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技術概要Cisco Incident Control System2004 年に、トレンドマイクロ社の World Tracking Center では計 37,822,805 件のウイルス感染が記録されました。アンチウイルス ソフトウェアを販売する他のベンダーでも、同様の件数が記録され、実際の感染はこの数値の 10 倍であると推測されています。感染が世界中で報告され、数千から数百万のユーザに影響が及ぶと、通常は大規模感染とみなされます。2004 年には、トレンドマイクロ社は 28 件のウイルスの大規模感染を宣言しました。ICSA の Tenth Annual Virus Prevalence Survey によると、大規模感染によってウイルスに感染した組織における復旧コストは、平均で 130,000 米ドルでした。 このように増加し続けるウイルスの脅威に対抗するために、シスコシステムズとトレンドマイクロ社は、ネットワークの脅威に対する高レベルの保護や、より高度なサービスを、リアルタイムで脅威を軽減する形式で業界に提供するための共同イニシアティブに着手しました。この共同の取り組みにより、シスコおよびトレンドマイクロ社は、セキュリティ プロフェッショナル向けの新しい強力なソリューションとなる Cisco Incident Control System(ICS)を開発しました。Cisco ICS ソリューションの中心となっているのは、Cisco ICS サーバです。このソフトウェアは、管理センターおよび配信センターとして機能し、お客様がさまざまなシスコ製ネットワーク デバイスに、感染への迅速な対応を可能にする感染抑制ポリシーを導入できるようにします。Cisco ICS を使用すると、新たに検出された大規模感染から引き起こされる脅威のネットワークへの侵入を、これらのネットワーク デバイス上で効率的かつ迅速に防御できるようになります。 Cisco ICS ソリューションのネットワークに対する総体的なアプローチおよび認識方法に、トレンドラボの脅威に関する優れた専門知識および対応機能を組み合わせることにより、Cisco ICS は、Cisco Services for IPS サービス製品向けの重要な付加機能になります。Cisco ICS は、ウイルスの脅威がネットワーク全体に侵入して伝播するのを防ぐ優れた効果を発揮するだけでなく、侵入が限定されている場合はそれらのウイルスを全滅させます。また、新たな脅威をほぼ即時に認識して対応する機能をネットワーク全体に提供し、シスコのインフラストラクチャ デバイスがこれまでよりも迅速に感染抑制ポイントとして機能できるようにします。 製品コンポーネントの概要Cisco ICS ソリューションは、Cisco ICS サーバ ソフトウェアと感染抑制デバイス用ライセンスの 2 つのコンポーネントで構成されています。感染抑制デバイスとは、Cisco ICS が提供する大規模感染防止ポリシーの受信側として Cisco ICS サーバが認識する、シスコのネットワーキング製品です。ライセンスには、次の異なる 3 種類があり、これらは感染抑制デバイスの機能の 1 つとなります。
この運用モデルは、Cisco ICS サーバ ソフトウェアのコピーおよび必要な数の Cisco ICS ライセンスを購入する管理者が対象となります。製品を登録し、すべてのコンポーネントのライセンス キーを取得したあとで、お客様が使用するハードウェアに Cisco ICS サーバ ソフトウェアがインストールされ、ICS サーバにライセンス キーがインストールされます。管理者は、Cisco ICS ライセンスを適切な感染抑制デバイスに関連付ける必要があります。この関連付けにより、これらのデバイスが新たに検出された大規模感染の感染抑制ポイントになります。 Cisco ICS図 1 にCisco ICS の動作を示します。この図では、トレンドラボで識別された悪意のあるソフトウェアによる大規模感染に対して Cisco ICS が迅速に反応し、脅威に対応するためのインテリジェンスをネットワーク インフラストラクチャ全体に提供しています。 動作設定と構成が完了すると、Cisco ICS はいくつかの段階を経て動作します。ここでは、それについて説明します。 脅威の検出および識別と OPACL の展開 トレンドラボでは、世界中のインターネットおよびその他の情報ソースを監視し、新たな大規模感染がないか調査しています。また、脅威の分析、迅速かつ永続的な対応が可能なシグニチャの作成、目視検査、機能テスト、障害アラームのテスト、企業の ActiveUpdate(AU)サーバへのパターンのアップロードなどを通して、詳細な対応を行っています。悪意のあるソフトウェアによる新たな感染が検出されると、トレンドラボのウイルス専門家は、脅威の分析、分類、および識別を開始します。この迅速な初期段階の作業により、Outbreak Prevention Access Control List(OPACL)が作成されます。OPACL は、通常はその性質上、きめ細かな対策を提供するものではありません。つまり、短期間のソリューションとして、ポートまたはプロトコルを遮断し、悪意のあるソフトウェアのネットワークへの侵入または拡大を防ぐのが目的となります。この性質上、OPACL は通常のネットワークの動作に悪影響を及ぼす可能性があるため、一時的な手段と考える必要があります。通常、OPACL は、ウイルスの大規模感染が検出されてから 15 分以内にトレンドラボからリリースされます。OPACL は その後、トレンドマイクロ社の AU サーバに配置され、Outbreak Management Task(OMT)の一部として Cisco ICS サーバでダウンロードできるようになります。Cisco ICS サーバは、トレンドラボの AU サーバを常にポーリングし、大規模感染の発生と OMT の存在を確認します。Cisco ICS サーバで OMT の存在が確認されると、Cisco ICS によるタスクの作成、管理者への通知の送信、および OPACL の自動ダウンロードが行われ、この OPACL が設定済みのシスコの感染抑制デバイスに自動的に展開されます(自動展開が設定されている場合)。Cisco ICS サーバの自動展開を設定していない場合、管理者は OPACL を検査し、必要な変更を行ってから手動で導入することができます。OPACL は HTTPS を使用して Cisco IPS デバイスに送信され、デフォルトの Secure Shell(SSH)プロトコルまたは Telnet を使用してルータおよびスイッチに送信されます。 OPSig の作成と展開 OPACL のリリース後、トレンドラボは、その他のすべてのタイプのトラフィックから脅威を一意に識別する Outbreak Prevention Signature(OPSig)を引き続き作成します。通常、トレンドラボはウイルスの大規模感染の検出から 90 分以内にこの OPSig を作成し、トレンドマイクロ社の AU サーバで使用できるようにします。この時点で、OPSig は進行中の OMT の一部として Cisco ICS サーバでダウンロードできるようになります。Cisco ICS サーバはこの OPSig を自動的にダウンロードし、永続的な手段として IPS 対応の感染抑制デバイスに展開するとともに、以前にインストールされた OPACL と置き換えます。これにより、以前に配布された OPACL によって中断が発生していた場合でも、完全に正常なネットワーク運用に戻ることができます。OPSig が提供する保護は、Cisco Signature Development Team でも使用できるようになるとともに、有効な Cisco Services for IPS サービス契約を結んでいるすべての Cisco IPS 対応製品で使用できる標準のシグニチャ更新の一部としてリリースされます。通常、この更新は、大規模感染が識別されてから 6 ~ 8 時間以内に使用可能になります。 製品の詳細サービス タイプ Cisco ICS ソリューションでは、ACL 保障と IPS 保障の 2 つのタイプの保障を提供しています。 ACL 保障ACL 保障では、感染抑制デバイスに OPACL を提供します。ACL 保障は、IDS ソフトウェアまたは IPS ソフトウェアを実行しておらず、ACL またはフィルタをサポートしているシスコ製品に適用されます。このレベルの保障の対象となる Cisco ACL 対応製品は表 1 に示されています。また、以下が含まれます。
Cisco ICS の要件として、ACL 保障の対象となるすべてのデバイスには、有効な Cisco SMARTnet® 契約または同等のパートナー サポート プログラムが必要です。 IPS 保障IPS 保障では、感染抑制デバイスに OPACL と OPSig を提供します。IPS 保障は、完全にロード可能な IPS シグニチャ機能を備えたすべてのシスコ製品に適用できます。このレベルの保障の対象となる Cisco IPS 対応製品は、次のとおりです。
Cisco ICS の要件として、IPS 保障の対象となるすべてのデバイスには、有効な Cisco Services for IPS サポート契約が必要です。 また、この資料の前半で説明したように、IPS 対応デバイスの IPS パフォーマンス関連機能に基づいた IPS ライセンスには、2 つのタイプ(ハイエンド IPS ライセンスおよびローエンド IPS ライセンス)があります。この 2 つのタイプの IPS ライセンスの機能と動作は同じです。Cisco ICS サーバにインストールし、特定の感染抑制デバイスに割り当てる必要のある、感染抑制デバイスのライセンス タイプが異なるだけです。 表 1 に、サービスとライセンスのタイプ、および感染抑制デバイスに最小限必要なソフトウェアのバージョンを示します。 表 1 互換性のあるデバイス、必要なソフトウェア バージョン、ライセンス タイプ、およびサービスの前提条件
要件および設定 企業で Cisco ICS ソリューションを実装するには、Cisco ICS サーバ ソフトウェアをインストールするためのサーバ プラットフォームが必要です。前述のとおり、迅速な対応が可能な大規模感染抑制ポリシーの受信側として機能する、シスコの感染抑制デバイスも必要です。 Cisco ICS ソフトウェアは、表 2 に示すハードウェアおよび OS の最小要件を満たすサーバ プラットフォームにインストールする必要があります。 表 2 ハードウェアおよび OS の最小要件
大規模感染防止サービスに必要なコンポーネントで発注可能なものは、シスコ製品番号で示されています。これにより、お客様はご使用の環境と必要な構成シナリオに応じて、Cisco ICS サーバ ソフトウェアと 3 つのタイプの Cisco ICS 年間ライセンスを発注できます。表 3 に発注可能なシスコ製品番号を示します。 表 3 発注可能な製品番号
Cisco ICS サーバをインストールする前に、管理者は出荷製品ごとの指示に従って、製品コンポーネントを登録し、適用可能なライセンス キーを取得する必要があります。Cisco ICS サーバのインストール時に、メッセージが表示され、管理者は Cisco ICS ソフトウェアおよび感染抑制デバイス ライセンスのライセンス キーを入力するように要求されます。このインストールを完了したあとで、必要な感染抑制デバイス、展開ポリシー、および例外規則について、ソフトウェアを設定できます。 Cisco ICS サーバのライセンス管理は、従来のライセンス更新とは異なります。Cisco ICS サーバでは、管理者にとってより利便性が高く、ライセンスに関する管理上のオーバーヘッドの削減が可能なモデルを実装しています。Cisco ICS ライセンス モデルは、2 つの点で従来のモデルとは異なります。
表 4 に、さまざまな感染抑制デバイスの機能について、詳細を示します。 表 4 感染抑制デバイスの詳細
スケーラビリティの推奨事項 シスコシステムズでは、さまざまな企業のお客様のネットワーク アーキテクチャのテストを行っているラボで、Cisco ICS ソリューションのスケーラビリティとパフォーマンスを検証しています。Cisco ICS ソリューションは、規模(200 以上のデバイス)、ネットワーク イベント収集のパフォーマンス(毎秒 1000 以上)、大規模ネットワーク上の多数のデバイスへのシグニチャおよび ACL 更新の迅速な展開(8 分以内)の面で、対象となる企業のお客様のニーズを満たしていることがテストによって証明されています。このテストに基づいて、製品チームは最大 500 個の感染抑制デバイスの導入を保証しています。1 台の ICS サーバに 500 以上のデバイスを展開する場合、製品の投入の前に、それが可能かどうかをお客様の環境で検証およびテストする必要があります。より多くのデバイスを必要とする構成の場合、必要とされる感染抑制デバイスの総数に合わせて、複数のシングル CPU サーバ、または 1 台のデュアル CPU サーバを使用することを推奨します。Cisco ICS サーバ ソフトウェアの将来のリリースでは、階層型の ICS サーバをサポートすることにより、大規模な展開を単一ポイントでより集中的かつ総合的に管理できるようになります。 アーキテクチャおよび機能Cisco ICS サーバは、Cisco ICS ソリューションのすべての OMT において管理および展開の中心として機能します。Cisco ICS サーバは、OMT コンポーネント(脅威に関する情報、OPACL、および OPSig)のダウンロードと展開を行い、管理者が感染抑制デバイスへこれらの OMT コンポーネントを展開する方法や時期について管理できるようにします。Cisco ICS サーバ データベースには包括的なログが作成されます。このデータベースには、OPACL および OPSig の展開に関する情報だけでなく、感染抑制デバイスを通過するトラフィック照合によって発生する照合関連情報も含まれます。これらのログを使用して、Cisco ICS サーバはリアルタイムの Syslog イベントおよび定期的なレポートを生成し、管理者がそれぞれの大規模感染に関するセキュリティ ポスチャを完全に理解できるようにします。また、Cisco ICS サーバは Trend Micro Damage Cleanup Service(DCS)と統合することにより、ウイルス感染した Windows エンドポイントを特定し、ネットワーク内の感染源を効率的に駆除します。 次に、Cisco ICS の主要な機能の一部について説明します。 OPACL のドロップ モードとログ モード OPACL では、Cisco ICS チューニングを容易にし、より柔軟な展開を可能にするために、2 つの動作モードが設定されています。OPACL は、トラフィック照合が検出された際にパケットを廃棄するか、トラフィック照合を記録するだけで、トラフィック フローは中断しないかのいずれかで動作するよう、グローバルに設定できます。トラフィック照合の記録は、IPS 保障でのみ適用されます。この設定は、ACL 保障の対象となる感染抑制デバイスには使用できません。 OPACL の自動モードと手動モード Cisco ICS サーバでは、ネットワークに悪影響を及ぼす潜在的な可能性を持つ OPACL の動作を管理者が詳細に制御できるようにするために、OPACL を 2 つのモードのいずれかで動作するように設定できる機能を実装しています。
OMT の集中的な設定 Cisco ICS サーバでは、すべての OMT を完全に制御できます。これにより、管理者は、新規または展開済みの OMT を変更したり、新しいカスタム OMT を作成したりできます。また、管理者は、OMT の影響を受けないプロトコルまたはポートについてのグローバルなルールを設定し、ミッションクリティカルなアプリケーションや機能が Cisco ICS の影響を受けないようにすることもできます。これらの機能は主に Cisco ICS サーバ内で実行され、個別の感染抑制デバイス、デバイスの論理グループ、または登録されているデバイス全体に展開されます。 デバイスの論理的な命名とグループ化 Cisco ICS サーバに感染抑制デバイスが登録されると、これらのデバイスに論理名、および論理グループへのメンバーシップを割り当てることができるようになります。これにより、管理者は、感染抑制デバイス グループをニーズに応じてカスタマイズし、ネットワーク トポロジ、機能、ロケーション、管理責任、またはその他の基準に基づいて整理することができます。 複数の同時 OMT 複数の大規模感染が同時に発生する可能性があります。そのため、Cisco ICS サーバは、複数の OMT(最大 32)を同時に処理できるように設計されています。 インシデントのリアルタイムでの追跡および監視 OMT を展開することにより、管理者は、あらゆる大規模感染に関するネットワーク上の対策の効果を極めて柔軟に監視できるようになります。この柔軟な対応は、感染抑制デバイスに展開された OPACL と OPSig に対するトラフィック照合を監視することにより可能になります。Cisco ICS サーバは、統合型の強力なモニタリング ツールおよびレポート ツールを提供します。また、Syslog および Cisco Security Monitoring, Analysis and Response System(CS-MARS)製品のサポートにより、管理者はモニタリング ツールおよび関連付けツールを選択して使用することもできます。 Trend Micro DCS との統合 OPACL と OPSig は、感染がネットワーク全体に侵入し伝播するのを防ぎますが、大規模感染防止サービスの展開時のすき間や予想外のエントリ ポイントでの感染により、ネットワークがウイルスに感染する可能性は常にあります。このような可能性に対抗するために、管理者には内部の感染源を処理する手段が必要です。Cisco ICS サーバでは、OPSig を作成して対応する必要があるトラフィックを生成しているホストを記録および追跡できます。このデータベースは、トレンドマイクロ社の DCS で使用できます。Trend Micro DCS サーバを Cisco ICS サーバに登録することにより、DCS サービスを使用して、Cisco ICS が内部の感染源として識別した感染 Windows マシンを自動的にリモートで駆除できるようになります。図 2 に、DCS サーバと Cisco ICS サーバの統合を示します。
図 2 DCS の統合
Cisco ICS 向けのサービス:ICS の効率的な準備、計画、設計、導入、および運用シスコのサービス ポートフォリオでは、お客様のネットワーク ライフサイクルの各段階(準備、計画、設計、実装、運用、および最適化)に対応する、各種の高度なサービスおよびテクニカル サポート サービスを提供しています。これらのサービス製品は、各段階を効果的に実行するために不可欠です。次に、これらのサービス製品について説明します。 Cisco ICS 向けの Technical Support Services *シスコでは、お客様の社内リソースを補完し、シスコ製品の効率的な運用、ハイ アベイラビリティの維持、および最新のシステム ソフトウェアの利点を活用できるようにする、Technical Support Services(TSS)を提供しています。Cisco TSS のポートフォリオでは、Cisco SMARTnet® サポート、Software Application Support plus Upgrade(SASU)、および Cisco Services for IPS の 3 つのサービス プログラムを提供し、Cisco ICS の確実な準備および運用を可能にしています。
表 5 に各プログラムのコンポーネントを示します。 表 5 Cisco ICS 向けのテクニカル サポート サービス
* Cisco ICS の前提条件として、すべての感染抑制デバイスには、Cisco SMARTnet サポート契約または Cisco Services for IPS 契約が適用されている必要があります。ACL 保障の対象となるデバイスには、有効な Cisco SMARTnet 契約が適用されている必要があります。IPS 保障の対象となるデバイスまたはモジュールには、有効な Cisco Services for IPS 契約が適用されている必要があります。 まとめCisco ICS ソリューションを使用すると、ワームおよびウイルスに対する免疫機能をネットワーク全体に迅速に展開できます。この迅速かつ予防的なアプローチにより、ワームとウイルスの蔓延を防ぎ、ネットワーク アベイラビリティを保証しながら、障害復旧にかかるコストを削減できます。Cisco ICS は、Cisco Services for IPS の重要な付加機能です。Cisco ICS ソリューションは、シスコのネットワーキング デバイスで構成されたあらゆる規模のインフラストラクチャに適用でき、新たな大規模感染に対する迅速な対応に重点を置いた、新しい保護レイヤを提供します。 |
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