アプリケーション ノートCisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチの Power over Ethernet(PoE)はじめにこのアプリケーション ノートでは、シスコ先行標準のインライン パワーおよび標準ベースの IEEE 802.3af インライン パワー ソリューションに対応した Cisco® Catalyst® 6500 シリーズの Power over Ethernet(PoE)機能について説明します。Cisco Catalyst 6500 シリーズは、一部の 10/100 および 10/100/1000 イーサネット モジュール(「Cisco Catalyst 6500 シリーズ PoE のライン カード」を参照)でインライン パワーに対応しています。これにより、標準の銅線(カテゴリ 5、5e、または 6)を通して、IP フォン、IP ビデオ電話、ワイヤレス アクセス ポイントなどのインライン デバイスに電力が供給できます。PoE ドータカードは、インライン パワーに対応したイーサネット モジュールに取り付けて使用するもので、インライン デバイスに必要な電力を供給します。Cisco Catalyst 6500 シリーズのすべてのシャーシと電源装置は、各容量に応じて PoE ソリューションに対応しており、最新の E シリーズ シャーシではシステムあたり 12,000 W まで増強できます。 Cisco Catalyst 6500 シリーズでは、2000 年の前半より、10/100 イーサネット モジュール(製品番号 WS-X6348-RJ45V および WS-X6348-RJ21V)で PoE の実装がサポートされています。2002 年の半ばには、PoE 対応が低コストの 10/100 イーサネット モジュール(製品番号 WSX6148-RJ45V および WS-X6148-RJ21V)に広げられました。また、2003 年の半ばには、PoE が 10/100/1000 にも導入され(製品番号 WS-X6148V-GE-TX および WS-X6548V-GE-TX)、インライン パワーとギガビット イーサネットを使用することができる柔軟性が提供されました。シスコは、引き続きイーサネットおよび PoE の拡張を続け、Cisco Catalyst 6500 シリーズ向けの最新の 96 ポート RJ-45 および RJ-21 モジュールでもサポートしていきます。 2003 年の半ばに、IEEE は 802.3af 仕様を規格として承認しました。この規格をサポートするために、シスコでは、新しい PoE ドータカードを開発しました。このドータカードにより、Cisco Catalyst 6500 シリーズは IEEE 802.3af インライン パワーおよびシスコ インライン パワーに対応します。この新しい PoE ドータカードを利用すれば、シスコ インライン パワー対応装置または IEEE 802.3af インライン パワー対応装置に電力を供給できます。また、10/100 または 10/100/1000 イーサネット モジュールをアップグレードすることで、Cisco Catalyst 6500 シリーズをインライン パワーに対応させることができるため、お客様の既存のハードウェアに対する投資が保護されます。IEEE モジュールは当初、Cisco Catalyst オペレーティング システム(OS)バージョン 8.2.1 と Cisco IOS® ソフトウェア リリース 12.2(17d)SXB でサポートされます。 Cisco Catalyst 6500 シリーズは、1 台のスイッチで、384 台の IEEE 802.3af クラス 3 装置または 547 台の IEEE 802.3af クラス 2 装置をサポートできます(電力合計に依存します)。 このアプリケーション ノートには、以下の情報が記載されています。
シスコ先行標準インライン パワーの実装PoE の実装には、2 つの要素が密接に関連しています。スイッチのライン カードである Power Sourcing Equipment(PSE)と、PSE から電源を受け取る受電装置です。受電装置には、IP フォン、ワイヤレス アクセス ポイント、IP カメラなどがあります。PSE には、必要な-48 V の電力を生成できる電源装置が必要です。電力は、データと共通のツイストペア ケーブル(ピン 1、2、3、および 6)で供給されます。これは、PSE エンド スパンとも呼ばれます。このアプリケーション ノートでは取り上げていないもう 1 つの方法に、PSE ミッドスパンと呼ばれるものもあります。PSE は、パッチ パネル タイプの装置で、スイッチと受電装置の間に設置します。PSE ミッドスパンからの電力は、未使用のイーサネット ピン(4、5、7、および 8)を使用して受電装置に送られます。 シスコでは、2000 年から PoE ソリューションを出荷しており、現在では 1600 万ポート以上の IP PoE ポートが使用されています。現在出荷されているシスコ ソリューションでは、特殊なトーンを使用する差動検出方式が採用されています。PSE は、送信(TX)ペアを介してユニークな Fast Link Pulse(FLP)を送信します。接続装置が PoE に対応している場合、この FLP がスイッチに返されます。この時点で、スイッチは、接続装置が PoE に対応していることを認識し、デフォルトの電源割り当てに基づいてこの装置に電源を供給します。Cisco IP Phone およびワイヤレス アクセス ポイントは、Cisco Discovery Protocol(CDP)を使用して、さらに特定の装置の電源要件を取得します。現在のデフォルト割り当ては 6.3 W です。シスコ先行標準の実装では、ポートの物理レイヤ(PHY)のリンク信号を使用して、ポートをシャットダウンします。リンクが失われると、ポートの電力が停止されます。図 1 に、シスコの受電装置への電力供給プロセスを示します。 IEEE 802.3af PoE の実装IEEE 802.3af 規格では、スイッチベースの PSE は、10/100/1000BASE-T の信号ペア、または 10/100BASE-T の予備のペアを使用するように指定されています。最大電力は、PSE ポートあたり 15.4 W です。この規格では、電流が 350 mA に制限されており、受電装置に供給される最大電力は、ケーブル距離が原因となる電力損失によって、12.95 W になります。受電装置は、最大入力電源に基づいて任意で分類することもできます。Cisco PSE は、この任意の分類をサポートしています。 この仕様における PSE の主な機能として、受電装置の検出、受電装置の分類(任意)、リンクへの電力供給(受電装置が検出された場合のみ)、電力が不要になった場合の検出レベルへの変更があります。この仕様では、受電装置は 1 秒以内に通電する必要があります。これは、受電装置の検出用で 500 ミリ秒、受電装置の分類用で 10 ~ 75 ミリ秒、電源投入用で 400 ミリ秒に分割されます。 PSE は、ケーブルで-2.8 ~-10 V の電圧を適用して受電装置を検出し、25 k オームのシグニチャ抵抗を探します。ツイストペア ケーブル間でこのレベルの抵抗を保持するには、仕様に準拠した受電装置が必要です。Cisco Catalyst 6500 ハードウェアは、シスコ インライン パワーと IEEE 802.3af PoE の両方をサポートしており、両方のプロトコルの検出が並行して行われます。シスコ製の装置の検出が報告されると、IEEE 検出の結果が出るまで待機します(約 1 秒)。1 秒以内に IEEE 装置の検出が報告されると、その装置は IEEE 受電装置とみなされます。それ以外の場合は、シスコ製の受電装置とみなされます。 PSE は-15.5 ~ 20 V の固定電圧で、受電装置への電源を 100 mA に制限しているため、受電装置を分類します。これは、電流測定方式とも呼ばれます。受電装置のコントローラは、分類の際中に負荷電流を回線にアサートします。これをシグネチャといいます。次に、PSE は受電装置の負荷電流を測定して、適切な分類と受電装置の電力要件を決定します。図 2 に検出プロセス、図 3 に分類プロセスを示します。分類後に、受電装置が通電されます。 表 1 に、PSE および受電装置の IEEE 802.3af クラスを示します。 表 1 IEEE 802.3af PSE および受電装置の電力クラス
表 1 では、クラス 0 とクラス 3 が同じ値となっています。これは、受電装置が検出されたにもかかわらず、PSE が受電装置にクラス 1、2、または 3 を割り当てることができない場合、クラス 0 が補うためです。受電装置のベンダーが、必要な 25 k オームの抵抗を使用しているが、電力要件を満たしていない場合などです。PSE の動作時に、受電装置を再分類したり、クラスを再調整することはできません。 シスコ先行標準の実装では、検出後の最初のステップとして、PSE のデフォルトのポート ワット量を割り当てて、受電装置に通電します。そのあと、CDP 交換に基づいて、PSE は受電装置で実際に必要な電力を割り当てます。なお、IEEE 実装では、受電装置は分類後に検出されてから通電されます。 仕様によると、PSE には 2 つの切断方式があり、インピーダンスまたは電流に基づいています。IEEE 受電装置は、いずれの切断方式もサポートしています。 お客様は、電流処理機能に関してパッチ パネルの仕様を確認することが推奨されます。IEEE の場合、過渡条件の下では最大 450 mA、起動条件の下では最大 400 mA の連続 DC 電流をインフラストラクチャ全体に使用できます。パッチ パネルの仕様を確認して、高電流条件の下で損傷が発生しないかどうか確認したほうがよいでしょう。 詳細については、発行されている IEEE 仕様 802.3af-2003 のセクション 33 を参照してください。 Cisco Catalyst 6500 シリーズのシャーシすべての Cisco Catalyst 6500 シャーシは PoE に対応しています。従来のシャーシでは、PoE とモジュール電源を含め、出力電力容量は約 4000 W でした。電力を増強するために、シスコは、PoE などの電力機能拡張用に Cisco Catalyst 6500 シリーズの強化シャーシ(E シリーズ)を開発しました。WS-C6506-E や WS-C6509-E をはじめとする E シリーズ シャーシでは、出力電力を 12,000 W にまで増強できます。この電力増強と大型の電源装置の組み合わせにより、受動装置の大容量にも対応できるようになりました。表 2 に、従来のシャーシと強化シャーシの比較を示します。大規模に PoE を導入する場合は、強化シャーシを推奨します。 表 2 Cisco Catalyst 6500 シリーズ シャーシの電力の比較
注:3 スロット シャーシを除く E シリーズ シャーシでは、最低必要な供給電力は 2500 W(AC または DC)です。 Cisco Catalyst 6500 シリーズ PoE のライン カードCisco Catalyst 6500 シリーズの 10/100 モジュールおよび 10/100/1000 モジュールには、インライン パワー オプションがあります。シスコ インライン パワーのみをサポートするモジュールもあれば、シスコ インライン パワーと IEEE 802.3af の両方をサポートするモジュールもあります。表 3 に、両方の PoE 実装を示し、ポートあたりの最大電力をモジュール タイプ別に示します。 表 3 Cisco Catalyst 6500 シリーズ PoE のライン カード オプション
Cisco Catalyst 6500 シリーズの電源装置Cisco Catalyst 6500 シリーズの電源装置オプションはすべて、インライン パワーをサポートしています。電源装置は、システムに出力電力を供給します。この電力は、シャーシ コンポーネント、ライン カード、PoE 受電装置の間で共有されます。電源装置は、PoE 専用に特定の電力量を割り当てることはありません。構成ごとに電力要件が異なり、個別に設定する必要があるため、一般的な電源装置の推奨事項はありません。特定のライン カードおよび PoE 装置の設定に使用する適切な電源装置を決定するには、Cisco Catalyst Online Power Calculator(http://www.cisco.com/go/powercalculatorを参照)を使用してください。 表 4 に、Cisco Catalyst 6500 シリーズの電源装置オプションを示します。電源装置によっては、オートレンジ機能をサポートしており、入力電圧が高電圧(公称 110 VAC)か低電圧(公称 220 VAC)かを自動的に検出し、それに合わせて動作モードを調整できます。そのため、可能性のあるすべての入力電圧について、出力電力と出力電流が記載されています。 表 4 Cisco Catalyst 6500 シリーズの電源装置オプション
* 従来の Cisco Catalyst 6500 シャーシ(非 E シリーズ シャーシ)を使用した場合、6000 W 電源装置を取り付けてもシャーシは 4000 W だけが供給されます。 電源装置の動作ここでは、ライン カードおよび受電装置に電力を供給する電源装置の動作について説明します。図 3 に詳しい説明が記載されています。 電源装置は、電源から AC または DC 入力電力を受信し、この電力を使用して、別のシャーシ コンポーネントに必要な出力電力を生成します。入力電圧は、100 ~ 240 VAC または-48 ~-60 VDC です。入力電流の要件は、電源装置によって異なります。AC 電源装置の場合は 15 ~ 30 A、DC 電源装置の場合は 30 ~ 70 A になります。 電源装置からの出力電力は、システムの内部コンポーネントに電力を供給します。この電力には、3.3 V、5 V、12 V、および 42 V という 4 種類の DC 電圧出力があります。3.3 V、5 V、および 12 V 出力は、シャーシの動作に必要な最低限の電力量を供給するため、このアプリケーション ノートでの考慮事項はありません。42 VDC 出力は、大量の電力を供給します。この電力は、ライン カード、受電装置、および一部のシャーシのファン トレイに使用されます。電源管理ソフトウェア(後述)は、この 42 VDC 出力から使用可能な出力電流バジェットに基づいて、ライン カードおよび PoE デバイスへの電力を管理します。 電源装置の命名および番号付け規則は、各装置の最大出力電力に基づいています(つまり、2500 W と付く電源装置は、2500 W の出力電力を供給します)。装置の最大入力電力は、最大出力電力よりも大きくなります(つまり、2500 W の電源装置は、最大 3520 W の入力電力をサポートします)。これは、電源装置は動作中に電力を消費し、その電力が熱として放出されるためです。熱による電力損失の量は、電源装置の効率を表します。Cisco Catalyst 6500 の電源装置の効率は、70 ~ 80%の範囲で変化します(図 4)。 電源装置の冗長化Cisco Catalyst 電源装置には、冗長モードとコンバイン(非冗長)モードという 2 つの動作モードがあります。 冗長モードとは、電源装置が 2 台ある場合に、2 台で 1 台分の電力を供給する方式のことです。電源装置は、負荷を分散した運用を想定しています。各装置は、電力の供給量を削減し、組み合わせて使用した場合に合計で電源装置 1 台分の電力を供給します。これにより、システムでは同じパワー バジェットを保持し、一方の電源装置に障害が発生しても、運用を続けることができます。冗長モードの場合のシステムの電力容量は、1 台の電源装置のみを使用している場合と同じです。冗長モードは、優れたアベイラビリティを実現するために推奨されます。 コンバイン モードとは、2 台の電源装置があり、その電力を組み合わせて使用する方式です。コンバイン モードでは、電源装置の冗長性はありません。コンバイン モードでは、2 台の電源装置の電力を集約しますが、2 倍の容量を供給するわけではありません。2 台の装置で負荷を分散して運用することで、1 台の装置(または冗長モードでは 2 台)の場合に比べて電力が 67%(1 2/3)増加します。たとえば、表 3 を見ると、2500 W の装置 1 台では、ライン カードおよび受電装置に 55.5 A が供給されます。また、表 3 からは、コンバイン モードで稼働している 2 台の 2500 W の装置の場合、容量は 92.5 A であることもわかります(55.5 A×1.67 = 92.5 A)。 Cisco Catalyst 6500 は、異なる容量の電源装置の混在をサポートしていますが、この構成では本当の意味での電源の冗長性は確保されないため、混在は推奨しません。混在をサポートしている主な目的は、オンラインによる電源装置のアップグレードを可能にするためです。電源装置が混在する構成の場合、Syslog 警告メッセージ(PSMISMATCH)が生成されます。この構成の冗長モードでは、システムの合計電力は、2 台分の容量より大きくなります(Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(19)E の場合)。使用電力が容量の少ない方の電源装置を上回ると、別の Syslog が生成され、利用可能な冗長電力がなくなったことを示します。新しいモジュールや受電装置はいずれも、システムが、容量の大きい方の装置と同じ容量に達するまで通電されます。 この構成のコンバイン モードでは、電源装置の組み合わせにより、容量の小さい方の装置容量×1.67 および容量の大きい方の装置容量よりも多くの電力が供給されます。 Cisco Catalyst 6500 では、同じシャーシで AC 電源装置と DC 電源装置を組み合わせて使用できます。 電源管理ソフトウェアCisco IOS ソフトウェアまたは Cisco Catalyst OS ソフトウェアは、電力を割り当てるためにインテリジェントな電源管理方式を実装しています。この方式は、エンドユーザの介入をほとんど必要としない自動化プロセスです。システムの電力状態は、Cisco IOS ソフトウェアおよび Cisco Catalyst OS の CLI(コマンドライン インターフェイス)から確認できます。 図 4 は、Cisco Catalyst OS で、3000 W の冗長電源装置を使用したシステムの例です。図 5 は、Cisco IOS ソフトウェアの例を示しています。 ソフトウェアは、まず電源装置をポーリングして、42 VDC の出力電圧から使用可能なシステム電力の合計を決定します。42 V の電力は、すべての電力の計算に共通の単位として出力電流(A)に変換されます。図 5 と図 6 の A は、システムで使用できる電力の合計を示しています。 製造プロセスでは、各ライン カードの Serial Programmable Read-Only Memory(SPROM)は、出力電流要件(A)に合わせてプログラムされます。モジュールを取り付けると、ソフトウェアによってこの SPROM 値が読み取られます。この値が、システムで使用できる電流の合計と比較されます。モジュールに電源を供給できるだけの電力がある場合、ソフトウェアは供給できる電力量から該当する電力量を差し引き、モジュールに電力を供給します。使用できる電力が不十分な場合、ソフトウェアはモジュールに電力を供給しません。この場合、コマンド出力では、モジュールが[power-deny]状態であることが表示されます。 表 5 に、Cisco Catalyst 6500 PoE モジュールの電力要件を示します。ライン カードの SPROM は、2 列めの出力電流の値に合わせてプログラムされています。その他の情報は、電源装置の効率を表すこの値から算出されています。 表 5 Cisco Catalyst 6500 PoE モジュールの電力要件
受電装置に電力を供給する場合も、同様の動作が行われます。受電装置が PoE に対応したポートに接続されている場合、スイッチは受電装置と通信して、電力要件を決定します。受電装置の電力要件は、CDP または IEEE 802.3af の分類によって決定されるか、ハードウェアがサポートする最大容量に基づいています。CDP と PoE の相互作用については、このアプリケーション ノートの後半で説明します。装置の電力要件を決定したあと、スイッチは、使用可能なバジェットからその電力量を引いて、装置に電力を供給します。これは、システム パワー バジェットが使い果たされるまで、ポートごとに行われます。 図 5 と図 6 の B は、システムのライン カードおよび受電装置で使用される電力の合計を示しています。 電力合計と使用されたまたは差し引かれた電力合計の差が、システムに残された電力になります。図 5 と図 6 の C は、システムに残された電力を示しています。この電力は、その他のライン カードまたは PoE 装置に使用できます。 注:Cisco Catalyst OS 8.2.1 および Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(17d)SXB の場合、高出力の Cisco IP Phone は、シスコ先行標準の PoE ライン カード(7 W のみ)の装着時には低出力モード(スクリーン減光時)でネゴシエートし、IEEE 802.3af Cisco PoE ライン カード(15.4 W)の装着時には高出力モード(スクリーン点灯時)でネゴシエートします。 受電装置の電力割り当て各受電装置には、システム パワー バジェットからの電力が必要です。電源管理ソフトウェアは、装置ごとに必要な電力をインテリジェントに割り当てます。各装置に独自の電力要件があるため、スイッチは、装置のタイプを検出して、できるだけ正確に電力を割り当てる必要があります。スイッチは、デフォルトの電力割り当てまたは IEEE クラス構造を使用して、特定の受電装置に対して最初に割り当てる電力の量を決定します。シスコ製の装置の場合、CDP を使用して、よりきめ細かな電力割り当てを行うことができます。 CDP は、シスコ製の装置間で情報を交換するために使用されます。CDP を PoE に適用すると、CDP に対応した各装置の電力要件を正確に求めることができます。インライン パワーに対応した Cisco IP Phone およびワイヤレス アクセス ポイントは、必要な電力量をスイッチに通知します。これにより、Cisco Catalyst 6500 は、過不足なく、電話に適切な量の電力を割り当てることができます。最初の段階では、スイッチは電話が必要とする電力の量を把握できないため、ユーザが設定したデフォルトの割り当て量が必要であると仮定します。電話が起動すると、装置が必要とする電力の量に関する Type/Length/Value(TLV)フィールドの情報とともに、スイッチに CDP メッセージが送信されます。その時点で、スイッチは最初の割り当てを調整し、他のポートで使用できるように、システムに残りの電力を戻します。 802.3af 仕様では、特定の電力要件に対応した 4 種類のクラスのインライン パワー装置をサポートしています。ただし、この仕様では、装置で必要な電力の正確な量を求めるネゴシエーション プロトコル(CDP など)は規定されていません。CDP をサポートしていない装置がある場合、または CDP が無効になっている場合、システムでは各装置の明確な電力量を把握できないため、汎用的な IEEE 分類を使用する必要があります。たとえば、7.1 W 以上の電力を必要とする受電装置は、(クラス 2 の値を 0.1 W 上回る)7.1 W のみ必要な場合でも、完全なクラス 3 の装置として分類する必要があります。その結果、システムは、そのクラス 3 装置の最大電力(15.4 W)を割り当てる必要があります。したがって、スイッチでは、装置に必要な実際の電力量の 2 倍以上を割り当てなければならない場合もあります。 電力を過剰に割り当てると、システムで無駄になる電力の量が増えますが、これは安全性の問題が発生しないようにするためには必要な措置です。CDP のようなプロトコルがないと、スイッチでは、特定の装置に実際に入力される電力の量は把握できません。ここで重要なのは、ソフトウェアでは電力の「割り当て」はわかりますが、特定の装置の瞬間的な電力の「使われ方」はわからないという点です。スイッチは、IEEE 分類に基づいて電力を割り当てる必要があります。スイッチがデフォルトの IEEE クラスの値よりも少ない量を割り当てると、スイッチがパワー バジェットに割り当てる電力と、スイッチが実際に供給する電力が異なる可能性があります。供給された電力が割り当てられた電力より多い場合、スイッチが過負荷になり、シャットダウンされることがあります。 シスコの IEEE 対応装置の場合、CDP を使用することで、CDP に対応した装置が必要とする正確な電力量が割り当てられます。特定のポートで CDP が有効になっている場合、最終的な電力の割り当てには、(TVL フィールドの)CDP ネゴシエーションで指定された電力値が使用されます。CDP 電力値により、IEEE クラスの電力割り当てが無効になります(つまり、CDP では 9 W がネゴシエートされ、IEEE クラスではクラス 3 に分類されている場合、クラス 3 では通常 15.4 W が割り当てられますが、スイッチが実際に割り当てるのは 9 W となります)。特定のポートで CDP が無効になっている場合、スイッチでは、その IEEE クラスのデフォルトの電力を割り当てます。シスコの IEEE 非対応の装置(Cisco 7960 IP Phone)で CDP が無効になっている場合、スイッチは、デフォルトの割り当て、設定されている最大値、またはハードウェアがサポートする最大値のうちで最小値を割り当てます。表 2 に、ハードウェアがサポートする最大値を示します。 注:前述の理由により、CDP を無効にすることは推奨しません。 シスコ以外の IEEE 装置の場合は、CDP を有効にしても無効にしても影響はありません。スイッチは、受電装置を分類してから、その IEEE クラスのデフォルトの電力を割り当てます。 IEEE の仕様では、受電装置および PSE での供給電力量が規定されています。表 1 にこの供給電力量を示します。ただし、スイッチの電源装置という観点から見た場合、3 番めの電力量について考慮する必要があります。ライン カード ポートで 15.4 W が供給されている場合、電源装置は、ライン カード自体で失われる電力を満たすのに十分な電力を供給する必要があります。DC/DC 変換プロセスのため、Cisco Catalyst 6500 の PoE ライン カードの電力効率は 89%です。したがって、ポートで実際に 15.4 W を使用できるようにするには、電源装置は(15.4 W を 0.89 で割った)17.3 W を供給する必要があります。また、ポートで 15.4 W の値が 100%使用できても、100 m の銅線ケーブルを通過すると、15.4 W の 83%(13.2 W)になります。表 5 に、各受電装置の電力割り当て値の一覧を示します。 図 7 では、プロセスの 3 段階における正味電力の減少から、1、2、3 の各段階での電気的な非効率性がわかります。 ライン カードの非効率性は、IEEE 準拠の新しいドータカードだけに該当します。従来のシスコ インライン パワー ドータカードは、ライン カードでは DC/DC 変換を使用しないため、この影響は受けません。ただし、シスコ製の受電装置を IEEE 802.3af 対応インライン パワー モジュールに接続する場合、シスコ インライン パワー対応モジュールに接続する場合よりも多くの電力が必要になります。特に、Cisco 7960 IP Phone(シスコ製受電装置)は、WS-F6K-VPWR ドータカードを搭載した WS-X6148-RJ-45 モジュールに接続する場合には 6.3 W が必要ですが、WS-F6K-FE-AF ドータカードを搭載した同じ WS-X6148-RJ-45 モジュールに接続する場合は、7.1 W が必要になります。 表 6 に、各受電装置の 3 段階での電力要件を示します。 表 6 IEEE 802.3af 対応モジュールに接続された受電装置の電力割り当て
電源管理設定オプションCisco Catalyst OS および Cisco IOS ソフトウェアには、インライン パワー ポートおよび接続された受電装置を管理するのに便利なツールが付属しています。このツールでは、PoE 環境を制御するためのコマンドが使用できます。表 7 に、Cisco Catalyst OS および Cisco IOS ソフトウェアで使用できるコマンドを示します。 表 7
受電装置の容量15.4 W の装置と、多様なポートをサポートする最新のスイッチを組み合わせて使用すると、電源システムのスケーラビリティに重大な問題が生じます。一般的に、Cisco Catalyst 6500 システムは、シャーシのスロットごとに最大約 1000 W をサポートできます。これにより、IEEE に対応したモジュールはすべて、カードごとに最大 48 ポートでクラス 3 の 15.4 W 装置をサポートできます。96 ポートのカードは、スロットあたり最大 960 W の PoE をサポートします。つまり、クラス 3 の装置はスロットあたり 62 台、10 W 以下の装置はスロットあたり 96 台、または PoE が合計 960 W の範囲内の組み合わせになります。 したがって、システムの受電装置の容量は、電源装置によって決まります。表 8 および 9 に、さまざまなライン カードと電源装置の組み合わせによる、受電装置の最大容量を示します。表 8 は IEEE クラス 2 のデータ、表 9 は IEEE クラス 3 のデータを示しています。どちらの表も、Policy Feature Card 2(PFC2)を装備した Supervisor Engine 2(Multilayer Switch Feature Card 2 [MSFC2] なし)と、最大値の基準として各ライン カード タイプのフル装備のシャーシを使用することを前提としています。表には、単一のスーパーバイザ エンジンと冗長スーパーバイザ エンジンの両方が含まれます。スーパーバイザ エンジンが異なると、最大値も少しずつ異なります。特定の設定の最大値を決定するには、電力計算ツールを使用する必要があります。 表 8 PFC2 を装着した Supervisor Engine 2 搭載の Cisco Catalyst 6500 シリーズでサポートされる IEEE クラス 2 受電装置の最大値
* すべてのインライン パワーポートでインライン パワー対応設定がされています。 注:A、B のように数字が 2 つ並んでいますが、A = WS-X6148-45AF で、B = WS-X6196-RJ21 です。すべてのカードの容量が同じ場合、数字は 1 つだけになります。 表 8 の情報は、構成ごとに可能なライン カードと受電装置の最適な組み合わせに基づいて計算されています。たとえば、PFC2 を装着した冗長 Supervisor Engine 2 搭載の Cisco Catalyst 6509 シャーシで、クラス 2 受電装置をサポートする最適なライン カードの組み合わせは次のとおりです。 2500 W 電源装置の容量(= 55.5 A) IEEE クラス 2 受電装置には、バックプレーンから 0.19 A が必要です。したがって、36.53 A を 0.19 で割ると、約 192 台の IEEE クラス 2 受電装置を使用できます。 Cisco Catalyst 6509 は、この構成で使用される 7 枚のライン カードよりも多くのカードを装着できますが、追加モジュールは、追加しなかった場合なら受電装置が使用できたはずの電力を消費します。したがって、システムにライン カードを増設すると、システムがサポートできる受電装置の数が少なくなります。 表 9 PFC2 を装着した Supervisor Engine 2 搭載の Cisco Catalyst 6500 シリーズでサポートされる IEEE クラス 3 受電装置の最大値
* すべてのインライン パワーポートでインライン パワー対応設定がされています。 注:A、B のように数字が 2 つ並んでいますが、A = WS-X6148-45AF で、B = WS-X6196-21AF です。すべてのカードの容量が同じ場合、番号は 1 つだけになります。 表 9 の情報は、構成ごとに可能なライン カードと受電装置の最適な組み合わせに基づいて計算されています。たとえば、PFC2 を装着した冗長 Supervisor Engine 2 搭載の Cisco Catalyst 6509 シャーシで、クラス 3 受電装置をサポートする最適なライン カードの組み合わせは次のとおりです。 2500 W 電源装置の容量(= 55.5 A) IEEE クラス 3 受電装置には、バックプレーンから 0.14 A が必要です。したがって、41.67 A を 0.41 で割ると、約 101 台の IEEE クラス 3 受電装置を使用できます。 Cisco Catalyst 6509 は、この構成で使用される 7 枚のライン カードよりも多くのカードを装着できますが、追加モジュールは、追加しない場合に受電装置が使用できる電力を消費します。したがって、システムにライン カードを増設すると、システムがサポートできる受電装置の数が少なくなります。 電力不足の例システムで使用できる電力が少なくなると、特定の構成で同じモジュールおよび装置に電力を供給できないことがあります。これは特に、コンバイン モードで稼働中に 1 台の電源装置が故障した場合、あるいは取り外された場合に発生します。どちらの場合も、使用可能な電力合計は、コンバイン モードの供給量から 1 台分の供給量に低下し、電源管理ソフトウェアは、特定のモジュールおよび受電装置を強制的に停止します。モジュールおよび装置が停止される順序は、次のとおりです。
発熱量電源装置の効率に対する電力損失は、発熱量として放出されます。Cisco Catalyst 6500 の発熱量の値は、通常は Cisco.com の電源に関するマニュアルおよび電力計算ツールにライン カードごとに定められています。これは、シャーシのある場所で放出されるシステムからの熱に特定した値です。モジュールの発熱量は、AC または DC 入力電力に係数 3.415 を乗じて計算します。ライン カードの数値には、シャーシおよび電源装置からの熱が含まれます。 受電装置の発熱量を決定するには、若干異なる計算が必要です。これは、受電装置からの熱は、一部がスイッチで放出され、残りは受電装置が実際にある場所で放出されるためです。通常、受電装置は、スイッチと物理的に同じ部屋にはありません。受電装置に電源を供給するときにスイッチが放出する熱は、システム全体の発熱量に含める必要があります。これは、入力電力から出力電力を引き、その値に係数 3.415 を乗じて計算されます。残りの熱は受電装置で放出されるため、この量は、システムの発熱量とは別に考える必要があります。 付録 A:詳細情報
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