データセンター ユーザ事例

NECビッグローブ、「BIGLOBE クラウドホスティング」の基盤に Cisco Nexus を採用

NECビッグローブ株式会社

「BIGLOBE クラウドホスティング」の基盤に Cisco Nexus を採用、 vPC の活用で高信頼かつスケーラブルなネットワークを実現、 今後実装される次世代テクノロジーにも期待



ISP事業をはじめ、コンテンツ・情報サービス・マーケティング・企業向けクラウドなど、様々なインターネット関連事業を展開するNECビッグローブ。ここでは 2011 年 1 月にスタートした高信頼クラウドサービス「BIGLOBE クラウドホスティング」のネットワークインフラに、Cisco Nexus が採用されている。その最大の理由は仮想ポートチャネル(vPC)の実装だ。vPCの活用でレイヤ 2 ネットワークの信頼性向上とスケーラビリティ拡大が実現でき、単一ネットワークにより多くのサーバを集約できるからである。またこれによって運用管理の負荷軽減やコスト削減が可能になることも高く評価。今後は Cisco FabricPath や LISP(Location ID Separation Protocol)、VM-FEX(ハードウェアVN-Link)の活用も検討されており、次世代ネットワーク インフラを実現できる製品として大きな期待が寄せられている。

一般企業が安心して使える高信頼クラウド
「BIGLOBE クラウドホスティング」

2011 年 1 月 27 日、NEC ビッグローブは「BIGLOBE クラウドホスティング」をリリースした。これは VMware による仮想サーバリソースをオンデマンドで利用できる、IaaS(Infrastructure as a Service)型のクラウドサービス。契約を行い、ID を取得しておけば、最短 5 分でサーバ作成やリソース変更が行えるようになっているのだ。 このスピード感も大きな特徴だが、それ以上に注目すべきなのが極めて高い信頼性を実現している点である。SLA として提示されている稼働率は 99.99 %。月間のサーバ稼働率がこれを下回った場合は、利用料金の一部が減額されることになっている。

「一般的なパブリッククラウドの稼働率は 99.95 %程度、99.99 %の稼働率は国産クラウドでは最高水準だといえます」と説明するのは、NEC ビッグローブ株式会社 ビジネスサービス事業部 マネージャーの関根 良知氏。現在すでにサービス開始から半年以上が経過しているが、まだ一度もサービスが止まったことはないと言う。「現在のクラウドサービスのユーザーはほとんどがソーシャル アプリケーション プロバイダーであり、一般企業の皆さまの多くは、まだパブリッククラウドは十分な信頼性がないとお考えのはずです。BIGLOBE クラウドホスティングはこの状況に着目し、一般企業が安心して使えるクラウドという位置付けで開発されました。サービス開始から 3 年間で、3,000 社のお客さまにご利用いただくことを目標にしています」 安心して使えるクラウドサービスを実現するには、稼働率が高いだけでは十分ではない。BIGLOBE クラウドホスティングはセキュリティ機能も数多くのオプションが用意されているという。パケットフィルタ型のファイアウォールはもちろんのこと、WAF(Webアプリケーション ファイアウォール)や IDS(侵入検知システム)等、ユーザー企業のポリシーに合わせたセキュリティシステムを組み上げることができるのだ。

このような“高信頼クラウド”を実現できた背景には、NEC ビッグローブの長年にわたる実績と経験がある。同社は NEC の一事業部として PC-VAN をスタートしてから、すでに 25 年にわたるデータセンター運用実績を持ち、数多くのユーザーにホスティングサービスを提供している。その一方で社内サービスでは、早くから仮想化への取り組みを進めてきた。BIGLOBE クラウドホスティングは、これらの実績と経験を集大成したものなのだ。 そしてもう 1 つ注目したいのが、そのネットワーク基盤である。止まらないクラウドサービスを支えるため、Cisco Nexus が採用されているのである。

既存機器ではトラフィック急増への対応に限界
次世代インフラとして Cisco Nexus の採用へ

NEC ビッグローブが BIGLOBE クラウドホスティングの検討を開始したのは 2008 年。「すでに 2006 年から専用サーバサービスを提供していましたが、これを仮想化することで、より高いコストパフォーマンスの実現を目指しました」と、NEC ビッグローブ株式会社 ビジネスサービス事業部 マネージャーの水野 堅志氏は説明する。そのためにまず実施したのが、社内向けサービスへの仮想サーバの展開だ。まず自社内で実績を積み上げ、十分な効果を引き出せることを確かめた上で、顧客へのサービス展開を開始しているのである。2010 年夏には法人向けサービスとして、一部の顧客企業に対して仮想化されたサーバの提供を開始。その後このサービスを体系化し、BIGLOBE クラウドホスティングのサービス開始に至っている。 サービス開始直後のネットワークインフラは、すでに利用されていたネットワーク機器をそのまま活用。NEC ビッグローブでは基本的にネットワークインフラを共用する方針であり、BIGLOBE クラウドホスティングでもこの方針に基づいてシステムが構築されたからである。しかし「既存のネットワーク機器では、トラフィック急増への対応に限界があることは以前からわかっていました」というのは、NEC ビッグローブ株式会社 基盤システム本部 システム開発グループ 主任の淀野 直弥氏。次世代のネットワーク インフラへの移行が強く求められるようになっていたと言う。

すでに 2010 年前半には、次世代ネットワークインフラとして Cisco Nexus の採用検討に着手。しかし当時はまだ導入事例が少なかったため、採用は見送られたと淀野氏は説明する。その後約半年間で数多くの導入事例が登場、十分な実績があると判断し、2011 年 1 月に Cisco Nexus の導入を決定する。2011 年 3 月には機器設置を完了。4 月下旬から新しいネットワークインフラとして稼働を開始している。 構成は図に示す通り。まずコアスイッチとしては Cisco Nexus 7010 を使用。この下に Cisco Nexus 5548P を接続し、さらに Cisco Catalyst 4948E を介してサーバ群に接続している。Cisco Nexus 5548Pからサーバまでは、すべてレイヤ 2 ネットワークだ。Cisco Nexus 7010は、レイヤ3ルーティングを行っている。インターネットとは Cisco Catalyst 6509 を介してレイヤ3で接続している。

BIGLOBE クラウドホスティングは、次世代ネットワークインフラとして Cisco Nexus シリーズスイッチを採用。これにより国内最高水準の高信頼性である 99.99 %の稼働率を実現している。

BIGLOBE クラウドホスティングは、次世代ネットワークインフラとして Cisco Nexus シリーズスイッチを採用。これにより国内最高水準の高信頼性である 99.99 %の稼働率を実現している。

最大の魅力はvPCの実装でレイヤ2ネットワークの規模拡大が可能になること
今後の機能拡張にも大きな期待

それではなぜ次世代ネットワーク インフラとして、Cisco Nexus が選ばれたのか。最大のポイントは仮想ポートチャネル(vPC)の実装だと淀野氏は説明する。vPC とは複数のネットワークデバイス間で、複数のリンクを 1 つの論理リンクとしてバンドルし、レイヤ 2 ネットワークのループ問題を解消する機能。これを活用することで、従来のスパニング ツリープロトコル(STP)への依存度が軽減され、ネットワークの信頼性や拡張性、パフォーマンススケーラビリティが大きく向上するのである。 「これまでのレイヤ 2 ネットワークでは STP の利用が不可欠でしたが、これによってレイヤ 2 ネットワークのスケーラビリティが制約されてきました。vPC ならこの問題を解決でき、これまで以上にスケーラブルなネットワークを構築できます。また帯域を有効活用できるのも vPC のメリットです。STP では帯域の半分しか利用できませんが、vPC なら全帯域を使用できます」(淀野氏)

10 GE のポート密度が高い Nexus5548P と Catalyst4948E の組み合わせによって、サーバ収容のスケーラビリティを高めている。

10 GE のポート密度が高い Nexus5548P と Catalyst4948E の組み合わせによって、サーバ収容のスケーラビリティを高めている。

Cisco Nexus7010 は、最先端のオペレーティング システムである Cisco NX-OS を利用して、vPC 等データセンタのための多数のユニークな機能を実現している。

Cisco Nexus7010 は、最先端のオペレーティング システムである Cisco NX-OS を利用して、vPC 等データセンターのための多数のユニークな機能を実現している。

障害発生時の切り替えがスピーディなことも、vPC の利点だと淀野氏は付け加える。Cisco Nexus でネットワークを構築した後、ソフトウェアのバージョンアップのために片系ずつダウンさせる運用を行ったが、事前準備を行うことなく 1 〜 2 秒で自動的にネットワーク経路が切り替わったと振り返る。「これならネットワーク機器に障害が発生しても、サービスへの影響は非常に限定されるでしょう。STP では設定の細かいチューニングが必要でしたが、vPC ならこれも必要ありません」 しかし Cisco Nexus 採用の理由は vPC だけではない。今後 Cisco Nexus に搭載が予定されている新技術にも期待が寄せられている。その例として挙げられたのが、Cisco FabricPath と LISP(Location ID Separation Protocol)だ。

Cisco FabricPath とはルーティングの柔軟性をレイヤ 2 に適用する技術。現在は vPC の裏でスパニングツリーが動いているが、Cisco FabricPath が利用可能になれば、STP を全く使わないレイヤ 2 ネットワークが実現できる。 LISP はデバイス ID と場所(ロケーション)を、個別のアドレス空間に分離する技術だ。これによって IP アドレスのグローバルなポータビリティが実現され、ルーティングのスケーラビリティも大幅に向上する。この技術を応用したマルチテナントのデータセンターでは、テナント数のスケーラビリティが拡大できるのである。

「現在は最大で約 4,000 の VLAN しか設定できないため、将来はこれがビジネスを制約する要因になると危惧していました。しかしCisco FabricPath や LISP を活用し、最大 1600 万テナントまで対応可能になることを期待しています。データセンターは非常に速いペースで技術革新が進んでいますが、Cisco Nexus なら新しい技術をすぐに取り込んでいけるでしょう。」(淀野氏) レイヤ 2 ネットワークのスケーラビリティが拡大すれば、運用性も向上する。これまでは既存ネットワークの限界に達した段階で新たなネットワークを構築する必要があったため、複数のネットワークが併存する形になり、運用が煩雑になっていた。これを単一のネットワークでカバーできるようになれば、全体的な構成がシンプルになる。コストの削減も可能だ。ロードバランサ等のコンポーネントの数を削減できるからである。

仮想マシンのライブマイグレーション(vMotion)の運用も容易になる。vMotion を行えるのはレイヤ 2 ネットワークの範囲内に限定されるが、1 つのレイヤ 2 ネットワークの規模が大きくなれば、マイグレーション対象の範囲も拡大するからだ。 Cisco Nexus は XML インターフェースによる外部管理ツールとの連携も可能だが、これも運用性向上に寄与すると期待されている。NEC ビッグローブでは独自ツールによるシステム管理を行っており、現在はこのツールから直接 Cisco スイッチのコマンドを発行しているが、将来は XML インターフェースを活用した自動運用を実現することも視野に入っているという。

シスコ ユニファイド コンピューティング システム導入事例

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今後の課題は仮想マシンレベルの帯域制御
データセンター間を連携した運用も検討

「新しいネットワークインフラの利用では十分な安定性を確保できるか否かが気になりますが、Cisco Nexus は全く問題なく稼働しています」と水野氏。BIGLOBE クラウドホスティングでの本格的な活用は 2011 年 7 月から始まっているが、安定性に対する不安はないという。「Cisco Nexus を採用したことで、大きな“土管”のような 10G ネットワークを実現できました」というのは淀野氏だ。「つながるのが当たり前という、本来あるべきネットワークの姿へと、さらに近づくことが可能になりました」 今後の課題として挙げられているのが、仮想マシン毎の帯域保証の実現だ。これに関しては今後 Cisco Nexus に実装される予定の VM-FEX(ハードウェアVN-Link)に期待が寄せられている。VM-FEX とは Cisco Nexus 1000V で提供されている VN-LINK の機能を、Cisco Nexus 5000 シリーズと専用 NIC の組み合わせで実現するというもの。これによって仮想マシンレベルにまでスイッチングファブリックを拡張し、エンドトゥエンドのきめ細かいトラフィック管理が可能になる。

複数のデータセンターを連携した運用も検討されている。「お客さまのプライベートクラウドや、オンプレミスシステムと連携させる“ハイブリッドクラウド”の実現も考えています」と水野氏。レイヤ 2 ネットワークの構成がシンプルになれば、このような運用への道も拓きやすくなるだろう。 「Cisco Nexus は将来のデータセンターに必要な解決策を、具体的な形で示しています」と淀野氏。「長期的な視野で安心して展開できる製品だと思います」

導入の背景/課題

  • トラフィック急増に伴い、既存のネットワーク機器では対応が難しくなっていた。この問題を解決するため、次世代ネットワーク インフラへの移行が求められていた。
  • 2010 年前半から Cisco Nexus の採用を検討していたが、当時は十分な導入事例がなかったため、採用を見送っていた。しかしその後の約半年間で数多くの事例が登場したため、2011 年 1 月に採用を決定した。
  • Cisco Nexus 採用の最大の理由は仮想ポートチャネル(vPC)の実装だった。これによりレイヤ 2 ネットワークの信頼性とスケーラビリティが飛躍的に高まるからである。
  • 将来的にはCisco FabricPath や LISP(Location ID Separation Protocol)、VM-FEX(ハードウェア VN-Link)にも、次世代ネットワーク インフラを支える技術として期待が寄せられている。
  • 2011 年 3 月に Cisco Nexus を導入。7 月から「BIGLOBE クラウドホスティング」での本格活用が始まっている。

導入ソリューション

  • Cisco Nexus 7010
  • Cisco Nexus 5548P
  • Cisco Catalyst 4948E

導入効果

  • vPC の活用によって、レイヤ 2 ネットワークのスケーラビリティが大幅に拡大した。これによってより多くのサーバを、単一ネットワークに収容することが可能になった。
  • ネットワーク機器がダウンした時の経路切り替え時間も短縮された。チューニングを全く行うことなく、1〜2秒で確実に切り替えが完了するようになった。
  • ネットワーク構成がシンプルになったことで、運用管理性が高まった。Cisco Nexus には XML インターフェースが用意されているが、これも運用管理性を高めるものとして期待されている。
  • 単一ネットワークがカバーできる範囲が拡大したことで、ロードバランサ等のコンポーネント数も削減可能になり、コストダウンに結びついた。
  • これからのデータセンターに必要となる新たなテクノロジーも、Cisco Nexus の採用によって取り込み易くなっている。
NEC ビッグローブ株式会社   ビジネスサービス事業部   マネージャー   (クラウドサービスグループ)  関根 良知 氏

「99.99 %の稼働率は世界的に見ても最高水準。一般企業の皆さまも安心して使えるクラウドサービスです」

NEC ビッグローブ株式会社
ビジネスサービス事業部
マネージャー
(クラウドサービスグループ)
関根 良知 氏

NEC ビッグローブ株式会社ビジネスサービス事業部マネージャー(システム開発・運用管理グループ)水野 堅志 氏

「新しいネットワーク インフラの利用では十分な安定性を確保できるか否かが気になります。しかし Cisco Nexus で構築したネットワークには全く問題がなく、安心して使用できます」

NEC ビッグローブ株式会社
ビジネスサービス事業部
マネージャー
(システム開発・ 運用管理グループ)
水野 堅志 氏

NEC ビッグローブ株式会社基盤システム本部システム開発グループ主任淀野 直弥 氏

「Cisco Nexus ならレイヤ 2 ネットワークのスケーラビリティを大幅に拡張できます。次世代技術をいち早く取り込めるのも魅力です」

NEC ビッグローブ株式会社
基盤システム本部
システム開発グループ
主任
淀野 直弥 氏

NECビッグローブ株式会社

NECビッグローブ株式会社
所在地 : 東京都品川区大崎一丁目 11-1
ゲートシティ大崎 ウエストタワー
設  立: 2006 年(平成18年) 7 月
資 本 金: 104 億円
従業員数 : 約 500 名
売上高: 948 億円(2010 年度)

BIGLOBEは、283万人(2011年6月末時点)のユーザー数を誇る国内屈指のインターネット・サービスプロバイダー。インターネット上の膨大な情報やサービスを、一人ひとりが最適に活用できる「パーソナルクラウド」を提唱し、ISP事業をはじめ、コンテンツ・情報サービス・マーケティング・企業向けクラウドなど、様々な事業を展開している。長年にわたって培ってきた高い信頼性とスケーラビリティを有する基盤、豊富なサービス提供/運用ノウハウ、幅広い顧客との絆をコアアセットとして、顧客の想いを実現する「インターネット・サービス・パートナー」を目指している。