Citrix XenDesktop と Citrix Provisioning Services を使用した仮想デスクトップ インフラストラクチャ用の Cisco HyperFlex HX220c M4 ノード
このホワイト ペーパーでは、1000 台の Citrix XenDesktop 7.8 プール仮想デスクトップを使用した Cisco HyperFlex Systems™ ハイパーコンバージド ソリューションについて説明します。
Cisco HyperFlex HX シリーズ ハードウェア
Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム
Citrix XenDesktop 7.8 と Citrix Provisioning Services 7.8
Citrix XenApp と XenDesktop 7.8
Citrix Provisioning Services 7.8
Citrix XenApp 管理者とその他のサーバ ファーム管理者にもたらされるメリット
Citrix Provisioning Services ソリューション
Citrix Provisioning Services インフラストラクチャ
Cisco UCS Manager での QoS のセットアップ
Cisco UCS Manager でのネットワークのセットアップ
エグゼクティブ サマリー
アプリケーション ワークロードに合うシンプルで効率的な IT プラットフォームの不足が、ビジネス運営のコスト増加につながっています。Cisco HyperFlex Systems™ は、このニーズに対応すると同時に、柔軟性と一貫した管理機能を提供します。
Cisco HyperFlex™ プラットフォームは、デスクトップの仮想化に必要なコンピューティング、ストレージ、およびネットワーク インフラストラクチャの導入にかかる時間を 2 時間以内に抑えます。通常 2 週間を要する一部のコンバージド システムに比べて、これは桁違いの速さです。
Citrix XenDesktop と XenApp は、単純なタスク ワーカー環境から最も要求が厳しいリモート グラフィックス ワークステーションまで、あらゆるユース ケースでの顧客ニーズを満たすデスクトップおよびアプリケーション仮想化ソリューションを提供します。アプリケーションおよびデスクトップ配信のすべての方式は 1 つのプラットフォームから素早く導入することができます。Citrix ソリューションは、標準的な Microsoft Windows アプリケーションやデスクトップの導入に代わる、よりセキュアで安価な代替手段を IT に提供しながら、どこでも任意のデバイスからモバイル ワークスペースにアクセスできる手軽さをユーザに提供します。
Citrix XenDesktop を仮想デスクトップ インフラストラクチャ(VDI)用のブローカーとして使用している場合は、Citrix Provisioning Services(PVS)をプールされた非永続型 Microsoft Windows 仮想 Citrix XenDesktop マシンと仮想 Citrix XenApp サーバ用に使用することをお勧めします。PVS を使用すれば、IT は複数のマシンがブート可能なゴールデン Windows OS イメージを使用することで、仮想または物理マシンのイメージ管理を簡素化できます。この単一イメージ OS 配信プラットフォームにより、オンラインになると即座に新しいコンピューティングを利用することができます。
本書で報告されている通り、500 台を超える導入では、Citrix PVS が最適なブート時間とエンドユーザ エクスペリエンスを提供することがわかりました。
Cisco HyperFlex プラットフォームでの Citrix XenDesktop のパフォーマンスは、競合他社のハイパーコンバージド プラットフォームと比較して 2.5 倍もの速さの Login VSI 応答時間を実現し、業界をリードする基準を確立しています。[1]この調査で実施されたテストでは、Login VSI でのエンド ユーザ応答時間の平均指数は、負荷をかけた 1000 ユーザのクラスタで 1.02 秒以下でした。
ここでは、現在の IT インフラストラクチャの課題を明確にし、解決策とそのメリットの概要を示します。
本書では、最大 1000 台の Citrix XenDesktop 仮想デスクトップ用の 8 つの Cisco HyperFlex HX220c M4 ノードで構成された仮想ソリューション プラットフォームについて説明します。また、テストで使用したソリューション プラットフォームと同様の構築で設計およびサイジングするガイドラインを示します。本書は、ソリューションのすべての側面を網羅した総合ガイドではありません。
Cisco HyperFlex Systems は、Cisco Unified Computing System™(Cisco UCS®)プラットフォーム上に構築されています。また、より迅速な導入、そしてより優れた柔軟性と効率性を魅力的な価格で提供しながら、お客様のリスクも軽減します。ソフトウェアデファインド ストレージ(SDS)プラットフォームには、シスコの実績あるコンポーネントが統合されています。このアプローチは、お客様のワークロード ニーズを満たすためのカスタマイズを可能にしながら、計画立案や構成に関する決定の必要性を排除または低減します。採用されたプラットフォームと管理モデルは、確立された Cisco UCS データセンター戦略を発展させたもので、Cisco UCS Manager を使用したポリシーベースのフレームワークを通して一貫した方法で管理される使い慣れたコンポーネントで構成されています。
多くの事業において、初期の成功と継続的な競争力の維持には、効率の高い IT インフラストラクチャが不可欠です。IT の効率性は、事業の資本コストと運用コストで示すことができます。ビジネスにおける運用コストの主な要素には、人材と購入した IT リソースの利用という 2 つが含まれます。
これらの運用コストに関係する根本的な課題は次のとおりです。
● 複雑さ:複雑なシステムは、導入に時間がかかるうえ、高度なスキルを持つ技術スタッフ メンバーを多数必要とします。インフラストラクチャの運用維持に必要なさまざまなテクノロジーやツール、また、この複雑な環境により業務が標準化されないことが、障害率に直接影響し、企業にさらなるコスト増を強いることになります。
● 未使用のリソース:仮想化したとしても、IT リソースの活用が最適化されるわけではありません。ビジネス要件や、ワークロードが必要とするコンピューティング/ストレージ ニーズは、常に変化し、社内のコンピューティング リソースとストレージ リソースの未使用化につながる可能性があります。このリソースのムダを避ける方法の 1 つが、コンピューティング リソースとストレージ リソースを個別に拡張できる柔軟性をアーキテクチャに取り入れることです。
IT インフラストラクチャに存在する個々の管理要素を統合することで管理の簡素化を図る取り組みも行われましたが、これには限られた改善しか見られませんでした。このような要因や資本化された IT リソースの短い減価償却サイクルを考えると、必要な使用率レベルに達するには、よりシンプルでより正確に制御されたコンポーネントが必要であることがわかります。
Cisco HyperFlex ソリューションは、導入と運用の簡素化に重点が置かれています。このソリューションで実現されるハイパーコンバージド プラットフォームには、小規模からスタートして段階的に増強できるという利点があります。SAN とネットワークアタッチド ストレージ(NAS)のどちらかの方式でコンピューティング リソースに接続された、高価なストレージ デバイスを使用する必要はありません。基本的なクラスタには、Cisco UCS Manager によって管理される 3 つのハイパーコンバージド ノードが必要です。さらに、Cisco HyperFlex クラスタは、コンピューティング リソースとストレージ リソースを増やすことができ、ワークロードのニーズに合わせた柔軟なスケーリングが可能です。ハイパーコンバージド ノードとして動作する Cisco HyperFlex HX240c M4 ノードのセットに、コンピューティング専用ノードとなる Cisco UCS B200 M4 ブレード サーバを接続してクラスタを構成することによって、柔軟性を実現します。このシナリオでは、ハイパーコンバージド ノードが Cisco UCS B200 M4 コンピューティング専用ノードにストレージを提供します。この機能により、ストレージ容量とコンピューティング容量を個別に追加し、クラスタ リソースのレベルを最適化できます。
また、Cisco HyperFlex ソリューションは、シン プロビジョニング、データ重複除去、圧縮などのストレージ効率性機能により、キャパシティとパフォーマンスを向上させます。さらに、クローニングやスナップショットなどの機能を通して、運用効率を高めることができます。
このソリューションは、Cisco HyperFlex HX220c M4 ノード、Cisco UCS ファブリック インターコネクト、Cisco UCS Manager、Cisco Nexus® 9372 プラットフォーム スイッチ、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム(SDS)ソフトウェア、および Citrix XenDesktop Version 7.8 と VMware ESXi 6.0 Update 1b ハイパーバイザを使用しています。HX220c M4 ノードは、コンピューティング リソース、キャッシュ リソース、およびストレージ リソースを提供し、すべてが Cisco UCS Manager によって集中管理されます。HX データ プラットフォーム ソフトウェアは、さまざまなワークロードによる利用に対応するために、コンピューティング リソースおよびネットワーキング リソースと、ストレージ リソースの共有プールを、別々の Cisco HyperFlex HX シリーズ ノードから供給します。この SDS プラットフォームは VMware vSphere Web クライアント プラグインによって管理されます。
このソリューションは、次のようなメリットをお客様に提供します。
● シンプル:このソリューションは、使い慣れたツールや方式を使用して、簡単かつ迅速に導入して管理できるように設計されています。Cisco HyperFlex ソリューションのために、管理コンソールを別に用意する必要はありません。
● 一元化されたハードウェア管理:クラスタ ハードウェアは、Cisco UCS Manager のサービス プロファイルによって一貫した方法で管理されます。Cisco UCS Manager は、単一点コンソールおよびファームウェア管理機能も提供します。Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム(SDS)クラスタは、VMware vCenter のプラグインによって管理されます。
● 高可用性:コンポーネントの冗長性がノードのほとんどのレベルに組み込まれています。ノード、ネットワーク、およびファブリック インターコネクトの障害に対するクラスタレベルの耐久性も実装されています。
● 効率性:ストレージのオーバープロビジョニングに関連した問題に対応する、シン プロビジョニング、データ重複除去、圧縮、クローニング、スナップショットなどの機能により、さらに効率性の高い管理が実現します。
● 柔軟性 -「成長に合わせた投資」:お客様は、コンピューティングとストレージを必要な量のみ購入し、サポートされているクラスタ ノードの上限まで 1 ノードずつ拡張することができます。
● モバイル ワークスペース ソリューション:Citrix XenDesktop は、1 つのコンソールで管理可能な、クラス最高のデスクトップおよびアプリケーション仮想化ソリューションを提供し、デバイスも場所も時間も問わないユーザ アクセスを実現します。
Cisco® 製品とテクノロジーにすでに投資しているお客様は、使い慣れたテスト済みの Cisco UCS テクノロジーを導入することにより、さらにリスクを軽減することが可能になります。
Cisco HyperFlex クラスタは、コンピューティング ノードとハイパーコンバージド ノードを含む混合構成の場合を除き、同様に設定された 3 ~ 8 つのノードで構成できます。ベスト プラクティスは、N+1 の復元力を備えた高可用性クラスタを構築することです。つまり、メンテナンス モードや障害状態になったときに、クラスタが 1 つのノードがダウンしてもすべての仮想マシンを維持できるようにします。このソリューションには、クラスタあたり少なくとも 4 つのコンバージド ノードが必要です。コンバージド ノードでは、Cisco HyperFlex HX220c M4 ノードなど 1 つのユニットに、処理レイヤ、キャッシュ レイヤ、およびキャパシティ レイヤが存在しています。
各ノードには、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームのハウスキーピングとログに使用されるソリッドステート ディスク(SSD)ドライブと、書き込みログおよび読み取り/書き込みデータのキャッシュに使用されるより大容量の高耐久性 SSD ドライブが搭載されています。また、1.2 TB、10,000 rpm、12 Gbps の SAS ハード ディスク ドライブ(HDD)6 台のストレージ容量が提供されます。Cisco HyperFlex HX シリーズ ノードは、フォールトトレラントで低遅延の Cisco UCS ファブリック インターコネクトのペアでホストされた Cisco UCS Manager によって管理されます。
ネットワーク層は、10 Gbps の帯域幅の任意のスイッチのペアにすることができます。ここでは、スタンドアロン モードの Cisco Nexus 9372 プラットフォーム スイッチのペアが既存のネットワークへの接続に使用されています。使用されるハイパーバイザは、VMware ESXi 6.0 U1B です。
表 1 に、Cisco HyperFlex クラスタで使用される主要コンポーネントと、テストに使用したバージョンを示します。
表 1. Cisco HyperFlex クラスタの主要コンポーネント
レイヤ |
デバイス |
イメージ |
コンピューティング |
Cisco HyperFlex HX220c M4 ノード Cisco UCS 6248UP 48 ポート ファブリック インターコネクト |
– リリース 2.2(6f) |
ネットワーク |
Cisco Nexus 9372 プラットフォーム スイッチ |
リリース 6.1(2)I3(1) |
ストレージ |
SSD:120 GB の SSD ドライブ X 1 台および 480 GB の SSD ドライブ X 1 台 HDD:1.2 TB の HDD X 6 台 |
– – |
ソフトウェア |
VMware vSphere ESXi VMware vCenter Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム |
リリース 6.0 U1B リリース 6.0 U1B リリース 1.7.1 |
ソリューション アーキテクチャの説明では、これらのコンポーネントがどのように統合され、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームを構成しているかについて詳しく解説します。
Cisco HyperFlex HX シリーズ ハードウェア
Cisco HyperFlex HX220c M4 ノードは、Cisco HyperFlex ソフトウェア定義インフラストラクチャの設計に不可欠なコンポーネントです。また、このノードは、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームの SDS 機能と Cisco UCS C220 M4 ラック サーバを統合します。その結果、Cisco HyperFlex HX シリーズ ノードが、Cisco UCS 6248UP ファブリック インターコネクトのペアに接続することによって、統合ファブリックに統合されます。ファブリック インターコネクト内でホストされる Cisco UCS Manager は、クラスタ内のすべてのハードウェアを 1 つのコンソールで管理するために使用されます。
このプラットフォームには、各種の標準規格に準拠しているユニファイド ネットワーク ファブリック、Cisco 仮想インターフェイス カード(VIC)のサポート、Cisco 拡張メモリ テクノロジーなど、革新的な技術が実装されています。単一接続アーキテクチャを使用することで、クラスタ内の各ノードから複数のイーサネットに接続する必要がなくなります。そのため、クラスタの拡張がシンプルになり、エラーの少ないより迅速な導入が可能になります。
Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチ
このソリューションには、Microsoft Active Directory、ドメイン ネーム システム(DNS)、Network Time Protocol(NTP)、Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)、VMware vCenter などの共有サービスに接続するための、低遅延 10 Gbps スイッチの冗長構成が必要です。このために使用されるスイッチが、スタンドアロン モードで動作する Cisco Nexus 9372PX スイッチのペアです。
Cisco Nexus 9372PX および 9372PX-E スイッチは、ライン レートのレイヤ 2 およびレイヤ 3 機能セットをコンパクトなフォーム ファクタで提供します。それぞれのスイッチが、3 層アーキテクチャとリーフ/スパイン型アーキテクチャの両方に対応する柔軟なスイッチング プラットフォームをリーフ ノードとして提供します。NX-OS モード(Cisco NX-OS ソフトウェア用)または ACI モード(Cisco アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(Cisco ACI™)用)で動作するオプションを使って、これらのスイッチをスモール ビジネス、エンタープライズ、およびサービス プロバイダーの環境に導入できます。
Cisco Nexus 9372PX および 9372PX-E スイッチは、48 個の 1 Gbps および 10 Gbps 拡張 Small Form-Factor Pluggable(SFP+)ポートと、6 個のクワッド SFP+(QSFP+)アップリンク ポートを備えています。すべてのポートがライン レートであり、1 ラックユニット(1RU)フォーム ファクタで 1.44 テラビット/秒(Tbps)のスループットを提供します。
シスコの 40 Gbp 双方向トランシーバにより、既存の 10 ギガビット イーサネット マルチモード ケーブル設備を 40 ギガビット イーサネットに再利用できるため、投資を保護できます。このソリューションは、より高速なアクセス スイッチング インフラストラクチャに移行するデータセンター向けに、1 Gbps と 10 Gbps アクセスのどちらの接続もサポートします。
Cisco HyperFlex Systems の物理ストレージは、クラスタ内の個別のハイパーコンバージド ノードによって提供されます。コンバージド ノードは、コンピューティング リソースとメモリ リソース、読み取り/書き込み操作をステージングするための SSD ベース キャッシュ レイヤ、永続ストレージ用のさまざまなスピニング メディア(HDD)を含むキャパシティ レイヤを提供します。
Cisco HyperFlex ソフトウェアは、個々のコンバージド ノードで孤立したストレージ スペースを Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームと呼ばれるログ構造ファイル システムに統合します。ログ構造ファイル システムにより、書き込まれるブロックがキャッシュに集められます。構成可能な書き込みログがいっぱいになるまで、またはワークロード条件によって HDD ディスクへのデステージが必要になるまで集められます。既存のデータが(論理的に)上書きされる場合、ログ構造の仕組みでは新しいブロックを付加し、メタデータを更新します。キャッシュをデステージする際の書き込み操作では、1 回の検索操作で大量のデータが書き込まれます。検索操作を何度も行い、一度に少量のデータのみを書き込む、従来の読み出し-変更-書き込みモデルに比べて、このアプローチではパフォーマンスが劇的に向上します。
ディスクに書き込まれたデータ ブロックは、オブジェクトに圧縮され、一定サイズのセグメントに順番に配置されます。オブジェクトはクラスタ内のすべてのノードにわたって分散されるため、ストレージ容量を均等に使用できます。このプラットフォームは、順次に配置する方法によりフラッシュメモリの耐久性を高め、順次 I/O に適した HDD の読み取り/書き込みパフォーマンスの特性を最大限に活かします。このプラットフォームには、シン プロビジョニング、スペース効率の良いクローニング、データ保護のためのスナップショットなどのエンタープライズ機能が組み込まれています。インライン重複排除と圧縮がデフォルトで有効になっており、リソース使用率を大幅に向上できます。
ログ構造ファイル システムは、圧縮してからファイル システムに付加する方法により、永続レイヤへの書き込みを効率的に行います。ネイティブの Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム スナップショットは、オーバーヘッドが低く、新しいスナップショットが作成または削除されてもパフォーマンスが低下しません。ここが競合他社のソリューションとの違いです。
VMware vSphere は、コンピュータの物理リソース(VMware ESX ホスト)に共通の仮想化レイヤ(ハイパーバイザ)を提供します。ハイパーバイザでは、必要に応じた CPU、メモリ、ディスク、ネットワーク接続を指定して、細かく制御されたフル機能の仮想マシンのプロビジョニングが可能です。仮想マシンは、基盤となるハードウェアの使用率に合わせて、選択したオペレーティング システムとアプリケーション ワークロードを別個に実行できます。
このソリューションに関連する VMware vSphere 6.0 の高可用性機能には以下が含まれます。
● VMware vMotion:仮想マシンのダウンタイムやサービスの中断を発生させることなく、仮想マシンを仮想インフラストラクチャ クラスタ内で移行(ライブ マイグレーション)します
● VMware Storage vMotion:仮想マシンのダウンタイムやサービスの中断を発生させることなく、データ ストア間の仮想マシン ディスク(vmdk)ファイルを、ストレージ アレイ内またはストレージ アレイ間で移行(ライブ マイグレーション)します
● VMware vSphere High Availability:クラスタ内で障害が発生した仮想マシンを検出して迅速なリカバリを可能にします
● VMware Distributed Resource Scheduler(DRS):クラスタ内のコンピューティング キャパシティのロード バランシングを提供します
VMware vCenter Server は、vSphere クラスタの仮想化管理の基礎となる、スケーラブルかつ拡張可能なプラットフォームを提供します。vCenter は、すべての vSphere ホストと仮想マシンを管理します。
Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム
Cisco HyperFlex System のデータ プラットフォームでは、3 方向のデータ ミラーリング(デフォルト)を行うために Cisco HyperFlex HX シリーズ コンバージド ノードが 3 つ以上必要です。このソリューションでは、N+1 の復元力を備えた高可用性クラスタを構築するために、クラスタあたり 4 つ以上のハイパーコンバージド ノードを想定しています。各ノードに搭載された Cisco HyperFlex HX Data Platform コントローラは、分散ファイル システムを実装し、フラッシュベースの内蔵 SSD ドライブと大容量 HDD を使用してデータを保存します。コントローラは 10 ギガビット イーサネットで相互に通信し、クラスタ内の複数のノードにわたる単一のストレージ プールを実現します。個々のノードは、ファイル、ブロック、オブジェクト、または API プラグインを使用し、データ レイヤを介してデータにアクセスします。ノードを追加すると、クラスタがスケーリングされ、コンピューティング、ストレージ容量、および I/O パフォーマンスが確保されます。
VMware vSphere 環境では、コントローラは、プロセッサ コア数とメモリ量が専用に割り当てられた 1 台の仮想マシンを占有します。これにより、一貫したパフォーマンスを実現し、クラスタにある他の仮想マシンのパフォーマンスへの影響を防止できます。コントローラは、VMware VMDirectPath 機能を通して、ハイパーバイザの介入なしに、すべてのストレージ リソースにアクセスできます。分散キャッシング レイヤの一部としてノードのメモリと SSD ドライブが使用され、分散キャパシティ ストレージにノードの HDD が使用されます。コントローラは、プリインストールされた以下の 2 つの VMware ESXi vSphere Installation Bundle(VIB)を使用して、データ プラットフォームを VMware ソフトウェアに統合します。
● IO Visor:この scvmclient VIB はネットワーク ファイル システム(NFS)マウント ポイントを提供し、個々の仮想マシンに接続された仮想ディスク ドライブに ESXi ハイパーバイザがアクセスできるようにします。ハイパーバイザからは、単にネットワーク ファイル システムに接続されているように見えます。
● vStorage API for Array Integration(VAAI):このストレージ オフロード API メカニズムにより、vSphere は、基盤となるストレージ サブシステムからスナップショットとクローニングに関連した高度なファイル システム操作を要求できます。コントローラは、実際のデータのコピーではなくメタデータの操作によって、これらの操作を発生させます。そのため、迅速な対応が可能で、新しいアプリケーション環境をすぐに導入できます。
図 1 に示すように、IO Visor は、ワークロード トラフィックを代行受信して、クラスタ内の使用可能なノード間でブロックをストライピングします。その後、データは VMDirectPath を使用してハイパーバイザをバイパスし、専用パーティションのいずれかの、より大きなキャッシュ ディスクにキャッシュされます。ノード間の複製がこのレイヤで実行されます。書き込みブロックは、書き込みログがいっぱいになり、パッシブとしてマークされ、ディスクにデステージされるまで、書き込み続けられます。重複排除や圧縮などのデータ最適化プロセスは、データがキャッシュからデステージされる際、ディスクに書き込まれる前に発生します。
このデータ プラットフォームが実装しているログ構造ファイル システムは、読み取り要求および書き込み応答を高速化するために SSD 内のキャッシング レイヤを使用し、キャパシティ用に HDD で実装された永続レイヤを使用します。ログ構造レイヤは、書き込み操作がアプリケーションに認識される前に、別々のノードに配置された 1 つ以上の SSD に着信データを複製します。このプロセスにより、着信書き込み操作が迅速に認識されるとともに、SSD やノードの障害からデータを保護できます。SSD やノードで障害が発生した場合は、利用可能なデータのコピーを使用して、別の SSD またはノード上でただちにレプリカが再作成されます。
分散オブジェクト レイヤは、書き込みキャッシュからキャパシティ レイヤに移されたデータも複製します。この複製されたデータも同様に、ハード ディスクやノードの障害から保護されます。全部で 3 つのデータ コピーが使用可能なため、データ損失のリスクなしに、ディスクまたはノードの障害から復旧することができます。フォールトトレラント構成および設定の一覧については、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム システムのアドミニストレーション ガイドを参照してください。
Citrix XenDesktop 7.8 と Citrix Provisioning Services 7.8
Citrix XenApp と XenDesktop 7.8
Citrix XenApp と XenDesktop は、統合型アーキテクチャ上に構築されたアプリケーションおよびデスクトップ仮想化ソリューションです。管理が容易で、あらゆる組織のユーザのニーズを満たすのに十分な柔軟性を備えています。XenApp と XenDesktop には、IT タスクを簡素化して自動化する、共通の管理ツール セットがあります。オンプレミス導入と同じアーキテクチャと管理ツールを使用して、パブリック クラウド、プライベート クラウド、およびハイブリッド クラウドの導入を管理できます。
Citrix XenApp の機能を以下に示します。
● サーバ ベースのホスト型アプリケーションとも呼ばれる XenApp 公開アプリ:これは、Microsoft Windows サーバから任意のタイプのデバイス(Windows PC、Mac、スマートフォン、タブレットなど)にホストされるアプリケーションです。一部の XenApp エディションには、モバイル デバイス上での Windows アプリケーションのユーザ エクスペリエンスをさらに最適化するテクノロジーが組み込まれています。たとえば、ネイティブ モバイル デバイスのディスプレイ、ナビゲーション、コントロールを自動的に Windows アプリケーションに変換し、モバイル ネットワーク上のパフォーマンスを向上させ、開発者があらゆるモバイル環境にカスタム Windows アプリケーションを最適化できるようになっています。
● サーバ ホスト型デスクトップとも呼ばれる XenApp 公開デスクトップ:これは、Windows サーバ オペレーティング システムからホストされる、低コストのロックダウン型 Windows 仮想デスクトップです。このデスクトップは、コール センターの従業員など、標準の一連作業を行うユーザに最適です。
● 仮想マシン ホスト型アプリケーション:これは、サーバ環境でホストできないアプリケーションのために Windows デスクトップ オペレーティング システムを実行しているマシンからホストされるアプリケーションです。
● Microsoft App-V で提供される Windows アプリケーション:このアプリケーションは、他の XenApp 導入に使用される管理ツールと同じものを使用します。
● Citrix XenDesktop 7.8:このソリューションに含まれる重要な機能強化により、お客様は Windows アプリケーションおよびデスクトップをモバイル サービスとして容易に配信でき、同時に管理の複雑さと関連コストの問題にも対応できます。このリリースの機能強化は、次のとおりです。
◦ XenApp および XenDesktop 用の Citrix FlexCast Management Architecture(FMA)統合型製品アーキテクチャ:このリリースには、ホスト型共有アプリケーション(Amazon Relational Database Service(RDS))と完全な仮想デスクトップ(VDI)の両方を提供するための管理インターフェイス一式が含まれています。Citrix XenApp ファームと XenDesktop ファームが別々にプロビジョニングされていた以前のリリースとは異なり、XenDesktop 7.8 では、管理者は単一のインフラストラクチャを導入し、一貫性のあるツール セットを使用して、混在するアプリケーションとデスクトップのワークロードを管理することができます。
◦ クラウドへの導入拡張のサポート:このリリースは、Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)、または任意のクラウド プラットフォームのパブリック/プライベート クラウドからのハイブリッド クラウド プロビジョニングをサポートします。クラウド導入は、従来のオンプレミス インフラストラクチャ上の導入と同じ管理コンソールを通して、設定、管理、監視されます。
Citrix XenDesktop の機能を以下に示します。
● VDI デスクトップ:これらの仮想デスクトップは、1 つの共有サーバ ベースの環境で動作するのではなく、それぞれが Microsoft Windows デスクトップ オペレーティング システムを実行します。また、ユーザが自由にパーソナライズできる各ユーザ用のデスクトップを提供できます。
● ホスト型物理デスクトップ:このソリューションは、データセンター内から、ブレード サーバのような強力な物理マシンへのセキュアなアクセスを提供するのに最適です。
● リモート PC アクセス:このソリューションを使用すれば、ユーザは、セキュアな XenDesktop 接続を介してどこからでも物理 Windows PC にログインすることができます。
● サーバ VDI:これは、マルチテナント クラウド環境にホスト型デスクトップを提供するために設計されたソリューションです。
● ユーザが仮想デスクトップを使用し続けるための機能:これらの機能により、ユーザはネットワークに接続していなくても作業を続けることができます。
本書で報告されているテストでは、Citrix XenDesktop が Cisco HyperFlex プラットフォームに展開されています(図 2)。
Citrix Provisioning Services 7.8
ほとんどの企業が社内環境のコンピュータの急増と管理に手を焼いています。デスクトップ PC、データセンター内のサーバ、キオスク型のデバイスのいずれであっても、それぞれのコンピュータを個別のエンティティとして管理する必要があります。分散処理のメリットを活用するには、分散管理のコストがかかります。各コンピュータをセットアップし、更新し、サポートするだけでなく、最終的に処分するのにも、時間とコストがかかります。多くの場合、マシンの初期コストは運用コストに比べれば微々たるものです。
Citrix PVS では、ハードウェアとその上で動作するソフトウェアの関係を根本的に変えることにより、従来のイメージング ソリューションとはまったく異なるアプローチを採用しています。PVS では、イメージを各マシンにコピーするのではなく、単一の共有ディスク イメージ(仮想ディスク(vDisk))をストリーミングします。それにより、組織でマシンの数が増えて続けても、管理するディスク イメージの数を減らすことができ、一元管理の効率性と分散処理のメリットも得られます。
さらに、マシンは単一の共有イメージからディスク データを動的かつリアルタイムでストリーミングしているため、マシン イメージの一貫性が確実に保証されます。また、構成、アプリケーション、およびマシンの OS も、マシンを再起動する間に変更を完了することができます。
PVS を使用すれば、任意の vDisk を標準イメージ モードで構成することができます。標準イメージ モードの vDisk を使用すると、複数のコンピュータを同時に起動できるため、維持しなければならないイメージの数と必要な記憶域の容量を大幅に削減できます。vDisk は読み取り専用フォーマットのため、ターゲット デバイスでイメージが変更されることはありません。
Citrix XenApp 管理者とその他のサーバ ファーム管理者にもたらされるメリット
Citrix XenApp サーバや Web サーバなど、ファームとして機能するサーバのプールを管理している場合、各サーバのパッチ レベルを一様に保つには、手間も時間もかかります。従来のイメージング ソリューションでは、クリーンなゴールデン マスター イメージを使用して始めますが、1 台のサーバをマスター イメージで構築したらすぐにパッチを適用し、それを他のすべてのサーバにも行わなければなりません。ファーム内の個々のサーバにパッチを適用する方法は、非効率なだけでなく、結果の信頼性も保証できません。パッチがサーバの 1 台で障害を起こしたまま、ユーザの苦情やサーバの停止が発生するまで問題に気付かない場合も多くあります。こうした状況で、サーバをファーム内の他のサーバと再同期させることは困難です。場合によっては、マシンの完全な再イメージングが必要になることもあります。
Citrix PVS を使用すれば、容易かつ信頼性の高い方法でサーバ ファームのパッチ管理を行えます。ゴールデン イメージの管理から始め、その 1 つのゴールデン イメージの管理を続けることができます。すべてのパッチ適用が 1 ヵ所で実行され、サーバの起動時にストリーミングされます。すべてのサーバがディスク イメージの共有コピーを使用するため、サーバ ビルドの一貫性が保証されます。1 台のサーバが破損しても、そのサーバを再起動するだけで、マスター イメージの元の正常な状態にすばやく復元されます。アップグレードは非常にすばやく行えます。実稼働用のイメージの更新が完了したら、その新しいイメージ バージョンをサーバに割り当てて、サーバを再起動するだけです。新しいイメージは、サーバを再起動する間に任意の数のサーバに導入できます。別の重要な点として、ロールバックも同じ方法で実行できるため、新しいイメージで問題が発生しても、長い時間サーバやユーザが使用不能のままになることはありません。
Citrix PVS は Citrix XenDesktop に組み込まれているため、デスクトップ管理者は、PVS のストリーミング テクノロジーを利用して、物理デスクトップ配信と仮想デスクトップ配信の両方のコストを簡素化、統合、削減することができます。多くの組織がデスクトップ仮想化を検討し始めています。仮想化は統合やシンプルな管理における多くの IT のニーズに応えていますが、展開するには、関連するインフラストラクチャも導入する必要があります。PVS を使用しないなら、ストレージ コストのためにデスクトップ仮想化が IT 予算を大幅に上回ることになりかねません。しかし、PVS を使用すれば、VDI に必要な記憶域の容量を最大 90 % 削減することができます。また、管理の対象は数百または数千のデスクトップではなく、1 つのイメージのみで済むため、デスクトップ管理のコスト、労力、複雑さを大幅に低減できます。
社内では、あらゆるタイプの従業員が、あらゆるタイプのデスクトップを必要としています。シンプルで標準化されたデスクトップを必要とするユーザもいれば、高性能で個人用に特化されたデスクトップを必要とするユーザもいます。XenDesktop は、Citrix FlexCast の配信テクノロジーを使用した単一のソリューションでこれらの要件を満たします。FlexCast を利用するなら、IT 部門は各ユーザのパフォーマンス、セキュリティ、柔軟性の要件に対応する、あらゆるタイプの仮想デスクトップを提供できます。
すべてのデスクトップ アプリケーションが仮想デスクトップでサポート可能なわけではありません。それでも、IT 部門は統合と単一イメージ管理のメリットを得られます。デスクトップ イメージは、データセンターで集中的に保存および管理され、オンデマンドで物理デスクトップにストリーミングされます。このモデルは、ラボ、検証・テスト、コール センターなどの標準化されたデスクトップや、仮想デスクトップへのアクセスに使用されるシン クライアント デバイスに特に適しています。
Citrix Provisioning Services ソリューション
Citrix PVS ストリーミング テクノロジーを使用すれば、単一の共有ディスク イメージからリアルタイムで、コンピュータのプロビジョニングおよび再プロビジョニングを行えます。このアプローチにより、管理者がシステムごとに管理やパッチ適用を行う必要はなくなります。代わりに、すべてのイメージ管理はマスター イメージで行われます。各システムのローカル ハードドライブは、ランタイム データ キャッシングに使用でき、シナリオによってはシステムから完全に削除することもできるため、電力使用、システム障害発生率、およびセキュリティ リスクが低減されます。
PVS ソリューションのインフラストラクチャは、ソフトウェア ストリーミング テクノロジーに基づいています。PVS コンポーネントがインストールされ構成されると、OS およびアプリケーション イメージのスナップショットを撮り、そのイメージを vDisk ファイルとしてネットワーク上に保存することにより、デバイスのハード ドライブから vDisk が作成されます。このプロセスに使用されるデバイスはマスター ターゲット デバイスと呼ばれます。vDisk を使用するデバイスはターゲット デバイスと呼ばれます。vDisk は PVS またはファイル共有上に保存することも、より大規模な導入では、PVS が通信可能なストレージ システム(Small Computer System Interface over IP(iSCSI)、SAN、ネットワークアタッチド ストレージ(NAS)、および Common Internet File System(CIFS)ソリューション)上に保存することもできます。また、vDisk は、プライベート イメージ モードで単一のターゲット デバイスに割り当てることも、標準イメージ モードで複数のターゲット デバイスに割り当てることもできます。
Citrix Provisioning Services インフラストラクチャ
Citrix PVS インフラストラクチャの設計は、PVS ファーム内の管理者ロールに直接関係します。PVS 管理者ロールは、管理者がコンソールで管理または表示できるコンポーネントを決めます。
PVS ファームは複数のコンポーネントで構成されます。図 3 に、基本的な PVS インフラストラクチャの概要と、PVS コンポーネントがその実装内でどのように配置されるかを示します。
次の新しい機能が PVS 7.8 で使用できます。
● Microsoft Windows Hyper-V 仮想ハードディスク(VHDX)フォーマット済みディスクのストリーミング
● Microsoft Windows 10 Enterprise Edition と Professional Edition のサポート
● Unified Extensible Firmware Interface(UEFI)機能強化のサポート
● PVS の新しいライセンス猶予期間:XenApp および XenDesktop との一貫性を保つために 96 時間から 30 日に変更
● API に対する機能強化
● PVS XenDesktop セットアップ ウィザードを使用した、仮想グラフィック処理ユニット(vGPU)対応の XenDesktop マシン プロビジョニング
● Microsoft System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)Generation 2 仮想マシンのサポート
● FIPS のサポート
● デフォルトで有効になる XenApp セッション レコーディング
ソリューション アーキテクチャ
図 4 に、本書で説明したクラスタ トポロジを示します。
ハードウェア プラットフォームは、それぞれにデュアル プロセッサと 384 GB のメモリが搭載されたノードで構成されます。プロセッサは Intel® Xeon® プロセッサ E5-2680 v3/v4 CPU(それぞれ 12 コア)で、2.5 Ghz で動作します。選択されたメモリ DIMM の密度と数は、CPU ごとにサポートされるメモリ チャネルと DIMM の数で最適なパフォーマンスが得られるインテルの推奨値と一致します(図 5)。
表 2 に、クラスタベースの仕様を示します。これは、N+1 の復元力を持つ最小構成クラスタに必要なハードウェアを示しています。
表 2. クラスタベースの仕様
説明 |
仕様 |
注記 |
ハイパーコンバージド ノード |
Cisco HyperFlex HX220c M4 ノード X 8 個 |
クラスタは 4 ~ 8 つのノードで構成できます。 |
ファブリック インターコネクト |
Cisco UCS 6248UP ファブリック インターコネクト X 2 個 |
ファブリック インターコネクトは、ポリシーベースのステートレス コンピューティングを提供します。 |
レイヤ 2 スイッチ |
Cisco Nexus 9372PX スイッチ X 2 個 |
オプション:接続用に任意の 10 Gbps スイッチのペアを導入します。 |
表 3 に、各ノードの仕様を示します。これは、本書で報告されているテストで使用されたクラスタの各ノードのコンポーネントレベルの詳細を示しています。
表 3. 各ノードの仕様
説明 |
仕様 |
注記 |
CPU |
Intel Xeon プロセッサ E5-2680 v3/v4 CPU X 2 基 |
|
メモリ |
16 GB の DIMM X 24 個 |
|
FlexFlash Secure Digital(SD)カード |
64 GB の SD カード X 2 枚 |
ブート ドライブ |
SSD |
120 GB の SSD X 1 台 |
ハウスキーピング タスク用に設定 |
|
480 GB の SSD X 1 台 |
キャッシュとして設定 |
HDD |
1.2 TB、10,000 rpm、12 Gbps の SAS ドライブ X 6 台 |
各ノードのキャパシティ ディスク |
ハイパーバイザ |
VMware vSphere 6.0 U1B |
SDS 用の仮想プラットフォーム |
Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム ソフトウェア(SDS) |
Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム リリース 1.7.1 |
|
VMware vCenter Web クライアントを使用すれば、企業全体の可視性を得ることができます。各 vCenter Server インスタンスで複数の Cisco HyperFlex HX シリーズ クラスタを管理するように設定し、クラスタ間で個別のスケーリングを可能にすることで、セキュリティが強化されます。必要に応じて、vCenter リンク モードを使用して vCenter サーバの複数のインスタンスを接続することにより、このモデルを拡張することもできます。複数の vCenter インスタンスをリンクすると、すべてのインスタンスのリソースを表示または検索することができます(図 6)。
表 4 に、Cisco HyperFlex のコンポーネントと基盤となるノード ハードウェア間のデバイスレベルのマッピングを示します。
表 4. デバイスレベルのマッピング
コンポーネントの機能 |
Cisco HyperFlex HX220c デバイス |
コメント |
ブート(ESXi) |
FlexFlash SD カード 1 および 2 |
SD カード 1 が SD カード 2 にミラーリング |
仮想マシンのブートストラップの制御 |
FlexFlash SD カード 1 および 2 |
SD カード 1 が SD カード 2 にミラーリング |
仮想マシンのハウスキーピング、データ、およびログの制御 |
フロントスロット 1 に実装された SSD 1(120 GB) |
/var/log、/var/core、および /zookeeper(ハウスキーピング) |
キャッシュ レイヤ |
フロントスロット 2 に実装された SSD 2(480 GB) |
キャッシング用の Intel 3610 ベースの高耐久性 SSD |
キャパシティ レイヤ |
スロット 3 ~ 8 に実装された 1.2 TB の HDD X 6 台 |
10,000 rpm、12 Gbps の SAS HDD |
ネットワーク レイアウト
図 7 に、仮想ネットワーク インターフェイス カード(vNIC)(仮想マシン NIC(vmnic))と、ネットワーキング用の仮想スイッチ(vSwitch)のセットアップを示します。これは、各 vSwitch に冗長な vNIC を提供し、輻輳がパフォーマンスに影響を与えないようにするため、並列パスで十分な帯域幅と分離を確保することを意図しています。4 つの VLAN が構築されます。それぞれ、管理用(ルーティング可能なサブネット)、NFS ストレージ用(ジャンボ フレーム)、実稼働ワークロード トラフィック用、そして VMware vMotion 用(ジャンボ トラフィック)になっています。
図 8 に、この設計の構成を示します。
Cisco UCS Manager での QoS のセットアップ
Quality of Service(QoS)とは、選択したネットワーク トラフィックに、より質の高いサービスを提供するネットワークの機能を指します。QoS の主な目的は、特定のトラフィックを優先して(専用の帯域幅や遅延など)、損失特性を改善することです。QoS の設定では、特定の種類のトラフィック フローを優先したために他のフローで障害が発生することがないように注意する必要もあります。
この設計で使用される 4 つのサブネットの一部では、大きめのフレーム、つまり、ペイロードが 1500 バイトを超えるジャンボ フレームが必要です。ファブリック インターコネクトがこれらのジャンボ フレームを渡すためには、Cisco UCS Manager の [QoS システム クラス(QoS system class)] セクションで適切な優先順位を設定する必要があります。表 5 に、優先順位、サービス クラス(CoS)、最大伝送ユニット(MTU)などの設定値を示します。
表 5. &nbsnbsp; QoS の設定
優先順位 |
有効 |
CoS |
パケット損失 |
ウェイト |
MTU |
最適化されたマルチキャスト |
プラチナ |
○ |
5 |
X |
4 |
9216 |
× |
ゴールド |
○ |
4 |
○ |
4 |
標準 |
× |
シルバー |
○ |
2 |
○ |
ベスト エフォート |
標準 |
○ |
ブロンズ |
○ |
1 |
○ |
ベスト エフォート |
9216 |
× |
ベスト エフォート |
○ |
すべて |
○ |
ベスト エフォート |
標準 |
× |
ファイバ チャネル |
○ |
3 |
× |
ベスト エフォート |
ファイバ チャネル |
– |
QoS ポリシーは、vNIC テンプレートと適切な QoS 優先順位を関連付けます(表 6)。
表 6. QoS ポリシーの設定
QoS ポリシー名 |
QoS クラス |
バースト サイズ |
レート |
ホスト コントロール |
プラチナ |
プラチナ |
10,240 |
ライン レート |
なし |
ゴールド |
ゴールド |
10,240 |
ライン レート |
なし |
シルバー |
シルバー |
10,240 |
ライン レート |
なし |
ブロンズ |
ブロンズ |
10,240 |
ライン レート |
なし |
ベスト エフォート |
ベスト エフォート |
10,240 |
ライン レート |
なし |
最後のステップは、QoS ポリシーを使用した vNIC テンプレートの編集と MTU サイズの調整です(表 7)。
表 7. vNIC テンプレートの設定
vNIC テンプレート名 |
MAC アドレス プール |
ファブリック |
MTU |
QoS ポリシー |
その他のパラメータ |
mgmt-a |
mgmt-a |
A |
1500 |
シルバー |
ネットワーク制御ポリシー:hyperflex-infra |
mgmt-b |
mgmt-b |
B |
|||
storage-a |
storage-a |
A |
9000 |
ゴールド |
ネットワーク制御ポリシー:hyperflex-infra |
storage-b |
storage-b |
B |
|||
vm-network-a |
vm-network-a |
A |
1500 |
プラチナ |
ネットワーク制御ポリシー:hyperflex-vm |
vm-network-b |
vm-network-b |
B |
|||
vmotion-a |
vmotion-a |
A |
9000 |
ブロンズ |
ネットワーク制御ポリシー:hyperflex-infra |
vmotion-b |
vmotion-b |
B |
VMware vCenter で対応する vNIC 設定に同様の変更を加えます。
Cisco UCS Manager でのネットワークのセットアップ
図 9 に、Cisco UCS Manager でのネットワークのセットアップを示します。
ストレージ レイアウト
Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームコントローラは、ハイパーバイザがアクセスするボリュームのすべての読み取り/書き込み要求を処理し、それにより仮想マシンからのすべての I/O を仲介します。ハイパーバイザには、データ プラットフォームから独立した専用のブート ディスクが搭載されています。
キャッシング レイヤを使用してパフォーマンスが最適化されるように、着信データがクラスタ内のすべてのノードに分散されます。すべてのノードに均等に保存されているストライプ ユニットに対して、新しいデータをマッピングすることで、効果的なデータ分散化を実現します。データ レプリカの数は、設定したポリシーによって決まります。アプリケーションがデータを書き込むと、そのデータは関連する情報ブロックが含まれているストライプ ユニットに基づいて適切なノードに送信されます。このデータ分散アプローチと、同時に複数のストリームを書き込む機能を組み合わせることで、ネットワークとストレージの両方のホット スポットを回避できます。また、仮想マシンの場所に関わらず同じ I/O パフォーマンスが提供されるので、ワークロード配置の柔軟性が向上します。
図 10 に、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームのストレージ レイアウトを示します。
Cisco HyperFlex HX データ プラットフォーム
● データ書き込み操作:書き込み操作では、データがローカル SSD キャッシュに書き込まれ、それと並行してリモート SSD に複製されます。その後で書き込み操作が認識されます。このアプローチにより、SSD やノードで障害が発生した場合のデータ損失のリスクを回避できます。その後、長期保存のために、コストの低い高密度 HDD への書き込み操作が行われます。高性能な SSD を低コストで大容量な HDD と組み合わせることにより、最適なコストでアプリケーション データを保存し、高速に取得できるようになります。
● データ読み取り操作:読み取り操作では、通常、ローカルにあるデータはローカル SSD から直接読み取られます。ローカルにないデータは、リモート ノード上の SSD より取得されます。このアプローチでは、プラットフォームがすべての SSD を読み取り操作に使用できるため、ボトルネックが排除され、優れたパフォーマンスが提供されます。永続レイヤから読み取られたデータは、SSD とメモリの両方にキャッシュされます。最も頻繁に使用されるデータを仮想マシンの近くに保存することで、仮想アプリケーションに対する Cisco HyperFlex Systems のパフォーマンスが大幅に向上します。
このため、VMware DRS などを使用して仮想マシンを新しい場所に移動する際に、HX データ プラットフォームはデータの移動を必要としません。したがって、仮想マシンを移動してもパフォーマンスやコストには影響しません。
図 11 に、Cisco HyperFlex HX データ プラットフォームを示します。
パフォーマンス テスト
HX データ プラットフォームは、永続レイヤからキャッシング レイヤを分離し、I/O パフォーマンスとストレージ容量の個別のスケーリングをサポートしています。この柔軟性により、コンバージド ノードのストレージが消費されるようになっているセットアップでは、ブレードをコンピューティング専用ノードとして導入することができます。この混合構成を使用すれば、個別のスケーリングが可能になり、未使用キャパシティの問題が解決されます。
HX データ プラットフォーム コントローラ ソフトウェアで問題が発生した場合は、そのノード内にあるアプリケーションからのデータ要求は、クラスタ内の別のコントローラに自動で転送されます。
シスコの仮想デスクトップ インフラストラクチャ用テスト プロトコル、および Login VSI 4.1.4 を使用したデスクトップ仮想化の成功基準に従い、一般提供されているリリース 1.7.1 ソフトウェアを実行する Cisco HyperFlex HX220c M4S 8 ノード クラスタを新規に設置し、デスクトップ仮想化パフォーマンス評価を実施しました。図 12 に、テストされた構成を示します。
Cisco HyperFlex System は VMware ESXi 6.0 U1Bb 上の 1 つのクラスタ内で動作しています。これは、VMware vCenter Web クライアントの Cisco HyperFlex プラグインによって管理されます。Citrix PVS によってプロビジョニングされた 1000 台の Citrix XenDesktop 7.8 がそれぞれのテスト ケースで使用されました。
この新規設置テストでは、ベンチマーク モードで Login VSI 4.1.4.2 ナレッジ ワーカー ワークロードを実行する次の 3 つのテスト ケースが使用されました。
● ベンチマーク モードでの 48 分間の Login VSI ナレッジ ワーカー テスト(ログイン ストーム中のエンドユーザ エクスペリエンス)
● ベンチマーク モードでの 8 時間の Login VSI ナレッジ ワーカー テスト(定常状態での就業日の安定性)
これらのテストでは、仮想デスクトップのブート ストーム中のパフォーマンス統計をモニタリングし、システムが安定するまで約 20 分間待ちました。また、ランプアップ(1000 セッションすべてのログイン インターバル)、定常状態(すべてのセッションがログオンしアクティブである)、そしてログオフが追跡されました。
48 分間の標準ベンチマーク モードのテスト結果
Login VSI テストは、8 台の Cisco HyperFlex HX220c M4S サーバ上でホストされた 1000 台の XenDesktop プール Windows 7 仮想マシン上で実行されました。Login VSI Analyzer のスコアと遅延値で表されているように、優れたユーザ パフォーマンスを発揮しています(図 13 ~ 19)。
テスト結果のハイライトを以下に示します。
● 基準応答時間 = 0.7 秒
● 1000 台のデスクトップが動作中の平均応答時間 = 1 秒
● 1000 台のデスクトップが動作中の最大応答時間 = 2 秒
● 平均 CPU 使用率 = 80%
● 384 GB の RAM の平均使用量 = 300 GB
● ホストあたりのピーク ネットワーク使用率 = 408 MBps
● クラスタあたりの平均 I/O 遅延 = 1.9 ミリ秒(ms)
● 定常状態でのクラスタあたりのピーク I/O 操作回数/秒(IOPS) = 11,900
● 定常状態でのクラスタあたりのピーク スループット = 210 Mbps
8 時間のベンチマーク モードのテスト結果
Login VSI テストは、8 台の Cisco HyperFlex HX220c M4S サーバ上でホストされた 1000 台のプール デスクトップ上で実行されました。Login VSI Analyzer のスコアと遅延値で表されているように、優れたユーザ パフォーマンスを発揮しています(図 20 ~ 26)。
テスト結果のハイライトを以下に示します。
● 基準応答時間 = 0.7 秒
● 1000 台のデスクトップが動作中の平均応答時間 = 1 秒
● 1000 台のデスクトップが動作中の最大応答時間 = 2.7 秒
● 平均 CPU 使用率 = 80%
● 384 GB の RAM の平均使用量 = 300 GB
● ホストあたりのピーク ネットワーク使用率 = 523 MBps
● クラスタあたりの平均 I/O 遅延 = 2.5 ms
● 定常状態でのクラスタあたりのピーク IOPS = 10,700
● 定常状態でのクラスタあたりのピーク スループット = 185 Mbps
システム サイジング
参照アーキテクチャには、このセクションで説明されているサイジング仕様を使用しています。
仮想マシン テスト イメージのビルド
表 8 に、プール デスクトップ用の Citrix XenDesktop 環境でデスクトップ セッションをプロビジョニングするために使用された仮想マシン イメージの要約を示します。イメージは、テスト ツール標準に準拠し、PVS イメージング ツールに組み込まれている Citrix PVS 最適化ウィザードに従って最適化されました。
本書に記載された参照アーキテクチャとパフォーマンス テストは、PVS 最適化ウィザードを使用して最適化された Windows 7 上で実行されました。
表 8. 仮想マシン イメージの属性
属性 |
プール デスクトップ |
デスクトップ オペレーティング システム |
Microsoft Windows 7 Enterprise SP1(32 ビット) |
ハードウェア |
VMware 仮想ハードウェア バージョン 11 |
vCPU |
2 |
メモリ |
2048 MB |
予約済みメモリ |
2048 MB |
ビデオ RAM |
35 MB |
3D グラフィックス |
オフ(Off) |
NIC |
1 |
仮想ネットワーク アダプタ 1 |
VMXNet3 アダプタ |
仮想 SCSI コントローラ 0 |
LSI |
仮想ディスク:VMDK 1 |
6 GB |
仮想フロッピー ドライブ 1 |
削除 |
仮想 CD/DVD ドライブ 1 |
パススルー IDE |
アプリケーション |
● Login VSI 4.1.4 アプリケーション インストール
● Adobe Acrobat 11
● Adobe Flash Player 16
● Doro PDF 1.82
● FreeMind
● Microsoft Internet Explorer 11
● Microsoft Office 2010
|
VMware ツール |
リリース 10.0.0.3000743 |
Citrix Virtual Delivery Agent(VDA) |
バージョン 7.8 |
Citrix PVS Agent |
バージョン 7.8 |
重複排除と圧縮を使用して、ストレージ効率を高めることができます(図 27)。
この Citrix XenDesktop と Provisioning Services を使用した Cisco HyperFlex ソリューションは、コスト効率が良く、導入と管理が容易なプラットフォームを提供することによって、IT の差し迫ったニーズを解決します。使用されているアーキテクチャとアプローチによって、シスコ製の使い慣れた一貫性のある管理モデルを採用した、柔軟で高性能なシステムが実現します。加えて、このソリューションは、次世代のハイパーコンバージド システムを実現するためのさまざまなエンタープライズクラスのデータ管理機能も提供します。
応答性が高く、復元力のある高性能な Citrix XenDesktop と Citrix PVS を使用した Microsoft Windows 7 仮想マシンは、デスクトップ仮想化管理者に多くのメリットをもたらします。
シスコ オンライン サポートで入手可能な以下のドキュメントから、さらに関連情報を参照できます。ドキュメントにアクセスできない場合は、シスコの担当者までお問い合わせください。
● Cisco Hx220c M4 HyperFlex Node インストール ガイド [英語]:
http://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/hyperconverged_systems/HX_series/HX220c_M4/HX220c.pdf
● Cisco HyperFlex Systems クイック スタート ガイド:
http://www.cisco.com/cisco/web/support/JP/docs/HCI/HyperFlexHXDataPlat4m/HyperFlexHXDataPlat4m/CG/020/b_HyperFlexSystems_GettingStartedGuide_chapter_010.html?bid=0900e4b184c09769
● Cisco HyperFlex Systems 管理ガイド [英語]:
http://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/hyperconverged_systems/HyperFlex_HX_DataPlatformSoftware/AdminGuide/b_HyperFlexSystems_AdminGuide.pdf
以下のドキュメントには、追加の関連情報が記載されています。
● Citrix XenDesktop 7.8 と Provisioning Services 7.8 の参照ドキュメント [英語]
◦ http://docs.citrix.com/en-us/provisioning/7-8.html
◦ http://docs.citrix.com/en-us/xenapp-and-xendesktop/7-8.html
● VMware vSphere の参照ドキュメント
◦ VMware vSphere 管理者ガイド [英語]:
http://pubs.vmware.com/vsphere-60/topic/com.vmware.ICbase/PDF/vsphere-esxi-vcenter-server-602-networking-guide.pdf
◦ VMware vSphere のインストールとセットアップ [英語]:
http://pubs.vmware.com/vsphere-60/topic/com.vmware.ICbase/PDF/vsphere-esxi-vcenter-server-602-installation-setup-guide.pdf
◦ VMware ESXTOP 統計の解釈 [英語]:
https://communities.vmware.com/docs/DOC-9279