シスコ ソリューション 導入事例
佐賀県
全職員が取り組む「新しい働き方」を支えるコミュニケーション基盤を刷新確かな成果が行政サービスの在り方を変える 佐賀県

佐賀県は、県庁の全職員を対象とした在宅勤務やサテライト勤務、モバイルワークなど多様な働き方を支えるテレワーク環境の整備を積極的に行い、ワークスタイル変革の実績と効果を着実に高めている。全国に先駆けて在宅勤務制度を設け、検討と改善を繰り返しながら取り組んできた同県は、2014 年からの全庁展開に合わせて ICT 環境を新たにし、コミュニケーション基盤を強化した。そこでは新たなツールとして Cisco Jabber と Cisco WebEx が採用されており、各々の業務や現場の状況に応じた活用を通じて、より大きな効果の実現に貢献している。

経緯
「佐賀県から起こすワークスタイル変革」の実現に向けて
制度改革、意識改革、そして ICT 環境の構築に取り組む

佐賀県は、育児や介護をしている職員を対象とした在宅勤務(テレワーク)制度を 2008 年(平成 20 年)に策定して以来、全国に先駆けてテレワークの実践に取り組んできた。少子化対策、パンデミック対策などを念頭に置きながら計画を整備し、職員の意見や現場の要望を取り入れながら改善と運用促進に努めている。当初は在宅勤務のみだったが、現在はサテライト オフィスやスマート デバイスを活用したモバイル ワークまで含む総合的な施策に進化。2014 年(平成 26 年)10 月からは県庁舎および県内の現地機関に勤務する約 4,000 人(嘱託、非常勤含む)を対象にしており、育児/介護支援にとどまらない業務全体の効率向上やワーク ライフ バランスの改善にも寄与している。

こうした取り組みを支える ICT 基盤として、リモート アクセス環境の整備、タブレット端末の導入、コミュニケーション ツールの展開も順次行われてきた。全庁展開を機に大幅な刷新がなされ、そこでシスコのユニファイド コミュニケーション ツールである Cisco Jabber、Web 会議システムの Cisco WebEx が採用されている。

最高情報統括監(CIO)の森本登志男氏は、同県の取り組みについて次のように話す。

「育児や介護をしている職員、特に女性職員の離職を減らし、間を空けることなくキャリアを積むことができる環境づくりは大きな課題でした。もう 1 つ課題としてあったのは、職員の勤務状況の改善です。県内の各地域を巡回するなど外出時間が圧倒的に長い職員が、毎日県庁まで戻ってこなければ報告書を作成できないといったケースが多々ありました。農作物や河川、苦情対応などの状況を速やかに共有することも難しく、迅速かつタイムリーな行政サービスの提供を阻んでいたのです。

テレワークの推進については、2010 年(平成 22 年)に策定した『新型インフルエンザ業務継続計画』を機に育児介護に限定していた条件をなくし、さらに 2013 年(平成 25 年)からは管理職に週 1 日は在宅勤務を励行するなど施策を講じてきました。並行して、2013 年 8 月から 『モバイルワーク推進実証事業』をスタートさせて、タブレット端末を試験的に配布して実証データを集め、その結果を基に 2014 年から全庁展開へ踏み切ったという流れになります。」

統括本部 情報・業務改革課 業務改革担当の陣内清氏は当時の状況を振り返りながら、次のように補足する。

「在宅勤務制度を始めた当初、利用者は 10 人程度でした。事前申請が必要、周りに経験者がいない、職場の雰囲気的に利用しづらいなど、ハードルが高かったと言えます。先に制度を設けたものの広がらず、我々も本気で取り組もうとしていなかったのではないかという反省がありました。

少子化対策を大きなきっかけに、県庁として全員がテレワークできる環境をつくろうと気持ちを新たに取り組み始めたのが 2013 年でした。できることはどんどんやっていこうと考えて、今も進めている『418(しあわせいっぱい)プロジェクト』もその 1 つです。テレワークの推進は、女性だけでなく、男性の育休を促進するうえでも重要と捉えています。」

プロセス
導入効果の検証を経て ICT 基盤の刷新へ
研修ではコミュニケーションの変化を誰もが実感

効果測定を目的に行われたモバイル ワーク推進実証事業では、100 台のタブレット端末の配布先を庁内各部署から公募したところ、2 倍近い 196 台の応募があったとのこと。森本氏は応募内容を精査し、こうしたツールの展開が遅くなりがちな部署にも適切に配布するよう努めたと話す。

「農業改良普及センターは良い例でした。現場の職員の平均年齢が低めで、スマート デバイスに慣れていることもあって、どう使えば効果的なのかをよくわかっていると感じました。各地の農家の皆様を訪れて作物の状況の写真を撮るなど、普段からそういう業務をしていると必要性の度合いも違ってきます。問題意識があれば、現場ならではの発想はいろいろ出てくるものです。」

この実証事業で明確な効果が確認できたことで、全庁展開に向けた ICT 基盤の整備にも弾みがついた。新たに導入された Cisco Jabber と Cisco WebEx は入札を経て選定されている。統括本部 情報・業務改革課 最先端電子県庁担当の松永祥和氏はインフラへの取り組みについて次のように話す。

「これまでも段階的に ICT 基盤の整備は求められてきましたが、10 人程度しか使わないものに対して、いきなり Cisco Jabber のようなものを導入するのは理解を得るのが難しく、クラウド型の会議システムなどでなるべくコストをかけずに対応していました。ただ、それまで使っていたツールは音質、通信品質とも安定せず、改善したいと思っていたので、今回のコミュニケーション ツールの選定では音声のクオリティを重視しました。音が聞こえてほしいときにきちんと聞こえる、クリアであることに加えて、これからモバイル ワークが活発になっていくなかで、さまざまな環境に対応できるツールであることも考慮しています。Cisco Jabber はインターフェイスがシンプルで、難しくないという点も評価しました。」

職員への研修では、実際に出張中の職員とつないでコミュニケーションするなど、実践的な手法が採られている。それまでのツールでは得られなかった驚きや新鮮さが非常に好評と陣内氏は話す。

「研修ではタブレット端末の電源の入れ方から始まり、ツールの使い方や応用まで取り上げています。Cisco Jabber のデモは、毎回とても盛り上がりますね。県外(海外)に赴いている職員に遠隔で話してもらうと、映像も音声もとてもクリアで臨場感がよく伝わります。インドに出張中の職員とやり取りしたこともありました。こういうデモを通じて多くの職員がコミュニケーションや自身の仕事の変わりようをぱっと実感できると、期待も大きくなります。このわくわく感がすぐ伝わるのは、とても大きなポイントです。」

効果〜今後
在宅、サテライト、モバイルの各シーンで活用が進む
仕事の密度が高まり、行政サービスの改善にも貢献

全庁展開ではタブレットの配布台数を 1,000 台まで増やし、すべての部署で活用できる状況とした。在宅勤務の利用状況も改善されており、遠距離通勤者の通勤時間縮減といった効果も確実に出ている。県庁の取り組みに刺激を受けて、テレワークを実践する県内の企業も増えているという。陣内氏は、職員の仕事の密度が大きく高まっていると話す。

「佐賀県は人口が少なく、同じ業務量に対して職員の数が少ないので、1 人でより多くの業務を受け持つ度合いが高いのです。在宅、サテライト、モバイルとさまざまな働き方が可能になり、ICT 基盤も刷新されたことで職員 1 人が 1 日に処理できる案件が増えているのは間違いありません。県庁を訪れる県民の方々をお待たせする時間も減り、そうした面でも効率的になった実感がありますね。」

モバイルワークの効果

モバイルワークの効果
※画像をクリックすると、大きな画面で表示されますpopup_icon

ビデオ会議を応用した取り組み

ビデオ会議を応用した取り組み

生産者などへの現地指導を行う際、専門指導員が現地に行かなくても現場の状況の把握や普及員への助言などができるため、効率の良い普及指導活動が可能になっている。

コミュニケーションの変化

コミュニケーションの変化

Web カメラ、イヤフォン マイクを全職員に配布。自宅や出張先など離れていても、資料を画面共有しながら円滑に打ち合わせができるようになり、移動時間やコストの軽減にも効果を発揮。出張時のモバイルワーカーへのバックオフィスからの支援も、円滑に行えるようになった。

県内 11 ヵ所、東京と大阪に 1 ヵ所ずつ設けられているサテライト オフィスの活用も進み、報告書の作成速度や直行直帰率の向上につながっている。また、ビデオ会議や音声通話によるスムーズなコミュニケーションで報告の頻度を高めるなど、時間を有効に活用しながら日々の業務を遂行している。テレワークの全庁展開に際して、コミュニケーションが保てるのか不安を感じる職員もいたが、Cisco Jabber や Cisco WebEx のデモを見せると皆安心したという。松永氏は、次のように話す。

「電波の状況には影響を受けますが、互いがつながっている状況ではタイムラグがほとんどありません。以前はやまびこのような状況が結構あり、こちらの発言から数秒ほどたってから相手に聞こえるといった感じで、とにかくテンポが悪かったので劇的な改善です。他社のツールと比べると音声のクオリティも非常に優れていて、使いやすいです。

今は県庁の職員だけで活用していますが、Cisco WebEx なら県民の皆様にも便利に使っていただけるのではないかと思います。県庁まで来なくても資料を見ながらお話しできるなど、求められる対応をよりスピーディにできるでしょう。県民と県庁がコミュニケーション ツールでいつでもつながるのは理想ですね。」

ビデオ会議を応用して、専門指導員が現地の担当者と遠隔で連携しながら農家など生産者への指導を適切に行ったり、苦情対応の現場状況の速やかな共有と迅速な報告が可能になったりするなど、行政サービスの質とスピードにも変化が起きている。ペーパーレス化も促進され、会議資料や予算資料はもとより、現場担当者が都度持ち歩いていた数キログラムにも及ぶ関連資料の準備と閲覧も容易になった。

定点カメラ(Web カメラ)と Cisco Jabber の連携、防災システムとの連動などもアイデアとして出ており、シスコにはそうしたソリューションの実現に向けた提案や、技術、品質、使い心地のさらなる向上を期待しているとのこと。また、現場の要請を拾い上げ、部署や業務別のアプリケーションを作成、配布するという構想も同県では持っており、実現に向けた検討を行っている。

森本氏も日々の業務で新たなツールの活用によるテレワーク、モバイル ワークの恩恵を実感していると話し、この流れをさらに発展させて行政サービスの向上につなげていきたいと考えている。

「移動中の車内でもビデオ会議ができ、常に県庁まで戻らなくても移動時間を有効に活用できます。県外へ出張していても無線 LAN が使える場所にいればオンラインで参加できるので、急に開催が決まった場合でも、会議をあきらめなくてよくなりました。

こうした単なる在宅勤務、サテライト勤務にとどまらない職員の業務改善は、コスト削減やワーク ライフ バランスの向上だけでなく、県民の皆様とのコミュニケーション向上、行政サービスの改善にも大きな効果を発揮します。ツールをうまく活かすことで、これまでの行政の仕事の仕方からスピードが上がり、自身の業務がスムーズになって、県民の皆様にも喜んでもらえるようになればと思います。そこに気付く人たちがこれからも増えていけば、さらに効果が上がっていくでしょう。」

418プロジェクト ホームページ画面

418プロジェクト ホームページ画面
http://www.pref.saga.lg.jp/sy-contents/418project/
※画像をクリックすると、大きな画面で表示されますpopup_icon



導入ソリューション

県庁の全職員が取り組むワークスタイル変革と、迅速かつ的確な行政サービスの提供を、新たなコミュニケーション ツールの導入によって効果的に支援

  • Cisco Jabber
  • Cisco WebEx

導入前の課題、検討事案

  • 県庁職員の在宅勤務(テレワーク)促進、モバイルワークの活性化に向けて、ICT 環境(コミュニケーション ツール)の整備を検討していた。
  • 遠隔でのコミュニケーションで、音声のクオリティとレスポンスを改善したいと考えていた。
  • 操作が難しくないツールが望ましいと考えていた。

導入効果

  • Cisco Jabber と Cisco WebEx の採用により、遠隔でもスムーズで高品質な音声と映像を用いたコミュニケーションが可能となり、職員のテレワーク、サテライト勤務、モバイルワークを強力に支援している。
  • ビデオ会議を応用した現場支援や状況共有など、行政サービスの質と量が大きく向上している。
  • 操作がわかりやすく、多くの職員が使いこなすツールとして評価されている。
佐賀県最高情報統括監(CIO)森本 登志男様

佐賀県
最高情報統括監(CIO)
森本 登志男様

佐賀県統括本部 情報・業務改革課業務改革担当係長陣内 清様

佐賀県
統括本部 情報・業務改革課
業務改革担当
係長
陣内 清様

佐賀県統括本部 情報・業務改革課最先端電子県庁担当係長松永 祥和様

佐賀県
統括本部 情報・業務改革課
最先端電子県庁担当
係長
松永 祥和様

佐賀県

佐賀県

人口
推計 830,065 人(平成 27 年 4 月 1 日現在)
世帯数
推計 303,848 世帯(平成 27 年 4 月 1 日現在)
面積
2,440.64 km2

九州北西部に位置し、玄界灘と有明海に面する。優れた農水産品に加え、唐津焼、有田焼、伊万里焼など陶磁器の生産地としても知られる。また、吉野ヶ里遺跡(国営吉野ヶ里歴史公園)をはじめとする数々の史跡や文化財、地域資源を有する。少子化対策に積極的に取り組んでおり、「418(しあわせいっぱい)プロジェクト」では、子育て環境の整備、出会いの場の支援や、不妊治療の助成拡充、男性育児支援など、「出会い・結婚・出産・子育て」というライフステージに合わせた支援を行っている。