このドキュメントでは、Cisco 827 ルータでサポートされているキューイングのタイプと ATM トラフィック シェーピング メカニズムについて説明します。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントに関する固有の要件はありません。
このドキュメントは、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
現在、GTS は ATM インターフェイスではサポートされていません。
現在、レート制限は ATM インターフェイスではサポートされていません。
PQ/CBWFQ の設定についての概要に関しては、設定 例を参照して下さい: VC 単位のクラス ベース、Cisco 7200, 3600 および 2600 ルータの均等化キューイング(VC 単位の CBWFQ)。
現在、PPPoA の PQ/CBWFQ はサポートされていませんが、Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.1(4) でサポートされる予定です。 その他の音声機能についても、このリリースでサポートされる予定です。
注: Cisco 827 はソフトウェアでシェーピングを行います; Cisco 1400 は SAR 半導体素子のシェーピングを行います。
シェーピングのステージに入る前に、まずアップストリーム レートを決定してください。 このドキュメントで説明されているように、このレートは計算に影響するものです。 Cisco 827 で現在使用されているアップストリーム レートを確認するには、show controller atm コマンドを発行します。
次の場合、Digital Subscriber Line Access Multiplexer(DSLAM; デジタル加入者線アクセス マルチプレクサ)では、アップストリーム 640、ダウンストリーム 640 が設定されています。
Interleave | Fast | Interleave | Fast | |
速度(kbps) | 640 | 0 | 640 | 0 |
UBR の設定オプションでは、Peak Cell Rate(PCR; ピーク セル レート)を定義できます。 PCR 値で伝送されるセル数を制限するバースト サイズはありません。 PCR の精度が不適切に定義されていると、Unspecified Bit Rate(UBR; 未指定ビット レート)では、PCR を超えるデータが継続的に送信されてしまいます。
これを設定する場合は、PCR 値が ATM スイッチで設定されている値を超えないようにしてください。 ここで設定する値は、シェーピング キューのサイズ(精度)と、セルが ATM スイッチに到着するまでの遅延に影響します。
たとえば、PCR = 499 で回線速度 = 575 の場合、アップストリームの転送レートは 575 です。
次に、精度を計算する公式を示します。X はアップストリーム レートです。
X X ----- < PCR (configured) <= ----- Y+1 Y
次の設定を行っていて、アップストリーム レートが 640 である場合を考えます。
interface ATM0 ip address 14.0.0.4 255.255.0.0 no ip directed-broadcast no atm ilmi-keepalive pvc 3/45 ubr 240
この場合、PCR の精度は 320 になります。
640 640 ----- < 240 <= ----- = 320 2+1 2
PCR 値で伝送されるセル数を制限するバースト サイズはありません。 シェーピング テーブルは 320 に設定されているため、Cisco 827 は 320 セルを送信します。
PCR = 499 で、アップストリーム レート = 575 の例を見てみます。 この場合、次の式を満たすのは、Y の値 = 1 です。
X X ----- < PCR (configured) <= ----- Y+1 Y 575 575 ----- < 499 <= ----- = 575 1+1 1
つまり、転送レートは、アップストリーム レートと等しい 575 になります。
注: 上記の動作は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(8)T より前のバージョンのすべての c820 イメージに該当します。 このリリース以降では、UBR と VBR の精度は、どちらのシェーピング モードでも正しくスケジューリングされます。
Cisco 827 では、Available Bit Rate(ABR; 使用可能ビット レート)と、ABR 使用時の 3 つのモードはサポートしていません。 この 3 つのモードには、次のものがあります。
EFCI マーキング モード:スイッチは、転送データ セルのヘッダーに EFCI 状態を設定し、輻輳を通知できます。 宛先では、EFCI フラグのオン設定を受信すると、逆方向 RM セルに輻輳を通知する Congestion Indication(CI; 輻輳表示)ビットをマークして、セルを発信元に返します。
RR マーキング モード:スイッチは、順方向 RM セルと逆方向 RM セルのいずれか、または両方で CI = 1 を設定して、輻輳を通知できます。
Explicit Rate(ER; 明示レート)マーキング モード:スイッチは、順方向 RM セルまたは逆方向 RM セルの ER フィールドを、各 ABR 接続における各自の「fair share」にまで下げて、スイッチで受信を許可するレートを明示的に通知できます。
詳細については、『LightStream 1010 スイッチ アーキテクチャとトラフィック管理』の White Paper を参照してください。
VBR では、Sustainable Cell Rate(SCR; 平均セルレート)が導入され、Cisco IOS(R) ソフトウェアでは別のシェーピング テーブルが構築されるようになります。 このテーブルの精度は 1000 に設定されており、これは VBR-RT と VBR-NRT で有効です。 PCR では、このテーブルのセルは確保されません。 PCR の精度は、UBR の例で使用したものと同じ計算式で算出されます。
VBR の場合は、burst size(bs; バースト サイズ)が使用され、クレジット値はバースト サイズから算出されることに注意してください。
SCR のシェーピング テーブルは、SCR の設定値に従って占有されるものです。 これによって、SCR の伝送のためにテーブルに確保されるセル数が決まります。 次に、例を示します。
interface ATM0.4 point-to-point pvc 3/34 vbr-rt 575 500 50
テーブルは次のように構築されます。
SCR * 1000 ----------- = SCR place in table PCR
次の例を参照してください。
500 * 1000 ---------- = 869 575
つまり、テーブルでは SCR により 869 セルが占有され、131 セルはバースト用に残されることになります(テーブルの精度が 1000 であることを思い出してください)。 PCR がクレジットの最大値である場合は、この確保されなかった 131 のセルを使用できます。
この例では、制限は 50 です。 式は次のようになります。
(UC + 1) * PCR bs = ---------------- UC reflects the unreserved cells in the table PCR-SCR
次の場合は、最大値の 131 を使用しています。
(131 + 1) * 575 bs = ----------------- = 1012 575-500
次の例を参照してください。
(50 + 1) * 575 bs = ----------------- = 391 575-500
バースト サイズにより、転送レートが SCR に低下するまでに、PCR で送信されるセル数が決まります。 クレジットは、PCR で伝送可能なセル数です。
bs * SCR Credit = bs - ------------ -1 PCR
この場合、次のクレジットが確保されます。
1012 * 500 Credit = 1012 - ------------ -1 = 131 (which confirms the maximum credit) 575
同様に、この例で設定している 50 セルのクレジットも確保されます。
注: バースト サイズは PCR を超えることはありません。
PCR=SCR の場合は、バースト サイズに関係なく、バーストの計算は無視されて、クレジットには 1 が設定されます。 次に、例を示します。
interface ATM0.4 point-to-point pvc 3/34 vbr-rt 499 499 50
これにより、1000 セルのトラフィック シェーピング テーブルで、SCR 用に 867 セル((499*1000)/575)が(均等に分散して)確保されます。 設定されているバースト サイズは、計算では無視されます。 転送レートは 499(または、これに非常に近い値)で、セルは均等に分散されます。 867 セルが使用されて、133 がアイドル セルになるということはありません。
Constant Bit Rate(CBR; 固定ビット レート)接続は、接続が持続している間割り当てられる固定の帯域幅です。 この帯域幅は、設定での PCR 値を意味します。
システムはシンプルで、接続にセル時間を割り当てます(この帯域幅は予約されています)。
interface ATM0.4 point-to-point pvc 3/34 cbr 160
セルレートは 160000/(53*8)で、PVC に割り当てられている値です。 この場合、セル遅延変動は簡単に計算できます。 たとえば、アップストリームは 640 です従ってこの PVC のために 4 人のセルの 1 つを使用します: 640/160 = 4。 1 セルを送信するごとに、内部セル 3 つ分の遅延が発生します。
注: データは PCR を超えることはできないため、CBR は、バースト アプリケーションには向いていません。