内容

概要

このドキュメントでは、新しい cable modem max-cpe n コマンドとデータオーバーケーブル サービス インターフェイス仕様(DOCSIS)のコンフィギュレーション ファイルで指定された MAX-CPE パラメータの関係について説明します。DOCSIS コンフィギュレーション ファイルは、ケーブル モデムに読み込まれ、Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.1(2)EC1 以降が動作している uBR7200 シリーズでコード化できます。

はじめに

表記法

ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

前提条件

次の項目に関する知識があることが推奨されます。

使用するコンポーネント

このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。

このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。

背景説明

ケーブルのお客様からは、ケーブル モデムのコンフィギュレーション ファイルの値ではホストの数を制限しても、Cable Modem Termination System(CMTS; ケーブル モデム終端システム)に対して、ケーブル モデムに接続できる CPE の数を増やしたいという要望があります。ケーブルモデムに接続する CPE を増やす変更は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(9.5)SC および Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(1.0.3)EC1 IOS トレインの CSCdp52029(登録ユーザ専用)から組み込まれています。

この要望の理由としては、ケーブル モデムでは、割り当てられた CPE の数を CMTS カウントで同時に保持できないことがあります。ケーブル モデムの初期化の際、MAX_CPE と CMTS で同期が取られるのは、登録要求フローの中で MAX-CPE カウントが CMTS に送られるときだけです。

ケーブル モデムがリロードされる場合、割り当てられた CPE のカウントをゼロにすると通知する CMTS へのフローは発生しません。しかし、ケーブル モデムはゼロから再スタートします。ケーブル モデムの背後にある新規の CPE から、オンラインになる要求があった場合、ケーブル モデムの MAX-CPE カウントが今はゼロであるため、これを許可します。ただし、MAX-CPE カウントの値がゼロでない CMTS の場合は、この要求に応えることができず、CMTS 上に次のメッセージが表示されます。

 
%UBR7200-5-MAXHOST: New host with IP address x.x.x.x 
 and MAC yyyy.yyyy.yyyy on SID 3 (CM zzzz.zzzz.zzzz) is ignored.

これは、指定しない場合、DOCSISコンフィギュレーションファイルのデフォルトのMAX-CPEエントリが1に設定されることによって強化されます。

1 つの例として、MAX-CPE カウントの値が 1 である CMTS への登録要求を出しているケーブル モデムの場合があります。ケーブルのお客様からは、ケーブル モデムの電源をオフ/オンすることによって、設置作業者のラップトップをケーブル モデムからはずして、エンド ユーザの PC をケーブル モデムの接続に復帰する機能が望まれています。失敗の原因を次に示します。リロード後、ケーブルモデムのMAX-CPEカウントはゼロに設定されます。ただし、CMTSはインストーラのラップトップのエントリを記憶し続け、このエントリはMAX-CPEのカウントと同じです。

clear cable host x.x.x.xコマンドを発行して回避策を使用できます。ここで、x.x.x.xは、CMTSでクリアするホストのIPアドレスまたはMACアドレスのいずれかと同じです。しかし、この回避策は、ケーブルのお客様にはあまり知られていません。

実装

CMTS に新しい設定コマンドが追加されました。モデムごとに許可されるホストの最大数(ケーブルモデム設定ファイルのMAX-CPE値を上書き)を指定するには、ケーブルインターフェイスコンフィギュレーションモードでcable modem max-cpe nコマンドを発行します。 nは1 ~ 255です。

CMTS により、ケーブル モデムに接続されるホストの数が最大 <n> まで有効になります。unlimitedに設定した場合、またはnがケーブルモデムの設定ファイルのMAX-CPE値より大きい場合は、このコマンドによって設定ファイルの値が上書きされます。DHCP サーバにより、1 台のケーブル モデムの背後にあるホストに割り当てられた IP アドレスの数が制御されます。

ケーブル モデムの設定ファイルで <n> より多い数のホスト数が指定されていた場合は、設定ファイルの設定が優先されます。アクティブなホストの数の制御は、ケーブル モデムに依存します。

cable modem max-cpe unlimitedコマンドを発行すると、CMTSは1台のケーブルモデムに接続されているCPEの数に制限を適用しません。無制限に設定することで、CPE の最大数の管理はケーブル モデムに任され、1 台のケーブル モデムの背後にある CPE に割り当てられる IP アドレスの数の管理は DHCP サーバに任されます。

caution.gif 注意:cable modem max-cpe unlimitedコマンドを使用すると、注意を払わずに使用すると、サービス拒否攻撃を有効にすることでシステムにセキュリティホールが開く可能性があります。具体的には、ユーザが大量の IP アドレスを取得できるようになるため、1 人のユーザによって有効な IP アドレスがすべて予約されてしまい、ネットワーク全体が停止することがあります。このため、cable modem max-cpe unlimited コマンドを有効にする場合、1 台のケーブル モデムの背後にある CPE に割り当てる IP アドレスの数を、DHCP サーバで厳しく管理することを推奨します。

no cable modem max-cpe コマンドを実行すると、デフォルト設定が有効になります。設定ファイルにある max-cpe の値は、1 台のケーブル モデムに接続される CPE の数を、CMTS によって制限するために使用されます。

show cable modem detailコマンドは、ケーブルモデムのDOCSISコンフィギュレーションファイルに設定されているMAX-CPE値と、可能であればcable modem max-cpe nが発行されたときに設定された値を表示します。

次のサンプル ログ出力を参照してください。ここでは、MAX-CPE が 4 になるように CMTS を設定し、その後 unlimited に設定しています。

test-cmts#show cable modem detail 
Interface ...... SID MAC address .... Max CPE Concatenation Rx SNR
Cable4/0/U0 1 .... 0001.9659.47bb 1 ............. yes ................ 37.37
Cable4/0/U0 2 .... 0001.9659.47ab 1 ............. yes ................ 33.70
Cable4/0/U0 3 .... 0001.9659.47bf .1 ............. yes ................ 30.67
Cable4/0/U0 4 .... 0001.9659.3ef7 .1 ............. yes ................ 28.84
Cable4/0/U0 5 .... 0001.9659.47eb 1 ............. yes ................ 30.89

test-cmts#conf t
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
test-cmts(config)#cable modem max-cpe ?
<1-255> Number
unlimited Max CPE not enforced

test-cmts(config)#cable modem max-cpe 4
test-cmts(config)#end
test-cmts#
00:05:11: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console


test-cmts#show cable modem detail
Interface ...... SID MAC address .... Max CPE Concatenation Rx SNR
Cable4/0/U0 1 .... 0001.9659.47bb 1 (4) .........yes ................37.00
Cable4/0/U0 2 .... 0001.9659.47ab 1 (4) ........ yes ................33.54
Cable4/0/U0 3 .... 0001.9659.47bf .1 (4) ........ yes ................30.70
Cable4/0/U0 4 .... 0001.9659.3ef7 .1 (4) ........ yes ................ 29.00
Cable4/0/U0 5 .... 0001.9659.47eb 1 (4) ........ yes ................ 30.92

test-cmts#conf t
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
test-cmts(config)#cable modem max
test-cmts(config)#cable modem max-cpe ?
<1-255> Number
unlimited Max CPE not enforced

test-cmts(config)#cable modem max-cpe unli
test-cmts(config)#cable modem max-cpe unlimited 
test-cmts(config)#^Z 
test-cmts#
00:06:06: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console


test-cmts#show cable modem detail
Interface ...... SID MAC address .... Max CPE Concatenation Rx SNR
Cable4/0/U0 1 .... 0001.9659.47bb 1 (ul) .........yes ............... 36.64
Cable4/0/U0 2 .... 0001.9659.47ab 1 (ul) ........ yes ............... 33.26
Cable4/0/U0 3 .... 0001.9659.47bf. 1 (ul) ....... .yes ............... 30.73
Cable4/0/U0 4 .... 0001.9659.3ef7 .1 (ul) ...... . yes ............... 29.15
Cable4/0/U0 5 .... 0001.9659.47eb 1 (ul) ...... . yes ............... 30.95

test-cmts#wr t
Building configuration...

Current configuration:
!
version 12.1
service timestamps debug uptime
service timestamps log uptime
no service password-encryption
!
hostname test-cmts
!
boot system flash ubr7200-ist-mz.121-2.EC1
no logging buffered
!
cable modem max-cpe 4
ip subnet-zero 
!
interface FastEthernet0/0
ip address 10.200.68.4 255.255.255.0
half-duplex
!
interface Cable4/0
ip address 10.200.69.49 255.255.255.240 secondary
ip address 10.200.69.33 255.255.255.240
ip accounting precedence input
ip accounting precedence output
no keepalive
cable max-hosts 10
cable downstream annex B
cable downstream modulation 64qam
cable downstream interleave-depth 32
cable upstream 0 frequency 20000000
cable upstream 0 power-level 0
cable upstream 0 rate-limit
no cable upstream 0 shutdown
cable upstream 1 shutdown
cable upstream 2 shutdown
cable upstream 3 shutdown
cable upstream 4 shutdown
cable upstream 5 frequency 20000000
cable upstream 5 power-level 0
cable upstream 5 rate-limit
cable upstream 5 shutdown
cable dhcp-giaddr policycable
helper-addrress 10.200.68.11
! 
router rip
network 10.0.0.0
!
ip classless
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 10.200.68.1
ip route 10.200.32.0 255.255.224.0 10.200.68.2
no ip http server
!
line con 0
exec-timeout 0 0
password ww
login
transport input none
line aux 0
line vty 0 4
password ww
login
!
end

test-cmts#

注:CMTSは指定された数のホストをケーブルモデム経由で許可しますが、ケーブルモデム自体は、DOCSISコンフィギュレーションファイルで許可されるCPEの数だけを許可するように制限されます。

関連情報