Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ

WAN の運用効率を高める Cisco ASR 1000 シリーズ

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WAN の運用効率を高める Cisco ASR 1000 シリーズ



企業のビジネス モデルには変革が起こっています。グローバル化が進み、現在では多くの大企業が世界中で 24 時間アクセス可能な運用をサポートしています。新種のリッチ コンテンツ アプリケーションや、音声とビデオを組み込んだリアルタイムのコラボレーション型サービスも展開されています。そしてモバイル ワーカーや、ビジネス パートナーおよび請負業者にセキュアなアクセスを提供するニーズが高まるのに伴い、従来のネットワークにおけるドメインの境界も変化し始めています。


ネットワークでこれらの変化が最も顕著に感じられるのが WAN エッジです。その結果、WAN エッジ アグリゲーション ルータに対する一般的要件が拡大し、WAN エッジのインフラストラクチャが複雑化して管理と維持が困難になっています。これまで、WAN のエッジ ルータはネットワークの一部と見なされ、スピードとスケーラビリティが成功の主要な基準でした。しかし、エンタープライズ WAN のエッジ ルータの役割は、音声、マルチメディア、リアルタイム コラボレーションおよび業務取引など、リッチ サービスを提供するための統合化された中心的存在へと徐々に発展しています。

次世代 WAN の要件


テクノロジーにおける進歩はビジネス ポリシーを変革し、この変革がさらに WAN インフラストラクチャの変化を加速しています。そして、データ、音声、ビデオなどのサービスを単一のネットワークに集約するという流れが、変化に影響を与えるもう 1 つの要素となっています。さらに、統合型サービスと、QoS(quality of service)、ファイアウォール、IPsec(IP Security)、IPv6 などのアプリケーションへの対応が、ビジネス ポリシーの変革の必要性を促進しています。増大するビジネス ニーズとコスト抑制要件を満たすため、多くの組織がリソースを最適化し、WAN ヘッドエンド インフラストラクチャの複雑さを緩和することで、新しい WAN インフラストラクチャの課題に対処しようとしています。

  • WAN エッジ インフラストラクチャのパフォーマンス:企業そしてサービス プロバイダーは、効率的な運用のための余力を確保したうえで、集約された WAN のパフォーマンスを向上し、サービスの帯域幅を拡張する必要があります。
    • 新しいビジネス アプリケーションやコミュニケーション パラダイムの台頭により、WAN の帯域幅およびスケーラビリティに対する要求が今までになく増大しています。
    • 古いインフラストラクチャでは高帯域幅の WAN 集約およびインターネット エッジ アプリケーションをサポートできません。
    • 企業のイーサネット WAN サービスでは、マルチギガビットのイーサネット速度でサービスを提供する小型の高性能ルータが求められています。
  • ハイ アベイラビリティ WAN インフラストラクチャ:企業では、時間や場所を問わず WAN 上のアプリケーションおよびサービスにアクセスできるアベイラビリティが求められます。このためには、現在よりもアベイラビリティと復元力の高い適応型のインフラストラクチャが必要です。WAN エッジ インフラストラクチャには、次のサポート能力が求められています。
    • サービスが中断されない迅速なフェールオーバー
    • WAN を停止しない(かつエラーの少ない)能率的な変更管理とサービスの向上
    • プラットフォーム レベルでのシステム冗長性の強化
  • データ保護と準拠性を提供する WAN セキュリティ:企業はデータのプライバシーに関する業界基準を満たし、Sarbanes-Oxley Act(SOX; サーベンスオクスリー法)、Payment Card Industry Data Security Standard(PCI DSS; クレジットカード業界のセキュリティ基準)、Health Insurance Portability and Accountability Act(HIPAA; 医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)などの法令を遵守する必要があります。お客様の WAN エッジ インフラストラクチャには次の能力が求められます。
    • ネットワーク復元力を実現する自己防衛型アーキテクチャ
    • 重要なビジネスおよびクライアント情報のすべてを、パフォーマンスのボトルネックを発生させることなく保護
    • セキュリティ サービスを統合してネットワーク内に組み込むことにより、スタンドアロン デバイスを削減
    • 攻撃の防御、ポリシーの適用、およびアプリケーションのセキュリティに関するトラフィック フローの高速検査
  • アプリケーション インテリジェンスによるサービス デリバリ:サービス プロバイダーおよび企業は、組織内のサービス レベル契約(SLA)の要件を満たしながら、WAN 経由でサービスの提供およびアプリケーション パフォーマンスを向上する必要があります。この要件を達成するため、お客様は WAN エッジ インフラストラクチャに次の能力を求めています。
    • WAN および通信にかかる出費を抑制しながら社内の SLA を実現
    • 変化するネットワーク要件に迅速に適応できるように、サービスおよび機能の展開をスピードアップ
    • アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティを保証する、重要なネットワーク機能と相互運用可能な先進的サービス

リソースの中央集中化とアップグレードは大きなメリットをもたらしますが、同時にセキュリティ、遅延、パフォーマンスの問題が生じることがあります。事業で最高の生産性を実現するには、ネットワーク全体で同一レベルのサービスを提供する必要があります。このために WAN ヘッドエンド ルータは、セキュアで可用性が高く、かつリモート管理が可能で拡張性のあるサービスに欠かせない要素となります。

テクノロジーの進化とポリシー準拠には比較的大きなメリットがありますが、次世代ネットワークの所有と運用に関するコストと複雑さは予測が困難です。現在の設備には、将来的な成長のニーズに対応できる十分な余力があるでしょうか。新しいアプリケーションをネットワークに導入する際、どんな複雑な問題が生じるでしょうか。新しいソリューションの実装には大きなコストと学習曲線が求められるのでしょうか。

ネットワークの TCO(総所有コスト):詳細分析


あらゆるネットワークには導入コスト(CapEx)と運用コスト(OpEx)の両方が必要ですが、これらの投資が企業の利益にどの程度影響するかは、ネットワーク ソリューションそのものの特性、機能、そして適応性によって決まります。帯域幅の拡張はあらゆるネットワークの問題に対する解決策であると考えられる傾向があります。確かに、帯域幅を拡大することでパフォーマンスが向上するアプリケーションも存在しますが、この解決策は経済的でも長期的でもありません。帯域幅に対する毎月の料金により、運用コストは増加します。時間の経過とともに新しいアプリケーションが登場し、余っていた帯域幅はすべて消費されてしまいます。このため、企業はネットワークのオーバープロビジョンおよびオーバーサブスクライブという悪循環に陥ってしまい、その結果、WAN ヘッドエンドでのデバイスの保守および展開の費用が増加します。

TCO が増加するいくつかの原因を次にまとめます。

  • 構成とサポートの複雑さ:複数のハードウェア デバイス、ソフトウェア負荷、および管理システムは、シンプルなソリューションよりはるかに多くコストがかかるため、複雑なネットワーク構成では保守の負担が増加します。問題の根本的原因を特定することが難しく、平均復旧時間が長くなり、より多くの IT リソースが必要になります。複数のデバイスを直列して接続すると、ネットワーク障害の影響を大きく受けます。デバイスが 1 つ停止するだけで、他のデバイスのパフォーマンスとアベイラビリティにも影響が生じます。また、複雑なケーブル配線が人的および機械的エラーのリスクを高めてしまいます。
  • 設備の競合パフォーマンス条件:デバイスが複数存在するクラスタでは、1 つのデバイスがほかのデバイスのパフォーマンスと生産性に影響することがあります。たとえば、音声およびビデオ アプリケーション向けのネットワーク構成要件が、セキュリティ設定によって妨げられる場合があります。
  • 高額な定期費用:電力、通信料金、冷却、ラックスペースの費用は上昇し続けています。多くの場合、不動産およびラック スペース、電力、冷却設備の費用は非常に高額です。このように定期的に生じるコストを削減する方法を見つけることで、ネットワークの TCO を改善できます。
  • ハードウェアの多様性:一般的な WAN ヘッドエンドにおけるデバイスの数と多様性が増加するのに比例して、必要になるプラットフォーム関連のトレーニングは増加します。これにより、要員のトレーニングと管理に対するリソースの割り当てが増加します。
  • ハイ アベイラビリティ:WAN ヘッドエンドでは、ビジネスに不可欠な冗長デバイス(冗長 VPN ヘッドエンド、プロバイダー ネットワークでのマルチホーミング用冗長ルータ、冗長ファイアウォール、リモート アクセスなど)の復元力が、WAN 全体にわたって一貫した、信頼性が高く常に利用可能なサービスを提供するために極めて重要です。この要件がネットワーク運用における導入コストと運用コストの増加につながります。
  • 複数の保守契約:ネットワークに存在するデバイス数の増加に伴い、購入および更新する必要のある保守契約も増加します。複数のベンダー関係と保守契約の管理には時間がかかり、混乱を招きます。
  • セキュリティおよび法令準拠要件:ハードウェアとデータの暗号化および物理的なセキュリティ保護の必要性は高まり続けています。設備の多様性はセキュリティ ホールのリスクを高め、デバイス 1 台の攻撃に対する脆弱性が放置される可能性が高くなります。法令準拠のため、多くの組織がリソースを減らし、ネットワークの複雑さを緩和しようとしています。ネットワークで多様なデバイスを運用すると、対応が遅れる原因となります。
  • 増分的サービスに対するコストの増加:多くのアプライアンスや、目的に特化したデバイスには、WAN ヘッドエンドのネットワーキング ニーズの変化に対応する柔軟性が限られているか、まったくない場合があります。サービスを 1 つ追加するだけで、すでに設置されている設備をすべてアップグレードする必要があり、高いオンサイト コストと大規模な増分導入コストにつながります。
  • アプリケーション間のシナジー効果の低さ:統合型のデバイスでは、トラフィックが単一のパスを通過し、サービスの整合性が維持されながら、同期化された信頼性の高いデータが確実に伝送されます。同期化されていない複数のデバイスが存在する環境では、デバイスの QoS、セキュリティ、ネットワーク ポリシーが競合し、ネットワークの効率が低下して管理上のエラーが増加する可能性があります。
  • 高額なアップグレード:WAN ヘッドエンド アップグレード費用の大部分はオンサイト サービスに関連しているため、訪問の頻度と重大度を最小限に抑えることが重要です。多様な機器が存在すると、ハードウェアを追加せずに機能を拡張する場合や、終わりのない拡張と複雑化によってコストがかかり、IT サポート チームの俊敏性と応答時間の低下を招きます。

Gartner Group の調査によると、ネットワークの展開ライフサイクル全体において、設備購入の初期導入コストが TCO に占める割合は比較的小さく(約 20%)、継続的な運用コストが約 80% を占めることが報告されています。これら固定費のほか、過少投資により新技術のサービスが利用できないことで逸失利益が発生します。運用コストと逸失利益は、安価で低機能、およびサービス対応の少ないプラットフォームを購入することで節約できる費用を上回ります。

Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータ


シスコ® は、新しいコストパフォーマンス クラスを確立し、かつサービス プロバイダーと企業のいずれにも有益なミッドレンジ ルータの新シリーズ、Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータでネットワーク エッジを変革します。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、WAN エッジの簡素化およびネットワーク運用コスト(OpEx)を大幅に削減できる大きな機会を提供します。統合サービスを搭載した Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ 1 台で、中規模ネットワークに強力な性能とスケーラビリティをもたらします。WAN アグリゲーション、インターネット エッジ サービス、ファイアウォール サービス、VPN 端末などの重要な一連の WAN エッジ機能を単一のプラットフォームに効率的に統合した Cisco ASR 1000 シリーズは、総所有コスト(TCO)を最小限に抑えながら、先進的なサービスをセキュアかつスケーラブルで信頼性の高い方法で展開することを促進し、企業のビジネス目標達成をサポートします。

Cisco WAN アグリゲーション ソリューションは、データ、セキュリティ、音声、アプリケーション高速化サービスの同時処理と最大限の成長余力を確約する最高レベルのパフォーマンス、アベイラビリティ、密度を備えたマルチサービス ルータを提供することで、他のソリューションと差別化を図っています。Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータは、セキュリティ、パフォーマンス、メモリ強化機能が組み込まれており、最新の WAN テクノロジーを搭載した高性能インターフェイスで、企業の WAN ネットワークに対する厳しいニーズに応えます。表 1 にシャーシの比較と Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの 3 つの初期モデルの仕様を示します。

表 1 Cisco ASR 1000 シリーズ:シャーシの比較および仕様

モデル Cisco ASR 1002 Cisco ASR 1004 Cisco ASR 1006
物理仕様 高さ:88.9 mm (3.5 インチ)
幅:437.4 mm (17.2 インチ)
奥行き:558.8 mm (22 インチ)
高さ:177.8 mm (7 インチ)
幅:437.4 mm (17.2 インチ)
奥行き:558.8 mm (22 インチ)
高さ:266.7 mm (10.5 インチ)
幅:437.4 mm (17.2 インチ)
奥行き:558.8 mm (22 インチ)
共有ポート アダプタ SPA スロット x 3 SPA スロット x 8 SPA スロット x 12
Cisco ASR 1000 シリーズ エンベデッド サービス プロセッサ(ESP) ESP スロット x 1 ESP スロット x 1 ESP スロット x 2
ルート プロセッサ シャーシに内蔵 ルート プロセッサ スロット x 1 ルート プロセッサ スロット x 2
サポートされる SIP の数 シャーシに内蔵 2 3
冗長性 あり、ソフトウェア あり、ソフトウェア あり、ハードウェア
内蔵ギガビット イーサネット ポート あり、4 ギガビット イーサネット Small Form-Factor Pluggable(SFP; 着脱可能小型フォーム ファクタ)ポート 0 0

Cisco ASR 1000 シリーズ アグリゲーション サービス ルータは、シスコ ルータ製品の一部として数々のメリットを提供します。シスコのルータである Cisco ASR 1000 シリーズは、Cisco IOS® ソフトウェアの性能を最大限に活用できます。このルータは、Nonstop Forwarding/State Switchover(NSF/SSO)および In Service Software Upgrade(ISSU)から、IP SLA、Cisco IOS Embedded Event Manager(EEM)、Cisco IOS Embedded Syslog Manager(ESM)などの組み込み型管理機能まで、現在利用可能な Cisco IOS ソフトウェアのさまざまな機能を生かすと同時に、今後の新たな機能も存分に活用することができます。また、現在その他のシスコ製品の管理に利用している、シスコおよびサードパーティ両方のツールを含む一連のネットワーク管理アプリケーションで、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータを管理することができます。IT マネージャが既存の知識、トレーニング、インフラストラクチャを活用し、次世代 WAN ソリューションをコスト効率よく実装できるソリューションです。

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、高性能の完全統合型エンタープライズ インテリジェント サービスをキャリアクラスの復元力で提供します。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータには、次の特徴があります。

  • 新しい高速の WAN サービスをサポートする、WAN エッジでの高度なパフォーマンス
    • Cisco 7200 シリーズ ルータに比べ、WAN 帯域幅パフォーマンスと容量を 10 倍以上(最大 10 Gbps)向上
    • 次のような新しい WAN イニシアティブを促進
    • - データ、音声、およびビデオ アプリケーションの統合により、ローカル、リモート、およびモバイル ユーザがリッチ アプリケーションを使用
      - 論理的なサービスの分離により、ワークグループ向けに企業ネットワークを分割
      - データセンターの統合により、リモート ユーザおよびモバイル ユーザに高性能アプリケーションを提供

    • 大量の並列処理、カスタマイズした QoS、高度なメモリ管理、そして統合サービスのプログラマビリティを組み合わせた Cisco QuantumFlow Processor(QFP)で、迅速なサービス展開と機能の高速化を促進し、検証時間と展開時間の短縮および運用コストの節約につなげる、高性能のサービスを実現
    • 簡単なアップグレード パスの提供。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのコストパフォーマンスは、製品ラインのロー エンドに位置する Cisco 7200 シリーズと、ハイ エンドに位置する Cisco 7600 シリーズおよび Cisco Catalyst® 6500 シリーズの間に位置付けられます
  • WAN 全体に一貫した信頼性の高いサービスの提供を実現する、他の追随を許さない WAN アベイラビリティ
    • ネットワーク アベイラビリティの向上と、新サービスの導入および検証にかかる時間の短縮
    • ハードウェアおよびソフトウェアに冗長性を備えた可用性の高いキャリアクラス設計で、一貫した信頼性の高い、常に利用可能なサービスを提供
    • - コントロールプレーンとデータプレーンが分離した、復元力の高いハードウェア プラットフォーム アーキテクチャで強力なシステム アベイラビリティを実現
      - 高速なフェールオーバーとパケット損失ゼロのフォワーディングおよびルート プロセッサによるハードウェア完全冗長性
      - 業界初のデュアル OS(Cisco IOS XE ソフトウェア)冗長性で、中断とエラーが少ない能率的な変更管理を促進
      - 再起動および障害の隔離が可能で、ISSU を提供するモジュラ型の Cisco IOS XE ソフトウェア

  • 攻撃防御とコンプライアンスを保証する高性能の組み込み型 WAN エッジ セキュリティ
    • WAN ルーティング パフォーマンスに影響することなく、組み込み型高性能セキュリティ サービスを起動
    • 統合型の「オールインワン」ルータのアプローチは運用を簡素化し、WAN インフラストラクチャの検証、展開、保守のコストと時間を削減
    • - プライベート WAN およびリモート サイトにセキュアなサービス集約を提供
      - 組み込み型のセキュアなインターネット アクセス、マルチサービス ゲートウェイ、セッション ボーダー コントローラ、ファイアウォール、VPN 端末を提供

    • 組み込み型の高性能セキュリティ サービスで、セキュリティ サービスの高度な統合を実現し、ルータ機能を搭載してスタンドアロン型デバイスの必要性を低減
    • - 最大 10 Gbps スループットのファイアウォール、オンボード IPsec アクセラレーション、VPN、Network Address Translation(NAT; ネットワーク アドレス変換)サービス
      - Deep Packet Inspection(DPI; ディープ パケット インスペクション)および Network Based Application Recognition(NBAR)によって、主要なワームやウイルス、ゼロデイ攻撃に対する保護を提供

  • WAN サービス レベルと運用効率の改善
    • 効率的な帯域幅の使用、およびオーバーレイ ネットワークとデバイスの統合、電力効率化、そしてサービスの統合により WAN 総運用コストを削減、最適化
    • 帯域幅を向上する組み込み型の高速化されたシスコ パフォーマンス ルーティング、トラフィック管理、トラフィック計測(スケーラブルな完全 NetFlow バージョン 9)
    • 将来のバージョンに対する互換性を備え、新たなビジネス要件に容易に対応するハードウェアおよびソフトウェア アーキテクチャ
    • オーバーサブスクリプションに対応し、予測可能なアプリケーション パフォーマンスを実現するためのスケーラブルで柔軟な QoS を提供する、先進的なソフトウェアおよびハードウェア設計

ネットワークの複雑性の簡素化


オーバーレイ アプライアンスに比べ、Cisco ASR 1000 シリーズは大きなメリットを提供します。

  • サービスの整合性:Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、複数の同時進行サービスを想定して設計・構築されており、複数の個別デバイスよりも高度なサービス統合と一貫性を提供します。
  • システム サポート:シスコはネットワークを全体として捉えたアプローチにより、アグリゲーション サービス ルータの展開と運用に対して包括的なサポートを提供します。1 つの窓口によるサポート(Cisco SMARTnet® サポート)により、保守契約、ソフトウェア ライセンス、およびアップグレードの複雑さを緩和します(Cisco Software Application Support plus Upgrades [SASU])。その他シスコ プラットフォームで使用される共有ポート アダプタ(SPA)を使用する機会を提供します。
  • 運用効率:統合デバイスでは、管理するコンポーネントとユーザ インターフェイスの数が低減します。オーバーレイ アプライアンスと比較して、統合テクノロジーは障害やエラーのトラブルシューティングが容易です。

サービス統合によるエネルギー効率の向上


革新的な新しい Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、お客様の省エネ戦略における重要なコンポーネントとなる可能性があります。複数の単一機能のデバイスの機能を統合することで、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは展開にエネルギー効率の高い方法を提供します。このアプローチには、ラック スペース、電力、冷却要件などを低減する直接的なメリットがあります。

シスコのルータは、その進化とともに省エネ条件に関しても向上を続けています。2000 年を基準とした場合、シスコの WAN エッジ ルータは電力効率において最大 20 倍の向上を達成しています。この数字は、消費された 1 ワット当たりの電力で転送されたパケット数の単純な計算に基づいています。この期間で単一機能のアプライアンスを置換したとしても、それより電力効率比は高いと言えます。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、効率を改善し続けるシスコ ルータの特徴を継承した最新製品です。

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータが電力消費を削減する最も重要な方法の 1 つは、複数の単一機能のアプライアンスのサービスを統合する機能です。図 1 に Cisco ASR 1000 シリーズ ルータが提供する重要な統合サービスの一部を示します。

図 1 オーバーレイ アプライアンスのアプローチと Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの比較

図 1 オーバーレイ アプライアンスのアプローチと Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの比較
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Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは多くの機能を実行できますが、エネルギー利用の面では中程度の機能統合でも驚くべき効果を生むことができます。6 ラック ユニット(6RU)の Cisco ASR 1006 ルータと、一般的に展開されている同等のサードパーティ ルータにサードパーティ ファイアウォールおよび IPsec サービスを組み合わせたものとを比較すると、大きな節電効果が得られることが分かります。サードパーティ アプライアンスの組み合わせは、Cisco ASR 1006 ルータが同じ機能を同じ速度で実行して消費する 1 年間の電力より、18,011 kWh 多く電力を消費すると推測されています。二酸化炭素排出量に関する米国環境保護庁の指標に基づく計算では、この余分な使用量は 11,500 Kg の二酸化炭素排出量、またはガソリン 4936 リットルに相当します。

統合のレベルによって、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータはラック スペース、電力消費、冷却の要件を大幅に低減することが可能です。さらなるサービス統合を進め、より多くのアプライアンスを排除するのに比例して節約を促進できます。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、その多機能性により、ヘッドエンド アグリゲーションやインターネット ゲートウェイ、または地域の集約サイトにおけるメイン ルータおよびファイアウォールとしてなど、エンドツーエンド ネットワークにおける複数の場所に配置できます。また、比較的大規模なブランチ オフィスなどでは、2RU の Cisco ASR 1002 アグリゲーション サービス ルータを使用して、本社との VPN または専用回線アクセス手段として機能させることができます。

Cisco ASR 1000 シリーズ ルータを 1 台展開するごとに、削減できる電力も増加します。図 2 は、企業で Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ 20 台をネットワーク全体にさまざまなシナリオで展開した場合の、5 年間のライフサイクルにわたる電力節約の予測を示しています。この比較も前述の比較と同様に、同等のサードパーティ ルータに同等のスタンドアロン型サードパーティ ファイアウォールと IPsec アプライアンスを組み合わせた場合と比較しています。

図 2 5 年間にわたる WAN システム 20 台のエネルギーとコストの節約

図 2 5 年間にわたる WAN システム 20 台のエネルギーとコストの節約
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多くのビジネスが 24 時間体制に移行する中で、ネットワークのアベイラビリティは環境に大きな影響を与える可能性があります。ネットワーク アベイラビリティを提供するための従来のソリューションは、ネットワークで重要なサービスを提供するデバイスをそれぞれ 2 台以上展開していました。このアプローチは多くのラック スペース、電力、冷却を必要とするだけでなく、さまざまなルータやアプライアンスが廃棄される際に、大量の電子機器廃棄物を生み出します。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、優れたエネルギー効率を提供すると同時に、あらゆる規模の組織に包括的なネットワーキング サービスを提供します。

TCO モデル


Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの統合アプローチは、運用コストの削減に役立ちます。TCO のより大きなコスト コンポーネントを計算するため、シスコは包括的な運用コスト モデルを研究しました。このモデルは、収益 2500 万ドル、従業員数 2500 名、企業全体の売り上げのおよそ半分がネットワークを介して入ってくる中規模企業を例として想定しています。この企業では、およそ 2 時間の予期しないネットワーク障害が年 4 回発生、その他に、1 件当たり 8 人時を必要とする小規模の展開が 1000 回、1 件当たり 75 人時を必要とする主要な更新が 4 回、および 1 件の更新につき 120 人時のサポートが想定されています。さらに、評価の高いシステム インテグレータにより提供されたインストールおよび展開のコストを想定し、ソリューションの初期導入を WAN エッジ ルータ 5 台として見積もりました。

このモデルでは、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータを用いた 4 つの異なるシナリオについて、費用効果分析を行っています。これらのケースは、競合するオーバーレイ アプライアンスのセットと比較して、統合サービスを提供するシスコのルータを所有する利点を示しています。5 年間にわたる運用コストの具体的な比較は次のとおりです。

  • 直接経費:ネットワーク管理およびハードウェア管理ツール、年間保守契約、設備費用(スペース、電力、冷却要件)および実装(展開とプロビジョニング)費用
  • 間接経費:計画的ダウンタイム、予期せぬダウンタイム、従業員の生産性低下、ネットワーク中断による収益の損失などのアベイラビリティ関連費用

1. ハードウェア冗長性を搭載した基礎的 WAN アグリゲーション ルータ

  • 10 Gbps の帯域幅およびハードウェアの冗長性

このシナリオでは、Cisco ASR 1000 ネットワークの初期投資と運用コストは競合ソリューションとほぼ同じです。しかし、利益は Cisco ASR 1000 の実装が明らかに上回っています。Cisco ASR 1000 が 330 万ドルであるのに対し、競合オーバーレイは 160 万ドルです。利益の最も大きな要素は、Cisco ASR 1000 のハードウェア冗長性、およびパケット転送を中断することのないソフトウェア アップグレードと障害対応能力がもたらすダウンタイム短縮による節約です。WAN エッジで Cisco ASR 1000 シリーズ ルータを利用したネットワーク アップグレードの場合、正味現在価値(NPV)は 5 年間で約 220 万ドル以上です(図 3 参照)。

図 3 基礎的 WAN アグリゲーションでの Cisco ASR 1000 と競合オーバーレイの展開

図 3 基礎的 WAN アグリゲーションでの Cisco ASR 1000 と競合オーバーレイの展開
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2. セキュリティが有効にされた WAN アグリゲーション ルータ

  • IPsec サービス
  • ファイアウォール サービス
  • ディープ パケット インスペクション(DPI)
  • 10 Gbps の帯域幅およびハードウェアの冗長性

IPsec、ファイアウォール、DPI などのセキュリティ サービスを搭載した WAN アグリゲーション ルータとしての Cisco ASR 1000 または競合オーバーレイの展開では、コストと利益共に Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ ソリューションが有利です。お客様はソリューションの導入で節約できるだけでなく、ダウンタイムの削減と新しいサービスを通して利益を向上できます。このシナリオにおける NPV は 5 年間で約 310 万ドルと予測されます(図 4 参照)。

図 4 セキュリティ サービスを装備した基礎的 WAN アグリゲーション向けの Cisco ASR 1000 シリーズ ルータと競合オーバーレイの展開

図 4 セキュリティ サービスを装備した基礎的 WAN アグリゲーション向けの Cisco ASR 1000 シリーズ ルータと競合オーバーレイの展開
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3. 音声およびビデオ サービスが有効の WAN アグリゲーション

  • シスコ セッション ボーダー コントローラ サービス
  • 10 Gbps の帯域幅およびハードウェアの冗長性

音声およびビデオ サービスを装備した WAN アグリゲーション ルータとしての Cisco ASR 1000 または競合オーバーレイの展開では、コスト面における導入コストと、利益面におけるダウンタイム節約が主な魅力となります。お客様は Cisco ASR 1000 シリーズ ルータに基づくソリューションの導入で約 150 万ドル節約でき、かつ利益面でさらに 110 万ドル上乗せできます。このシナリオの合計投資収益は、5 年間で約 300 万ドルと予測されます(図 5 参照)。

図 5 音声およびビデオ サービスを装備した基礎的 WAN アグリゲーション向けの Cisco ASR 1000 と競合オーバーレイの展開

図 5 音声およびビデオ サービスを装備した基礎的 WAN アグリゲーション向けの Cisco ASR 1000 と競合オーバーレイの展開
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4. 次のセキュリティが有効にされた WAN アグリゲーション ルータ

  • IPsec サービス
  • ファイアウォール サービス
  • ディープ パケット インスペクション(DPI)
  • シスコ セッション ボーダー コントローラ サービス
  • 10 Gbps の帯域幅およびハードウェアの冗長性

最後のシナリオは、セキュリティから音声およびビデオ機能まで、サービスすべてを装備した WAN アグリゲーション ルータとしての Cisco ASR 1000 または競合オーバーレイの展開です。ここでは、数々の異なるサービスを 1 つのプラットフォームに集約した Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの有利性が明確に表れています。Cisco ASR 1000 はさまざまな一連のアプライアンスを代替し、安価な導入コストと運用コストを実現します。Cisco ASR 1000 が 160 万ドルなのに対して競合オーバーレイは 440 万ドルです。同時に、Cisco ASR 1000 を展開することによる利益は、競合オーバーレイの利益を 170 万ドル以上も上回ります。このシナリオでの Cisco ASR 1000 の展開の場合、合計投資収益は 5 年間で約 390 万ドルと予測されます(図 6 参照)。

図 6 セキュリティ、音声およびビデオ サービスを装備した基礎的 WAN アグリゲーション向けの Cisco ASR 1000 と競合オーバーレイの展開

図 6 セキュリティ、音声およびビデオ サービスを装備した基礎的 WAN アグリゲーション向けの Cisco ASR 1000 と競合オーバーレイの展開
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統合サービスを装備した Cisco ASR 1000 シリーズ ルータを 5 年のライフサイクルにわたって所有することで、大きな投資収益率が実現できます。つまり、企業またはサービス プロバイダーがネットワークに WAN エッジ ルータ 5 台を実装すると、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ ネットワークへの投資で最大 390 万ドル節約でき、多様なオーバーレイ ポイント製品を排除し、継続的な運用、サポート、トラブルシューティングに関連する複雑さから解放されます。

まとめ


企業およびサービス プロバイダーの WAN エッジに最適な高性能の小型アグリゲーション ルータ、Cisco ASR 1000 シリーズは、電力、スペース、スペア用在庫、保守の必要性を大幅に低減します。Cisco ASR 1000 シリーズは、現在の複雑な「つなぎ合わせた完全なネットワーク」、そして将来生まれるアプリケーションがもたらすあらゆる課題に対処します。WAN コア エッジ機能を単一のプラットフォームに統合し、高性能の WAN サービスをスケーラブルでセキュアかつ信頼性の高い方法で実現することで、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは WAN 運用を簡素化し、ネットワーク インフラストラクチャの運用コストを大幅に削減するすばらしい機会を企業に提供します。

関連情報


Cisco ASR 1000 シリーズの詳細情報については、http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/routers/asr1000/index.html をご覧ください。または、最寄りのシスコ代理店にお問い合わせください。