業務の効率化による競争力の向上

フロントオフィスおよびバックオフィス業務の統合による顧客対応力の強化と収益性の向上


次のステップ

2 人の運送業者が、お互いの動きをまったく意識することなく、巻き上げたカーペットを運ぼうとしているところを想像してください。この 2 人はそれぞれカーペットの片方を肩に担ぎ、反対の方向にカーペットを運ぼうとします。当然、この 2 人は何もできず、ついにはカーペットを床に落としてしまうでしょう。

中堅・中小企業のフロントオフィスとバックオフィスでは、このような状況が頻繁に起きています。多くの場合、フロントオフィスとバックオフィスは異なる役割を担っているため、それぞれの職務を担当する社員は自分たちの業務しか見ていません。フロントオフィスとバックオフィスの社員が、企業のビジネス目標の達成に向かって協力することはあまりありません。その結果、企業の方向性が定まらず、成長や競争力強化が阻害される原因になります。

このような企業では、ビジネス目標、業務プロセス、および企業行動の改善や業務の統合を通じて、顧客満足度の向上、企業の成長の促進、および市場シェアの向上を実現することが強く求められています。フロントオフィスおよびバックオフィスの業務ソフトウェア アプリケーションにコンピュータ ネットワーキング システムを組み合わせると、フロントオフィスおよびバックオフィス業務の統合を実現するのに役立ちます。

業務統合の計画化

業務の統合を行う前に、業務の内容を定義する必要があります。たとえば、フロントオフィス業務は顧客対応を行う業務であるため、顧客や顧客のニーズの把握が不可欠です。営業、マーケティング、受注、顧客サービスなどはフロントオフィス業務の代表例です。バックオフィス業務は、通常、トランザクションベースおよびルールベースの業務であるため、データの管理や記録が重視されます。バックオフィス業務には、経理、会計、製造、在庫管理、配送、出荷などがあります。

フロントオフィスとバックオフィスの業務がネットワークを介して統合されていないことは、多くの中堅・中小企業に共通する課題です。この場合、社員が組織の壁を越えて情報を共有するのは容易ではありません。

中堅・中小企業は、顧客ニーズを把握していることを強みに思っています。しかし、業務の統合が不十分だと情報が散在してしまい、営業力が低下したり、有効な顧客管理を行うことができなくなります。逆に、フロントオフィスとバックオフィスの業務を統合した場合には、次のようなことを実現できます。

  • 差別化による競争力の強化: 業務を統合すると情報の共有化が促進され、どこにいても顧客に関する詳細な情報を得ることができます。これにより、個々の顧客のニーズに合わせて製品やサービスを提示することが可能になります。
  • 生産性およびデータ精度の向上: システムを統合するとデータの再入力を最小限に抑えて、入力ミスや内容の不整合を少なくすることができます。
  • 収益の向上と業務コストの削減: 顧客の購買パターンを詳細に分析して拡販の機会を把握することにより、顧客により多くの製品やサービスを対象を絞って提示することが可能になります。また、業務プロセスの効率化によって間接費用を削減できるため、営業コストの削減も可能になります。
  • 情報フローの改善: 部門を越えて情報を共有することは、リアルタイムの迅速な顧客サービスを提供する上で非常に重要です。また、このような情報共有は、財務情報開示の精度と信頼性を高めることを目的に制定された米国の Sarbanes-Oxley 法(SOX 法)などの政府規制によるプロセス効率化義務に従う場合にも不可欠です。
  • 回収業務と損失の削減: システムを統合すると、企業のセールス チームは顧客の支払い履歴を参照して、受注する前に顧客の支払い能力を確認することができるようになります。このため、セールス スタッフは状況を十分に確認した上で、商談の遂行や拒絶を判断できます。

統合を可能にするネットワーク テクノロジー

効果的な統合を実現するには、高度なソフトウェア アプリケーションが必要です。また、インテリジェントなネットワーク テクノロジーを使用すると、統合の利点を十二分に生かすことができます。統合には次のような利点があります。

  • 高性能 LAN: フロントオフィス/バックオフィス間での部門を越えたコミュニケーションを実現するには、迅速な情報フローが必要です。ファスト イーサネット(100 Mbps)LAN やギガビット イーサネット(1000 Mbps)LAN は、業務アプリケーションをサポートする通信インフラストラクチャやユーザと業務アプリケーションを接続する先進技術の基盤となります。
  • 広帯域 WAN: 高性能 WAN は、企業と顧客、パートナー、および政府機関との間のインタラクティブなリアルタイム通信をサポートします。
  • ネットワーク セキュリティ: ネットワーク セキュリティ技術には、ファイアウォール、侵入検知/侵入防御システム、ウイルス対策システム、セキュリティ管理、および Virtual Private Network(VPN; バーチャル プライベート ネットワーク)などがあり、リモート セキュリティ、情報プライバシー、および機密保護を実現します。
  • IP コミュニケーション: データ、音声、およびビデオの統合システムを使用すると、高度なアプリケーションのサポート(通常、特定の業界に固有のアプリケーション)が可能になり、さまざまな場所で柔軟に顧客サービスを提供できるようになります。
  • ストレージ ネットワーキング: Storage Area Network(SAN; ストレージ エリア ネットワーク)を利用すると、大容量のオンライン アーカイブ、リアルタイム情報アクセス、およびバックアップ機能を既存のネットワーキング システムと統合して、ビジネスの耐障害性を高めることができます。

個々のネットワーク テクノロジーは、フロントオフィスとバックオフィスの統合を実現するパーツです。企業が必要としているシステム統合を実現するには、これらのパーツを組み合わせて使用する必要があります。

業務統合の実施

企業では、幅広いフロントオフィス アプリケーション、バックオフィス アプリケーション、およびミドルウェア ソフトウェア アプリケーションが使用されます。また、個別のシステムを統合するのに有効な各種ネットワーク テクノロジーも多岐にわたります。中堅・中小企業に適したソリューションは数多く存在しますが、どのソリューションを使用する場合でも、いくつかの基準を満たす必要があります。

第 1 に、ネットワーク ソリューションでは、プライバシーと機密性を保証する必要があります。ネットワークはアプリケーション間を接続するだけでなく、すべての通信のプライバシーと機密性を確保する必要があります。さらに、企業の意志決定者に矛盾のない包括的な顧客データを提供できるように、プロセスとシステムを調整する必要があります。中堅・中小企業では、調整を行うのは難しいと考えられるかもしれませんが、次の 3 つのガイドラインが役に立ちます。

  • システムの設計は、バックオフィス側からフロントオフィス側ではなく、フロントオフィス側からバックオフィス側に向かって進めます。情報システムは顧客中心で考え、バックオフィス アプリケーションが顧客対応をサポートするように設計する必要があります。
  • バックオフィス業務をサービス プロバイダーにアウトソースする場合には、自社のシステムとプロバイダーのシステムの相互運用性を確認します。
  • インテリジェントなネットワーク テクノロジーと業務アプリケーション ソフトウェア(およびミドルウェア)が連携して動作するようにします。どちらかが欠けると、十分な機能が発揮できません。

ポイントツーポイント型の通信ではなく、マルチポイント型の通信を実現するソリューションを構築する必要があります。情報は個人だけでなく、さまざまなグループ間でやり取りされる必要があります。

また、ネットワーク ソリューションはスケーラブルで耐障害性に優れ、リアルタイム型の通信が利用できるものでなければなりません。これは、優れた顧客対応の実現に不可欠な要件です。企業の情報システムは迅速なやり取りが可能で、企業の成長や変化に合わせて社員や部門の変更に容易に対応できる必要があります。最後に、いかなるビジネス機会や危機的状況が生じた場合でも業務や顧客対応を継続できるように、いつでも情報にアクセスできる耐障害性に優れたソリューションを実現する必要があります。

競争の激しい時代に必要なソリューション

競争の激しいビジネス環境において、中堅・中小企業がビジネス機会を逃すことは許されません。フロントオフィス業務とバックオフィス業務の情報統合を実現すると、製品やサービスの差別化が可能になり、競争力の大幅な向上につながります。システム統合を実現すると、企業が成長し業務が複雑化した場合でも、個々の顧客に合わせた対応を維持できます。このように、大企業のような優れた業務を実現しながら、意志決定の速い小規模企業の利点を生かすことができます。このようなソリューションを実現するテクノロジーは既に存在しています。ネットワーク統合を真剣に検討するかどうかは、各企業の判断にかかっています。