Cisco ワイヤレス LAN ソリューション導入事例
ニセコ観光圏
デジタルサイネージとフリー Wi-Fi を設置 積極的な情報発信で観光圏の魅力を高める ニセコ観光圏

「ニセコ エリア総合観光情報発信事業」に取り組んだニセコ観光圏。デジタルサイネージとフリー Wi-Fi サービスを通じて、観光客に様々な情報を発信しています。積雪、氷点下の気温といった厳しい気候条件に対応するためにシスコ ソリューションを採用しました。


すでに私達の暮らし全体が、情報化抜きには語れない状況です。
これからも ICT を積極的に活用しながら、ニセコ観光圏の魅力を高め続けていきたいと考えています。
─ニセコ町長 片山 健也 氏

国際競争力の高い観光地域の形成を促進するために観光庁が推進している「観光圏」。自然・歴史・文化などにおいて密接な関係のある地域を 1 つの観光圏として定め、その地域の様々な観光資源を活用することで、魅力ある観光地域づくりを促進しています。


2014 年 7 月に観光圏として認定されたニセコ観光圏もその 1 つです。


北海道の蘭越町、ニセコ町、倶知安町で構成される同エリアは、標高 1,308m のニセコアンヌプリを頂点として連なるニセコ山系や、蝦夷富士と呼ばれる日本百名山の羊蹄山、清流日本一の尻別川などの自然環境に恵まれ、冬場はスキーなどのウインター スポーツ、夏場はサイクリングや川下りなどのレジャーを楽しむために世界中から数多くの観光客が訪れます。


「ニセコ町では約 30 年前から住民の皆さんと協議しながら、地域の魅力を高める取り組みを進めてきました。さらに多くの観光客の方に訪れてもらうには、隣接する倶知安町や、『奥ニセコ』とも呼ばれる蘭越町との連携が不可欠。互いの良さを活かしながら、このエリアをアジア最高の国際リゾートにしたいと考えています」とニセコ町長の片山 健也氏は話します。


課題

全ての観光客の快適な時間と安全のための情報発信を目指す
魅力ある観光圏づくりの一環として取り組んでいるのが積極的な情報発信です。


例えば、スキーを目的にニセコ エリアを訪れた観光客には、スキー場の天候や積雪、リフトの運行状況などを把握したいというニーズがあります。従来は、スマートフォンで検索するなどして、自ら情報を確認しなければならず、海外からの観光客ともなれば、言葉の壁がある上、気軽にインターネット アクセスも行えないため、情報を得るのは簡単ではありませんでした。


また、ニセコ エリアはスキー場の数が多く、全山共通のリフト券で全てのスキー場を利用できることが大きな魅力となっています。そのため、各スキー場のゲレンデ入口をつなぐシャトルバスを運行していますが、天気の影響によってバスが時間通りに運行できないことも多く、スキー客を待たせてしまうこともありました。


「スキー場の状況やシャトルバスの運行情報をリアルタイムかつ、複数の言語で配信することができれば、あらゆるスキー客が、リフトの停止しているスキー場を避けて、ムダな移動や待ち時間なく、目当てのスキー場で存分にスキーを楽しむことができます。ニセコ町にはスキーヤーの安全を守るために独自に定めた『ニセコルール』というものもありますが、雪崩の危険性など、そのルールを守るために必要な情報の周知を徹底することで事故のリスクを低減することもできます」とニセコ町 商工観光課 課長の前原 功治氏は言います。


厳しい環境でもトラブルなく安定稼働する
シスコ製品には大きな安心感があります


ソリューション

実証実験の成果を踏まえ情報発信事業の実現
そこで、ニセコ エリアが一体となって構想したのが「ニセコ エリア総合観光情報発信事業」というプロジェクトです。


これは、駅や観光地、各地の交流施設、観光案内所など、エリア内の主要なポイントに大型のデジタルサイネージと Wi-Fi アクセス ポイントを設置。サイネージを通じて、スキー場の天候やリフトの運行状況をはじめ、シャトルバスの現在位置、おすすめ観光スポットやイベント情報などの様々なコンテンツを発信すると同時に、誰でも利用可能なフリー Wi-Fi サービスも合わせて提供することで、自在に情報を取得し、観光客にニセコ エリアでの滞在期間を快適に過ごしてもらうための仕組みです。


「背景には、2013 年に行った実証実験による成果がありました。実験では、ニセコスキー場に Wi-Fi アクセス ポイントを設置し、スキー場に関する情報発信とインターネット接続サービスの提供を行ったのですが、予想以上に多くの方に利用いただき、情報発信やインターネット接続サービスに対する潜在的なニーズが明らかになりました。残念ながら実験期間の終了と共にサービスを停止せざるをえなかったのですが、いずれ正式なサービスとして実現したいと考えていました」と片山氏は強調します。


ニセコ エリア総合観光情報発信事業は、2015 年 10 月に内閣府地方創生推進室によって「地方創生に関する先駆的事業」として採択された後、「地方創生加速化交付金」の支援を得て、一気に実現に向けて動き出しました。


実証実験で証明された品質と耐久性。氷点下の厳しい環境でも安定的に稼働
しかし、システムの実現に向けては、いくつかの課題もありました。


まず、課題となったのがニセコの厳しい環境です。「冬になれば、当然、平均気温は氷点下にまで下がり、大量の雪が降ります。屋外に Wi-Fi アクセス ポイントを設置したいと考えていた場所もあり、導入する機器には、このような厳しい環境でも安定して稼働できる耐候性・耐久性が必要でした」とプロジェクト オーナーを務めた NTT 東日本 第二営業部門 部門長の道下 勝志氏は話します。


また、山頂付近にあるスキー場のロッジなどには、光ケーブルが敷設されておらず、有線を前提としたシステム構成を採用することができません。このことも課題の 1 つでした。


これらの課題解決に貢献したのがシスコのソリューションです。


基本となるシステム構成は図に示す通り。デジタルサイネージを設置する各地には、Wi-Fi アクセス ポイント「Meraki MR シリーズ アクセス ポイント」とキャリア網と接続するためのルータとしてサービス統合型ルータ「Cisco 800 シリーズ ルータ」が導入されています。


「Meraki MR シリーズ アクセス ポイントには、−40℃ の過酷な環境にも耐えられる『Meraki MR72』がラインナップされており、屋外の過酷な環境でも安定稼働を実現してくれます。この点が採用の大きな決め手になりました」と NTT 東日本 第四営業部門 営業担当課長代理の山下 芳智氏は説明します。


実証実験で証明された品質と耐久性。氷点下の厳しい環境でも安定的に稼働
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一方、Cisco 800 シリーズ ルータについては、有線接続が難しい場所でもバックホールを LTE で接続できる「C899G-LTE」がラインナップされていることから採用されることになりました。C899G-LTE-JP-K9 に関しては、 デュアル SIM をサポートしており、優れた冗長性も実現します。


「2013 年の実証実験にもシスコは参加しており、サポート体制やパートナーとしての姿勢に対する信頼感も高かった」と道下氏は付け加えます。また前原氏も「実証実験期間中もシスコ製品は全くトラブルなく安定稼働することがわかっており、安心感がありました」と続けます。


高い通信品質で公衆 Wi-Fi に対する不安を払拭
現在、デジタルサイネージおよび Wi-Fi アクセス ポイントは、スキー場やホテル、観光案内所など、合計 23 カ所に設置されています。そのうち 2 カ所は有線ではなく、LTE 経由でキャリア網に接続されています。


デジタルサイネージに表示するコンテンツは、日本語と英語を交互に表示。また、気象情報などのように全スポットで共通で表示されるものと、地域の特性に応じて独自に制作可能なものの二種類を組み合わせられるようになっています。


デジタルサイネージには、観光客が自由にフリー Wi-Fi サービスを利用できるよう SSID も表示されています。現時点では認証方法によって 3 種類のサービスが用意されており、Facebook Wi-Fi 認証で利用する SSID、Google 認証で利用する SSID、ワンクリックで認証なしで使用できる SSID の中から自由に選んで Wi-Fi サービスを利用できます。


「ログイン用のスプラッシュ画面は簡単に作成可能。Meraki のクラウド型管理ダッシュボードの GUI は使いやすく、あらかじめ用意された画面をほんの数クリックするだけで簡単に作成できました」と今回のシステム構築作業を担当した協和エクシオの藤岡 賢史氏は話します。


また、Meraki には、電波干渉を自動的に回避し、通信状態を最適化するという機能もあることから、通信の品質は非常に良好。「以前は『公衆 Wi-Fi はつながらないし遅い』という印象を持っていたのですが、そうした思い込みは覆りました。実は道の駅『ニセコビュープラザ』には以前もフリー Wi-Fi を設置していたのですが電波が弱いと不評でした。一方、Meraki によるサービスを開始してからは隅々まで電波が届くようになっています」と前原氏は言います。


クラウドを通じた管理で運用を効率化
Meraki には管理面でのメリットもあります。


Meraki はクラウドを通じてリモートから設定、運用管理を行えるようになっています。この特長を活かせば、あらかじめクラウド上で機器設定を行っておき、現場ではケーブルに接続するだけという設置方法が可能。設置後に設定変更が必要になっても、現地に行く必要はありません。


「設置を行ってからサービス インまでの間に、アクセス ポイントの設定変更を 2 回行ったのですが、いずれも札幌のオフィスから対応できました。札幌からニセコ エリアまでは往復で約 5 時間かかり、作業時間も含めれば 1 日がかりの仕事になってしまいます。しかも機器は 23 カ所に分散しています。リモート管理機能のおかげで作業を大幅に効率化できました」と藤岡氏は言います。


利用データを分析して、コンテンツの最適化などに活かす
さらに、Meraki のダッシュボードでは、電波の状態やアクセス ポイントの稼働状況、トラフィックだけでなく、端末の MAC アドレス検出による利用者の滞在時間や移動状況、近くを通過したモバイル端末の数、アプリケーションごとのトラフィックまでを可視化できます。Facebook Wi-Fi 認証を利用した場合には、利用者が公開している属性情報も取得することが可能です。


「この情報を活用すれば、どの国から来た人が、どのようなエリア内を移動したりしているかがわかります。それを活かして、デジタルサイネージのコンテンツを最適化したり、地域企業の店舗出店などの参考にしたりすることも可能になるでしょう」(前原氏)。


アプリケーションごとのトラフィック監視に基づき、一定以上のトラフィック量になった場合には通信スピードを制限する QoS 機能も利用可能です。


「最近は動画を閲覧する利用者が多く、既存回線に Wi-Fi アクセス ポイントを接続している拠点では、他のサービスに影響を与える可能性もあります。そのため、動画や P2P アプリケーションだけトラフィックの上限を定めるという運用を行っています」と藤岡氏は説明します。


結果〜今後

他の自治体からも大きな注目を集める
今回のニセコ観光圏の取り組みは、すでに他の自治体からも大きな注目を集めています。NTT グループも同様のサイネージソリューションの提案活動に積極的に取り組んでおり、すでに北海道上川町への導入プロジェクトも開始されています。


もちろん、ニセコ観光圏でも、ICT を地域創生に活用する取り組みをさらに加速していく計画です。蘭越町、ニセコ町、倶知安町、NTT グループ 6 社との間で締結した「NISEKO まちづくりパートナー協定」にのっとり、ICT を観光マネジメントや地域の安全/安心/災害対策、地域の魅力発信や地域活性化、住民サービスの向上に活かしていく構えです。


「将来は新千歳空港や空港バスの中でも、ニセコ観光圏の情報を発信できる仕組みを構築したいですね。これからも ICT を積極的に活用しながら、ニセコ観光圏の魅力を高め続けていきたいと考えています」と片山氏は最後に語りました。


メディアを選択

製品 & サービス

  • Cisco Meraki MR シリーズ アクセス ポイント
  • Cisco 800 シリーズ ルータ

課題

  • ニセコ観光圏での滞在期間をより快適かつ安全に過ごしてもらうには、観光情報や交通情報、雪崩の危険性など、観光客に対するさらなる情報発信が必要と考えた
  • 屋外に設置する Wi-Fi アクセス ポイントは、氷点下の気温下でも安定稼働しなければならない
  • 広い範囲に渡って機器を設置することから、できるだけ効率的に運用管理できることが望ましい

ソリューション

  • デジタルサイネージと Wi-Fi アクセス ポイントを主要スポットに設置して観光情報などの発信とフリー Wi-Fi サービスの提供を実現
  • 厳しい環境下でも安定稼働する Wi-Fi アクセス ポイント「Meraki MR シリーズ アクセス ポイント」と、有線接続ができない場所でも LTE で通信を行える統合型ルータ「Cisco 800 シリーズ ルータ」を採用

結果〜今後

  • 観光客がスキー場の天候やリフト、シャトルバスの運行情報を得て、滞在を楽しめる環境が整った
  • クラウドからのリモート管理が行える Meraki によって、運用管理負荷が軽減できた
  • Meraki を通じて得られるデータを活用して観光客の行動分析を行えば、コンテンツの最適化や地元企業の出店計画などに役立てられる
  • 日本語と英語で情報を発信することで、これまで情報の入手に苦労しがちだった外国人旅行者にも対応。さらなる誘致につながると期待している
ニセコ町長片山 健也氏

ニセコ町長
片山 健也氏

ニセコ町 商工観光課 課長前原 功治氏

ニセコ町 商工観光課 課長
前原 功治氏

NTT 東日本ビジネス&オフィス営業本部 北海道法人営業部第二営業部門 部門長道下 勝志氏

NTT 東日本
ビジネス&オフィス営業本部
北海道法人営業部
第二営業部門 部門長
道下 勝志氏

NTT 東日本ビジネス&オフィス営業本部 北海道法人営業部第四営業部門 営業担当課長代理山下 芳智氏

NTT 東日本
ビジネス&オフィス営業本部 
北海道法人営業部
第四営業部門 営業担当課長代理
山下 芳智氏

株式会社 協和エクシオ北海道支店 通信ビジネス部門課長代理藤岡 賢史氏

株式会社 協和エクシオ
北海道支店 通信ビジネス部門
課長代理
藤岡 賢史氏

ニセコ観光圏

ニセコ観光圏
所在地: 北海道 蘭越町・ニセコ町・倶知安町
設立: 2014 年 7 月(観光庁から認定)
業種: 観光庁認定観光圏
規模: 観光客延べ宿泊数:175 万 4,000 人(2015 年)
URL: http://niseko-tourism-zone.com/

ニセコ山系周辺の広大なエリアのうち、ニセコアンヌプリの山麓にある倶知安町、ニセコ町、蘭越町の 3 町で構成された観光圏。パウダースノーが楽しめるスキーシーズンはもちろんのこと、冬季以外もサイクリングやフットパスを目的に、日本国内のみならず世界各国から数多くの観光客が訪れている。ICT を活用した情報化にも積極的に取り組んでおり、アジア最高の国際リゾートを目指している。