Network Functions Virtualization(NFV)

仮想化によるネットワークの最適化:いつ、どこから、どのように着手すべきか

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仮想化によるネットワークの最適化:いつ、どこから、どのように着手すべきか



仮想化は決して新しい概念ではありませんが、昨今、スイッチ、ルータ、さらに無数のネットワーク機器の機能に対して仮想化が積極的に導入されるようになっています。仮想化に期待されているのは、大幅なコスト削減と、ネットワークの複雑性の低減です。サーバ仮想化が登場して間もない頃、仮想化には、サーバの設備投資(CapEx)を劇的に低減させるほどのインパクトがありました。しかし、人件費のかかる複雑なプロセスが要求されるため、運用コストは急上昇しました。上昇したコストは、サーバとネットワーク インフラストラクチャの統合や、より高度なソフトウェア機能によって抑えられるようになりました。


サーバ仮想化におけるこうした過去の経験から、事業者は何を学ぶことができるでしょうか。まず注目すべきは、コストは単に設備から運用に移っただけで、総額は変わっていなかった、という点です。また、適切なリソースや機能の仮想化のためには、テクノロジーに目を奪われず、あくまでもビジネス ニーズの観点に立つことが重要です。さらに最適化においては、インフラストラクチャの柔軟性や適応性に焦点を当て、総所有コストの低減を計ることが大切です。


最適化の焦点は運用環境に


複雑性:まず注目すべきは、複雑性の低減です。現在のところ、既存のサービスやアプリケーションを維持しながら、新しいサービスやアプリケーションを導入するのは厄介な作業です。運用プロセスは非常に複雑で時間がかかるため、高いスキルを備えた技術者が必要です。しかし、自動化やオーケストレーションによって複雑性が低減されると、運用が加速され、サービスの俊敏性も高まり、結果として運用コストの削減がもたらされます。問題を単にある領域から別の領域に移すのではなく、ネットワーク全体の複雑性を低減させることができる仮想化テクノロジー スイートを選ぶ必要があります。

仮想化対象の選択:仮想化と一般的なサーバの組み合わせが有効であることが明らかな領域があります。そのような領域の一例は、コンピューティングのニーズは非常に高い一方、遅延やスピード、予測可能性などのネットワーク パフォーマンス ニーズは高くないネットワーク機能です。このような機能には、IP Multimedia Subsystem(IMS)などのサブシステム制御や、ドメイン ネーム システム(DNS)などのネットワーク制御があります。仮想化と一般的なサーバの組み合わせは、高帯域幅負荷や低遅延、高予測可能性などの非常に高いネットワーク パフォーマンスが求められるネットワーク機能ではそれほど有効ではありません。コンピューティング ニーズは中程度ですが、転送ニーズは非常に高いコア データセンターのスイッチングや WAN バックボーン ルーティングなどがその例です。

仮想化された機能の配置場所:最適化レベルを左右するもう 1 つの重要な要素は、仮想化機能の配置場所です。最適化の取り組みでは、必要なパフォーマンス レベルと Quality of Service(QoS)とを維持できるように常にバランスを取る必要があります。コスト削減のために仮想化と標準的なプラットフォームを使用して、エンド カスタマー エクスペリエンスを犠牲にすることは、多くの場合、推奨できません。仮想化された機能の配置場所を決定する際は、サービスの提供および管理に必要な総コスト、サービスの拡大縮小の容易性、および、変化する市場に対応できるインフラストラクチャの相対的な俊敏性を常に考慮する必要があります。

たとえば、仮想化された高解像度(HD)ビデオ出力は、最高の画質とパフォーマンスで提供するために、できるだけエンド ユーザの近くに配置することが推奨されます。ネットワーク機能を使用場所から遠くに配置する際に検討が必要なもう 1 つの問題は、ネットワーク全体でのバックホールに必要な帯域幅コストです。分散型の人気の高い HD ビデオ フィードは、ネットワーク負荷を低減することでコスト効率が向上する傾向にありますが、ロングテールのコンテンツはストレージ コストが安い場所にまとめて配置することが推奨されます。理想的なインフラストラクチャとは、コスト効率最大化のためのコンテンツの配置や再配置が容易で、テクノロジーによる制約を受けない柔軟性を備えたインフラストラクチャと言うことができます。

仮想化された機能を配置する場所としては、中央のデータセンター、分散データセンター、接続ポイント(POP)およびセントラル オフィス(CO)などが挙げられます。(通信プロバイダーはすでにセントラル オフィス インフラストラクチャを所有しており、それを小さなデータセンターに変更しています)。仮想化された機能の最終的な配置場所として、最高のユーザ エクスペリエンスを提供できるのは、もちろん、顧客の構内です。

仮想化された機能を簡単に再配置できるインフラストラクチャは、中央のデータセンターを経由してサービスを導入することで市場投入までの時間短縮を図る場合などにも非常に重要になってきます。さらにその後、サービスの規模やパフォーマンス要件が劇的に上がった場合に、サービス内のネットワーク機能をより最適な場所に再配置する必要が生じるケースも考えられます。

仮想化された機能の導入方法:仮想化された機能の一般的なサーバへの導入形態は複数あります。データセンターの x86 ラックまたはブレード サーバ、ルータまたはスイッチ スロットの x86 サーバ ブレード、その他の場所(CO、POP、顧客サイト)のルータまたはスイッチの隣に配置された x86 サーバに導入する場合などが挙げられます。ネットワーク アーキテクチャを適切に最適化するには、仮想化された機能の物理的な配置場所のコストとパフォーマンスのメリットをエンドツーエンドで綿密に分析する必要があります。

キャパシティ プランニング:ACG Research の調査によれば、従来のキャパシティ プランニングのアプローチでは、コスト効率を維持したまま需要に追いつくことができなくなっています(図 1)。これにより販売機会や顧客、収益を失ったり、投資の有効利用が妨げられる可能性があります。つまり、旧来のキャパシティ プランニング(容量計画)モデルを採用している企業には、コスト最適化の機会があります。必要とされているのは、予測困難なキャパシティ需要に対応できる、より柔軟できめの細かいインフラストラクチャです。

HD ビデオ コンテンツによるネットワークへの高負荷とモビリティの普及により、ネットワークのキャパシティとリソースは、既存のプロビジョニング モデルではサポートできないほどの素早い即応性を求められています。これは、適切なインフラストラクチャにおいては、アプリケーションやユーザの需要が発生したときにリソースとキャパシティを適応させる必要があることを意味しています。仮想化を適切に適用すれば、需要に合わせてきめ細かくリソースやキャパシティを増減させることができます。つまり、ハードウェア リソースの増減を、サーバの負荷に吸収させることができます。また、仮想化により、現在のニーズに不要なハードウェアの電源をより簡単に切断できるようになり、エネルギー コストと冷却コストを大幅に削減できます。

図 1. キャパシティ プランニングの課題

図 1.  キャパシティ プランニングの課題

出典:ACG Research

オーケストレーションの使用:今日のほとんどのサービスでは複数の機能が必要とされます。これらの機能を仮想化した場合、適切かつ、可能な限りシンプルな方法で全機能を統合することがネットワーク最適化の最も重要な要素となります。これは NFV 対応のオーケストレーション ツールなしでは、非常に困難です。適切なオーケストレーション システムであれば、アプリケーションやサービスのニーズに自動的に対応し、機能を最適化して提供します。すなわち、適切な CPU、ストレージ、ネットワーク キャパシティを利用して、正しい順序、最適な場所で機能を提供します。オーケストレーターは、仮想化された機能の配置場所を認識(または必要とされる場所にリアルタイムで配置)するとともに、サービス プロファイル、検出、およびカタログ化を利用して、どの機能が必要かも認識します。ビジネス ニーズに応じてネットワーク機能を移動したり、電源を投入または(必要のないときは)切断することもできます。ネットワーク機能の体系的な使用と統合を最適化するには、オーケストレータを使用する必要があります。

設備投資(CapEx)の削減:最適化のもう 1 つの焦点は、資本コストの削減です。これは、リソース再利用性の向上により実現され、仮想化リソース、統合インフラストラクチャ、およびプログラマブル ネットワークが作り出す新たな世界のもう一つのメリットと言うことができます。現在の運営環境には、管理が複雑で、しかも多くの場合、有効利用されていない、特定用途専用のインフラストラクチャであふれています。標準の x86 サーバ プラットフォームへの移行と、優れたインテリジェンス、仮想化機能、自動化機能を備えたネットワーク リソースの活用によってリソースの再利用性を向上させ、資本予算を最適化することができます。

これは、仮想化インフラストラクチャにとって何を意味するのでしょうか。最適化の面においては、あらゆる種類のサービスや、運用で消費されるキャパシティとリソースをきめ細かくサポートできる柔軟性を備えたインフラストラクチャを選ぶ必要があります。また、ビジネス ニーズに応じて、ネットワーク内の複数の場所で仮想化をサポートし、ネットワーク機能を簡単に再配置できる機能も求められます。さらに、アプリケーションや管理システムと連携し、需要が増加するとすぐにリソースを増やし、不要になった時点でリソースを減らしたり電源を切断したりする即応性と柔軟性が求められます。最後に、インフラストラクチャの仮想化においては、ネットワークの複雑さを低減させて運用スタッフの作業を減らし、自由になった時間で事業革新に取り組めるようにすることが必要です。


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