Cisco Catalyst 2960-X シリーズ スイッチ

FlexStack および FlexStack-Plus テクノロジーを使用した Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、2960-XR のスタック構成:概要、使用方法、およびベスト プラクティス

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FlexStack および FlexStack-Plus テクノロジーを使用した Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、2960-XR のスタック構成:概要、使用方法、およびベスト プラクティス



はじめに


Cisco® FlexStack および FlexStack-Plus によって Cisco Catalyst® 2960-S、2960-X、2960-XR シリーズ スイッチをスタックすると、FlexStack または FlexStack-Plus スタック内のすべてのスイッチが単一のスイッチ ユニットとして機能する真のスタック構成が実現します。Cisco FlexStack および FlexStack-Plus は、統合されたデータ プレーンと単一の構成を Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、2960-XR スイッチのグループ全体に適用します。

Cisco FlexStack および FlexStack-Plus は総所有コストを削減します。スタンドアロンのスイッチにはない内蔵された 1:N 冗長性、ハイ アベイラビリティ、および事前プロビジョニングが実現するからです。また EtherChannel や FlexLinks などのハイアベイラビリティ機能がすべてのスタック メンバに適用されるので、稼働時間とネットワークの接続性が向上します。

FlexStack-Plus は、FlexStack をベースとしています。FlexStack は、2010 年に 2960-S に導入されました。FlexStack-Plus は、2013 年に Cisco Catalyst イーサネット スイッチの 2960-X と 2960-XR の 2 つのモデルに導入されます。

FlexStack-Plus は FlexStack の拡張モデルで、スタック帯域幅が 2 倍となり、スタックに参加できるメンバ数が増加しています。単一のスタック メンバの場合、FlexStack-Plus の帯域幅が 40 Gbps であるのに対し、FlexStack は 20 Gbps です。スタック メンバが複数の場合、FlexStack-Plus の帯域幅は 80 Gbps、FlexStack の帯域幅は 40 Gpbs です。FlexStack-Plus テクノロジーでは、単一のスタックに 8 台の 2960-X または XR をメンバとして参加させることができます。FlexStack では、単一のスタックに 2960-S メンバを 4 台までしか参加させられません。

FlexStack-Plus は、2960-S と FlexStack に対する下位互換性を備えています。1 つのスタック内に、2960-X と 2960-S の 2 種類のメンバを混合して使用することができます。2960-X と 2960-S の 2 種類のモデルを混合してスタック メンバとして使用すると、FlexStack-Plus の機能が FlexStack のレベルまで後退し、帯域幅が 40 Gbps、スタック当たりの最大メンバが 4 台となります。

この文書ではこれ以降、特に断りのない限り、「2960」という語は、2960-S、2960-X、および 2960-XR のすべてのスイッチを指すものとします。また明確な記載がない限り、「FlexStack」という語は、FlexStack だけでなく FlexStack-Plus をも指すものとします。

FlexStack と FlexStack-Plus の違いを表 1 に示します。

2960-X と 2960-XR の詳細については、Cisco.com のキャンパス LAN アクセス スイッチの製品ページを参照してください。
Cisco.com のキャンパス LAN アクセス スイッチ

FlexStack および FlexStack-Plus は、ボーダレス ネットワーク アーキテクチャの構成要素としてスケーラブルなプロビジョニングと管理が可能なので、任意の数のスイッチをすばやく簡単に導入できます。

イーサネット スイッチをスタックする理由


イーサネット スイッチをスタックすることにより、ネットワーク管理者に関わる総所有コストが低減します。管理が必要なデバイスが減少し、内蔵された冗長性によりネットワークの稼働時間が改善されるので、ネットワークの保守コストが削減されます。

図 1 に、アクセス レイヤにイーサネット スイッチを導入する 2 つの方法を示します。いずれの場合も、4 台のスイッチが Cisco Catalyst 6509 スイッチに接続されています。左側の導入シナリオでは、4 台のスイッチが同じワイヤリング クローゼットに設置されていますが、スタックされていません。左側のスタンドアロン スイッチからは、ディストリビューション レイヤ スイッチへのアップリンクが 2 本ずつ存在し、すべてのアップリンクが 1 台の EtherChannel グループにまとめられています。右側の図では、4 台のスイッチが FlexStack によって 1 つにスタックされています(FlexStack リンクを赤で示します)。このスタックには、ディストリビューション レイヤ スイッチへのアップリンクが 4 本あります。FlexStack は、すべてのスタック メンバにわたってイーサネット インターフェイスの EtherChannel によるグループ化をサポートしているので、これら 4 つのアップリンクは、単一の EtherChannel グループにまとめられます。EtherChannel によるグループ化のすべてのメリットは、スイッチがスタックに構成されても維持されます。

図 1 FlexStack 構成と非スタック構成の比較

図 1 FlexStack 構成と非スタック構成の比較


イーサネット スイッチをスタックすることは、管理者にとって次の 3 つの主要なメリットがあります。

  • 管理の一元化:スタック内のすべてのスイッチは 1 つのスイッチとして管理されます。
  • 内蔵された冗長性とハイ アベイラビリティ:高速の FlexStack 接続により、すべてのスタック メンバ間の通信が冗長構成になります。
  • ネットワーク需要に対応できる拡張性:スタックに新しいスイッチをインストールするのは簡単です。アクセス ポートを追加する必要性が拡大したとき、既存のスタックに新しいスイッチを追加する方が、新しいスタンドアロンのスイッチをネットワークに追加するよりも、容易で迅速に対応できます。

運用上の 1 番目のメリットは、管理デバイスの減少です。スタック内の複数の物理スイッチは、単一の論理スイッチとして認識されます。これにより、ネットワーク内で管理を必要とするデバイス数が減少するので、管理オーバーヘッドが軽減されます。論理スイッチの管理には、単一の IP アドレスが使用されます。すべての物理スイッチ上にあるすべての管理可能なエンティティ(イーサネット インターフェイスや VLAN など)は、論理スイッチから設定と管理を実行できます。論理スイッチは、ネットワーク内で単一のエンティティとして認識されます。レイヤ 2 ネットワーク内で、論理スイッチは単一のスパニングツリー エンティティとして認識されます。

スタック構成が運用にもたらす 2 番目のメリットは、内蔵された冗長性と優れた可用性です。スタック メンバ間はすべて 2 本の物理パスで接続されるので、スタック構成アーキテクチャはデータ パスの冗長性を内蔵することになります。スタック メンバ間をスタック ケーブルで接続することで、すべてのスタック メンバのデータ パスが冗長構成になります。スタック構成では、物理スイッチとアップリンクの両方について冗長性が確保されるため、イーサネット スイッチの可用性が向上します。複数の異なる物理スイッチがアップストリーム ネットワークに接続するので、1 つのスイッチまたは 1 つのアップリンク インターフェイスが使用できなくなっても、ネットワーク接続が中断することはありません。論理スイッチには複数のアップリンクがあるため、少なくとも 1 つのアップリンクがまだアクティブであり、論理スイッチのネットワーク接続が維持されます。

論理スイッチ内では、1 つの物理スイッチがスタック マスターとして動作します。スタック マスターはそれ自体を含めたすべての物理スイッチを管理します。マスターが故障した場合、適切に文書化された選定プロセス(後述)に従い、別のメンバが自動的にスタック マスターになります。単一のスイッチが故障しても、すべてのスタック メンバをリブートしても、スタックの設定は維持されます。FlexStack では、すべての物理スイッチが現在のマスターをバックアップできるので、スタック マスターについて 1:N の冗長性が確保されます。(図 2 を参照)。

図 2 冗長リンクを備えた FlexStack

図 2 冗長リンクを備えた FlexStack


柔軟性に富む FlexStack では、モジュラー スタックが可能です。オプションの FlexStack モジュールを追加して、Cisco Catalyst 2960 スイッチをいつでもスタックに追加できます。イーサネット アクセス ポートの需要の拡大に応じて、複数の Cisco Catalyst 2960 スイッチをスタックして新しいスタックを形成することも、既存のスタックに新しい Cisco Catalyst 2960 スイッチを追加することもできます。ネットワーク管理者はこのような柔軟性を利用し、必要に応じてスタック メンバを追加できるため、投資が保護されます。

複数のスイッチが FlexStack グループとして 1 つに統合されていれば、スタックへのメンバの追加も、物理ユニットの交換もはるかに簡単になります。設定がスタックで維持されるため、スイッチを取り外す前に設定をバックアップする必要はありません。逆に、新しいメンバをスタックに挿入すると、スタックの設定が新しいメンバにプッシュされます。ネットワーク管理者は、交換前のスイッチが持っていた設定を新しいスイッチに復元する手順を実行する必要はありません。すべての設定はスタックによって自動的に処理されます。

スタックとクラスタリング

スタック構成とクラスタリングは異なります。クラスタリングは、Cisco Catalyst 固定型イーサネット スイッチで利用できるテクノロジーで、ネットワーク管理者が単一のパブリック IP アドレスを使用して複数の物理スイッチを管理できます。クラスタリングは、管理を一元化するとともに、イーサネット スイッチの管理に必要な貴重なパブリック IP アドレスを温存することでネットワーク管理者を支援するために開発されました。これに対してスタック構成は、管理の一元化や IP アドレスの温存をはるかに超えた、冗長性、可用性、および管理容易性を備えたテクノロジーです。Cisco Catalyst 2960 はスタック構成だけでなく、クラスタリングもサポートします。

FlexStack と FlexStack-Plus の概要


FlexStack は、Cisco Catalyst 2960-S シリーズの固定イーサネット スイッチに採用されているスタック構成テクノロジーの名前です。FlexStack は Cisco Catalyst 2960-S スイッチに固有のテクノロジーであり、FlexStack を使用しているのは Cisco Catalyst 2960-S シリーズ スイッチのみです。

FlexStack-Plus は、Cisco Catalyst 2960-X と 2960-XR シリーズの固定イーサネット スイッチに採用されているスタック構成テクノロジーの名前です。FlexStack-Plus は 2960-X と 2960-XR シリーズのスイッチに固有のテクノロジーです。

FlexStack と FlexStack-Plus のいずれも、スタックには特定の外部モジュールが必要です。FlexStack と FlexStack-Plus モジュールに加え(図 3)、モジュールを相互接続するために特別な FlexStack ケーブルが必要です。FlexStack には 2 種類の異なるモジュールがあります。FlexStack モジュール(PID:2960S-STACK)は 2960-S に対応し、FlexStack-Plus モジュール(PID:2960X-STACK)は 2960-X と 2960-XR に対応します。これら 2 種類のモジュールはサイズが異なるので、対応しない 2960 モデルには挿入できません。FlexStack モジュールは、1 台で 2 つの FlexStack ポートをサポートします。FlexStack モジュールは、Cisco Catalyst 2960 スイッチの背面に挿入されます。2 本の FlexStack ケーブルが FlexStack モジュールに挿入され、スタック全体を流れるトラフィックについてデータ パスの冗長性が確保されます。スタックの物理メンバは、FlexStack ケーブルを使用してリングを形成し、それによってスタックの各メンバに内蔵された冗長データ パスが提供されます。FlexStack と FlexStack-Plus は、同じタイプのスタック ケーブルを使用します。FlexStack と FlexStack-Plus のそれぞれに、異なるタイプの FlexStack ケーブルを用意する必要はありません。

FlexStack と FlexStack-Plus はオプションです。2960 スイッチをスタックするには、別個の FlexStack または FlexStack-Plus モジュール(実際の 2960 モデルによって異なる)をスイッチの背面に挿入する必要があります。このモジュールがなければ、スタックは機能しません。図 3 では、Cisco Catalyst 2960-X スイッチの背面に挿入される FlexStack-Plus モジュールを示します。すべてのタイプの FlexStack モジュールは、ホットスワップ可能です。

FlexStack と FlexStack-Plus が動作する Cisco Catalyst 2960 スイッチは、スタック内でのイーサネット パケットの送信にホップバイホップ方式を使用します。パケットは、FlexStack リンクを介してメンバ間を移動することによってスタック内を通過し、最後に宛先に到達します。この動作は、複数のスタンドアロンのイーサネット スイッチが 1 つのスイッチから別のスイッチにパケットを転送する方法に似ています。

スタック内のスイッチは、FlexStack プロトコルを使用して互いに通信を行います。FlexStack プロトコルの使用により、FlexStack メンバは 1 つの論理スイッチとして動作することができます。FlexStack プロトコルは、メンバごとに実行されます。FlexStack プロトコルは、マスター スイッチが他のメンバを管理するために使用します。マスターは、各メンバの存在、メンバの可用性、Cisco IOS® ソフトウェア イメージ、および各メンバの FlexStack 接続の状態を追跡します。FlexStack プロトコルは、2960-S モデルと 2960-X/XR モデルの両方の FlexStack で共通です。すべてのモデルの 2960 でプロトコルが共通なので、異なるタイプの 2960 モデルを一緒にスタックすることができます。

図 3 2960-X の背面に挿入される FlexStack モジュール

図 3 2960-X の背面に挿入される FlexStack モジュール


2 台の 2960 スタック メンバ間の FlexStack 接続は、1 本で全二重方式の 10 Gbps 接続です。2 台の 2960-X メンバ間の単一の FlexStack-Plus 接続は、1 本で全二重方式の 20 Gbps 接続です。Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、および 2960-XR のメンバは、1 台で 2 本の FlexStack 接続をサポートするので、ラインレートが 2 倍になります。各 FlexStack メンバは、両方のスタック リンクを介し、ラインレートで同時にイーサネット トラフィックを送受信できるので、2960-X メンバ 1 台あたりの実効スタック帯域幅は 40 Gbps、2960-S メンバ 1 台あたりの実効スタック帯域幅は 20 Gbps になります。複数の 2960-X メンバを 1 つにスタックした場合、各メンバが 40 Gbps で同時に送受信できるので、実効スタック帯域幅は 80 Gbps となります。2960-S でも同様、複数のメンバが 20 Gbps で同時に送受信するので、実効スタック帯域幅は 40 Gbps となります(表 1 を参照)。

表 1 FlexStack-Plus、FlexStack、および StackWise-480 の比較

スタックする製品 C2960-X C2960-XR C2960-S 3850
双方向のスタック帯域幅 80 Gbps 80 Gbps 40 Gbps 480Gbps
ホットスワップ可能なスタック モジュール あり あり あり なし(内蔵)
最大スタック メンバ 8 8 4 9
FlexStack のサポート あり なし あり なし
FlexStack-Plus のサポート あり あり なし なし


FlexStack と FlexStack-Plus の混合スタック

2960-S と 2960-X は、2960 モデルの混合スタックをサポートします。これらの 2960 モデルはいずれも FlexStack プロトコルを実行するので、まとめて 1 つのスタックを構成することができます。ただし 2960-XR は例外で、2960-X とも 2960-S ともスタックすることができません。2960-XR には IP-Lite フィーチャ セットが搭載されており、それが 2960-X と 2960-XR に設定された LAN Base のフィーチャ セットに対応しないからです。表 2 では、可能なすべての混合スタックの組み合わせを示します。重要なのは、Cisco IOS ソフトウェア フィーチャ セットです。LAN Base の Cisco IOS ソフトウェア フィーチャ セットが動作するすべての 2960 モデルは、一緒にスタックできます。

表 2 可能な混合スタックの組み合わせ

混合スタックの組み合わせ 2960-XR IP Lite 2960-X LAN Base 2960-S LAN Base
2960-XR IP Lite あり なし なし
2960-X LAN Base なし あり あり
2960-S LAN Base なし あり あり


表 3 では FlexStack-Plus の下位互換性および 2960-X と 2960-XR を 2960-S スイッチと混合した場合のパフォーマンスを示します。

表 3 下位互換性

混合スタックの組み合わせのパフォーマンスを示す尺度 最大スタック帯域幅 スタック上限 Cisco IOS ソフトウェア フィーチャ セット
2960-XR IP Lite 80 Gbps 8 IP Lite
2960-X LAN Base 80 Gbps 8 LAN Base
2960-X、2960-S LAN Base 40 Gbps 4 LAN Base


2960-S と 2960-X のメンバを一緒にスタックすると、2960-X メンバを含めたスタック全体の機能が FlexStack のレベルに後退します。2960 メンバを混合した場合、最大スタック メンバ数が 4、メンバあたりのスタック帯域幅が 20 Gbps、スタックあたりの帯域幅が 40 Gbps になります。

FlexStack ケーブル

Cisco Catalyst 2960 シリーズ スイッチを 1 つのスタックにまとめるには、特別なケーブルを使用します。この特別な FlexStack ケーブルは、Cisco Catalyst 2960 スイッチを、FlexStack をサポートする別の Cisco Catalyst 2960 スイッチとスタックする目的でのみ使用できます。図 4 では、完全に挿入された FlexStack モジュールに 2 本の FlexStack ケーブルを接続する図を示します。2 本のケーブルのタブが、互いに反対側に付いていることに注意してください。FlexStack ケーブルにはキーも付いています。タブを互いに離した状態で接続する必要があるだけでなく、コネクタの金属部分にキーが付いているので、誤った方向にコネクタが差し込まれることはありません。

図 4 FlexStack モジュールとケーブル

図 4 FlexStack モジュールとケーブル


スタック内のすべてのメンバに、稼働状態にある FlexStack リンクがそれぞれ 2 本ずつ接続されていれば、スタックは完全冗長モードで動作します。この冗長性は、各メンバから他の 2 台のメンバに接続された二重の FlexStack 接続によって実現します。1 つの FlexStack 接続が切断するか動作しなくなった場合、スタック内のスイッチは、確保されている残りの FlexStack 接続を使用します。

導入トポロジ

図 5 では、3 台のメンバで構成され、フル帯域幅と冗長 FlexStack 接続を備えたスタックを示します。

図 5 完全冗長構成の 3 メンバのスタック

図 5 完全冗長構成の 3 メンバのスタック


FlexStack リンクが 1 本存在しなくても、スタックは機能し続けます。図 6 では、FlexStack 配線が不完全なスタックを示します。図 6 では、すべてのデータ トラフィックは中央のメンバ経由で移動します。このスタックは、非冗長モードで動作します。このスタックでは、可能な帯域幅の半分しかメンバ間に提供されておらず、冗長接続もありません。完全なスタック帯域幅を使用できるのは、中央のメンバのみです。上および下のメンバは、完全冗長構成のスタック帯域幅の半分の速度で動作しています。2960-X と 2960-XR の完全冗長構成のスタック帯域幅は、メンバあたり 40 Gbps です。2960-S の完全冗長構成のスタック帯域幅は、メンバあたり 20 Gbps です。

図 6 非冗長構成の 3 メンバのスタック

図 6 非冗長構成の 3 メンバのスタック


表 4 に示すように、FlexStack-Plus のケーブル長は 3 種類あります。

表 4 FlexStack ケーブル長

製品 ID 長さ 説明
CAB-STK-E-0.5M 0.5 m FlexStack または FlexStack-Plus モジュールに付属している既定のケーブルです。
CAB-STK-E-1M 1.0 m  
CAB-STK-E-3M 3.0 m  


ケーブルを 3 種類の長さから選択できるので、より柔軟な導入が可能になります。図 7 では、0.5 m のケーブルのみを使用して 4 台のスイッチをスタックする方法を示します。スタック メンバ間は、スタック ケーブルを使用して複雑に接続されています。接続されるスタック メンバ間の距離は、2 台が限界です。このようなスタック リンクは複雑ですが、それでもスタックの冗長接続は実現しています。

図 7 0.5 m のケーブルを使用した 4 メンバ構成のスタック

図 7 0.5 m のケーブルを使用した 4 メンバ構成のスタック


図 8 では、標準的な配線による導入を示します。一番上のメンバと一番下のメンバを 3.0 m のケーブルで接続して、冗長接続のリングを完成させています。その他の接続はすべて、0.5 m のケーブルを使用して隣接するメンバ同士を直接接続しています。3.0 m のケーブルは FlexStack にデフォルトで付属しているものではなく、別途発注する必要があります。発注情報については、Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、または 2960-XR のデータ シートを参照してください。

図 8 3.0 m のケーブルを使用した 4 メンバ構成のスタック

図 8 3.0 m のケーブルを使用した 4 メンバ構成のスタック


0.5 m のケーブルを使用すると、4 ラック ユニットの距離にある 2 台の Cisco Catalyst 2960 スイッチを接続できます。4 台のメンバを積み上げるように並べてラックに設置した場合は、0.5 m のケーブルを使用してすべてのスタック メンバを接続できます。しかしスタック メンバが 5 台以上になると、それよりも長いケーブルが必要になります。

FlexStack プロトコル

FlexStack プロトコルを使用すると、すべてのスタック メンバが、隣接するメンバおよびスタック マスターとの通信を維持することができます。各メンバは、スタック内のすべてのスタック ポートの動作状況を認識します。FlexStack プロトコルを使用して、新しいメンバの追加やメンバの削除を検出できます。すべてのスタック メンバおよびそのインターフェイスの動作状況は、FlexStack プロトコルを使用して各メンバに伝達されます。

2960-X と FlexStack-Plus の組み合わせは、2960-S と FlexStack の組み合わせより、FlexStack の動作状況の変化に短時間で反応します。2960-X では、スタック ポートの動作状況の変化を検出できる特別なハードウェアが使用されています。この特別なハードウェアは、スタック内でのパケットの転送方法を変更できます。この動作状況の変化に対する反応時間が、FlexStack リンクのリカバリ時間となります。2960-X では、この処理がハードウェア内で行われるので、非常に高速です。FlexStack-Plus スタック内を通過するパケットでは、トラフィックのリカバリ時間が 100 ms 以下です。

2960-S と FlexStack の組み合わせでは、それよりも時間がかかります。FlexStack のリンクが切断した場合のリカバリ時間は、1 〜 2 秒です。2960-S と FlexStack の組み合わせでは、スタック ポートの動作状況の変化は、ソフトウェア内で CPU によって管理されます。ソフトウェア内で管理されているため、ダウンした FlexStack リンクを迂回してトラフィックを転送するには、まず動作状況の変化が処理された上で、ソフトウェアによって転送ロジックが再プログラムされる必要があります。

スタック マスターの役割

スタック マスターは設定を制御し、スタックを一元管理します。すべてのレイヤ 2 プロトコル トラフィック(たとえば、VLAN トランキング プロトコル(VTP)、ダイナミック トランキング プロトコル(DTP)、Cisco Discovery Protocol、Link Layer Discovery Protocol(LLDP)など)は、そのプロトコル パケットの入力経路に関係なく、マスターに転送されます。マスターはまた、すべてのレイヤ 2 プロトコル パケットを送信します。出力インターフェイスが別のメンバに存在する場合、プロトコル パケットはマスターからスタック インターフェイス経由で宛先のメンバに渡されます。

管理トラフィックについても、同じ動作が実行されます。Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)、HTTP、Telnet、および Secure Shell(SSH)プロトコルなどの管理トラフィックは、その入力インターフェイスに関係なく、すべてマスターに転送されます。マスターからの応答は、スタックを介して宛先インターフェイスに送信されます。

設定が変更された場合、スタック マスターは設定のコピーをすべてのメンバにプッシュします。これにより、すべてのメンバに、保存された設定のコピーが提供されます。

スタックのアップグレードは、マスター上で行われます。マスターは新しい Cisco IOS ソフトウェア イメージをすべてのメンバにプッシュします。各メンバは、Cisco IOS ソフトウェア イメージをローカルのフラッシュ メモリに保存します。

FlexStack LED の動作

Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、および 2960-XR の前面にある LED によって、スタック動作を確認できます。複数の Cisco Catalyst 2960 スイッチを 1 つにスタックした場合、スタック マスターの「MSTR」LED のみが緑に点灯します。同じスタックの他のメンバの LED は点灯しません。

スイッチ メンバ番号を確認するには、モード ボタンを押し、スタック LED が緑になるまで待ちます。ここでは、イーサネット ポートの LED が使用され、メンバ番号に一致するポート番号の LED が点滅します。メンバ 2 の場合は、ポート 2 の LED が点滅します。メンバ 3 の場合は、ポート 3 が点滅します。スタック内のメンバ数に応じて(2960-S では最大 4 台、2960-X では最大 8 台)、他のポートが緑に点灯します。これにより、ネットワーク管理者は、ポートの LED を見るだけでスタック メンバの数が確認できます。

スイッチがスタンドアロンで動作している場合、MSTR LED が緑に点灯します。

FlexStack の詳細

FlexStack モジュールの挿入

FlexStack モジュールをスロットに挿入するのは簡単です。完全に挿入する少し手前で、「若干」引っかかりがありますが、これは正常です。スイッチ シャーシにモジュールを完全に押し込んでください。ネジは指で締める以上にきつく締めないでください。ネジはモジュールが滑り出さないようにするのが目的です。スタック リンクの接続を維持するためのネジではありません。指で締めるだけで、スタック接続が完全に動作して維持されます。

FlexStack の冗長電源

個別の Cisco Catalyst 2960-S と 2960-X に対応する冗長電源は、Cisco Redundant Power System 2300(Cisco RPS 2300)によって提供されます。2960-XR には専用のデュアル冗長電源があり、RPS2300 はサポートしていません。冗長電源の供給に RPS2300 を使用する場合、それぞれのスタック メンバと Cisco RPS 2300 を個別に接続する必要があります。

FlexStack の運用管理


FlexStack スイッチの管理では、既存のスタックでのメンバの追加と削除を行います。このセクションでは、Cisco Catalyst 2960-S または 2960-X スイッチで安全かつ効率的にメンバの追加と削除を行う手法を説明します。

FlexStack の運用

FlexStack の運用状況とメンバの状況を確認するには、Cisco IOS ソフトウェアで「show switch」という CLI コマンドを使用します。このコマンドを実行すると、メンバの数、マスターであるメンバ、すべてのメンバの状況など、基本的な情報が表示されます。以下では、2960-S メンバで構成されるスタックに対する、このコマンドの出力例を示します。

show switch

上の例では、メンバ 1 がマスターです。マスターでは、スタックの優先度が 14 に設定されています。他のすべてのメンバでは、デフォルトの優先度である 1 に設定されています。すべてのメンバの状態は「Ready」です。

スタック メンバは「Ready」以外に、次のいずれかの状態を取ることがあります。

  • 「progressing」:ブート中です。
  • 「mismatch」:ハードウェアまたはソフトウェアの不一致により、メンバが完全に参加できません。
  • 「provisioned」:このメンバは設定済みですが、スタックに含まれておらず、これまでスタックに含まれたこともありません。
  • 「removed」:現在電源が投入されていないスタック メンバ、またはスタックから削除されたスタック メンバが存在する場合、それらのメンバの状態が「removed」と表示されます。

マスターの MAC アドレスが、論理スタックの MAC アドレスとして使用されます。これはマスターのベース MAC アドレスであり、すべての IP 通信に加え、Cisco Discovery Protocol のデータ交換やスパニング ツリー プロトコルで使用されます。

スタックの運用に関するその他の情報を表示するには、次の各コマンドが役に立ちます。

  • Show version:すべてのスタック メンバについて、Cisco IOS ソフトウェアのバージョンを表示します。不一致がある場合に役立ちます。
  • Show switch neighbors:どのメンバがどのスタック ポートに接続されているかを表示します。
  • Show switch stack-ports:各メンバのスタック ポートの状況を表示します。

スタック ポートの接続状況と運用状況を確認するには、「show switch stack-ports」コマンドと「show switch neighbors」コマンドを使用します。前掲の図 5 と 6 を参照してください。図 5 は、完全冗長モードの 3 メンバのスタックを示します。図 6 は、非冗長モードのスタックを示します。以下では、それぞれのスタックで show コマンドを実行した場合の出力を示します。

完全冗長構成の 3 メンバのスタック(図 5):

完全冗長構成の 3 メンバのスタック

非冗長構成の 3 メンバのスタック(図 6):

非冗長構成の 3 メンバのスタック

スタックのマスターは、スタック全体の一元的な管理インターフェイスです。すべての IP 通信(Telnet、SSH、SNMP、ping、HTTP など)は、その通信がどのメンバ経由でスタックに入力されたかに関係なく、マスターによって処理されます。すべてのコンソール アクティビティは、メディアを問わず(RJ45 または USB)、コンソール ポートが接続されているメンバに関係なく、マスターに転送されます。

Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、および 2960-XR は、スイッチ スタックを管理するために、CISCO-STACKWISE-MIB をサポートしています。これは、Cisco Catalyst 3750、3750-E、および 3750-X シリーズ スイッチがサポートしているのと同じ MIB です。

特定のスイッチをスタック マスターにする方法およびマスター選択ルール

スタックでの選択ルール

スタックに複数の物理メンバが存在する場合、それらのメンバのうちの 1 台がスタック マスターとして選択されます。マスターは 1 台のみで、バックアップは 3 台までです(1:3)。

FlexStack でマスターの選択に使用される選択ルールは、次の順序で適用されます。

  1. 現在マスターであるスイッチ
  2. 最高の優先度を持つスイッチ
  3. 設定ファイルを保持するスイッチ
  4. 稼働時間が最も長いスイッチ
  5. MAC アドレス ブロックが最小のスイッチ

既存のスタックに新しいスイッチが参加した場合、ルール 1 と 2 が適用されます。

2 つのスタンドアロン スイッチをまとめて 1 つのスタックを構成したときに、どちらのスイッチも優先度が未設定で、両方に既存の設定ファイルが存在する場合は、稼働時間の最も長いスイッチが選択されます。

特定のメンバをマスターにするには、次の 2 つの方法があります。

  1. 目的のメンバの優先度を他のすべてのメンバより高い値に設定します。これは上記のルール 2 に対応します。
    1. メンバ 1 の優先度を 14 に設定する例:
      C2960-48(config)#switch 1 priority 14
    2. アクティブなマスターを変更するには、この後現在のマスターをリブートする必要があります。優先度を変更しただけでは、アクティブなマスターは変更されません。リブートの前に設定を保存してください。
  2. スイッチをリブートし、電源投入時セルフテスト(POST)が完了した後、スタックに参加可能なすべてのスイッチがブートするのを待つため、約 2 分間の遅延があります。この 2 分間の遅延を選択ウィンドウと呼びます。ネットワーク管理者は、このウィンドウを利用して、まずマスター スイッチにする目的のスイッチに電源を投入します。選択ウィンドウが終了すると、このスイッチは 1 メンバのスタックのマスターになります。最初のスイッチの後でブートした後続のスイッチは、すべて既存のスタックのメンバとなります。

他のルールがいずれも適用できない場合、最小の MAC アドレスを持つスイッチが使用されて、選択に決着が付きます。

スタック内の特定のスイッチをマスターにすることは、ネットワーク管理者にとって好都合です。マスターは一番上のスイッチでも、一番下のスイッチでも構いませんが、スイッチを識別するためには、メンバがどのように接続されているかの情報が役に立ちます。スイッチを交換する必要が生じた場合、対象のスイッチと他のスタック メンバとの相対的な位置関係がわかると非常に便利です。

注: すべての Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、および 2960-XR LAN Base スイッチは、いずれもスタック マスターになれる同等の機能を備えています。スタック内の物理的位置は、スイッチの動作に影響を及ぼしません。

まったく設定されていない複数の新規スイッチに同時に電源を投入すると、最小の MAC アドレスを持つスイッチがマスターとなります。MAC アドレスに基づいて、スタック内のスイッチの役割を決め、導入するのは実践的ではありません。適切な物理メンバをマスターとして新しいスタックを構成するには、ネットワーク管理者は「稼働時間」のルールを使用する必要があります。任意の新しいスイッチを確実にマスターにするには、目的のスイッチの電源を最初に投入します。後続のスイッチは、選択ウィンドウが終了するまで電源を投入せずにいると、最初のスイッチがマスターになります。この時間は約 2 分間で、システム LED と MSTR LED が緑に点灯するまでです。

Cisco Catalyst 2960 スイッチのスタックを作成してセットアップした後、マスターを変更するには、グローバル コンフィギュレーション コマンドの「switch X priority Y」を使用します。ここで、X はマスターにするメンバの番号、Y は使用する優先度の値です。メンバ X をマスターにするには、現在のマスターよりも高い優先度を X に割り当てる必要があります。

デフォルトで、すべてのスイッチの優先度は 1 に設定されています。スイッチの優先度を表示するには、「show switch」コマンドを使用します。

スイッチの優先度を表示

メンバ 1 を確実にマスターにするには、優先度を 1 よりも大きい値に設定する必要があります。以下の例では、メンバ 1 に優先度 14 が割り当てられています。

スイッチの優先度の割り当て

上のコマンドで示したように、マスター以外のスイッチが、マスターより高い優先度を持っていても、すぐにマスターが切り替わるわけではありません。現在のマスターをリブートして、残りのメンバから強制的にスタック マスター選択を行うまで、マスターは変更されません。

2 つのスタックをマージする場合、優先度の設定は重要です。2 つのスタックを FlexStack ケーブルで接続すると、既存のスタックがマージされます。2 つのスタックをマージするのに必要なのは、1 本のケーブルだけです。2 つの既存のスタックをマージすると、マスター選択が行われます。2 つのスタックをマージした場合、両方のスタックにすでにスタック マスターが存在するので、1 番目のルールは適用できません。どちらのスタック マスターが、新しくマージされたスタックのマスターになるかを決定する最良の方法は、優先度の値を使用することです。

注: スタンドアロン スイッチも、1 メンバ構成のスタックです。既存のスタックに、電源が投入されたスタンドアロン スイッチを追加することもスタックのマージです。マージされるスタックのマスターよりも、スタンドアロン スイッチの優先度が高い場合、スタンドアロン スイッチがマージ後のスタックのマスターとなります。スタックのマージを行う間に、新しいマスターが選択プロセスによって選択されます。選択プロセスは、スタックをマージする際およびスタックの電源投入時に使用されます。

ここでも、スタックをマージする際、新しいメンバは選択プロセスが終了するまでリブートされません。既存のメンバはブートされません。

バックアップ マスターの設定

プライマリ マスターの故障に備えて、別のスイッチをバックアップとして設定することを推奨します。バックアップ マスターを設定すると、プライマリ マスターが故障した場合のマスター選択が予測できるようになります。セカンダリ(またはバックアップ)マスターを設定するには、優先度をプライマリ マスターよりも低く、他のすべてのメンバよりも高い値に設定します。上の例では、プライマリ マスターの優先度が 14 に、他のすべてのメンバの優先度が 1 に設定されています。ここで、任意のメンバの優先度を 1 よりも大きく、14 よりも小さい値に設定すれば、そのメンバがセカンダリ マスターになります。

メンバ番号の確認

新規のスイッチでは、最初にスイッチに電源を投入するのと同じ順序で、メンバに番号が割り当てられます。新規のスイッチにはメンバ番号がなく、デフォルトはメンバ 1 です。新規のスイッチが既存のスタックに追加されると、新しいメンバには、次に利用可能なメンバ番号が割り当てられます。2 番目のスイッチに電源を投入すると、メンバ番号 2 が割り当てられ、3 番目のスイッチに電源を投入すると、メンバ番号 3 が割り当てられるというように続きます。

順序を考慮することなく新しいメンバに電源を投入すると、メンバ番号はランダムに割り当てられます。メンバ番号の順序が物理レイアウトに一致しない場合、メンバ間の FlexStack 接続を理解するのが困難になることがあります。

スタック内にあるスイッチのメンバ番号は、変更することができます。これはスタックの動作に必須ではありません。メンバ番号がスタック メンバの物理レイアウトと一致しなくても、スタックは問題なく動作します。しかし、メンバ番号が物理レイアウトに一致し、スタックやそのメンバを容易に管理できるのが理想的です。

メンバ番号の変更には、Cisco IOS ソフトウェアの CLI を使用します。メンバ番号の変更を有効にするには、スイッチをリブートする必要があります。以下の例では、メンバ 4 の番号をメンバ 3 に変更しています。

Switch(config#) switch 4 renumber 3

注意:メンバ番号を変更すると、古いメンバのインターフェイスに対する設定が失われます。インターフェイスに対するすべての設定は、メンバ番号に基づいて行われています。メンバを変更した場合、現在のメンバの設定が変更されたり、新しいメンバ番号にコピーされたりすることはありません。上の例では、メンバ 4 のすべてのイーサネット インターフェイスの設定は失われ、メンバ 3 の設定は不明です。メンバ番号を変更する際はこの点に注意し、インターフェイスを再設定できるように準備してください。

各メンバのメンバ番号は、リブートまたは電源の再投入後も維持されます。メンバはスタック内でブートすると、そのメンバ番号をスタックに通知します。競合がなければ、メンバ番号が維持されます。2 つの異なる物理メンバが同じ番号を持つことで競合が生じた場合は、スタックに先に参加したメンバがその番号を維持し、新しいメンバは番号を変更する必要があります。このような競合状況では、次に利用可能なメンバ番号が新しいメンバに割り当てられます。

メンバはリブート後もそのメンバ番号を維持するので、スタック間をメンバが移動した場合、メンバ番号の競合が生じる可能性があります。メンバ番号を変更する機能は、メンバ番号の競合を解決するために不可欠です。

既存のスタックへのメンバの追加

比較的容易な手順で、新しいメンバを既存のスタックに動的に追加できることは、FlexStack の大きな利点です。既存のスタックに追加された新規のスイッチは、メンバとして参加します。新しく追加されたメンバには、次に利用可能なメンバ番号が与えられます。新しいメンバをスタックに追加すると、そのメンバの設定を消去するためリブートが行われます。リブート終了後、新しいメンバにはスタックの設定が適用されています。

FlexStack は完全冗長モードで使用することをお勧めします。メンバを既存のスタックに追加するには、少なくとも 1 本の FlexStack リンクを切断し、既存のスタックを非冗長モードで動作させる必要があります。この切断により、スタック内でごく短時間、トラフィックが中断します。トラフィックは、スタックが非冗長モードの間に再開します。ネットワーク管理者は、トラフィックを流すために、完全冗長モードで FlexStack リンクを接続する必要はありません。FlexStack リンクが完全冗長モードに戻るとき、再度、短時間のトラフィック中断が発生します。ネットワーク管理者は、トラフィックの中断時間を短縮するため、FlexStack リンクの動作変更の数を制限するよう努める必要があります。

Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、および 2960-XR スイッチは、スタックに参加するために電源を切断する必要がありません。しかし、新しいメンバが既存のスタックに参加する際には、いずれにせよ設定を消去するためにリブートされます。新しいメンバはスタックによって自動的にリブートされます。リブートは、動作としては、スイッチの電源を切断してから再度投入するのと同じです。そこで新しいスタック メンバを既存の FlexStack に追加する際は、電源を切断することをお勧めします。FlexStack ケーブルを接続した後、新しいメンバの電源を投入してください。

以下では、新しいメンバを既存のスタックに追加するための手順を示します(図 9)。新しいメンバをマスターにすることはお勧めできません。ラックの導入において、新しいスイッチは通常、既存の FlexStack の一番上か一番下に追加されます。この例では、スイッチの既存のスタックの一番下にスイッチを追加する方法を示します。

  1. 新しいスイッチを設置場所に配置します。電源コードはまだ接続しないでください。ダウンタイムを最小限に抑えるため、稼働させるスイッチで必要となるすべての配線をこの時点で完了します。
  2. FlexStack モジュールを新しいメンバの背面に挿入します。
  3. 新しいメンバのすぐ上に設置されている既存のメンバから FlexStack ケーブルを取り外します。これは、一番下のメンバと一番上のメンバを接続するケーブルです。このケーブルは、スタックの一番下に追加される新しいメンバと一番上のメンバを接続するために必要です。
    1. FlexStack ケーブルを取り外すと、その時点でスタックが非冗長モードになります。
  4. FlexStack ケーブルで、新しいメンバとすぐ上のメンバを接続します。メンバ間の接続にどの FlexStack ポートを使用するかは重要ではありません。スタック メンバは、ネットワーク管理者が容易にケーブルを管理できるように相互接続されている限り、任意の方法で接続できます。
  5. もう 1 本の FlexStack ケーブルを一番上のメンバに接続します。すべてのケーブルが適切に接続されていることを確認します。FlexStack ケーブルを軽く引っ張って、適切に取り付けられていることを確認します。
  6. AC 電源コードを新しいメンバに接続します。メンバに電源が投入されます。新しいメンバがブート プロセスを完了するまで、数分間かかります。
  7. 新しいメンバが既存のスタックに、マスターではなくメンバとして参加します。
    1. 新しいメンバがブート プロセスを完了すると、その時点でスタックが完全冗長モードに戻ります。
  8. すべての接続が正しく行われていれば、FlexStack リンクが動作します。
図 9 既存のスタックへの新しいメンバの追加

図 9 既存のスタックへの新しいメンバの追加


すべての作業を円滑に行えば、既存のメンバ上で発生するトラフィックの中断を最小限に抑えることができます。中断は少なくとも 2 回発生しました。1 回目は、ステップ 3 で FlexStack ケーブルを取り外したときです。2 回目は、電源投入後、新しいスイッチがスタックに参加したときです(ステップ 7)。これら 2 回の中断の間、トラフィックは既存のメンバおよび稼働状態にある FlexStack リンクに継続的に切り替えられます。

既存のスタックからのメンバの削除

FlexStack には、これまでのすべてのメンバの記録が保存されています。メンバが物理的に取り外された場合や、単に電源が切断されている場合、FlexStack はそのスイッチを現在アクティブでないだけで、あくまでメンバであると認識します。スタックが削除されたメンバの記録を保存する理由は、ほとんどの場合、メンバが再度スタックに戻されるからです。たとえば、メンバの電源を切断した後、再度投入すると、メンバは既存のスタックに再参加し、ブートプロセスの完了時に、メンバ固有のすべての設定が再適用されます。これは、ごく一般的に見られる現象です。

メンバを取り外した場合は、スタック設定を「クリーン アップ」することをお勧めします。これにより、メンバはスタック設定から削除されます。以下に、スタック メンバ 4 を物理的にスタックから取り外した後、設定から削除するコマンドの例を示します。

C2960-48(config)#no switch 4 provision

メンバを取り外した後も、ネットワーク管理者が設定を「クリーンアップしない」ことにした場合、その設定は、スタックの実行コンフィギュレーションとスタートアップ コンフィギュレーションに残ります。この余分の設定を残しておくと、コンフィギュレーション ファイルである「config.text」が必要以上に大きくなります。

スイッチを交換する場合、FlexStack スタック構成では、メンバ スイッチを同一モデルに交換するのが非常に簡単です。FlexStack は、メンバのモデル番号の記録は保存していますが、MAC アドレスは記録していません。スイッチの交換にあたって、古いメンバを同じ Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、または 2960-XR モデルと交換する場合、FlexStack スタックに新しいスイッチを挿入すると、前のメンバの設定が新しいスイッチに継承されます。新しいスイッチが交換前のスイッチと正確に一致しない場合、古い設定は使用されません。スタック内に新しいメンバのための空き容量がある場合、新しいスイッチがスタックに追加されます。スタックのサイズが上限に達している場合は、交換前のメンバの設定が削除されます。

マスター スイッチの交換では、1 つ、明らかにすべき項目があります。スイッチの優先度(コマンド「switch X priority Y」で設定)は、実行コンフィギュレーションやスタートアップ コンフィギュレーションに保存されません。交換用のスイッチをスタックに設置しても、スイッチの優先度は継承されません。新しいスイッチには、デフォルトの優先度である 1 が設定されます。新しいスイッチをマスターにするには、ネットワーク管理者は新しいスイッチに対し、他のすべてのメンバよりも高い優先度を設定する必要があります。この設定を行った後は、既存のマスターをリブートして(またはスタック全体をリブートして)マスターの変更を有効にする必要があります。新しいメンバの優先度を設定しただけでは、マスターの変更を開始することはできません。スタック全体をリブートした場合、新たに追加された最も優先度の高いスイッチが、スタック マスターになります。マスターのみをリブートした場合、既存のメンバでマスター選択が実行されます。最も優先度の高いスイッチが、スタック マスターになります。従来のマスターはリブートされ、メンバとしてスタックに参加します。

スタック上での Cisco IOS ソフトウェア リリースのアップグレード

FlexStack は、1 つのコマンドですべてのメンバをアップグレードできます。1 つのコマンドでアップグレードが完了するので、ネットワーク管理者の運用上の負担が軽減されます。アップグレードを開始するコマンドは、マスターで実行されます。マスターは各メンバが正しくアップグレードされたことを確認します。

FlexStack スタックをアップグレードするには、次の Cisco IOS ソフトウェアの CLI コマンドを使用します。

“archive download-sw [options] <source-file>.”

デフォルトの動作では、すべてのメンバがアップグレードされます。

archive download-sw」コマンドでオプションを使用すると、アップグレード方法を詳細に制御できます。オプションを使用することで、スタック全体をアップグレードするのではなく、単一のメンバのみをアップグレードすることもできます。またネットワーク管理者が別途リブートを行うのではなく、アップグレードが正常に完了した場合にスタックをリロードすることも可能です。

「ソース ファイル」は、Cisco.com からダウンロードされる tar ファイルで、イメージ ファイルと呼ばれます。この tar ファイルは、Trivial File Transfer Protocol(TFTP)または FTP を使用してネットワーク経由でコピーできます。スイッチのスタックをアップグレードする最も一般的で推奨される方法は、TFTP を使用する方法です。ネットワーク管理者は、tar ファイルを対象の Cisco IOS ソフトウェア イメージとともに、ネットワーク内の TFTP サーバにコピーする必要があります。「archive download-sw」コマンドで、TFTP サーバの IP アドレスとイメージ ファイルの名前をソース ファイルとして使用します。宛先ファイル名は不要です。

以下に、「archive download-sw」コマンドを使用して、Cisco Catalyst 2960-S スイッチのスタックをアップグレードする例を示します。スタック内のメンバ数は、このコマンドに関係がないことに注意してください。ネットワーク管理者がオプションを使用して特に指定しない限り、デフォルトではすべてのメンバがアップグレードされます。TFTP の IP アドレスは 192.168.1.1、tar ファイル名は c2960s-universalk9-tar.122.53.SE.tar です。

C2960-48# archive download-sw tftp://192.168.1.1/c2960s-universalk9-tar.150-2.SE3

また以下の例では、2960-S と 2960-X の 2 つのモデルを混合した FlexStack スタックをアップグレードする方法を示します。ここでも同じ「archive download-sw」コマンドを使用します。ただしこのコマンドでは、コマンドラインで 2 つの Cisco IOS ソフトウェア イメージが指定されています。2960-S は 2960-X と異なる Cisco IOS ソフトウェア イメージを実行するので、2 つの異なるイメージが必要です。ただし、2 つのイメージは違っても、両方のイメージが同じリリースである必要があります。メンバを同じリリースに維持することは重要です。2960-S と 2960-X のメンバで構成される混合スタックで、片方のモデル タイプのみをアップデートした場合、次回スタックをリロードしたときに、「mismatch」のためにスタックが適切に形成されない危険性があります。

C2960-48h# archive download-sw tftp://192.168.1.1/c2960s-universalk9-tar.150-2.SE3 tftp://192.168.1.1/c2960x-universalk9-tar.150-2.SX

ネットワーク接続ができない場合、USB フラッシュ ドライブからイメージ ファイルを読み取って、スタックをアップグレードすることができます。USB フラッシュ ドライブは、スイッチ前面の USB A スロットに挿入します。フラッシュ ドライブには、Cisco Catalyst 2960-S または 2960-X の Cisco IOS ソフトウェア イメージが格納された tar ファイルを保存する必要があります。USB フラッシュ ドライブは、それが挿入されたメンバによって参照されます。たとえば、USB フラッシュ ドライブをメンバ 2 に挿入した場合は、「usbflash2:」と参照されます。上の例で使用したのと同じダウンロード コマンドを使用しますが、ここでは TFTP サーバではなく USB フラッシュ ドライブをポイントします。

C2960-48# archive download-sw usbflash2:c2960s-universalk9-tar.150-2.SE3 usbflash2:c2960x-universalk9-tar.150-2.SX

Cisco IOS ソフトウェアの CLI コマンド、「archive download-sw …」は非常に柔軟でありながら、使いやすいコマンドです。このコマンドを使用すると、複数の場所(FTP、TFTP、フラッシュ ドライブなど)からソース イメージを取得できます。またこのコマンドではアップグレード プロセスを詳細に制御できます。「archive download-sw」コマンドの詳細については、Cisco.com にある Cisco Catalyst 2960-X のソフトウェア コンフィギュレーション ガイドを参照してください。

メンバの事前プロビジョニング

FlexStack では、将来のメンバに対する事前プロビジョニングが可能です。これにより、ネットワーク管理者はまだ参加していないメンバに対して、イーサネット インターフェイスを設定できます。ネットワーク管理者が特定のインターフェイスの設定方法についての知識がある場合、管理者が事前に設定しておくことで、新しいメンバをスタックやネットワークに容易に挿入できます。この方法は、エンドユーザに接続するすべてのインターフェイスの設定が、すべてのスタック メンバについて同一である場合に便利です。新しいメンバをスタックに追加したとき、それらのメンバが事前プロビジョニングされていれば、ネットワーク管理者はスタックに戻って新しいインターフェイスを設定する必要がなくなります。

たとえば、ネットワーク管理者は、将来のメンバのインターフェイス 49 と 50 が、別のイーサネット スイッチに接続されて、アップリンクとして使用されることを知っているとします。またインターフェイス 1 〜 48 はエンドユーザのデスクトップに接続されます。この場合、ネットワーク管理者は、イーサネット インターフェイス 49 と 50 を適切な VLAN メンバーシップ用に設定することで、VLAN をアップストリーム スイッチに確実に一致させることができます。ネットワーク管理者は、メンバ数をサポートされているスイッチ モデルに一致させることで、メンバ数の事前プロビジョニングを行います。管理者が次に利用可能なメンバ番号を選択することが理想的ですが、利用可能な任意のメンバ番号を選択することもできます。

この例では、3 台構成の既存のスタックに 4 番目のスイッチを追加する方法を示します。「show switch」の出力から、次に利用可能なメンバ番号は 4 です。管理者は、メンバを事前プロビジョニングし、モデルを一致させた後、インターフェイス Gi4/0/1-Gi4/0/48、Gi4/0/49、および Gi4/0/50 を設定できます。以下では、この事前プロビジョニングを実装するための CLI コマンドを示します。スイッチを事前プロビジョニングした後、将来のメンバ上のすべてのインターフェイスを設定できます。

3 台構成の既存のスタックに 4 番目のスイッチを追加

FlexStack 構築のために推奨される導入戦略


FlexStack の導入に際して検討すべき重要な項目を以下に示します。

  • 少なくとも 2 台のスタック メンバ上にアップリンクが存在するようにスタックを構成します。
  • クロススタック EtherChannel を使用して、アップリンク上のトラフィックのロード バランスを図ります。
  • 2 本の物理リンクのみが存在し、EtherChannel が存在しない場合、バックアップ インターフェイスと呼ばれる機能を使用します。
  • アップリンクとして 10 ギガビット イーサネットを使用する場合、可能であれば、10 ギガビット イーサネット アップリンクすべてのスタック メンバに分割します。
    • スタックから集約装置に少なくとも 2 本のアップリンクを確保することが常に推奨されます。
    • これは、スタック構成が存在するかどうかに関係なく、あらゆる導入に共通の標準的なベスト プラクティスです。このことは、物理リンクの冗長性について推奨されます。
  • アップリンクを他のスタック メンバに分散できる場合は、スタック マスターがアップリンクを持たないことが推奨されます。
    • この推奨事項は、3 台以上のメンバで構成されるスタックにのみ該当します。
    • マスターが故障し、マスターにアップリンクが存在する場合、それらのアップリンクも使用できなくなります。マスターが故障してもアップリンクが存在しなければ、トラフィック損失は最小限に留まります。
    • 1 台のメンバをバックアップ マスターとして設定します。バックアップの設定には、Cisco IOS ソフトウェアの CLI コンフィギュレーション コマンド「switch <member number> priority <1-15>」を使用します。マスターが故障した場合、確定的なバックアップを用意しておくと役立ちます。
  • 4 台のメンバで構成されるスタックにアップリンクが 2 本しかない場合、FlexStack リンクに直接接続されていないメンバにアップリンクを接続します。直接接続されたメンバとは、FlexStack 接続にともに接続されているメンバです。このことが関係するのは、4 台のメンバを持つ FlexStack グループのみです。
    • この推奨事項は、純粋にスタック帯域幅の効率性のみを考慮しています。直接接続されたメンバに FlexStack アップリンクを配置するのは、スタック帯域幅の点で非効率です。4 メンバのスタックで、メンバが 1-2、2-3、3-4、4-1 と接続されている場合、アップリンクをメンバ 2 と 4 または 1 と 3 に配置します。(図 10 を参照)。
図 10 2 本のアップリンクがある 4 メンバのスタック

図 10 2 本のアップリンクがある 4 メンバのスタック


FlexStack および FlexStack-Plus と StackWise Plus および StackWise-480 の比較


FlexStack と FlexStack-Plus の機能は StackWise® Plus をベースとしています。StackWise Plus が動作する Cisco Catalyst 3750-E または 3750-X スタックの管理を熟知したネットワーク管理者にとって、FlexStack の管理はどれもよく似ています。しかし FlexStack や FlexStack-Plus と StackWise Plus の間には、相違点もあります。このセクションでは、これらの類似点と相違点について説明します。

動作の点で、FlexStack と StackWise Plus は類似しています。スイッチの管理方法に、類似点があります。スタックの管理に関する一元的窓口が存在します。すべてのスイッチ設定はマスターから実行され、グローバルに適用されます。スタックは、すべてのデータ トラフィックに対する単一のフォワーディング プレーンとして認識されます。FlexStack は、EtherChannel、FlexLinks、および スパニング ツリー プロトコルなどの、ハイ アベイラビリティのクロススタック機能をサポートします。

動作上の相違点は軽微であり、スイッチ スタックの動作面での相違点と言うよりも、2 つの異なるファミリのイーサネット スイッチ上での Cisco IOS ソフトウェア フィーチャ セットに関連する相違点です。Cisco Catalyst 3750-E、3750-X、および 3850 シリーズ スイッチでは、ライセンスを使用してフィーチャ セットを管理しているのに対し、Cisco Catalyst 2960-S と 2960-X スイッチでは、フィーチャ セットのライセンスが存在しません。Cisco Catalyst 3750-E、3750-X、および 3850 シリーズ スイッチがすべてのレイヤ 3 機能(レイヤ 3 転送や IP ルーティングなど)をサポートしているのに対し、2960-S と 2960-X は、LAN Base によるスタティック ルーティングのみをサポートしています。2960-XR は、IP-Lite フィーチャ セットによるフル ルーティングをサポートしています。

表 5 では、FlexStack-Plus と StackWise Plus の相違点(グレー)と類似点(オレンジ)を示します。

表 5 FlexStack-Plus と StackWise Plus の比較

スタック機能 Cisco Catalyst 2960-S FlexStack スタック構成 Cisco Catalyst 2960-X FlexStack-Plus スタック構成 Cisco Catalyst 3750-X StackWise Plus Cisco Catalyst 3850 StackWise- 480
デバイス制限 4 台 8 台 9 台 9 台
スタック帯域幅 40 Gbps 80 Gbps 64 Gbps 480 Gbps
アーキテクチャ ハードウェア ドロップ テーブル ハードウェア ドロップ テーブル リング(宛先除去機能) リング型
動的なリング ロード バランシング なし なし あり あり
スタックのコンバージェンス 1 〜 2 秒 100 ミリ秒 数ミリ秒 数ミリ秒
リンク障害検知 ソフトウェア ハードウェア ハードウェア ハードウェア
スタックの Quality of Service(QoS) ホップごとに適用 ホップごとに適用 入力時に適用 入力時に適用
管理 単一の IP アドレス、SNMP、SYSLOG 単一の IP アドレス、SNMP、SYSLOG 単一の IP アドレス、SNMP、SYSLOG 単一の IP アドレス、SNMP、SYSLOG
構成 単一の設定、CLI、イメージ/設定の自動更新 単一の設定、CLI、イメージ/設定の自動更新 単一の設定、CLI、イメージ/設定の自動更新 単一の設定、CLI、イメージ/設定の自動更新
表示コマンドとデバッグ コマンド 統合型 統合型 統合型 統合型
単一のフォワーディング/制御プレーン アドレス解決プロトコル(ARP)/MAC アドレス/インターネット グループ管理プロトコル(IGMP)/VLAN テーブルの同期 ARP/MAC アドレス/IGMP/VLAN テーブルの同期 ARP/MAC アドレス/IGMP/VLAN テーブル/ルーティング テーブルの同期 ARP/MAC アドレス/IGMP/VLAN テーブル/ルーティング テーブルの同期
クロススタック機能 あり あり あり あり
単一のブリッジ ID あり あり あり あり
冗長性 スタック マスターによる 1:N 冗長 スタック マスターによる 1:N 冗長 スタック マスターによる 1:N 冗長 事前に決定された単一のスタンバイを持つスタック アクティブ マスター


FlexStack、FlexStack-Plus、および StackWise-480 間の相違点は、ハードウェア アーキテクチャの違いに根ざしています。StackWise-480 は、より優れたアーキテクチャです。StackWise-480 は、デュアル冗長構成のリング アーキテクチャで、個別のリンクが双方向 240 G bps で動作します。StackWise-480 接続は純粋なイーサネット リンクではなく、いずれのリングにもパケットを送出できるデュアル リング アーキテクチャです。FlexStack と FlexStack-Plus リンクは、全二重方式 10 Gbps または 20 Gbps のイーサネット リンクです。スタックのハイ アベイラビリティの点では、リング アーキテクチャを持つ StackWise-480 が、FlexStack や FlexStack-Plus よりはるかに優れています。

表 5 に示すように、StackWise-480 ではスタックのコンバージェンスがミリ秒単位で測定されるのに対し、FlexStack では秒単位です。これはリング アーキテクチャによる差です。スタックに入力された StackWise-480 パケットは、いずれのリングにも転送できます。片方のリングが機能を停止した場合、すべての入力パケットが単一のリングに強制的に転送されます。リングの速度は 240 Gbps で、スタック全体に容易に対応します。動作を停止した単一のリンクのリカバリ時間は、スタック内のメンバ数に依存しません。このことは、すべてのスタックサイズで一貫しています。FlexStack では、1 本のリンクが動作を停止すると、スタック全体のパケット転送に中断が生じます。メンバが新しいトポロジを再検出する必要があります。この再検出時間は、スタック内のメンバ数によっては、最大 1 〜 2 秒かかることがあります。小規模なスタックは、大規模なスタックよりも高速に再コンバージェンスできます。

FlexStack と FlexStack-Plus スタック リンクはイーサネット リンクなので、1 つのスタック メンバから別のスタック メンバにパケットを転送するには、各メンバがパケットを転送する必要があります。このことはホップ バイ ホップと呼ばれ、入力メンバから出力メンバまでのデータ パスに存在するすべてのメンバがパケットをホップする必要があることを意味します。すべてのメンバが、パケットを認識するわけではありません。データ パス上にあるメンバのみがパケットを転送します。このホップ バイ ホップの動作は、異なるイーサネット スイッチが、相互にパケットを転送する動作と同じです。ホップ バイ ホップでは、各メンバがパケットをキューイングする必要があります。パケットをキューイングしていることは、各ホップに対して QoS が適用されることを意味します。2 つのメンバ間のスタック リンクが輻輳する場合、1 台のメンバにパケットが入力されても、輻輳のためにそのパケットが別のメンバによって破棄される可能性があります。1 本のリンクが輻輳する場合、パケットの転送状況を動的に調整する方法はありません。

StackWise-480 では、パケットがいったんリングに入力されれば、宛先インターフェイスまでの転送が保証されます。これに加えて、StackWise-480 リングは、動的にロード バランスを行うので、StackWise-480 においてリングの輻輳は問題ではありません。

トラブルシューティングのヒントと動作の詳細


FlexStack のメンバの追加

新しいスイッチが既存のスタック(つまり、すでにマスターを選択済みのスタック)に参加すると、その新しいスイッチは参加後にリブートします。これは、古い設定を削除するためです。新しいスイッチはリロードの完了後、既存のスタックのメンバとなります。事前プロビジョニングが行われていない場合、この新しいメンバに対し、次に利用可能な未使用のメンバ番号が割り当てられます。スイッチ メンバの事前プロビジョニングについては、Cisco.com で Cisco Catalyst 2960-S および 2960-X ソフトウェアのコンフィギュレーション ガイドを参照してください。この動作については、以降のセクションで詳細に説明します。

FlexStack ケーブルと接続に関する詳細

FlexStack ケーブルを接続する際には、ケーブルのキーをコネクタに合わせてください。方向が正しければ、ケーブルを無理なく差し込めます。ケーブルが正しい位置に収まると、「カチッ」という音がして、ケーブルが適切に接続されたことがわかります。スムーズに差し込めない場合は、ケーブルを 180 度回転させてケーブルのキーをコネクタに合わせてください。ケーブルについているタブが互いに外向きになるようにケーブルを接続します。

図 11 では、1 本の FlexStack ケーブルまたは接続(B と示されているリンク)が故障しているスタックを示します。このスタックでは、半分の帯域幅しか提供されておらず、冗長接続でもありません。故障した FlexStack リンクは、動作の上からは FlexStack リンクが存在しないのと同じです。

スタック内に、故障したまたは接続されていないスタック ポートがあるかどうかを確認するには、「show switch stack-ports」コマンドを使用します。図 11 では、非冗長構成のスタックにおけるスタック ポート接続を示します。

図 11 障害が発生しているスタック リンク

図 11 障害が発生しているスタック リンク


障害が発生しているスタック リンク

図 12 では、非冗長接続のスタックを示します。B の FlexStack リンクが切れると、この FlexStack は 2 つの論理スイッチに分割されます。上と中央の 2 台のメンバは、2 メンバで構成される 1 台の論理スタックを形成し、残りの論理スタックには、メンバが 1 台だけ含まれています。

図 12 分割されたスタック

図 12 分割されたスタック


分割されたスタック

まとめ


FlexStack と FlexStack-Plus は、ネットワーク管理者が複数のスイッチを管理できる使いやすいテクノロジーです。Cisco Catalyst 2960-S、2960-X、および 2960-XR スイッチは、FlexStack と FlexStack-Plus テクノロジーを搭載し、豊富な機能を備えたレイヤ 2 スイッチです。FlexStack と FlexStack-Plus は、ハードウェア冗長性と使いやすさを内蔵しています。