ネットワーク インフラストラクチャ

NTT コミュニケーションズ株式会社、Global IP NetworkサービスにCisco ASR 9000 シリーズ、nVテクノロジーを採用

コストパフォーマンスを高めるため Cisco ASR 9000 シリーズを採用、
nV(ネットワーク仮想化)テクノロジーのサテライト機能活用で小規模拠点の展開も容易に

世界有数のグローバル Tier1 ネットワークとして、高い評価を受け続けている NTT コミュニケーションズ株式会社のグローバル IP ネットワーク(GIN)。ここではエッジ/アグリゲーションに、Cisco ASR 9000 シリーズが採用されている。ポート密度の高いラインカードの活用などによって機器を集約することで、サービス拡充とコスト削減が同時に進められているのだ。また2012 年 12 月には Cisco ASR 9000v の導入もスタート。nV(ネットワーク仮想化)テクノロジーのサテライト機能で小規模拠点の展開も容易になった。これによってさらに低コストな顧客アプローチを実現することで、顧客層の拡大につながると期待されている。

サービス拡充とコスト削減を
両立するために機器の集約へ

 高品質なサービスをいかにして低コストで提供するか。これはインターネットサービスプロバイダ(ISP)にとって、生き残りのための重要課題である。コスト削減を進めていくには、設備投資の最適化や運用管理負担の軽減が欠かせない。また顧客が求める帯域幅を確保し続けるには、最先端の機器を導入し続けることも求められる。そして新たなアーキテクチャへのキャッチアップも不可欠だ。進化したアーキテクチャが、コストパフォーマンスを飛躍的に高めることも少なくないからである。

 これらの要求を満たすため、顧客に対するサービス提供の最前線となるエッジ/アグリゲーションに、Cisco ASR 9000 シリーズを採用しているのが、NTT コミュニケーションズのグローバル IP ネットワーク(GIN)だ。

 GIN は、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアの世界主要国結ぶ、高速かつ大容量の Tier1 ネットワーク。その前身は 1997 年秋にサービスを開始した NTT 国際通信株式会社の IPBB サービスであり、当時はまだ ISP にとって困難だった海外接続を実現、その後米国の Tier1 通信事業者であったベリオ社(Verio)を買収、両社のネットワークを統合することで GIN が誕生した。当初は日米間を 45 Mbps で接続していたが、2002 年にはその 100 倍以上となる 5Gbps を突破し、現在では 680Gbps の容量を実現。アジア・オセアニアにおける容量も 592Gbps に達している。その一方で 2001 年には、業界最高水準の SLA(品質保障制度)も全世界で導入開始。数多くの ISP とコンテンツプロバイダが利用する、世界有数のグローバル Tier1 ネットワークなのである。

 通信業界で最も権威のある「World Communication Awards(WCA)」での数々の受賞実績があり、2011 年には「Telecom Asia Awards 2011」の「Best wholesale Carrier 賞」を受賞するなど、業界における評価も極めて高い。しかし「競合他社とは常に厳しい競争にさらされています」と、NTT コミュニケーションズ株式会社 ネットワークサービス部 テクノロジー部門で担当部長を務める福田 健平氏は言う。この競争の中で勝ち残っていくために NTT コミュニケーションズは、高品質かつ高信頼な環境の提供と、サービスラインアップの拡充を続けてきた。その一方でコスト削減にも、積極的に取り組んできたと説明する。

 サービス拡充とコスト削減を両立するには、機器の集約が重要なポイントになる。これによって設置スペースに必要なコストや運用コストが削減できるからだ。またサービス拡充に伴う機器増設が抑制できれば、追加投資も抑えられる。NTT コミュニケーションズが GIN に Cisco ASR 9000 シリーズを採用したのも、この機器集約が最大の目的だと福田氏は言う。

最大の魅力はポート密度の高さ
EoMPLS の実装も機器集約に貢献

 GIN への Cisco ASR 9000 導入が始まったのは 2010 年。まず最初に米国の拠点に設置され、その後日本、欧州、アジアへと展開、現在ではほぼ全ての主要拠点に導入されている。それでは Cisco ASR 9000 の魅力はどこにあったのか。福田氏は「一番大きいのはポート密度の高さです」と説明する。

 シスコはCisco ASR 9000 向けに、業界最高レベルのポート密度を持つラインカードを提供しており、その密度を継続的に高め続けている。2012 年には 10Gbps×36 ポートのラインカードをリリース、GIN でも同年 12 月にこれを導入していると言う。「高密度なラインカードを活用すれば、筐体を増設することなくポート数を増やせます。これによって最小限の追加投資でサービスを拡充できるのです」(福田氏)。

 Cisco ASR 9000 自体の処理能力の高さも重要なポイントだ。システムあたり最大 96Tbps の処理能力があるため、機器の総数を抑制しながら必要な帯域を確保できる。これに加え「Ethernet over MPLS(EoMPLS)の実装も、機器集約に大きな貢献を果たしています」と指摘するのは、NTT コミュニケーションズ株式会社 ネットワークサービス部 テクノロジー部門 担当課長の森信 拓 氏。EoMPLS 機能等の実装により、拠点によっては遠隔地とレイヤ 2 で接続できるため、コアルータを設置せずに済むケースもあるからだ。小規模拠点をコアルータなしで運用できれば、初期投資を削減できると言う。

NTT コミュニケーションズのグローバル IP ネットワーク。日米間の容量は 680Gbps、アジア・オセアニアの容量は 592Gbps に達しており、主要拠点が設置されている都市も 30 を超えている。

NTT コミュニケーションズのグローバル IP ネットワーク。日米間の容量は 680Gbps、アジア・オセアニアの容量は 592Gbps に達しており、主要拠点が設置されている都市も 30 を超えている。
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Cisco ASR 9000 シリーズの活用形態とメリット。Cisco ASR 9000 と Cisco ASR 9000v を組み合わせることで、投資効率のさらなる向上やコストダウンを実現できる。

Cisco ASR 9000 シリーズの活用形態とメリット。Cisco ASR 9000 と Cisco ASR 9000v を組み合わせることで、投資効率のさらなる向上やコストダウンを実現できる。

 2012 年 12 月には Cisco ASR 9000v の導入にも着手。これは Cisco ASR 9000 シリーズの nVテクノロジーに対応し、Cisco ASR 9000 の拡張シェルフとして利用できるものだ。1U サイズの筐体に、10〜1000Mbps×44 ポートと 10Gbps×4 ポートを集約。Cisco ASR 9000 と接続することで、まるで Cisco ASR 9000 の一部であるかのように動作する。

 「Cisco ASR 9000v 導入の狙いは、機器に対する投資効率をさらに高めることです」と森信氏。1Gbps の低速ポートを Cisco ASR 9000v で提供し、Cisco ASR 9000 の筐体には 10Gbps のみを実装することで、Cisco ASR 9000 の利用効率を最大化できるのだと言う。「数が限られるスロットを低速ポートに使ってしまうのはもったいない。Cisco ASR 9000v を使って低速ポートを外に出してしまえば、ポート単価を引き下げることも可能になります」。

 その一方で福田氏は「nVテクノロジーのメリットも大きいと感じています」と言う。これによって複数の Cisco ASR 9000v をホストの Cisco ASR 9000 と統合運用できるため、運用負担が軽減するからだ。使い方を工夫すれば 2〜3 割の運用負荷軽減が期待できると指摘。特にサテライト的な使い方で、大きな効果が見込めると説明する。

サテライト機能の活用で
小規模拠点の展開も容易に

 このような活用方法もすでに始まっている。例えば米国ロサンゼルスでは、データセンターに Cisco ASR 9000v を設置し、GIN の主要拠点にある Cisco ASR 9000 と接続しているケースがあると言う。

 「主要拠点にある Cisco ASR 9000 の一部を、遠隔地のサテライトに“張り出す”といった感覚です」と福田氏。これによって小規模拠点へのサービス展開が、手軽に行えるようになると説明する。「全体を 1 台のルータのように扱えるので、遠隔地でも簡単に運用できます。さらにサービスデリバリ時のチェックも 1 カ所で行えるため、ヒューマンエラーも回避しやすくなります」。

 サテライトへの機器展開が容易になれば、顧客のコスト負担も軽減する。顧客サイトから主要拠点にアクセスするにはアクセスラインの確保が必要になり、その分だけ余計にコストがかかるが、GIN 側が顧客サイトに機器を“張り出す”のであれば、アクセスラインの確保は不要になるからである。またサテライト側の Cisco ASR 9000v を複数の顧客が共同利用することも可能になる。このような使い方をすれば、利用コストはさらに抑制できるはずだ。サテライト機能を積極的に活用することで、顧客はより手軽に GIN を利用できるようになるのである。

 NTT コミュニケーションズでは GIN の上で「VLink」というサービスを提供しているが、その提供も手軽になると期待されている。VLink とはポイント ツー ポイントで仮想的なレイヤ 2 接続を提供するサービス。多くの ISP が国内外をシームレスにつなぐために活用している。ただしこれまでは、顧客サイト側にレイヤ 2 スイッチを設置する必要があったため、1Gpbs での使用はコスト的に見合わないケースが多かったと森信氏は言う。しかし Cisco ASR 9000v を利用すれば、より低コストでサービスを提供できるようになる。

 「小規模拠点へのサービス展開は、今後ビジネスを拡大していくための重要なアプローチになるはずです」と福田氏。これによって顧客側に近づいていくことで、これまで取り込めなかった顧客層を取り込めるようになるからだ。「現在は ISP やコンテンツプロバイダが主なお客様で、一般企業は決して多くありません。しかし将来は顧客層を一般企業に広げていくことも、視野に入れる必要が出てくるでしょう。小規模拠点に“張り出せる”仕組みは、そのための強力なツールになると考えています」。

今後も Cisco ASR 9000v の導入を拡大
Cisco ASR 9000の100G 化も検討

 このように Cisco ASR 9000v と nVテクノロジーは、小規模拠点や 1Gbps の低速サービス等、GIN の裾野を広げる上で大きな貢献を果たし始めている。現在までにロサンゼルスやニューヨーク、ワシントン、シンガポール、香港に導入されており、今後も必要に応じて導入拠点を増やしていく予定だという。

 その一方で上位サービスの拡充に向けた取り組みも進められている。Cisco ASR 9000 に 100Gbps 対応のラインカードを載せることが検討されているのだ。「現在利用可能なのは 2 ポートのラインカードですが、近い将来には 1 スロットで 8〜10 ポート実装できる高密度なカードが欲しいと思っています」と森信氏。シスコならこれをいち早く実現できるはずだと期待していると言う。

 SDN(Software Defined Network)の導入も視野に入っている。GIN では運用作業の 6〜7 割が自動化されているが、ネットワークをプログラム可能にする事で、この割合をさらに高めることが可能になる。特にサービスデリバリでは、その効果が高いと期待されている。福田氏は「現在はまだ夢に過ぎませんが」と前置きしながらも、各種設定をポータル化し、顧客がセルフサービスで作業を行えるようになれば、大きな差別化要因になるはずだと語る。

 「ネットワークベンダに期待しているのは、私どもが目指すネットワークのあり方に、タイムリーに対応していただくことです」と福田氏。シスコは ISP のニーズを的確に把握することで、この期待に応え続けていると言う。「Cisco ASR 9000シリーズ の提供も、実にタイムリーでした。しかもキャリアグレードの信頼性があり、サポート力も高い。これからも信頼できるパートナーとして、私どもが求めるテクノロジや製品を提供し続けていただきたいと思います」。

導入の背景/課題

  • GIN は世界有数のグローバル Tier1 ネットワークであり、数々の賞を受賞するなど業界内の評価も高い。しかしグローバル Tier1 ネットワークは厳しい競争に晒されており、サービス拡充とコスト削減をさらに推進していく必要があった。
  • そのためのアプローチの 1 つが機器集約である。これによってスペースコストや運用コストを削減できる。またサービス拡充に伴う機器増設が抑制できれば、追加投資も抑えられる。
  • 機器集約を実現するため、10GE ポートを高密度に収容できる Cisco ASR 9000 を採用。また Cisco ASR 9000 のスロットを最大限に活用するため、Cisco ASR 9000v の導入も行われている。

導入ソリューション

  • Cisco ASR 9000 シリーズ
    アグリゲーション サービス ルータ  
    • Cisco ASR 9000
    • Cisco ASR 9000v
  • nV (ネットワーク仮想化)テクノロジー

導入効果

  • Cisco ASR 9000 のポート密度を高めるために高密度な 10GE ラインカードを活用し、機器集約効率を上げる事が可能になった。
  • EoMPLS の実装によって、拠点によってはコアルータの設置が不要になった。これも機器集約に貢献している。
  • 1Gbps の低速ポートを Cisco ASR 9000v で提供することで、Cisco ASR 9000 のスロットをさらに有効活用できるようになった。
  • nV のサテライト機能を活用することで、Cisco ASR 9000v を Cisco ASR 9000 と異なる場所に設置しても、両者を統合運用できるようになった。これによって小規模拠点の展開を低コストで行えるようになり、顧客層の拡大が可能になると期待されている。
NTT コミュニケーションズ
株式会社
ネットワークサービス部
テクノロジー部門
担当部長
福田 健平 氏

「nVテクノロジーによって Cisco ASR 9000 の一部を、サテライトに“張り出す”ことができます。小規模拠点へのサービス展開は、今後ビジネスを拡大していくための重要なアプローチになるはずです」
NTT コミュニケーションズ
株式会社
ネットワークサービス部
テクノロジー部門
担当部長
福田 健平 氏

NTTコミュニケーションズ
株式会社
ネットワークサービス部
テクノロジー部門
担当課長
森信 拓 氏

「Cisco ASR 9000 のスロットを低速ポートに使ってしまうのはもったいない。Cisco ASR 9000v を使って低速ポートを外に出してしまえば、ポート単価を引き下げることも可能になります」
NTTコミュニケーションズ
株式会社
ネットワークサービス部
テクノロジー部門
担当課長
森信 拓 氏

NTT コミュニケーションズ株式会社

NTT コミュニケーションズ株式会社

日本を代表する大手通信事業者。1997 年の NTT 法改正による NTT 再編の一環として、1999 年 7 月に設立された。“Global ICT Partner”を事業ビジョンとして掲げ、ネットワークからデータセンター、アプリケーションまでワインストップで提供する、グローバル ICT アウトソーシングを展開。革新的で信頼性が高く、国内・海外を問わないシームレスなサービスによって、世界規模で加速するビジネスへの対応を支援し続けている。