ホワイト ペーパー
ブロードバンド向け Cisco Service Control アプリケーション - 使用状況の分析とレポート
概要
ここ数年、サービス プロバイダー業界では、サービスの差別化を展開しています。そのなかで、加入者との結びつきを強化する方法として、「アプリケーション ベース」または「コンテンツ ベース」のサービスが注目されています。しかし、これらのサービスは、サービス プロバイダーにとって経済面と技術面の両方に関わる重要な課題のため、展開が遅れています。サービス プロバイダーは、ネットワーク リソースの使用方法、およびブロードバンド加入者の嗜好やその動作を明確に理解していないと、コスト削減や収益確保の機会を見逃してしまいます。
このホワイト ペーパーでは、Cisco® Service Control ソリューションのレポートおよびプロファイリング機能の概要を説明し、サービス プロバイダーがコスト削減と収益確保の問題に対処する 1 つの手段として、このソリューションを使用する方法を紹介します。
ネットワークの視覚化の必要性
ネットワークのサイズ、複雑性、場所、または提供されるサービスに関係なく、ブロードバンド サービスを提供するプロバイダーは、単にネットワーク統計情報を利用するだけでなく、ネットワーク内のアプリケーションやアクティビティの種類も明確に理解する必要があります。これには、次に示す詳細な進行状況のモニタリングが含まれます。
- アプリケーションによる帯域幅の使用:ブロードバンド ネットワークの管理を成功させるには、運用コストと資本コストを効率的に削減することが大きな課題となります。サービス プロバイダーは、どのような種類のアプリケーション、サービス、およびネットワーク アクティビティが、いつ、何パーセントのネットワーク リソースを使用しているかを明確に理解する必要があります。オペレータは、ピーク時とオフピーク時、一般的なアプリケーション、および一般的な宛先における使用状況を理解することで、ネットワーク トラフィックの最適化、コストの削減、およびネットワーク パフォーマンスの向上を実現する方法を開発できます。
- 加入者の使用状況の統計:ブロードバンド加入者の増加とともに、ブロードバンド コミュニティの使用状況およびその要件も多様化しています。多くの帯域幅を使用する加入者もいれば、一時的な利用のため、必要なネットワーク容量や帯域幅が少ない加入者もいます。また、ゲーム、音声、ビデオ、ファイル共有など、さまざまなアプリケーションを使用する加入者もいれば、時々インターネットや E メールを使用する場合のみネットワークを使用する加入者もいます。さらに、ブロードバンド接続をビジネスに利用する加入者もいれば、レジャーや娯楽に利用する加入者もいます。このため、サービス プロバイダーは、ネットワークの実際の使用状況に応じて加入者ベースを分類し、現在の傾向を分析して新しいサービス セットを提供する必要があります。
- ピアツーピア トラフィック:現在、ピアツーピア トラフィックは、世界中のサービス プロバイダー トラフィックの 65 ~ 80 パーセントを占めていると言われています。このトラフィックの管理は、オペレータにとって重要な課題であり、これらの影響は、ブロードバンド ネットワーク全体のサービスの低下やコストの増加、ヘルプデスクへの問い合わせ、加入者の解約率、国外へのトラフィックにかかるピアリング コストの急増などに現れています。米国のサービス プロバイダーは、ピアツーピア トラフィックに関する問題に取り組んでいますが、国外のプロバイダー(コンテンツの大量「輸入業者」)が直面する財政的な問題に直面することはめったにありません。ほとんどのピアツーピア コンテンツがネットワーク境界の範囲外に存在する場合、加入者が国際回線でコンテンツをダウンロードすると、サービス プロバイダーはただちに大きな損害を受けます。
- 悪意のあるトラフィックの存在:全世界で毎年約 180,000 件の DoS 攻撃が発生し、サービスの停止や財政的な損失を生じさせる原因になっています。この 3 年間で、攻撃の数は大幅に増え、攻撃が拡散する速度も増しています。現在、100 万台のマシンを感染させるのにかかる時間は、2 年前の 10 パーセント未満です。ワームやウイルスとともに、スパム メールも、悪意のあるトラフィックの重要なコンポーネントになっています。これは現在、すべての E メール トラフィックの 65 ~ 75 パーセントを占めています。ウイルスやワームと同様に、スパム メールの送信には多額のコストがかかります。Gartner Group によると、スパム メールは、サービス プロバイダーの解約率の 7 パーセントに直接関与しています。
- サービスおよび収益機会の視覚化の欠如:加入者のトラフィック パターンを視覚化できなければ、新しいサービスに対する潜在的な需要を予測するのは困難です。たとえば、ブロードバンド音声は、加入者にとって魅力的なサービスになりますが、既存のブロードバンド音声サービスの使用状況がわからない場合、需要とその増加率を正確に測定するにはどうすればよいでしょうか。ネットワークでの既存のブロードバンド音声アクティビティに関するデータを使用すれば、これらのサービスに対する需要の増加を予測できるだけでなく、この種のサービスに対する新たな収益配分の機会が生まれます。ネットワーク トラフィックを視覚化できないと、新しいサービス開始の決定は言うまでもなく、既存の加入者に対する理解さえも困難になります。
Cisco Service Control ソリューション
使用状況の分析またはネットワーク プロファイリングの目標は、ネットワーク リソースの使用方法を特定することで、ビジネス モデルに見合う収入源を得ることです。Cisco Service Control ソリューションを使用すれば、サービス プロバイダーは、最も複雑なネットワーク環境でも、加入者のアクティビティと使用状況のパターンを効率的かつ正確に視覚化できます。図 1 に、サービス コントロール体系を示します。
図 1 Cisco Service Control ソリューション
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Cisco Service Control ソリューションには、レイヤ 3 およびレイヤ 4 の統計情報を収集する以外にも、次の利点があります。
- 詳細なパケット インスペクションにより、レイヤ 7 までのプロトコル情報に基づいてトラフィック セマンティクスを再構成し、ポート ホッピングまたはマルチフロー アプリケーションに対応したエンド アプリケーション(ピアツーピア、ブラウジング、Voice over IP [VoIP]、ゲームなど)にトラフィックを分類できます。
- 加入者に対応したトラフィック処理により、加入者、グループ、またはグローバル レベルでトラフィックをモニタできます。
- 実用的で有意義な使用状況の統計を使用できます。
- トラフィック インスペクションおよび使用状況データは、課金およびレポート用にエクスポートできます。これらは、既存のネットワークのパフォーマンスに影響しません。
- Cisco Service Control ソリューションは、シスコおよびサードパーティのネットワーク間でトランスペアレントに導入でき、インラインまたは受信専用としてインストールできます。
Cisco Service Control ソリューションは、ネットワーク アクティビティの識別だけでなく、加入者とアプリケーションのトラフィック制御、トラフィック管理、およびサービスの作成にも使用できます。また、ネットワーク帯域幅の管理およびトラフィック マーキングを実現し、シスコのルーティング/アグリゲーション プラットフォームと統合することで、ネットワーク アクティビティに関する重要かつ実用的なデータを生成する分類/制御エンジンとして機能します。これにより、既存のサービスの向上、強力なアプリケーション ベースおよびコンテンツ ベースのサービスの作成、および全体の収益の増加が可能になります。
Cisco Service Control ソリューションによるネットワーク使用状況の分析
Cisco Service Control ソリューションは、アプリケーション ベースおよび加入者ベースのすべてのネットワーク トラフィックを包括的に表示します。このソリューションを効率的に使用することで、ネットワーク トラフィックの理解に関する問題を解決し、加入者のさまざまなニーズに合わせてサービス モデルを強化できます。ここでは、サービス プロバイダーの重要な問題に対処するレポート機能の 5 つのカテゴリについて説明します。
ネットワークの帯域幅と量に関するレポート
問題
全世界のサービス プロバイダーのうち、ネットワークのトラフィック フローを詳細に理解しているのは半分未満であり、加入者の使用状況のパターンを認識しているサービス プロバイダーの数は、さらに少なくなっています。これらのプロバイダーは、潜在的な収益の可能性は言うまでもなく、ネットワーク コストの構成要素もほとんど理解していません。
解決策
Cisco Service Control ソリューションは、アプリケーションおよび加入者レベルのトラフィック情報を収集することで、プロトコルおよび加入者別の帯域幅の使用状況に関する詳細なレポートを提供します(図 2)。
オペレータは、これらのレポートを使用することで、次のことを理解できます。
- ピーク時と輻輳時のアプリケーション アクティビティ
- トランジット、ピアリング接続、およびオンネット トラフィックを使用するトラフィックとアプリケーションの総量
- 一般的な Web サイト、ニュース グループなどの利用頻度の高いサービス、およびそれらのサービスを提供するための帯域幅コスト
図 2 帯域幅と量に関する一般的なレポート
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意義
Cisco Service Control の帯域幅と量に関するレポートにより、次のことが可能になります。
- トラフィックの最適化メカニズムを決定し、輻輳およびピーク時の使用量を軽減する
- ピアリングおよびローカル ホスティングを適切に行う機会を特定し、コストの削減およびパフォーマンスの向上を実現する
ユーザ レベルのレポート
問題
サービス プロバイダーは、提供しているサービスの価値を理解し、加入者ベースの適切なセグメント化を行うために、加入者のブロードバンド接続の使用状況を追跡する必要があります。サービス プロバイダーは、加入者に関する詳細な情報を得ることで、顧客ロイヤルティとサービス普及率を向上させる新しい強力なサービス セットを設計および導入することができます。
解決策
Cisco Service Control の加入者動態に関するレポートを使用すると、加入者のアクティビティに関する情報を収集し(図 3)、次のような問題を視覚化できるようになります。
- 不均衡な量のネットワーク リソースを使用する「帯域幅の大量消費者」の識別
- Web および E メール トラフィックのためにサービスを使用する「消費が少ない」加入者の識別
- ゲーム、ストリーミング、音声など、特定のサービスを使用する加入者の識別
- 特定のアプリケーションとサービスの使用量の増加
図 3 加入者動態に関する一般的なレポート
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意義
Cisco Service Controlの加入者動態に関するレポートにより、次のことが可能になります。
- 最も一般的なプロトコルとサービスの識別
- ブロードバンド音声やゲームなど、Quality of Service(QoS; サービス品質)に基づいて差別化できる、高度なサービスの評価
- サービスの提供に高品質のネットワークを必要とするマルチメディア ベンダーやコンテンツ ベンダーといったオンライン サービス パートナーとの共同サービスの作成による、収益配分の機会の評価
- 在宅勤務者、ゲーム サービスに加入しているメンバーなど、特定のユーザに特化したサービス セットの調査
- 帯域幅の大量消費者の特定、およびサービスに対する全体的な満足度に影響を与えずに、アクティビティを緩和する方法の考案
ピアツーピア ファイル共有に関するレポート
問題
現在、ピアツーピア トラフィックは、サービス プロバイダー トラフィックの大部分を占めています。この問題は、ブロードバンド全体のサービス低下だけでなく、ヘルプデスクへの問い合わせ、加入者の解約、国外へのトラフィックにかかるピアリング コストといったプロバイダー コストの増加に現れています。
解決策
Cisco Service Control ソリューションでは、特定のプロトコルおよび関与する加入者を含む、ネットワーク上のピアツーピア ファイル共有アクティビティを明確に識別する一連のレポートを提供しています(図 4)。レポートには、次のようなものがあります。
- ピアツーピア アプリケーションが使用する帯域幅
- 一定期間のピアツーピア トラフィックの総量
- 利用頻度で優先順位を付けたピアツーピア アプリケーション
- ピアツーピア プロトコルの利用頻度
図 4 ピアツーピア ファイル共有に関する一般的なレポート
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意義
Cisco Service Control のピアツーピア ファイル共有に関するレポートでは、次の場合に必要な情報が提供されます。
- ブロードバンド音声ゲームや遅延に敏感なアプリケーションなど、ピアツーピア トラフィック量の影響を受ける可能性がある、利益率の高いサービスを保護する
- 輻輳とピーク時の使用量を軽減し、ヘルプデスクへの問い合わせと加入者の解約を削減するトラフィック最適化モデルを決定する
- 制御範囲内にあるメカニズムに基づき、予測可能なキャパシティ プランニング方法を導入する
- 必要なピーク帯域幅レベル内でトラフィックを管理し、海外へのピアリングに関連する多額のコストをプロアクティブに制御する
悪意のあるネットワーク トラフィックに関するレポート
問題
デジタル攻撃が発生すると、サービスが停止し、加入者の PC 上の情報に修復不可能な被害を与える場合もあります。また、ワームやウイルスによる混乱が発生すると、クリーンアップ用コスト、ヘルプデスクへの問い合わせ、および加入者への弁償の観点から、多額のコストが必要になります。
解決策
Cisco Service Control が提供する、悪意のあるトラフィックに関するレポートを使用すると、加入者の異常なトラフィック パターンを識別し、疑わしいワーム トラフィックを切り離すことができます(図 5)。レポートには、次のようなものがあります。
- 感染した加入者:異常なトラフィック パターンの生成、または特定のシグニチャを含むトラフィック パターンによって識別されます。
- 攻撃ソース:攻撃トラフィックの送信元 IP アドレスを識別し、報告します。
- 加入者の詳細レポート:ワームなどの特定の種類の不正トラフィックによる影響を受けた加入者を表示します。
図 5 悪意のあるトラフィックに関する一般的なレポート
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意義
Cisco Service Control が提供する、悪意のあるトラフィックに関するレポートでは、次の場合に必要な情報が含まれます。
- 悪意のあるトラフィックから加入者を保護し、感染の影響を最小限に抑えるのに必要な「修正アクション」を提供することで、顧客満足度を向上する
- ワームの発生およびその送信元を迅速に特定し、影響を軽減するための迅速な対応を行う
- オンライン加入者にとって信頼できる環境を維持し、加入者の解約を最小化する
ブロードバンド音声に関するレポート
問題
ほとんどのサービス プロバイダーは、独自のブロードバンド音声サービスを展開しています。サービス プロバイダーは、独自の音声トラフィックを適切に管理する必要があるだけでなく、通常は、ネットワークで実行されるその他のサービスと差別化して通話品質を保証しなければなりません。
解決策
Cisco Service Control ソリューションでは、サービスの利用頻度、通話の統計、および使用傾向を視覚化するだけでなく、競合サービスの普及についても認識できる一連のレポートを提供しています(図 6)。レポートには、次のようなものがあります。
- 選択した加入者ベースのブロードバンド音声サービスごとの通話時間(分)(一定期間に音声サービスを使用した合計時間を表示)
- 選択した加入者ベースの音声サービスごとの同時セッション(同時音声通話数を表示)
- Session Initiation Protocol(SIP)ドメインに基づく一般的な音声サービス
図 6 ブロードバンド音声に関する一般的なレポート
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意義
Cisco Service Control のブロードバンド音声に関するレポートでは、次の場合に必要な情報が提供されます。
- 許容可能な音声通話品質を保証するのに必要な QoS を提供する
- サービスに対する正確な請求と課金を保証するのに必要な加入者ごとの通話データ レコードを追跡する
- 通話数およびサービスごとの通話時間を含む、サードパーティ提供の音声サービスに関する利用頻度をモニタする
Cisco Service Control ソリューション - レポート仕様
データ収集機能
データ アーキテクチャ
- 標準の Java Database Connectivity(JDBC)準拠データベースに対する収集
- 中央集中型または分散型の収集アーキテクチャ
- 冗長型の収集およびデータ ストレージ
データ エクスポート
- CSV テキスト形式または SQL でのデータのエクスポート
- Service Control Engine(SCE)による SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)ベースのインターフェイス
- Raw Data Record(RDR)データ エクスポートを使用した SCE デバイスからの直接使用
- 課金および仲介システム対応のインターフェイス
- 表形式またはイメージ形式でのレポートのエクスポート
- E メールおよび Web パブリッシングへの対応
レポート機能
レポート生成
- インタラクティブなレポート ツール
- レポート自動生成用のコマンドライン インターフェイス
- サードパーティ製 SQL レポート ツールとの統合
レポート テンプレート
- 帯域幅と量、加入者動態、ピアツーピア、悪意のあるトラフィック、およびブロードバンド音声に関するレポートを含む、100 を超える標準レポートを使用可能
- トラフィック パターン、場所、およびビジネス モデルに基づくカスタム レポート テンプレートの作成機能
レポート フィルタ
- 加入者ベース、加入者グループ、および個別の加入者によるフィルタリング
- 個別の SCE デバイスまたはデバイス グループによるフィルタリング
- サービス、アプリケーション、およびプロトコルによるフィルタリング
- 時間および日付によるフィルタリング