インターネット対応のユーザ アプリケーションの急成長に伴い、サービス プロバイダー ネットワークにより提供される帯域幅は増大する一方です。この成長を支えるために、サービス プロバイダーは、従来型のレイヤ2 WANサービス(フレーム リレーやATMなど)を提供する既存のネットワーク アーキテクチャとレイヤ3 WANサービス(高速インターネット アクセスやレイヤ3 VPNなど)アーキテクチャとの統合を進めています。このようなネットワークの統合によって、すべてのネットワーク サービスが同時に強化されるような、最適な設備投資が可能となります。
ネットワークの統合を実現するのは簡単なことではありません。特にネットワークの集約ポイントには、さまざまな条件が要求されます。集約ポイントに配置するネットワーク デバイスは、レイヤ2とレイヤ3の複数のサービスを提供すると同時に、顧客のアクセス ノードからコア ネットワークへ、またその逆方向へ、ネットワーク トラフィックを効率的に転送できなければなりません。さらに、このような集約デバイスは、アクセス ネットワークとコア ネットワークの間の帯域幅やインターフェイス密度の拡張性、多様なネットワーク プロトコル、Quality of Service(QoS;サービス品質)、セキュリティ、アカウンティングの機能、そして既存のSONETインフラストラクチャとの互換性も兼ね備えている必要があります。
Cisco® 7600シリーズ ルータは、統合ネットワーク アーキテクチャのネットワーク集約デバイスに必要なパフォーマンス、密度、機能を備えています。既存のSONETインフラストラクチャ上で集約サービスを提供するために、Ciscoシリーズのルータには、Cisco 1ポートOC-48c/STM-16 Packet over SONET(POS)拡張OSM(オプティカル サービス モジュール)など、各種のSONETインターフェイス カードを搭載できるようになっています。拡張OSMは、Cisco Parallel Express Forwarding(PXF)ネットワーク プロセッサを通じて、高度なIPサービスやMultiprotocol Label Switching(MPLS;マルチプロトコル ラベル スイッチング)サービスを提供します。1ポートOC-48c POSには、送信処理用と受信処理用に1つずつ、合計2つのPXFプロセッサが搭載されています。
Cisco 1ポートOC-48c/STM-16 POS拡張OSMの利点を、表1に示します。
表1 OC-48c/STM-16 POS拡張OSMの機能と利点
シスコのお客様はCisco 7600シリーズを使用することにより、シスコ機器への既存の投資を有効に活用できます。Cisco 7600シリーズには、拡張OSMだけでなく、従来のCisco Catalyst® 6000シリーズのLANインターフェイスを搭載することも、Cisco 7500および7200シリーズのWANポート アダプタを搭載することもできます。その結果、Cisco 7600シリーズは拡張性に優れ、DS-0からOC-48/STM-16のWANインターフェイス、10/100 Mbpsイーサネットからギガビット イーサネットや10ギガビット イーサネットまでのLANインターフェイスに対応できます。
Cisco 7600シリーズは、サービス プロバイダー ネットワークが求めるハイアベイラビリティ要件を満たすことができるように設計されています。Cisco 7600シリーズ ルータのシャーシはいずれもNetwork Equipment Building Standards 3(NEBS-3)に対応しています。また、Cisco 7600シリーズは、完全冗長構成によるルート処理や転送をサポートするとともに、Border Gateway Protocol Version 4(BGP4)、Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS)、Open Shortest Path First(OSPF)などのコア プロトコルを使用したルーティング機能を備え、QoSやパケット フィルタリングもサポートしています。Cisco 7600シリーズは、720 Gbpsのスイッチ ファブリックを通じて高い総スループットやポート密度を実現するため、サービス プロバイダーはセントラル オフィスのスペースを有効に活用できます。表2に、1ポートOC-48c/STM-16拡張OSMが搭載されたCisco 7600シリーズ ルータがサポートするOC-48のポート密度を示します。
表3 1ポートOC-48c/STM-16 POS拡張OSMのモデル
|
Telcordia(Bellcore)GR-253-CORE(該当する場合)
ITU-T G.707、G.957、G.825(該当する場合)
GR253-COREに基づく1+1 SONET Automatic Protection Switching(APS;自動保護スイッチング)をポート単位、ライン カード単位、シャーシ単位でサポート(該当する場合)
G.783 Annex Aに基づく1+1 SDH Multiplex Section Protection(MSP)をポート単位、ライン カード単位、シャーシ単位でサポート(該当する場合)
IETF RFC 1661、PPP(ポイントツーポイント プロトコル)
IETF RFC 1662、 High-Level Data Link Control(HDLC;ハイレベル データリンク制御)に類似したフレーミングでのPPP
IETF RFC 2615、PPP over SONET/SDH(1+x43の自己同期ペイロード スクランブリング)
Signal Failure Bit Error Rate(SF-ber;信号損失ビット エラー レート)
Signal Degrade Bit Error Rate(SD-ber;信号劣下ビット エラー レート)
Signal Label Payload Construction(C2)
B1のThreshold Crossing Alarm(TCA;スレッシュホールド超過アラーム)
Line Alarm Indication Signal(LAIS;回線アラーム検出信号)
Line Remote Defect Indication(LRDI;回線リモート障害検出)
Line Remote Error Indication(LREI;回線リモート エラー検出)
Path Alarm Indication Signal(PAIS;パス アラーム検出信号)
Path Remote Defect Indication(PRDI;パス リモート障害検出)
Path Remote Error Indication(PREI;パス リモート エラー検出)
New Pointer Event(NEWPTR;新規ポインタ イベント)
Path Unequipped Indication Signal(PUNEQ;未実装パス検出信号)
Path Payload Mismatch(PPLM;パス ペイロード ミスマッチ)検出信号
ローカル(内部)タイミング(ダーク ファイバまたはWDM機器経由のルータ間接続)
RFC 1595、定期的なパフォーマンス統計(現在、15分、15分の倍数、1日間隔)
GBICベースのギガビット イーサネット インターフェイス(SCコネクタ付):
1000BASE-LX:最大550 mの50 μmマルチモード ファイバ
1000BASE-LX:最大5 kmの9/10 μmシングルモード ファイバ
1000BASE-LH:最大550 mの62.5 μmマルチモード ファイバ
1000BASE-LH:最大550 mの50 μmマルチモード ファイバ
1000BASE-LH:最大10 kmの9/10 μmシングルモード ファイバ
1000BASE-ZX:最大70 kmの9/10 μmシングルモード ファイバ
1000BASE-ZX:最大100 kmの分散シフト型ファイバ
最大4000のVLANを同時にサポートするIEEE 802.1Q VLANトランキング
Hot Standby Router Protocol(HSRP)のサポート
IEEE 802.3Xの自動ネゴシエーション フロー制御のサポート
Maximum Transmission Unit(MTU;最大伝送ユニット)9192バイトのジャンボ フレームをサポート
ハードウェアベースのCisco Express Forwarding(30 Mpps)
Access Control List(ACL;アクセス制御リスト)の適用(30 Mpps)
システムあたり128,000のトラフィック アカウンティング エントリをサポート
Online Insertion and Removal(OIR;ホットスワップ)のサポート
WANポートあたり200ミリ秒のパケット バッファリングをサポート
ポート単位でSNMPバージョン1と2、および4つのRemote Monitoring(RMON)グループ(統計、履歴、アラーム、イベント)をサポート
Cisco Catalyst 6500シリーズのシャーシの1スロットを使用
WS-C6506 ― Cisco Catalyst 6506シャーシ
WS-C6509 ― Cisco Catalyst 6509シャーシ
WS-C6509-NEB ― NEBS環境のCisco Catalyst 6509シャーシ
OSMあたりギガビット イーサネット オプティカル ポート×4
9スロット シャーシに1ポートOC-48c/STM-16オプティカル モジュールを最大7つ搭載可能
Cisco 7600シリーズまたはCisco Catalyst 6500シリーズのシャーシでの必須条件
Supervisor Engine 720:WS-SUP720-3BXL
Supervisor Engine 2:WS-X6K-S2-MFSC2
Cisco 7600シリーズまたはCisco Catalyst 6500シリーズのシャーシでの推奨条件
スイッチ ファブリック モジュール(Supervisor Engine 2使用時にのみ必要)
256 Gbpsのクロスバー ファブリック:WS-C6500-SFM
寸法(高さ×幅×奥行):3.0×35.6×40.6 cm(1.2×14.4×16インチ)
Mean Time Between Failures(MTBF;平均故障間隔):システム構成に関して7年間
Status:グリーン(動作可能)、レッド(障害)、オレンジ(モジュール起動中または診断実行中)
Link Good:グリーン(ポートはアクティブ)、オレンジ(使用不可)、消灯(非アクティブ/未接続)、オレンジに点滅(診断エラーによる使用不可)
262 MHzのR7000 MIPS RISCプロセッサ×1
アップグレード可能なパケット/ルート テーブル メモリ オプション:
Cisco PXF IPサービス プロセッサあたり分散IPサービス アプリケーションを最大5.5 Mppsで提供
ライン カードあたりのCisco PXFメモリ(固定構成):
Cisco PXF IPサービス プロセッサあたり256 MB SDRAMのルート テーブル メモリ
Cisco PXF IPサービス プロセッサあたり128 MB SDRAMのパケット バッファ メモリ(パケット単位のCRCチェック)
Cisco PXF IPサービス プロセッサあたり8 MB SSRAMのパケット処理メモリ
Cisco 7600シリーズ シャーシは、次の仕様に基づいてNEBSレベル3の適合認定を得ています。
Cisco IOS®ソフトウェア リリース12.1(12)E(Supervisor Engine 2を使用する場合)
Cisco IOSソフトウェア リリース12.2(17a)SXA(Supervisor Engine 720を使用する場合)