エグゼクティブ サマリー
これまで以上に、将来は不確実です。世界は変化しました。後戻りすることはありません。
しかし、人生は続きます。そして、そこにデジタルエクスペリエンスがあることだけは確実です。
子供たちは、数週間でリモート学習やハイブリッド学習に移行しました。世界各国の政府は、会合や法案制定を仮想的に実行するようになりました。遠隔医療の導入も大きく進展しました。そして、あらゆる場所からリモートで仕事をすることが、事実上、標準になっています。
今日のユーザは、スムーズなデジタルエクスペリエンスを求めています。これに対応して、企業や組織では、デジタルトランスフォーメーションの迅速化とデジタルファーストモデルの採用の優先順位を高め、それらに注力しています。
デジタルエクスペリエンスを強化するテクノロジーの最適化は、容易ではない場合があります。ユーザは、あらゆる場所から、あらゆるデバイスを使用してアプリケーションにアクセスします。コロナ禍により、ビジネスとテクノロジーを取り巻く状況は加速度的に進化しています。加えて、このますます複雑化する環境のどこかで問題が発生すると、その結果は深刻になる可能性があります。ユーザは、デジタルエクスペリエンスへの依存度を高めるだけでなく、パフォーマンスの低下にも耐えられなくなりつつあります。
これらの動向は企業や組織で常態化しています。それらの企業や組織に対してコロナ禍のために重要性が「高まった」または「大幅に高まった」目標を問う調査では、次のような結果が出ました。
クラウドとインターネットがそれぞれ新しいデータセンターとネットワークになるにつれて、企業や組織がその環境に対して持つ可視性と制御性は低下しています。一方で、死角の数とパフォーマンスに悪影響を与える可能性は増大しています。
多くの企業や組織では、運用環境が複数に分断され、孤立することによって発生する問題と格闘しており、その状況は、コロナ禍のために悪化の一途をたどっています。各ビジネスユニット間でのシームレスなコラボレーションを維持できている企業や組織は、コロナ禍により 20% 減少しました。市場の変化や顧客のニーズの変化を予測して迅速に対応できている企業や組織は、18% 減少しました。1
ツールを組み合わせてアプリケーション、インフラストラクチャ、ネットワークを個別にモニタするという従来の方法では、もはや不十分です。デジタルエクスペリエンスと次世代アーキテクチャは、モニタリングを、デジタル ビジネス アプリケーションおよびエクスペリエンスに関する洞察を提供するプロセスへと進化させることを要求しています。このプロセスは「オブザーバビリティ」と呼ばれます。
ただし、オブザーバビリティは、説明することは簡単であっても完全に実現することは難しい場合があります。真のオブザーバビリティとは、サイロ化された環境を統合した先に実現されるものだからです。それには、デジタルエクスペリエンスに関わる複数の分散したシステムの間での相互作用と相互依存性を理解する必要があります。また、チームとビジネスコンテキストの統合を支援して、パフォーマンスに関する問題の根本原因の特定、潜在的なビジネスへの影響に基づく修正の優先順位付け、およびアクションの実行を迅速化させる必要があります。そして、それらのすべてを可視化する必要があります。
オブザーバビリティは、CIO などの経営幹部とそのチーム、つまり AppOps、SecOps、InfraOps、NetOps を統合して「すべてを可視化」し、各レイヤ、レイヤ間、および IT とビジネスの間において、デジタルエクスペリエンスに関する実用的洞察を得ることを可能にします。
Cisco Connected IT Insights は、このレベルのオブザーバビリティによって明らかになる組織の重要な優先項目を示します。それらは、次のとおりです。
以下に概要をまとめます。
24 時間体制のリモートワークへの劇的な変化と一般生活におけるシャットダウンにより、時間、場所、デバイスを問わないデジタルエクスペリエンスやアプリケーションのパフォーマンスへの依存度が高まりました。これらのエクスペリエンスの根底にある状況の拡大と進化は、「死角」を生み出し、その一部が明らかになりました。死角とは、エクスペリエンスに悪影響を与える可能性が非常に高いものの企業や組織がほとんど可視化または制御できない領域です。
コロナ禍の世界的な影響はすべての人が感じていますが、それに対する反応がすべて同じというわけではありません。リモートワーカーは劇的に増加しましたが、すべての業界間で一様ではありません。アプリケーションや環境のタイプによって増加するニーズに違いが見られました。また、セキュリティ攻撃が増加し、攻撃の種類や標的も変化しました。
突き詰めると、問題の根本原因の特定とアクションの実行にかかる時間を短縮することが最重要目標になります。しかし、デジタルエクスペリエンスの依存度、複雑さ、変動性が高まっていることから、パフォーマンスに関する問題が多岐にわたり、企業や組織は簡単に圧倒される可能性があります。これを回避するための鍵は、関連するすべての領域で十分な可視性を実現し、パターンの識別を開始することです。その良い例が、業界別のリモートワーカーの要件、アプリケーションの異常、サイバー脅威のパターンです。ビジネスへの影響度に基づいて問題とアクションに優先順位を付けるには、コンテキストも重要です。
先進的な運用組織は、これを認識しています。これらの組織は、可視性が高まるほど問題解決の可能性が高まることを理解しています。問題解決の可能性が高まると、自動化の可能性も高まります。そして、自動化の可能性が高まるほど、組織全体の復元力と俊敏性も向上します。 これらの組織では、データの品質が IT 運用の最重要目標として特定されており、今後 12 ヵ月以内に自動化テクノロジーへの投資を増やすことが計画されています。その理由は、自動化によって KPI の改善が期待されることです。先進的な運用組織に対して、自動化の取り組みによって大きく改善された KPI を問う調査では、次のような結果が出ました。
利用可能なあらゆる種類のデータとデジタルエクスペリエンス全体にわたるオブザーバビリティにより、最も重要な関係者である従業員および顧客との関係を改善することが可能になります。変化に直面してから対処するのではなく、先んじてアクションを起こすことが重要です。現在の回復の段階を抜け出し、より強く、繁栄する組織を構築してください。
詳細については、 Cisco Connected IT Insights のエクスペリエンスをご確認ください。