サービス プロバイダー向けメディアネット

メディアネット時代に向けたシスコのメディア最適化テクノロジー

ホワイトペーパー





メディアネット時代に向けたシスコのメディア最適化テクノロジー:サービスプロバイダーからエクスペリエンス プロバイダーへの転換を加速



イントロダクション

サービスプロバイダー業界の変革につながる次の大きな技術革新は何でしょうか。テレビとインターネットの境界がなくなったらどうなるのでしょうか。固定的で一方通行であるビデオ配信のサービス モデルを、パーソナル、ソーシャル、かつインタラクティブで豊かなメディア エクスペリエンスを提供するプラットフォームに転換するために、サービスプロバイダーはどうすればよいのでしょうか。評論家はこのような問題について議論をするだけですが、サービスプロバイダーはこれに答えを出す必要があります。それも、今すぐにです。

テレビ サービスをただ配信するだけではもう十分ではない、というのがサービスプロバイダーの認識です。今日のユーザは、より豊かで高品質のメディア エクスペリエンスと、より多くの種類のコンテンツへのアクセスを求めています。ビデオ エンターテインメントに期待されているのは、インターネットと同じようなインタラクティブで、パーソナルで、可動性(モビリティ)・制御性(コントロール)のあるサービスです。そして、いつでもどこからでも、さまざまな機器や画面上であらゆる種類のコンテンツを選んでアクセスできることが求められています。

「コネクテッド ライフ」の実現には、課題も伴います。新技術を利用できる環境と、急成長するビデオ トラフィックを収容できるまったく新しいサービス ネットワークが必要です。しかし、このような課題に対処できるサービスプロバイダー、つまり従来型のサービスプロバイダーから次世代の「エクスペリエンス プロバイダー」へと転身できるサービスプロバイダーこそが、市場シェアを拡大し、ARPU(Average Revenue Per User; 加入者 1 人あたりの平均売り上げ)を向上させ、カスタマー ロイヤルティを高め、競争相手の一歩先を行くことができるのです。

次世代のカスタマー エクスペリエンスと、従来にない収益モデルを実現するために、サービスプロバイダーはネットワークを進化させて、リッチメディアに最適化されたインテリジェント ネットワークを作り上げる必要があります。それがメディアネットです。シスコのビデオ戦略の背後には、常にエンドツーエンドのメディア最適化ネットワークの提供がその推進力として存在しています。シスコは業界で最も幅広くビデオ製品を提供しています。家庭、ビジネス、サービスプロバイダーのネットワークにインテリジェント テクノロジーを盛り込むことで、よりビジュアルで、ソーシャル、かつパーソナルな体験をお客様に届けます。同時に、サービス配信の効率と拡張性を高めることによって、新サービスを複数のマーケットで一斉に開始したり、新しい収益源を開拓したり、困難な経済環境をうまく乗り切ることができるように、サービスプロバイダーを支援します。

このホワイト ペーパーでは、メディアネットに最適化されたシスコのテクノロジーを使用することでサービスプロバイダーが実現できる、卓越した機能と効率化について説明します。サービスプロバイダーは、シスコのソリューションを利用することによってインテリジェントなインフラストラクチャを構築できます。これにより、サービスプロバイダー ネットワーク全体、企業間、そして顧客の家庭内で、最適な顧客体験とリッチ メディア サービス(とりわけ、ビデオ)の拡張性を提供することができます。

次世代のメディアの課題

サービスプロバイダーは、変化し続ける顧客の要求を満たそうと努力する中で、次のような大きな流れに適応することが求められています。

  • ビデオ トラフィックの急増:最近の Cisco Visual Networking Index Study によると、世界全体の IP トラフィックは 2012 年までに 1 か月あたり 44 エクサバイト(10 の 18 乗)に到達すると見込まれています。これは 2007 年全体のトラフィックの 6 倍以上に相当します。その増加の主な原因はビデオです。同じ研究の推定によると、ビデオが 2012 年のIP トラフィックの約 90% を占めるとされています。
  • コンテンツのソースの拡大:大手スタジオが作成したコンテンツをユーザに届けるという一方向の枠組みは崩れました。専門家が作成して大手配給会社が提供するコンテンツも引き続き多くの視聴者を集めると考えられますが、もっと小規模にセミプロが作成した、大衆向けでないコンテンツがユーザ向けエンターテイメントにおいて果たす役割が、大きく成長すると見込まれます。また、顧客は外国語のコンテンツを求めることが多くなっています。たとえば、インド系の顧客はいわゆる「ボリウッド」映画を求め、ラテン系の顧客はスペイン語の番組を求めています。このような「ロングテール」コンテンツ、世界各国の番組、その他のニッチなコンテンツを配信できる力が、サービスプロバイダー間の競争を勝ち抜くための重要な差別化要因になります。
  • エンド デバイスの数と種類の増加:現在、顧客がビデオにアクセスする際に使用する機器は、標準解像度(SD)または高解像度(HD)のテレビ、PC、ゲーム機、スマートフォン、ポータブル メディア デバイスなど、さまざまなものが考えられます。このようなさまざまなフォーマットのデバイスに対して、個別のコンテンツ ストアから別々のインフラストラクチャを介してメディアを配信しようとすると、複雑さとコストが激増します。サービスプロバイダーは、これらのエンド デバイスすべてに単一のメディアネットで効率的にコンテンツを提供するためのメカニズムを求めています。
  • ユーザ制作ビデオの増加:ビデオ制作・編集ツールのコストは低下を続けており、一般の人々がビデオの作成や配布を行えるようになっています。ビデオのクリエイタになるユーザが増えるにつれて、ユーザ制作コンテンツ(user-generated content/UGC)がビデオ トラフィック全体の中で相当の量を占めることが予測されます。サービスプロバイダーには、このようなコンテンツを統合し、カタログ化して、加入者に配信するための新しいツールが必要です。
  • より社会的でインタラクティブな体験の需要:視聴者は豊かなソーシャル ネットワーキングやインタラクティブなコンテンツの共有を、すでにインターネット上で行っています。そこで、サービスプロバイダーはこれらと同様の「Web 2.0」機能をテレビに取り入れる必要があります。パーソナライズされたホームページ、MySpace や Flickr のようなサイト、RSS フィード、Web コンテンツを、テレビの視聴に組み込むのです。このような機能を提供できる事業者は、加入者を獲得したり、カスタマー ロイヤルティを確保できるだけでなく、広告や補足的な収益機会といった新たな領域を開拓することができます(図 1)。
  • モビリティとコントロールの強化に対する需要:顧客は、自分の生活や予定に合ったビデオ コンテンツを求めています。好きなものを好きなときに好きなところで見たいのです。つまり、ネットワーク経由で番組を録画して共有したり、「ルックバック」や「スタートオーバー」といったタイムシフト サービスを利用したり、メディア コンテンツ アクセスを複数の画面(テレビ、PC、モバイル機器)に拡張できる機能、それも 1 つのセッションからそれを行うことなどが求められています。

図 1 次世代メディア エクスペリエンスの提供

図 1 次世代メディア エクスペリエンスの提供

サービスプロバイダーがこのような傾向を認識していたとしても、実際にユーザのメディア エクスペリエンスを確保および拡張できるネットワークを構築するのは、また別の問題です。顧客が求める視覚的、社会的、個人的なメディア エクスペリエンスを確実に提供するには、幅広い新機能が必要です。前例のない新たなコンテンツをかつてないスケールで管理できる、メディア認識型のネットワークが必要です。

将来のメディアネットを実現する今日のテクノロジー

シスコは家庭、ビジネス、サービスプロバイダー ネットワーク向けのソリューションを網羅する包括的なメディアネット テクノロジーを提供します。これらのすべてのテクノロジーが連携することで、より視覚的、社会的、個人的な体験をエンド ユーザに届けることができます(図 2)。この戦略は、電話会社やケーブル事業者から衛星放送事業者や放送局まで、サービスプロバイダー業界のあらゆるセグメントをサポートし、最適化します。

図 2 包括的なメディアネット戦略

図 2 包括的なメディアネット戦略

さまざまなメディア タイプが別々のサイロに分散している今日のメディア サービスの枠組みとは異なり、Cisco IP 次世代ネットワーク(IP NGN)をベースに構築されるメディアネットは、単一のエンドツーエンド アーキテクチャであらゆる種類のメディアを配信します。これにより、ネットワークの次の 3 つのレイヤすべてが強化されます。

  • リッチでインタラクティブなメディア アプリケーションをサポートするアプリケーション レイヤ
  • メディアの配信とコントロールを最適化するサービス レイヤ
  • メディア認識型インテリジェンスをインフラストラクチャ全体に組み込むネットワーク レイヤ

サービスプロバイダーはこの手法を導入することによって、かつてない拡張性と効率を実現でき、そこから優れたカスタマー エクスペリエンスの提供、すべてのマーケットへの新サービスの迅速な投入、競争相手からのリードを得ることができます。これは、メディア サービスがより複雑になり、要求が厳しくなってきても有効な手法です(図 3)。

図 3 メディアネットに最適化されたシスコ テクノロジーの価値

図 3 メディアネットに最適化されたシスコ テクノロジーの価値

シスコのソリューションを使ってメディアネットを構築することで、サービスプロバイダーは次のことを実行できます。

  • ビデオ エクスペリエンスの刷新:メディアネットに最適化されたシスコのテクノロジーにより、サービスプロバイダーは過去に例のないコンテンツ、パーソナライズ、インタラクティビティ、およびユーザ コントロールを実装できます。複数の画面上に一貫したユーザ エクスペリエンスを提供し、ユーザの生活や好みに合わせてそのエクスペリエンスを作り上げることによって、サービスを差別化することができます。
  • インフラストラクチャの拡張:メディアネットでは、単一のインフラストラクチャであらゆるメディア タイプの配信を迅速かつ最適に行うことができます。これによってサービス導入速度が高まり、新サービスを複数のマーケットで一斉に開始したり、国内外の視聴者に提供できるようになります。
  • QoE(体感品質)の確保:シスコのメディア認識型テクノロジーは、ハイパフォーマンスで復元力に優れた IP ネットワーク基盤を提供し、次世代ビデオ サービスの遅延やパケット ロスに関する厳しい要件も満たします。サポートされるメディア エクスペリエンスの品質の高さから、Over-The-Top(OTT)コンテンツ プロバイダーやメディアネット通信を利用する企業が自社のコンテンツの品質レベルを確保するために提携を求めてくることが考えられます。
  • 複雑さの軽減:メディアネットにより、セグメント化された運用形態は過去のものとなり、ネットワークは劇的に簡素化されます。コンテンツ、インフラストラクチャ、サービスが環境全体で仮想化され、サービスプロバイダーは新サービスを追加しつつネットワークの複雑さを軽減することができます。

さらに、メディアネットに最適化されたシスコのネットワークは、次の点でサービスプロバイダーのビジネスに貢献します。

  • 新しい収益源とビジネス モデルの維持:シスコが提供するメディアネット テクノロジーにより、豊富なコンテンツ市場、トランザクションベースのサービス、およびコンテンツ プロバイダーとの収益共有が実現し、基本的な加入型サービスを超えた新しいビジネス モデルや、ターゲットを絞った、またはパーソナライズされた先進的で新しい広告形態が利用可能になります。
  • 厳しい経済環境への対処:メディアネットに最適化されたシスコ ネットワークにより、複雑な運用形態は切り崩され、はるかに効率的で拡張性のあるサービス配信がサポートされます。これにより、サービスプロバイダーは導入コスト(CapEx)と運用コスト(OpEx)を削減できます。また、メディアネットは新たなビジネス関係と収益モデルをサポートし、高度なメディア サービスの顧客への普及を促進します。

他のテクノロジー ベンダーも、サービスプロバイダーのメディアネット要件の一部には対処できます。しかし、次世代ビデオ ヘッドエンド、サービスプロバイダーのデータセンター、メディアの配信・コントリビューション・ネットワークに関する包括的なソリューション、および業界最大のセットトップ ボックス(STB)とホーム ネットワーキング ソリューションを網羅する、エンドツーエンドのメディアネット ソリューションを提供できるのはシスコだけです(図 4)。シスコだけがこれらすべてのソリューションを調和の取れた 1 つの IP アーキテクチャに統合して、メディア認識型インテリジェンスをエンドツーエンドから拡張し、リッチ メディア サービスをあらゆるマーケットへと迅速に提供できます。

図 4 メディアネット ソリューションに関するシスコの包括的なポートフォリオ

図 4 メディアネット ソリューションに関するシスコの包括的なポートフォリオ

メディアネット戦略のコンポーネント

次世代メディアネット戦略には、次の 4 つの大きな柱があります(図 5)。

  • ユーザ体験を高めて差別化するための、ビデオ エクスペリエンスの刷新
  • 優れた体感品質(QoE)を提供するための、メディア認識型 IP ネットワーク
  • きわめて高い複雑さや拡張性に対応する仮想化機能
  • 既存のビジネス モデルの拡張や新しいビジネス モデルの創造による収益化

シスコは、このそれぞれの要件に対処できるメディアネット ソリューションについて、業界で随一の幅広いポートフォリオを提供します。

図 5 シスコのサービスプロバイダー メディアネット戦略における 4 本の柱

図 5 シスコのサービスプロバイダー メディアネット戦略における 4 本の柱

ビデオ エクスペリエンスの刷新

市場シェアを拡大し、カスタマー ロイヤルティを高めるために、サービスプロバイダーには競争相手の一歩先を進むメディア エクスペリエンスを提供する能力が求められます。サービス差別化の鍵は、人と人とのつながりを促進し、インタラクティブでパーソナライズされた豊富なメディア エクスペリエンスを提供する能力です。シスコが提供するメディアネット対応ソリューションのポートフォリオは、他のテクノロジー プロバイダーよりも幅広いものであり、サービスプロバイダーはこれらのソリューションを導入することで従来のビデオ モデルを一新して、次世代のメディア サービスを提供できます(図 6)。

図 6 ビデオ エクスペリエンスの刷新

図 6 ビデオ エクスペリエンスの刷新

メディアネットに最適化されたシスコ ソリューションを導入すると、パーソナル、ソーシャル、かつインタラクティブな将来のメディア エクスペリエンスを、コンシューマーや法人顧客に今すぐ提供することができます。以下に例を示します。

パーソナル

  • 複数フォーマットのインターネット ストリーミング:どこにいても任意のデバイスでコンテンツを利用できるようにすることで、メディア エクスペリエンスを差別化します。加入者は Adobe Flash、Microsoft Windows Media Player、Apple Quicktime、その他のインターネット メディア フォーマットを使用してビデオをストリーミングできます。
  • ハイパーシンジケート ビデオ:顧客が各自の興味に基づいて仮想チャンネルを作成できるようにすることで、メディアのパーソナライズを拡大します。顧客は、自分が見たいものが地元のフットボール チームの試合であっても人気の映画スターであっても、実質的に無制限のロングテール コンテンツやインターネット ビデオ コンテンツの中から選んでテレビで見ることができます。
  • 先進的な広告:同じコンテンツ パーソナライズ機能を使用して広告挿入を調整することで、ユーザ特有のニーズや興味に関連した広告を提供できます。これは、サービスプロバイダーの収益向上につながります。

ソーシャル

  • Web 2.0 統合:パーソナライズされたホームページがテレビのスイッチを入れるたびに表示されることによって、ユーザのリビング ルームにも Web エクスペリエンスがもたらされます。ホームページには RSS フィード、天気予報、株式情報、友人や家族の接続状況などが表示されます。MySpace や Flickr などのソーシャル ネットワーキング サービスをテレビ、PC、モバイル機器のどの画面でも利用できるようになり、これまで想像できなかった方法での接続やコミュニケーションが可能になります。
  • ユーザ作成コンテンツ:ユーザの生活の中でメディア エクスペリエンスが利用できる場面を増やすことで、差別化を推進します。ユーザは友人や家族と写真、ビデオ、その他の個人的コンテンツを簡単に共有でき、コンテンツを PC、モバイル機器、テレビ間で転送することもできるようになります。
  • テレプレゼンス:法人顧客は、数千キロ離れた場所も結ぶことができるユニークな「対面型」ビデオ エクスペリエンスを経験することができます。現実感のあるビデオ、オーディオ、環境を利用して、遠隔地にいる相手とこれまでにない方法で対話やコラボレーションを行うことができると同時に、出張費を削減できます。

インタラクティブ

  • タイムシフト:デジタル ビデオ レコーダ(DVR)を持っていなくてもビデオの視聴中に一時停止、巻き戻し、早送りができるようになることで、メディア エクスペリエンスを差別化できます。番組の途中からスイッチを入れた場合でも冒頭から見ることができる、「スタートオーバー」や「ルックバック」といったサービスが提供されます。これは、ユーザの生活をメディア エクスペリエンスに合わせるのではなく、メディア エクスペリエンスを顧客の生活に合わせるものです。
  • ネットワーク PVR:ユーザが番組をネットワーク上の個人用ストレージ スペースに録画できるようにすることで、よりリッチなエクスペリエンスと新しい収益機会を提供します。顧客は DVR を継続的に保守・更新する必要がなくなります。また、保存されているコンテンツをデバイス間で柔軟に共有することができます。
  • セッションシフト:1 つのセッション中に複数のデバイスでコンテンツを視聴できるようにすることで、ユーザの生活に合ったメディア エクスペリエンスを提供します。たとえば、出勤時に列車内で携帯型機器を使って映画を見始めて、続きは昼休みにオフィスの PC で鑑賞し、帰宅後に HDTV で最後まで見る、という使い方が可能です。
  • tru2way™ デジタル ケーブル サービス:インタラクティブな番組ガイド、広告、ゲーム、チャット、Web ブラウジング、ショッピングの機能を提供することで、よりダイナミックで魅力的なメディア エクスペリエンスを提供します。

これは、メディアネットに最適化されたシスコのテクノロジーを使用することによってサービスプロバイダーが提供できるようになる優れたサービスとアプリケーションのほんの一例です。このような高度なメディアネット サービスを提供することにより、サービスプロバイダーはこれまでよりも多くのコンテンツを提供でき、顧客はより強力なカスタマイズやコントロールを利用できるようになります。最終的に、サービスプロバイダーはビデオ エクスペリエンスを根本から変え、より高い競争力と収益性を持つサービスを創造できます。

メディア認識型の Cisco IP NGN

サービスプロバイダーにとって、新しい種類のコンテンツを提供するだけでは十分ではありません。今日の顧客の要求に応えるためには、次の 2 つの基本要件を満たす必要があります。

  • 優れた体感品質(QoE)の確保
  • 効率的でコスト効果の高い方法でのエクスペリエンスの拡張性

これらの重要な要件を両方とも満たすには、リッチ メディア サービスに最適化された、拡張性の高いインテリジェントなネットワークが必要です。シスコは、メディアネットをサポートするように設計されたメディア認識型の IP NGN と、業界で最も包括的なメディアネット最適化ネットワーク テクノロジーのポートフォリオを提供します(図 7)。

図 7 品質と拡張性の確保

図 7 品質と拡張性の確保

高品質のカスタマー エクスペリエンスの確保

高品質のメディア エクスペリエンスを提供することは重要ですが、IP ビデオ サービスには固有の課題があり、メディアネットはこれに対処する必要があります。IP ビデオ ストリームはパケット ロスの影響を受けやすく、ごく小さなロスでもビデオ品質が大きく低下するおそれがあります。メディア認識型 Cisco IP NGN は、メディアネットの基盤として最適です。Cisco IP NGN により、メディア認識型インテリジェンスは IP コア ネットワークから顧客の自宅までエンドツーエンドに拡張され、優れた体感品質を一貫して提供できます。メディアネットに最適化された Cisco IP NGN を導入することで、サービスプロバイダーは次のような幅広い QoE 強化サービスをサポートすることができます。

  • Cisco Visual Quality of Experience(VQE):ノイズの多いローカル アクセス回線経由で高品質を確保するには、厳格な手法が必要です。Cisco VQE は、現在、世界中の IPTV プロバイダーで注目されているテクノロジーです。加入者が問題に気付かないうちにビット エラーやパケット ドロップを訂正し、視覚上の影響をなくして、優れた画質を実現します(図 8)。同じテクノロジーで(ネットワーク内の VQE サーバと通信する STB 内の VQE クライアントを使用)、チャンネルの切り替えに要する時間を短縮したり、ラストマイル ネットワーク上の品質の問題をサービスプロバイダーに警告することもできます。
  • ビデオ アドミッション コントロール:オンデマンド ビデオ ストリームには、ネットワークの輻輳の影響を受けやすいという性質があります。1 つのビデオ オン デマンド(VoD)がネットワーク リンクの容量を超過しただけで、そのリンク上の全加入者のビデオ品質が低下します。シスコのビデオ接続アドミッション コントロール テクノロジーは、セッション単位でインテリジェントなアドミッション コントロールを行うことにより、輻輳を予防し、全ユーザに一貫して高いビデオ品質を保証できます。
  • Cisco Video Assurance Management Solution(VAMS):Cisco VAMS は、コアおよびエッジ両方の IP ビデオ ネットワークに対して広範な監視機能とビデオ管理機能を提供します。これらの機能により、サービスプロバイダーはメディアネット全体で品質を継続的に監視し、問題の特定と修正に必要な時間を短縮すると共に、サービス コールを最小限に抑えて、優れた加入者 QoE を確保することができます。

図 8 Cisco VQE テクノロジーによる加入者 QoE の向上

図 8 Cisco VQE テクノロジーによる加入者 QoE の向上

QoE の向上および確保に役立つシスコのテクノロジーについては、http://www.cisco.com/jp を参照してください。

エクスペリエンスの拡張性
一部のアプリケーションや一部の顧客にのみ、突出して優れた品質を提供するだけでは不十分です。サービスプロバイダーには、高品質のカスタマー エクスペリエンスを国内外のネットワーク全体に拡大する能力が求められています。このような拡張性を実現しながらコストと複雑さを最小限に抑えるには、ハイパフォーマンスのマルチキャスト機能を備え、QoS(Quality of Service)が保証されたインテリジェントな IP ネットワーク上にメディアネットを構築する必要があります。シスコは、以下の機能を提供することができます。

  • ワイヤレートのマルチキャスト:サービスプロバイダーが数百万の加入者にサービスを拡大する際には、コアからエッジまでのネットワークのすべてのコンポーネントが、拡張性の高いマルチキャスト パフォーマンスをサポートしている必要があります。シスコはマルチキャストのパイオニアであり、拡張性の高いマルチキャスト ソリューションに関して業界で最も幅広いポートフォリオを提供しています。
  • 実証済みの拡張性:シスコの拡張性は第三者機関によって検証済みです。Light Reading 社と EANTC(European Advanced Networking Test Center AG)によるシスコのビデオ配信アーキテクチャの包括的なテストもその 1 つです。このテストで検証されたのは、加入者数を百万まで拡大した場合のシスコのマルチキャスト パフォーマンス、QoS、復元力、および Cisco VQE とアドミッション コントロール テクノロジーです。テストの結果、次のような結論が出されました。「シスコはテストの要求にうまく応えた。大規模なリアルタイム ビデオ展開に最適な次世代のハードウェアが実現されている。我々はこのソリューションに高い信頼を置く。百万を超えるユーザに対応するという設計目標への拡張は容易だろう。」(http://www.lightreading.com/document.asp?doc_id=126173

シスコは、サービスプロバイダーがメディア エクスペリエンスを拡張するためのさまざまなテクノロジーを提供しています(図 7)。詳細については、http://www.cisco.com/jp を参照してください。

メディアネット テクノロジーを家庭まで拡張
セットトップ ボックス(STB)やホーム ネットワーキング製品に関する長年の専門知識に基づいて、シスコはインテリジェント ネットワークをユーザの家庭にまで拡張することができます(図 9)。ユーザの家庭をメディアネットに組み込むことによって、サービスプロバイダーは導入コストや運用コストを削減して、収益を向上し、顧客満足度を高めることができます。シスコの家庭向けテクノロジーは、次の点でサービスプロバイダーの役に立ちます。

  • サービス導入速度の向上:シスコは次世代 STB および IP サービス ゲートウェイを提供し、IP ゲートウェイとルーティング機能を統合します。これにより、インテリジェントなメディアネットとの密接な相互運用が可能になり、サービスプロバイダーは複数のテクノロジーを使用して家庭の隅々にまでコンテンツを届けることができます。
  • 優れたカスタマー エクスペリエンスの提供:Cisco VQE テクノロジーを組み込んだ STB は、ネットワーク上の Cisco VQE サーバと継続的に通信することによって、パケット ドロップによるひずみや悪影響をなくしたり、チャンネル変更時間を短縮することができます。
  • 運用コストの削減と収益性の向上:シスコの家庭向け装置とソフトウェアは使いやすく、問題に対処する際も多くの部分をセルフ ケアやリモート ケアで解決できます。たとえば、Cisco Network Magic(Pure Networks 社製)を採用すると、ホーム ネットワーク機器の追加と設定を顧客が自分で簡単に行うことができます。これにより、顧客の不満が少なくなり、カスタマー サポート センターへの電話も減ります。

図 9 シスコのインテリジェンスを家庭にまで拡張

図 9 シスコのインテリジェンスを家庭にまで拡張

仮想化

サービスプロバイダーが次世代コンテンツをサービスに追加すると、同時に複雑さも増すことになります。ネットワーク管理にも次世代の効率化が必要です。シスコは、メディアネットのコンテンツ、インフラストラクチャ、およびサービスを仮想化するための包括的なソリューションを提供することができます(図 10)。

図 10 シスコの仮想化機能

図 10 シスコの仮想化機能

ビデオ配信ネットワーク、IP コントリビューション ネットワーク、メディア作成ワークフロー、およびメディアネット データセンター向けのシスコの仮想化ソリューションによって、サービスプロバイダーは次のことができるようになります。

  • コンテンツの保管場所に関係なく、ローカル、周辺地域、全国、または全世界を対象に配信する
  • 数百万のタイトルを効率的に保管および配信する
  • 数百万の同時 VoD セッションをサポートする
  • 複数のフォーマットで複数の機器向けに効率的にコンテンツを配信する
  • 新サービスを複数のマーケットで一斉に開始する

Cisco Virtual Video Infrastructure

サービスプロバイダーが新しいメディア機能や数千時間のビデオをコンテンツ ライブラリに追加しようとする場合は、増え続ける複雑さを管理し、ビデオをより多くの顧客に効率的に配信するために、新しいツールが必要になります。Cisco Virtual Video Infrastructure は、任意の種類のリアルタイム、タイムシフト、またはオンデマンドのビデオ コンテンツを国内外のインフラストラクチャを介して任意の画面に配信するためのインテリジェント プラットフォームです。これにより、サービスプロバイダーはすべてのマーケットに対してコンテンツを一度インジェストするだけで、そのコンテンツを中央のライブラリに保管して、すべての顧客に場所を問わず迅速に配信できるようになります。

Cisco Virtual Video Infrastructure を使用することで、サービスプロバイダーは次のことができます。

  • サービス導入速度の向上:Cisco Virtual Video Infrastructure を使用することで、増え続ける多数の顧客にコンテンツを容易に配信できます。
  • 複数のマーケットへのサービスの同時展開:現在および次世代のビデオ サービスを国内外の複数のマーケットで一斉に迅速に開始できます。
  • コンテンツの飛躍的増加:業界一の低遅延性能を有することが実証済みの Cisco Content Delivery System(CDS)を使用することで、どこにあるコンテンツでも(地理的に遠く離れた場所にあっても)ほぼ即座に配信できます。その結果、バックボーン ネットワークを圧迫することなくコンテンツ ライブラリを飛躍的に拡大させることができ、全加入者が 10 万を超えるタイトルを利用できるようになります。
  • 運用コストの削減:効率の高いキャッシング アーキテクチャを備えており、国内および国外のすべての顧客に対して 1 つのコンテンツ ライブラリだけでサービスを提供できるので、ネットワーク上のヘッドエンドおよびコンテンツ ストレージ インフラストラクチャが不要になり、オペレーション センターを統廃合できます。
  • ノンストップ サービス アベイラビリティの実現:Cisco Virtual Video Infrastructure は、「自己回復型」ビデオ ネットワークを作成するためのインテリジェント リソース プーリング、負荷分散、自動フェールオーバー機能を採用しています。

Cisco Virtual Video Infrastructure の独自のコンテンツ キャッシング インテリジェンスとその利点については、http://www.cisco.com/jp/go/sp/medianet/ を参照してください。

IP ベースのコントリビューション ネットワーク

インテリジェントなメディアネットを導入したサービスプロバイダーは、コンテンツ制作会社に対して IP コントリビューション ネットワーク サービスを提供できます。これにより、ビデオ番組制作において現場(スポーツの競技場など)からスタジオに柔軟かつ効率的に伝送するメカニズムが整います。従来のテクノロジーに依存してきたプロセスに IP の効率を適用することによって、サービスプロバイダーとコンテンツ制作会社の両者に大きな利点がもたらされます。

サービスプロバイダーにとっては、IP コントリビューション ネットワーク サービスは、大きな利益を生む可能性のある新しい収益源であり、メディアネットへの投資からさらに価値を生むための機会です。また、コンテンツ制作会社にとっては、次のような利点があります。

  • 柔軟性の向上:IP コントリビューション方式は、従来の衛星コントリビューション テクノロジーほど条件が厳しくありません。たとえば、IP メディアネットを経由したコンテンツは、長距離の伝送でも衛星経由での伝送ほど品質が低下しません。さらに、衛星ベースのコントリビューション ネットワークは一般に、ポイントツーポイント システムです。これに対して、IP メディアネットの場合、インジェストされたコンテンツはその直後からどこででも利用できます。
  • 運用コストの削減:コンテンツをハイパフォーマンスのメディアネット経由で伝送できるので、コンテンツ制作会社は高額な衛星送信コストがなくなり、遠くの現場に派遣する装置と人を減らすことができます。

IP ワークフローの変革

他の大部分のメディア プロセスがデジタル化されているにもかかわらず、多くのコンテンツ制作会社ではいまだにビデオの編集やポストプロダクションにアナログ テープを使用しています。これは原則として一度に 1 つのプロセスしか実行できないので、プロセスがライン化され、コラボレーションが難しくなっています。たとえば、複数のカメラからの映像をつないだり、グラフィックや字幕を入れるには、実際のテープが手元に来るまで待つ必要があります。複数の関連会社や制作グループがビデオを必要とする場合は、テープがダビングされるまで待つ必要があるので、さらに待ち時間が大きくなります。また、生放送を行う場合は、制作チーム全体を現場に派遣する必要があります。

シスコの IP およびビデオ テクノロジーを使用して構築された次世代のメディアネットを導入すると、これらの作業を現代的なデジタル環境で行えるようになります。これにより、よりダイナミックで協調的なメディア ワークフローが実現し、コストが削減され、コンテンツ配信の時間が短縮されます。たとえば、ネットワークにコンテンツのインジェストが始まれば、まだ現場で収録が進行中であっても、編集者は作業を開始できます。また、複数のグループが同じコンテンツに対して同時に作業することができます。たとえば、編集者が放送の後半の映像を編集している間に、グラフィック チームが放送の冒頭に被せる画像を作成できます。さらに重要なのは、メディアネット対応の IP ワークフローでは、編集チームや制作チームがどこにいてもコラボレーションできることです。たとえ数千キロ離れた場所であっても、それが可能です。

IP メディア ワークフローの圧倒的な威力を示す好例が、北京オリンピックです。米国でオリンピックを放送した NBC は、次世代のメディアネット ツールと Cisco IP コントリビューション ネットワークを使用して、オリンピックの試合放送のほぼすべてをニューヨークとロサンゼルスのスタジオで制作することができました。

データセンターの仮想化

サービス配信データセンターは、バランスを慎重に考慮する必要があります。データセンターはさまざまなビジネス ニーズをサポートする必要があり、厳密なサービスレベル契約の下で、次世代ビデオ サービス、ビジュアル コラボレーション ツール、およびメディア コンテンツを必要な場所に提供します。それと同時に、電力や冷却のコスト管理、資産の有効な利用とプロビジョニング、セキュリティと可用性の確保といった運用面での課題に対処する必要があります。

シスコはこのような要件すべてに対処し、次世代メディアネットに最適な基盤となる包括的なデータセンター ソリューションを提供します。メディアネット データセンター向けのシスコのソリューションは、次の機能をサポートしています。

  • サーバ ネットワーキング:Cisco Catalyst® Virtual Switching System などのシスコのソリューションを導入すると、サービスプロバイダーはメディアとサービスを切り離して扱い、ユーザ数を数百万まで拡大でき、復元力を高めることができます。
  • ストレージ ネットワーキング:シスコは、メディアネット対応のストレージ ネットワーキング ソリューションを提供しています。たとえば、マルチレイヤ SAN スイッチの Cisco MDS ファミリは数百万時間のコンテンツをサポートし、メディア制作、ポストプロダクション、配信、再生といったそれぞれの作業を最適化します。
  • ユニファイド ファブリック:データセンター スイッチの Cisco Nexus™ ファミリや専用の Cisco NX-OS データセンター OS といった革新的なシスコ テクノロジーは、メディア環境を大幅に簡素化するユニファイド ファブリックをサポートしています。これにより、サービスプロバイダーは運用コストや導入コストを削減し、高い QoE を維持し、コンテンツへのユニバーサル アクセスをサポートすることができます。
  • 仮想マシン(VM)対応ネットワーキング:ハイパーバイザ統合スイッチングなどの Cisco VM 対応ネットワーキング テクノロジーを使用すると、サービスプロバイダーはアプリケーションを拡張し、サービス作成インフラストラクチャを最適化し、「クラウド メディア」などの新しいサービスをサポートすることができます。
  • 透過的な仮想化:Cisco VFrame サーバ ファブリック バーチャライゼーション ソフトウェアなどのシスコの仮想化テクノロジーは、メディアネット データセンターのさまざまな自動化機能や高速化機能をサポートしているため、変化し続けるユーザの需要にも容易に適応できます。

収益化

サービスプロバイダーがシスコのメディア認識テクノロジーを活用してメディアネットを構築することによって可能になるのは、顧客へのコンテンツ配信の最適化だけではありません。オンライン メディア マーケットプレースや、先進的な広告に基づいて構築された新しいビジネス モデルを組み込むことによって、従来のビデオ加入型サービスに留まらない新しい収益機会を手にすることもできます。

新しい収益モデル

サービスプロバイダーはメディアネットに最適化されたシスコ テクノロジーを使用することにより、メディアを仮想化し、従来のコンテンツ フォーマット、配信プロトコル、および再生機器への依存をなくすことができます。顧客が時と場所を問わずにコンテンツを利用できるようにすることで、新しいサービスから収益を得る大きな機会が生まれます。また、従来の「囲い込み」型のビデオ サービスを拡張して Web ベースのコンテンツを取り込むことにより、サービスプロバイダーは有利なメディア マーケットプレースをサポートし、顧客とコンテンツ プロバイダーを直接結ぶことができます。これにより、さまざまなトランザクションベースのビジネス モデルや収益共有型のビジネス モデルの機会が提供されます。

メディアネット自体の優れた QoE からサービスプロバイダーが収益を得ることもできます。メディアネットがシスコの高度なコンテンツ配信機能と QoS 機能を採用していれば、OTT コンテンツ プロバイダーは顧客に最高の品質と機能を確実に提供するための支出に積極的になります。また、メディアネットを実装している企業は、その投資を活かしきれるように、メディア認識型 IP ネットワークを持っているサービスプロバイダーを探そうとするでしょう。

先進的な広告

インテリジェントなエンドツーエンド シスコ ネットワークは、新しいビジネス モデルのサポート以外に、先進的な広告もサポートできます。加入者に関する固有の統計情報、プロファイル、興味に基づいて広告を提供することにより、サービスプロバイダーは対象を厳密に絞った、効果の高い広告サービスを提供できます。

広告は今でもコンテンツから収益を得るための主要な手段ですが、サービスプロバイダーの広告インベントリは、リニア ケーブル チャンネルの広告販売総額のごく一部に留まっています。地上波放送局はその系列局を使用してローカル広告を販売して挿入しますが、ケーブル局にはそれと同様にして地域ごとのコンテンツを管理するためのメカニズムがありません。その代わり、ケーブル局の広告インベントリの一定割合がサービスプロバイダーに割り当てられていて、ローカル広告を挿入するように放送契約で定められているのが一般的です。

このような制約を考えると、サービスプロバイダーの広告収入を増やす方法は基本的に 2 つです。1 つは、アドレサビリティを実現するソリューション(より精密な視聴者の絞り込み)を導入することによって、既存のインベントリの価値を高めること。もう 1 つは、テレビで視聴できるノンリニア プログラミングが急速に増えていることから、これらに対する広告を拡大することによってインベントリの量を増やすことです。

さらに、リニア プログラミングをタイムシフト形式でキャプチャして視聴する(「スタートオーバー」や「ルックバック」サービス、DVR、またはネットワーク PVR サービスによる)という混在型の方法にもビジネスのチャンスがあります。一般に、インベントリの価値は放送後しばらくすると(米国内では 72 時間)有効期限が切れますが、これらのシナリオでは、広告が差し替わることによって何度も有効になります。この戦略によって、資産が使える限りコンテンツから収益を得ることができ、サービスプロバイダーはこの種のサービスのユニキャストという特性を活かして、対象を絞り込んだ広告を提供できます。

インベントリの量を増やし価値を高めるための戦略は、同時に複数の方法を採用することもできます。実際、放送契約の複雑さを考えると、サービスプロバイダーはコンテンツ所有者からの協力なしにノンリニア コンテンツから収益を得るのは難しいと考えられます。共有インベントリ(「スプリット」)などの形による価値共有が必要になります。しかし、コンテンツ プロバイダーとサービスプロバイダーがそれぞれ固有の広告挿入を管理できるリニア プログラミングと違って、ノンリニア(ユニキャスト)コンテンツの配信経路はサービスプロバイダーによって完全に制御されています。地上波局もケーブル局も、ノンリニア プログラミングに独立して広告を挿入することはできず、独力で高いアドレサビリティを達成することもできません。

そのため、サービスプロバイダーは、広告配置インフラストラクチャへの投資を有利な新ビジネスへと転換することができます。つまり、はるかに大きいインベントリ プールの権限を持つコンテンツ プロバイダー(地上波局や専門チャンネル)に対して、広告配置サービスを提供するのです。サービスプロバイダーは、新しいノンリニア広告インベントリの展開からの直接収益を増やす一方で、地上波局や専門チャンネルと提携し、その代理として対象を絞った広告を展開することにより、かなりの収益を上げられる可能性があります。シスコは、共同作成に加わった新しい SCTE(Society of Cable Telecommunications Engineers)-130 標準に基づくソリューションをはじめとする先進広告用の新しいインフラストラクチャ ソリューションにより、未来を見据えたこれらのビジネス モデルを実現しています。

経済的に困難な時代を乗り切るための新ツール

顧客獲得と市場シェアの競争に勝ち抜くために、サービスプロバイダーは継続的に新しい機能やサービスに投資する必要があります。同時に、世界的な不況とも無関係ではいられません。幸いなことに、サービスプロバイダーは次世代の機能と次世代の効率のどちらか一方を選ぶ必要はありません。シスコのメディア認識テクノロジーでメディアネットを構築することによって、サービスプロバイダーは事業収益のすべての側面を最適化できます(図 11)。シスコは、次の点でサービスプロバイダーを支援します。

  • 資本投資の削減:シスコはインテリジェント IP コア、ディストリビューション、コントリビューション ネットワーク ソリューションの包括的スイートを提供することができます。これによりサービスプロバイダーは、爆発的に増加する帯域幅所要量を効果的に管理でき、より多くのコンテンツをより効率的に配信できます。さらに、メディア認識型の Cisco IP NGN は、高度な柔軟性と拡張性を備えた標準ベースのメディアネット プラットフォームであり、新しいサービスや要件に継続的に適応できます。これは、投資の継続的な保護につながります。
  • 運用コストの削減:シスコのコンテンツ配信、仮想化、およびデータセンター ソリューションは、非常に柔軟で、運用面のサイロを統合して効率を高めることができます。
  • 収益の向上:よりパーソナル、ソーシャル、およびインタラクティブなメディア エクスペリエンスを提供できることで、高度なビデオ サービスの導入率を高めることができます。革新的なシスコのコンテンツ配信と仮想化テクノロジーは、サービス導入速度の向上にもつながります。これによりサービスプロバイダーは、新サービスを複数のマーケットで同時に展開できます。そして、シスコの IP インテリジェンスをエンドツーエンドで組み込んだメディアネットは、新しいビジネス関係、収益モデル、先進広告の機会を支えることができます。

図 11 シスコによる全体的な収益性の強化

図 11 シスコによる全体的な収益性の強化

メディアネット テクノロジーの利点

シスコの IP テクノロジーは、サービスプロバイダーと顧客の双方にメディアネットの幅広い利点をもたらします。サービスプロバイダーは、次のことが可能になります。

  • より多くのコンテンツ、コントロール、パーソナライズによってユーザ エクスペリエンスを差別化する
  • 運用面のサイロを切り崩すことにより、効率を高め、コストを削減する
  • コンテンツ、インフラストラクチャ、およびサービスを仮想化することにより、拡張性を高め、より多くのコンテンツをより多くの加入者に効率的に配信できるようにする
  • 新サービスを複数のマーケットで一斉に開始したり国内外の視聴者に提供することが可能になり、サービスの導入速度が向上する
  • 広告機会と収益モデルを大幅に拡大する
  • 厳しい経済環境を乗り切る
  • 進化するビジネス モデルと変化する顧客の需要に対応するための長期的な柔軟性が得られる

また、シスコの IP テクノロジーに基づいて構築されたメディアネットのサービスを受ける顧客には、次の利点があります。

  • 大幅に増えたコンテンツやサービスへのアクセス
  • どこにいても任意の画面から利用できる動的なメディアや豊富なアプリケーション
  • 固有の関心やニーズに合わせてパーソナライズされたメディア エクスペリエンス
  • 一貫した高品質と優れたパフォーマンス
  • 豊富なインタラクティブ性とソーシャル ネットワーキング機能
  • 新しいアプリケーションやサービスへの迅速なアクセス

まとめ

パーソナル、ソーシャル、かつインタラクティブで豊かなメディア エクスペリエンスを求める顧客に対応しようと努力しているサービスプロバイダーは、その中で新たな課題に直面しています。それらは技術的なものや、運用面に関するもののほか、経済的なものもあります。このような課題に対処でき、真の「エクスペリエンス プロバイダー」になれるサービスプロバイダーこそが、次世代の革新的なメディア サービスのマーケット リーダーとしての地位を固める絶好の機会を手に入れることができます。

サービスプロバイダーのあらゆるニーズに応え、「コネクテッド ライフ」を実現するエンドツーエンドのメディアネットを提供できるのは、シスコだけです。メディア認識型の Cisco IP ネットワーク アーキテクチャによって、サービスプロバイダーは顧客のメディア エクスペリエンスを変革し、比類ない品質とパフォーマンスを実現し、地理的な差を超えてサービス導入速度を高め、利益率の高いで新しい収益機会を手にすることができます。

メディアネットに対応した Cisco IP テクノロジーの詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/sp/medianet/ にアクセスしてください。