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移動営業所の無線通信にシスコ3GワイヤレスWANを採用

ユーザ事例





移動営業所の無線通信にシスコ3GワイヤレスWANを採用
業界初の取り組みを高いセキュリティで実現


カブドットコム証券株式会社



カブドットコム証券株式会社

導入の背景/課題

  • 対面営業を中心としてきた大手証券会社が、相次いでネット証券に本格参入し、ネット証券業界の口座獲得競争も激しくなる中、この競争に勝ち抜いていくには新たな顧客接点が必要だと判断。そのひとつの手段として移動営業所を作ることになった。
  • 移動営業所には本社オフィスと同等の機能を、同一ポリシーで提供する必要があった。また機動性の確保も重要な課題となった。これらの要件を満たすには、セキュアで高速な無線通信が必要だった。
  • 当初は衛星通信やPCへの無線通信カード導入なども検討されたが、いずれの方法も通信帯域やコスト、セキュリティの問題があった。これらに対し、Cisco ISR 2800とシスコの第3世代ワイヤレスWANカードであるCisco HWIC-3Gの組み合わせは、高速通信を低コストで運用でき、セキュリティの確保も容易だった。

導入ソリューション

  • Cisco ISR 2800シリーズ
  • Cisco HWIC-3G

導入効果(期待される導入効果)

  • 通信経路として第3世代携帯電話網を使用するため、低コストで運用可能。またHSPA(High Speed Packet Access)をサポートしているため、高速な通信も実現できる。
  • 通信設定などの情報をルーターで管理でき、IPsec VPNもサポートしているため、セキュアな運用が可能。
  • 筐体サイズが小さく、消費電力も小さいため、車内の限られたスペースにも設置しやすい。
  • 複数のCisco HWIC-3Gを連携させて動かすこともできるため、パフォーマンスの拡張や冗長性の確保も行いやすい。

2008年10月10日、東京・日本橋に1台のユニークな車両がお目見えした。まるでホテルロビーのような内装を持つ、カブドットコム証券の移動営業所だ。「移動可能な証券営業所」は業界初の取り組みであり、大きな注目を集めている。この移動営業所と本社システムとの接続に活用されているのが、シスコの第3世代ワイヤレスWANである。スケーラブルな高速通信と高いセキュリティ機能によって、営業活動に必要なあらゆる機能を、本社オフィスと同一ポリシーで提供することに成功。またコンパクトな製品サイズや消費電力の低さも高く評価されている。カブドットコム証券は今後、この移動営業所によるサービスを全国展開していく予定。また新たなビジネススタイルを確立するためのモデルとしても、大きな期待を寄せている。

顧客との新たな接点を求め移動営業所の運用をスタート

 「貯蓄から投資へ」の流れを創り出す上で、大きな貢献を果たしているネット証券。インターネット経由での株式売買はもはや当たり前のものになっており、それに伴って国内の投資家層も大幅に拡大している。その源流は1998年の日本版金融ビッグバン。この年以降、多くのネット証券が相次いで誕生したことはご存じの通りだ。  それから約10年、ネット証券業界は大きな曲がり角にさしかかっている。対面営業を中心に活動してきた大手証券会社が2006年頃から相次いでネット証券に本格参入し、競争が激化しているのだ。また顧客獲得の武器のひとつだった手数料値下げ競争も、すでに限界水準にまで達している。ネット証券が今後もビジネスを拡大するためには、新たな取り組みが求められているのである。

 この課題に対応するため、フルカスタマイズされた車両による「移動営業所」というユニークな取り組みを開始したのが、カブドットコム証券だ。  同社は1999年に設立されたネット専業証券。「リスク管理追求型」というコンセプトのもと、利便性と安全性を徹底的に追及した独自サービスを提供すると共に、多岐にわたる啓蒙活動を通じて「新しい投資スタイル」を提案することで、この業界をリードし続けてきた。ITに関する技術力も極めて高く、ネット専業証券では唯一、オンライントレードシステムを内製していることでも知られている。

 また2003年にオンライン証券初の「ISO9001」取得、2004年に国内証券会社初の「ISMS適合性評価制度(Ver2.0)」「BS7799-2:2002」認証取得、2006年に金融機関初のITサービス管理国際規格「ISO/IEC20000-1:2005」認証取得を実現するなど、マネジメントに対する数多くの先進的な取り組みも積極的に推進してきた。2008年10月には前述の「移動営業所」の運用をスタート。これも業界初の取り組みとして、大きな注目を集めているのだ。

 「移動営業所の目的は大きくふたつあります」と説明するのは、カブドットコム証券株式会社 営業執行役 営業統括部部長の中島 俊一氏。ひとつは2009年1月をめどに施行される株券電子化に先立ち、箪笥株を保有する投資家への啓蒙活動を推進することだ。株式投資に関するセミナー会場にこの移動営業所を持ち込むことで、よりスムーズに株券電子化の支援を行えるようになる。そしてもうひとつの目的は、新たな顧客接点を確立することだという。





中島 俊一 氏

「ネットの世界ではお客さまとの接点が限られます。移動営業所の目的は、 お客さまのもとに直接飛び込むことで、新たな接点を確保ことにあります」
カブドットコム証券株式会社
営業執行役
営業統括部部長
中島 俊一 氏

「ネットの世界ではお客さまとの接点が限られてしまいますが、直接対面できるようになれば、より深い接点を得ることが可能になります。もちろん他の証券会社のように、一等地に店舗を構えてお客さまとお付き合いする方法もあります。しかし私どもは移動式の店舗によって、お客さまのいらっしゃる場所に直接飛び込んでいこうと考えたのです」

基本コンセプトは、移動可能なプライベートバンキングオフィス

今回導入された「移動営業所」。社外の大型スクリーンでミニセミナーを行うことも可能。

「移動営業所」の室内。こちらで個別のお客様対応を行う。

(上)今回導入された「移動営業所」。社外の大型スクリーンでミニセミナーを行うことも可能。
(下)「移動営業所」の室内。こちらで個別のお客様対応を行う。

 カブドットコム証券で移動営業所の製作検討が本格的に始まったのは2008年3月。まず技術的な実現可能性の調査が行われ、4月末には正式なゴーサインが出されたという。「基本コンセプトは移動可能な“プライベートバンキングオフィス”の実現」と中島氏。機動性の高い2トンクラスのバン車両で、どこまでこのコンセプトを具現化できるのか。これが最大の課題だったという。  決して広くはない車内スペースで、まるでホテルのロビーのような、暖かみのある高品位な空間を演出すること。この目的を達成するため、内装には様々な工夫が凝らされている。例えば壁は落ち着きのある木質系素材を使用し、クリーム色を基調とした、明るいながらも落ち着いたカラーリングを採用。ゆったりと座れるソファーは臙脂色で高級感を演出している。照明にはLEDライトを使用。これによって限られた天井高を最大限に活かしているのだ。

 もちろん技術的な課題は内装だけにあったわけではない。「この移動営業所には営業に必要なすべての機能を取り込む必要がありました」というのは、カブドットコム証券株式会社 システム統括部 シニアマネージャー ITプロフェッショナル・エバンジェリストの谷口 有近氏。そのためには本社オフィスで利用できるすべてのシステム機能にアクセスできなければならない。もちろんセキュリティポリシーも本社オフィスと同一であることが要求される。「移動営業所の最大の目的は、私どものサービスを直接体験していただくことでお客さまとの距離を縮めることですが、それと同時に守るべきものはきちんと守る必要があります。この背反する要求を実現することも、重要な技術的要件となったのです」  この要件を満たすには、セキュアな車両構造や安定した電源の確保など、内装以外にも多岐にわたる条件を満たさなければならない。また本社システムと接続するためのネットワーク機器の選択も重要だ。高い機動性を確保するには無線通信が望ましいが、それと同時に通信スピードやセキュリティの確保も求められるからである。また限られたスペースに格納できる設置性も必要だ。

 これらの要件をどのようにしてクリアしていくか。カブドットコム証券が出した解答は、シスコの3GワイヤレスWANによる高速データ通信ソリューションの採用だったのである。

本社と同一ポリシーで運用するため無線通信にシスコ製品を採用

 もちろんこの答えにたどり着くまでには、複数の手法が検討の俎上に乗せられることになった。そのひとつとして挙げられたのが衛星通信だ。しかし衛星通信は山間部でも通信可能という利点を持つが、コストが高く、帯域も64〜128kbpsと狭い。そのため本社システムの機能すべてにアクセスするには力不足だと判断された。

谷口 有近 氏

「移動営業所には、本社オフィスと同等の機能とセキュリティが求められます。シスコなら最適な形でこの要求を満たせると評価しました」
カブドットコム証券株式会社
システム統括部
ITプロフェッショナル・エバンジェリスト
谷口 有近 氏

カブドットコム証券ワイヤレスWAN構成図

 各PCに無線通信カードをセットして、PCと本社システムをダイレクトに接続する方法も検討された。しかしこれもセキュリティ上のリスクがある。通信設定が各PCに保存されるため、万一PCが社外に持ち出された場合に問題が発生してしまうのだ。また通信経路を冗長化することも難しい。各PCに2枚ずつ通信カードをセットするのは、現実的な解決策とはいえない。  「最終的にシスコ製品が採用されたのは、これらの問題をクリアする上で最適なソリューションだと評価したからです」と谷口氏。まずHSPA(High Speed Packet Access)をサポートしているため、下りの最大スピードを1回線あたり3.6Mbpsまで高められる。通信網として第3世代携帯電話網を使用するため、衛星通信に比べてはるかに低コストで運用できる点も大きなメリットだ。またCisco ISR(Integrated Service Router)2800シリーズにカードを差し込む形で利用するため、各PCはこのルーターに接続するだけでいい。通信設定はCisco ISR 2800に保存されるので、これさえ固定しておけば、セキュリティ上のリスクも大幅に低減できる。さらにIPsec VPN機能を専用チップで提供しているため、通信経路の安全性も確保しやすい。「これなら本社オフィスと同一ポリシーで、同等機能の提供が可能になります」

 機器のサイズがコンパクトなことも重要なポイントだ。1Uラックサイズの筐体は、わずか4cm強の高さしかない。また電力消費が少ないことも移動営業所に適しているという。冗長性やスケーラビリティの確保も容易だ。すでに移動営業所のCisco ISR 2800には、2枚のCisco HWIC-3Gがセットされている。通信を並列で行うことでパフォーマンスを高める一方で、片方がダウンした場合でも通信を継続できる環境を実現しているのだ。  「実は本社側のネットワークもシスコ製品をスタンダードとして構築しています。移動営業所もシスコ製品を採用することで、全社的なスタンダードへの準拠が可能になりました。スタンダードを決めてその運用を徹底することは、安全なネットワークを実現する上で最も重要なことなのです」(谷口氏)

東京を皮切りに全国での活動を開始
成功すれば2号店、3号店の展開も

Profile

カブドットコム証券株式会社
本社:東京都中央区新川1-28-25 
東京ダイヤビルディング3号館
設立:1999年(平成11年)11月
従業員数:81名
営業収益:206億7400万円(2007年度)

1999年に設立されたネット専業証券。「リスク管理追求型」というコンセプトのもと、利便性と安全性を徹底的に追及した独自サービスを提供すると共に、多岐にわたる啓蒙活動を通じて「新しい投資スタイル」を提案。ネット専業証券では唯一、オンライントレードシステムを内製していることでも知られている。また2003年にオンライン証券初の「ISO9001」取得、2004年に国内証券会社初の「ISMS適合性評価制度(Ver2.0)」「BS7799-2:2002」認証取得、2006年に金融機関初のITサービス管理国際規格「ISO/IEC20000-1:2005」認証取得を実現するなど、マネジメントに対する数多くの先進的な取り組みも積極的に推進。2008年10月にスタートした「移動営業所」の運用も、業界初の取り組みとして大きな注目を集めている。
http://kabu.com/

 移動営業所の車両設計が始まったのは2008年6月。8月には製作が開始され、10月8日に完成した。前述のようにホテルロビーのような内装を持つ他、車両外側には2つの大型スクリーンも用意され、車外でミニセミナーを行うことも可能。もちろん携帯電話が通じる場所であればどこででも本社システムと接続でき、本社オフィスと同等の環境で業務を行うことができるのだ。  環境負荷への影響を最小限に抑えている点も見逃せない。ベースとなる車両は低排出ガス車認定制度適合車両であり、LEDの採用で白熱灯に比べ消費電力を80%以上削減。移動営業所の運用で排出されたCO2への対応としてカーボンオフセットも採用されている。もちろんCisco ISR 2800とCisco HWIC-3Gの採用も、環境負荷低減に貢献していることはいうまでもない。

 「いい技術はどんどん使うのがカブドットコムのポリシーですが、この移動営業者も最先端技術を集約した、ハイテク感溢れるものに仕上がったと思います」と谷口氏。また中島氏も「移動営業所には店舗機能だけではなく、広告塔としての役割も期待されていますが、これならその役割も十分に果たすことができます」と満足そうに語る。  10月10日には、三菱東京UFJ銀行 日本橋支店において、そのお披露目も行われた。その後も津田ホールにおける株スクールや、11月1〜2日に東京ドームシティで行われた「国際分散投資フェア ATIC@Tokyo '08」にも出店している。この後は東京だけではなく、日本各地で活動を展開する予定になっている。

 「株式投資に興味を持っていらっしゃる方が多数集まる所に出向くこと、これが基本的な活動方針です」と中島氏。各地で開催される株式投資関連のイベント等には、積極的に参加していきたいという。またカブドットコムは三菱フィナンシャルグループの一員として、三菱東京UFJ銀行とも緊密な提携関係にある。この関係を活かし、全国に600以上ある銀行店舗でセミナーを開催し、そこに移動営業所を持っていくことも計画しているという。  「このような形でミニ店舗を展開するのは、今後新しいビジネススタイルになる可能性があります。1号店がそのモデルとして成功すれば、2号店、3号店も検討したいと考えています」

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