Cisco Catalyst 6500 シリーズ

Virtual Switching System

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Q&A





Virtual Switching System


Q:Virtual Switching System(VSS)とは何ですか。
A:VSS は、複数の Cisco® Catalyst® 6500 シリーズ スイッチを 1 つの仮想スイッチにクラスタ化する、ネットワーク システム仮想化テクノロジーです。これにより運用効率の改善、無停止ネットワークの実現、システム帯域幅の拡張(最大 1.4 Tbps)が可能になります。初期リリースでは、VSS を使用して物理的な 2 つの Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを、Virtual Switching System 1440(VSS1440)と呼ばれる 1 つの論理仮想スイッチとして運用できます(図 1 参照)。

図 1 Virtual Switching System 1440 と従来のネットワーク構成の比較

図 1 Virtual Switching System 1440 と従来型ネットワーク構成の比較


Q:VSS1440 とは何ですか。
A:VSS1440 とは、Virtual Switching Supervisor 720-10GE を搭載した 2 つの Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチで構成される仮想スイッチング システムのことです。VSS 内部では、各シャーシ内にある 720 Gbps のスーパーバイザ エンジンのデータ プレーンとスイッチ ファブリックが両シャーシで同時にアクティブとなるため、1 つの VSS で最大 1440 Gbps のアクティブなスイッチング容量を提供します。コントロール プレーンは 1 つの仮想スイッチ メンバーでのみアクティブになります。シャーシ間の Stateful Switchover(SSO)メカニズムと Nonstop Forwarding(NSF)によって両方のシャーシの同期を保つことにより、メンバーのいずれかのスーパーバイザ エンジンまたはシャーシに障害が発生した場合でも、無停止でネットワークの継続運用が可能です。

Q:VSS の利点は何ですか。
A:従来のレイヤ2/レイヤ3 ネットワーク構成と比較して、VSS にはいくつかの優れた利点があります。これらの利点は主に 4 つのカテゴリに分類できます。

1. ネットワークを簡素化し、スイッチ管理にかかるオーバーヘッドを少なくとも 50% 削減することにより運用効率を改善

  • Cisco Catalyst 6500 仮想スイッチ構成では、従来の冗長構成とは異なり、管理ポイント、IP アドレス、およびルーティング インスタンスがすべて 1 つになります。
    • 管理するコンフィギュレーション ファイルとノードが単一であるため、冗長スイッチに同一のポリシーを 2 回設定する必要がない
    • 現在 VLAN ごとに 3 つの IP アドレスが使用されているのに対し、VSS では VLAN ごとに 1 つのゲートウェイ IP アドレスのみ必要
    • Hot Standby Router Protocol(HSRP)、Virtual Router Redundancy Protocol(VRRP)、およびGateway Load Balancing Protocol(GLBP)が不要
    • CiscoWorks LAN Management System(LMS)3.0 を使用して、Cisco Catalyst 6500 仮想スイッチを単一エンティティとして集中管理することが可能
  • Multichassis EtherChannel®(MEC)は、シンプルでループのないトポロジを作成するレイヤ 2 のマルチパス テクノロジーであり、これによってスパニング ツリー プロトコルを使用する必要がなくなります。ユーザによるあらゆる誤設定から厳密に保護するためにスパニング ツリー プロトコルを有効にすることも可能です。
  • 柔軟な展開オプション。基盤となる物理スイッチを同一の場所に設置する必要がありません。2 つの物理スイッチは標準規格の 10 ギガビット イーサネット インターフェイスで接続されるため、選択した 10 ギガビット イーサネット光ファイバの制限距離内であればスイッチ同士がどれだけ離れていてもかまいません。たとえば、X2-10GB-ER による 10 ギガビット イーサネット光ファイバを使用する場合は、スイッチ同士を最大 40 km 離れた場所に設置できます。

2. 無停止ネットワークを提供

  • シャーシ間のステート情報同期により、ネットワークのステート情報に依存するアプリケーション(フォワーディング テーブル情報、NetFlow、NAT、認証、許可など)が中断されません。仮想スイッチ メンバーに障害が発生した場合、VSS では L2/L3 プロトコルでの再コンバージェンスが不要なため、安定した高速なスイッチ リカバリが行われます。
  • EtherChannel(802.3ad または Port Aggregation Protocol[PAgP])を利用して安定した高速のレイヤ 2 リンク リカバリが実行されるため、リンク リカバリにスパニング ツリー プロトコルを使用する必要がなくなります。

3. システムの帯域幅容量を 1.4 Tbps まで拡張可能

  • 均等な自動ロード シェアリングによって、Cisco Catalyst 6500 シリーズの冗長スイッチ間で利用可能なレイヤ 2 帯域幅がすべてアクティブになります。PVST を使用したスパニング ツリー プロトコル構成の場合、VLAN ベースのロード バランシングを行いますが、仮想スイッチング システムでは、L2/L3/L4 パラメータなどの情報に基づいたステート情報の管理により、物理ケーブル間での最適なリンク ロード シェアリングが実現されます。
  • 標準規格のリンク アグリゲーション プロトコルを使用することで、データセンターの冗長スイッチにサーバ Network Interface Card(NIC; ネットワーク インターフェイス カード)を直接接続できます。これにより、サーバ帯域幅のスループットは最大化され、NIC ベンダー独自のメカニズムに頼ることなく、データセンター内の標準規格コンポーネントとして NIC の冗長化を進めることができます。
  • Cisco Catalyst 6500 仮想スイッチに装備されているすべての 10 ギガビット イーサネット ポートの利用率を最大化します。
  • 次の方法により、帯域幅を有効に利用します。
    • 従来型キャンパス設計での非同期ルーティングから生じるユニキャスト フラッディングの防止
    • MEC の最適化機能を利用した、キャンパス内トラフィックのホップ数の最適化

4. 既存のマルチレイヤ スイッチング アーキテクチャを利用

  • VSS は、3 階層アーキテクチャ デザインを根本的に変更するのではなく、論理的な冗長化デザインを簡素化することによって、既存のマルチレイヤ スイッチング アーキテクチャの信頼性を強化します。これにより、新技術の導入にかかる負荷が軽減します。
  • 既存の Cisco Catalyst 6500 への投資を利用するため、VSS の導入が容易です。VSS は、E シリーズ および E シリーズ以外の Catalyst 6500 スイッチのシャーシをサポートし、Cisco Catalyst 6500 シリーズおよび 6700 シリーズのモジュールすべてをサポートします。
  • VSS は、Cisco Catalyst 6500 仮想スイッチ メンバー間で標準規格の 10 ギガビット イーサネット接続を使用するため、距離を柔軟に選択することが可能です。基盤となる物理スイッチを同一の場所に設置する必要はありません。
Q:VSS はどのようなエリアへの導入に適していますか。
A:VSS は、次のようなネットワーク エリアへの導入を想定しています(図 2)。
  • キャンパスまたはデータセンターのコア/ディストリビューション レイヤ
  • データセンター アクセス(サーバ接続)
図 2 VSS を使用して簡素化されたハイ アベイラビリティなネットワーク構成

図 2 VSS を使用して簡素化されたハイ アベイラビリティなネットワーク構成
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Q:VSS を構成するものは何ですか。
A:VSS の構成要素は次のとおりです。
  • 仮想スイッチ メンバー:Virtual Switching Supervisor 720 を搭載した Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチ(初期リリースでは 2 つまで)
  • Virtual Switch Link(VSL; 仮想スイッチ リンク):仮想スイッチ メンバー間での 10 ギガビット イーサネット接続(EtherChannel を使用して最大 8 つまで設定可能)。10 ギガビット イーサネット接続には次のモジュールが 1 つまたは複数必要です。
    • Virtual Switching Supervisor 720 10GE:10 ギガビット イーサネット アップリンク ポート
    • WS-X6708-10G モジュール:任意の 10 ギガビット イーサネット ポート

VSL は、2 つの仮想スイッチ メンバー間のコントロール プレーン コミュニケーションに加え、通常のデータ トラフィックも伝送します。VSL リンクの制限距離は、選択した 10 ギガビット イーサネット光ファイバによって決まります。たとえば、X2-10GB-ER 光ファイバ を使用した場合、最大 40 km までの VSL を設定することができます(図 3 参照)。

図 3 Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを使用した VSS 1440

図 3 Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを使用した VSS 1440


Q:VSS のハードウェアとソフトウェアの要件および制約事項を教えてください。
A:表 1 に、ハードウェアとソフトウェアの要件および制約事項について示します。

表 1 ハードウェアとソフトウェアの要件および制約事項

ハードウェア/ソフトウェア 要件
ソフトウェア Cisco IOS® ソフトウェア リリース 12.2(33)SXH
スーパーバイザ エンジン

Virtual Switching Supervisor 720-10GE(VS-S720-10GE-3C および VS-S720-10GE-3CXL)

注:初期リリースでサポートされるのは、仮想スイッチ メンバー(またはシャーシ)ごとに 1 つのスーパーバイザ エンジンだけです。この制限は将来のソフトウェア リリースで解除される予定です。

モジュール
  • Centralized Forward Card(CFC)を備えた 6700 シリーズのモジュールすべて
  • Distributed Forwarding Card(DFC)3C または DFC3CXL を備えた 6700 シリーズのモジュールすべて
DFC DFC3C(WS-F6700-DFC3C および WS-F6700-DFC3C-XL)
VSL ポート:10 ギガビット イーサネット ポート
  • Virtual Switching Supervisor 720-10GE
  • WS-X6708-10G-3C および WS-X6708-10G-3CXL
VSL 最大距離

VSL の最大距離は、VSL の 10 ギガビット イーサネット接続に使用する X2 光ファイバによって決まります。

  • X2-10GB-CX4:15 m
  • X2-10GB-LX4:300 m
  • X2-10GB-SR:26 m(FDDI グレード MMF)、300 m(OM3 MMF)
  • X2-10GB-LR:10 km
  • X2-10GB-ER:40 km
  • X2-10GB-LRM:MMF で 220 m
シャーシ すべての Cisco Catalyst 6500 シャーシ 1
電源
  • Cisco Catalyst 6503-E および 6504-E スイッチ:サポートされているすべての電源モジュール
  • Cisco Catalyst 6506、6506-E、6509、6509-E、6509-NEB-A、6509-V-E、および 6513 スイッチ:2500 W 以上
サービス モジュール

Network Analysis Module 1 および 2

注:将来のソフトウェア リリースで追加のサービス モジュールがサポートされる予定です。

WAN モジュール 初期リリースではサポートされません。

1 Cisco Catalyst 6509-NEB スイッチおよび Cisco Catalyst 6503 スイッチ(E シリーズ以外)はサポートされません。

Q:Multichassis EtherChannel(MEC)とは何ですか。
A:MEC とは、レイヤ 2 のマルチパス テクノロジーです。この形式の EtherChannel を使用すると、VSS を構成する 2 つの物理的な Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチ間で、EtherChannel を接続ノードで終端することが可能になり、シンプルでループのないレイヤ 2 トポロジが作成されます。VSS トポロジ内で MEC を使用すると、すべてのリンクがアクティブになると同時に、スパニング ツリー プロトコルを必要としない可用性の高いトポロジを提供できます。初期リリースでは VSS 上で 128 MEC を設定できます。これは将来のソフトウェア リリースでさらに拡張される予定です。

Q:VSS には Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチをいくつ組み込むことができますか。
A:VSS1440 では、最大 2 つの物理的な Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチを 1 つの VSS として運用できます。インストールされているモジュールの種類、またはシャーシの種類についても、2 つの物理シャーシが同一である必要はありません。たとえば、WS-C6503-E シャーシと WS-C6513 を組み合わせて VSS を構成できます。将来のソフトウェア リリースでは、3 つ以上のシャーシへの拡張が可能になります。

Q:VSS ではどのようなハイ アベイラビリティ メカニズムを提供していますか。
A:VSS が 2 つのシャーシ間での主要なハイ アベイラビリティ メカニズムとして使用するのは、シャーシ間 NSF/SSO です。1 つの仮想スイッチ メンバーのシャーシがアクティブな仮想スイッチ メンバーとして機能するとともに、もう一方のメンバーのコントロール プレーンはホット スタンバイ状態になります。シャーシのデータ プレーンは両方ともアクティブなので、トラフィックは 2 台分の容量である 1440 Gbps で転送されます。仮想スイッチ メンバーの 1 つに障害が発生した場合、ネットワークでプロトコルの再コンバージェンスは行われません。アクセス レイヤまたはコア レイヤのスイッチは EtherChannel バンドルのリンク障害を検出するだけなので、トラフィックの転送は継続され、プロトコルの再コンバージェンスが必要ないからです。そのため、VSS を流れるトラフィックに中断が発生することはありません。1 つのスイッチに障害が発生すると、STP や HSRP、その他のルーティング プロトコルなど状況に応じて複数の制御プロトコルにコンバージェンスを引き起こす従来のモデルと比較して、VSS ではスイッチ障害時にはるかに優れたメカニズムを提供します。

Q:VSS への移行を支援する管理ツールはありますか。
A:はい。CiscoWorks LAN Management Solution(LMS)3.0 が VSS の管理をサポートします。LMS では、次の機能を使用して VSS 構成を集中管理できます。
  • VSS セットアップ ウィザードにより、簡単にスタンドアロン スイッチからの移行が可能
  • Resource Management Essential(RME)ツールで、VSS 対応スイッチのコンポーネント、設定、ソフトウェア イメージをサポート
  • LMS 3.0 の CiscoView ツールにより各 VSS メンバー スイッチの物理表示が可能(2007 年第 4 四半期に VSS でサポート開始)
Q:仮想スイッチ メンバー間の VSL 接続がすべて切断された場合はどうなりますか。
A:2 つのスイッチを、ラインカードまたはスーパーバイザ ポートの任意な組み合わせによる最大 8 つのリンクで接続して VSS を構成できるため、高レベルの冗長性を確保できます。万が一、なんらかの原因により両方の仮想スイッチ メンバーが起動した状態で仮想スイッチ メンバー間のすべての VSL 接続が失われた場合は、VSS はデュアル アクティブ リカバリ モードに移行します。

デュアル アクティブの状態は、次のいずれかの機能により瞬時に検出されます。

  • シスコ スイッチを接続した状態で MEC が使用する PAgP の拡張機能
  • 仮想スイッチ メンバー間を直結するリンク(VSL を除く)、またはアクセス レイヤ スイッチを通る L2 リンクに設定する L3 Bidirectional Forwarding Detection(BFD)

デュアル アクティブ リカバリ モードでは、以前にアクティブだった仮想スイッチ メンバーで、VSL インターフェイスを除くすべてのインターフェイスが動作上のシャットダウン ステートになります。新しいアクティブな仮想スイッチは、すべてのリンクのトラフィックを転送し続けます。