シスコ ユニファイド コンピューティング システム 導入事例
長野中央病院
医療の安全、業務改善の基盤となる電子カルテ システムのバージョン アップに伴いサーバ環境を一新Cisco UCS と仮想化環境で病院の“止まらないインフラ”を構築

高度な専門性を備えた医療機関として地域医療に重要な役割を果たしている長野中央病院は、より安全な医療の提供と院内業務の改善を進めるべく、電子カルテ システムのバージョン アップを実施した。要求スペックの高さに応えるサーバ環境が必要と判断した同院は、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したCisco Unified Computing System(Cisco UCS)を採用。電子カルテ システムを仮想化環境で稼働させることで、病院のインフラとしての信頼性に加え、将来性も考慮した基盤を実現している。

導入の経緯
電子カルテ システムのバージョン アップで
より高性能なサーバ環境が必要に

長野県長野市の中心部にある長野中央病院は、訪れる患者に平等に医療を提供することを旨とし、高度な専門性を持つ医療機関であると同時に、かかりつけ医としての機能も併せ持つ地域医療の拠点として活動している。よりよい医療を提供するための施策として、建屋や設備の増強も積極的に行っており、2013 年には第 9 期増改築工事を竣工。この際、院内ネットワークの見直しでシスコ製品を採用するなど、IT インフラについても充実を図っている。

今回、電子カルテ システム(ソフトウェア)のバージョン アップを実施することになった同院は、その基盤となるサーバ環境の性能を引き上げる必要があると判断した。パフォーマンス、ネットワーク、コストといった各視点から検討を重ねた結果、インテル® Xeon® プロセッサーを搭載したCisco Unified Computing System(以下 Cisco UCS)を採用し、2013 年 12 月から稼働を始めている。

事務次長の礒野健一氏は、Cisco UCS 導入のきっかけとなった電子カルテ システムのバージョン アップについて、次のように話す。

「前のシステムを導入してから 10 年が経ち、医療の安全という観点で物足りない、十分ではない部分が多くなってきたことが理由として挙げられます。一例として、患者様の認証(取り違えや投与ミスの防止)といったことですね。また、院内の業務効率を高める上で、システム的に対応が難しい面も出ていました。それが現場にも影響していることは明らかでしたので、システムを一新することで業務改善への意識を高め、また今後を見据えた環境整備に取り組むべきと考えたのです。」

システムの刷新にあたり、重視したのはパフォーマンスだったという。システム担当の中西晃氏は、Cisco UCS の検討に至った理由を交えて、次のように話す。

「新しい電子カルテ システムは仮想化環境で運用すると決めていたので、まずここでパフォーマンスの検討が必要です。さらに、ソフトウェアが多機能になって、やりたいと思っていることができるようになるということは、やはりパフォーマンスに影響が出ます。そのため、新しいシステムで従来と同等の操作感を保つには、サーバ自体の性能を引き上げる必要がありました。

仮想化環境を前提にしたシステム構築では、ネットワークやストレージの重要度が増します。従来とは違う尺度でサーバの選定を進めたほうがよさそうだと考えていたときに、当院のネットワークなどを任せている構築ベンダーからも新たな提案として Cisco UCS を勧められました。これが本格的に検討を始めるきっかけでしたね。」

導入プロセス
仮想化環境を前提としたシステムの構築には
Cisco UCS が適していると判断

Cisco UCS については、発売当初から構築ベンダーなどを通じて話を聞き、情報も集めていたという。今回 Cisco UCS を選択したのは、着実に増してきた実績やパフォーマンスもさることながら、Cisco Nexus スイッチの存在が大きかったと中西氏は話す。

「従来のサーバ環境では、ストレージはサーバに接続するものという認識が一般的でしたが、Cisco UCS と Cisco Nexus スイッチの環境ではそれが大きく変わります。仮想化環境のパフォーマンスを維持する上でストレージの重要度は高いですから、ここは大きなポイントでした。Cisco Nexus スイッチがあったから、Cisco UCS を選んだと言ってもいいかもしれません。

仮想化環境では、物理的なサーバの存在はハイパーバイザの下に隠れてしまうので、実のところサーバやストレージのベンダーにそれほどこだわりはありませんでした。しかし、仮想化環境ではネットワークがボトルネックになることが多いので、ネットワークに融通が利き、優位になるような構成を作れないだろうかと考えていました。構築ベンダーから Cisco UCS を提案されたときはなるほどと思いましたね。」

検証プロセス
シスコから機材一式の提供を受けて共同で実施
病院のインフラだからこそ仮想化にすべき

新システムの導入にあたり、同院、構築ベンダー、そして電子カルテ システムのソフトウェア ベンダーが連携して事前検証が行われた。シスコから検証用の機材一式を借り受け、期間はおよそ 1 ヵ月ほどだったとのこと。構成上の不具合やトラブルはなく、システムとしては問題ないという結論に至ったが、ストレージについてはもう少し検証したかったと中西氏は振り返る。

「データ保護のために RAID 6 にするとシステムのパフォーマンスに影響が出るという話があり、ハードディスクの回転速度にも指定があったので、それらをきちんと見極めるにはもう少し時間が必要だったかな、ということです。検証の結果、RAID 6 でも支障はなかったのですが、事前の予想や推論と、実際の結果が食い違う部分があったのは確かです。RAID 構成やハードディスクのスペックについては、さらに検証する余裕があれば、別の選択肢もあったのだろうと思います。」

なお、電子カルテ システムのソフトウェア ベンダーからは、電子カルテという病院のインフラに相当するものを仮想化環境で運用することについて確認があり、物理サーバ環境での運用も検討してはどうかと提案があったとのこと。これに対して中西氏は、仮想化への不安はまったくなく、病院のインフラだからこそ仮想化環境にすべきという方向性を貫いたと話す。

「当院の情報系システムはすでに仮想化環境で動かしていて、経験済みの部分も多かったので、電子カルテ システムも仮想化環境に載せることに抵抗はありませんでした。電子カルテは“止めてはいけないシステム”だからこそ仮想化環境で運用すべきと思っていましたので。

物理的なサーバとソフトウェアが直接紐づいていると、それが壊れたときやリプレース時、障害時の負担は大きくなります。そうした縛りや制約をなくし、病院のインフラとして信頼性を高めるために、仮想化はとても有効な手段と言えます。

仮想化環境でサーバの設定が容易になり、OS まで自分たちで管理できるようになったことは、これまでシステムの追加や更新などを構築ベンダーに頼らざるを得なかった状況から一歩進んだと思います。自分たちの業務を司るシステムだから、自分たちで管理するという面は大きいですね。これによって、いろいろな可能性が出てきました。」

システム概要

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導入効果〜今後の展開
これからの運用を経て本当の効果が見えてくると期待
仮想化環境の柔軟性を活かして最新の環境を保ちたい

新しい電子カルテ システムへの移行は順調に行われ、稼働も無事にスタートした。実際の運用を通して、改善すべき点はすでに把握し始めていると礒野氏は話す。

「新しいシステムでは以前と同等のパフォーマンスを保っていますが、まだ改善できるところはあると認識しています。現場からも細かく要望がありますし、体感レベルでのパフォーマンスは画面設計や操作に必要なクリックの回数なども含めて検証とフィードバックを随時行い、改良していくことにしています。」

中西氏は、本当の導入効果はこれから 5 年後、6 年後に出てくると考えている。

「今すぐに効果を実感できなくても、これから運用しながらわかっていけばよいと思っています。これまでの 6 年でシステムが何回止まっていたか? そして Cisco UCS に切り替えたこれからの 6 年でどれだけ改善されたか? 稼働率を限りなく 100% に近いレベルで達成できれば、改め良いシステムだったと評価できるようになるでしょう。

今回のシステムは、Cisco UCS の良さはもちろん、携わっていただいた方々の良さも合わさったものです。単なる電子カルテのサーバではなく、皆で作り上げた病院のインフラとして、良い結果を残せるようにきちんと取り組んでいくことが大切だと思っています。」

今後は院内にある画像データ蓄積用サーバ(PACSサーバ)更改などを考えているという。電子カルテ システムも仮想化環境に載せたことで、運用性や拡張性の維持はしやすくなったと中西氏は話す。

「より高性能なサーバを今後導入した場合、仮想化環境なら仮想マシンとして容易に移行できます。電子カルテに関する部分を新しいサーバに移し、さほどパフォーマンスが求められない部分を現行サーバで使うといった対応がすぐに行えるので、電子カルテ システムは常に最高の環境で運用できるわけです。こういう取り組みを自分たちで行えるのは仮想化の大きなメリットですし、その基盤となる Cisco UCS も進化していくでしょう。

シスコには、これからも良い製品や技術を出してほしいですし、それを使うことで医療や病院のシステムがどう変わるのか、将来に向けた新しいアピールを期待したいですね。」

Intel、インテル、Intel ロゴ、Xeon、Xeon Inside は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporation の商標です。

インテル® Xeon ® プロセッサー

インテル® Xeon ® プロセッサー搭載
業界最高水準のパフォーマンスを実現
Cisco Unified Computing System

導入ソリューション

  • Cisco UCS C シリーズ ラック マウント サーバ(Cisco UCS C220 M3)
  • Cisco Nexus 5548 データセンター スイッチ
  • Cisco Catalyst 3750-X シリーズ スイッチ
  • Cisco Catalyst 2960-S シリーズ スイッチ

導入前の課題、検討事案

  • より安全な医療の提供を支える基盤として電子カルテ システムをバージョン アップすることになり、サーバ環境により高い処理性能が必要となった。
  • 院内の業務改善を進める上で、システム面の整備が求められていた。
  • 電子カルテ システムを仮想化環境で稼働させることを前提とし、ネットワークやストレージとサーバ環境の接続性や親和性を考慮していた。

導入効果

  • Cisco UCS C シリーズ ラック マウント サーバで処理性能を従来よりも高め、新しい電子カルテ システムを以前とほぼ同様の操作感で利用できるようにした。
  • 電子カルテ システムを仮想化環境上に構築したことで、病院のインフラとして信頼性を高めると同時に、拡張性やコスト抑制の面でも今後に期待できる構成を実現できた。
長野中央病院事務次長礒野 健一  様

長野中央病院
事務次長
礒野 健一  様

長野中央病院システム担当中西 晃  様

長野中央病院
システム担当
中西 晃  様

長野中央病院

長野中央病院
本社所在地
長野県長野市西鶴賀町 1570
設立
1961 年(昭和 36 年)
病床数
322 床
URL
http://www.nagano-chuo-hospital.jp/
診療科目
24 科目
内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、糖尿病内分泌内科、腎臓内科、 透析内科、放射線科、小児科、産婦人科、麻酔科、外科、乳腺外科、肛門外科、 呼吸器外科、整形外科、心臓血管外科、皮膚科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、 眼科、リハビリテーション科、救急科、リウマチ科

一次医療、二次医療における 24 時間救急対応を担う医療機関であり、長野市内(旧市内)で 3 番目の規模を持つ。専門医療にも力を入れており、特に循環器内科、糖尿病などでは患者数や検査件数で長野県下トップクラスとなっている。新卒医師の受け入れと研修も積極的に行っている。

【理念】

  • 人が人として尊重される医療活動を行います。
  • 地域の皆様の健康づくりを応援します。
  • 住みよいまちづくりに貢献します。

いつでもどこでも誰もが安心してよい医療を受けられることを理想として、患者・利用者の人権と安全を最優先にした運営、取り組みを行っている。その医療活動の特徴や目指すものは「医療と福祉の宣言」としてまとめられ、全文も公開している
http://www.nagano-chuo-hospital.jp/byouin
/declaration.html
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