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玉川聖学院

玉川聖学院

Highlights

  • 革新的な教育システムを目指す私立の中高一貫校(東京都世田谷区)
  • Merakiアクセスポイント、スイッチ、セキュリティアプライアンス とSystems Manager MDM を導入
  • Systems Manager MDM によって、学習ツールとして最適な制限をかけ、ルールを守った先進的な ICT 教育を実現

先日、小学校と中学校の9年間の義務教育を一貫して行う小中一貫校を制度化する改正学校教育法が、衆院本会議で成立されました。前倒しで授業をするための申請を不要とすること等で弾力的なカリキュラムが可能となり、今後、日本全国で ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の活用能力を培う教育に対する取り組みに力が入ることが予想されています。東京都世田谷区にある玉川聖学院は、中高一貫校におけるICT教育のパイオニアであり、タブレットを積極的に活用した革新的な教育の展開を目標に定めています。

玉川聖学院は自由が丘に位置し、1950年の設立以来、聖書に基づいて、一人ひとりのすばらしい価値と可能性を信じる女子教育を展開するミッションスクールです。人に優しい校風と体験的な授業や人との出会いを通して、自分を発見し、多様な人々に共感する世界をつなげる心を養う、という教育理念を掲げています。 

玉川聖学院の校舎は 2000年に改築され、現在の生徒数は中等部と高等部合わせて800名です。以前のネットワークは全て有線LANでしたが、途中から部分的に無線LANが導入されました。今回、無線LANの範囲を広げた環境を作ろうとしたことを契機に、既存の無線LANを延長するのか、新たなものを導入するのか、という二つの選択肢がありました。

無線LANの範囲を拡大するという課題と同時に、生徒1人に1台のタブレット(iPad)を持たせるという、学校のICT ビジョンに基づいたプロジェクトも始まっていました。タブレットは学習ツールの一つとして授業や諸活動、家庭学習の道具として使われ、課題探求力、伝達発信力を育成するために利用することが目的で導入されました。また、端末は学校が配布したものではなく、BYOD (Bring Your Own Device)という、個人所有デバイスを学校に持ち込み使用することとなりました。BYOD を選定したのは、高等部3年間の体験を蓄積するポートフォリオとして作品等の保存を行うため、各自所有のものでなければならない、という理由からでした。

BYOD を利用するためには、MDM でのデバイス管理が必要不可欠になるので、可能であれば無線、スイッチ、セキュリティと共に MDM も一元管理できるソリューションを探していました。また、Apple、Google Drive、Google Classroom と連携している製品も希望していました。「Systems Manager」と呼ばれている Meraki MDM は、これらすべてを実現できるため、まず始めに、Systems Manager を検証することになりました。

既存ネットワークの無線LANのみを延長することも検討されていましたが、MX セキュリティアプライアンスの細かいコンテンツフィルタリング機能、MS スイッチの優れたポート単位での管理能力、MR アクセスポイントの安定性、そして全機器クラウドで一元管理できることに魅力を感じ、結果、MR アクセスポイントを41台、MS スイッチ を6台、MX セキュリティアプライアンスを1台、そして Systems Manager MDM ライセンスを第一フェーズとして導入することが決定。

検証の時点で、理科主任・情報科主任の大沼祐太氏は「これで行こう、安心して任せられると、実際自分にでも導入と管理ができると自信が持てました」と話します。納品は3月中旬でしたが、導入は大沼氏ご自身が行い、新学期が始まる4月までにすべて無事に展開することができました。

以前のネットワークではとても実現できなかったような ICT 教育も本格的に実施可能になっただけではなく、生徒たちの課題探求力、伝達発信力を培うことができ、同時に情報を正しく判別し安全にインターネット利用できる『デジタルネイティブ』の育成をしたいという我々の強い願いを叶えてくれました。  理科主任・情報科主任, 大沼祐太氏

玉川聖学院では生徒800人に対して、情報科担当職員は大沼氏しかおらず、導入時のセットアップだけではなく、日常のネットワーク運用管理の面でも使いやすいものを探していたそうです。「Merakiの導入は、ゼロタッチのため素早くダッシュボードというブラウザーベースのソフトを使って管理できるので、とても利便性が高いです」と大沼氏は説明します。トラブル発生時には Meraki スタッフがサポートをしてくれるので、学校では専属のネットワークスタッフが不要です。情報技術担当職員の数が極めて限られていたにも関わらず玉川聖学院の全条件をクリアする、信頼できるネットワーク導入が実現しました。

また、Meraki の最大の魅力はネットワーク管理画面(ダッシュボード)に時間や場所を問わずにアクセスできることです。ハードウェアコントローラーもなく、いつでもどこからでも学校ネットワークをクラウドによって一元運用・管理をすることができます。UI はすっきりとしたデザインになっており、ネットワークを利用している人の状況が把握でき 、分析機能も優れています。例えば、ロケーション分析で生徒たちがどこで一番頻繁にインターネットを利用しているのかが分かるため、ネットワークの帯域制御やそのほかの調整も全てダッシュボード上から行えます。

Meraki Systems Manager は、学習ツールとして最適な制限をかけることを可能にします。玉川聖学院のように iPad に生徒全員共通のアプリをインストールする必要がある場合は、Systems Manager であればアプリインストールプッシュはほんの数クリックするだけで完了します。「フロリダ英語研修に行く生徒の iPad だけに指差し英会話アプリを入れようとしたときに、その生徒にだけタグをつけて、すぐに反映させることができました。タグ付けは無制限で、とてもシンプルで分かりやすい設計だと思いました」と大沼氏は語ります。

玉川聖学院では、21世紀の国際社会を逞しく生き、多様な人々に共感できる人材を育成するためにインターネット上の情報を正しく判別し安全に利用するための情報リテラシー教育を重視しています。信頼できる情報を見分け、著作権・肖像権等のルールを知り、個人情報を守ることを学習する他、SNS利用の際の注意事項も学校として定めており、責任をもった情報の活用を推進しています。

玉川聖学院ではゲーム、SNS、生徒によるアプリインストールを禁止していますが、これらの制限も Systems Manager で簡単に設定できます。万が一ゲームや違反アプリのインストールなどのルール違反があった場合には、iPadの壁紙が赤く変わり、警告メッセージが表示されるように設定してあります。「Meraki の場合、後ろで関係ない動画を見ている人の情報が分かってしまいます。記録に残るし、時間も出ます。違反をしている現場を押さえていなくても、証拠に残るということを生徒に伝えることができ、抑止力にもなっているのです。また、規制を緩和する必要があるときにも細かな設定が可能なMeraki のシステムは大変良いです」と学年主任・理科担当の山田直樹氏は強調します。

ネットワークのセキュリティ機能について、事務長・評議員の金城信道氏は「閲覧サイトをブラックリスト化するなどの制限を細かく設定できて、監視もできる。学校の Meraki システム以上に管理できるものはないと言い切っているので、保護者側は安心して受け止めてくれているようです」と説明します。また、無線LANの安定性に関して、山田氏は、「ネットワークが遅いなどのクレームはありません。ファイルが開けない、動画が再生できないというようなトラブルが一切ありませんでした。常に利用するネットワークなので、当たり前のようですがとても重要なところだと思います」と話します。

導入後の校内への浸透がスムーズで、生徒と職員は、学ぶこと、教えることが楽しくなったと口を揃えて言います。生徒たちはファイル共有をし、インターネットを使ってグループ学習を進めています。職員間でもファイル共有機能も利用しているため、例えば同じ教科担当者同士での資料交換ができるので、大変役に立ちます。授業では、例えば地理の授業なら各自 iPad で実際に Google Map を触りながらいろんな場所を探検してもらい情報閲覧をしたり、Google Drive を使ってグループ作業で資料の執筆編集を共有したり、PingPong アプリを活用してその場で一人ひとりの回答や意見を表示しながら瞬時に授業に活かす、など様々な用途で利用されています。

「以前 iPad がなかったときには、たくさんの教科書を持ち帰って帰宅後の授業の復習がとても大変でしたが、iPadが1台あるだけで、色々な教科の復習がとても短時間で効率よくできるので、教科書何冊分の資料の力があると思います」と高校1年生の生徒は語ります。また、他の生徒からも「アプリを使うので授業が楽しくなりました。PingPong を使う授業が一番楽しく、一人ひとりが意見を書け、普段発言できない子も発言しやすくなります」という声がありました。

山田氏は iPad 利用の効果について次のように語ります。「授業で、今まで教師がただスクリーンに投影していたものが、自分の iPad の中に入っているので、自分のペースでスライドが見られます。今までは教師のペースだったので、書き取る時間がないこともありましたが、授業が終わってからでも見ることができ、休みがちになる子も非常に助かります。授業、教室で何が行われているのかが分かるし、再び教室に入るための敷居をかなり低くしてくれます。化学の実験の様子などの動画も撮影しているので、休んでも状況を把握でき、とても有効です。」

大沼氏は Meraki を導入したことが玉川聖学院の教育に強い影響を与えた例を以下のように述べます。「以前のネットワークではとても実現できなかったような ICT 教育も本格的に実施可能になっただけではなく、生徒たちの課題探求力、伝達発信力を培うことができ、同時に情報を正しく判別し安全にインターネット利用できる『デジタルネイティブ』の育成をしたいという我々の強い願いを叶えてくれました。」