別のルーティング プロトコルやスタティック ルート、直接接続されたルートなど、他の何らかの手段によって学習されたルートを、ルーティング プロトコルを使用してアドバタイズすることを、再配布といいます。本来であれば、IP インターネットワーク全体にわたって単一のルーティング プロトコルを実行することが望ましいのですが、企業の合併、複数のネットワーク管理者によって管理されている複数の部門、マルチベンダー環境などのさまざまな理由により、マルチプロトコル ルーティングの使用は一般的になっています。異なるルーティング プロトコルの実行は、多くの場合、ネットワーク設計に組み込まれています。いずれにしても、マルチプロトコル環境を使用するには、再配布が不可欠です。
メトリック、アドミニストレーティブ ディスタンス、クラスフル機能、クラスレス機能など、ルーティング プロトコル特性における相違が再配布に影響を与える場合があります。正常に再配布するには、これらの相違について考慮する必要があります。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
Cisco IOS® ソフトウェア リリース 12.2(10b)
Cisco 2500 シリーズ ルータ
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
あるプロトコルから別のプロトコルに再配布するときは、各プロトコルのメトリックが重要な役割を果たします。プロトコルごとに、異なるメトリックが使用されます。たとえば、Routing Information Protocol(RIP)のメトリックはホップ カウントに基づいていますが、Interior Gateway Routing Protocol(IGRP)と Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)は帯域幅、遅延、信頼性、負荷、および最大伝送ユニット(MTU)に基づいた複合メトリックを使用しており、デフォルトでは帯域幅と遅延のみが使用されます。ルートを再配布するときは、受信側プロトコルにとって理解可能なメトリックを定義する必要があります。ルート再配布のメトリックを定義する方法には、次の 2 通りがあります。
個々の再配布に、個別のメトリックを定義できます。
router rip redistribute static metric 1 redistribute ospf 1 metric 1
あるいは、すべての再配布ルートに対して、デフォルトの同一メトリックを使用できます(default-metric コマンドを使用。再配布ごとに個別にメトリックを定義する必要がなくなるため、手間が省けます)。
router rip redistribute static redistribute ospf 1 default-metric 1
ルータが複数のルーティング プロトコルを実行していて、両方のルーティング プロトコルを使用して同じ宛先へのルートを学習する場合は、どちらのルートが最適ルートとして選択されるのでしょうか。各プロトコルはそれぞれ独自のメトリック タイプを使用して、最適ルートを判断します。メトリック タイプの異なるルート同士を比較することはできません。この問題に対処するのが、アドミニストレーティブ ディスタンスです。アドミニストレーティブ ディスタンスは、ルートの送信元に割り当てられるので、最も望ましい送信元からのルートがベスト パスとして選択されます。アドミニストレーティブ ディスタンスとルート選択の詳細については、シスコ ルータにおけるルート選択 を参照してください。
アドミニストレーティブ ディスタンスは、異なるルーティング プロトコル間でのルート選択に役立ちますが、再配布に関する問題を引き起こす場合があります。たとえば、ルーティング ループ、コンバージェンス、または非効率なルーティングに関する問題です。次に、トポロジを示し、起こり得る問題について説明します。
上図のトポロジで、R1 で RIP が、R2 と R5 で RIP と IGRP がそれぞれ実行されているとします。ここで RIP を IGRP に再配布すると、問題が生じる可能性があります。たとえば、R2 と R5 はどちらも、RIP を使用して R1 から ネットワーク 192.168.1.0 を学習しています。この情報は IGRP に再配布されます。R2 は R3 からネットワーク 192.168.1.0 について学習し、R5 はこのネットワークについて、R4 から IGRP を使用して学習します。IGRP のアドミニストレーティブ ディスタンスは RIP よりも小さいため(IGRP は 100 で RIP は 120)、ルーティング テーブルで使用されるのは IGRP ルートとなります。これにより、ルーティング ループが発生する可能性があります。スプリット ホライズンなど、ルーティング ループを防止する何らかの機能が対処策として使われ、奏効した場合でも、コンバージェンスの問題が残ります。
また、R2 と R5 が IGRP を RIP に再配布していて(相互再配布とも呼ばれる)、なおかつネットワーク 192.168.1.0 が R1 に直接接続されていない場合は(R1 が自身よりアップストリームにある別のルータから学習している場合)、R1 が元の送信元よりもメトリックが適切なネットワークを R2 または R5 から学習してしまう問題が起こり得ます。
注:ルート再配布のメカニズムは、Ciscoルータ独自のものです。シスコ ルータの再配布ルールでは、再配布されたルートはルーティング テーブル内に格納されるように規定されています。ルートがルーティング トポロジまたはデータベース内にあるだけでは不十分です。アドミニストレーティブ ディスタンス(AD)が低いほうのルートが、常にルーティング テーブルに格納されます。たとえば、スタティック ルートが R5 の IGRP に再配布され、その後 IGRP が同一ルータ(R5)上の RIP に再配布された場合、このスタティック ルートは IGRP のルーティング テーブルに格納されることがないため、RIP には再配布されません。これは、スタティック ルートの AD が 1 で、IGRP ルートの AD が 100 であるため、スタティック ルートがルーティング テーブルに格納されることに起因します。このスタティック ルートを R5 上の IGRP に再配布するには、router rip コマンドの redistribute static コマンドを使用します。
RIP、IGRP、および EIGRP のデフォルトの動作では、ルーティング プロトコルの network コマンドに接続インターフェイスのサブネットが含まれている場合、直接接続されたルートをアドバタイズします。接続ルートを取得する方法には、次の 2 つがあります。
インターフェイスに IP アドレスとマスクが設定されている場合、これに対応するサブネットが接続ルートであるとみなされます。
スタティック ルートに発信インターフェイスだけが設定されており、IP ネクストホップが設定されていない場合、これも接続ルートであるとみなされます。
Router#conf t Router(config)#ip route 10.0.77.0 255.255.255.0 ethernet 0/0 Router(config)#end Router#show ip route static 10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets S 10.0.77.0 is directly connected, Ethernet0/0
EIGRP、RIP、または IGRP において設定され、このいずれかのタイプの接続ルートを含む(または「カバーする」)network コマンドには、アドバタイズメント用にこのサブネットが含まれます。
たとえば、インターフェイスのアドレスが 10.0.23.1、マスクが 255.255.255.0 の場合は、サブネット 10.0.23.0/24 が接続ルートとなります。network コマンドを次のように設定すると、このサブネットが各プロトコルによってアドバタイズされます。
router rip | igrp # | eigrp # network 10.0.0.0
このスタティック ルート 10.0.77.0/24 も、これらのルーティング プロトコルによってアドバタイズされます。これは接続ルートであり、network コマンドによって「カバー」されているためです。
この問題を回避するためのヒントについては、このドキュメントの再配布に起因する問題の回避を参照してください。
次の出力では、IGRP/EIGRP ルータがスタティック ルート、Open Shortest Path First(OSPF)ルート、RIP ルート、および intermediate system-to-intermediate system(IS-IS)ルートを再配布しています。
router igrp/eigrp 1 network 131.108.0.0 redistribute static redistribute ospf 1 redistribute rip redistribute isis default-metric 10000 100 255 1 1500
IGRP および EIGRP では、他のプロトコルを再配布する場合に 5 つのメトリック(帯域幅、遅延、信頼性、負荷、MTU)が必要となります。次に、IGRP メトリックの例を示します。
測定項目 | 値 |
---|---|
bandwidth | 単位は「キロビット/秒」。イーサネットの場合は 10000。 |
遅延 | 単位は「10 マイクロ秒」。イーサネットの場合は 100 X 10 マイクロ秒 = 1 ミリ秒。 |
信頼性 | 信頼性が 100% の場合は 255。 |
負荷 | 0 ~ 255 の数値で表現される、リンクの有効な負荷(負荷が 100% の場合は 255)。 |
MTU | パスの最小 MTU。通常はイーサネット インターフェイスの最小 MTU(1500 バイト)と同じ。 |
同一のルータ上で、複数の IGRP および EIGRP プロセスを実行し、互いにルートの再配布を行うことができます。たとえば、同一ルータ上で IGRP1 および IGRP2 を実行できます。しかし、同一ルータ上で同一プロトコルのプロセスを 2 つ実行しなければならないことはまれであり、その場合、ルータのメモリおよび CPU 消費量が上昇する可能性があります。
複数の IGRP/EIGRP プロセス間で再配布を行う場合は、メトリックの変換は必要ありません。したがって、再配布においてメトリックを定義する必要も、default-metric コマンドを使用する必要もありません。
再配布されたスタティックルートは、スタティックルートのアドミニストレーティブディスタンスが1であるのに対し、Eigrpサマリールートのアドミニストレーティブディスタンスが5であるため、サマリールートよりも優先されます。これは、Eigrpプロセスでredistribute staticを使用して再配布される。
次の出力では、OSPF ルータがスタティック ルート、RIP ルート、IGRP ルート、EIGRP ルート、および IS-IS ルートを再配布しています。
router ospf 1 network 131.108.0.0 0.0.255.255 area 0 redistribute static metric 200 subnets redistribute rip metric 200 subnets redistribute igrp 1 metric 100 subnets redistribute eigrp 1 metric 100 subnets redistribute isis metric 10 subnets
OSPF のメトリックは「108/リンクの帯域幅」に基づくコスト値であり、単位は「ビット/秒」です。たとえば、イーサネットの OSPF コストは 10 となります(108/107 = 10)。
注:メトリックが指定されていない場合、OSPFはBorder Gateway Protocol(BGP)ルート以外のすべてのプロトコルからルートを再配布するときにデフォルト値の20を設定し、メトリック1を取得します。
再配布するプロトコルのルートに、サブネット化されたメジャー ネットがある場合は、必ずキーワード subnet を使用して、そのプロトコルからのルートを OSPF に再配布する必要があります。このキーワードを指定しなければ、OSPF はルートをサブネット化しないメジャー ネットにしか再配布しません。
同一ルータ上で複数の OSPF プロセスを実行することもできます。しかし、同一プロトコルの複数のプロセスを実行しなければならないことはまれであり、ルータのメモリおよび CPU も消費されます。
複数の OSPF プロセス間でルートを再配布する場合は、メトリックを定義する必要も、default-metric コマンドを使用する必要もありません。
注:このドキュメントの原則は、RIPバージョンIおよびIIに適用されます。
次の出力では、RIP ルータがスタティック ルート、IGRP ルート、EIGRP ルート、OSPF ルート、および IS-IS ルートを再配布しています。
router rip network 131.108.0.0 redistribute static redistribute igrp 1 redistribute eigrp 1 redistribute ospf 1 redistribute isis default-metric 1
RIPメトリックはホップカウントで構成され、有効な最大メトリックは15です。15を超えるものはすべて無限と見なされます。つまり、RIP では 16 を使用することで、無限メトリックを表現できます。プロトコルをRIPに再配布する場合は、1などの低いメトリックを使用することをお勧めします。10などの高いメトリックでは、RIPがさらに制限されます。再配布されたルートにメトリック10を定義する場合、これらのルートは最大5ホップ離れたルータにのみアドバタイズできます。この時点でメトリック(ホップカウント)が15を超えます。メトリック1を定義すると、RIPドメインの最大ホップ数を移動できます。ただし、複数の再配布ポイントがあり、ルータが本来の送信元ではなく、再配布ポイントから、より適切なメトリックに基づくネットワークを学習してしまうと、ルーティング ループの可能性が高まります。詳細については、このドキュメントのアドミニストレーティブ ディスタンスの項を参照してください。つまり、メトリックを高すぎる値に設定すると、すべてのルータにアドバタイズできなくなり、低すぎる値に設定すると、複数の再配布ポイントが存在する場合にルーティング ループを招くので、注意が必要です。
この設定は、RIP のラスト リゾート ゲートウェイを除いたスタティック ルートを、ルートマップを介して再配送する例を示しています。
この例の初期設定:
router rip version 2 network 10.0.0.0 default-information originate no auto-summary ! ip forward-protocol nd ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 10.32.32.3 ip route 10.32.42.211 255.255.255.255 192.192.192.102 ip route 10.98.0.0 255.255.255.0 10.32.32.1 ip route 10.99.0.0 255.255.255.0 10.32.32.1 ip route 10.99.99.0 255.255.255.252 10.32.32.5 ip route 67.129.103.128 255.255.255.240 10.32.31.1 ip route 156.55.231.0 255.255.255.0 10.32.32.5 ip route 172.16.28.0 255.255.252.0 10.32.32.5 ip route 192.168.248.0 255.255.255.0 10.32.32.5 ip route 199.43.0.0 255.255.255.0 10.32.32.5 ip route 204.103.0.0 255.255.255.0 10.32.32.5
これを設定するには、次の手順を実行します。
再配布の必要なすべてのネットワークを照合するためのアクセスリストを作成します。
Router#show access-lists 10 Standard IP access list 10 10 permit 10.32.42.211 20 permit 10.98.0.0, wildcard bits 0.0.0.255 30 permit 10.99.0.0, wildcard bits 0.0.0.255 40 permit 67.129.103.128, wildcard bits 0.0.0.15 50 permit 156.55.231.0, wildcard bits 0.0.0.255 60 permit 172.16.28.0, wildcard bits 0.0.3.255 70 permit 192.168.248.0, wildcard bits 0.0.0.255 80 permit 199.43.0.0, wildcard bits 0.0.0.255 90 permit 204.103.0.0, wildcard bits 0.0.0.255
ルートマップでこのアクセスリストを呼び出します。
Route-map TEST Match ip address 10
ルートマップを使用して RIP で再配布を行い、RIP プロセスから default information originate コマンドを削除します。
Router RIP version 2 network 10.0.0.0 redistribute static route-map TEST no auto-summary
次の出力では、IS-IS ルータがスタティック ルート、RIP ルート、IGRP ルート、EIGRP ルート、および OSPF ルートを再配布しています。
router isis network 49.1234.1111.1111.1111.00 redistribute static redistribute rip metric 20 redistribute igrp 1 metric 20 redistribute eigrp 1 metric 20 redistribute ospf 1 metric 20
IS-ISメトリックは1 ~ 63の範囲で指定する必要があります。IS-ISにはdefault-metricオプションはありません。上の例に示すように、各プロトコルにメトリックを定義する必要があります。IS-IS に再配布するルートにメトリックを指定しないと、デフォルトでメトリック値 0 が使用されます。
直接接続されたネットワークをルーティング プロトコルに再配布することはあまり一般的ではないため、上掲のどの例でも取り扱っていません。ただし、直接的にも間接的にも、この操作自体は実行可能であることは知っておく必要があります。接続ルートを直接再配布するには、redistribute connected ルータ設定コマンドを使用します。この場合も、メトリックを定義する必要があります。この例に示すように、接続ルートをルーティング プロトコルに間接的に再配布することもできます。
この例では、ルータ B には 2 つのファスト イーサネット インターフェイスがあります。FastEthernet 0/0 は 10.1.1.0/24 のネットワーク上に、 また FastEthernet 0/1 は 20.1.1.0/24 のネットワーク上にあります。Router B は、Router A との間で EIGRP、また Router C との間では OSPF を稼動しています。Router B は、EIGRP と OSPF プロセスの間で相互に再配送しています。次に、これに関連するルータ B の設定情報を示します。
ルータ B |
---|
interface FastEthernet0/0 ip address 10.1.1.4 255.255.255.0 interface FastEthernet0/1 ip address 20.1.1.4 255.255.255.0 router eigrp 7 redistribute ospf 7 metric 10000 100 255 1 1500 network 10.1.1.0 0.0.0.255 auto-summary no eigrp log-neighbor-changes ! router ospf 7 log-adjacency-changes redistribute eigrp 7 subnets network 20.1.1.0 0.0.0.255 area 0 |
ルータ B のルーティング テーブルは、次のようになります。
routerB#show ip route Codes: C - connected, S - static, I - IGRP, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set 20.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets C 20.1.1.0 is directly connected, FastEthernet0/1 10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets C 10.1.1.0 is directly connected, FastEthernet0/0
上記の設定とルーティング テーブルでは、次の 3 点に注意します。
ルータ B のルーティング テーブルにおいて、焦点となるネットワークは直接接続されたネットワークとして記述されています。
ネットワーク 10.1.1.0/24 は EIGRP プロセスに属し、ネットワーク 20.1.1.0/24 は OSPF プロセスに属しています。
ルータ B は、EIGRP と OSPF 間で相互に再配布を行っています。
次に、ルータ A とルータ C のルーティング テーブルを示します。
routerA#show ip route Codes: C - connected, S - static, I - IGRP, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, * - candidate default U - per-user static route, o - ODR Gateway of last resort is not set 10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets C 10.1.1.0 is directly connected, FastEthernet0 20.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets D EX 20.1.1.0 [170/284160] via 10.1.1.4, 00:07:26, FastEthernet0 routerC#show ip route Codes: C - connected, S - static, I - IGRP, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set 20.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets C 20.1.1.0 is directly connected, FastEthernet1 O E2 10.1.1.0 [110/20] via 20.1.1.4, 00:07:32, FastEthernet1
ルータ A は EIGRP 経由でネットワーク 20.1.1.0/24 を学習します。このネットワークは OSPF から EIGRP に再配布されているため、外部ルートとして示されています。ルータ C は OSPF 経由でネットワーク 10.1.1.0/24 を学習します。このネットワークは EIGRP から OSPF に再配布されているため、外部ルートとして示されています。ルータ B は接続ネットワークを再配布していませんが、OSPF に再配布された EIGRP プロセスの一部であるネットワーク 10.1.1.0/24 についてアドバタイズしています。同様に、ルータ B は EIGRP に再配布された OSPF プロセスの一部である 20.1.1.0/24 ネットワークをアドバタイズしています。
接続ルートの OSPF への再配布の詳細については、接続ネットワークの OSPF への再配布 を参照してください。
注:デフォルトでは、redistibute bgpコマンドを発行した場合、EBGPで学習した情報だけがIGPに再配信される可能性があります。router bgp コマンドの下位で bgp redistribute-internal コマンドを設定しないかぎり、IBGP ルートは IGP に再配布されません。しかし、IBGP ルートを IGP に再配布する場合は、自律システム内でループを回避するように注意する必要があります。
アドミニストレーティブ ディスタンスの項では、最適化されていないルーティング、ルーティング ループ、低速なコンバージェンスなど、再配布に伴って発生する可能性のある問題について説明しました。このような問題を回避する方法は、ごく単純です。最初にルーティング プロセス X から受け取った情報を、ルーティング プロセス X に再度通知しないことです。
上図のトポロジでは、R2 と R5 は相互に再配布を行っています。次の設定に示すように、RIP は IGRP に再配布され、IGRP は RIP に再配布されます。
R2:
router igrp 7 network 181.16.0.0 redistribute rip metric 1 1 1 1 1 router rip network 178.1.0.0 redistribute igrp 7 metric 2
R5:
router igrp 7 network 181.16.0.0 redistribute rip metric 1 1 1 1 1 router rip network 178.1.0.0 redistribute igrp 7 metric 2
この設定では、上述した各種の問題が発生する可能性があります。次のように、ルーティング更新情報をフィルタ処理することで、これらの問題を回避できます。
R2:
router igrp 7 network 181.16.0.0 redistribute rip metric 1 1 1 1 1 distribute-list 1 in s1 router rip network 178.1.0.0 redistribute igrp 7 metric 2 access-list 1 deny 192.168.1.0 access-list 1 permit any
R5:
router igrp 7 network 181.16.0.0 redistribute rip metric 1 1 1 1 1 distribute-list 1 in s1 router rip network 178.1.0.0 redistribute igrp 7 metric 2 access-list 1 deny 192.168.1.0 access-list 1 permit any
上の例では、設定に追加された配布リストにより、ルータのシリアル 1 インターフェイスに送信されたすべての IGRP 更新情報がフィルタ処理されます。更新情報内のルートがアクセスリスト 1 で許可されると、ルータは更新情報としてこのルートを受け入れます。そうでないルートは拒否されます。この例では各ルータに対し、シリアル 1 インターフェイスから受信した IGRP 更新情報に基づいてネットワーク 192.168.1.0 を学習しないように指示します。したがって、これらのルータがネットワーク 192.168.1.0 について取得しうる知識は、R1 からの RIP 経由の情報のみとなります。
この場合、RIP プロセスには同様のフィルタ処理手法を使用する必要がないことに注意してください。RIP は IGRP よりアドミニストレーティブ ディスタンスが高いためです。IGRP ドメインから送信されたルートが RIP 経由で R2 および R5 に戻ってきても、IGRP ルートのほうが優先されます。
上のトポロジでは、再配布問題を回避するための別の方法が考えられます。これは、場合によってはより好ましい解決方法となります。この方法では、ルートマップを使用して、さまざまなルートにタグを設定します。これにより、ルーティング プロセスではタグに基づいた再配布が行われます。タグに基づく再配布は、RIP バージョン 1 または IGRP では機能しないことに注意してください。
上のトポロジでは、次のような問題が発生する可能性があります。
R1はネットワーク192.168.1.0をR2にアドバタイズし、R2はEIGRPに再配布します。R5はEIGRPを介してネットワークを学習し、RIPv2に再配布します。R5がRIPv2ルートに設定するメトリックによっては、R1を経由する代わりにR5を経由する望ましくないルートをR6が優先することがあります。次の設定では、タグを設定し、このタグに基づいて再配布を行うことで、このような問題を回避します。
R2:
router eigrp 7 network 181.16.0.0 redistribute rip route-map rip_to_eigrp metric 1 1 1 1 1 !--- Redistributes RIP routes that are !--- permitted by the route-map rip_to_eigrp router rip version 2 network 178.1.0.0 redistribute eigrp 7 route-map eigrp_to_rip metric 2 !--- Redistributes EIGRP routes and set the tags !--- according to the eigrp_to_rip route-map route-map rip_to_eigrp deny 10 match tag 88 !--- Route-map statement to deny any routes that have a tag of "88" !--- from being redistributed into EIGRP !--- Notice the routes tagged with "88" should be the EIGRP !--- routes that are redistributed into RIPv2 route-map rip_to_eigrp permit 20 set tag 77 !--- Route-map statement to set the tag !--- on RIPv2 routes redistributed into EIGRP to "77" route-map eigrp_to_rip deny 10 match tag 77 !--- Route-map statement to deny any routes that have a !--- tag of "77" from being redistributed into RIPv2 !--- Notice the routes tagged with "77" should be the RIPv2 !--- routes that are redistributed into EIGRP route-map eigrp_to_rip permit 20 set tag 88 !--- Route-map statement to set the tag on EIGRP !--- routes redistributed into RIPv2 to "88"
R5:
router eigrp 7 network 181.16.0.0 redistribute rip route-map rip_to_eigrp metric 1 1 1 1 1 !--- Redistributes RIPv2 routes that are permitted !--- by the route-map rip_to_eigrp router rip version 2 network 178.1.0.0 redistribute eigrp 7 route-map eigrp_to_rip metric 2 !--- Redistributes EIGRP routes and sets the tags !--- according to the eigrp_to_rip route-map route-map rip_to_eigrp deny 10 match tag 88 !--- Route-map statement to deny any routes that have a tag !--- of "88" from being redistributed into EIGRP !--- Notice the routes tagged with "88" should be the EIGRP routes !--- that are redistributed into RIPv2 route-map rip_to_eigrp permit 20 set tag 77 !--- Route-map statement to set the tag on rip routes !--- redistributed into EIGRP to "77" route-map eigrp_to_rip deny 10 match tag 77 !--- Route-map statement to deny any routes that have a tag !--- of "77" from being redistributed into RIPv2 !--- Notice the routes tagged with "77" should be the RIPv2 routes !--- that are redistributed into EIGRP route-map eigrp_to_rip permit 20 set tag 88 !--- Route-map statement to set the tag on EIGRP routes !--- redistributed into RIPv2 to "88"
上の設定を実行すると、ルーティング テーブル内に、タグの設定されたいくつかのルートを確認できます。次に、R3 および R1 の特定ルートに対する show ip route コマンドの出力例を示します。
R3#show ip route 178.1.10.8 Routing entry for 178.1.10.8/30 Known via "eigrp 7", distance 170, metric 2560512256 Tag 77, type external Redistributing via eigrp 7 Last update from 181.16.2.10 on Serial0, 00:07:22 ago Routing Descriptor Blocks: * 181.16.2.10, from 181.16.2.10, 00:07:22 ago, via Serial0 Route metric is 2560512256, traffic share count is 1 Total delay is 20010 microseconds, minimum bandwidth is 1 Kbit Reliability 1/255, minimum MTU 1 bytes Loading 1/255, Hops 1 R1#show ip route 181.16.2.4 Routing entry for 181.16.0.0/16 Known via "rip", distance 120, metric 2 Tag 88 Redistributing via rip Last update from 178.1.10.5 on Serial0, 00:00:15 ago Routing Descriptor Blocks: * 178.1.10.5, from 178.1.10.5, 00:00:15 ago, via Serial0 Route metric is 2, traffic share count is 1
EIGRP では、5 種類の変数を使用してメトリックを計算しています。しかし、再配布ルートにはこれらのパラメータがないため、各ルートが均一に設定されません。ベスト プラクティスとして、ルートの再配布時にデフォルト メトリックを設定することを推奨します。デフォルト メトリックを設定することで、EIGRP のパフォーマンスが向上します。EIGRP にデフォルト値を設定するには、次のコマンドを使用します。
Router(config-router)#default-metric 10000 100 255 100 1500
同一ルーティング プロトコルの異なるプロセス間で、再配布が行われることもあります。次の設定は、同一ルータまたは複数のルータ上で実行される 2 つの EIGRP プロセスの再配布に使用される、再配布ポリシーの例を示します。
router eigrp 3 redistribute eigrp 5 route-map to_eigrp_3 default-metric 10000 100 255 1 1500 !--- Redistributes EIGRP 5 into EIGRP 3, setting the tags !--- according to the route map "to_eigrp_3" router eigrp 5 redistribute eigrp 3 route-map to_eigrp_5 default-metric 10000 100 255 1 1500 !--- Redistributes EIGRP 3 into EIGRP 5 !--- Routes with tag 33 will not be redistributed !--- due to route map "to_eigrp_5" !--- Though the default-metric command is not required !--- when redistributing between different EIGRP processes, !--- you can use it optionally as shown above to advertise !--- the routes with specific values for calculating the metric. route-map to_eigrp_3 deny 10 match tag 55 !--- Route-map statement used to deny any routes that have a tag !--- of "55" from being redistributed into EIGRP 3 !--- Notice the routes tagged with "55" should be the EIGRP 3 routes !--- that are redistributed into EIGRP 5 route-map to_eigrp_3 permit 20 set tag 33 !--- Route-map statement used to set the tag on routes !--- redistributed from EIGRP 5 to EIGRP 3 to "33" route-map to_eigrp_5 deny 10 match tag 33 !--- Route-map statement used to deny any routes that have a tag !--- of "33" from being redistributed into EIGRP 5 !--- Notice the routes tagged with "33" should be the EIGRP 5 routes !--- that are redistributed into EIGRP 3 route-map to_eigrp_5 permit 20 set tag 55 !--- Route-map statement used to set the tag on routes !--- redistributed from EIGRP 3 to EIGRP 5 to "55"
これらは、このドキュメントの目的に沿って使用されるフィルタリング方法のごく一部の例にすぎません。この他にもいくつかの方法を使用できます。詳細については、IP ルーティング プロトコル非依存の各機能の設定ガイド で、ルーティング情報のフィルタリングについての項を参照してください。
例として、2 つのルータがあるとします。1 つは BGP プロトコルを実行するハイエンド ルータであり、もう 1 つは RIP プロトコルを実行するローエンド ルータです。BGP ルートを RIP に再配布すると、一部のパケットが消失する可能性があります。
一般に、BGP から RIP プロトコルへの再配布は推奨されません。iBGP、OSPF、EIGRP などのプロトコルはスケーラブルであり、幅広い種類のオプションを使用できます。
このように、BGP から RIP への再配布によって一部のパケットが消失した場合は、RIP プロセスで次のコマンドを設定する必要があります。
Router(Config)#router rip
Router(Config-router)# input-queue 1024
注:高速で送信するハイエンドルータが低速ルータに存在し、高速で受信できない可能性がある場合は、input-queueコマンドの使用を検討してください。このコマンドを設定することで、ルーティング テーブルから情報が失われることを防止できます。
この例では、スタティック ルートを RIP ルーティング プロトコルに再配布します。このトポロジでは、3 つのルータ(R1、R2、R3)があります。R1とR2のインターフェイスFast Ethernet 0/0にはRIPが設定されています。R1には、ルータR3のLo 0インターフェイス(ipアドレス3.3.3.3/32)に到達するためのスタティックルートがあります。このスタティックルートはRIPルーティングプロトコルで再配布されます。ルータ R3 には、デフォルト ルート R3# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 FastEthernet 0/0 が設定されています。
R1(config)# ip route 3.3.3.3 255.255.255.255 10.13.13.3 R1(config)# router rip R1(config-router) redistribute static metric 10
ルータ R2 では、show ip route コマンドを使用してルート 3.3.3.3 を確認できます。
R2#show ip route Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2 ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route o - ODR, P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set C 192.12.12.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0 3.0.0.0/32 is subnetted, 1 subnets R 3.3.3.3 [120/10] via 192.12.12.1, 00:00:07, FastEthernet0/0
単一のスタティック ルートを再配布するには、route-map を使用して、再配布する必要のあるスタティック ルートを選択します。
Router(config)#access-list 1 permitRouter(config)#route-map permit 10 Router(config-route-map)#match ip address access list number Router(config)#router eigrp Router(config-router)#redistribute static route-map metric
改定 | 発行日付 | コメント |
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1.0 |
22-Mar-2012 |
初版 |