次世代コア/エッジ ルータ導入事例
株式会社 NTT ぷらら
『ぷらら』新拠点に Cisco ASR 9904 と新型高密度ライン カードを採用アジア地域で初導入、省スペース省電力で将来にも柔軟に対応可能な 100 GE 基盤を確立 株式会社 NTT ぷらら

会員数約 600 万のインターネット接続サービス『ぷらら』や、スマート TV サービス『ひかりTV』等を提供し、顧客から高く評価され続けている株式会社 NTT ぷらら。ここでは『ぷらら』新拠点のルータとして、Cisco ASR 9904 と新型高密度ライン カードが採用されている。その最大の理由はネットワーク設計の柔軟性と投資保護、投資コストの最適化にある。シスコの CPAK テクノロジーに対応した新型高密度ライン カードでは、同一カード上において 100 GE ポートと 10 GE ポートの柔軟な選択が可能。ライン カードの搭載枚数を最小化した結果、省スペース化と省電力化によりハウジング コストを大幅に削減できた。さらにネットワーク構成に応じたポート ライセンス方式によって、投資の最適化も実現。年率約 30% という急速なトラフィック増加にも、柔軟かつ低コストで対応できる基盤を確立している。

増加し続けるトラフィックへの対応と
ディザスタ リカバリのための新拠点構築が課題

国内のインターネット人口普及率は 8 割を超え、ほとんどの人々がインターネットを利用する世の中になって久しい。一方、インターネット上のサービスの広がりは留まるところがなく、様々なサービスが日々増え続けている。これに従い一人当たりのトラフィックは着実に増加し続けている。このような環境にどのように対応し、お客様に快適なサービスを提供し続けていくか。これはサービス プロバイダーにとって、避けて通れない重要課題の 1 つだと言えるだろう。

この課題に対応するため、Cisco ASR 9904 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ(以下、Cisco ASR 9904)を活用しているのが、株式会社 NTT ぷらら(以下、NTT ぷらら)である。

同社は NTT コミュニケーションズのグループ企業として、NTT 東日本および NTT 西日本のフレッツ・光サービスを利用した接続サービス『ぷらら』を提供する、大手サービス プロバイダー。『ぷらら』の利用者数は約 300 万人で、2008 年に開始したスマート TV サービス『ひかりTV』も急速な成長を見せている。ぷららでは大規模災害対策として以前より通信設備の拠点分散を進めている。今回、新拠点のコア ルータと、フレッツのアクセス ネットワークと接続するためのエッジ ルータに Cisco ASR 9904 を採用した。

「東日本大震災のような大規模災害が発生した際、インターネットは情報交換、収集の重要な手段として利用されます。大規模震災が発生した場合、インターネット接続サービスが利用できない状況を局在化し、サービス継続性を高めることが望まれています。」『ぷらら』設備分散の背景について、このように説明するのは、NTT ぷらら 取締役 技術本部長 永田 勝美氏だ。また大規模なサービス プロバイダーに対し、サービス継続性の観点から重要な通信センターを地域的に分散すべきとする法令改正の動きがある。今回の取り組みは、このような動きを先取りするものでもあると言う。

その一方で永田氏は『ぷらら』が抱えるもう 1 つの重要課題について次のように述べる。「インターネット上の様々な動画配信サービスが数多く登場し、さらにその動画品質も SD(標準画質)から HD(高精細画質)、さらには 4K(超高精細画質)へと高品質化へ移行しています。『ぷらら』の多くのお客様もこのようなサービスを頻繁に利用していることから、一人当たりの利用トラフィック帯域は年率約 30% の割合で増加し続けています。我々はこのようなお客様に対して従来の料金の範囲の中で、快適に利用できるサービス品質を提供しなければなりません。 そのためにはコア ルータやエッジ ルータのキャパシティを効率的にそしてタイムリーに拡張していく必要があります。」

では、どのように必要なキャパシティを効率的にタイムリーに確保していけばいいのだろうか? この問いに対する最適解として導き出されたのが Cisco ASR 9904 の導入だったのである。

製品選択の重要指標だったポート密度
第三世代ライン カードと CPAK 対応で 100 GE 高密度を実現

『ぷらら』新拠点構築に向け、社内検討が始まったのは 2014 年 2 月。その後、拠点間接続方式などのグランド デザインを 2014 年 5 月までに固め、通信機器ベンダー各社に相談しながら導入製品の検討が進められていった。2014 年 10 月には RFP(提案依頼書)を提示、その 2 ヶ月後に Cisco ASR 9904 の採用を正式決定した。

それでは何故 Cisco ASR 9904 を選んだのか。NTT ぷらら 技術本部 ネットワーク管理部 マネージャーの西岡 大貴氏は、「機器への初期コスト、運用時のハウジング コスト、ポート設計の柔軟性、将来の拡張性などの複数の観点から比較検討を行った結果、Cisco ASR 9904 が最も優れた製品であると評価したからです」と説明する。

続けて、「シスコの前世代のライン カードと比較しても、100 GE ポートの密度は 4 倍あります。ハウジング コストは設備維持コストの中で大きな割合を占めるので、ポート密度は製品選択の重要な指標になります」と述べる。シスコでは今年 2 月に第三世代ライン カードをリリースしたが、ここでは新型ネットワーク プロセッサ(Tomahawk)と新型トランシーバ CPAK が重要な技術となる。まず、新型ネットワーク プロセッサでは大容量トラフィックに対応するためにパフォーマンスとスループットを旧来よりも大幅に改善しており、さらに消費電力も削減している。また、従来の 100 GE トランシーバである CFP はサイズおよび消費電力が大きいことから高密度化に課題をかかえていた。シスコはその課題を CPAK トランシーバにより解決している。Cisco CPAK は最新のシリコン フォトニクス テクノロジーを用いることで、トランシーバの小型化、消費電力の削減に成功しており、最大消費電力とサイズを CFP の約 4 分の 1 としている。さらに IEEE 802.3ba に準拠していることから、他装置接続との相互接続性にも問題がない。

Cisco ASR 9904 シャーシ外観。2 枚の新型高密度ライン カードを搭載可能。

Cisco ASR 9904 シャーシ外観。2 枚の新型高密度ライン カードを搭載可能。
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CPAK 10 ポート 10 GE ブレイクアウト ソリューションによる柔軟なポート設計
物理配線のシンプル化で交換作業もより確実に

従来のライン カードでは、100 GE ポートと 10 GE ポートはそれぞれ個別のライン カードとして存在していたり、同一ライン カード内に混在していたとしても各ポート数は固定であり柔軟性がないことが課題であった。また、エッジ ルータに関しては多くのアクセス回線を収容する必要があるが、物理的な配線が複雑になり、ポートの追加や交換を行うときに作業が困難となるケースがあった。

CPAK 10 ポート 10 GE ブレイクアウト ソリューションでは、ライン カード上の CPAK を 1 ポート 100 GE モード、または 10 ポート 10 GE モードに、他のポートへの影響無く即座に CLI 設定により変更が可能である。このように、物理的なライン カードの追加を行うことなく、同一ライン カード上に 100 GE ポート、10 GE ポートを柔軟に設定できることが、魅力の 1 つだと西岡氏は指摘する。

次に、10 GE ブレイクアウト ソリューションのもう一つのメリットとして配線のシンプル化が挙げられる。「従来使用しているネットワークでは、アクセス回線収容とネットワーク サービスを提供するアプライアンスへの接続のために、膨大な数のケーブルで接続されており、ケーブリングの課題を抱えていました」と言うのは、NTT ぷらら 技術本部 ネットワーク管理部でネットワーク機器の運用を担当する藤原 淳氏。

ライン カードが故障した時にはこれらのケーブルを抜き、機器交換後に元に戻す必要があるが、正常系のケーブルに影響を与えずに作業実施することは非常に神経を使う作業だった。これに対して 10 GE ブレイクアウト ソリューションはケーブリングのシンプル化により、より確実な交換作業が可能になると語る。

CPAK のブレイクアウト ソリューションでは、CPAK が MPO-24 インターフェイスを介して、1 ポートの 100 GE を 10 ポートの 10 GE に分岐する。対向にはブレイクアウト パネルを用い、MPO24 インターフェイスを 10 の 10 GE LC コネクタに変換する。

図 1:『ぷらら』新拠点のネットワーク構成。コア/エッジ ルータとして Cisco ASR 9904、ライン カードには 8 ポートの高密度 100 GE ライン カードを採用している。

図 1:『ぷらら』新拠点のネットワーク構成。コア/エッジ ルータとして Cisco ASR 9904、ライン カードには 8 ポートの高密度 100 GE ライン カードを採用している。
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図 2:図 1 の Cisco ASR 9904 に搭載されているライン カードの詳細構成図。同一ライン カード上で 100 GE、10 ポート 10 GE の柔軟な設計が可能。『ぷらら』新拠点ではバックボーンおよびインターネット向けには 100 GE、アクセス回線およびネットワーク サービス向けにはブレイクアウト ソリューションによる 10 ポート 10 GE を構成する。

図 2:図 1 の Cisco ASR 9904 に搭載されているライン カードの詳細構成図。同一ライン カード上で 100 GE、10 ポート 10 GE の柔軟な設計が可能。『ぷらら』新拠点ではバックボーンおよびインターネット向けには 100 GE、アクセス回線およびネットワーク サービス向けにはブレイクアウト ソリューションによる 10 ポート 10 GE を構成する。
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IOS-XR の優れた運用性がリモートでの管理作業を支援
ポート ライセンスにより初期コストの抑制と最適な設備投資が可能に

Cisco ASR 9904 採用の効果は、これらのコスト抑制だけにとどまらず、運用負担の軽減にもつながっている。Cisco ASR 9904 はシスコのキャリア向けソフトウェアである IOS-XR を搭載しており、キャリア オペレータが必要とする機能を備えている。

オペレーションはコミット ベースなので、設定内容を確認してコミットを行うまで、実際の機器には反映されない。これによって設定変更時のヒューマン エラーも回避しやすくなっている。すでに使い慣れているシスコのコマンドが使用できることも、安心して管理作業を行える要因の 1 つだと藤原氏は指摘する。また設備分散を行う上でリモートオペレーションにも不安はないと語る。

収容しているユーザ数が少数である初期段階では、ポート ライセンス(Pay as you grow)により、利用ポート単位での投資が可能な点も初期投資の抑制には大きな貢献を果たしている。

「ライン カード単位ではなくポート単位のライセンス体系になったことで、よりきめ細かく設備投資を行えるようになりました。利用ポート数をトラフィック増大に合わせて増やしていけば、常に最適な投資が可能になります」(永田氏)。

「今後どれだけトラフィックが増大するのかは未知数ですが、今のペースで推移した場合には、今後 6 年間は現在の機器構成で対応できる見込みです」と西岡氏。わずかの機器でこれだけのトラフィックをサポートできるというのは、従来であれば考えられなかったと言う。「サービス開始からすでに 3 ヶ月が経過していますが、特に問題もなく安定稼働しています。とてもいい製品を採用できたと思います」。

『ひかりTV』や MVNO での活用も検討
将来は IoT サービスの実現も目指す

このように NTT ぷららは Cisco ASR 9904 の採用によって、設備投資や運用コストの増大を抑制しながら、インターネット接続サービス『ぷらら』のキャパシティ拡張を柔軟に行える基盤を確立した。今後はスマート TV サービス『ひかりTV』でも、同様のトラフィック増大に対応することが課題である。「『ひかりTV』の映像品質へのお客様の要求はどんどん高くなっており、すでに HD 品質は不可欠で、4K サービスの利用も増えてきています。今後は HDR(ハイダイナミックレンジ)の利用も始まり、その先には 8K(次世代の超高精細画質)サービスも控えています。2020 年の東京オリンピックでは 4K サービスは当たり前になり、8K サービスで観たいというお客様の要望が増えてくるはずです。このようなニーズに確実に対応していくためには、Cisco ASR 9904 のように高い拡張性を持つネットワーク機器が必要になってくるでしょう」(永田氏)。

また NTT ぷららでは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)としてモバイル接続サービス『ぷららモバイル LTE』も提供しており、国内初となる通信量無制限プラン等によって、お客様から高い評価を受けている。ここでも今後重要なテーマになるのは、通信速度を十分に確保することで顧客満足度を高め続けることだ。MVNO ならではの安価な料金体系を維持しつつ快適な通信速度をお客様に提供するためには、いくつかの課題があるが、その 1 つにネットワーク設備の効率化がある。Cisco ASR 9904 はその課題を解決するための手助けになるはずだと永田氏は語る。

さらに IoT サービスの追求も視野に入っている。NTT ぷららはこれまでに、マルチデバイスで多様なサービスを提供できるプラットフォームを作り上げており、これはほぼ完成しつつある。さらにテレビというインターフェイスを介して様々なサービスや機能がインタラクティブに利用可能なセットトップボックスの展開も進めてきた。これらを組み合わせて活用すれば、家庭内の多様な家電製品や機器をネットワークに接続し、様々なデバイスからモニタリングやコントロール、さらにはビッグ データやディープ ラーニング技術を用いたインテリジェンスな自動化なども可能となる。中期的にはこのような世界を作り上げ、さらに便利で快適なサービスを提供していきたいと言う。

「IoT が本格化すれば、デバイスや機能、サービスにより、これまで以上に様々な特徴を持ったトラフィックがネットワークの上で流れることになるでしょう。このようなそれぞれのトラフィックにあった品質やコスト、セキュリティ要件に対して確実に対応できる柔軟性の高いネットワークが求められるようになるはずです」と永田氏。「Cisco ASR 9904 には多様なネットワーク機能を実装できる仕組みが装備されています。またシスコはネットワーク仮想化やオーケストレーション等、業界をリードする研究開発活動も積極的に進めています。私どもがこれから行う先進的な取り組みについても、ぜひ一緒に取り組んでいただきたいと考えています」。

導入の背景/課題

  • インターネット動画の利用増加、動画品質向上に伴い、総トラフィックも年率約 30% の割合で増加している。顧客満足度を維持するため、トラフィック増加への対応としてサービス品質維持が大きな課題である。
  • 今後のトラフィック増加を視野に入れると 100 GE の実装は必須である。一方従来設備との共存には 10 GE の利用も必要であり、100 GE と 10 GE の混在構成時におけるルータ構成の最適化が求められていた。
  • インターネット接続サービスの重要度が高まる中、大規模災害への対策として通信設備のより一層の分散が望まれる。
  • ハウジング コストを抑制するために、省スペース化と省電力化が求められた。

導入ソリューション

  • Cisco ASR 9904 アグリゲーション サービス ルータ  
    • CPAK ベースの 8 ポート 100 GE 高密度ライン カード
    • 100 GE ポートから 10 ポート 10 GE ブレイクアウト ソリューション
    • ネットワーク構成に応じたポート ライセンス方式

導入効果

  • CPAK 対応の高密度 100 GE ライン カードを採用することで、100 GE ポートの高密度実装が可能になり、ハウジング コストの削減が可能になった。
  • 同一ライン カード上で CPAK ポート速度を 1 ポート 100 GE または 10 ポート 10 GE いずれかで選択可能であり、柔軟なポート設計が可能になった。
  • 新型高密度ライン カードではポート ライセンス方式を採用しており、トラフィック増大に合わせて使用ポート数を増やしていくことで、常に投資を最適化することも容易になった。
  • Cisco ASR 9904 ではわずか 6RU のサイズでハウジング コストを最小化しつつ、将来的にはシャーシあたり最大 4Tbps のキャパシティまで拡張することで、トラフィック増大に対応可能である。
株式会社 NTT ぷらら取締役技術本部長永田勝美氏

「Cisco ASR 9904 の高密度 100 GE ライン カードは、ネットワーク構成に応じたポートライセンス方式を採用しています。利用ポート数をトラフィック増大に合わせて増やしていくことで、常に最適な投資が可能になります」

株式会社 NTT ぷらら
取締役
技術本部長
永田 勝美氏

株式会社 NTT ぷらら技術本部ネットワーク管理部マネージャー西岡大貴氏

「新型ライン カードにより高密度実装が実現され、ハウジング コストの削減につながっています。ブレイクアウト ソリューションにより同一ライン カード上で柔軟に 100 GE または 10 ポート 10 GE を選べるのも魅力の 1 つです」

株式会社 NTT ぷらら
技術本部
ネットワーク管理部
マネージャー
西岡 大貴氏

株式会社 NTT ぷらら技術本部ネットワーク管理部藤原淳氏

「使い慣れたシスコのコマンドが使用できるため、安心して管理作業が行えます。リモートでのオペレーションにも不安はありません」

株式会社 NTT ぷらら
技術本部
ネットワーク管理部
藤原 淳氏

株式会社 NTT ぷらら

株式会社 NTT ぷらら

所在地
東京都豊島区東池袋 3-1-1
サンシャイン 60 24階
設立
1995 年(平成 7 年)12 月
資本金
123 億 2100 万円
従業員数
401 名(2015 年 7 月現在)

NTT コミュニケーションズのグループ企業として、インターネット接続サービス『ぷらら』やスマートTVサービス『ひかりTV』を提供する大手サービス プロバイダー。『ぷらら』の会員数は約 300 万で、『ひかりTV』のビジネスも急速な勢いで成長。「お客様中心主義」を基本理念に掲げ、顧客満足度の高いサービスの提供に取り組み続けている。