モビリティ ソリューション

ビジネスの継続性を支援するシスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューション

ソリューション概要





ビジネスの継続性を支援するシスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューション



概要

今日のビジネス機会は、もはや地理的距離やタイム ゾーンに制限されません。従業員の地理的分散はさらに進み、ビジネスにおけるモバイル機器の利用もグローバル経済による成長の追風に乗って拡大しています。しかし業務を効率よくこなすためには、社外からでも生産性ツールやビジネス アプリケーションにアクセスする必要があります。Cisco Unified Wireless Network の一部であるシスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションは、モバイル エクスペリエンスの継続性を支援します。本ソリューションは、Cisco モビリティ サービス エンジン(MSE)に搭載する Mobile Intelligent Roaming ソフトウェアで構成されています。また、オープン API によってサードパーティ アプリケーションや様々なモバイル機器を統合することができ、ネットワークやデバイスをまたがったビジネス アプリケーションのシームレスなローミングを可能にします。これによって、異なるネットワークを移動しながら各種のクライアント デバイスやアプリケーションを使用する従業員の生産性がおおいに向上します(図 1)。

図 1.シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューション: 複数のアプリケーション、デバイス、ネットワークにまたがるビジネス エクスペリエンスの継続

図 1. シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューション: 複数のアプリケーション、デバイス、ネットワークにまたがるビジネス エクスペリエンスの継続


ビジネス上の課題

現在、モバイル従業員の多くが、Wi-Fi を組み込んだノート パソコンや第三世代(3G)カードを利用しています。今後、ビジネス用ノート パソコンは Wi-Fi、3G 高速パケット アクセス(HSPA)、EVDO、WiMAX をはじめとする複数の無線インターフェイスへの対応が進み、インターフェイスの使い分けによって移動中の接続状態を維持するようになると予想されています。最近ではデュアル モード(Wi-Fi と移動体通信)電話端末の使用が急増しました。これら機器の売上げは、2009 年までに Wi-Fi 携帯端末全体の売上げの 90% を締めると予想されます。1また、ノート パソコンに加えてデュアルモード携帯端末を、移動体通信ネットワークや勤務先の WLAN、ホットスポット間のローミングが可能な生産性ツールとして、連絡先をまとめるのに利用しているモバイル従業員もいます。デュアルモード携帯の利用により、モバイル従業員の到達可能性が改善し、アプリケーションの帯域幅が拡大されると同時に、移動体通信ネットワークが弱い場所でも内蔵 WLAN でカバー可能になります。

ノート パソコンやデュアルモード携帯の普及にもかかわらず、エンドユーザのビジネス エクスペリエンスは不均一で、その結果、ネットワーク間のローミングも不安定となっています。エンドユーザ エクスペリエンスが安定するということは、アプリケーションや音声、データが途切れないというだけでなく、セキュリティ設定や認証などのユーザ プロファイルの安全性も増すことを意味します。

次の 3 つのシナリオは、ビジネス アプリケーションの継続性に関する例です。

シナリオ 1:あるモバイル営業担当者が有線 IP 電話で電話会議を行っていたところ、他の階で働いている同僚との共同作業が必要なことに気付き、有線 IP 電話のモバイル機能を使って電話会議を自分のデュアルモード端末に送信しました。電話会議は自動的にデュアルモード端末へと転送され、企業 WLAN 内にいたこの営業担当者は、WLAN を利用して通信を続行しました。これで身動きが自由になり、必要に応じて同僚と共同作業しながら会議を進行していましたが、次のアポイントメントに向けて出発しなければならない時間になったため、そのまま会社を後にしました。彼が会社を出ると同時に、デュアルモード端末は会社の WLAN から移動体通信ネットワークへと自動的に切り替わり、アポイント先への移動中も電話会議を続けることができました。

シナリオ 2:製品の配送を担当しているあるトラック ドライバーは、PDA を使って倉庫にいる際は WLAN、流通センターに向かっている間は移動体通信ネットワーク経由で在庫管理アプリケーションにアクセスしています。目的地に到着後したこのドライバーは在庫管理システムと通信を続け、配達状況を倉庫の WLAN にリアルタイムで更新しました。これら一連の流れは、ドライバーがアプリケーションを切り替えたり、複数ネットワークを移動するたびにログインする手間をかけることなく、スムーズに自動処理されています。

シナリオ 3:病院へ向かう途中、デュアルモード携帯の移動体通信ネットワークを利用して、緊急治療チームに重要な指示を送っていたある医師は、肺の専門家と話し合う必要があることに気付きました。そこで、電話しながら専門家の連絡先を検索し、三者間の電話会議を始めました。緊急治療室に入ると、モバイル ルーティングは移動体通信ネットワークから、最もコスト効率の良く安全な病院の WLAN へとシームレスに切り替わり、サービスや電話会議を中断することなく、指示を送り続けることができました。

現在、円滑なローミングを実現する各種ソリューション アーキテクチャを扱うベンダーはいくつか存在しますが、これらのソリューションは、いずれも音声通話の連続性しか考慮していない傾向があります。さらに、消費者向けサービス プロバイダ ソリューションか、ビジネス ユーザ向けのエンタープライズ ソリューションかによってアプローチが異なります。しかし、音声とデータの両アプリケーションでセッションの持続性を確保するというニーズに配慮したソリューションはない上、これらのソリューションは WLAN ネットワークを利用しないため、シグナル強度のみに基づいて局所決定を行います。

1出典:Infonetics Research, Inc. WiFi Phones Equipment Market Share and Forecast, 2006

モバイル インテリジェント ローミングの仕組み

モバイル インテリジェント ローミング ソリューションの主要コンポーネントは、Cisco Unified Wireless Network の一部としてモビリティ サービス エンジン上で稼働するソフトウェアです。このソフトウェアはデバイスに通知を送信し、利用可能な他のネットワークへと自動的にローミングする高度な技術を備えています。企業ネットワークの知識に基づくこのソリューションは、モバイル従業員が WLAN から移動体通信ネットワークへのローミングまたはその逆のローミングを行う際、企業の WLAN にシグナル強度やネットワークの可用性、実行中のアプリケーションとデバイスの種類をサポートする QoS(Quality of Service)に関する最も正確な情報があることを前提としています。Cisco Mobile Intelligent Roaming Software はクライアント デバイスに通知を送り、デバイスはこの情報に基づいてネットワークの切り替えを判断します。企業 WLAN は IT 部門で厳密に管理されているため、IT 部門は シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションを利用することで、アプリケーションが途切れないようネットワークのカバー範囲を確保できます。ネットワーク圏外については、代替ソリューションを使用することで、アプリケーションの連続性を積極的に確保できます。

ハンドオフとハンドイン

シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションは、クライアント デバイスで WLAN から移動体通信ネットワークへとスムーズにローミングするハンドオフと、移動体通信ネットワークから企業 WLAN へスムーズにローミングするハンドインの 2 つの方法でクライアント デバイスのローミングを可能にします。

最も一般的なアークテクチャでは、受信信号強度インジケータ(RSSI)のレベルまたはネットワーク信号の強度に基づいてハンドオフ プロセスを開始します。この場合クライアント デバイスは、直接またはサードパーティのゲートウェイ経由で企業の PBX に送信されたハンドオフ通知を起動し、コールを移動体通信ネットワークに転送します。WLAN 信号が一時的にドロップしたり、建物内の移動体通信ネットワークの強度が十分でない可能性があることから、このアプローチ自体はあまり安定したものではありません。その結果、コールが WLAN ネットワークに戻され、コールの切断やエンドユーザ エクスペリエンスの低下を招きます。

ハンドオフ通知を最適なタイミングで送信するには、ネットワーク内のアクセス ポイント位置やクライアント負荷など、他のネットワーク パラメータを考慮し、ハンドオフ通知を送信する前にカバー範囲に関する最も正確な情報を入手することが重要です。図 2 は、コールを WLAN から移動体通信ネットワークへとハンドオフする際の典型的なプロセスです。なお、この図 2 では、音声アプリケーションのみのハンドオフを示している点に注意してください。

図 2 クライアント制御によるハンドオフ プロセス

図 2 クライアント制御によるハンドオフ プロセス


モバイル インテリジェント ローミング ソリューションは、Cisco の固定通信と移動通信の融合戦略において重要となるコンポーネントです。このサービスは、Cisco の各種モバイル ビジネス ソリューション上に構築し、それら機能と連動して(特にシングルナンバー リーチなどのビジネス生産性機能)、シームレスなモバイル コラボレーションを実現します。

Wi-Fi と移動体通信ネットワーク間のローミングをシームレスに行う Cisco Mobile Intelligent Roaming Software は、Cisco モビリティ サービス エンジンが提供するオープン API 経由で、デバイス、アプリケーション、ゲートウェイ ベンダーのいずれからもアクセスできるため、ベンダーに関しては市場で最も包含的なソリューションとなっています。オープン API は、多様なインフラや企業の導入ニーズを満たすよう設計されています。

ソリューション

シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションには次のコンポーネントがあります。

クライアント デバイス

モバイル従業員が複数のオペレーティング システムやワイヤレス ネットワーク上で使用可能なモバイル インターネット デバイス(MID)などの音声およびデータ デバイスで、フォーム ファクタはエンドユーザのニーズと作業環境によって異なります。シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションでは当面、現在普及している Wi-Fi と移動体通信の両方に対応したクライアント デバイスに重点を置く予定ですが、将来的には WiMAX、パッシブ RFID、その他のワイヤレス ネットワークへの対応も検討しています。

Cisco Unified Wireless Network
有線および無線ネットワークの両方に対応可能な唯一の多目的ソリューションで、シスコ コンテキスト アウェア モビリティ ソリューションなどの高度なサービスを利用できるほか、実装は簡単でトラブル シューティング機能も搭載されています。Cisco Unified Wireless Network を広範に実装すれば、モバイル インテリジェント ローミング ソリューションの威力を高めることができます。

Cisco モビリティ サービス エンジン(MSE)
Mobile Intelligent Roaming Software が搭載されるプラットフォームで、Cisco Unified Wireless Network のコア コンポーネントです。Cisco MSE は、その他のモジュラー サービスを活用して、クライアント デバイスにおける異種アプリケーション間のシームレスなローミングを可能にします。

Cisco Mobile Intelligent Roaming Software
MSE 上で稼働するこのソフトウェアは、ネットワーク ステータスの可視性と可用性に関する通知を送信し、クライアント デバイスが他のネットワークへシームレスにローミングするタイミングと手段を決定する上でサポートします。

オープン API
Cisco Mobile Intelligent Roaming Software がローミング トリガー生成に必要な情報をすべて取得すると、クライアント デバイスはオープン API 経由で MSE に登録され、トリガー情報が受信可能な状態になります。API は SOAP/XML プロトコルを採用しており、ビジネス プロセスへの統合に合わせて変更できます。

クライアント デバイス用 Cisco Compatible Extensions
Cisco Unified Wireless Network に搭載されている Wi-Fi 規格をはじめとする、セキュリティや QoS、バッテリ電力の節約に関連する革新的な各機能のメリットを十分に活用するために、クライアント デバイスにはシスコ互換デバイスの使用が推奨されます。このプログラムによって認証されたクライアント デバイスは、Cisco Unified Wireless Network などの高度な機能をフルに活用できることが保証されます。

Cisco Unified Wireless Network の一部である モバイル インテリジェント ローミング ソリューションは、企業向け Cisco Service-Oriented Networking Architecture(SONA)に基づいており、優れたカスタマー エクスペリエンスを提供する上でのプラットフォームとなる、適応性が高く、機敏でインテリジェントなネットワーク構築をサポートします。

ビジネス上のメリット

有線ネットワークとは異なり、無線ネットワークは常に変動することでクライアント デバイスの接続ニーズを満たします。同時に、企業におけるデュアル モード端末数の増加に伴い、ワイヤレス ネットワークを適正化することで、デバイスが最適なネットワークを選択して利用できるようにする必要が生じます。シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションの主なメリットは、次のとおりです。

  • 途切れないビジネス エクスペリエンスでエンド ユーザのインタラクションを強化し、ユーザのログイン回数を減らすことで生産性の向上を実現します。
  • カバー範囲と帯域幅に基づいて最適なネットワーク(WLAN または移動体通信)を選択することで、建物内での利用状況を向上させます。
  • アプリケーションの実行に最適なネットワークを選択し、ネットワーク リソースの効率利用とクライアント デバイスの最適化によって、バッテリ電力の節約などのメリットを生み出します。
  • 移動体通信ネットワークから WLAN ネットワークへとシームレスにローミング可能なため、アプリケーションが途切れず、同時に最もコストの安いルーティング ソリューションをエンド ユーザに提供することで携帯電話料金を節約します。

シスコが選ばれる理由

ネットワークを専門家集団であるシスコは、シームレス ローミング業界ナンバーワンの、強力で汎用性が高く、包括的なソリューションを提供しています。シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションは、ネットワークにおけるインテリジェンスを活用することで、サードパーティのデバイスやアプリケーション、ミドルウェアを統合し、アプリケーションの連続性に対するお客様のニーズを満たします。

関連情報

シスコ モバイル インテリジェント ローミング ソリューションの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/go/mobileroaming/
Cisco オープン API の詳細については、次の URL を参照してください(Cisco パートナーのみ)[英語]。
http://www.cisco.com/cgi-bin/dev_support/access_level/product_support
Cisco モビリティ サービス エンジンの詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/go/mse/
Cisco Unified Wireless Network の詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/go/unifiedwireless/