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カブドットコム証券株式会社、設計コンセプトを高く評価し Cisco UCS の活用を開始

ユーザ事例





カブドットコム証券株式会社、設計コンセプトを高く評価し Cisco UCS の活用を開始


カブドットコム証券株式会社



設計コンセプトを高く評価し Cisco UCS の活用を開始
まずは開発環境へ、将来は本番システムへの展開も視野に


シスコ ユニファイド コンピューティング システム導入事例

導入の背景/ 課題

  • カブドットコム証券では、500 台以上のサーバノードをわずか 6 人で管理している。今後も少人数で運用管理を行い続けるには、さらなる運用効率化が求められた。
  • その手法として仮想化技術に着目。しかし従来型サーバで仮想化技術を導入しても、その効果は限定的だと判断された。
  • この問題を解決するため、Cisco UCSの導入を決定。仮想環境を前提にした設計コンセ プトやシンプルなシステム構成、業務視点での管理が行いやすい管理手法が高く評価されている。

導入ソリューション

  • Cisco Unified Computing System(UCS)  
    • Cisco UCS 6120(ファブリックインターコネクト)× 2  
    • Cisco UCS 5108 × 1  
    • Cisco UCS B200 M2 × 8

導入効果

  • Cisco UCS 上でサーバノードを仮想化統合することで、開発環境の立ち上げが迅速になり、ネットワーク構成の変更にも短時間で対応できるようになった。
  • ネットワーク ケーブルの物理的な接続作業が不要になるなど、システム管理者の負担も軽減した。
  • Cisco UCS はハードウェアに関する深い知識がなくても管理できるため、1人の管理者 がシステム全体を視野に入れ、シームレスに管理することも容易になった。

自社で構築・運用するシステムによって、IT を活用した多彩な取引サービスツールを提供しているカブドットコム証券株式会社。ここではシステム運用管理をさらに効率化するため、Cisco UCS の導入が進められている。その第一弾として 2010 年 12 月に、約 60 台の開発用サーバノードを Cisco UCS 上に仮想化集約。開発環境の立ち上げや変更に必要な時間を大幅に短縮すると共に、管理者の負担も軽減しているのだ。Cisco UCS 採用に決め手になったのは、仮想環境を前提にした設計コンセプトとシンプルな構成、そして業務視点での管理が行いやすい管理手法だった。

運用管理効率化のため仮想化に着目
しかし従来型サーバでは効果に限界

IT サービスに必要なサーバ環境を、いかに迅速に提供するか。これは IT を武器にビジネスを行っている企業にとって、避けて通れない重要課題だ。しかしサービスが多様化しサーバ数が増えていけば、運用管理の負担が増大し必要な人員も増えていく。人員が増えればコストが増大し、競争力強化のブレーキになりかねない。このようなジレンマをどのように解決していくかは、難しい問題の 1 つだといえる。

この難問を解決するため、Cisco Unified Computing System(UCS)を活用しているのがカブドットコム証券株式会社だ。
同社は 1999 年に設立されたインターネット専業の証券会社。取引システムを自社開発し、その運用も自社内のデータセンターで行っている唯一のネット証券として知られている。創業以来培ってきた IT 力を活かすことで、「逆指値注文」をはじめとする多様なアルゴリズム取引や「取次処理速度 1 秒以下保証」など、ユニークなサービスを次々に実現してきた。最近では東証新システム「アローヘッド」に対応した個人投資家向け次世代新システムの投入や、24 時間オンライン勘定システムの稼働等も行っている。

「国内の証券業界では当社のようにインハウスでシステムを構築・運用しているところは少ないのですが、海外では決して珍しくありません」というのは、カブドットコム証券株式会社 事務・システム本部 システム部 IT プロフェッショナル・エバンジェリストの谷口 有近氏。例えばニューヨーク取引所のように、インハウスでのシステム構築を“ 売り” にしているケースもあるという。「IT に対するコントロール能力を持つことで柔軟性が高まり、ビジネス展開でも優位性を確保しやすくなるのです」

カブドットコム証券が自社データセンターで運用しているサーバノードの数は 500 台以上。これをわずか 6 人で管理していることも同社の大きな特徴だ。大規模なシステムを少ない人員で運用管理することで、コスト競争力を高めているのである。もちろん運用管理を少ない人員でこなすには、効率化への積極的な取り組みが欠かせない。そこで同社が着目したのが仮想化技術である。しかし「単純に仮想化技術を導入するだけでは、効果に限界があります」と谷口氏は指摘する。

まず従来型のサーバで仮想化環境を実現しようとすると、各サーバに多数のネットワークケーブルを接続する必要があり、システム構成が複雑化する。また仮想化環境を適切に運用管理するには、物理サーバのハードウェアに関する知識が欠かせないケースが多いのだともいう。「管理作業を支援するツールもありますが、その多くはコマンドベースの管理に GUI のフロントエンドを付け加えただけなので、背後にあるハードウェア リソースの状況を理解しておく必要があります。また安定性が不十分なものも珍しくありません。このような運用管理ツールを使いこなすには、細かいノウハウや想像力が求められます。このままでは仮想化技術を導入しても、そのメリットをフルに引き出すことは難しいのです」

カブドットコム証券株式会社 事務・システム本部  システム部 IT プロフェッショナル・エバンジェリスト 谷口 有近 氏

「Cisco UCS は仮想環境のあり方を、従来とは全く異なる視点で定義し直しています。大規模な仮想環境でも簡単に管理できる、理想的なシステムだといえます」
カブドットコム証券株式会社
事務・システム本部
システム部
IT プロフェッショナル・エバンジェリスト
谷口 有近 氏

Cisco UCS のコンセプトに共感
理想的な環境を実現できると評価

この状況を打破するためにカブドットコム証券が選択したのが、Cisco UCS である。当初は「ネットワーク ベンダーのシスコがサーバを作ることに違和感を感じた」が、その設計コンセプトを聞いた瞬間に「これなら理想的な仮想環境を実現できるのではないか」と直感したという。谷口氏がまず着目したのは、システム構成のシンプルさだ。「Cisco UCS は10G イーサネットというネットワークの“ 土管” に、直接 OS やアプリケーションがぶら下がるイメージです。今後爆発的に増えていくノードの管理を、従来とは全く異なる視点で定義し直しています。大規模な仮想環境でも簡単に管理できる、理想的な構成だといえます」

運用管理ツールのアプローチも高く評価されている。Cisco UCS では仮想マシンを管理する際に、事前にプロファイルを作成し、それを仮想マシンに適用するという手順を踏む。これによってサーバやネットワークといったハードウェア リソースを抽象化しやすくなり、業務視点での管理が可能になる。そのためハードウェアに関するスキルセットを持たない管理者でも理解しやすく、安定した管理が行えるのだ。
ハイパーバイザーが動いていない物理ノードを、あたかも仮想マシンのように管理できる柔軟性も、メリットが大きいと指摘。管理者の要求にとても素直に対応しているという。「プロファイル機能を持つ管理ツールは他にもありますが、柔軟性に乏しかったり管理項目が多すぎる等、Cisco UCS ほどの完成度には達していません。Cisco UCS には運用管理の未来が感じられます」

谷口氏はシスコ六本木オフィスでの実機見学も行っており、このときにブレード サーバの蓋を開け、内部の部品配置等もチェックしている。膨大な数のサーバを少人数で運用管理するには、ハードウェアの故障率の低さも重要なポイントになるからだ。「Cisco UCS のブレードは、エアフローに合わせてコンデンサーの配置を揃えるなど、故障防止に配慮した設計になっています。リリースされて間もない製品ですが、完成度は高いという感触でした」(谷口氏)

「これなら取引システムの本番環境でも十分に使える」と判断。すぐに導入検討を開始し、
2010 年 10 月には導入を決定、機器発注が行われている。Cisco UCS が納入されたのは
2010 年 12 月。まず最初に開発環境の約 60 台のサーバノードが適用対象となり、これらがCisco UCS の 8 枚のブレードに仮想化集約されることになったのである。

開発環境の構築・変更を迅速化
ボーダレスな管理の実現も容易

開発環境の構築・変更を迅速化  ボーダレスな管理の実現も容易

システム構成は図に示す通り。Cisco UCS 6120(ファブリック インターコネクト)× 2 の
下に Cisco UCS 5108 が接続され、この中に 8 枚の Cisco UCS B200 M2(ブレード サーバ)が格納されている。Cisco UCS 6120 は Cisco MDS 9124 経由で FC SAN ストレージと接続され、コアスイッチ経由で iSCSI ストレージや他のブレードサーバと接続されている。

すべてのストレージ アクセスをネットワーク経由で行うことに対し、導入前はパフォーマンス面での不安があったと谷口氏は振り返る。しかしこの不安は杞憂に終わっている。サーバに直接接続されているストレージと比べ、パフォーマンスはむしろ向上しているのだ。サーバのブート時間も、以前に比べて短縮されている。

開発環境を Cisco UCS へと移行したことで、開発環境立ち上げに必要な時間は大幅に短縮された。以前は社内にすでに存在するサーバを使い回す場合でも、最低 3 日間は必要だった。しかし現在では 6 時間程度で新しい開発環境を立ち上げられる。開発環境を短時間で立ち上げられれば、開発サイクルをより高速に回すことが可能になる。
ネットワーク接続の変更要求にも即座に対応可能だ。これも証券取引アプリケーションの開発では大きなメリットになる。接続先のシステムを切り替えて動作を確認する、といった作業が頻繁に発生するからだ。以前は物理的なネットワーク ケーブルを差し替えてテストを行っていたが、現在はその必要がない。異なるネットワーク プロファイルをテスト対象の仮想マシンに割り当てるだけだ。

システム管理者のスキルセットに対する意識も変わりつつある。少人数でシステム管理を行うには、1 人のシステム管理者がシステム全体を視野に入れた横断的なスキルを持つことが望ましい。しかし以前はサーバ ハードウェアに関する細かい知識が必要だったため、横断的なスキルを持つシステム管理者を育成することは簡単ではなかった。これに対して Cisco UCS では、ハードウェアに関するスキルセットへの要求が小さくなるため、横断的なスキルを獲得しやすくなる。1 人のシステム管理者がインフラからサービスまで視野に入れた、ボーダレスな管理も実現しやすいのである。

Cisco UCS 上で開発され、すでに本番稼働を始めているアプリケーションもある。その1 つが大阪証券取引所の新システム「J-GATE」に対応した先物取引システムだ。このシステムは既存システムを改修したものではなく、完全に新しく開発されたもの。旧システムとは開発言語も異なっており、稼働環境も従来の 32 ビットから 64 ビットへと変更することで、さらなる低レイテンシーを実現した。「個人投資家が機関投資家と勝負できる仕組みを提供するのが私どものミッションです」と谷口氏。「これからも様々なシステムを提供していきますが、今後はそれらすべての開発が Cisco UCS 上で行われることになります」

Profile

カブドットコム証券株式会社

所在地: 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館6F
設  立: 1999 年(平成 11 年)11 月
資 本 金: 71 億 9600 万円 ( 資本準備金 119 億1300 万円)
従業員数: 94 名
営業収益: 150 億 8400 万円(2010 年 3 月期)

金融商品取引業者登録:関東財務局長(金商)第 61 号
銀行代理業許可:関東財務局長(銀代)第 8 号
加入協会:日本証券業協会・金融先物取引業協会

三菱UFJ フィナンシャル・グループのオンライン専業証券会社。「リスク管理追求型」というコンセプトのもと、利便性と安全性を徹底的に追及した独自サービスを提供すると共に、多岐にわたる啓蒙活動を通じて「新しい投資スタイル」を提案している。ネット専業 証券では唯一オンライン トレード システムを自社で構築・運用。IT を積極的に活用した多様なアルゴリズム取引を提供する一方で、「1 秒保証」等の低レイテンシー取引も実現している。また 2003 年にオンライン証券初の「ISO9001」取得、2004 年に国内証券会社初の「ISMS 適合性評価制度(Ver2.0)」「BS7799-2:2002」認証取得、2006 年に金融機関初のIT サービス管理国際規格「ISO/IEC20000-1:2005」認証取得を実現するなど、マネジメントに関する数多くの先進的な取り組みも積極的に推進している。

今後は社内情報系システムに展開
本番システムへの適用も視野に

開発環境への Cisco UCS 導入はスタートラインに過ぎない。今後は他の領域へも Cisco UCSを展開することが検討されている。その 1 つとして挙げられているのが社内システムだ。ここにはファイル サーバやドメイン サーバ、IP 電話のコール マネージャが含まれている。カブドットコム証券の従業員数は 94 名だが「100 ユーザー規模の社内システムなら、冗長化を意識しても2 ブレードに収まるかもしれませんね」と谷口氏はいう。

顧客にサービスを提供する“ 本番システム”への展開も視野に入っている。ここを Cisco UCSで仮想化すれば、ハードウェア障害時や能力増強への対応も、スピーディかつ手軽に行えるようになるはずだ。またハードウェアと OS の分離が容易になるので、管理作業の役割分担も可能になる。例えばハードウェアの運用管理を外注し、社内の管理者は OS やアプリケーションにフォーカスする、といったことも考えられている。

本番システムでは、物理ノードを仮想マシンと同様に管理できるという、Cisco UCS の特徴も活きてくる。本番システムは負荷の増減が激しいため、必ずしも仮想化集約には向いていない側面がある。しかし物理ノードを仮想環境と統合して管理できれば、パフォーマンス上の要件によってはハイパーバイザーを動かさない、という選択肢を取ることも可能になる。

なおカブドットコム証券の本番システムには、Cisco UCS の導入と同時期に Cisco Nexus が導入されている。実はこれによって、業界でも他に類を見ないミリ秒単位の超高速トレーディングを可能にする、次世代ツール「kabu ステーション(TM)」が実現されているのだ。Cisco UCS と Cisco Nexus の導入は全く個別の案件として進められたものだが、両者の相性の良さは意識されている。 これらを組み合わせたシステムを構築すれば、さらに大きな導入効果が期待できる。

「Cisco UCS はサーバとネットワークを統合することで、仮想環境のあり方を大きく前進させました」と谷口氏。これをうまく運用すれば、10 分、20 分というオーダーで、システム変更に対応することも可能になるはずだという。「当社は経営陣の意思決定スピードが速いのですが、IT がそのスピードに追随しなければ意味がありません。Cisco UCS の導入は、当社のビジネスを加速する上で重要な意味を持っているのです」


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