シスコ ソリューション 導入事例
香川県立中央病院
ナースコールの IP 化がもたらす看護師の業務改善と患者の安全、満足度の向上その基盤を支えるシスコソリューション 香川県立中央病院

香川県立中央病院は、2014 年の新病院への移転を機に院内のネットワーク基盤を強化し、同時にナースコールシステムの IP 化によって日々の業務改善を実現している。入院患者の在院日数の短期化とナースコール回数の増加による業務負荷拡大という課題の解決に向けた同院の取り組みは多くの医療機関から注目を集めており、それを支えるネットワーク基盤と、ナースコールシステムと連携する IP 電話システムにシスコソリューションが採用されている。

経緯
看護師の業務改善を進めるための環境整備を検討
新病院への移転をきっかけに ICT 化を推進

香川県立中央病院は、建物の老朽化を解消するために新しい建物を建設し、2014 年 3 月から新病院での診療業務を開始している。香川県内で最大級の病床数(531 床)を備える基幹病院であり、病状が急速に変化する患者を対象とした急性期医療に特化していることが大きな特長
で、医療スタッフの増員、新しい医療機器の導入、チーム医療充実に向けた専門医療センターの新設も行っている。

一般病床における入院患者の在院日数の短期化※ とナースコール頻度の増加による看護師の業務負荷増大は、どの病院でも大きな課題となっており、同院も例外ではない。そこで新病院の建設と移転を契機に、同院はケアコムのナースコール システム(NICSS-R8)を導入。このシステムはナースコール機能と院内情報システムや各種センサー、無線 IP 端末、ベッドサイドに設置されるモニタなど各機器を連携させることが可能で、各種情報を一括管理し、ナースコール時には患者に関するより多くの情報を看護師へ伝えることができる。ここに連携する電話システムとして Cisco Unified Communications Manager を組み合わせている。同院では電話端末に無線 IP フォンの Cisco Unified Wireless IP Phone 7925G(以下 7925G)が採用され、無線 LAN 環境の整備、これら医療システムの基盤となるネットワーク環境の強化も図られた。

診療情報管理室の梶浦弘行氏は、今回の取り組みの経緯を次のように話す。

「従来の PHS を用いたナースコールでは、看護師が現場に到着してから、何が起きているのかがようやくわかるというケースが非常に多くありました。また、複数の端末がある場合、1 台目、2 台目、3 台目……と順番に着信していくため、たまたま最初に着信する端末を持っていた看護師に負荷が集中していたことも課題に挙げられます。ケアコムのナースコール システムはこれらの解決に有効で、端末へ通知できる情報量も PHS とは格段に違います。ちょうど病院を新築している時期だったこともあり、この機会を逃すと対応は難しくなると考えて、導入を決断しました。」

※平成 25 年(2013)医療施設(動態)調査・病院報告の概況より 2013 年度は平均 17.2 日、2012 年度は平均 17.5 日(2002 年度は平均 22.2 日)

プロセス
ネットワーク機器ベンダーとしてシスコを評価
有線 LAN、無線 LAN、IP フォンをトータルに採用

今回、同院では基盤となるネットワークの 10G 化、院内の利用状況を踏まえた無線 LAN 環境(IEEE 802.11a)の整備も行っている。ネットワーク部分には Cisco Catalyst スイッチ、無線 LAN アクセス ポイントには Cisco Aironet シリーズがそれぞれ採用された。これは、ネットワーク機器ベンダーとしてシスコに対する信頼性が非常に高かったこと、また将来的に院内の医療システムを発展させていく際にも、パフォーマンスや機器の拡張性などに優れており、投資の保護と抑制につながるという判断に因る。

無線 LAN の環境整備では、接続の安定性を保つためアンテナの増設などを行ったと業務課の六車弘美氏は話す。

「当院は基幹災害拠点病院として、災害にも強い病院を目指しています。電話の IP 化、無線化を図り、情報ツール、ナースコール端末として利用する際の接続性を保つため、開院当初からアンテナ自体の増設や調整を行っていきました。」

ナースコール システムの電話端末に 7925G を採用した理由を、梶浦氏は次のように話す。

「電話の IP 化、通知情報量の拡大ということでスマートフォンも検討しましたが、電話専用機ではなく動作保証に懸念があったこと、アクセス ポイント間のローミング対応に不安があったことは理由に挙げられます。また患者様が見たときに、看護師が私物のスマートフォンを使っているように見えてしまうのではないかという懸念もありました。業務中に手袋を付けて確実に操作できることも含め、諸々勘案した結果 7925G になったのです。」

効果
必要な情報の確実な伝達、共有で業務改善を実感
患者の安心感、満足度向上にも大きく寄与

実際の運用では、以前の PHS によるナースコール システムから利便性、効率性は大きく変わったとのこと。ケアコムのシステムの特長でもあるさまざまな機器との連携や情報の共有(一元化)によって、業務改善に非常に大きな効果が出ている。

看護部の西川美智代氏は、次のように話す。

「まず、ナースコールをしたのが誰なのか、患者様の名前が端末に表示されるのはメリットです。今までは病室に行ってから『コールしたのはどなたですか?』と確認していましたので、この時点で大きく違います。離床センサーと組み合わせている場合、画面に『離床』と出るので、何が理由でコールが発生したのかすぐにわかります。現場に向かうまでに、どのような対応が必要か判断することが容易になりました。」
これまでは病室に行ったものの、「呼んだ/呼んでいない」「看護師が頻繁に来る」「現場での状況把握が遅れ対応が後手になってしまう」などのトラブルが多かったが、新システムによってかなり解消されているという。看護部の豊島貴代氏も、状況判断がしやすくなっていると話す。

「高齢の方の入院も増えていますので、離床センサーと連動したナースコールはとても役立っています。センサーの設定も、起き上がり、離床、反応するまでの秒数など、患者様の状態に合わせて細かく設定できるので、事前の把握と判断ができるようになりました。以前に比べて、転倒や転落といった安全面でも、リスクが減ってきていると思います。」
電話端末に着信履歴が残ることで、医師や担当者との相互のコミュニケーションも確実性が大きく向上している。病棟の固定電話でやり取りし、伝言や取次が多かったかつての状況から目覚ましい改善だと豊島氏は話す。

「今は 8 台の端末があります。以前はチームに 1 〜 2 台で、リーダーしか持てませんでした。看護師はペア体制で日々の業務を行っていますが、今はペアのどちらかが端末を持てるので、要件のあるスタッフに迅速に連絡できるようになりました。」

ナースコール システムの導入で、患者の氏名や注意事項など必要な情報を一括して扱えるようになり、関連業務の効率も改善されたと西川氏は話す。1 つの例として、患者の入退院時や病室移動時のラベル作成を挙げている。

「入院された患者様のベッドサイドに付ける氏名や注意事項のラベル作成が不要になりました。カルテで入院登録を行い、病室とベッドの情報を入力すると、自動的にナースコール システムと連動してベッドサイドのモニタに患者様の名前が表示されます。

システム構成

※画像をクリックすると、大きな画面で表示されますpopup_icon

このラベル作成は非常に手間がかかっていて、看護師やアシスタントの業務時間が年間 260 時間を超えてしまうこともあったので、これがなくなったのは非常に大きな業務改善です。文字の間違いなどもなくなり、患者様とのトラブルも減りました。

また、看護師だけでなく、医師や作業療法士、栄養士、薬剤師などチームで働く人全員に、患者様の注意事項など安全を守るために必要な情報を確実に共有できるようになりました。患者様にも、皆が自分のことを気にかけてくれている、尊重してくれているとわかっていただけるので、安心感や満足度という点でも大事なことだと思います。」

今後
IP 電話システムのさらなる活用提案に期待
医療分野における積極的な提案を

日々の運用のなかで電話端末については PHS と比較してまだ改善要望があると、梶浦氏、六車氏とも感じており、ローカライズ、価格、運用サポートなどシスコには引き続き対応、改善してほしいと話す。また、梶浦氏は、ナースコール システムとの連携に限らず、医療分野における無線 IP フォンの活用などいろいろな提案をシスコにはぜひ積極的に行ってほしいと考えている。今回導入した無線 LAN 環境を業務改善に活用するアイデアもあるとのこと。

「各地から当院へ見学に来られる方は増えており、ナースコール システムも注目されています。PHS が端末であったならシステムとしての能力は半減してしまうので、電話のデジタル化(IP 化)は欠かせないと思っていますが、まだそこまで意識されていないのも確かです。IP 化した電話システムをもっと活用できてメリットを感じられるような方策を、シスコには提案してほしいと思います。

無線 LAN 環境については、院内で利用いただける車いすやストレッチャーなどの機器に無線タグを付けて、利用後の位置を容易に把握できるようにするといった活用も考えています。時々、利用後に所定の場所に戻らず、探し回ることがあるので、こうした取り組みも業務負荷の削減につながっていくでしょう。」



導入ソリューション

ネットワーク基盤の強化とナースコールシステムの IP 化、院内 ICT システムの連携による医療業務改善

  • ケアコムナースコールシステム(NICSS-R8)
  • Cisco Unified  Communications Manager
  • Cisco Unified  Wireless IP Phone 7925G
  • Cisco Catalyst シリーズスイッチ
  • Cisco Aironet シリーズ 無線 LAN アクセスポイント

導入前の課題、検討事案

  • 頻繁な患者の入退院、増加するナースコールへの対応など、看護師の業務にかかる負荷が大きく、改善の必要性を強く感じていた。
  • PHS によるナースコールシステムでは課題解決は困難と捉え、システム化(IP 化)による解決を検討した。
  • 一連の環境整備を、病院の移転を機に行いたいと考えていた。

導入効果

  • ナースコールシステムの IP 化により、患者に関するより多くの情報を伝えることが可能になり、現場業務の改善が促進された。
香川県立中央病院診療情報管理室梶浦 弘行様

香川県立中央病院
診療情報管理室
梶浦 弘行様

香川県立中央病院業務課六車 弘美様

香川県立中央病院
業務課
六車 弘美様

香川県立中央病院看護部西川 美智代様

香川県立中央病院
看護部
西川 美智代様

香川県立中央病院看護部豊島 貴代様

香川県立中央病院
看護部
豊島 貴代様

香川県立中央病院

香川県立中央病院

所在地
香川県高松市朝日町 1-2-1
設立
1945 年(昭和 20 年)10 月
病床数
531 床(一般 526 床、結核 5 床)
※平成 26 年 3 月 1 日現在
診療科目
32 科目
職員数
医師 149 人
看護師 605 人
医療技術職員 160 人
事務その他職員 232 人
URL
http://www.chp-kagawa.jp/

県の基幹病院として、急速に病態が変化する患者を対象にした急性期医療に機能特化していることが特徴。高度医療を必要とする患者を医療機関から紹介を受け、治療するとともに、複数診療科にわたる特に高度な処置が必要な重篤患者への三次救急医療に重点化している。また、基幹災害拠点病院としての機能も持ち、災害時医療やへき地医療も行う。新病院への移転を機に医療スタッフの増員、新しい医療機器の導入、チーム医療充実のための専門医療センターの新設を行っており、引き続き「最適・最善・最新の医療」を提供し、県民と共に歩む県立病院を目指している。