テクニカルノーツCisco Agent Desktop:サードパーティ製エンタープライズ アプリケーションを統合する方法Cisco Agent Desktop の概要コンタクト センター管理の主な目的は、エージェントの生産性と顧客満足度を高めることです。エージェントのパフォーマンスを向上させ、顧客満足度を高めるには、適切な情報を適切なエージェントに、適切なタイミングで送ることが重要です。 コンタクト センターのパフォーマンスを高めるベスト プラクティスの 1 つは、ACD(Automatic Call Distributer; 自動着呼分配機能)システム、IVR(Interactive Voice Response; 自動音声応答)システム、サードパーティ製エンタープライズ アプリケーション(CRM やヘルプ デスクなど)、およびテレフォニー システムからのデータを共通のデスクトップ アプリケーションに統合し、スクリーン ポップ、タスク自動化、発信プレビュー ダイヤリングで使用できるようにすることです。データを統合することで、状況を把握しやすくなります。また通話時間を短縮でき、キーストロークをなくして、カスタマー エクスペリエンスを高めることができます。コール ログを開く、E メール フォームを送信する、アプリケーションの機能を実行するといった繰り返し作業を自動化し、エージェントの生産性を高めてエラーを減らすことができます。 一般的に、基本的なスクリーン ポップにより、1 つの平均的なトランザクションで 15 秒短縮できると言われています。その時間だけでも、コンタクト センターのパフォーマンスには大きく影響してきます。タスクの自動化、IVR 統合、発信トランザクションを含めた生産性アプリケーションの拡張によって、デスクトップの自動化と統合に関するビジネス ケースはさらに充実したものになります。 Cisco Agent Desktop では、既存のデータ処理アプリケーションを変更せずにテレフォニー データをアプリケーションに統合することができます。Cisco Agent Desktop は、ワークフローを使用してこのような利点を提供します。ワークフローは、エージェントのアクティビティを自動化する強力なツールです。音声コンタクト ワークフローは、呼び出し、コール応答、コール中断、コール ラップアップのコードなどのテレフォニー イベントや ACD イベントに基づいて、エージェントのアクティビティを自動化します。Cisco Agent Desktop ワークフロー自動化の目的は、次のとおりです。
ワークグループごとに異なるワークフローを作成できるので、それぞれ役割に応じた使い方ができ、生産性を高めることができます。Cisco Agent Desktop の利点は、ソフトウェアがパッケージ化されていてプログラミングせずに設定できることです。これにより、ソリューションの展開から変更や拡張の管理まで、ライフサイクル コスト全般を削減できます。 ワークフローの流れは、イベント -> ルール -> アクションという、単純なパラダイムですが、効果は絶大です。イベントは、コンタクト センターのアクティビティです。これは、エージェントの場所にある電話の呼び出し、エージェントの ACD 状態の変化、または時刻などで、実際の状態の推移に対応しています。各イベントに対してルール セットが評価され、そのイベントに関わるルールに基づいて、どのアクションを実行するかが決定されます。アクション セットは、それぞれのルール セットに対して定義されます。そしてこのアクション セットにより、テレフォニー データとデスクトップ アプリケーションの統合、およびそのデスクトップ アプリケーションの実行が定義されます。図 1 に、ワークフローの例を示します。 サードパーティ製アプリケーションをワークフローにアクションとして組み込む方法は、次の 4 つです。
Cisco Agent Desktop をサードパーティ製アプリケーションと統合するプロセスは、すべての統合タイプに共通したものです。Cisco Agent Desktop でアプリケーション統合を実装するには、Cisco Desktop Administrator の [Voice Contact Work Flow](図 2)を選択し、[Actions (of current Rule)] のワークフローを [Add] で追加し、Select Action ウィンドウ(図 3 を参照)で統合アクションを選択します。 [Events] と [Rules (of current Event)] でイベントとルールを定義すると、新しいワークフロー定義で使用するアクションを追加([Add])できます。アクションは、音声イベント(特定の自動番号識別 [ANI] によるコールの受信など)やエージェントの状態の変化(ACD 状態の変化や時刻)によってトリガされます。また、そのイベントに適用するルールを定義することもできます。たとえば、着信番号(ANI)を表示するかどうか、アカウント番号の桁数が正しいかどうか、などです。 ワークフローは、共通のワークフロー グループに属するエージェントの間で共有されます。コンタクト センターには複数のワークフロー グループを定義でき、ワークフロー グループごとに共通のワークフローを割り当てることができます。たとえば、営業部門とカスタマー サービス部門で異なるワークフローを設定することができます。ワークフローをこのように割り当てることで、各チームが適切なツールを使用して効率的に作業を行えます。 統合方法は、アプリケーションの特性と求める成果に応じて選択します。
図 2. Cisco Desktop Administrator の Voice Contact Work Flow 設定画面
図 3. Cisco Agent Desktop の Select Action ウィンドウ このドキュメントでは、次のシスコ製品で使用できる、Cisco Agent Desktop ソフトウェア スイートのサードパーティ製エンタープライズ アプリケーションの統合手法について説明します。
Cisco Agent Desktop の Web 統合アクションCisco Agent Desktop の Web 統合アクションは、Salesforce.com などのWeb ベース アプリケーションや、Siebel、PeopleSoft、SAP など Web ベース インターフェイス オプションを持つ製品を使用する場合に適しています。また、コンタクト センターは Web 統合を使用して、Web View や Cisco Unified MeetingPlace ソフトウェアなどの他のシスコ アプリケーションと連携することもできます。Web 統合は、音声コール イベントやエージェントの状態の変化、または時刻によってトリガされます。図 4 に、Web 統合アクションの処理の流れを示します。 Web 統合アクションを実装するには、HTTP POST メソッドまたは GET メソッドを使用します。どちらを選択するかは Web サーバの実装状態によります。一般に、変化しない情報を取得する場合は GET を使用し、変化する情報を取得する場合は POST を使用します。 Web 統合により、エージェントはコールベースのデータを使用して、Cisco Agent Desktop の統合型ブラウザ ウィンドウで Web や Web アプリケーションとのやり取りができます。たとえば、着信コールに関するデータ(IVR で収集されたアカウント番号など)を使用して顧客レコードを取得し、Cisco Agent Desktop の統合型ブラウザ ウィンドウに表示したり、切断時には特定のブラウザ ウィンドウやペインに表示できるように、Web 統合アクションを設定することができます。 Web 統合アクションを作成するには、サードパーティ製 Web アプリケーションで使用されるパラメータが必要となります。たとえば、アプリケーションであるページを検索する際に GET メソッドが使用される場合は、その検索プロセスを手動で実行することで、目的の URL 文字列を生成し、URL を特定できます。次にその URL を逆コンパイルして、HTTP Action Setup 画面に文字列を入力します。 図 5 に、統合型ブラウザで実行される URL の構築に使用する HTTP Action Setup 画面を示します。このダイアログ ボックスでは、次の項目を指定する必要があります。
図 5. HTTP Action Setup 画面 Cisco Agent Desktop の Web 統合アクションは、標準の HTTP 統合メソッドを使用し、任意のテレフォニー データや通常のテキスト入力を使用できるので、実装と更新が容易です。これらの機能により、Cisco Agent Desktop と任意のブラウザベース アプリケーションを統合でき、Web 開発グループが既に実行した作業の使用、完了したアクションの再使用、初期リリースとその後のアップデートの自動配布が可能になります。 Cisco Agent Desktop Web 統合アクションの例ある大きな地方銀行では、Cisco Agent Desktop を使用して、Nortel/Periphonics IVR アプリケーションで収集された情報をコンタクト センター エージェントに渡しています。エージェントは、銀行のカスタム Web ポータルを使用してすべての顧客データにアクセスできます。Cisco ICM アプリケーションからは、アカウント番号、プレミア アカウント フラグ、IVR の削除、確認フラグが Cisco Agent Desktop へと渡されます。Cisco Agent Desktop ワークフローは、Web 統合アクションを使用して、このデータを銀行のカスタム Web ポータルに渡し、Cisco Agent Desktop の統合型ブラウザ ウィンドウにスクリーン ポップとして表示します。この統合プロジェクトとルーティング改善の組み合わせにより、呼処理時間とコンタクト センターの待ち時間全体が大幅に短縮されました。 Cisco Agent Descktop の外部アプリケーション起動アクション外部アプリケーション起動アクションにより、サードパーティ製アプリケーションが新しいウィンドウで起動します。アプリケーション起動は、音声コール イベント、エージェントの状態の変化または時刻に基づいて実行できます。外部アプリケーション起動アクションはマクロと組み合わせて、標準的なタスクを実行できます。たとえば、マクロの実行前に確実にアプリケーションを起動しておくために、アプリケーションを起動イベントに割り当て、外部アプリケーション起動アクションによって起動することができます。サードパーティ製アプリケーションの起動をボタンに関連付けると、エージェントのキーストロークを減らすことができます。また、エージェントはこのボタンを使用して、ワードパッドなどのツールを起動してメモを入力したり、コール終了時に E メール アプリケーションを起動して、E メール メッセージの標準セクション(メール アドレス、件名など)の入力をマクロで実行することもできます。 外部アプリケーション起動アクションは、カスタム アプリケーションにも使用できます。たとえば、企業の技術者が Microsoft Visual Basic のカスタム アプリケーションを作成して社内のビジネス アプリケーションと統合することもできます。Cisco Agent Desktop はこのカスタム アプリケーションを起動してパラメータを渡します。これにより、ユーザはビジネス アプリケーションを使用でき、Cisco Agent Desktop はすべてのテレフォニー データを処理できるようになります。 外部アプリケーションを起動するためのアクションを設定する前に、.exe ファイルへのパスを確認しておく必要があります。通常、.exe ファイルは、すべてのエージェントがアクセスできるネットワーク ドライブ上にあります。 たとえば、エージェントが Cisco Agent Desktop にログインしたときに、外部アプリケーション アクションによってアプリケーションを起動することができます。ANI や IVR によって収集されたデータは、コマンドライン パラメータを使用してアプリケーションに送信され、エージェントのビジネス アプリケーションのスクリーン ポップに顧客情報を表示することができます。 このようなアクションを設定するには、メニューを使用したシンプルなダイアログ ボックス(図 6)で以下の手順を実行します。
図 6. Launch External Application Action Setup 画面 外部アプリケーション起動アクションは簡単に作成できます。このアクションは、イベント(音声コールやエージェントの状態の変化、または時刻)をトリガとして設定したり、アプリケーションにすぐにアクセスできるように、デスクトップのボタンに関連付けることができます。また、マクロと組み合わせ、起動したアプリケーションをさらに細かく制御することによって、エージェントの生産性を高め、顧客対応に要する時間を短縮することができます。 Cisco Agent Desktop 外部アプリケーション起動アクションの例ある大きな生命保険会社では、外部アプリケーション起動アクションを使用して、Cisco Agent Desktop と FrontRange Solutions GoldMine CRM アプリケーションを、着信処理と発信処理の両方で統合しています。着信側の統合では、Cisco Agent Desktop が ANI 発信元番号をワークフローを通じて実行されたカスタム スクリプトに渡します。カスタム スクリプトは ANI データを Cisco Agent Desktop に返し、スクリーン ポップに表示します。発信側の統合についても同様です。Cisco ICM アプリケーションはアカウント番号をエージェントのデスクトップに渡します。これにより、GoldMine でレコード検索が開始されます。この統合により、コール時間が平均 30 秒短縮され、受信側エージェントと発信側エージェントを合わせた全体的な生産性が向上しました。 Cisco Agent Desktop の IPC 統合アクションCisco Agent Desktop の IPC 統合アクションでは IPC アクションを使用して、情報を UDP メッセージ形式でエージェントのデスクトップからカスタム アプリケーションに渡します。このアプリケーションは、エージェントの PC に限らずネットワーク上の任意の場所に配置できます。 Cisco Agent Desktop 7.1 は IPC 統合アクションを送受信できます。サポートされる受信アクションは、スーパーバイザ チャット セッションを開始するタスクや、コールを実行するタスクなどです。図 7 に、IPC 統合アクションの処理の流れを示します。 Cisco Agent Desktop の IPC 統合アクションを使用するには、アプリケーションが特定の IP アドレスおよびポートに送信されるデータを待ち受ける必要があるため、企業の IT グループやシステム インテグレータによるプログラミングが必要です。 IPC 統合アクションを実装するには、ワークグループ ワークフローの作成時にアクションを作成します。アクションは、音声コールやエージェントの状態の変化によって有効になります。(注:他のアクションとは異なり、時刻ベースでの実行はサポートされていません。)アプリケーションを Cisco Agent Desktop と統合するには、そのアプリケーションの IP アドレスとポート番号を知る必要があります。 IPC アクションを作成するプロセスはシンプルです。IP Action Setup 画面(図 8)を使用して、次のことを行います。
図 8. IPC Action Setup 画面 IPC 統合アクションは、サードパーティ製エンタープライズ アプリケーションを Cisco Agent Desktop と統合するための、強力で柔軟性のあるツールです。IPC 統合アクションにより、緊密な統合が実現します。また、UDP ソケット ハンドラをサードパーティ製アプリケーションに追加できる技術者がいる場合に最適なオプションです。Cisco Agent Desktop でのアクション設定はシンプルで、プログラミングも不要です。 現在のところ、IPC 統合アクションは Cisco Unified Contact Center Express では利用できません。 Cisco Agent Desktop IPC 統合アクションの例ある小売業者のコンタクト センターでは、2 つの自社開発エージェント デスクトップを使用しており、どちらも Visual Basic で作成されています。着信ダイヤリングの場合、ICM から Cisco Agent Desktop に、ANI、DNIS(Dialed Number Identification Service)、コールの種類、アカウント番号、その他のデータ フィールドが渡されます。Cisco Agent Desktop IPC ワークフローは UDP ソケットを作成し、このデータをエージェント デスクトップ のアプリケーションに渡します。これにより、コールの種類に基づいて、スクリーン ポップにデータが表示されます。また、コンタクト センターでは、CRM 指標のデータ ウェアハウスに顧客および潜在顧客のコール データを正確に渡すことを目的として、IPC ワークフローを使用しています。 またエージェントは、Click-to-Call 機能を、Visual Basic アプリケーションの発信ダイヤリングに使用しています。発信 UDP ソケット セッションは、エージェントが選択した電話番号を Cisco Agent Desktop に渡すことによって、発信コールを行います。 Cisco Agent Descktop キーストローク マクロ アクションCisco Agent Desktop のキーストローク マクロ アクションは、繰り返し行う作業を自動化し、エージェントのタスクの簡素化および生産性の向上を実現します。キーストローク マクロは、繰り返し作業に必要なキーストロークをすべて記録します。Cisco Agent Desktop では、ボタンのクリック、特定の音声コンタクト イベント、またはエージェント状態の特定の変化により、キーストローク マクロ アクションを自動実行します。キーボードから(つまり、マウスを使用せずに)制御できるアプリケーションはすべて、キーストローク マクロを使用して制御できます。図 9 に、キーストローク マクロ アクションの処理の流れを示します。 作成したマクロは、Cisco Agent Desktop の起動時にエージェントのデスクトップに読み込まれます。マクロには、タスクのキーストロークが記録されています。これにより、ユーザは一連のキーストロークを行う必要がなく、マクロを実行するだけなので、ミスがなく、時間も節約できます。キーストロークで実行できるタスクはすべて、マクロで実行できます。アプリケーションの統合にマクロを使用すると、アプリケーションを起動してある部分にアクセスする、といった繰り返し行うタスクをなくすことができます。 キーストローク マクロは、次のようなタスクに使用できます。
また、マクロは非常に高度な使い方もできます。たとえば、着信コールごとに、次のような一連のタスクを実行できます。
ステップが間違いなく繰り返されるように、マクロを作成する前に、アクションを実行するキーストロークを注意深く文書化しておく必要があります。 キーストローク マクロは、ワークグループ ワークフローの設定プロセスの一環として作成されます。他のすべての手法と同様に、アクション実行のプロセスは、ガイドに従い 1 ステップずつ順を追って行うことができます。キーストローク マクロのアプリケーション統合を実装する主な手順は次のとおりです。
キーストローク マクロ アクションは、スクリーン ポップ、ワークフロー、またはコール ラップアップの自動化を設定するための、強力かつシンプルな方法です。変更や拡張が容易なので、カスタマイズして統合の複数のバージョンを保持しておくことができます。 Cisco Agent Desktop キーストローク マクロの例ある州政府機関では、Cisco Agent Desktop のキーストローク マクロ アクションと消費税の IVR アプリケーションを組み合わせて使用し、住民にサービスを提供しています。IVR アプリケーションが、発信者の納税者番号をその他の情報と併せて Cisco Agent Desktop に渡します。この情報は IBM SNA(System Network Architecture)メインフレームに渡された後、キーストローク マクロを使用してエージェントの 3270 端末アプリケーションに渡されます。この統合によってエージェントによる質問の数が減少し、その結果、エージェントの効率向上と通話時間の短縮が実現しました。 まとめCisco Agent Desktop は、サードパーティ製エンタープライズ アプリケーションと次の 4 つの方法で統合できます。また、複雑な設定は必要ありません。表 1 に、統合方法とアクションをまとめます。 表 1 エンタープライズ アプリケーションの統合方法
これら 4 つの方法のどれを使用しても、アプリケーション統合を簡単に実装できます。統合はワークグループ単位で実装できます。その際、Cisco Agent Desktop のソース コードのプログラムを変更する必要はありません。新しいアクションは、Cisco Agent Desktop の起動時に自動的にエージェントのデスクトップに読み込まれるので、システム管理に手間はかかりません。 アプリケーション統合によって、キーストロークが減り、エージェントがコール応答やコール ラップアップに要する時間が短縮されて、エージェントの生産性が向上します。エージェントの応答性の改善は、すべてのコール センターにとって重要な目標である顧客満足度の向上につながります。 |
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