接続していること、および TFTP ソフトウェア アップグレードの対象となるルータの IP アドレスに TFTP サーバから ping できることが必要です。 このためには、ルータ インターフェイスと TFTP サーバで次のいずれかが必要です。
同じ範囲内にある IP アドレス、または
デフォルト ゲートウェイの設定
確認のため、TFTP サーバの IP アドレスをチェックします。
show flash コマンドを使用して、フラッシュ メモリ内の使用可能な領域を確認します。
Router#show flash Directory of flash:/ 0 ---- 49096 May 14 1999 23:55:31 TinyROM-1.2(1) 40 -r-x 3326472 Apr 06 2000 12:32:02 c800-nsy6-mw.bin 4194304 bytes total (786432 bytes free)
新しいイメージをインストールするのに十分なフラッシュ メモリがある場合、またはルータのブートに使用された Cisco IOS ソフトウェア イメージ以外のファイルをいくつか削除できる場合は、直接ステップ 8 に進みます。
既存の IOS イメージと新しいイメージの両方を格納するのに十分なフラッシュ メモリがない場合は、TinyROM に移行するときに既存のイメージを削除する必要があります。この作業の詳細は次のステップ 5 と 6 で説明します。 Cisco 800 ではブートに使用した Cisco IOS ソフトウェア イメージは削除できないので、ファイルの削除は TinyROM モードで行う必要があります。 続いてステップ 5 に進みます。
TinyROM モードに移行し、ダウンロード パラメータを設定します。
リロードしてブート シーケンス中にブレーク([Ctrl]+[Break] キー)を送信するか、またはコンフィギュレーション レジスタを修正します。
Router#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Router(config)#config-register 0x2100 Router(config)#^Z Router#reload
いずれの場合も、最終的には「boot #」というプロンプトが表示されます。 ダウンロードを実行できるように、次のパラメータを設定します。
TFTP サーバにある Cisco IOS ソフトウェア イメージ ファイルの名前
TFTP サーバの IP アドレス(例: 10.0.0.1)
Cisco 800 シリーズ ルータのイーサネット インターフェイスの IP アドレス(例: 10.0.0.2)
Cisco 800 シリーズ ルータのイーサネット インターフェイスのサブネット マスク(例: 255.255.255.0)
これを行うには、次のコマンドをそれぞれに使用します。
boot# set file-name = filename boot# set serv-ip = 10.0.0.1 boot# set unit-ip = 10.0.0.2 boot# set netmask = 255.255.255.0
TFTP サーバがルータとは異なるサブネットにある場合は、ゲートウェイ サーバ用の IP アドレスを設定します。
boot# set gate-ip = 10.0.0.254
TinyROM モードに移行するためにコンフィギュレーション レジスタを修正した場合は、初期値(通常は 0x2102)に戻します。
boot# set ios-conf = 0x2102
パラメータが正しく設定されているかどうかを確認するには、set コマンド(引数は不要)を使用します。 すべて正しければ、パラメータを保存します。
boot# save
既存の Cisco IOS ソフトウェア イメージを削除します。
フラッシュに現在保存されている他のファイルを表示するには、list コマンドを使用します。
boot# list Status Size Dev Name ------ 48K flash TinyROM-1.2(1) ---r-x 3249K flash c800-nsy6-mw.bin 768K free 4096K total boot#
古い Cisco IOS ソフトウェア イメージ(または削除する必要のある他の任意のファイル)を削除するには、次のように入力します。
boot# delete c800-nsy6-mw.bin boot#
これで、ファイルに「削除済み」タグが設定されます。
boot# list Status Size Dev Name ------ 48K flash TinyROM-1.2(1) --Dr-x 3249K flash c800-nsy6-mw.bin
ファイルを実際に削除するには、erase flash コマンドを使用します。
boot# erase flash Erasing deleted and invalid files from flash >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> erase: succeeded (7 seconds) boot#
次のコマンドを入力して新しいイメージをダウンロードします。
boot# upload tftp TFTP initiated. File name: c800-nsy6-mw.bin RAM size: 0x00650bc8 (6622152) Raw size: 0x00541415 (5510228) Image size: 0x002cbc28 (2931752) >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> upload: succeeded (17 seconds)
ファイルを RAM からフラッシュに保存します。
boot# save file = c800-nsy6-mw.bin
ルータをリロードします。
boot# boot
ステップ 14 に進みます。
さらにフラッシュ メモリの空き容量が必要な場合は、ルータのブートに使用された Cisco IOS ソフトウェア イメージ以外のファイルを削除します。
ファイルに削除済みのタグを設定するには、次のコマンドを使用します。
Router#delete flash:filename
ファイルを消去するには、次のコマンドを使用します。
Router#squeeze flash All deleted files will be removed. Continue? [confirm] Squeeze operation may take a while. Continue? [confirm] |>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>| Squeeze of flash complete
新しいソフトウェア イメージを TFTP サーバからルータにコピーする処理を開始します。
Router> enable Password: Router# Router# copy tftp flash
この方法の詳細については、『デバイス間でシステム イメージをコピーする方法』を参照してください。
TFTP サーバの IP アドレスを指定します。
プロンプトが示されたら、次の例のように TFTP サーバの IP アドレスを入力します。
Address or name of remote host [255.255.255.255]? 10.0.0.1
新しい Cisco IOS ソフトウェア イメージのファイル名を指定します。
プロンプトが示されたら、次の例のように TFTP サーバの IP アドレスを入力します。
Source file name? c800-nsy6-mw.bin
注: このイメージの名前は、TFTP サーバにイメージを保存したときの名前によって異なります。
コピー先のイメージ ファイル名を指定します。
新しいソフトウェア イメージは、ルータにロードされた時点でこの名前になります。 イメージには任意の名前を付けられますが、通常は同じファイル名を入力します。
Destination file name [c800-nsy6-mw.bin]? c800-nsy6-mw.bin
これで、次のダウンロード手順が開始されます。
Router#copy tftp flash Address or name of remote host []? 10.0.0.1 Source filename []? c800-nsy6-mw.bin Destination filename [c800-nsy6-mw.bin]? c800-nsy6-mw.bin Accessing tftp://10.0.0.1/c800-nsy6-mw.bin.. Loading c800-nsy6-mw.bin from 10.0.0.1 (via Ethernet0): ! Build [BLD-V120_T4_T] -- Wed Dec 30 13:37:06 PST 1998 File name: c800-nsy6-mw RAM size: 0x0052c900 (5425408) Raw size: 0x00423da4 (4341156) Image size: 0x002352f4 (2314996) !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!! [OK - 2315181/4629504 bytes] 2315181 bytes copied in 67.700 secs (34554 bytes/sec) Router#
リロードする前に次のことを確認します。
新しい Cisco IOS ソフトウェアが正しく保存されていることを確認します。具体的には、show flash コマンドを使用して、ファイルが保存されたこと、サイズが正しいこと、および不正なチェックサムのメッセージが表示されてないことを確認します。 次のいずれかが発生した場合は、もう一度ダウンロード手順を行う必要があります。
ファイルが表示されない。
ファイルは表示されるが、その後に [invalid checksum] と表示される。
サイズが TFTP サーバ上のファイル サイズと一致しない。
注: ファイル サイズは、ルータではバイト単位で表示されますが、TFTP サーバによってはキロバイト単位で表示される場合があります。
設定内で boot system コマンドが正しい順序で並んでいること。
ルータでは boot system コマンドは、ユーザがコンフィギュレーション ファイルに入力した順序で保存され、実行されます。
router>enable Password Router#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Router(config)# Router(config)#boot system flash c800-nsy6-mw.bin Router(config)#boot system flash Display the config: router#show running-config Building configuration... Current configuration : 952 bytes ! version 12.2 service timestamps debug datetime msec service timestamps log datetime msec no service password-encryption ! hostname r806 ! boot system flash c800-nsy6-mw.bin boot system flash !
リスト内の boot system コマンドのエントリが無効なデバイスやファイル名を指定している場合、そのエントリはスキップされます。 boot system コマンド(フラッシュ メモリに複数の Cisco IOS ソフトウェア イメージを格納している場合に必要。デフォルトでは、ルータは最初のイメージを使用)では、次の構文を使用します。
Router(config)#boot system flash filename !--- Do not use boot system flash dir:filename like on other platforms
リロードが完了したら、show version コマンドを使用して、ルータで必要な Cisco IOS ソフトウェア イメージが動作していることを確認します。