この文書では、Cisco 720x シリーズ ルータのハードウェア アーキテクチャとソフトウェア アーキテクチャの概要を説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
この文書は特定のソフトウェアのバージョンに限定されるものではありませんが、Cisco 7200 シリーズ ルータに基づいて記述されています。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
7200 シリーズ ルータのシャーシには、次のように 2 スロットの Cisco 7202、4 スロットの Cisco 7204 と Cisco 7204VXR、および 6 スロットの Cisco 7206 と Cisco 7206VXR があります。
7202:次のネットワーク プロセッシング エンジン(NPE)のみをサポートする 2 スロット シャーシ。
NPE-100
NPE-150
NPE-200
7204:レガシー ミッドプレーンを搭載した 4 スロット シャーシ。
7206:レガシー ミッドプレーンを搭載した 6 スロット シャーシ。
7204VXR:VXR ミッドプレーンを搭載した 4 スロット シャーシ。
7206VXR:VXR ミッドプレーンを搭載した 6 スロット シャーシ。
7200 シリーズのハードウェア アーキテクチャはモデルで異なり、シャーシと NPE の組み合せに依存しますが、一般的には 2 つの主要な設計に分けられます。この文書では、次の 2 つの主要な設計を中心に説明します。
当初のミッドプレーンおよび初期の NPE(NPE-100、NPE-150、NPE-200)が搭載されたルータ
VXR ミッドプレーンおよび最近の NPE(NPE-175、NPE-225、NPE-300、NPE-400、NPE-G1 など)が搭載されたルータ
VXRシャーシは、NPE-300、NPE-400、またはNPE-G1と併用すると1 Gbpsのミッドプレーンを提供します。また、VXRミッドプレーンにはマルチサービスインターチェンジ(MIX)が含まれています。MIX は、ミッドプレーン全体の各ポート アダプタ スロットへの MIX 相互接続を通じて、DS0 タイム スロットのスイッチングをサポートします。また、ミッドプレーンと MIX では、音声およびその他の固定ビット レート アプリケーションをサポートするために、チャネライズド インターフェイス間のクロック分配もサポートされています。VXR ミッドプレーンには、各ポート アダプタ スロットと MIX の間に、2 つの全二重 8.192 Mbps Time Division Multiplexing(TDM; 時分割多重)ストリームを提供しており、MIX には 12 のすべての 8.192 Mbps ストリームで DS0 のスイッチングを実行する能力があります。各ストリームは、最大 128 DS0 チャネルをサポートします。
Cisco 7200 VXR ルータは、ネットワーク サービス エンジン NSE-1 もサポートしています。これは、次の 2 つのモジュラ ボードで構成されます:プロセッサ エンジン ボードとネットワーク コントローラ ボード。プロセッサ ボードは、NPE-300 アーキテクチャをベースにしています。ネットワーク コントローラ ボードには、Parallel eXpress Forwarding(PXF)プロセッサが搭載されており、ルーティング プロセッサとともに動作して、パケット交換および IP レイヤ 3 の機能の処理が高速化されます。
NPEには、メインメモリ、CPU、Peripheral Component Interconnect(PCI)メモリ(スタティックランダムアクセスメモリ – SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)を使用するNPE-100を除く、PCIバスの制御回路が含まれています。ネットワーク処理エンジンは次のコンポーネントで構成されています。
縮小命令セット コンピュータ(RISC)マイクロプロセッサ。表 1 に、さまざまな NPE のマイクロプロセッサとその内部クロック速度を示します。
表 1 – さまざまな NPE の RISC マイクロプロセッサネットワーク プロセッシング エンジン | マイクロプロセッサ | 内部クロック速度 |
---|---|---|
NPE-100 および NPE-150 | R4700 | 150 MHz |
NPE-175 | RM5270 | 200 MHz |
NPE-200 | R5000 | 200 MHz |
NPE-225 | RM5271 | 262 MHz |
NPE-300 | RM7000 | 262 MHz |
NPE-400 | RM7000 | 350 MHz |
NPE-G1 | BCM1250 | 700 MHz |
NSE-1 | RM7000 | 262 MHz |
システム コントローラ
NPE-100、NPE-150、および NPE-200 には、DRAM とネットワーク処理エンジンのパケット SRAM の間のデータを Direct Memory Access(DMA; ダイレクト メモリ アクセス)を使用して転送するシステム コントローラが搭載されています。
NPE-175 と NPE-225 には、1 基のシステム コントローラが搭載されており、これにより 2 基のミッドプレーンと 1 基の入出力(I/O)コントローラの PCI バスへのプロセッサからのアクセスが実現されています。また、このシステム コントローラにより、2 基のミッドプレーンの PCI バスのいずれかで、ポート アダプタから SDRAM へのアクセスも可能になっています。
NPE-300 には、2 基のシステム コントローラが搭載されており、2 基のミッドプレーンと 1 基の I/O コントローラの PCI バスへのプロセッサからのアクセスが実現されています。また、このシステム コントローラにより、2 基のミッドプレーンの PCI バスのいずれかで、ポート アダプタから SDRAM へのアクセスも可能になっています。
NPE-400 には、1 基のシステム コントローラが搭載されており、システム アクセスが実現されています。
NPE-G1 BCM1250 では、Cisco 7200 VXR ルータのシステム管理機能の保守と実行も行われており、システム メモリと環境モニタリング機能が搭載されています。
NSE-1 には、1 基のシステム コントローラが搭載されており、ミッドプレーンと 1 基の I/O コントローラの PCI バスへのプロセッサからのアクセスが実現されています。また、このシステム コントローラにより、2 基のミッドプレーンの PCI バスのいずれかで、ポート アダプタから SDRAM へのアクセスも可能になっています。
アップグレード可能なメモリ モジュール
NPE-100、NPE-150、および NPE-200 では、ルーティング テーブル、ネットワーク アカウンティング アプリケーション、プロセス交換に備える情報パケット、および SRAM オーバーフロー用のパケット バッファリングの保存(SRAM 非搭載の NPE-100 を除く)に DRAM を使用しています。 標準構成では 32 MB ですが、Single In-line Memory Module(SIMM; シングル インライン メモリ モジュール)のアップグレードで最大 128 MB まで拡張できます。
NPE-175 および NPE-225 では、コード、データ、およびパケットの保存に SDRAM を使用しています。
NPE-300 では、ネットワーク インターフェイスで送受信されるすべてのパケットの保存に SDRAM を使用しています。この SDRAM には、ルーティング テーブルとネットワーク アカウンティング アプリケーションも保存されます。このシステムには独立した 2 基の SDRAM メモリ アレイが搭載されているので、ポート アダプタとプロセッサからの同時アクセスが可能です。NPE-300 では、最初の 32 MB DIMM だけは固定構成になっている点に注意してください。詳細は、『NPE-300 および NPE-400 の概要』の表 3-2 を参照してください。
NPE-400 では、ネットワーク インターフェイスで送受信されるすべてのパケットの保存に SDRAM を使用しています。このシステムには SDRAM メモリ アレイが搭載されているので、ポート アダプタとプロセッサからの同時アクセスが可能です。
NSE-1 では、コード、データ、およびパケットの保存に SDRAM を使用しています。
NPE-G1 では、ネットワーク インターフェイスで送受信されるすべてのパケットの保存に SDRAM を使用しています。この SDRAM には、ルーティング テーブルとネットワーク アカウンティング アプリケーションも保存されます。このシステムには独立した 2 基の SDRAM メモリ アレイが搭載されているので、ポート アダプタとプロセッサからの同時アクセスが可能です。
ファスト スイッチングに備えた情報パケットを保存するためのパケット SRAM
NPE-150 には 1 MB の SRAM、NPE-200 には 4 MB の SRAM がそれぞれ搭載されています。他のネットワーク プロセッシング エンジンまたはネットワーク サービス エンジンには SRAM が搭載されていません。
キャッシュ メモリ
NPE-100、NPE-150、および NPE-200 には、マイクロプロセッサの二次キャッシュとして機能する統合キャッシュが搭載されています(一次キャッシュはマイクロプロセッサに内蔵されています)。
NPE-175 と NPE-225 には 2 つのレベルのキャッシュがあります。プロセッサ内蔵の一次キャッシュとデータおよび命令用に追加の高速ストレージを提供する 2-MB の二次外部キャッシュです。
NPE-300 には 3 つのレベルのキャッシュがあります。マイクロプロセッサ内蔵の一次および二次キャッシュとデータおよび命令用に追加の高速ストレージを提供する 2-MB の三次次外部キャッシュです。
NPE-400 には 3 つのレベルのキャッシュがあります。マイクロプロセッサ内蔵の一次および二次キャッシュとデータおよび命令用に追加の高速ストレージを提供する 4-MB の三次次外部キャッシュです。
NSE-1 には 3 つのレベルのキャッシュがあります。マイクロプロセッサ内蔵の統合された一次および二次キャッシュと 2-MB の三次外部キャッシュです。
NPE-G1 には 2 つのレベルのキャッシュがあります。マイクロプロセッサ内蔵の一次キャッシュと二次キャッシュの 2 段階のキャッシュが搭載されています。統合された二次キャッシュはデータと命令用に使用されます。
シャーシから排出される空冷排気の温度を監視する 2 基の環境センサー
Cisco IOS® ソフトウェアをブートするためのコードを十分に保存するブート ROM。NPE-175、NPE-200、NPE-225、NPE-300、NPE-400、NPE-G1、および NSE-1 にブート ROM があります。
ネットワーク サービス エンジン(NSE-1)は、ワイヤ速度で OC3 のスループットを実現しながら、同時にきめ細かな WAN のエッジ サービスを実行できます。Parallel Express Forwarding(PXF)エンジンというプロセスに特化したマイクロコード エンジンで拡張された NPE-300 テクノロジーが、このような基本設計により活用されています。この独自のデュアル プロセッシング アーキテクチャが、高いプロセス性能を要求するインテリジェントなネットワーク サービスのための大幅な性能向上を可能にしています。ルート/スイッチ プロセッサでは、レイヤ 4 からレイヤ 7 までの複雑できめ細かなサービスの負荷が PXF プロセッサに分散されて、ワイヤ速度の性能が維持されています。
他の情報については、次の項目をご覧ください:
I/O コントローラは、Cisco 7200 ルータのシステム メモリ機能および環境モニタリング機能を、ネットワーク処理エンジンと分担しています。次に、この構成要素を示します。
自動検知のイーサネットまたはファースト イーサネット ポート 1 個か 2 個、またはギガビット イーサネット ポート 1 個とイーサネット ポート 1 個(I/O コントローラのタイプによって異なります)。
ローカル コンソールおよび AUX ポート用のデュアル チャネル。
ブート ヘルパー イメージ、その他のデータ(crashinfo ファイルなど)を保存するためのフラッシュ メモリ。
デフォルトの Cisco IOS ソフトウェア イメージが格納されたフラッシュ ディスクまたはフラッシュ メモリ カード用の 2 基の PC カード スロット。
Cisco IOS ソフトウェアをブートするためのコードを十分に保存するブート ROM(C7200-I/O-2FE/E にはブート ROM コンポーネントはありません)。
Cisco 7200 のシャーシから給排気される空冷用の空気の温度を監視する 2 基の環境センサー。
システム設定および環境モニタリング ログを保存する不揮発性ランダム アクセス メモリ(NVRAM)。
製品番号 | 説明 |
---|---|
C7200-I/O-GE+E | ギガビット イーサネット X 1 およびおよびイーサネット ポート X 1。1000 メガビット/秒(Mbps)動作用に GBIC レセプタクルおよび 10 Mbps 動作用に RJ-45 レセプタクルを装備しています。 |
C7200-I/O-2FE/E | 自動検知イーサネット/ファスト イーサネット ポート X 2。10/100 Mbps 動作用に RJ-45 レセプタクルを 2 個装備しています。 |
C7200-I/O-FE1 | ファスト イーサネット ポート X 1。100 Mbps 全二重または半二重動作用に MII レセプタクルと RJ-45 レセプタクルを装備しています。設定して使用できるレセプタクルは、一度に 1 個だけです。 |
C7200-I/O | ファスト イーサネット ポートはありません。 |
C7200-I/O-FE-MII2 | ファスト イーサネット ポート X 1。単一の MII レセプタクルを装備しています。 |
1 製品番号 C7200-I/O-FE では MII の指定はありませんが、MII と RJ-45 の両方のレセプタクルが 1 個ずつ搭載されています。
2 製品番号 C7200-I/O-FE-MII の I/O コントローラには、MII ファースト イーサネットのレセプタクルが 1 個だけ搭載されています。シスコは現在もこの単一 MII レセプタクルの I/O コントローラをサポートしていますが、1998 年 5 月で製品の販売は打ち切られています。
I/O コントローラのモデルは、端末からも識別できます。識別するには、show diag slot 0 コマンドを使用します。
NPE-G1 は、ネットワーク処理エンジンと I/O コントローラの両方の機能を実現する、Cisco 7200 VXR 用の最初のネットワーク処理エンジンです。I/O コントローラの機能を実現する設計になっていますが、Cisco 7200 VXR でサポートされているすべての I/O コントローラも使用可能です。NPE-G1 が搭載されているシャーシに I/O コントローラをインストールすると、その I/O コントローラのコンソール ポートと補助ポートがアクティブになります。また、NPE-G1 上のコンソール ポートと AUX ポートが自動的に無効になります。ただし、この場合でも、両方のカードが装着されている場合、フラッシュ ディスク スロットおよびイーサネット ポートは NPE-G1 と I/O コントローラの両方で使用できます。
注:I/Oコントローラはホットスワップ可能ではありません。I/O コントローラを挿入する前に、電源を切ります。
他の情報については、次の項目をご覧ください:
ポート アダプタとは、物理メディア上のパケットを送受信する回路が搭載されたモジュラ インターフェイス コントローラのことです。これらのポート アダプタは、Cisco 7500 シリーズ ルータの Versatile Interface Processor(VIP; バーサタイル インターフェイス プロセッサ)で使用されているポート アダプタと同じです。どちらのプラットフォームもはほとんどのポート アダプタをサポートしますが、いくつかの例外があります。Time Division Multiplexing(TDM; 時分割多重)スイッチングが必要な一部の PA は、VXR ミッドプレーンだけでサポートされています。
Cisco 7200 ルータにインストールされているポート アダプタでは、Online Insertion and Removal(OIR; ホットスワップ)がサポートされています。 これらのポート アダプタはホットスワップ可能です。
Cisco 7200 シリーズ ルータには、シャーシのポート アダプタの配分のほか、インストールできるポート アダプタの数と種類に影響を与える、帯域幅と呼ばれるデータ伝送キャパシティがあります。ポート アダプタは、PCI バス mb1(PA スロット 0、1、3、および 5)と PCI バス mb2(PA スロット 2、4、および 6)の間で帯域幅に従って均等に配分する必要があります。
ネットワーク プロセッシング エンジン(NPE)NPE-100、NPE-150、NPE-175、NPE-200、または NPE-225 を搭載した Cisco 7200 または Cisco 7200 VXR ルータは、高、中、低帯域幅の指定を使用して、ポート アダプタ配分と構成を決定します。
NPE-300、NPE-400、または NSE-1 を搭載した Cisco 7200 VXR ルータは、高、中、低帯域幅の指定の代わりに帯域幅ポイントを使用して、ポート アダプタ配分と構成を決定します。帯域幅ポイントは帯域幅に関連する割り当て値です。ただし、この値はハードウェアがどれだけ効率的に PCI バスを使用するかに基づいて調整されます。
注:Cisco 7200シリーズルータは、ガイドラインを超えるポートアダプタ構成で使用できます。ただし、ルータの使用中の異常を防ぐために、次のリンクに記載されているガイドラインに従って、ルータにインストールされるポート アダプタのタイプを制限することを強く推奨します。また、ご使用の Cisco 7200 シリーズ ルータで発生する異常を、Cisco Technical Assistance Center がトラブルシューティングするには、ご使用のポート アダプタの設定が上記のガイドラインの範囲内にある必要があります。ポート アダプタはホットスワップ可能です。
詳細については下記を参照してください。
注:新しいCisco 7200 VXRルータのリリースでは、上位互換性のために特定のポートアダプタアップデートが必要です。新しい高速 Peripheral Component Interconnect(PCI)ミッドプレーンが Cisco 7200 VXR ルータに搭載されているために生じた要件です。このアップデートは、Cisco 7200 VXR ルータに使用されるポートアダプタだけに必要とされます。すべてのポート アダプタをアップグレードできるわけではないので、一部のポート アダプタは、Cisco 7200 VXR ルータではサポートされなくなります。詳細は、フィールド通知:Cisco 7200 VXR ルータのポート アダプタ互換性を参照してください。
7200 シリーズ ルータでは、NPE 上で DRAM、SDRAM、および SRAM メモリが使用され、その組み合わせはモデルによってさまざまです。利用可能なメモリは次の 3 つのメモリ プールに分けられます。プロセッサ プール、I/O プール、および PCI プール(NPE-300 の I/O-2)です。
43008K/6144K バイトのメモリを搭載した Cisco 7206(NPE150)プロセッサ(リビジョン B)を使用する show memory コマンドの出力例を次に示します。
legacy_7206#show memory Head Total(b) Used(b) Free(b) Lowest(b) Largest(b) Processor 61A08FE0 16740384 10070412 6669972 6502744 6596068 I/O 2A00000 6291456 1482392 4809064 4517540 4809020 PCI 4B000000 1048576 648440 400136 400136 400092 cisco 7206VXR (NPE300) processor (revision B) with 122880K/40960K bytes of memory 7206VXR#show memory Head Total(b) Used(b) Free(b) Lowest(b) Largest(b) Processor 6192B280 99437952 27769836 71668116 70358432 70358428 I/O 20000000 33554440 4626776 28927664 28927664 28927612 I/O-2 7800000 8388616 2140184 6248432 6248432 6248380
プロセッサ メモリ:Cisco IOS ソフトウェアのコード、ルーティング テーブル、およびシステム バッファを保存するのに使用されます。これは NPE-100、NPE-150、および NPE-200 の DRAM、NPE-175 および NPE-225 の SDRAM 領域、NPE-300 の SDRAM バンク 1 から割り当てられます。
I/O メモリ:このプールは、パーティクル プールに使用されます。インターフェイス プライベート プールおよびパブリック パーティクル プールは両方ともこのメモリから割り当てられます。このメモリのサイズは、NPE のタイプによって異なります。NPE-150 および NPE-200 の両方に入出力(I/O)メモリの形式に使用される固定量の SRAM があります。NPE-150の場合は1 MB、NPE-200の場合は4 MBです。NPE-300では、32 MBに固定されたSDRAMバンク0を使用します。
PCI メモリ:この小さなプールは、主にインターフェイスの受信リングと送信リング用に使用されます。高速インターフェイスのプライベート インターフェイス パーティクル プールを割り当てるために使用される場合があります。NPE-175、NPE-225、および NPE-300 システムでは、このプールは SDRAM に作成されます。NPE-150 および NPE-200 では、このプールはすべて SRAM に作成されます。
場所とメモリ テーブルの仕様の詳細については、メモリの場所と仕様を参照してください。このリンクから、NPE/NSE それぞれの、メモリ関連のガイドラインと制限の一部も確認できます。
もう 1 つの便利なリンクは NPE または NSE と I/O コントローラのメモリ交換手順です。
ブート プロセス中に、SYSTEM LED を確認します。ほとんどのポート アダプタの LED は、不規則な順序で点滅します。一部は点灯して消灯した後、再び短期間点灯する場合があります。I/O コントローラの I/O 電源投入完了を示す LED はすぐに点灯します。
初期化プロセスを確認します。システム ブートが(数秒で)完了すると、ネットワーク処理エンジンまたはネットワーク サービス エンジンが、ポート アダプタと I/O コントローラの初期化を開始します。初期化中、各ポート アダプタの LED はそれぞれ異なる動作をします(ほとんどは、点滅します)。
初期化が完了すると、各ポート アダプタが使用可能になったことを示す LED が点灯し、コンソール画面に次のようなスクリプトとシステム バナーが表示されます。
Cisco Internetwork Operating System Software IOS (tm) 7200 Software (C7200-IK8S-M), Version 12.2(10b), RELEASE SOFTWARE (fc1) Copyright (c) 1986-2002 by cisco Systems, Inc. Compiled Fri 12-Jul-02 07:47 by xxxxx Image text-base: 0x60008940, data-base: 0x613D4000
ルータを始めて起動すると、システムは自動的にセットアップ コマンド ファシリティ状態になります。この状態では、どのポート アダプタがインストールされているかが識別され、それぞれのアダプタの設定情報の入力を要求するメッセージが表示されます。コンソール端末には、システムバナーとハードウェア構成が表示された後、System Configuration Dialog のプロンプトが次のように表示されます。
--- System Configuration Dialog --- Would you like to enter the initial configuration dialog? [yes/no]:
起動手順の各ステップを完了できない場合は、トラブルシューティングのヒントおよび手順についてインストールのトラブルシューティングを参照してください。
Cisco 7200 シリーズでは、プロセス交換、ファースト スイッチング、および Cisco Express Forwarding(CEF; Cisco エクスプレス転送)はサポートされていますが、どのような形態の分散型スイッチング方式もサポートされていません。すべてのスイッチング タスクは、NPE のメイン CPU が処理します。
このセクションの説明は、Cisco Press 発行の書籍『インサイド Cisco IOS ソフトウェア アーキテクチャ』1 に基づいています。
次のステップは、パケットが受信されるとどのように処理されるかを示しています。
ステップ 1:インターフェイスの受信リングにリンクされた一連のパーティクルに、メディアからパケットがコピーされます。パーティクルは、I/O メモリか PCI メモリのどちらかにあります。どちらにあるかは、インターフェイスのメディアの速度およびプラットフォームによって異なります。
ステップ 2:インターフェイスが、受信割り込みを CPU に上げます。
ステップ 3:Cisco IOS ソフトウェアは、割り込みを検知すると、インターフェイスの受信リングに入力されたものを交換するようにパーティクルの割り当て試行を開始します。Cisco IOS ソフトウェアは、最初にインタフェースのプライベート プールを確認し、プライベート プールに何もない場合はパブリックの正常なプールを確認します。受信リングを再び満たすのに十分なパーティクルが存在しない場合、パケットは廃棄され(受信リングのパケットのパーティクルはフラッシュされる)、「no buffer」カウンタが増加します。
この場合、Cisco IOS ソフトウェアはインターフェイスのスロットル処理も行います。7200 のインターフェイスでスロットル処理が行われると、インターフェイスに対するスロットル処理が解除されるまで、すべての受信パケットが無視されます。Cisco IOS ソフトウェアは、満たされていないパーティクル プールが空きのパーティクルで再び満たされるとインターフェイスのスロットル処理を解除します。
ステップ 4:Cisco IOS ソフトウェアは、受信リングのパケットのパーティクルを一緒にリンクし、次にパーティクル バッファ ヘッダーにリンクします。さらに、パケットのパーティクルの代わりにリングにリンクし、新しく割り当てられたパーティクルで受信リングを再び満たします。
パケットがパーティクルにあるため、Cisco IOS ソフトウェアはパケットをスイッチします。次に、このプロセスを説明します。
ステップ 5:まず、ルート キャッシュ(ファストまたは CEF)がチェックされて、パケットのファスト スイッチングが可能かどうかが確認されます。割り込み中にパケットをスイッチングできる場合は、ステップ6に進みます。それ以外の場合は、パケットをプロセススイッチング用に準備し続けます。
5.1:パケットは連続するバッファ(システム バッファ)に結合されます。 パケットを受け取るための空きのシステム バッファがない場合、パケットは廃棄され、show interface コマンドの出力に示されるように、「no buffer」カウンタが増加します。
Router#show interfaces Ethernet2/1 is up, line protocol is up .... Output queue 0/40, 0 drops; input queue 0/75, 0 drops 5 minute input rate 5000 bits/sec, 11 packets/sec 5 minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec 1903171 packets input, 114715570 bytes, 1 no buffer Received 1901319 broadcasts, 0 runts, 0 giants, 1 throttles ....
Cisco IOS ソフトウェアがシステム バッファを割り当ててパーティクル バッファを結合することができない場合、前述の show interface コマンドの出力例に示されるように、インターフェイスのスロットル処理も行い、「throttles」カウンタが増加します。インターフェイスのスロットル処理が行われている間、すべての入力トラフィックは無視されます。インターフェイスのスロットル処理は、インターフェイスで空きのシステム バッファが使用可能になるまで解除されません。
5.2:パケットが結合されると、プロセス スイッチングのためにキューに送られ、このタイプのパケットを処理するプロセスの実行がスケジュールされます。次に、受信割り込みが解除されます。
5.3:これは IP パケットであるとします。IP 入力プロセスが実行されると、ルーティング テーブルが参照されて、発信インターフェイスが特定されます。アウトバウンド インターフェイスに関連付けられたテーブルを調べて、パケットに配置する必要がある MAC ヘッダーを検出します。
5.4:パケットが正常にスイッチされた後、アウトバウンド インターフェイスの出力キューにコピーされます。
5.5:ここから、Cisco IOS ソフトウェアは送信の段階に進みます。
ステップ 6:Cisco IOS ソフトウェアのスイッチング コード(ファストまたは CEF)がパケットの MAC ヘッダーを宛先用に書き換えます。新しい MAC ヘッダーが元のヘッダーより大きい場合、Cisco IOS ソフトウェアは F/S プールから新しいパーティクルを割り当て、パーティクルのチェーンの先頭に挿入して、大きなヘッダーを保持します。
パケット スイッチが正常終了し、MAC ヘッダーが書き換えられました。パケット送信ステージの動作は、Cisco IOS ソフトウェアでパケットのファスト スイッチング(ファストまたは CEF)が行われるか、パケットのプロセス交換が行われるかによって異なります。次のセクションでは、Cisco 7200 シリーズ ルータのファスト スイッチング環境およびプロセス交換環境における、パケット送信ステージについて説明します。
次のステップでは、ファスト スイッチング環境におけるパケット送信ステージについて説明します。
手順 7:Cisco IOS ソフトウェアは最初にインターフェイスの出力キューをチェックします。出力キューが空でないか、インターフェイスの送信リングが満杯の場合、Cisco IOS ソフトウェアはパケットを出力キューに入れ、受信割り込みを解除します。プロセススイッチングされた別のパケットが到着するか、インターフェイスが送信割り込みを発行すると、最終的にパケットが送信されます。出力キューが空になり、送信リングに余裕がある場合、Cisco IOS ソフトウェアはステップ 8 に進みます。
ステップ 8:Cisco IOS ソフトウェアは、インターフェイスの送信リングにパケットのパーティクルのそれぞれをリンクし、受信割り込みを解除します。
手順 9:インターフェイスのメディア コントローラが、自分の送信リングにポーリングをかけて、送信する必要のある新しいパケットを検出します。
手順 10:インターフェイスのメディア コントローラが、そのパケットを送信リングからメディアにコピーして、送信割り込みを CPU に上げます。
ステップ 11:Cisco IOS ソフトウェアは送信割り込みを検知すると、送信リングから送信されたパケットのすべてのパーティクルを解放し、元のパーティクル プールに戻します。
ステップ 12:インターフェイスの出力キューに待機中のパケットがある場合(今まで送信リングが満杯であったことが想定される)、Cisco IOS ソフトウェアはキューからパケットを削除し、パーティクルまたは連続するバッファを送信リングにリンクして、メディア コントローラが検知できるようにします。
ステップ 13:Cisco IOS ソフトウェアは送信割り込みを解除します。
次のステップでは、プロセス スイッチング環境におけるパケット送信ステージについて説明します。
ステップ 14:Cisco IOS ソフトウェアは、出力キューの次のパケット サイズを確認し、インターフェイスの送信リング内の空き容量と比較します。送信リングに十分な空きがある場合、Cisco IOS ソフトウェアは、出力キューからパケットを削除し、連続するバッファ(またはパーティクル)を送信リングにリンクします。
注:出力キューに複数のパケットが存在する場合、Cisco IOSソフトウェアはキューをドレインし、すべてのパケットをインターフェイスの送信リングに配置します。
ステップ 15:インターフェイスのメディア コントローラが、自分の送信リングにポーリングをかけて、送信する必要のある新しいパケットを検出します。
ステップ 16:インターフェイスのメディア コントローラが、そのパケットを送信リングからメディアにコピーして、送信割り込みを CPU に上げます。
ステップ 17:Cisco IOS ソフトウェアは送信割り込みを検知すると、送信リングから送信されたパケットの連続するバッファ(またはパーティクル)を解放し、元のプールに戻します。
1 「CCIEプロフェッショナル育成:Inside Cisco IOS Software Architecture" by Vijay Bollapragada, Curtis Murphy, Russ White (ISBN 1-57870-181-3)。