IP Next-Generation Networks

ゼタバイト時代の到来

ホワイトペーパー





ゼタバイト時代の到来



ゼタバイト時代の到来

「ゼタバイト時代の到来」は、ビジュアル ネットワーキング アプリケーションの影響を追跡し予測することを目的とした継続的なイニシアティブ「Cisco Visual Networking Index」の一環として作成されたホワイト ペーパーです。このホワイト ペーパーでは、全世界の IP トラフィックに対するシスコの予測と主な所見を示すと共に、IP トラフィック量の増加がサービス プロバイダーにどのような影響を与えるかを考察します。この予測の詳細とその背後にある方法論については、ホワイト ペーパー「Cisco Visual Networking Index 予測と方法論 2007-2012」を参照してください。

2008 年 6 月 16 日

概要

全世界の 1 年間の IP トラフィック量は、4 年後には 500 エクサバイト(0.5 ゼタバイト)を超えると言われています。2012 年の終わり頃の 1 か月あたりのトラフィック量は 44 エクサバイトをわずかに下回る程度となり、これを年間トラフィック量に換算すると 522 エクサバイトとなります。エクサバイトの 1,000 倍であるゼタバイトは、2012 年の先を見通すうえでの新しいマイルストーンとなります。

全世界の IP トラフィックは、2012 年までの 2 年ごとにほぼ倍増していくと予測されています。IP トラフィックの総量は、2012 年には 2007 年の 6 倍、2008 年の 4 倍にもなります。高精細度ビデオと高速ブロードバンドが普及した結果、コンシューマ IP トラフィックが IP 全体の成長を加速しています。成長率は 2012 年までこのまま続くとみられており、年平均成長率(CAGR)は 46% になる見込みです。

2012 年のインターネットの規模は、2002 年の 75 倍になります。2012 年にはインターネット トラフィックの量が 1 か月あたり 27 エクサバイトに達します。これは DVD 700 億枚分に相当します。

昨年は、IP とインターネットのトラフィック量が驚異的に増加した年でした。IP トラフィック総量は 2007 年の 1 年間で 57% 増加し、2008 年には 62% 増加すると予測されています。同様に、インターネット トラフィック量は 2007 年に 48% 増加し、2008 年には 51% 増加すると予測されています。その後は年間増加率の下降が始まり、2012 年の IP トラフィック増加率は 34% になる見込みです。

P2P のボリュームは増加していますが、割合としては低下しています。ピアツーピア(P2P)ファイル共有ネットワークの現在の 1 か月あたり伝送量は前年同期に比べて 600 ペタバイト増加していますが、DVD に換算すると毎月 1.5 億枚が増えていることになり、1 か月の合計では DVD 5 億枚(2 エクサバイト)以上に相当します。これほど増加しているにもかかわらず、コンシューマ インターネット トラフィックに P2P が占める割合は 2007 年末の時点で 51% であり、2006 年の 60% から低下しています。さらに 2008 年末には 44% まで低下するとみられます。トラフィックに占める割合の低下の一番の原因は、ビデオ トラフィックの割合の増加です。また、一部の地域で P2P ファイル共有に代わって Web ベースのファイル共有が使われるという傾向も原因として挙げられます。

ビデオ トラフィックの状況

現在では、コンシューマ インターネット トラフィック全体のおよそ 4 分の 1 をインターネット ビデオが占めています(P2P ファイル共有によるビデオ交換のトラフィックを除く)。インターネット ビデオの割合は、2007 年末の時点で 22% でしたが、2008 年末には 31% に達します。

ビデオ全体(TV、VoD、インターネット、および P2P)を合計すると、2012 年にはコンシューマ トラフィックの 90% に迫る見込みです。インターネット ビデオだけで、2012 年のコンシューマ インターネット トラフィックの約 50% を占めます。

2010 年にはインターネット ビデオのトラフィック量が P2P を上回ります。2000 年以来トラフィック量で首位に立っていた P2P は、その座を明け渡すことになります。

2012 年のインターネット ビデオのトラフィックは、2000 年の米国のインターネット バックボーンのトラフィック量の約 400 倍に達します。2012 年の 1 か月間にネットワークに流れるオンライン ビデオをすべて見るとすれば、50 万年以上かかってしまいます。2012 年には、インターネット ビデオのトラフィック量は 1 か月あたり約 10 エクサバイトとなります。

オンライン ビデオの負荷にもインターネットは(依然として)持ちこたえています。トラフィック量の増加を受けて、サービス プロバイダーはインフラストラクチャのアップグレードを急いで進めています。アップグレードの結果、2007 年には国際インターネット バックボーンの利用率が低下しています(Telegeography による報告1)。短期的には、インターネット バックボーンに対するオンライン ビデオの影響の中で最も解決が難しいのは、トラフィックの総量ではなく突発的な急増(フラッシュ クラウド)です。

YouTube は発端に過ぎません。オンライン ビデオの成長は、3 つの波として現れます。2007 年から 2012 年までの間に 6 倍に増えるものの、インターネット ビデオの現在の成長はまだ初期段階です。やがて、「PC 画面へのインターネット ビデオ」を上回る第 2 の波が、「テレビ画面へのインターネット ビデオ」の配信によって生まれます。2015 年より先には、ビデオ トラフィックの第 3 の波がビデオ コミュニケーションによって作り出されます。

ビデオ コミュニケーションと動的ビデオ コンテンツがインターネットに及ぼす影響は、録画済みビデオ コンテンツの比ではありません。サービス プロバイダーはさまざまなオプションを用意して、オンデマンド ビデオ トラフィックによる負担の緩和に努めています。一方、リアルタイム ビデオ コミュニケーションが帯域幅に及ぼす負担については、対処法がほとんどありません。

非インターネット IP ビデオの成長率は、コンシューマ インターネットを上回ります。オンデマンドでの視聴と、高精細度ビデオという 2 つのトレンドが原動力となって、メトロ内で IP を介して伝送されるケーブル ビデオおよび IPTV のトラフィックが急増しています。コンシューマ IPTV および CATV のトラフィック量は、2007 年から 2012 年まで年平均 68% というペースで増加するのに対し、コンシューマ インターネット トラフィックの年平均成長率(CAGR)は 41% です。

ビデオのボリュームがかなりのレベルに達することで、トラフィックの「不意打ち」が起きる可能性があります。消費者の行動がすぐに変わることはないものの、ビデオ ファイルのサイズがこれほどまでに巨大化したことから言えるのは、一般普及に至っていなくてもトラフィック パターンの大きな変化は発生しうるということです。これに似た現象が P2P のときも見られました。少数のインターネット ユーザが大量のトラフィックを生成するようになったことに、サービス プロバイダーとネットワーク事業者は驚きを隠せませんでした。P2P と同様に、ビデオの台頭によってインターネット トラフィックに関する予測はこれまで以上に難しくなります。予想外のシナリオに発展すれば、シスコの予測は控えめすぎたということになるかもしれません。

ビデオは、サービス プロバイダーの計算式を変化させます。消費者が支払う額を 1 メガバイトあたりに換算すれば、ビデオは他のコンテンツやサービスよりも安くなるので、ビデオは帯域幅への負荷以上のものを消費していることになります。オーバーザトップ サービスが出現したことで、サービスは基盤となる接続サービスとは無関係に提供されるようになりました。そして、サービス収益が接続料の収益と連動しないケースも増えてきました。しかし消費者側は、自分が消費した帯域幅の量がサービスの価値であると判断したりはしません。その結果、消費者も帯域幅に関してさまざまな知識を持つようになり、サービス プロバイダーは新たな収益モデルを考案するでしょう。

ビデオは IP トラフィックのトポロジをシフトさせます。コアにおける成長は目覚ましく、メトロにおける成長はそれを上回ります。2007 年と 2012 年を比較すると、コアの IP トラフィックは 4 倍になり、メトロ IP トラフィックは 7 倍になります。2015 年以降には、コアのトラフィック量増加が再び加速します。その理由は、キャッシュ不可能なビデオ コンテンツの普及です。

モバイル トラフィックの現状

モバイル データ トラフィックの量は、これから 2012 年までの 1 年ごとに倍増します。モバイル トラフィック急増の原因は、ブロードバンド対応のモバイル ノート PC です。国によっては、固定ブロードバンドに代わってモバイル ブロードバンドが広まりつつあります。その結果、2012 年にはモバイル データのトラフィック量が現在の 20 倍を超えると予測されています。

2007 年には、まだ日本のモバイル データとインターネット トラフィックはアジア太平洋地域の 2 倍ありました。しかし、2011 年にはモバイル トラフィック量でアジア太平洋地域が日本を上回り、同様に西ヨーロッパも日本を上回ります。

グローバル トラフィックの現状

インターネット トラフィックの成長が最も急速なのはラテン アメリカで、西ヨーロッパとアジア太平洋地域がそれに続いています。インターネットの急速な普及と、多数の大学や企業における高速接続の採用の結果、ラテン アメリカの成長率が最も高い状態は 2012 年まで続くとみられます。

ビジネス トラフィックの現状

ビジネス IP トラフィックの量は、2007 年から 2012 年まで年平均成長率(CAGR)35% のペースで増加します。中小企業にブロードバンドが普及し、大企業では高度なビデオ コミュニケーションの採用が進むことで、2007 年から 2012 年までのビジネス IP トラフィックの CAGR は 35% に達します。

2012 年には、テレプレゼンスがエンタープライズ IP ネットワーク トラフィック量増加の大きな要因の一つになり始めます。2012 年のエンタープライズ WAN 上のテレプレゼンス トラフィックの量は、2000 年の米国のインターネット バックボーン全体の 5 倍を上回ると予測されています。

ビジネス インターネット トラフィックの成長が最も速いのは、発展途上国とアジア太平洋地域です。北米、西ヨーロッパ、および日本の成長率は低下する見込みです。量で言えば、ビジネス IP トラフィックが最も多いのは北米で、以下アジア太平洋地域、西ヨーロッパの順であり、この状態は 2012 年まで続きます。

明白な事実:ビデオが IP トラフィック量増加の原因

全世界の IP トラフィックに関するシスコの予測によれば、コンシューマ ビデオが 2007 年から 2012 年までのトラフィック量増加の主要因です。図 1 に示すように、1 か月あたりの IP トラフィック総量は 2012 年には 44 エクサバイトに達し、そのうち 32 エクサバイト以上をコンシューマ トラフィックが占めます。このコンシューマ トラフィック増加の要因としては、メトロ ネットワーク上で IP を使用して伝送される VoD(2012 年には 1 か月あたり 13 エクサバイト)、インターネット ビデオ ストリームとダウンロード(2012 年には 1 か月あたり約 10 エクサバイト)、および P2P を使用したビデオおよびその他のファイルの交換があります

図 1 シスコの予測によれば 2012 年には 1 か月あたりの IP トラフィックが 44 エクサバイトに達する

図 1 シスコの予測によれば 2012 年には 1 か月あたりの IP トラフィックが 44 エクサバイトに達する


詳細については、ホワイト ペーパー「Cisco Visual Networking Index 予測と方法論 2007-2012」を参照してください。
出典:シスコ(2008 年)

図 2 に、コンシューマ インターネット トラフィック量増加の内訳を示します。2012 年の 1 か月あたりのコンシューマ インターネット トラフィックのうち 20 エクサバイト、つまり 50% 近くがインターネット ビデオによるものです。

図 2 シスコの予測による全世界のコンシューマ インターネット トラフィック

図 2 シスコの予測による全世界のコンシューマ インターネット トラフィック

出典:シスコ(2008 年)

IP トラフィック量増加に対するビデオの影響力の大きさを踏まえて、このホワイト ペーパーでは、全世界の IP トラフィック量増加の主要因としてのビデオに焦点を置きます。

YouTube は発端に過ぎない

「Comcast の高速インターネット回線を行き交うトラフィックの 4% が YouTube です」Comcast 社 CEO、Brian L. Roberts 氏(2007 年)

「ヨーロッパにおける Liberty Global トラフィックのうち YouTube のものはわずか 2% ほどです。まったく心配していません」Liberty Global 社 CEO、Mike Fries 氏(2007 年)

YouTube のトラフィック量は大きくもあり、小さくもあります。印象に残る程度の大きさはあるものの、サービス プロバイダーのネットワークにおいて圧倒的な存在といえるほど大きくはありません。2005 年の終わりに開設されたサイトが 2007 年の初めにはトラフィック全体の 4% を占めるまで成長しているのは、驚くべきことです。シスコの推計によれば、YouTube は 2007 年の北米におけるオンライン ビデオ トラフィックの 20% を占め、PC へのオンライン ビデオは北米のコンシューマ インターネット トラフィック全体の 19% に達しています。このめざましい発展を受けて、多くのサービス プロバイダーがキャパシティのアップグレードを急いで進めています。しかし、インターネットが YouTube のトラフィックの重みにつぶされているというわけではなく、そうなる可能性もないでしょう。YouTube によって生成されるトラフィックよりも注目すべきは、YouTube が表している、新しい時代のオンラインでの消費者の行動です。

YouTube が本当に意味するもの

YouTube や MySpace などのサイトの成功によって、ビデオの持つ「人との交流」という一面に注目が集まるようになりました。娯楽だけがビデオの目的ではありません。情報の伝達や娯楽に加えて、ビデオは、人々の交流の中心として、あるいは表現手段としての役割も果たすことができます。「カウチ ポテト」のイメージが強すぎたかもしれませんが、テレビはこれまでも、コンテンツを届ける媒体であると同時に、知人や家族とのコミュニケーションの場としての役割を果たしてきました。

ビデオの持つさまざまな側面を考えると、「コンテンツが王様(content is king)」とはとても言えないでしょう。そうではなく、コミュニケーションとコンテンツの組み合わせこそが最も重要なのです2。この組み合わせがいかに強力かは、低画質のビデオを小さな画面で見るという、以前ならばだれも関心を示さなかったようなことに数百万ものインターネット ユーザが引き寄せられていることからも明らかです。YouTube はユニークなコンテンツを提供するだけでなく、人々の交流の場ともなっています。YouTube を見る人々は、PC の画面でがまんしながらビデオを見ているのではありません。PC 画面だからこそ見ているのです。PC は人との交流の手段として理想的であり、リンクを知人に送ることが可能で、その効果は絶大です。ビデオに比べて、従来のテレビは少しずつ魅力を失っていくかもしれません。ビデオならば、送信や共有、タグ付け、クリップ、マッシュアップが可能で、ビデオを話題としてチャットすることもできます。純粋な娯楽としてのビデオの地位はこれからも存続しますが、将来の世代から見れば、ホーム シアターに閉じこもって一人でビデオを鑑賞する姿は奇妙に思えるでしょう。

ビデオの持つさまざまな面に応じた使い分け

複数のビデオ プラットフォームが登場したことで、ビデオの視聴方法は目的によって使い分けられるようになりました。コンテンツが主目的ならば、ホーム シアターが最良のプラットフォームです。人との交流が主目的ならば、対話とソーシャル ネットワーキングが可能な PC が最適です。創作や表現が主目的ならば、PC やモバイル デバイスが最適です。

ビデオ エクスペリエンスのプラットフォームが別のものへと移行すると、トラフィックもそれに従ってシフトします。これからの 5 年間における IP トラフィック パターンのシフトの多くは、この基本概念によって説明がつきます。また、この概念を基に将来のシナリオを考えると、次のような事態が予想されます。

  • インターネット対応のセットトップ ボックス(STB)の存在がなければ、高精細度のコンテンツをインターネット上で伝送する動機はほとんどないでしょう。ただし例外は、P2P を使用してビデオ ファイルをダウンロードしてから DVD に保存することです。逆に、インターネット対応の STB(ゲーム コンソールを含む)の登場によって、インターネット ビデオ トラフィックは急増すると考えられます。
  • インターネット対応 STB が広く普及したとしても、インターネット ビデオがすべてテレビ画面で視聴されるようになるとは限りません。ゲーム コンソールや次世代 STB、あるいは高度なリモート コントロールによってテレビ画面でも対話が可能になるまでは、人との交流や会話を目的としてビデオを見る人々は引き続き、PC でビデオを見ることになります。短いビデオ クリップの共有にはモバイル デバイスも適しています。したがって、交流目的のビデオ視聴トラフィックのうち、ある程度はモバイル ネットワークに移行するでしょう。
  • エクスペリエンスや人との対話ではなくコンテンツにひかれてビデオを見る人々は、最も都合のよい形式、たとえばモバイル デバイス、ノート PC、あるいはテレビで視聴できるコンテンツを探します。オンラインで視聴できるコンテンツの増加と共に、視聴手段はテレビから他のデバイスへと移行します。ヨーロッパとアジアの家庭では 1 世帯に平均 1 台のテレビがありますが、ノート PC とモバイル デバイスもビデオ視聴の手段として使われるようになります。
  • 人との交流、コンテンツ、あるいはエクスペリエンスではなく受動的な気晴らしを求めてビデオを見る人々は、家の外ではモバイル TV サービスを利用し、家では従来型のテレビ番組を視聴します。

表 1 は、このようなデバイスのシフトの結果として考えられるトラフィックのシフトをまとめたものです。

表 1: ビデオのトレンドとトラフィックのシフト

ビデオのトレンド、影響、および予想される事態
トレンド ネットワーク 現在 将来 影響
高精細度 商用ネットワーク エクスペリエンスが高精細度(HD)トラフィック増加の主要因であり、HD エクスペリエンスにはホーム シアターがつきものです。したがって、トラフィックの大半は、ホーム シアターに接続されたネットワークによって配信される商用ビデオ サービスです。 コンテンツ配信における商用ネットワークの重要性は変わりません。特に、マルチアングルや動的カスタマイズなどの高度な機能が使用される場合です。 商用ネットワーク上で HD ビデオをブロードキャストすることで影響が及ぶのは主にネットワークのアクセス部で、特に IPTV プロバイダーの場合に顕著です。一つの家庭で何台ものテレビと DVR で HD ビデオを見ようとすると、DSL のキャパシティをすぐに超えてしまいます。
インターネット 少数のアーリー アダプター(早期導入者)が、メディア ゲートウェイやその他の手段(DVD への録画)を使用して、ダウンロードした高精細度コンテンツを高精細度テレビへと転送しています。 ホーム シアターを直接インターネットに接続するデバイスによって、インターネットのトラフィック量がかなり増加します。商用オンデマンド サービスにはないニッチなコンテンツやユニークなコンテンツを視聴者がインターネットで探すようになるからです。 きわめて大きな影響があります。一番の原因は HD コンテンツの大きさですが、2009 年には「テレビへのインターネット ビデオ」のトラフィックが「PC へのインターネット ビデオ」のトラフィックを上回り、2011 年には 1 か月あたり 1 エクサバイトを超えると予測されます。
オンデマンド 商用ネットワーク 商用オンデマンド ネットワークは、高い成長率を見せています。 商用オンデマンド サービスの高い成長率は続きます。コンテンツがインターネットと商用オンデマンドのどちらでも視聴可能である場合に、視聴者が PC やモバイル デバイスの対話性や可搬性を必要としていなければ、速度とコンテンツへのアクセスのしやすさから、多くの視聴者が商用オンデマンドを選ぶでしょう。 きわめて大きな影響が、ラスト マイルだけでなくメトロ ネットワークにも及びます。ビデオ オンデマンドの伝送の負荷は、ブロードキャスト トラフィック伝送の負荷をはるかに上回ります。
インターネット 視聴者がテレビ放送を見逃したけれども商用オンデマンドでは見ることができない場合に、インターネットで視聴または購入しようとするのが一般的になりました。 他では見られないコンテンツを視聴者がインターネットに求めることに加えて、PC やモバイル デバイスで見ることの便利さが理由で、ビデオ トラフィックがインターネットおよびモバイル ネットワークへと移行します。 インターネット上で伝送されるタイムシフト(好きな時間に見ること)トラフィックはかなりの量になりますが、コンテンツが VoD で視聴可能ならば、このトラフィックのほとんどは引き続き商用ネットワーク上で伝送されます。逆に、プレースシフト(好きな場所で見ること)トラフィックのほとんどは、インターネット上で伝送されます。将来、サービス プロバイダーがプレースシフトを提供するようになれば、その利用の場は大きく広がって、身近なアプリケーションも含まれるようになり、ネットワークには多大な影響が及びます。
会話目的の視聴 インターネット 会話目的で視聴するには対話性が必要です。したがって、まず選ばれるデバイスは PC で、そのネットワークとしてはインターネットが使用されます。会話目的の視聴には、Joostや PCCW が提供するようなプラットフォームが使用されます。 短期的には、会話目的の視聴が理由で、かなりのビデオ トラフィックが商用ネットワークからインターネットへと移行する可能性があります。
長期的には、このトラフィックのビデオ部分は商用ネットワークに戻る可能性があります。それには、ホーム シアターでの対話を可能にするデバイスが登場することが条件です。
会話目的の視聴の魅力が理由で、PC で長時間のビデオを見る人が増える可能性があります。その結果、インターネット ビデオ トラフィック量も大きく増加します。会話目的の視聴が一般に普及するのは 2011 年以降になると予測されていますが、予想よりも早まる可能性もあります。
ソーシャル ネットワーキング インターネット 対話性が必要であることから、PC が最適なデバイスです。 当面は、このトラフィックが引き続きインターネット上で伝送され、インターフェイスとしては PC が使用されますが、一部はモバイル デバイスに移行するでしょう。 すでに、ソーシャル ネットワーキングの広がりによって、インターネット上での短時間のビデオ視聴はかなり増えています。
ユーザ作成コンテンツ インターネット ビデオ コンテンツの制作と編集のデバイスとしては、PC が最適です。 アップストリーム トラフィックのインターフェイスとしては引き続き PC が使用され、インターネット上で伝送されます。 ユーザ生成コンテンツのアップストリーム トラフィックの量はおそらく増加しますが、ダウンストリーム ビデオのトレンドと比較すると、トラフィックの量は少ないでしょう。
ビデオ キャプチャまたはビデオ ブログ インターネット 現在のビデオ ブログは一般に、Web カメラやデジタル カメラを使用して作成され、PC に転送されています。 ビデオ キャプチャやビデオ ブログのコンテンツは基本的に編集されないので、このトラフィックを PC 経由で転送する必要性はありません。短期的には、このトラフィックは引き続きインターネット上で伝送され、PC がインターフェイスとして使用されますが、携帯電話のカメラの画質が向上することと、ワイヤレス カード内蔵のデジタル カメラが増えることから、ファースト マイルは 3.5G、Wi-Fi、または WiMAX となります。 インターネット ビデオ トラフィックと比較すると量は小さいものの、モバイル ネットワークに対する影響は大きくなります。


インターネット ビデオ成長の 3 つの波

前のセクションでの考察を踏まえて、シスコはインターネット ビデオの 3 つの波が訪れると予測します。最初の段階では、PC で視聴されるインターネット ビデオが増加し、次の段階ではテレビで視聴されるビデオのインターネット配信が増加し、3 番目の段階ではビデオ コミュニケーションが急増します。ネットワークがどのような影響を受けるかは、段階によって異なります。第 1 と第 2 の段階で影響を受けるのは主にメトロ ネットワークとアクセス ネットワークで、第 3 の段階で影響を受けるのはコアです(図 3)。

図 3 シスコの予測によれば 2012 年には 1 か月あたりの IP トラフィックが 44 エクサバイトに達する

図 3 シスコの予測によれば 2012 年には 1 か月あたりの IP トラフィックが 44 エクサバイトに達する


出典:シスコ(2008 年)

インターネット ビデオに加えて、ケーブルおよび IPTV のビデオ オンデマンド サービスによる IP 伝送も大きく増加します。これについては、「IP ビデオに含まれるのはインターネット ビデオだけではない」で後述します。

第 1 の波:PC へのインターネット ビデオ

ビデオを利用した交流の魅力が、インターネット ビデオの急増に火を付けました。日常的にオンラインでビデオを見るようになった人々は、おそらく従来型のビデオもオンラインで見るようになります。このカスケード効果は「YouTube 効果」と呼ばれています。対話や交流ができるわけでもなく、ただ見るだけのビデオにも視聴者は引きつけられます。その理由の一つは、PC は自分専用で持ち運びができること、もう一つは商用 VoD サービスにはないコンテンツも、コンテンツ プロバイダーが提供するオンデマンド オンラインでは視聴できる可能性があるということです。

YouTube 効果もあって、オンライン ビデオのトラフィック量は急激に増加しています。今では、全世界のコンシューマ インターネット トラフィック全体の約 4 分の 1 がインターネット ビデオです。図 4 に示すように、2008 年の YouTube のトラフィック量だけをみても、2000 年の米国のインターネット バックボーンのトラフィック量を上回っています。表 2 に、インターネット ビデオ トラフィック量と、よく知られた基準値との比較を示します。

図 4 インターネット ビデオのトラフィック量はすでに 2000 年の米国のバックボーン全体のトラフィック量を上回っている

図 4 インターネット ビデオのトラフィック量はすでに 2000 年の米国のバックボーン全体のトラフィック量を上回っている


出典:公開データ、comScore、およびシスコの推計(2008 年 5 月)

表 2: インターネット ビデオ トラフィックのベンチマーク

  1 か月あたりのトラフィック量(テラバイト)
Google(YouTube) - 全世界(シスコによる 2008 年 5 月の推計) 100,000
中国の P2P ビデオ ストリーミング(2008 年 1 月) 33,000
Google(YouTube) - 米国(2008 年 5 月) 30,500
2000 年末の米国インターネット バックボーン 25,000
1998 年末の米国インターネット バックボーン 6,000
Xbox 360 ムービーおよび TV ダウンロード1(シスコによる 2008 年 5 月の推計) 6,500
Google - 英国(2008 年 4 月) 4,300
Google - フランス(2008 年 5 月) 4,200
Fox Interactive(MySpace) - 米国(2008 年 3 月) 3,300
ABC、ESPN、Disney - 米国(2008 年 3 月) 3,000
dailymotion.com - フランス(2008 年 5 月) 2,500
Yahoo - 米国(2008 年 3 月) 2,300
pandora.tv - 韓国(2008 年 1 月) 2,300
Viacom - 米国(2008 年 5 月) 1,700
BBC - 英国(2008 年 1 月) 1,450
Free.fr ビデオ ストリーム - フランス(2008 年 1 月) 200
Fox Interactive および MySpace - 英国(2008 年 4 月) 190
米国議会図書館蔵書 136
Cyworld - ビデオ アップロード(2008 年 1 月) 50
1994 年末の米国インターネット バックボーン 20


1この表に示す数値は、ストリーム数、視聴時間、およびゲーム プレイ時間に関する公開データに基づくものですが、Xbox 360 のビデオ ダウンロードだけはシスコの推計によるものです。この推計の前提は、米国およびヨーロッパにおける Xbox 360 設置台数の 10% が 1 か月に 2 本の高精細度ムービーと 1 か月に 2 本のテレビ番組をダウンロードするというものです。

出典:公開データ、comScore、およびシスコの推計(2008 年)

上記の数字の大きさを見る限り、トラフィックの大半がインターネット ビデオによるものであるのは間違いありません。図 5 に、サービス プロバイダー 3 社のコンシューマ インターネット トラフィックの内訳を示します。最もトラフィックが多いのは依然として P2P であり、家庭のブロードバンド トラフィックの 40 〜 55% を占めています。これに対してビデオは 5 〜 10% です。

図 5 コンシューマ ブロードバンド サービス プロバイダー 3 社のコンシューマ ブロードバンド トラフィック用途別内訳

図 5 コンシューマ ブロードバンド サービス プロバイダー 3 社のコンシューマ ブロードバンド トラフィック用途別内訳


このデータは、Cisco Visual Networking Index イニシアティブの一環として、Cisco Service Control Engine が設置されている 3 社から集めたものです。これは例証であり、地域全体のトラフィックの内訳を表しているとは限りません。
出典:シスコ(2008 年)

P2P のトラフィックにも、標準画質や高精細度のビデオ ファイル交換の影響が及んでいます。P2P トラフィックの少なくとも 50% をビデオ ファイルが占めているとすれば、トラフィック量の点ではすでにビデオが最優勢のコンテンツ タイプといえます。ビデオが推進力となって、P2P は 2007 年から 2012 年まで年平均成長率(CAGR)31% のペースで成長すると予測されています。P2P トラフィックのタイプを具体的に推定するのは難しいので、ここでは PC へのビデオを別に扱います。この定義に基づいて考えると、PC へのインターネット ビデオのトラフィックの量は、今日サービス プロバイダーが処理している P2P のトラフィック量とは比べものにならず、テレビ画面へのインターネット ビデオの配信に端を発するインターネット ビデオの第 2 の波と比べるとかすんでしまいます。

ただし、重要な要因を忘れてはなりません。それは PC へのインターネット テレビです。テレビ放送コンテンツが P2P 経由で PC に配信されるようになれば、PC で視聴されるビデオのトラフィック量は予測を大きく上回る可能性があります。P2P テレビはまったく新しいものではなく、アーリー アダプターによる小さなニッチ市場がすでに形成されていますが、利用者数はまだ少ないままのようです。Joost のような企業が多くの利用者の獲得に成功すれば、PC で視聴されるビデオがインターネット ビデオ トラフィックの中で圧倒的に優勢である状態は、予想よりも長く続くでしょう。

第 2 の波:テレビへのインターネット ビデオ

帯域幅の観点からいえば、ビデオ由来のトラフィックが急激に増加するきっかけとなるのは、サービス プロバイダーによるインターネット対応のセットトップ デバイスの導入です。STB を通して視聴されるインターネット ビデオの割合はごく小さいものの、コンテンツは長時間で高精細度であることから、今回の予測対象期間の終わりに近づくほど、テレビへのインターネット ビデオ トラフィックの量は PC へのインターネット ビデオに近づいていくでしょう。

図 6 シスコの予測による全世界のコンシューマ インターネット トラフィック

図 6 シスコの予測による全世界のコンシューマ インターネット トラフィック


詳細については、シスコのホワイト ペーパー「Cisco Visual Networking Index 予測と方法論 2007-2012」を参照してください。
出典:シスコ(2008 年)

第 2 の波の要因と影響

次に訪れるのは実に大きなものです。ビデオ トラフィックの大きさが決定的要因となって、インターネット ビデオ トラフィックの成長は第 2 段階に入ります。40 時間の高精細度ビデオを視聴するために生成されるトラフィックの量は、電子メール メッセージ 100 万通分に相当します。このビデオの規模を大局的に見るために、図 7 ではインターネット ビデオのトラフィックの増加(テレビで視聴されるものと PC で視聴されるものの合計、つまりインターネット ビデオの第 1 の波と第 2 の波が反映されています)が、2000 年の米国のインターネット バックボーン トラフィックの何倍になるかを示しています。2007 年の全世界のインターネット ビデオ トラフィックは 2000 年の米国インターネット バックボーンの 30 倍、2012 年の全世界のインターネット ビデオ トラフィックは 2000 年の米国インターネット バックボーンの 390 倍に達します。これらの数字は大きいとはいえ、2012 年時点でもインターネット ビデオのトラフィックはまだ、コンシューマ インターネット トラフィックの 50% に満たないのです。

図 7 大局的に見た全世界のインターネット ビデオ トラフィックの成長

図 7 大局的に見た全世界のインターネット ビデオ トラフィックの成長


今日の「帯域幅をむさぼるユーザ」は、明日の平均的ユーザです。P2P 利用者が帯域幅を大量に消費することに対して、一般大衆はあまり好意的ではありませんが、サービス プロバイダーが使用量の上限を設定していたので、大きな騒ぎは回避されました。しかし、家庭で高精細コンテンツをダウンロードするのが 1 週間あたりわずか 3 時間だとしても、1 か月に生成されるトラフィックは最低でも 27 GB になります。サービス プロバイダーによっては、帯域幅使用量の上限がこれより低いこともあります。インターネット テレビが主流になったとして、標準画質の番組を 1 日に 2 時間インターネット経由で視聴すると、1 か月あたり 54 GB にもなります。家庭での高精細度ビデオのダウンロードが 1 週間あたり 12 時間、標準画質ビデオの視聴時間が 1 日に 4 時間とすると、サービス プロバイダーの帯域幅制限がどれだけ緩やかでも(一般的には最大で 1 か月あたり 200 GB 程度)、簡単に超えてしまいます。シスコの IP トラフィック予測の前提はこれよりもかなり控えめですが(2012 年までのインターネット ビデオ コンテンツ視聴時間は 1 か月あたり 10 時間未満)、テレビ番組のインターネット配信が広く普及すれば、予測を大きく上回る可能性もあります。

図 8 平均的な家庭が消費する帯域幅がサービス プロバイダーの帯域幅上限を超える

図 8 平均的な家庭が消費する帯域幅がサービス プロバイダーの帯域幅上限を超える


HD = 高精細度
SD = 標準画質
出典:シスコ(2008 年)

少数派が主導権を握ります。高精細度ビデオの負荷の高さが意味しているのは、P2P のビデオの例からもわかるように、ごく少数のユーザがトラフィックの大半を生成する可能性もあるということです。そのため、ビデオ トラフィック量増加の予測は、ブラウザや電子メールのトラフィックに比べて難しくなっています。これが特に当てはまるのは、高精細度ビデオのトラフィックの場合です。図 9 に示すとおり、高精細度ビデオの視聴者 400 万人が生成するトラフィックは優に、YouTube 視聴者 5,000 万人が生成するトラフィックに匹敵します。

図 9 YouTube 視聴者 5,000 万人は高精細度ビデオ視聴者 400 万人に相当する

図 9 YouTube 視聴者 5,000 万人は高精細度ビデオ視聴者 400 万人に相当する


出典:シスコ(2008 年)

どこまで増えるのでしょうか。米国の平均的な成人の消費量は、1 か月あたり 120 GB 近くにもなります。米国全体の 1 か月のメディア消費量は 30 エクサバイトです。仮に、テレビでの視聴がすべてオンデマンド(標準画質)とすれば、メトロ IP トラフィックの総量はこの数値に近くなります。北米消費者の IP トラフィック(すべてのコンシューマ インターネット トラフィックを含む)は、2012 年には 1 か月あたり 10 エクサバイトになるとシスコは予測しています。

図 10 米国全体のメディア消費量は 1 か月あたり 30 エクサバイト

図 10 米国全体のメディア消費量は 1 か月あたり 30 エクサバイト


出典:シスコ(2008 年)

第 3 の波:インターネット ビデオ コミュニケーション

2015 年以降には、ビデオ トラフィックの第 3 の波がビデオ コミュニケーションによって作り出されます。
ビデオ通話はこれまでの数十年の間に何度も、次に来るべきものとして喧伝されましたが、そのとおりになったことはありませんでした。ビデオ コミュニケーションが今から 10 年以内にビデオ トラフィックの第 3 の波を引き起こすと考えられるのには、どのような理由があるのでしょうか。

1. テレビ電話の普及を妨げていた障壁は、PC ベースのビデオ通話には存在しません。それぞれの普及の障壁を積み重ねて並べてみると、テレビ電話に比べて PC ベースのビデオ通話を妨げるものがいかに少ないかがわかります。

図 11 ビデオ通話の普及を妨げる障壁は PC ベースのビデオ通話によって低くなった

図 11 ビデオ通話の普及を妨げる障壁は PC ベースのビデオ通話によって低くなった


PC ベースのビデオ通話は何が違うのでしょうか。

  • コンシューマ サービスとしてのテレビ電話のターゲットは、遠く離れて暮らす家族やカップルに限られていました。潜在的なマーケットがかなり拡大するきっかけとなったのは、新しい世代、つまりバーチャルの友人のネットワークを持ち、いくつものバーチャル コミュニティに参加している人々たちの登場です。
  • ネットワーク効果は依然として障壁の一つですが、インスタント メッセンジャー ネットワークにビデオが付加されたことで、ネットワーク効果は障壁から牽引力へと転換し始めています。
  • Web カメラは安価で入手しやすく、Web カメラを内蔵した新しい PC も増えています。
  • PC 間のビデオ通話は多くの場合無料なので、経済面での障壁はなくなります。

このような理由から、ビデオ通話はすでに無視できないほどの量のトラフィックを生み出しています。図 12 に示すように、現在のビデオ通話のトラフィック量は、1997 年の米国のインターネット バックボーンの全トラフィック量を超えています。

図 12 今日のインターネット ビデオ通話のトラフィックは 1997 年の米国全体のインターネット トラフィックを上回る

図 12 今日のインターネット ビデオ通話のトラフィックは 1997 年の米国全体のインターネット トラフィックを上回る


出典:シスコ(2008 年)

2. ビジネスにビデオ コミュニケーションを取り入れる企業が増えることで、消費者への普及も進みます。コンシューマのテクノロジーとビジネスのテクノロジーは、増強ループを形成しています。消費者がインスタント メッセージングを職場に持ち込んだように、職場で利用していたビデオ コミュニケーション テクノロジーが家庭に持ち込まれることもあるでしょう。コミュニケーション テクノロジーは、徐々に他の領域へと移っています。

3. ビデオ コミュニケーションに利用されるのは、ビデオ通話だけではありません。ビデオ共有、ビデオ監視、コンシューマ テレプレゼンス、および遠隔医療がビデオ通話に加わって、ビデオ トラフィックの第 3 の波を作り出します。

初めての Web カメラが稼働を始めたのが 1991 年、そして PC で動作する初めてのビデオ通話ソフトウェアが発表されたのが 1992 年です。コンシューマ テクノロジーの普及には時間がかかり、広く浸透するには 7 年(DVD の場合)から 20 年(携帯電話や PC の場合)、あるいはそれ以上かかることもあります。ビデオ通話の障壁が消滅に向かっていることから、PC ベースのビデオ コミュニケーションが一般普及に到達するのは 2012 年から 2015 年の間とみられています。

インターネット ビデオの 3 つの波が引き起こす課題

インターネット ビデオの第 1 と第 2 の波は、サービス プロバイダーのネットワークに数多くの課題を突きつけます。しかしサービス プロバイダーには、そのような課題に対処する手段があります。たとえばエッジでのコンテンツ配信、プッシュ型ビデオ配信、そして P2P 配信です。

ビデオ コミュニケーションの第 3 の波が引き起こす課題は、おそらく最も解決が困難です。リアルタイム ビデオ コミュニケーションにうまく対処するには、コア経由で伝送する以外にほとんど手段はないからです。リアルタイム コミュニケーションをキャッシュするのは不可能です。

インターネット ビデオに伴う課題とその対策を次に示します。

  • フラッシュ クラウド:CBS Interactive の CTO である Mark Kortekaas 氏は、オンデマンド視聴時にみられる平常状態のトラフィック パターンを「管理可能」と呼び、ライブ イベントに伴うバースト性のトラフィック パターンを「解決困難」と呼んでいます。コンテンツがどのようなものかが事前に判明していて、メトロ ネットワークのコンテンツ配信ノードで配信されるとしても、フラッシュ クラウドによって大量のトラフィックが生成される可能性があります。Mark Kortekass 氏が挙げた例では、ニューヨークの視聴者 150 万人が人気番組「CSI」の 1 話分をオンラインで見るとすると、このトラフィックを伝送するのに 1 Tbps のネットワークが必要になり、1 時間で配信されるトラフィックは 350 テラバイトを超えます。
  • フラッシュ クラウド問題への対策案:理論上は、1 対多のコンテンツによって大量のトラフィックが生成されることはありません。受信者の数だけコンテンツを複製しているわけではないからです。フラッシュ クラウドの問題は、現在のインターネット トラフィックがユニキャストであるがゆえの問題に過ぎません。したがって、フラッシュ クラウドの問題への対策として最初に挙げられるのは、業界全体での IP マルチキャスト トラフィック標準の導入です。しかし、ドメイン間マルチキャストの実装が難しいことから導入は思うようにいかず、近年のトラフィック量増加にもかかわらず導入が加速する気配はありません。別の対策としては、エッジ配信を行うことで、コンテンツ配信を視聴者宅に近づけるというものがあります。3 番目のオプションは、ピアツーピア システムを通してコンテンツを配信するというものです。ビデオ サーバ トラフィックのクライアント/サーバ型トポロジに比べて、ピアツーピア システムのトラフィック トポロジは分散型です。4 つ目の対策は、引き続き従来の方法でブロードキャスト トラフィックを配信するけれども、TV チューナー カードを使用して PC やモバイル デバイスで受信できるようにするというものです。
  • ラスト マイルのボトルネック:ラスト マイルのボトルネックに関する懸念の多くは、インターネット トラフィックではなく IPTV やケーブルの IP ビデオ トラフィックが原因です。このことがサービス プロバイダーにとって最も切実な問題となるのは、北米のように、標準的なブロードバンド回線が比較的低速である場合です。IP ビデオ サービス プロバイダーが対処すべきアクセス ボトルネックの詳細については、次のセクションで取り上げます。インターネットに関しては、ラスト マイルがボトルネックとなる可能性があります。たとえば、アップストリーム対ダウンストリームのトラフィック比率がアップストリーム対ダウンストリームのキャパシティ比率を上回っているときに、ここがボトルネックとなります。また、トラフィックのストリームが長時間続く(P2P を使用したビデオ ダウンロードなど)と、オーバーブッキング比率の根拠となるバースト性トラフィックの前提がくずれてしまいます。また、高精細度ビデオのストリーミングを行うと、アクセス回線の帯域幅キャパシティが圧迫されます。
  • ラスト マイルのボトルネックへの対策:上記の問題の 1 つはストリーミング ビデオの視聴時に発生するもので、残りの 2 つは主に P2P のダウンロードおよびアップロードが原因で発生します。ビデオ ダウンロードに関してすでにサービス プロバイダーが実施している対策の一つに、1 か月あたりの帯域幅消費量の上限設定があります。今のところ、帯域幅の上限設定はピンポイント攻撃です。一般に、上限を超えるほどのトラフィックを生成しているユーザは少数(ほとんどは P2P ユーザ)だからです。ただし、帯域幅の上限は一時的な対策に過ぎず、いずれトラフィック量の増加に合わせて上限の引き上げが必要になります。大量の帯域幅を消費するのが少数のユーザだけではなくなるからです。ストリーミングに関しては、この問題の影響が大きいのは接続プロバイダーよりもコンテンツ プロバイダーです。ストリーミングの代わりにコンテンツ プロバイダーが取る手段としては、人気のあるコンテンツをダウンロードとしてユーザにプッシュするという方法があります。ダウンロードが完了すると、ユーザは好きなときに視聴できるようになります。これと同様に、BBC iPlayer では、翌日の番組を夜間にダウンロードできるようになっています。
  • コアのボトルネックはあるでしょうか:インターネットのバックボーンはこの 1 年のトラフィック量増加にうまく対応できているように見えますが、バックボーン事業者は一様に、アップグレード計画を急いで進めなければなりませんでした。コンテンツ プロバイダーにとって、インターネット バックボーンは潜在的なボトルネックにすぎず、実際にボトルネックになっているわけではありません。それどころか、ボトルネックのほとんどはネットワークどうしを結ぶ場所ではなく自律システムの中に存在することを裏付ける証拠もあります。
  • 潜在的なボトルネックへの対策:コアの潜在的なボトルネックを回避して配信をスピードアップさせるために、かなりの量のインターネット ビデオ トラフィックが、メトロ ネットワークまでとはいかないにしてもリージョナル コア ネットワークまでプッシュされています。ここに到達するまでのかなりの部分が、プライベートのコンテンツ配信ネットワークを経由します。コンテンツ配信ネットワークが使用されるようになったのは 1990 年代半ばですが、動的な Web コンテンツが増えてきたことから、コンテンツ配信の有用性は低いままです。動的 Web コンテンツとは異なり、現在のビデオ コンテンツのほとんどは静的なものであるため、コンテンツ配信に適しています。コンテンツ配信に加えて、主要なネットワーク事業者との直接コンテンツ ピアリングを検討しているコンテンツ プロバイダーもあります。
  • 将来コア ボトルネックはあるのでしょうか:ビデオ コミュニケーションが一般的になると、コア トラフィックの量が劇的に増加する可能性があります。ビデオ コミュニケーションが市場を制するまでにはまだ時間がかかり、向こう 5 年の間に一般普及に至ることはないと予測されていますが、アーリー アダプターの間ではビデオ通話が定着し始めており、いずれ消滅するとは考えられません。このトレンドはまだ先のことであるから、サービス プロバイダーは前もっての対策など必要ないと考えるかもしれませんが、ライブ ビデオを取り入れたソーシャル ネットワーキング アプリケーションが広く利用されるようになればトラフィックが急増する可能性があり、その対策としてはコアのアップグレード以外にほとんどありません。

表 3: トラフィック量の増加がネットワークに与える影響

トレンド 起こり得る問題 考えられる解決策
インターネット ビデオ(オン デマンド) メトロとコア - 平均ボリュームの増大 コンテント デリバリ システム(CDS)、キャパシティのアップグレード、高度な圧縮
インターネット ブロードキャスト ファースト マイルとデータセンター - フラッシュ クラウド P2P コンテンツ配信、マルチキャスト
メトロとコア - フラッシュ クラウド CDS、マルチキャスト、P2P コンテンツ配信
P2P アクセス - アップストリームのボトルネック、変化のないトラフィック パターン サービス エリアあたりの世帯数を減らす、オーバーサブスクリプション比を下げる
コア - 平均トラフィック量の増加 P2P キャッシング
商用 VoD メトロ - 平均トラフィック量の増加 CDS、キャパシティのアップグレード、圧縮
高精細度コンテンツ アクセス - ラスト マイル IPTV ボトルネック キャパシティのアップグレード
メトロ - VoD トラフィック量の増加 CDS、キャパシティのアップグレード、圧縮


IP ビデオに含まれるのはインターネット ビデオだけではない

IP トラフィックの成長が意味するものは、インターネット トラフィックの成長とは異なります。従来のサービスが集約されて IP 上で提供されるようになると、コンシューマ IP トラフィックの種類として「パブリック」と「商用」の 2 つが新たに加わります。コンシューマ IP トラフィック量増加のかなりの部分は、商用 VoD トラフィックが IP ネットワークに移行したことによるものです。

IP トラフィックに関するシスコの予測によれば、インターネット以外で伝送される IP ビデオのトラフィックは 2012 年には 1 か月あたり 11 エクサバイトを超えます。この大部分を占めるのが、ケーブル VoD の IP 伝送です。つまり、VoD トラフィックはメトロ内では IP ネットワークを介して伝送されますが、セットトップ ボックスは IP セットトップ ボックスではありません。顧客宅まで IP ネットワークだけを通って配信される VoD トラフィックがトラフィック全体のかなりの部分を占める傾向は、2009 年から始まります。

図 13 ケーブルと IPTV の VoD トラフィックは 2012 年には 1 か月あたり 11 エクサバイトを超える

図 13 ケーブルと IPTV の VoD トラフィックは 2012 年には 1 か月あたり 11 エクサバイトを超える


出典:シスコ(2008 年)

インターネット以外で IP ビデオが配信されるようになると、メトロ ネットワークの IP トラフィック量はコアの IP トラフィック量を上回ります。図 14 に示すように、2012 年のメトロ IP ビデオ トラフィックの総量は、コア トラフィックの 2 倍近くに達します。

図 14 2007 年と比較すると 2012 年にはコアは 5 倍に、メトロは 7 倍に

図 14 2007 年と比較すると 2012 年にはコアは 5 倍に、メトロは 7 倍に


出典:シスコ(2008 年)

ビデオは帯域幅への負荷以上のものを消費する

ビデオによる収益は、1 メガバイトあたり 1 セントの 100 分の 1 をわずかに上回る程度です。一方、テキスト メッセージングの場合は 1 メガバイトあたり 20 ドルで、ビデオと比較すると図 15 のようになります。この比較からわかるように、サービス プロバイダーの課金(そして消費者の支払い)の基準は、メガバイト数ではなくサービスです。これまで、消費者が進んでお金を払って利用するサービスと、そのサービスが消費する帯域幅の量の間に相関関係はありませんでした。

図 15 メガバイトあたりの金額

図 15 メガバイトあたりの金額


出典:シスコ(2008 年)

1994 年に Vint Cerf 氏が述べたように、「結局は、これだけのキャパシティを利用するためのお金を誰かが負担しなければならないのです」。しかし、これまでに多数の破壊的なモデルが登場し、この公式は成立しなくなりました。Iliad 傘下の Free のような新興プロバイダーは、ブロードバンド回線と共に無料で音声とビデオのサービスを提供しています。Joost のようなオーバーザトップ プロバイダーは、無料でビデオ サービスを提供し、収益は広告から挙げています。つまり、サービスと接続とがひとまとめではなくなったのです。かつて「サービス」と呼ばれていたものは仮想化され、「アプリケーション」あるいは「サイト」と呼ぶのがふさわしくなりましたが、唯一の例外が接続サービスです。ここで持ち上がる疑問は、接続の料金は 3 つのサービスの料金として設定されるのか、それともただ 1 つのサービスの料金となるのかということです。

図 16 トリプルプレイとコンバージェンスによって、これまでにはなかった収益モデルが生まれている

図 16 トリプルプレイとコンバージェンスによって、これまでにはなかった収益モデルが生まれている


出典:Comcast、Free(2007 年)

現在の揺れ動いている市場は、最終的にどのように落ち着くのでしょうか。

シナリオ 1:100 ドル接続。このシナリオでは実質的に、サービス プロバイダーは従来型のサービス モデルを作り直してコンバージェンス型にします。消費者が PC の専門用語を覚えたのと同じように、帯域幅の新しい専門用語も浸透します。つまり、ベストエフォート トラフィックと優先トラフィックの違いを消費者が理解するようになり、従量制料金の支払いや、各種コンテンツ タイプ固有の保証に対する支払いもいとわなくなります。消費者からサービス プロバイダーが得る収益は減少しますが、極端な減少ではないでしょう。あらゆるサービスに対応可能な高速回線に消費者が支払う金額は、70 〜 100 米ドルとなります。

シナリオ 2:40 ドル接続。サービス プロバイダーが消費者から直接得る定期的収益は、大幅に減少します。その埋め合わせとなる新しい収益ストリームには、次のようなものがあります。

  • コンテンツ プロバイダー(コンテンツ配信)
  • 広告主(ターゲット広告、インタラクティブ広告、ロケーションに合わせたサービス)
  • オーバーザトップ プロバイダー(BT の Web21c のようなパーソナライゼーションとサービス API)

このような新しい収益ストリームの多くはすでに、サービス プロバイダーの関心を集めています。たとえば、マルチプラットフォームのターゲット広告挿入や、アプリケーション プラットフォーム プロビジョニングがその例です。すべては、消費者の高速ブロードバンド回線上を流れるあらゆるものにアクセスできるという特権を持つサービス プロバイダー次第です(ビット単位の収益は一様ではありませんが)。

モバイル ブロードバンド置き換え効果の兆し

世界各地のモバイル通信事業者が、料金でも速度でも固定ブロードバンドと同等のモバイル ブロードバンド サービスを提供しています。データ量の上限を定めているモバイル ブロードバンド サービスも多く、その上限は固定ブロードバンドに比べてはるかに低いにもかかわらず、固定回線の代わりにモバイルを選ぶ消費者がいます。これは、1990 年代終盤から現在にまで続く、モバイル音声置き換え効果に似ています。

モバイル ブロードバンド置き換え効果の結果、モバイル データの量は大幅に増加するとシスコは予測しており、2007 年から 2012 年までの年平均成長率(CAGR)は 116% とみています。つまり、トラフィックは 1 年ごとにほぼ 2 倍になります。

図 17 モバイル ブロードバンドのトラフィックは 2012 年までの 1 年ごとに 2 倍になる

図 17 モバイル ブロードバンドのトラフィックは 2012 年までの 1 年ごとに 2 倍になる


出典:シスコ(2008 年)

シスコの予測ではモバイル データの用途別分類は行っていませんが、Informa Telecoms and Media3が最近発表したモバイル データ予測によれば、現在のモバイル データ トラフィックの 35% はビジネスのものです。ビデオとインターネットが占める割合は今後さらに増加し、2012 年にはビデオはモバイル トラフィックの 23%、インターネットは 40% に達します。

図 18 2007 年と 2012 年のモバイル データ トラフィック用途別内訳(Informa Telecoms and Media)

図 18 2007 年と 2012 年のモバイル データ トラフィック用途別内訳(Informa Telecoms and Media)


出典:Mobile Networks Forecast、Informa Telecoms and Media(2008 年)

2012 年以降は、モバイル ブロードバンド ネットワークに接続するデバイスの種類がさらに多様化すると考えられます。小型ノート PC や大画面付き携帯端末の登場がきっかけとなって、携帯端末とノート PC のモバイル データの区別はあいまいになっていくでしょう。

関連情報

IP トラフィックに関するシスコの予想の詳細については、ホワイト ペーパー「Cisco Visual Networking Index 予測と方法論 2007-2012」を参照してください。お問い合わせは電子メールで Arielle Sumits と Jaak Defour 宛にお送りください。アドレスは traffic-inquiries@cisco.com です。

付録 A:全世界の IP トラフィックに関するシスコの予測

表 4 は、全世界の IP トラフィックに対するシスコの予測をまとめたものです。詳細については、ホワイト ペーパー「Cisco Visual Networking Index 予測と方法論 2007-2012」を参照してください。

表 4: 全世界の IP トラフィック(2006 年〜 2012 年)

IP トラフィック(2006 年〜 2012 年)
  2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 CAGR 2007-2012
タイプ別(1 か月あたり、単位:ペタバイト)
インターネット 3,339 4,949 7,450 10,565 14,775 20,168 27,276 41%
非インターネット IP 895 1,709 3,353 5,630 9,244 12,321 16,275 57%
セグメント別(1 か月あたり、単位:ペタバイト)
コンシューマ 2,641 4,439 7,731 11,906 18,064 24,347 32,467 49%
ビジネス 1,586 2,193 3,008 4,140 5,622 7,479 9,839 35%
モビリティ 7 26 65 149 333 663 1,245 116%
地域別(1 か月あたり、単位:ペタバイト)
北米 1,471 2,452 3,995 5,873 8,495 10,599 13,411 40%
西ヨーロッパ 886 1,371 2,232 3,522 5,426 7,524 10,513 50%
アジア太平洋地域 1,307 1,994 3,245 4,750 6,998 9,951 13,855 47%
日本 267 373 571 843 1,217 1,637 2,021 40%
ラテン アメリカ 118 189 332 551 880 1,314 1,785 57%
中央・東ヨーロッパ 116 172 264 414 656 983 1,307 50%
中東・アフリカ 69 107 164 243 347 481 659 44%
合計(1 か月あたり、単位:ペタバイト)
合計 IP トラフィック 4,234 6,658 10,803 16,195 24,019 32,489 43,551 46%


出典:シスコ(2008 年)

定義

コンシューマ:家庭、大学、およびインターネット カフェによって生成された固定 IP トラフィック
ビジネス:企業および官庁によって生成された固定 IP WAN またはインターネット トラフィック(バックアップ トラフィックを除く)
モビリティ:携帯端末、ノートブック カード、WiMAX によって生成されたモバイル データおよびインターネット トラフィック
インターネット:インターネット バックボーンを通過するすべての IP トラフィック
非インターネット IP:企業の IP WAN トラフィック、TV/VoD の IP トランスポート、および閉じたモバイル環境の中のトラフィック

1出典:Telegeography、Global Internet Geography(2008 年)
2Andrew Odlyzko 氏は、「コンテンツは王様」主義からコミュニケーションを守る立場を貫いてきました。「Content is not king」(First Monday, February 2001)および「Connected Homes」(F. Gil de Bernabe y Varela, ed., Cisco, 2004)の 58 〜 64 ページ「Finding a Voice: Learning from History」を参照してください。http://www.dtc.umn.edu/~odlyzko/doc/recent.html も参照してください。
3Informa の予測は非常に細分化されており、都市部とその周辺部の使用パターンを農村部と区別しているほか、用途別、地域別、アップストリーム/ダウンストリームの予測を行っています。モバイル データに関するシスコの予測は、モバイル ブロードバンド接続に関する Informa の予測に基づいていますが、Informa と異なるのは増加の想定です。Informa の予測では、2007 年の 1 か月あたりのモバイル データ トラフィック量(VoIP を含むが、単純な音声は含まない)は 15 ペタバイトとなっています。シスコの予測は Informa に近く、1 か月あたり 17 ペタバイトです。ただし、2012 年分の予測については、シスコの見積もりは Informa の最もアグレッシブなシナリオの 6 倍となっています。全体的な IP トラフィックに関してシスコの予測は控えめであるにもかかわらず、このようなアグレッシブな予測となっているのは、モバイル ブロードバンドが固定ブロードバンドに取って代わる可能性についてアグレッシブな想定をしているからです。たとえば、西ヨーロッパのノート PC モバイル ブロードバンド ユーザに関しては、一人当たりの月平均使用量が 2007 年末時点では 856 MB、2012 年には 4 GB を超えるほどに増加すると考えています。これは、現在のモバイルの使用状況から見ると大幅な増加ですが、西ヨーロッパのノート PC ユーザの固定回線使用状況と比較するとそれほどでもありません。シスコの予測では、ユーザ 1 人あたりの月平均使用量は 2007 年には 3 GB ですが、2012 年には 18 GB まで増加します。

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