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Enhanced Intelligent Protection Switching
Switching(E-IPS)
| エグゼクティブ・サマリー |
本文書では、IP トランスポート・コンセントレータ Cisco ONS 15190 の拡張された自己回復機能を検討します。SRP(Spatial Reuse Protocol)テクノロジーを検討し、続いて、SRP の自己回復機能であるインテリジェント保護スイッチング(IPS)について説明します。また、いくつかのファイバの分断例、およびそうした分断による障害が SRP および IPS によって復旧される方法についても説明します。
本文書の後半部分では、Cisco ONS 15190 の拡張された自己治癒機能について説明します。Cisco ONS 15190 の E-IPS(Enhanced IPS)機能によって SRP ベースのネットワーク・アーキテクチャに真の価値が付加される例を示します。
| SRP テクノロジー |
SRP(RFC 2891)は、二重リング・ネットワーク・トポロジ上で使用される、メディア独立な MAC(Media Access Control)レイヤ・プロトコルです。このプロトコルを使用すると、長い伝送距離をマルチ・ギガビットの転送速度で IP パケットが転送されると同時に、帯域幅とノード数に対するスケーラビリティ、およびパケット生存性がサポートされます。この SRP MAC によって、アドレッシング、パケット・ストリッピング、帯域幅制御、およびパケット・リング上での制御メッセージ伝搬といった基本的な機能が提供されます。SRP はメディア独立なので、広範囲にわたる物理層のテクノロジーに対して使用できます。
SRP という名前は、宛先のストリッピング処理に基づいて付けられています。FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、送信元ストリッピングを用いたトークンリングなどの古いテクノロジーでは、パケットは、送信側によって削除されるまでリング全体を巡回します。したがって、送信元および宛先のノードがリング上で物理的に近接している場合も、パケットは、送信元ノードに戻ってきて削除されるまで、リング全体を周ります。一方、SRP の場合は、パケットは、受信された後に宛先ノードで削除されるので、帯域幅をより効率的に使用できます。これによって、解放された帯域幅を、他のパケットが利用できるようになります。
SRP リングは、データ・パケットと制御パケットの両方を並列にサポートするために、外部リングと内部リングの 2 つの二重リング・ファイバから構成されます。SRP では、制御パケット自体とデータ・パケットに便乗させた制御情報の両方が利用されます(制御パケットは、キープアライブ、保護スイッチング、帯域幅制御伝搬などのタスクを処理する)。制御パケットは対応するデータ・パケットとは反対方向に伝播されます。これにより、宛先に至る最短パスを通ってデータが転送されます。データ・パケットが外部リングで転送される場合は、対応する制御パケットは内部リングから送信されます。(図 1 を参照してください。)
図 1:SRP リング・テクノロジー

二重の光ファイバ・リングを使用することによって、高レベルの生存性が得られます。ノードに障害が発生したり接続ケーブルが分断されたりした場合、データは代替リング上を再ルーティングされます。
SRP テクノロジーを使用して開発された製品は、IP ネットワーキング(帯域幅の効率性と豊富なサービス)およびファイバ・リングの自己回復機能の利点をうまく組み合わせています。既存のネットワーキング・システムに対して、コストおよび機能面で多大な利点(コスト効率、拡張 IP サービス、ネットワークの頑強さ、スケーラビリティなど)を提供しています。
SRP リングはメディア独立であり、SONET/SDH(Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy)、WDM(Wavelength-Division Multiplexing)、ダーク・ファイバなど、さまざまな種類のテクノロジー上で使用できます。組み込みのファイバ・トランスポート・インフラストラクチャ上で SRP パケット・リングを稼動させるこの機能を使用すると、高帯域 IP ネットワーク上でパケットを最適化してトランスポートできるようにネットワークが進化していきます。
| SRP リングのインテリジェント保護スイッチング |
光ファイバ・ネットワーク上で SRP リングを稼動させる際の重要な要素の 1 つは、IPS です。IPS によって、SRP リングは、代替ファイバへのトラフィックのラップによってファイバ施設の障害やノードの障害からの自動復旧が可能である、強力な自己回復機能を持つことになります。IPS には、次のような包括的な自己回復機能があります。
- 宛先へのパケット伝送時における、リングのラップとラップ解除、および障害が発生したファイバ施設またはノードをバイパスしたシグナルの転送を行います。ファイバ施設またはノードの障害発生後に保護スイッチが迅速に実行されパケット損失が最小化されることにより、ルーティングの再コンバージェンスが回避されます。
- トポロジに関する情報の独立性により、リングからノードが挿入および削除され、孤立したリングを最小規模の設備およびコンフィギュレーションに結合できる。
- イベントの検出および報告のための障害および性能を監視する。
- 障害および障害解消に関する情報をやり取りするためのシグナルを処理および伝播する。
- リングをサブリングまたはアイランドに分割することなく、並行に複数のイベントを処理し、イベントの共存および先取権に関する規則を保護スイッチング・イベント階層を使用して定義する。
IPS の機能は、SONET/SDH リングに対する APS(Automatic Protection Switching)の機能に類似しています。ただし、IPS には、APS よりも優れた利点がいくつかあります。
- SONET/SDH オーバヘッド・バイトを利用しないので、SONET/SDH 以外のインフラストラクチャ(ダーク・ファイバ、WDM など)上でも稼動可能である。
- レイヤ 3 ルーティング・プロトコルの再コンバージェンスなしに、50ms IP サービスの復元(16 ノードを超える大型リングを含む)を提供する。
- 専用保護帯域幅を必要としない。したがって、リング帯域幅の 50%を保護のために確保する必要がなくなり、リングのラップ後のパケット・パス選択を最適に設定できる。
- レイヤ 1、2、および 3 のイベント(レイヤ 1 だけでなく)を監視および処理し、追加のパケット最適化機能(パケット・パススルー・モードなど)を提供することにより、サービスがレイヤ 3 のイベントに影響する場合にリングのラップを回避する。
- リング・ノードの名前、アドレス、トポロジ・マップの構築など、広範囲な設備供給およびコンフィギュレーションを必要としない。
代表的な SRP の障害発生のシナリオを調べると、単一または二重のファイバの分断が発生した場合に、自己回復オプションがどのように動作するかについて観察し理解することが可能になります。図 2 に、単一のファイバ分断の場合を示します。
図 2:シナリオ 1:単一のファイバ分断

SRP リング内のノード A と B の間の 1 箇所でファイバが分断された場合、次のように動作します。
1. ノード B がシグナル障害を検出し、ファイバをラップする。
2. 次に、ノード B が、短いメッセージをノード A に、長いメッセージを外部リング上のノード C から D までの範囲に送信する。
3. ノード B から短いメッセージを受信すると、ノード A はファイバをラップし、短いメッセージをノード B に(このメッセージはファイバの分断により損失する)、長いメッセージを ノード D から C までの範囲に送信する。
これらの処理の結果、リングがラップされ、すべてのノードの接続が保たれる。しかし、このリングは冗長ではないため、利用可能な帯域幅の削減が発生する可能性が高くなる。
シナリオ 2:二重のファイバ分断図 3 は、SRP リング上の 2 箇所でファイバの分断が発生した場合を示しています。
図 3:シナリオ 2:二重のファイバ分断

SRP リング上の 2 箇所でファイバ分断が発生した場合、次のような結果になります。
1. ノード B がシグナル障害を検出し、その内部ファイバを外部ファイバにラップする。
2. 次に、ノード B が、短いメッセージをノード A に(このメッセージは内部リングのファイバの分断により損失する)、長いメッセージをノード C から D までの範囲に送信する。
3. ノード A がシグナル障害を検出し、その外部ファイバを内部ファイバにラップする。
4. 次に、ノード A が、短いメッセージをノード B に(このメッセージは外部リングのファイバの分断により損失する)、長いメッセージをノード D から C までの範囲に送信する。
これらの処理の結果、リングがラップされ、すべてのノードの接続が保たれます。ただし、冗長性がないため、帯域幅が削減される可能性は依然としてあります。
| SRP ベースのインテリジェント・コンセントレータ |
Cisco ONS 15190 は、SRP ベースの SONET/SDH リング用の、地域電話会社級の高速レイヤ 1 インテリジェント・コンセントレータです。この製品は、SRP リングの動作をさらに拡張するために開発されました。最大 16 本のリングを同時にサポートすることによって、SRP 環境において、OC-12c/STM-4 から OC-192c/STM-64 までの範囲の転送速度で物理的なスター・トポロジに対して論理リングを定義できます。
各ノードは、物理的に Cisco ONS 15190 に接続されているので、さまざまなリングを定義するように内部的に構成できます。SRP リングをスター・コンフィギュレーションに変形することによって、ネットワーク管理者は、再書き込みすることなく、リング・コンフィギュレーションに対して完全な制御を維持できます。このスター・コンフィギュレーションは、ファイバ分断またはノード障害に対して同時に動作する、Cisco ONS 15190 のネットワーク自己回復機能の中心的な要素です。実際、E-IPS(この包括的な自己回復機能)は、Cisco ONS 15190 で提供されている最も重要な改良点の 1 つです。
SRP-IPS プロトコルの利点を最大限利用するだけでなく、E-IPS によって、障害発生箇所に対するネットワークの自動再コンフィギュレーションが可能になります。二重のファイバ分断またはノード障害が発生した場合、ネットワークが復旧されて稼動が再開されるだけでなく、残っているノードも二重ファイバによって最大帯域幅および完全な冗長性を保持しながら稼動し続けます。
| 拡張インテリジェント保護スイッチング |
以下に、ネットワーク上でファイバ分断が発生した際に、E-IPS 対応のコンセントレータと接続している場合の方が、標準 SRP リング・トポロジの場合よりも効率的に応答できることを示すシナリオをさらに次に示します。
シナリオ 3:単一のファイバ分断またはノード障害が 2 箇所で発生した場合ファイバ内の異なる 2 箇所で単一のファイバ分断またはノード障害が発生した場合、標準 IPS ソリューションでは、次のように 2 つのリングが別々に作成されます。
1. シグナル障害が検出されると、ノード A は、その両方のポートをラップし、ノード B と D の両方に短いメッセージを送信する。
2. この結果、ノード A、および(ラップされたファイバに接続されている)ノード B、C、D の 2 つのリングが存在することになる。図 4 に、単一のファイバ分断が 2 箇所で発生した場合の結果を示します。
図 4:単一のファイバ分断が 2 箇所で発生した場合:IPS ラップにより 2 箇所で別々にリングがラップされる

Cisco ONS 15190(E-IPS 機能付き)が上述のように単一のファイバ分断を 2 箇所で検出した場合、図 5 に示すように、ノード C、B、および D のラップが解除され、それに従って、内部スイッチのコンフィギュレーションが変更されます。その結果も同様に、2 つのリング(ノード A とノード B、C、D)が形成されます。ただし、この時点で、ノード B、C、および D のリングは 2 つのファイバに接続されているので、より高い冗長性と帯域幅が得られます。
図 5:E-IPS 機能によってリングが 二重ファイバで再構成される

シナリオ 4:二重ファイバ分断が 2 箇所で発生した場合 1
2 番目の例は、二重のファイバ分断が 2 箇所で発生したために、E-IPS 機能が重要となる場合です。この例においては、ノード A とコンセントレータの最初のラインカードの両方がシグナル障害を検出します。次のような状況が発生します。
1. ノード A がラップし、最初のラインカードがノード D に対するライン AIS(Alarm Indication Signal)2 を生成し、これもラップする。
2. ノード B と 3 番目のラインカードがシグナル障害を検出し、ノード B がラップし、3 番目のラインカードがノード C に対するライン AIS 2 を生成し、これもラップする。
3. その結果、図 6 に示すように、相互に接続されないラップされた 2 つのリング(ノード A、B とノード C、D)に分割される。
図 6:二重ファイバ分断が 2 箇所で発生した場合:IPS ラップにより 2 箇所で別々にリングがラップされる

しかし、リングが Cisco ONS 15190 に接続されている場合は、図 7 に示すように、E-IPS によってリングの再コンフィギュレーションが可能になり、ノード A、C、D、B からなる 1 つのリングにラップされます。内部的には、Cisco ONS 15190 は、分断されたファイバをバイパスして、すべての接続されたノードを通るファイバを形成します。この自動再コンフィギュレーション機能は、Cisco ONS 15190 の重要な自己回復機能の 1 つです。
図 7:E-IPS において 2 箇所のファイバ分断が発生した場合、1 つのリングにラップされます。

シナリオ 5:単一のファイバ分断
Cisco ONS 15190 に接続されている SRP リングにおける単一ファイバ分断には、次の 2 つの可能性があります。Cisco ONS 15190 から出て行くファイバが分断される場合、および Cisco ONS 15190 に入って来るファイバが分断される場合です。両方の場合において、Cisco ONS 15190 はネットワークに対して透過的であり、SRP-IPS プロトコルによってリングのラップが処理されます。このシナリオは、ノード B と A の両方が障害を検出しそのファイバをラップするという点で、シナリオ 1 と類似しています。結論として、これら両方の単一ファイバ分断の場合において、Cisco ONS 15190 は SRP-IPS プロトコルに従います。
| 要約 |
SRP ベースのリングは、IPS プロトコルが提供する自己回復機能を統合しています。Cisco ONS 15190 では、IPS メカニズムをさらに拡張したある範囲の機能(E-IPS と呼ぶ)が提供されます。いくつかの障害シナリオにおいて、Cisco ONS 15190 ベースの SRP リングは、従来の SRP リングの場合よりも高いレベルでサービスを復元します。Cisco ONS 15190 ベースの SRP リングの方が従来の SRP リングよりも広い帯域幅を提供するという点を考慮すると、この事実はさらに重要度を増します。
従来のトポロジでも Cisco ONS 15190 を装備したトポロジでも、単一ファイバ分断からの復旧は可能です。しかし、分断が複数の箇所で発生した場合、すべてのネットワーク・エレメントへの接続性を維持できるのは、Cisco ONS 15190 ベースのトポロジだけです。従来の SRP リングの場合は、2 つの分離したリングに分割されます。同様に、論理リング内のノードにつながるファイバの両方において分断またはノード障害が発生した場合、コンセントレータがネットワークを再構成して 1 つのラップされたリングを形成します。すなわち、ノードがネットワークから取り除かれ、残りのノードに対してフル・サービスが維持されます。したがって、多くの障害シナリオにおいて、Cisco ONS 15190 ベースの SRP リングは、従来の SRP リングの場合よりも高いレベルでサービスを復元します。
1 Cisco ONS 15190 の将来のアプリケーション。
2 Cisco ONS 15190 コンセントレータは、ライン AIS シグナルを送信するが、望ましくない場合、そのオプションをオフにできる。そのような場合、キープアライブ・シグナルの欠落に基づき、ノード D がファイバ分断を検出する。
| 更新日:2001 年 8 月 27 日 |