Cisco 7600 OSR の
ネットワーク・サービスの詳細
| はじめに |
シスコシステムズでは、IP+ オプティカル・テクノロジーを活用するサービス・プロバイダに対して、カスタマを獲得および維持できる利点の迅速な提供を支援しています。この IP+ オプティカル・インフラストラクチャにより、サービス・プロバイダでは、配備、拡張、発展、および管理が容易でしかも収益性の高いサービスを、さらに幅広いカスタマに向けて構築および提供するために必要な柔軟性を手にすることができます。
シスコの IP+ オプティカル・テクノロジーを展開するサービス・プロバイダでは、インターネットの規模の経済により、高い生産性の獲得および競争力のある優位性が達成されます。IP+ オプティカル・ネットワーキングには、革命的な影響力があります。サービス・プロバイダが迅速かつ効果的に高速ネットワークを配備するにつれ、より多くのカスタマが接続し、収益の機会が広がります。しかし、これらのサービスやアプリケーションを提供するコストは、大幅に低減されます。シスコの IP+ オプティカル・ソリューションにより、この革命が加速され、徹底した経済性による高い収益が支援されます。
現在、多くのサービス・プロバイダでは、それぞれのカスタマに差別化したサービスのクラスが提供されています。一般に、データは、リアルタイム、ミッションクリティカル・データ、およびベスト・エフォート・データの 3 つのグループに分類されます。企業カスタマは、ベスト・エフォート・データの転送にミッションクリティカル・データよりも低い料金を支払い、サービス・プロバイダは、ミッションクリティカル・データに対してより高度なパフォーマンスを保証します。このサービスの実装には、多数のカスタマに渡る拡張 QoS(Quality of Service)および課金機能を迅速にネットワークに備える必要があります。シスコのインテリジェント・ネットワーク・サービスにより、この実装およびその他のサービス・オファリングが可能になります。
この多様なサービスをカスタマが望むオプティカル速度(OC-3 以上)で展開する方法が、サービス・プロバイダの新たな課題となっています。通常、サービス・プロバイダでは、スループット、キャパシティ、および混在するサービスの間に大きな犠牲を伴う必要があります。選択によっては、予測運営利益が減少し、ネットワークの特性に矛盾が発生することがあります。
このような理由から、オプティカル・ネットワークによる次世代インターネット・サービスの採用および発展が妨げられてきました。サービス・プロバイダは、数千に及ぶオプティカル速度の加入者ごとに、同時に供給帯域幅および価格の階層レベルを作成および適用できるインテリジェント IP ルーティング機器を求めています。
Cisco 7600 オプティカル・サービス・ルータ(OSR)により、サービス・プロバイダでは、オプティカル速度およびインターネット規模でシスコのインテリジェント・ネットワーク・サービスが普遍的に展開され、この問題が解決されます。Cisco 7600 オプティカル・サービス・ルータでは、サービス・プロバイダ・ネットワーク・エッジにハイタッチ IP サービスのラインレート・デリバリに重点を置いた、オプティカル WAN および MAN ネットワーキングが提供されます。これにより、サービス・プロバイダは、ネットワークを光の速度での「サービス対応型」にし、サービス・オファリングを競争に有利なように差別化できます。Cisco 7600 オプティカル・サービス・ルータは、シスコのエンドツーエンド IP+ オプティカル・オファリングにおける重要な要素です。サービス・プロバイダは、サービスおよび帯域幅の壁を打ち破り、売上と収益を伸ばすことができます。
Cisco 7600 オプティカル・サービス・ルータは、Catalyst 6500 ファミリの特にサービス・プロバイダ・ネットワークに適したコア基盤要素で構成される統合ソリューションです。Cisco 7600 オプティカル・サービス・ルータでは、垂直にカードを装着でき、前から後ろに向かって通風される NEBS 準拠シャーシが提供されます。また、PFC2 および MSFC2 を備えたスーパバイザ・エンジン 2 では、最高 30 Mpps のレートでルーティングする BGP4、IS-IS、および OSPF などのコア・プロトコルによる、完全な冗長構成で主なルーティングが処理されます。QoS および最大 30 Mpps までのラインレートでのパケット・フィルタリング機能も提供されます。このシャーシには、1 枚のカードに 256 Gbps スイッチ・ファブリック・モジュールが組み込まれるため、高い集約スループットが実現されます。残りの 7 つのスロットには、オプティカル・サービス・モジュールのほか、FlexWAN モジュールを含む従来の Catalyst 6000 ファミリのインターフェースを任意に組み合わせて装着できます。これにより、単一のボックスで、DS0 から OC48/STM-16 までの WAN インターフェース、および 10 Mbps イーサネットから 1 Gbps までの LAN インターフェースに対応できるスケーラビリティが提供されます。また、オプションで 256 Gbps クロスバー・ファブリックまたはスーパバイザ・エンジン、あるいはその両方をもう 1 つ挿入すれば、ファブリックやルート・プロセッサの冗長性を提供できます。
この新たな革新的製品ファミリにより、Qos、バーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)、音声、ビデオ、宛先対応サービス、キャッシング、アドレス管理、ロード・バランシング、マルチキャストを含む IP サービスとオプティカル・ネットワーキングが統合されます。Cisco 7600 OSR では、多様な高性能インターフェースと広範なラインレートのインテリジェント IP サービスを通じて、直接的なオプティカル接続性が提供され、サービス・プロバイダおよび大企業ネットワークが拡張されます。この製品は、サービスの作成と提供が加入者全体に大きな影響を与えるサービス・プロバイダ・ネットワーク・エッジにおいて、パフォーマンスおよび IP サービス・アプリケーションに比例して向上するスケーラビリティが可能な設計となっています。
Cisco 7600 OSR は、業界をリードする Cisco IOS(R) ソフトウェア、および最新のネットワーキング・テクノロジーである PXF(Parallel Express Forwarding)による先進のカスタマイズされたハードウェア・アクセラレーションを兼ね備えています。PXF では、PXF IP サービス・プロセッサと呼ばれるプログラム可能なプロセッサ配列が使用され、各プロセッサが特定のタスクを専門に行うため、効率的に分担してタスクを実行できます。
| ネットワーク・サービス |
Cisco 7600 OSR では、サービス・プロバイダのネットワーク・エッジでサービスが提供されます。そのため、サービス・プロバイダによる制御を可能にしながら、サービスをできる限りカスタマの近くに配置できます。
このプラットフォームでは、音声、ERP(Enterprise Resource Planning)、マルチキャストなどのユーザ・アプリケーションを識別したり、適切な優先順位のレベルを持つトラフィックを分類したりできます。また、アドミッション制御が可能なため、不正なアプリケーションによるネットワークへのアクセスを回避できます。パケット分類やマーキング、スケジューリング、ポリシング、および輻輳回避などの拡張 QoS 機能がサポートされます。アプリケーション・タイプ、ユーザ、セキュリティ、あらかじめ定義されているポリシなど、さまざまなメトリックに渡ってトラフィックを調整するインテリジェント機能が備わっているため、それぞれに決められたサービス・レベル契約(SLA)に従って、確実にカスタマのトラフィックが個別に扱われます。インテリジェント・ブロードキャストが可能になり、リソースを有効に活用し、ネットワーク・パフォーマンスが向上されます。
Cisco 7600 OSR では、企業およびサービス・プロバイダの要件を解決するため、RIP(Routing Information Protocol)I および II、OSPF(Open Shortest Path First)、IGRP(Interior Gateway Routing Protocol)、EIGRP(Enhanced IGRP)、BGP4(Border Gateway Protocol 4)、IS-IS(Intermediate System-to- Intermediate System)など、業界をリードするルーティング・プロトコルに対応しています。また、高いアベイラビリティを実現するため、冗長スーパバイザ・エンジン・モジュール間で EHSA(Enhanced High System Availability)がサポートされ、Cisco IOS ホット・スタンバイ・ルータ・プロトコル(HSRP)により、複数の Cisco 7600 OSR に渡って、または Cisco 7600 OSR とほかのシスコ・ルータとの間でのルーティング冗長性が提供されます。
サービスの提供という要件の次には、サービスに対して課金できる必要があります。Cisco 7600 OSR および Cisco Netflow サービスがあれば、スイッチング性能に影響を与えることなく、トラフィック統計を収集できます。このデータにより、お客様では、トラフィックの設計、ネットワーク・パフォーマンスの監視、および課金と請求アプリケーションへのデータ供給が実行されるようになります。
このプラットフォームでは、WAN ライン・カードまたはシスコのオプティカル・サービス・モジュール(OSM)あたり 6 Mpps の全二重速度で、また特定のハードウェアおよびソフトウェアを改良することによってシャーシあたり 30 Mpps の速度で幅広いサービスが提供されます。これらのラインレート・サービスは、Cisco IOS ソフトウェア、PFC2(Policy Feature Card 2)と MSFC2(Multilayer Switch Feature Card 2)を備えたスーパバイザ 2、および各 OSM 上の PXF IP サービス・プロセッサを組み合わせることによって提供されます。
PXF(Parallel Express Forwarding)PXF は、16 の組み込みパケット・エンジンで構成される PXF IP サービス・プロセッサにより実装されます。それぞれのエンジンは、プログラム可能な設計になっているため、高いスループットのレイヤ 3 サービスをサポートでき、従来の汎用マイクロプロセッサに基づく設計と比較して 30 倍の機能および性能が得られます。
シスコでは、ソフトウェア・サービス要件が今後変化していくと認識し、アップグレードによって新たなソフトウェア・サービスや改良されたソフトウェア・サービスを容易にサポートできるように Cisco 7600 OSR を設計しました。PXF IP サービス・プロセッサは、プログラム可能です。新しいバージョンの Cisco IOS ソフトウェアをロードすることにより、簡単かつ効率的に新しいサービスを付加したり、既存のサービスを改良できます。これにより、新しいソフトウェア・サービスの実装時間が短縮されるだけでなく、Cisco 7600 OSR ハードウェアを長く使用できます。新しいソフトウェア・サービスをサポートするために ASIC をアップグレードするだけの理由で、ハードウェアを交換する必要がなくなります。今後、このプロセスはリモートから非常に迅速に実行でき、貴重な時間およびコストが節約されます。
16 のパケット・エンジンは、それぞれ 4 つのステージで構成される 4 つの並列パイプラインに配列されます。各パイプライン・ステージはプログラム可能なため、たとえば分類、ヘッダの修正、キューイングなど、それぞれが異なるパケット処理タスクを実行できます。パイプライン方式の設計では、それぞれのステージがほぼ同じ時間でタスクを完了するように、パケット・エンジンが慎重にプログラムされる必要があります。ハードウェア・パイプラインと同様に、ソフトウェア・パイプラインの処理速度も、最も低速なステージの制約を受けるからです。各 PXF パイプライン・ステージには、そのステージの 4 つのパケット・エンジンで共有される適度な量の SDRAM があります。このメモリには、そのステージに固有な情報が記憶されます。たとえばキューイング・ステージではパケットへのポインタが記憶されます。
各 OSM には、最大 2 つの IP サービス・プロセッサを装備できるため、最大 32 個のパケットに同時にサービスを適用できます。PXF IP サービス・プロセッサを経由するパケット・ヘッダの転送は、完全に同期化および分担されます。このため、PXF によりパケットの順序が乱れることはありません。
この独自の Cisco IP サービス・プロセッサを、各 OSM により提供されるオプティカル接続と組み合わせると、次世代オプティカル・ネットワークへの IP サービス・デリバリの拡張に対する要求を満たす柔軟性を備えた、クラス最高のパフォーマンスが得られます。
初期リリース版 Cisco 7600 OSR の PXF IP サービス・プロセッサには、次のようないくつかのソフトウェア機能がマイクロコード化されています。
- VTMS(Versatile Traffic Management System)を備えた拡張 QoS
- 宛先対応サービス(DSS)
さらに、この製品のリリース後すぐに MPLS(Multiprotocol Label Switching)が提供されます。以降のセクションでは、これらのサービスについて詳しく説明します。
これらの機能は、すでにスーパバイザ 2、MSFC2、および PFC2 で使用可能な Cisco 7600 OSR サービスに付加されます。
サービスの詳細Cisco 7600 OSR には、サービス・プロバイダによる広範なサービスの提供を実現する機能が備わっています。次の項では、Cisco 7600 OSR の QoS サービスの中でも最も重要な機能、VTMS(Versatile Traffic Management System)を詳しく説明します。VTMS 以外にも、Cisco 7600 OSR には、PFC2 上のハードウェアに多数の機能があります。これらの機能により、パケット・サイズやフロー長にかかわらず、1 秒あたり 3,000 万個のパケットを処理できます。PFC2 により次のサービスが提供されます。
- 情報セキュリティのためのパケットの分類とフィルタリング Cisco 7600 OSR では、システムのパフォーマンスに影響することなく、数千行に及ぶアクセス・コントロール・リストを使用できます。これにより、サービス・プロバイダや大企業では、非常にきめ細かいアクセス・コントロール・ポリシをオプティカル速度で実装できます。
- タイプ・オブ・サービス(ToS)ビットまたは DiffServ コード・ポイント(DSCP)を使用した差別化されたサービスのマーキング* 通常、パケット・マーキングは、後からルーティング・パスで適切なポリシを適用できるように、ネットワーク・エッジで行われます。従来の ToS バイト・マーキングでは、IP ヘッダの 3 ビット分が使用されています。新たな DSCP メカニズムでは、IP ヘッダの 6 ビット分が使用されるため、64 種類のマーキングが可能です。両方のメカニズムで使用されるビットは重複しているため、一般にはネットワークで ToS または DSCP のいずれかを使用し、両方は使用しません。
- ポリシングによる帯域幅の制限* ポリシング機能では、特定のアプリケーションに使用可能な帯域幅を制限できます。たとえば、OC-3 WAN リンクに受信される FTP トラフィックを最高 50 Mbps に制限できます。トラフィックがポリシング・レートを超えた場合には、トラフィックを廃棄することも、ToS または DSCP 値を変更してサービス・クラスを下げることもできます。ポリシングとシェーピングの違いは、ポリシングでは単に過剰なトラフィックが廃棄されるのに対し、シェーピングでは過剰パケットがバッファリングされ、指定したレートで処理されることです。
- 輻輳回避ポリシ(分散重み付けランダム早期検出 -dWRED) 輻輳回避は、一般的なネットワーク・ボトルネックにおける輻輳を予測、回避するために、ネットワーク・トラフィックの負荷を監視する技術です。RED(ランダム早期検出)なしの場合、出力キューがいっぱいになると、輻輳が解決されるまでパケットが廃棄されます。残念ながら、輻輳と、それに続く伝送リンクが完全には使用されていない谷間の繰返しとして、グローバル・トラフィック同期が発生する場合があります。これは、パケット廃棄に反応して同時に複数の TCP ホストが伝送レートを減少させ、その後輻輳が軽減されたときに再度伝送レートを上昇させるために起こります。RED では、リンクが完全に輻輳状態になる前に、ランダムにパケットを廃棄することによる TCP の輻輳制御メカニズムを利用します。これにより、一度にすべてのホストのパケットが廃棄される問題を回避できると同時に、一時的にパケットの伝送をスローダウンするように信号を送ることができます。WRED(重み付けランダム早期検出)では、優先順位の低いフローからパケットが廃棄されるため、重要度の低いデータによって輻輳が発生しても、優先順位の高いフローのパケットは停滞されません。
- ポリシ・ルーティング ポリシ・ルーティングは、宛先アドレス以外の情報も考慮してルーティングを決定する柔軟なメカニズムです。たとえば、サービス・プロバイダでは、特定のパケットを通常の最短パス以外の経路でルーティングするポリシ・ルーティングを適用できます。ポリシ・ルーティングのアプリケーションとして、イコール・アクセス、プロトコル依存ルーティング、発信元依存ルーティング、双方向対バッチ・トラフィックに基づくルーティング、または専用リンクに基づくルーティングなどの提供があります。
* 注:これらの機能は、製品のリリース後すぐに Supervisor IOS で提供されます。
階層型リンク共有およびトラフィック・シェーピングのための VTMS(Versatile Traffic Management System)
PXF IP サービス・プロセッサにより、VTMS(Versatile Traffic Management System)を使用した階層型リンク共有とトラフィック・シェーピングが実装されます。これにより、個々のトラフィック・フローを非常にきめ細かく制御できるようになり、たとえば階層型キューをスケーラブルかつ効率的に適切にシェーピングしながら、拡張キューイング・メカニズムを使用して適切なリンク共有を行うこともできます。Cisco 7600 OSR では、OSM あたり同時に最高 4,000 キュー、論理インターフェースあたり 66 キューまでの非常にきめ細かい階層型トラフィック・シェーピングおよびリンク共有が可能です。
トラフィック・シェーピングは、特定のインターフェース上のトラフィック・フローを制御するメカニズムです。トラフィック・フローが特定のビット・レートまで引き下げられ、指定トラフィックのバーストがキューイングされます。シェーピングは、一般に、トラフィックを制約することにより、提供される帯域幅を管理上制限したり、ダウンストリームの輻輳を回避するために使用されます。特定のプロファイルに属するトラフィックをダウンストリーム要件に合わせてシェーピングし、データレート・ミスマッチがあるトポロジ内のボトルネックを排除します。
ネットワーク管理者は、クラスベース・キューイングを備えたリンク共有により、さまざまなトラフィック・クラスで特定の物理リンクまたは論理リンクをどのように共有するかを決定できます。特定のトラフィック・クラスによる帯域幅へのアクセスを保証し、同時にその他のトラフィック・クラスにはベスト・エフォート型サービスを提供できます。階層型のクラスを採用し、それぞれのカスタマに特定の帯域幅全体の特性を提供し、そのカスタマが使用するアプリケーションを個別に処理することもできます1。
VTMS により、これらのトラフィック・シェーピングおよびリンク共有機能が単一の機能システムに統合されるため、キューごとに認定情報レート(CIR)と超過情報レート(EIR)をシェーピングできます。クラスに特性を与えるには、使用可能な認定帯域幅および超過帯域幅を割り当てます。認定帯域幅は、輻輳が発生した場合でも、そのクラスのデータの伝送が保証されるトラフィック・レートです。インターフェース上にその他のトラフィックが何もない場合でも、認定レートと超過レートを加算した以上の速度でデータは伝送されません。全キューからの要求トラフィックの合計帯域幅がポートの使用可能な最大帯域幅を超えた場合、VTMS では、認定ではない(EIR)トラフィックに割り当てられている帯域幅に比例してスケーリングし、要求されている合計帯域幅がそのポートで使用可能な最大帯域幅に収まるようにします。CIR 制限内のトラフィックは常に保証され、縮小することはありません。VTMS では、遅延に影響されやすい、またはミッションクリティカルなトラフィックに使用する完全優先キューも提供されます。
VTMS により、同時に発生する数千の入力および出力キューの集約に階層型シェーピングを行うことができます。キューのサイジングは、非常にきめ細かく行われ、ジッタは無視できる程度(数十マイクロ秒のレベル)です。このため、VTMS は、VoIP(Voice over IP)およびビデオ・ストリーミングなどの非常に遅延に影響されやすいトラフィックの管理に最適です。
次の例に、VTMS のメリットを示します。サービス・プロバイダでは、従来のギガビット・イーサネット・ポートを費用有効に配備してカスタマを接続する一方、アップリンクにギガビット・イーサネット OSM を配備してトラフィック・シェーピングおよび他のサービスを提供できます。
この例では、サービス・プロバイダでは、Web サーバ・ファーム・カスタマに多様な接続速度が提供されています。カスタマが購入した実際のレートにかかわらず、このサービスを従来のギガビット・イーサネット・ポートで物理的に提供し、同時に OSM アップリンクで VTMS を使用して、論理的に「サブレート・ギガビット・イーサネット」を提供しています。これにより、サービス・プロバイダでは、ソフトウェアのコンフィギュレーションにより、迅速に帯域幅をアップグレードできます。カスタマは、特定量の認定帯域幅(CIR)およびこの 2 倍のレートまでバーストできる超過トラフィック(EIR)を購入できます。アプリケーションやその他の情報に基づくサブクラスはなく、このカスタマから送出されるすべてのトラフィックは同等に処理されます。ルータからインターネットへのアップリンクには、単一のギガビット・イーサネットが使用されています。図 1 に物理的な構成を示します。
図 1:ギガビット・イーサネット(GE)OSM を使用した Web ホスティング・サービスの提供

現在、このサービスを 3 つのカスタマが利用しています。それぞれのカスタマのサービス・パラメータを表 1 に示します。
表 1:カスタマのサービス・パラメータ
| カスタマ | CIR | EIR |
|---|---|---|
|
カスタマ 1 |
100 Mbps |
200 Mbps |
|
カスタマ 2 |
200 Mbps |
400 Mbps |
|
カスタマ 3 |
300 Mbps |
700 Mbps |
| 合計 | 600 Mbps | 1.3 Gbps |
リンクが輻輳状態でないときは、各カスタマのトラフィックを、それぞれの CIR と EIR の合計、最高 1 Gbps までバーストできます。たとえば、データを送信しているのがカスタマ 3 の Web サーバだけの場合、ギガビット・イーサネットのラインレート(300 Mbps CIR + 700 Mbps EIR)までバーストできます。
ただし、リンクが輻輳状態になると、各カスタマにはそれぞれの CIR が最低限保証され、残りの帯域幅は、伝送トラフィックを持つカスタマに比例配分されます。リンクが輻輳状態になり、3 つのカスタマすべてが伝送データを持つ場合、まず CIR の合計分の 600 Mbps が予約され、残りの 400 Mbps は次のようにカスタマ間で比例配分されます。
- カスタマ 1:(200 Mbps の EIR / 1.3 Gbps の合計 EIR)* 400 Mbps の残り帯域幅 = 61.5 MBPS の実際の過剰伝送レート
- カスタマ 2:(400 Mbps の EIR / 1.3 Gbps の合計 EIR)* 400 Mbps の残り帯域幅 = 123 MBPS の実際の超過伝送レート
- カスタマ 3:(700 Mbps の EIR / 1.3 Gbps の合計 EIR)* 400 Mbps の残り帯域幅 = 215.5 MBPS の実際の超過伝送レート
リンクが 3 つのカスタマによって輻輳状態になった場合には、各カスタマは、単一のアップリンク・ギガビット・イーサネット・ポートの次の合計帯域幅を利用できます。
- カスタマ 1:100 Mbps の CIR + 61.5 Mbps = 合計 161.5 MBPS
- カスタマ 2:200 Mbps の CIR + 123 Mbps = 合計 323 MBPS
- カスタマ 3:300 Mbps の CIR + 215.5 Mbps = 合計 515.5 MBPS
一方、カスタマ 2 とカスタマ 3 だけが伝送データを持つ場合、次の計算になります。
- 合計 CIR は、カスタマ 2 の 200 Mbps + カスタマ 3 の 300 Mbps = 500 Mbps、つまり 500 Mbps を超過トラフィックに使用できます。
- 合計 EIR は、カスタマ 2 の 400 Mbps + カスタマ 3 の 700 Mbps = 1.1 Gbps
2 つのカスタマには、EIR 帯域幅 500 Mbps が次のように比例配分されます。
- カスタマ 2:(400 Mbps の EIR / 1.1 Gbps の合計 EIR)* 500 Mbps の残り帯域幅 = 181.8 MBPS の実際の超過伝送レート
- カスタマ 3:(700 Mbps の EIR / 1.1 Gbps の合計 EIR)* 500 Mbps の残り帯域幅 = 318.2 MBPS の実際の超過伝送レート
リンクがカスタマ 2 およびカスタマ 3 によって輻輳状態になった場合には、各カスタマは、単一のアップリンク・ギガビット・イーサネット・ポートの次の合計帯域幅を利用できます。
- カスタマ 2:200 Mbps の CIR + 181.8 Mbps = 合計 381.8 MBPS
- カスタマ 3:300 Mbps の CIR + 318.2 Mbps = 合計 618.2 MBPS
この例では、両方のカスタマが各自の CIR を確保しながら、1 Gbps を完全に使用するように超過帯域幅が比例配分され、リンクが共有されるようすを示しています。
この例は、VTMS で可能なサービス・オファリングのほんの表面に過ぎません。さらにこの例を拡張し、各カスタマのさまざまなトラフィック・クラスを個別に扱うこともできます2。たとえば、特定のカスタマでは、音声をその他のどのトラフィックより完全に優先し、Web サーフィンに対しては非常に低い CIR を与えることができます。その名前が意味するとおり、VTMS は、サービス・プロバイダを差別化し、長期的に有利な競争力を提供する多数のラインレート・サービスの基盤に使用できる非常に多用途(Versatile)なシステムです。
宛先対応サービス(DSS)Cisco 7600 OSR では、DSS により、パケットの最終的な宛先に基づいてサービスを決定できます。これにより、すべてのインターネット・パスが等しいわけではないと認識されるため、サービス・プロバイダは、この事実を盛り込んだネットワークを構築できます。たとえば、サービス・プロバイダにとって、別のサービス・プロバイダのネットワークにあるサービスまたはユーザへのリンクを提供するより、接続の両側を提供する方がより高い費用効果が得られます。
DSS を PXF IP サービス・プロセッサにラインレートで実装すると、実証されている Cisco BGP4 の使用により、サービス・プロバイダでは、さまざまな宛先に向かうトラフィックは、分類、課金、および異なるサービスを適用されます。DSS では、BGP4 コミュニティ・リスト、AS パス、または宛先プレフィクスに基づいて、トラフィックが 8 つの可能なサービス・クラスに分類されます。宛先対応課金(DSB)、宛先対応トラフィック・シェーピング(DSTS)、宛先対応 QoS(DSQOS)などの宛先対応サブシステムが提供されます。
DSB により、サービス・プロバイダでは、通信の宛先に応じて個別にカスタマに料金を請求できます。たとえば、DSB を使用することにより、通常は帯域幅のキャパシティが制限されている大洋横断ルートで送信されるトラフィックに対し、より高いレートで課金できます。サービス・プロバイダ自身のネットワークにあるサイトに向かうすべてのトラフィックに対しては、より低いレートで請求し、このような「ネット内」動作を促進するとともに、高価な専用ピアリング契約を実装する必要性を回避できます。
図 2:宛先対応サービス

図 2 に、Cisco 7600 OSR および DSB を使用したメトロ・ネットワーキング・サービスを示します。それぞれのカスタマは、ギガビット・イーサネット OSM を使用してサービス・プロバイダ PoP にある Cisco 7600 OSR に接続しています。PXF IP サービス・プロセッサにより、OSM に着信するすべてのパケットが検査され、ローカルにある CEF 転送テーブルによってパケットの最終的な宛先が判断されます。この情報は、パケットの転送のためではなく、DSS での使用目的のトラフィック分類に使用されます。この場合、宛先は、4 つのバケット(公衆ピア、大西洋横断、専用ピア、ネット内)のいずれかに分類され、それぞれ異なるレートで料金が請求されます。サービス・プロバイダ・ネットワーク内の別のサイトに向かうトラフィックは、1 MB あたり 1 US ドルで請求され、大西洋横断トラフィックは、1 MB あたり 7 US ドルで請求されます。このような可変料金請求体系は、直接的に収益を高めるだけでなく、使用料金を削減するために、カスタマにより、そのサプライヤ、パートナ、およびコンテンツまたはアプリケーション・サービス・プロバイダにも同じサービス・プロバイダの使用が促されることにもなります。
また、DSB には、次の利点もあります。
- ネットワーク内のトラフィック・パターンをより見やすくする。
- 専用ピアで接続する他のサービス・プロバイダを適切に決定する。
- ネットワーク・エッジで帯域幅を増加すべき場所の判断に役立つ。
- より優れたルーティング・ポリシを実装する。
DSTS および DSQoS では、トラフィックの単純な課金よりも、VTMS などの QoS 機能で使用するために、DSS で行われる分類に基づいて、トラフィックが特定のクラスに分類されます。この機能により、サービス・プロバイダでは、トラフィック・フローを継続的に制御でき、ネット内動作を促進できます。たとえば、コロケーション施設のカスタマが、要求ユーザすべてに提供するには、使用可能な帯域幅以上の帯域幅が必要な、非常に人気のあるビデオ・ブロードキャスト・サービスを提供しているとします。サービス・プロバイダでは、サービス・プロバイダ・ネットワーク上に直接配置されているエンドユーザ、つまり自社のカスタマに対して、より大きな帯域幅を提供できます。世界中のほかのサービス・プロバイダ・ネットワークにいるその他のユーザへのビデオ・ストリームは、より低いレートにシェーピングされます。これにより、サービス・プロバイダ自身のカスタマは優先サービスを受けることができ、その他のユーザに対してはこの特定のサービス・プロバイダからのサービスを利用するように促すことができます。
DSTS、DSQoS、および DSB を併用すると、優れたサービスを提供でき、特定の動作を促進できます。たとえば、サービス・プロバイダは、大西洋横断リンクに対してより高いレートで料金設定し、特定のカスタマが大西洋を横断するトラフィックに使用できる帯域幅を低く設定し、ネット内トラフィックに対する優先サービスを提供できます。Cisco 7600 OSR では、各カスタマに異なるポリシを適用できます。大西洋を横断する大量トラフィックの送信が予測されるカスタマであれば、可変料金を低く抑えたより広い大西洋横断帯域幅と引き換えに、より高い定額料金でも喜んで支払うでしょう。このように、DSS では非常に多数のカスタマに柔軟に対応できます。
トラフィック課金⁄請求Cisco 7600 OSR を使用すると、サービス・プロバイダは、幅広いサービスをラインレートで展開できます。しかし、サービスの展開だけではなく、サービス・プロバイダでは、提供するサービスに対して課金および請求する必要があります。シスコの NetFlow サービスでは、これらの課題に対するソリューションが提供されます。NetFlow サービスは、PFC2 に実装され、ラインレートの課金および請求情報が提供されます。
NetFlow により、サービス・プロバイダでは、ネットワーク・トラフィックに対して課金および請求できます。ネットワーク管理、プランニング、および拡張に非常に重要となるトラフィック統計のカスタマイズされた要約が提供されます。NetFlow では、IP アドレス、プロトコル・タイプ、自律システム(AS)番号などの変数によって定義されるトラフィック・フローが分析されます。フロー期間、パケット・サイズ、および他の多数の要素を含む非常にきめ細かな分析を提供できます。
NetFlow では、入力物理または論理インターフェース、発信元および宛先 IP アドレス、発信元および宛先 UDP または TCP ポート、パケット数とバイト数、タイムスタンプ、IP ToS(タイプ・オブ・サービス)など、詳細なパケット情報が提供されます。Cisco 7600 OSR では、ラインレートで NetFlow データが処理され、システムあたり同時に最高 128,000 個の NetFlow エントリに対応できます。
この詳細なトラフィック課金情報は、すべて NetFlow データ・エクスポート経由でサードパーティのソフトウェア・アプリケーションにエクスポートできるため、ネットワーク・キャパシティのプランニングおよび請求などの機能を提供できます。この機能により、サービス・プロバイダでは、ネットワークの動作をきめ細かく制御し、把握することができ、アドレス、パケット数またはバイト数、あるいはサービスに応じて差別化された料金請求体系を設定して階層型サービス・レベルを実現できます。たとえば、個々のカスタマに対し、サービス・プロバイダのネットワークを通じて送信された VoIP(Voice over IP)トラフィックを発信元アドレスとポート、および IP タイプ・オブ・サービス(ToS)フィールドで識別し、その量に対応する特定の料金を請求できます。
マルチプロトコル・ラベル・スイッチングマルチプロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS 3)により、スイッチングのパフォーマンスにルーティング能力が実装され、将来的な成長に対する需要を満たすように既存のネットワークを拡張できます。このテクノロジーにより、ネットワークでは、より多くのトラフィック、ユーザ、豊富なメディアのデータ、または帯域幅中心のアプリケーションを処理できます。
データのフローの最初に「タギング」することにより、関連データの後続パケットは、最終的な宛先まですばやく送信されます。要求時間やルータ処理は最小限に抑えられます。MPLS では、次の 3 つのソリューション要素を含むパケットまたはセル・ベースのネットワークに、特定形式のラベル・スワッピングが使用されます。
- プロバイダのエッジ・ルータ:ネットワーク境界に配置するエッジ・ルータでは、ネットワーク・レイヤ・サービスが実行されてパケットにラベルが適用されます。同じ宛先に向かうトラフィックは、発信元が異なってもラベルを共有できるため、他の IP スイッチングの実装で発生するラベルの急増問題を回避できます。
- プロバイダのルータ:ATM スイッチまたはネットワーク内のルータでは、ラベルに基づいてラベリングされたパケットを交換できます。これらのネットワーク要素では、MPLS に加え、完全なレイヤ 3 ルーティングまたはレイヤ 2 スイッチングがサポートされます。
- LDP(ラベル配布プロトコル):ルーティング・プロトコルを含む標準のネットワーク・レイヤ・プロトコルと共存する LDP により、MPLS ネットワーク内のデバイス間でラベル情報が配布されます。LDP では、データ・フローからラベル配布が分離されるため、ATM リンク、PoS(Packet-over-SONET)リンク、イーサネット、ギガビット・イーサネットなど、さまざまなメディアに渡って MPLS を使用できます。
プロバイダのエッジ・ルータで使用されるタギング・アルゴリズムにより、ネットワーク管理者に優れた柔軟性がもたらされます。パケットには、特定の宛先のタグを付けることも、ネットワーク経路のロード・バランシングを行うために特定の経路を流れるようにタグを付けることもできます。また、発信元、宛先、およびその他のレイヤ 3 情報を分析する MPLS の機能を活用するようにタギングすることもできます。このきめ細かい処理によって、特定の発信元から送信されるパケット・フローまたは特定の宛先に向かうフローの QoS を制御できます。
Cisco 7600 OSR は、MPLS ベースのネットワークの構築に最適なプラットフォームです。MPLS 機能は、Cisco 7600 OSR のリリース後すぐに PXF IP サービス・プロセッサを通じて提供されます。シスコでは、次の機能の組み込みを予定しています。
- エッジ・ラベルの組み込みおよび削除を含むプロバイダ・エッジ(PE)機能
- コア・ラベル・スイッチングを含むプロバイダ機能
- LDP(ラベル配布プロトコル)のサポート
- MPLS トラフィック・エンジニアリング
- MPLS サービス・クラス・マッピング
- MPLS ファースト再ルート
- MPLS ロード・バランシング
- MPLS VPN(RFC 2547)
- Ethernet over MLPS(イーサネットを介した MPLS)
| まとめ |
QoS セキュリティ、トラフィック・シェーピング、トラフィック課金および請求、マルチプロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS)などのソフトウェア・サービスは、インターネットが継続的に成長し革新を遂げる過程で重要なコンポーネントとして出現してきました。基礎となるこれらのサービスにより、VoIP(Voice over IP)および Video over IP、電子商取引、アプリケーション・ホスティングなど、より高度なサービスの作成が可能になります。これまで、サービス・プロバイダにとって、ネットワーク・パフォーマンスに重大な影響を与えることなく、既存のネットワーク機器を使用して、オプティカル速度で必要なサービスをすべて展開することは不可能でした。Cisco 7600 OSR により、サービス・プロバイダではこの壁が打ち破られ、ネットワーク・サービスの数や種類にかかわらず、一貫したパフォーマンスを提供できます。
Cisco 7600 OSR により、サービスの展開方法が根本的に覆され、革新的なサービス・プロバイダによる提供サービスの差別化、および長期的な有利な競争力の確立が可能になります。
1階層型 VTMS は、OSR のリリース後に提供されます。
2階層型 VTMS は、OSR のリリース後に提供されます。
3MPLS は、OSR の初回出荷後に提供されます。| 更新日:2001 年 8 月 10 日 |
