サービス プロバイダー向け Software Defined Networking(SDN)

ソフトウェア定義型ネットワーキング:コスト削減と新たな収益の獲得

ホワイト ペーパー





ソフトウェア定義型ネットワーキング:コスト削減と新たな収益の獲得



ソフトウェア定義型ネットワーキング(SDN)は、企業やサービス プロバイダーがネットワークを構築する際の複雑な作業を軽減し、導入コストと運用コストを削減します。これらのメリットは、ネットワーク転送機器(スイッチ、ルータ、第 4 層〜第 7 層のアプライアンス)の制御機能を抽象化することで得られます。抽象化により、新しいサービスやアプリケーションの開発、あるいは既存のサービスやアプリケーションの変更が容易になります、それがコスト ダウンにつながり、短期間で収益を上げることができます。多くの業界関係者が、制御機能を中央汎用サーバ(通常はデータセンターの x86 クラス)に移すことを提唱しています。このアプローチでは、コストを削減するため、転送機器として低価格の量産ハードウェアを使用します。


さらに、SDN コミュニティでは、サービス プロバイダーが SDN を利用して利益を上げる方法も論じられています。そこで取り上げられる主な方法は次の 3 つです。

  • すでに収益を生んでいるネットワーク サービスを引き続きソフトウェア定義型ネットワークで利用する。柔軟性が向上し、低コスト構造に変わることで、利益率が改善される。
  • サービスを短期間で開発または変更することで、収益向上の新たな機会を獲得する。
  • 低コストで柔軟性の高いネットワークへ移行する。動的なサービス環境でアプリケーションの革新性を促進し、新たな市場を開拓する。

正しい方向性


低コストの量産型ハードウェアを利用できる、ソフトウェアの開発期間が大幅に短縮される、急速に発展した Web の経験をベンチマークとして使用できるなど、SDN にはさまざまな経済的メリットがあります。そのため、多くのサービス プロバイダー、テクノロジー ベンダー、および企業が SDN に注目しています。

実際のところ、何に気を付け、どのように導入すればよいのでしょう。どうすれば、SDN によってコストを削減し、利益を得ることができるのでしょうか。

現在でも、通信事業者は、サービス インフラストラクチャの数ヵ所にハードウェアを設置する必要があります。設置場所としては、顧客構内、固定およびモバイル アクセスのネットワーク層、フロー集約ポイント、プロバイダー エッジ、大容量ネットワーク コア、データセンター、接続ポイントや切り替えポイントなどがあります。どの国のサービス プロバイダーも、さまざまな地域にさまざまなトポロジで設置されたハードウェアを管理しなければなりません。つまり、ファイバ ケーブルをどこに敷設し、ネットワーク、ストレージ、コンピューティング機器をどこに設置するかを経済面から検討する必要があります。さらに、各地域の電力事情や不動産コストなども考慮しなければなりません。


新しい運用モデル


SDN を成功させるには、「運用コストを削減し、複雑さを軽減する」という明確なミッションのもと、サービス プロバイダーのすべての環境とインフラストラクチャに新しい運用モデルを適用する必要があります。一番の目的は、望ましいビジネス成果を上げること。大切なのは、コスト削減、複雑さの軽減、迅速性の向上であり、 ネットワーク機能をビッグ データセンターに一元化することでも、量産型の汎用ハードウェアを使用することでもありません。ただし、これらは状況によっては大きな経済的メリットをもたらします。

コスト、柔軟性、複雑さに関する問題は、制御と管理のフレームワークに端を発します。今まで、これらのフレームワークには適切なデータ抽象化モデルが含まれていませんでしした。

  • コスト削減、複雑さの軽減、柔軟性の向上を実現するには、まず、制御と管理の問題を切り分ける必要があります。つまり、モジュール化です。
  • 次に、さまざまなソフトウェア モジュールやレイヤの操作ポイントで簡単に使用できるデータ抽象化モデルを開発します。幸い、それに役立つ技術がすでに Internet Engineering Taskforce(IETF)で標準化されています。たとえば、YANG は、ネットワーク要素を抽象化し、ネットワーク構成(NETCONF)プロトコルに従ってプログラミングするためのデータ モデリング言語です。
  • また、欧州電気通信標準化機構(ETSI)のネットワーク機能仮想化(NFV)作業グループは、仮想ネットワーク インフラストラクチャを構成する各種機能モジュールとインターフェイスを定義しています。実際、高度に仮想化されたネットワーク機能がなければ、SDN の目的を達成することはできません。この業界の主流である NFV と SDN は、互いになくてはならないものと言えます。

SDN の目的を達成するには、サービス プロバイダーも重要な役割を果たします。これからは、新しい経営的視点で開発環境と運用環境を見直さなければなりません。そのためには、新しい運用モデルとビジネス モデルを柔軟に取り入れることが大切です。それが、新しい技術の受け入れと自律したアプリケーション開発につながります。サービス プロバイダーがオープンなアプリケーションを短期間で開発するには、アプリケーションとネットワークをつなぐ宣言的モデルを真剣に検討する必要があります。(詳しくは、本書末尾の「宣言型プログラミング」リンクを参照してください)。このモデルを使用すれば、アプリケーション要件を自然に記述して、ネットワークに実装できます。下位レベルの複雑な処理やネットワーク間の違いを考慮する必要がありません。規模にかかわらず、アプリケーションのサービス レベル要件を維持するのはネットワークの役割です。また、データ プレーンと制御プレーンの両方について、ストレス条件下での弾力性を高め、障害発生時に迅速に対処できるようにする役割もネットワークが担っています。


ソフトウェア エコシステムの形成


多くのサービス プロバイダーは、Google、Apple、Amazon などが導入したモデルに関心を寄せています。モデル自体はそれぞれ異なりますが、多数のサードパーティがアプリケーションを短期間で開発し、それを実装できるプラットフォームであることに変わりありません。望ましいのは、ソフトウェアおよびアプリケーションの開発と配信へ向けてネットワーク環境が広く開放されており、無数のニッチ市場やマス市場のニーズに対応し、新たな収益を生み出せる SDN です。サービス プロバイダーは独自のプログラムやアプリケーションを使用して同様の処理を実現できます。サードパーティが広く利用できるプラットフォームであり、ユーザにとって魅力的なサービスやアプリケーションを開発できます。

Representational State Transfer(REST)のように、シンプルでオープンな標準 API を使用すれば、サービス フレームワークのその他の部分と容易に統合でき、問題もほとんど発生しません。サービス プロバイダーとパートナー関係にあるアプリケーション デベロッパーは、基盤ネットワークで抽象化されたこれらの API を対象にソフトウェアを設計します。サービス プロバイダーの SDN では、ネットワークおよびサービス インフラストラクチャを構成するためのポリシーを作成し、それを適用します。その結果、データ転送、データ収集、トポロジ、アクセス性、負荷、スケールなど、ネットワークの複雑な設定を知らなくても、特定の品質のサービス(QoS)、セキュリティ、ストレージをネットワークに要求できます。SDN インフラストラクチャは、アプリケーションの要求に応じてサービスを構成します。ユーザ体感品質を保証できるだけのリソースを確保できない場合は、その旨をアプリケーションに知らせます。本来、アプリケーションはサービス制御を抽象化したものであり、サービス制御はネットワーク インフラストラクチャを抽象化したものです。これが SDN における単純化の本質です。

機動性と即応性に優れ、利益を生むソフトウェア エコシステムを維持するには、SDN 環境のデータ モデルと API がシンプルでオープンであることが必須条件です。


順応性に優れたインフラストラクチャ、柔軟なアーキテクチャ


SDN のメリットは、SDN アーキテクチャとテクノロジーをどのように適用するかにも左右されます。大都市で利用されているネットワークは、地方の顧客を対象とするネットワークと異なるでかもしれません。また、国によって、あるいは提供するサービスの種類によっても、アーキテクチャ要件が大きく異なるでしょう。プロバイダーは、ビジネス目標をサポートする柔軟な SDN 環境を構築する必要がありますが、物理的なハードウェアと仮想インフラストラクチャの両方に対応しなければなりません。コストを削減し、新たな収益機会を確実に捉えるには、この柔軟性が鍵になります。

基盤となる消費リソースの柔軟性と適応性を高め、求められているサービスをすばやく提供する必要があります。(これらのリソースには、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク転送、ネットワーク機能、帯域容量、および仮想インスタンスの代わりに物理インスタンスが含まれます)。したがって、運用制御システムは、最適なサービス配置を(リアルタイムまたはほぼリアルタイムで)自動的に決定し、アプリケーションのニーズに応えると同時にビジネス ポリシーにも準拠する必要があります。

基盤となる消費リソースの柔軟性と適応性を高め、求められているサービスをすばやく提供する必要があります。(これらのリソースには、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク転送、ネットワーク機能、帯域容量、および仮想インスタンスの代わりに物理インスタンスが含まれます)。したがって、運用制御システムは、最適なサービス配置を(リアルタイムまたはほぼリアルタイムで)自動的に決定し、アプリケーションのニーズに応えると同時にビジネス ポリシーにも準拠する必要があります。

重要ポイントをまとめると、次のようになります。

  • サービス インフラストラクチャ全体がオープンであり、柔軟性に優れ、運用がシンプルであること
  • さまざまな顧客、アプリケーション、ビジネス モデル、および地域のニーズに対応できる柔軟なサービス インフラストラクチャを構築する

SDN はこれらを実現し、望ましいビジネス成果(コスト削減と収益増加)をもたらします。


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