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ギガビットネットワークと
IP Phoneがビジネスシーンを変えていく
[目次]
- ◆ [ネットワークの再構築によって事業の効率化を推進]
- ◆ [e-Labを中心としたネットワーク統合によりセキュリティを強化]
- ◆ [複数のキャリアを利用して安全性を確保]
豊田自動織機は、ネットワーク時代における新たな事業領域の創出や製品の付加価値向上にITを積極的に活用するため「情報技術研究所e-Lab」を建設した。各工場や国内外の事務所とe-Labが高速ネットワークで結ばれたことにより、経営のスピードアップと生産性の向上、グローバルな競争力の強化が期待されている。豊田自動織機にネットワークの構成とその運用についてお話を伺った。
| ネットワークの再構築によって事業の効率化を推進 |
豊田自動織機は繊維機械分野や自動車、エンジン、コンプレッサーなどの自動車関連分野、産業車両・物流システム機器、これらを支えるエレクトロニクス分野および鋳造分野で活発な事業展開を行っている。本社は愛知県刈谷市にあり、工場も近隣地域に点在している。
その豊田自動織機グループのIT戦略を実現する基幹基地という位置付けで設立されたのがe-Labだ。ネットワークの集中管理と業務のデジタル化を推進しているe-Labの目的は大きく3つに分けられる。ひとつは経営のスピードアップであり、そのために業務改革をしながらERPの導入を開始している。2002年4月には経理や調達などの新しい仕組みも立ち上がった。2つ目は設計データの3D化であり、3つ目がそれらの重要なアプリケーションを支えるインフラの整備である。そして、シスコはそのインフラ整備に関し、さまざまな形で関わってきた。
豊田自動織機のこれまでのネットワークは各工場で個別にLANを敷設し、工場間をそれぞれ接続するという形で、集中管理がなされていない状況だった。また、通信速度は10Mbpsのため、新しい時代のビジネスには明らかにスペックが不足していた。
「2000年の秋に、ITを活用した開発期間短縮や品質向上、コスト低減を図るためには3次元デジタルデータによるものづくりが重要であり、強力に進めていこうということになったのです。そのためには大容量のネットワークが必要です。そこで、本社や工場内でのネットワークのギガビット化を実施し、工場間についてもギガビットまで高速化を推進しました」とグローバルIT部インフラソリューショングループ・グループリーダーの村瀬文一氏は語る。
グローバルIT部
インフラソリューション
グループ グループリーダー
村瀬文一氏
もともとネットワークの基幹部分は本社に集約されていたが、e-Labは本社から1.5km離れている。そこでe-Labと本社間をギガビット化するため、ダークファイバーによる接続が検討された。この際、地元のCATV会社であるキャッチネットワークからe-Labの開設に合わせてダークファイバーによるサービスを提供してもらうことができ、本社とe-Lab間を冗長化で2系統と、隣接する教育研修センターとe-Lab、東浦工場とe-Lab間にギガ接続が実現した。既存のそれ以外の拠点には、これまで通りATM専用線を使用している。豊田自動織機ではダークファイバーの今後の費用対効果を見ながら、両者をうまく使い分けていく予定だという。
各工場や国内外の事務所とe-Labが高速ネットワークで結ばれたことにより、経営のスピードアップと生産性の向上、グローバルな競争力の強化が期待される
| e-Labを中心としたネットワーク統合によりセキュリティを強化 |
豊田自動織機はネットワークの核であるe-Lab構築の他に、サーバの統合、パソコンの整備、会議室のインフラ整備も行った。工場内のネットワークの再構築、工場間の増速、冗長化、インターネットのセキュリティ向上にも積極的に取り組んできた。
「各工場ではWindowsのファイルサーバが部門に何台もあったり、工場によってあったりなかったりとバラバラの状態でした。現在は各工場にサーバを一台設置し、工場内の情報はそこに置いて情報共有・TCO削減・セキュリティ向上を推進しています。これまでは人が異動したら、その都度新しい場所のサーバに移し替えていましたが、電子メールのサーバをe-Lab内に集約したことでそうした手間がなくなり、セキュリティレベルの確保も容易になりました」と村瀬氏はサーバの一元化のメリットを語っている。
サーバの共有フォルダ内に課やグループ、プロジェクト単位でアクセス制限をかけたフォルダを用意し、アクセス権のある社員だけがフォルダにアクセスできるようにしたことで、社員はどこの工場や事務所からでも自分がアクセス権を持つフォルダにアクセスし、資料をその場で取り出して会議や仕事に臨むことが可能となった。それにより、業務の効率化が大いに図られたという。
現在サーバは各工場に一台ずつ設置されているが、いずれはe-Labに統一する。同時にこれまで各工場や拠点で蓄積されたデータも1ヵ所にまとめる予定だ。そうすることで国内外のどこからでも素早くデータの閲覧ができ、距離や時間にとらわれない新しいビジネスモデルの実現を目指している。
新しいネットワークシステムの構築とERPの導入にともない、認証を得た取引先であればインターネット経由でe-Labのサーバにアクセスし、発注情報を見ることができるようにもした。当然、外部からサーバにアクセスしてくるため、ファイアウォールの二重化やサーバロードバランサーを組み合わせ万全の備えを行っている。 IP Phoneの導入にも豊田自動織機は積極的だ。浜松町事務所にシスコのIP Phoneを先行して導入し、今回のe-Lab設立時には建物内の全てのフロアにIP Phoneを導入した。このように段階的にIP Phoneを導入することにより、既存のPBXとの併用や番号計画の策定、移行方法など、今後の展開のためのノウハウが大いに蓄積できたという。
各工場にはテレビ会議システムが設置され、海外の拠点との打ち合わせなどに利用されている。またIP/TVによるマルチキャスト配信を実現し、社長の訓話などのリアルタイム放送に活用している。
e-Labでは全てのフロアにCisco IP Phoneが導入されている
| 複数のキャリアを利用して安全性を確保 |
ネットワークの構成は、本社とe-Lab、各工場をCatalyst6500を中心としたギガバックボーンインフラとし、すべてに冗長化構成を採用している。そして複数の通信キャリア会社を採用することにより、e-Labと工場を結ぶ回線やキャリア局が万一ダウンしても迂回できるような構成をとっている。e-Labと海外の拠点は国際IP/VPNによって接続され、国内外の情報やデータはすべてe-Labを経由することとなる。
ネットワークの機器はすべてシスコ製品を使用している。従来の海外生産拠点やトヨタ自動車からのL&F(ロジスティクス&フォークリフト)事業の営業譲渡によって接続する拠点が増えたこと、IP-VPNで効率よく接続を行う必要性が高まったことなどを受け、ネットワークをグローバルでスタンダードなものにしていく必要があった。そこで、シスコ製品が採用されることになったのだ。またe-Labには世界中からデータが集約されるため、24時間365日安定した状態で稼動していなければならない。当然、ネットワークを支える機器には高い信頼性が求められる。シスコ製品の信頼性の高さ――、それも採用の大きな要素となったという。
世界中からデータが集約されるe-Lab内の機器には、信頼性、安全性を考慮した結果、シスコの機器が採用された
今回のネットワーク再構築にあたり、豊田自動織機のインフラソリューショングループとシスコはディスカッションを重ね、まずひとつのパターンを作りあげた。そのパターンに沿って各工場のシステムを構築していくことで、構築期間の短縮と費用の低減、均一のサービス提供を実現していった。
「構想段階から参加してくれたのがシスコでした。その後の概要設計や採用技術においても適確なアドバイスを直接もらうことができました。グローバルスタンダードという意味でも、海外拠点の標準化を考えるとシスコがベストの選択でした。LANやWANの再構築はスピーディに行われなければならないので、機種もあまり多くせず、絞った形でシステムを構築しています。これで保守性も上げることができますし、再度ネットワークを構築するときにもシステムの変更を容易に行うことができるはずです」と村瀬氏は語っている。
e-Labにネットワーク機器を移設するときは、かなりタイトなスケジュールだった。既存環境の移設とe-Labの内部のシステム構築、そしてIP Phoneの導入を同時にやらなければならなかった。幸い取引企業にシスコ製品を扱うベンダーが何社かあったため、複数のベンダーに入ってもらい、それぞれが強いパートを担当するという方式をとった。そして、シスコは各ベンダーと協力体制を作り、バックアップを行った。
「絶対に失敗できない移転作業ですから、シスコについていてもらえたのは本当に心強かった」と村瀬氏は言う。
ネットワークの再構築による高速化と安定性の確保によって、業務全般のスピードアップがなされ、企業競争力の向上や国際化の進展が可能になったといえよう。そして、そのネットワークはシスコの製品とテクノロジーが支えているのである。
株式会社豊田自動織機 1926年創立。創業以来「時流に先んずる研究と新たな価値の創造」を基本理念に掲げ、新しい分野へ積極的にチャレンジして事業領域を拡大。繊維機械分野や自動車、エンジン、コンプレッサーなどの自動車関連分野、産業車両・物流システム機器、さらにこれらを支えるエレクトロニクス分野および鋳造分野で活発な事業を展開する。今回、ネットワーク時代における新たな事業領域の創出や製品の付加価値向上にITを積極的に活用するため「情報技術研究所e-Lab」を建設した。 〒448-8671 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
http://www.toyota-shokki.co.jp
更新日:2002年9月2日
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