Navbar-jp
Case study
ユーザー事例
Toolbar-jp

ユーザー事例

鹿児島県知覧町
Aironetが構築する新しい地域ネットワーク


[目次]
[町民向けサービスを充実させるためのネットワーク]
[無線LANならではのコストパフォーマンスを重視]
[実証されたAironetの性能と信頼性の高さ]
[教育や新しいコンテンツへの活用で地域活性化を実現]
[知覧町がシスコとともに構築する地域ネットワークの未来]
[双方向行政情報サービスの推進(知覧町長 霜出勘平氏)]

 地方の市区町村のインフラ整備は、都市部に比べてどうしても遅れがちになる。通信に関していえば、都市部ではフレッツADSLやフレッツISDNといった常時接続サービスは当たり前になっているが、地方では未だに常時接続サービスが整備されていないところの方が多い。しかし、通信網の整備が遅れるということは、都市部との情報格差が大きくなることを意味する。そこで、自治体自らがネットワーク網を整備する例が増えている。今回は、鹿児島県知覧町が整備した無線LANシステムについて、システムの実態と活用について報告する。

町民向けサービスを充実させるためのネットワーク
 薩摩半島の南端中央部に位置し、観光とお茶で名高い知覧町も、町としてネットワーク網の整備を行った自治体のひとつだ。自治体のネットワーク網は、高速ネットワークを整備しての企業誘致による町おこしか、自治体内のイントラネットとして使用されることが多い。知覧町のネットワークも町役場と支所や公民館、学校などを結ぶ公的なネットワークである。しかし、その目的は、役場の仕事の効率化や情報網の整備というよりも、まず町民に対する行政サービスの充実やインターネット環境そのものを公民館などで体験してもらい、町民にインターネットの素晴らしさを分かってもらうことを第一として導入しているのである。
 もともと知覧町がインターネットを使って行っているサービスとしては、1997年にスタートした観光客向けの町紹介のホームページがあった。これは、観光客が年間100万人近く訪れる知覧町にとって、外部に向けての情報発信という意味で非常に大きな役割を果たしていた。しかし、ネットワークの整備が進んだ現在は、町民に向けた情報提供やサービスの拡充を強化することに主眼が置かれている。知覧町役場企画課の田中祥弘係長は、知覧町のインターネット環境についてこう語っている。

知覧町役場企画課田中祥弘氏
       
知覧町役場企画課
田中祥弘氏
「既存の電話回線を使ったネットワークの高速化を待っていても、いつ整備されるか分かりません。知覧町を“情報の僻地”にしたくないという考えから、新しい地域ネットワークを構築することにしたのです。今回のネットワーク整備をきっかけに、町内に住んでいる人に向けた情報提供もやらないと、本当の地域情報化にならないのではないかということで新しいサービスを始めました。役場の情報公開も含め、ホームページを使って地域の人に向けた情報を提供しようということで作ったのが、『どこでも窓口』です。これは、インターネットにつなぐ環境があれば、どこでも役場の窓口になるという意味合いがあります。今後は他のコンテンツも充実させていきたいと考えています。コンテンツも作って送りっぱなしにせず、常に最新の情報に更新されていなければいけないと思います。また、施設予約や申請書の提出に関しても電子化を進めています」
 
施設予約は、公民館やスポーツ施設の予約受付などで、インターネットに接続できる環境があれば、いつでも誰でも、空き状況を見ながら予約が可能となっている。また各種申請は、電子化することで申請に必要な添付書類や記入項目をあらかじめ知ることができ、利用時の煩雑さを軽減することができる。IT講習会や積極的な広報活動により、町民のITに関する関心は次第に高まりつつあるという。

return to top
無線LANならではのコストパフォーマンスを重視
 知覧町のネットワークは、すべて無線LANで構築された。そのネットワークの構築に採用されたのがシスコのAironetだ。知覧町では当初、民間の通信網を使い、役場と支所を128kbpsで結んでいた。しかし、ブロードバンド時代に対応させるため、通信速度を上げ新たなネットワークの構築が急務となった。民間の通信網を使用する場合、回線数や通信速度を上げれば、その分どうしてもコストが増加する。そのため、町として予算を計上し、その額に合致する独自の地域ネットワークを構築することにしたのである。しかし、自営の通信網を町内に行き渡らすとなると、これも敷設費が膨大な額となる。
 一般に、役所などの公的な機関のネットワークは、高速ネットワークを構築しやすい有線の光通信を利用する場合が多い。しかし、知覧町は町自体が縦長で、総延長が20km近くあり、敷設するケーブルや機器などで億単位の金額になってしまう。そこで、最近実用レベルの上がった無線LANの導入を検討した。隣接する指宿市でも無線LANを導入しているが、指宿市ではシスコ製品だけではなく、他メーカーの機器と混合で使用している。しかし、知覧町ではすべてをシスコ製品で統一した。この理由について田中氏はこう語る。
「どうしても11MB欲しかったというのが理由の1つです。11MBで使え、なおかつ暗号化ができる製品で安定しているものということで選定していったら、Aironetになったというわけです。以前は128kbpsの専用線で結んでいたのが、一気に11MBまでいったので、役場以外の場所でのパフォーマンスがかなり上がりました。インターネットだけではなく、役場の出先では住民情報や財務情報などが検索できるようになっています。それらが一緒になって情報として飛んでいますので、暗号化の技術が必要でした。また、管理自体もWebを介して可能となっています。Aironetはそういうところも非常によいですね」

知無線LAN
知覧町 知無線LANは知覧町役場をベースとし、3つの中継所を介して、20km近いネットワークを構築。ネットワークの構築にはシスコのAironetが採用されている

return to top
実証されたAironetの性能と信頼性の高さ
 無線LANは知覧町役場をベースとし、3つの中継所を介して、20km近いネットワークを構築している。縦に長く、海に向かってなだらかに標高が下がっていく地形が幸いし、電波管理法で定められた無線の最大到達距離をクリアでき、最小限の中継局数で済んでいるのである。

高塚中継所
3つの中継所の1つである高塚中継所。
高塚中継所では6台のAironetが稼働している
Aironet
Aironet

 正式な運用開始は2001年10月となっているが、実際には8月に無線LANに切り替え試験を行いながら運用していった。システムに導入した46台のAironetを運用してみてのトラブルは皆無で、シスコの信頼性の高さに満足していると田中氏は語る。
「中継所に入るシステムは信頼性が高くなければいけません。1回だけ雷が落ちたようですが、避雷針を設置していたのと水際でブレーカーが落ちたことでまったく問題なく、すぐにパワーオンで復旧しました。役場のネットワークですので、1分間止まったらいくらの損害が出るという性格のものではありません。しかし、学校の授業中に止まってしまったり、住民の方が役場に住民票を取りにきているのに、住民票が出なかったりというトラブルは困ります。いまのところまったくそういうトラブルはなく、Aironetの信頼性の高さを改めて感じています」
 現在、全部で300台近くのクライアントが、このネットワーク上にぶら下がっている。小さなトラブルが致命傷になりかねず、やはり信頼性こそが機器選びの最大のポイントとなったのである。また、無線LANの大きなメリットにランニングコストの低さがあるが、これも十分満足にいくものとなっていると田中氏は言う。

知覧町役場
知覧町役場。地域ネットワークは知覧町役場をベースに構築されている

return to top
教育や新しいコンテンツへの活用で地域活性化を実現
 こうしてネットワークは完成したわけだが、今後の運用について、自治体としてネットワークをどう活用していくのだろうか。
「ネットワークは学校も結ばれていますので、学校間での活用も考えています。今までは、学校がそれぞれ独自にインターネットに接続している環境でした。ですから、Aの学校とBの学校で同じ時間に接続して、同じことをやろうとするとかなり難しい状況になっていました。しかし、今は同じネットワーク内ですから、インターネットを使わなくてもダイレクトにつながります。今後は電子会議をやったり、学校同士でメールのやりとりをしたりということができるはずです。2002年度からは土曜日が休みになりますから、学校のパソコン室を開放してもらい、それを親子で利用してさまざまなところとやりとりするというのもいいですね。また、住民の方がインターネットを体験するということにも使われていくと思います。 それをやるには道がないといけませんので、その道となるネットワークを無線LANで組めたのは非常によかったと思います」
 学校での授業に関しては、多くの自治体が将来的にネットワークを利用し、学校の垣根を超えた交換授業や、中学校の授業を小学生が受けられるといったような体験授業など、さまざまな取り組みを模索している。当然知覧町でも、そうした教育への新しい取り組みにネットワークを活用したい意向だ。
 また、近い将来訪れるであろう選挙の電子化に対しても、早い段階で対応できるようになっている。知覧町には投票所が17ヵ所あるが、すでに7つの公民館はネットワークで役場と結ばれている。残りの10ヵ所が無線でつながれば、選挙の投票結果はオンラインで役場と結ばれることとなる。今までは電話で各投票所とやりとりしていたが、オンラインで一気に集計し、選挙速報を出すことができるようになるのだ。むろん、投票そのものが電子化される時が来ても、ネットワークが構築されているので、その時の対応は非常に簡単なものとなる。

打越中継所 ネットワークのベースとなっている
知覧町役場にほど近い打越中継所

return to top
知覧町がシスコとともに構築する地域ネットワークの未来
 民間のインターネットサービスがこのネットワークに乗る可能性があるのかを伺ったところ、セキュリティの問題で難しいとのことであった。確かに役場の台帳や帳簿がオンライン上にある以上、民間との共用というわけにはいかない。しかし、知覧町では住民や他地域の人に対するサービスとして、デジタルミュージアム構想を考えているという。
「国が提唱している構想でもあるのですが、ミュージアムの展示物をデジタル化してインターネットに乗せようというものです。映像、画像、音など、すべてをインターネット上で公開していくことになります。町内の民間のインターネット環境は、早くて128kbpsしかないわけですが、学校や公民館といった無線LAN上の端末ならば11MBでアクセスすることができます。これはかなり高速で、大きなデータベース、重いコンテンツでもストレスを感じずに見ることができます。もっとも、デジタルミュージアムを活用してもらうためには、まず町民の方々にインターネットを知ってもらわなければなりません。そのため、公民館などで初心者向けの講習も行っています。講習会向けのPCを20台用意し、講習会のない時はすべて開放して、朝8時半から夜10時まで無料で使えるようにしています」
 知覧町は町長をはじめ、役場が一体となってITの推進に力を注いでいる。Aironetによって実現した地域ネットワーク、そして始まったばかりの「どこでも窓口」や質問箱の設置、教育の現場への導入やPCの町民への開放によって、知覧町は“情報の僻地”どころか、他の都市に比べてもかなり充実したネットワークを持つこととなったのである。
 知覧町の地域ネットワークの将来について、田中氏はこう語る。
「我々のシステムは、この状態で少なくとも5、6年は使うことになります。もっとも5、6年たった時に通信事情がどうなっているかは、技術の進歩の早さが加速しているためにまったく見えない状況です。この数年を見ても通信事情は大きく変わっていますし、料金体系もどんどん安くなっています。しかし、知覧町としてはこれだけの環境を整えたので、当面は十分に対応していけるだろうと考えています。この無線LANと同じスペックのネットワークを光通信などで実現しようとしたら、それこそ膨大な投資が必要になってしまいます。将来の回線数の増加や通信速度アップに関しては、すでに設備そのものの基盤はできたので機器の入れ替えで可能です。無線LANによる地域ネットワークを導入した我々の判断は間違っていなかったと確信しています」

return to top
双方向行政情報サービスの推進」(知覧町長 霜出勘平氏)
知覧町長 霜出勘平氏
知覧町長 霜出勘平氏
 知覧町は、お茶と武家屋敷、また特攻基地のあった町として昨年上映された映画『ホタル』のロケ地にもなりました。今回の「どこでも窓口」の開設では、無線LANを導入し、高速で信頼性の高いネットワークを構築することができました。
 知覧町のホームページでは観光案内やスピーチコンテストの作品などを掲載し、町外へ向けた情報の発信をしてきました。今後は、無線LANを使った高速ネットワークを活用し、地域に密着した情報の発信と収集ができる双方向の行政情報サービスを充実させ、「知覧に生まれてよかった。この町に暮らしてよかった。また訪れてみたい町」と言えるような町づくりを進めています。

return to top



鹿児島県知覧町
薩摩半島の南部中央に位置する知覧町は、東西約9.4km、南北約22.3km、総面積120.19平方km、鹿児島市から約36kmの距離にある。町の北寄りを流れる麓川沿いに中心街があり、情緒あふれる町並みは薩摩の小京都とも呼ばれる。「くらしといのちが輝く新しい時代の創造」という基本理念に基づき、町づくりを進めている。その一環として、地域の情報化を目指し、地域ネットワークを構築。2001年10月から運用を開始した。

知覧町役場 鹿児島県川辺郡知覧町郡6204番地 
TEL:0993-83-2511 FAX:0993-83-4658

http://www.town.chiran.kagoshima.jp/


return to top 更新日:2002年2月8日
Toolbar-jp

All contents copyright (C) 1992--2003 Cisco Systems K.K.