アルペン スキー ワールド カップ
湯沢苗場大会 2016
アルペン スキー ワールド カップ
湯沢苗場大会に Cisco StadiumVision を導入
ICT を活用した屋外スポーツ イベントの新たな楽しみ方を提供

日本で 10 年ぶり、苗場では 41 年ぶりの開催となった「FIS アルペン スキー ワールド カップ 2016 湯沢苗場大会」。ここでは Cisco StadiumVision による映像配信が行われました。これによって「室内で屋外競技を観戦する」という新たな楽しみ方を提供。スポンサー獲得の手段としても効果的だと評価されています。


これからのスポーツ競技会は広く情報を発信し、より多くの方々に楽しんでいただくことが必要です。ICT を活用した新たな観戦スタイルは、そのための重要な手段です
公益財団法人 全日本スキー連盟
理事 皆川 賢太郎 氏

「FIS アルペン スキー ワールドカップ」は、世界で 5 億人以上の人々が注目する、世界有数のプロ スポーツ エンターテイメントです。毎シーズン欧米を中心に、世界各国 10 〜 20 の都市を転戦、その盛り上がりは「白いサーカス」と称され、サッカー以上の盛り上がりを見せる国も少なくありません。そのアルペン スキー ワールド カップが、2006 年の志賀高原での開催以来、10 年ぶりに日本(湯沢町苗場)で開催。ICT を活用した新たな観戦スタイルを実現し、大きな注目を集めました。


課題

人々に夢と感動を与え、人生をより豊かなものにするスポーツ。2020 年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を控えた現在、その振興のための環境整備は極めて重要な課題の 1 つだと言えます。その取り組みの一環として、ICT を活用した新たなスポーツ観戦のあり方を示したのが、2016 年 2 月に開催された「FIS アルペン スキー ワールド カップ 2016 湯沢苗場大会」です。


「今回のワールド カップは、湯沢では 41 年ぶり、日本でも 10 年ぶりとなる大会でした」と語るのは、湯沢町教育委員会 ワールドカップ推進室 室長の前原 力氏。これまでとは違う、ユニークで新しい取り組みを行いたいと考えていたと言います。


また冬季オリンピック 4 大会連続で日本代表となり、現在は全日本スキー連盟の理事を務める皆川 賢太郎氏は、次のように語ります。


「10 年前の日本大会以降、日本経済は厳しい状況にあり、ウィンター スポーツも今後どうあるべきかを問われる中でのワールド カップになりました。これまでは競技を行うことだけに注力していましたが、今回はより広く情報を発信し、さらに多くの方々に楽しんでいただける大会にしたいと思っていました」。


しかしアルペン スキーは自然の中のスポーツであり、その観戦は決して簡単なものではありません。雪の中の競技コースに足を運ぶ必要がある上、選手は一瞬の間に目の前を通過してしまいます。


「今回の大会ではゴール付近に VIP ラウンジを用意し、室内からの観戦も可能にしましたが、スタート地点は山の高い位置にあるためここからは目視できません」と前原氏。また観客層を拡大するには、選手の情報を適宜提供することも必要だったと指摘します。「観戦のハードルを下げ、快適な環境で競技を楽しんでいただくには、ICT を活用した演出が必要だと考えました」(前原氏)。


ライブ映像を高画質かつリアル タイムに近い超低遅延で配信でき、
スポンサーの広告映像も動画でオーバーレイ可能。
システム構築もスムーズに行えました。


ソリューション

海外での豊富な実績がある Cisco StadiumVision
そのために今回導入されたのが、Cisco StadiumVision でした。本大会のスポンサーであり、StadiumVision を提案した 株式会社NTT ドコモの野瀬 英則氏は、その理由を次のように語ります。


「ICT を活用したスポーツ観戦の事例は国内ではまだ少ないのですが、海外では米国のヤンキー スタジアム等、数多くの競技場に StadiumVision が導入されています。従来の一般的なデジタル サイネージとは異なり、ライブ映像を高画質かつリアルタイムに近い超低遅延で配信できるため、今回のようなスポーツ イベントには最適でした。またビデオ映像の上にスポンサーの広告映像を動画でオーバーレイできるため、広告媒体としての可能性も高いと判断しました」。


高精細なディスプレイを複数連結した迫力のある映像
映像を表示するディスプレイ技術は、StadiumVision に関してシスコとパートナーシップを結んでいるパナソニックが提供しました。VIP ラウンジには、柱の側面に合計 9 枚の 46 インチ パネルと、55 インチ× 4 枚(2×2)で構成されるビデオ ウォールを設置。ロビー フロアには 42 インチを横方向に 4 枚連結したリボン ボード× 2 と、40 インチ× 3 のリボン ボードも設置されました。


これら連結したディスプレイを 1 つの大画面として使用し、迫力ある映像を表示することができる上、必要に応じて 1 枚毎に異なるコンテンツを表示することも可能です。そのため状況に応じた柔軟な情報提供が実現できたと語ります。パナソニック システムネットワークス株式会社の玉山 尚喜氏は「今回は研究開発中の 80 インチ マルチタッチ ディスプレイも VIP ラウンジ入り口に設置し、StadiumVision と連携させています。このようなことが可能になったのも、シスコとの緊密なパートナーシップがあるからです」と語る。


わずか 3 日間でスムーズにシステムを構築可能
競技中の映像は NHK のカメラ クルーが撮影し、ゴール付近に設営された 2 階建てのディレクター ハウスに集約。StadiumVision のシステムがストリーミング データへと変換し、VIP ルーム等に設置されたディスプレイへと配信しました。またシスコでは事前に大会を盛り上げるための映像や選手紹介等の映像も制作、これらも競技映像やスポンサー映像と共に配信されました。


「システム構築の期間はわずか 3 日間でしたが、全く問題なくスムーズに終えることができました」と言うのは、システム構築を担当した富士通株式会社の中田 尚志氏です。「他の参加企業の皆さまと一体となった、とてもいいプロジェクトだったと感じています」。


写真1:StadiumVision が設置された VIP ラウンジ。柱を囲むように
ディスプレイが配置されている他、正面には 2 × 2 のパネルで
構成された大画面ディスプレイも設置された。
写真1:StadiumVision が設置された VIP ラウンジ。柱を囲むようにディスプレイが配置されている他、正面には 2 × 2 のパネルで構成された大画面ディスプレイも設置された。


写真2:ロビー フロアに設置された、パネル 4 枚で構成される
「リボン ボード」。4 枚を一体化した表示と個別表示の両方に対応、
柔軟な映像表現を可能にしている。
写真2:ロビー フロアに設置された、パネル 4 枚で構成される「リボン ボード」。4 枚を一体化した表示と個別表示の両方に対応、柔軟な映像表現を可能にしている。


結果〜今後

室内に居ながらにして高い臨場感で観戦可能
「StadiumVision 活用によって、屋外で行われるスポーツを室内で観戦するという、新しい楽しみ方を提示できました」と皆川氏。大画面の映像は迫力がある上、遅延も少ないため、窓の外の光景を同時に見た時でも違和感はなく、高い臨場感を感じられたと言います。また選手情報の表示も行っていたため、アルペン スキーに詳しくない人でも楽しみやすくなったと語ります。


「今回の試みに関しては、多くの方から『良かった』というコメントをいただきました。またFacebook Japan 様にご協力いただき、Instagram に投稿した写真を表示するという試みも行ったのですが、選手が投稿した写真が映し出された時には画面の前に人だかりができ、参加する楽しさも感じていただけたと思います」。


スポンサー獲得の手段としても大きな効果
「競技映像にオーバーレイされた広告映像によって、スポンサーのブランド認知を高める効果もありました」と言うのは野瀬氏です。実際に今回の複数のスポンサーからも、高い評価を受けていたと説明します。皆川氏も「スポンサー獲得はスポーツ振興にとって重要な課題です」と指摘。ここにも StadiumVision の高い可能性を感じていると語ります。


「国際大会に相応しいエンターテイメント性、おもてなしの演出ができ、国際スキー連盟(FIS)からも高い評価をいただきました」と前原氏。今後も湯沢町を訪れる観光客、スキーヤーの方に新たな体験が提供できるよう、ICT の活用を進めたいと述べています。


今後は短期イベントやコンサート等への展開も
その一方で野瀬氏は「大会関係者以外からの問い合わせも数多くいただきました」と振り返ります。「海外の StadiumVision の事例は常設型がほとんどですが、屋外イベントや短期イベントでも有効であることを実証できました。スポーツ関係の方はもちろんのこと、音楽業界の方からも大きな反響がありました」。


さらに井上氏は「今後は広告等と連動した新しいマネタイズ モデルの展開も考えられます」と言及。中田氏も「富士通の社会インフラ ソリューションと融合することで、新たな付加価値が提供できる可能性があります」と述べています。


本大会での StadiumVision 活用は、スポーツ振興の新たな手段はもちろんのこと、多様な領域での映像活用にも道を拓く、画期的なチャレンジだったと言えるでしょう。

メディアを選択

課題

  • 今回は 10 年ぶりとなる国内大会であり、これまでとは違うユニークで新しい取り組みが求められていた。
  • アルペン スキーの振興のためには、より多くの方々に楽しんでもらえる大会にする必要があった。
  • ゴール付近に VIP ラウンジを用意し、室内からの観戦を可能にしたが、スタート地点は目視できないため、ICT を活用した演出が必要だった。

ソリューション

  • ライブ映像を高画質かつリアルタイムに近い超低遅延で配信。
  • 広告動画等の映像をオーバーレイ表示。
  • 複数ディスプレイの一体表示と個別表示を使い分けることで、柔軟な映像表現を実現。
  • わずか 3 日間という短期間でのスムーズなシステム構築が可能。

結果〜今後

  • 屋外で行われるスポーツを室内で観戦するという、新しい楽しみ方を提示。
  • 広告映像の効果的な表示でスポンサーのブランド認知も向上。
  • 今後はスポーツイベントのみならず、屋外コンサートや短期イベント等にも活用できると評価。

製品&サービス

  • Cisco StadiumVision
湯沢町教育委員会
ワールドカップ推進室 室長
前原 力 氏

湯沢町教育委員会
ワールドカップ推進室 室長
前原 力 氏

公益財団法人 全日本スキー連盟
理事
皆川 賢太郎 氏

公益財団法人 全日本スキー連盟
理事
皆川 賢太郎 氏

株式会社 NTT ドコモ
第一法人営業部
第三営業 第四担当 課長
地方創生推進担当
2020 プロジェクト(TOKYO2020・JOC・JPC)担当
野瀬 英則 氏

株式会社 NTT ドコモ
第一法人営業部
第三営業 第四担当 課長
地方創生推進担当
2020 プロジェクト(TOKYO2020・JOC・JPC)担当
野瀬 英則 氏

パナソニック システムネットワークス株式会社
システムソリューションズジャパンカンパニー
社会システム本部
通信システム営業部
ソリューション統括
井上 祐一 氏

パナソニック システムネットワークス株式会社
システムソリューションズジャパンカンパニー
社会システム本部
通信システム営業部
ソリューション統括
井上 祐一 氏

パナソニック システムネットワークス株式会社
システムソリューションズジャパンカンパニー 直轄部門
SE 統括部
2020 プロジェクト
主事
玉山 尚喜 氏

パナソニック システムネットワークス株式会社
システムソリューションズジャパンカンパニー 直轄部門
SE 統括部
2020 プロジェクト
主事
玉山 尚喜 氏

富士通株式会社
社会基盤ビジネス本部
ドコモ第二ビジネス統括部
第二営業部
部長
中田 尚志 氏

富士通株式会社
社会基盤ビジネス本部
ドコモ第二ビジネス統括部
第二営業部
部長
中田 尚志 氏

FIS アルペン スキー ワールド カップ

国際スキー連盟(FIS)が 1967 年から毎冬実施しているアルペン スキー大会。FIS アルペン スキー世界選手権、冬季オリンピックにおけるアルペン スキー競技に並ぶ、アルペン スキーの重要大会である。最初の大会は南半球のチリ・ポルティージョ、その後は主に欧州と北米で開催されており、年間 40 戦程度を行い、総合優勝と種目別優勝を争う。日本での初大会は 1973 年に苗場スキー場で行われ、その後も北海道・富良野、岩手県・雫石、長野県・志賀高原等で開催。今回の「2016 年湯沢苗場大会」は、2006 年の志賀高原での開催以来、10 年ぶりの国内大会となった。