シスコ ユニファイド コンピューティング システム 導入事例
富士電機株式会社 三重工場
富士電機株式会社 三重工場 「工場のスマート化」を支える仮想化率 90% 超のシステム基盤を刷新 Cisco UCS で飛躍的なシンプル化を達成

富士電機 三重工場は、国内トップ シェアの自動販売機、オープン ショーケースや可搬型保冷庫など同社の食品流通事業に関する中核的な生産拠点であり、最新鋭の生産ラインと熟練者により世界水準の高品質を実現している。全社的な方針に基づくシステムの仮想化対応も率先してきた同工場は、仮想化環境の課題にも早くから直面。その解決に有効なソリューションとして、インテル(R) Xeon(R) プロセッサーを搭載した Cisco Unified Computing System (Cisco UCS) を採用した。

経緯
事業継続に不可欠な仮想化環境の安定性を高めることが課題に
ネットワーク構成の複雑化、運用管理の負担増加も解消が必要

富士電機は、IT システムにおける全社的な方針として、クラウド化(仮想化) を行い、2016 年 3 月時点で仮想化率 90% 以上という目標を掲げている。事業再編や工場の集約、統廃合といったビジネス要件の変化に迅速に対応する上で仮想化は有効と考えており、全社で2,000 台近い物理サーバの削減に取り組んでいる。三重工場は 2009 年の時点ですでに仮想化率 91% を達成している先進的な拠点として、コスト抑制など仮想化のメリットを活かしてきたという。

富士電機の情報システム構築と運用を担う富士電機 IT センター(以下 FITC) 生産システム部三重システム課長 兼 三重事業所長の古賀稔士氏は、次のように話す。

「当社では自動販売機に関する事業とオープン ショーケース(陳列棚) の事業が分かれていましたが、それを一本化する際にサーバなどの設備も統合してきました。また、製造拠点として埼玉にあった工場を三重に集約しています。仮想化技術で 2 拠点分のシステムを 1 拠点に収まる形にして、ランニング コストの抑制や投資効果の向上を実現してきました。現在、工場の要となる生産管理システムは、ほぼ仮想化環境上で稼働しています。また、工場のスマート化、環境対策としてエネルギー消費量の削減にも取り組み、そのためのシステムも仮想化で対応しています。」

こうした仮想化環境の積極的な活用は、同時に課題も生じさせた。特に、リソースの枯渇、運用管理 (ネットワーク設計、構成変更管理) の効率化は大きな問題になっていたとのこと。

FITC 生産システム部 三重システム課の山口裕司氏は、今回のサーバ システム更改の経緯を次のように話す。

「ほとんどのシステム環境を仮想化でまかなっているため、ディスクとメモリの枯渇が深刻でした。負荷が集中すると予期しないトラブルに遭遇する機会が増え、冗長化(HA) 構成であっても受け皿であるリソースが不足して、すべてのシステムを保護できない状態だったのです。そこで将来にわたって安全に運用できる環境を整えたいと考えたのが最初のきっかけです。2014 年に保守サポートが終了する 27 台の機器更新、また 2015 年には Microsoft Windows Server 2003 の延長サポート終了で新 OS の要求スペックが上がることも考慮しました。

ネットワークはケーブルの本数が非常に多く、設計や構成変更管理の負担が非常に大きかったですね。従来の 1Gbps 環境ではもう限界で、配線や整線に職人技のような対応が必要な状況を改善したいと思っていました。」

工場では繁忙期と閑散期があり、人員の変動が多いこともリソースの枯渇に影響していたと山口氏は補足する。オフショア開発で派遣されてくる人員や複数プロジェクトの運営などで一時的に利用されるPC の手配やセキュリティ対策をはじめ、クライアント環境に対しても求められることは多岐にわたっていた。海外との連携など事業展開に沿った要求に応えることも重要だったという。

もう 1 つ意識していたのは、人材の育成だと山口氏は話す。

「仮想化環境では、ネットワーク、ストレージ、サーバ、仮想化技術そのものなど幅広い知識と技術が求められます。ただ、仮想化は比較的新しい技術で、運用ツールや技術要素は毎年新しいものが出てきます。それらを追い続け、またトラブル対応などでしっかり活かせるようにしていくのは大変です。これが人材の養成や運用管理の標準化が難しく、なかなか定着しない理由になっていたと言えます。」

三重工場全景( 上) と、生産風景( 下左:冷却ユニット取付、下右:電照板取付)。

三重工場全景(上) と、生産風景(下左:冷却ユニット取付、下右:電照板取付)。
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富士電機 三重工場の生産製品

冷凍ショーケース顧客の細かなオーダーに対応しながら、省エネルギー化を徹底した製品を開発、提案

冷凍ショーケース
顧客の細かなオーダーに対応しながら、省エネルギー化を徹底した製品を開発、提案

可搬型保冷庫「 D-BOX」蓄冷剤と VIP( 真空断熱材) を活用し、電源レスで長時間の安定的な保冷を実現した可搬型コンテナ。食品の生産拠点から店舗売場までシームレスな定温/低温管理と安全、安心、鮮度を維持

可搬型保冷庫「D-BOX」
蓄冷剤と VIP(真空断熱材) を活用し、電源レスで長時間の安定的な保冷を実現した可搬型コンテナ。食品の生産拠点から店舗売場までシームレスな定温/低温管理と安全、安心、鮮度を維持



自販機さまざまな商品、設置形態に対応できる豊富な機種バリエーションをラインアップ。商品を買い求める人の利便性を追求し、環境への配慮やユニバーサル対応も推進。

自販機
さまざまな商品、設置形態に対応できる豊富な機種バリエーションをラインアップ。商品を買い求める人の利便性を追求し、環境への配慮やユニバーサル対応も推進。

プロセス
1 年以上の選定期間を経て Cisco UCS が最善と判断
ハンズオンにも参加してメリットを体感

仮想化環境の基盤となる新サーバの選定は、1 年半ほどかけて定期ミーティングや情報収集を行い、技術のトレンドの変化も踏まえながら進められた。候補をいくつか絞り込み、そのなかから性能や品質など総合的な評価を行った結果、Cisco UCS が最も良い選択肢だったと山口氏は話す。

「運用管理としてはネットワークのところがかなり重たいので、その部分の違いが圧倒的でした。ファブリック インターコネクトと Cisco Nexus シリーズ スイッチを置くことで、ネットワークに関してはかなり楽になると感じました。都度、新たに結線する必要がほぼなくなるというのは、他社製品と考え方が違うと感じたところです。

Cisco UCS Manager のサービス プロファイル機能も高く評価しました。異なる機器に対してもプロファイルを適用することで元の機器構成の複製が容易に作れるので、トラブル シューティングも非常に楽です。従来の環境では SAN 経由のストレージ環境などもすべて変更する必要がありましたが、Cisco UCS ならそうした作業も不要になります。ハンズオンで体験して、うまく使えることがわかったことも選定の大きなポイントになりました。」

選定時には、社内からもいろいろな声があったと山口氏は振り返る。製品としての知名度は十分で、信頼性の面でも評価は高かったが、懸念の声もあったという。

「保守部品の手配とか、サポート レベルについての確認はありました。また、工場内のネットワークはすでにシスコ製品を使っていたので、サーバもシスコになったらベンダー ロックになってしまうのではないか? という懸念もあったようです。こちらからは、利便性、抱えている課題解決に最適なものとして Cisco UCS を選定していると説明して、理解を得られました。

コスト的には、今後 5 年間利用していくことを考えると、競合製品と大きく変わりませんでした。それならば、性能や、我々の視点で評価して最善となる Cisco UCS が良かったということですね。」

効果
物理サーバをさらに削減し、ネットワーク構成もシンプルに
業務効率の向上はもちろん環境対策にも大きな効果を発揮

Cisco UCS による仮想化環境は 2014 年から稼働を開始。従来ラックマウントサーバで構成していた環境をすべてブレード サーバ(1 シャーシ 8 ブレード構成) へ収容し、18 台あった物理サーバを 17 台削減した。すでに仮想化率 91% という達成状況から、さらに物理サーバを削減できた効果は非常に大きいと山口氏は話す。

「ファブリック インターコネクトによって、ネットワーク構成が本当にシンプルになりました。性能、集約率もさらに向上しています。これにより、サーバのためだけに置いていた SAN スイッチやディストリビューション スイッチもかなり減らせました。サーバの冷却効率がかなりよく、発熱量も下がっています。サーバ ルームの気温は平均で 4 度ほど下がっていて、効果がすぐ体感できますね。主要な工場をモデルケースとして、2010 年度比で消費電力を 30% 削減するという目標があり、サーバ ルームも例外ではないのですが、それもすでに達成できています。一般的なデータセンターではなく、製造業の一拠点であっても、それだけの効果が出るという一例でしょう。」

メモリ、ディスクなどリソースの拡充により、夜間に行われるバッチ処理時間も 20% ほど短縮されたとのこと。そして、従来の環境で大きな課題だったネットワークの配線、整線作業と構成管理についても大幅な改善が果たされている。

FITC 生産システム部 三重システム課の岡真人氏は次のように話す。

「以前は二人がかりでサーバ ルームで作業することがけっこうあり、カスタマー エンジニア的な業務も多かったのですが、新しい環境ではだいぶ減りました。今回の機器更新でも、スケジュールは以前と比べて短かったですね。20 日かかっていたところが 3 日で完了したという具合で、非常に大きな効果だと思います。」

古賀氏も、システムとネットワークの構成がシンプルになったことで、構成管理業務の効率化が図られていると話す。

「管理者として最新の状態を担保し、変更履歴を資料として残す必要がありますが、そもそもの変更量が少なくなりました。Cisco UCS Manager の仕組みでも同じことができます。ネットワークの結線を変えたときはその内容もすべて書くのですが、ケーブルが大幅に削減されたのでかなり楽になりました。」

ユーザ側にとっては、パフォーマンスの向上が大きなメリットとして表れている。繁忙期など PC 利用者が増える場合はシンクライアント(VDI) の展開を増やすことで対応し、セキュリティ面の対策としても効果を上げている。山口氏は、Cisco UCS ならではの強みを実感していると話す。

「仮想ホストの台数の変動要素をうまく作ろうとするとき、Cisco UCS はサービス プロファイルを活用して容易に行えるので非常に便利です。Cisco UCS Manager も本当の意味での集中管理なので、以前と比べてシステム全体の運用管理業務もかなり容易になりました。」

効果〜今後
3D CAD on VDI (ワークステーション) の導入を検討
他の工場や拠点とも連携して、全社的な効果実現を目指す

今後、工場内で利用している CAD 用 WS(ワークステーション) の VDI 化を検討していきたいとのこと。メインで使われている 3D CAD の運用について検証を進めていくという。

人材の養成、スキル移転の点では、全社的な方針を踏まえた対応が必要と山口氏は考えており、次のように捉えている。

「Cisco UCS Director のようなツールで作業を自動化して、その途中に承認プロセスを入れて確実にフォローしていくことをやりたいとは思っています。会社全体の方向性としては、グローバルで集中管理されたハイブリッド クラウドの構築が直近の目標なので、これまでのような自助努力や創意工夫で業務品質を突き詰めるよりは、ツールで解決して手離れできる環境にしていくほうがよいのでしょう。」

現在、他の工場とも連携した取り組みを進めているところだと古賀氏は話す。

「1 つの工場のなかで出せる効果には限界がありますから、次の段階として各工場の同様の部署とコラボレーションしてシナジー効果を出していく、少ない投資で効果を高めて会社全体を盛り上げていくための取り組みを始めています。各地でどのようなことをしているのか、共有しながら対応していくことが必要と考えています。」

最後に山口氏は、シスコへの要望を次のように話す。

「製品やツールのローカライズを積極的に進めてほしいと思っています。仮想化環境もそうでしたが、日本語化されているかどうかは国内で普及していく上で重要な部分なので、ぜひお願いしたいですね。選定時、そして現在もとても緊密に関わっていただき、情報の提供から機器の貸し出し、検証協力なども積極的で、シスコという企業は非常にユーザビリティが高いと感じています。こうした取り組みやサポートを今後も継続していただければうれしいです。」

Intel、インテル、Intel ロゴ、Xeon、Xeon Inside は、アメリカ合衆国およびその他の国における Intel Corporation の商標です。

インテル® Xeon ® プロセッサー

インテル® Xeon®プロセッサー搭載
業界最高水準のパフォーマンスを実現
Cisco UCS

導入ソリューション

工場内システムの基盤を刷新し、仮想化環境のパフォーマンスとリソースの確保、ネットワーク構成の飛躍的なシンプル化、さらなる物理機器の削減、運用管理性の大幅な向上を実現

  • Cisco Unified Computing System
    (Cisco UCS B シリーズ)
  • Cisco UCS ファブリック インターコネクト
  • Cisco Nexus シリーズ データセンター スイッチ

導入前の課題、検討事案

  • 仮想化環境の運用におけるリソース(メモリ、ディスク) の不足により、高負荷処理で予期せぬトラブルに遭遇する頻度が上がっていた。
  • 物理機器(サーバ、スイッチ) の更新を検討していた。
  • 人員の増減、海外との連携など、事業展開に沿った IT システムへの要求に対応することが求められていた。
  • 1Gbps ネットワーク接続の煩雑化、構成変更の増加を解消し、運用管理性を高める必要があった。

導入効果

  • Cisco UCS へのリプレースでリソースを拡充すると同時に、物理機器をさらに集約(削減)することができた。
  • Cisco UCS とファブリック インターコネクト、Cisco Nexus スイッチの組み合わせでネットワーク構成を飛躍的にシンプル化し、運用管理業務の負担を削減できた。
  • Cisco UCS Manager による集中管理で以前よりも柔軟かつ容易な対応が可能になった。
富士電機ITセンター株式会社生産システム部三重システム課長兼 三重事業所長古賀 稔士様

富士電機ITセンター株式会社
生産システム部
三重システム課長
兼 三重事業所長
古賀 稔士様

富士電機ITセンター株式会社生産システム部三重システム課山口 裕司様

富士電機ITセンター株式会社
生産システム部
三重システム課
山口 裕司様

富士電機ITセンター株式会社生産システム部三重システム課岡 真人様

富士電機ITセンター株式会社
生産システム部
三重システム課
岡 真人様

富士電機株式会社

富士電機株式会社

本社所在地
東京都品川区大崎 1-11-2ゲートシティ大崎イーストタワー
三重工場
三重県四日市市富士町 1-27
設立
1923 年 8 月 29 日
資本金
47,586 百万円 (2015 年 3 月 31 日現在)
従業員数
連結 25,740 名 (2015 年 3 月 31 日現在)
URL
http://www.fujielectric.co.jp

創業以来、エネルギー技術の革新に取り組み、産業と社会のインフラ分野において幅広く貢献。電気、熱エネルギー技術の革新を追求し、エネルギーを効率的に利用できる高付加価値かつ環境にやさしい製品を創り出している。「発電・社会インフラ」「産業インフラ」「パワエレ機器」「電子デバイス」「食品流通」 の 5 つの事業分野を持ち、三重工場は食品流通事業の中核生産拠点として、最新鋭の生産ラインと熟練の生産者による世界トップレベルの品質を誇る。また、工場のスマート化により、生産における省エネルギー性を追求している。