■カスタム・キューイングとプライオリティ出力キューイング
はじめに
SNAとLANのインターネットワークを統合する場合に難しいのは,いかにして SNAネットワークの想定レスポンス・タイムを維持しながら,同時にLANアプリケーションのスループット要件を確実に満たすかということです。想定パフォーマンスを実現するには,回線速度を上げてトラフィック・コンディションがピークのときにも,十分な帯域幅を確保できるようにするのが1つの方法です。ただし,これはバックボーン・リンク用のアプローチとしては妥当ですが,遠隔サイトをバックボーンに接続する場合には,コスト効率が高いとは言えません。低い回線速度を使用し,ピーク・トラフィック・コンディション時には基幹業務データの優先順位 をクリティカル度の低い伝送よりもあげる方が賢明です。基幹業務データで想定スループットを確実に実現できるようにするために, Cisco社では次の2通りの方法を提供しています。
- プライオリティ出力キューイング。これは基幹業務データに最も高い優先順位 を与え,輻輳時にはクリティカル度の低いトラフィックを後回しにしようという企業向きです。
- カスタム・キューイング。これは,すべてのプロトコルに対して最低限のサービス・レベルを保証しなければならない環境に向いています。
プライオリティ出力キューイング
プライオリティ出力キューイングを使用すると,ネットワーク管理者は1つのインタフェースで4種類のトラフィック優先順位 (ハイ,ノーマル,ミディアム,ロー)を定義することができます。トラフィックがルータに入ると,4 種類の出力待ち行列のうちの1つに割り当てられます。優先順位が最も高い待ち行列のパケットが最初に伝送されます。その待ち行列が空になると,今度は次に優先順位 の高い待ち行列が伝送されます(以下,同様)。この仕組みによって,輻輳時でも優先順位 の低いトラフィックが原因で,優先順位の最も高いデータの伝送が遅れることはなくなります。ただし,所定のインタフェースに送られたトラフィックがそのインタフェースの帯域幅を超えた場合には,優先順位 の低いトラフィックに大幅な遅延が生じることもあります。カスタム・キューイング
保証したサービス・レベルをあらゆるトラフィックに提供しなければならないネットワークのために,Cisco社はカスタム・キューイングを用意しています。カスタム・キューイングを使用すると,一定の割合の帯域幅を特定のプロトコル用に確保することができます。通 常のデータ用に最大10個の出力待ち行列と,LANキープアライブ・メッセージなどのシステム・メッセージ用にさらにもう1つ待ち行列を定義することができます(ルーティング・パケットはシステム待ち行列には割り当てられません)。Ciscoルータは各待ち行列を順番に処理し,各待ち行列に設定可能な割合のトラフィックを伝送してから,次の待ち行列に移ります。カスタム・キューイングを使用すると,必ず,基幹業務データに一定の割合の帯域幅が割り当てられ,なおかつ他のトラフィックも予想スループットを確実に達成できます。この機能を提供するために,Ciscoルータはインタフェース速度と設定された割合に基づいて,各待ち行列から伝送すべきバイト数を決定します。所定の待ち行列から算定されたバイト数が伝送されると,ルータはカレント・パケットの伝送を完了し,次の待ち行列へ移動します。こうして,各待ち行列が順繰りに処理されます。
Ciscoルータの各種テストから,複数のプロトコルからのトラフィックで回線が飽和状態になると,その回線のトラフィックは,コンフィギュレーションで指定されたパーセンテージと数ポイント差以内で,割り当てられた帯域幅の割合が維持されることが明らかです。
Cisco社の「帯域幅確保」技法の大きなメリットは,帯域幅を必要としているプロトコルに未使用の帯域幅を動的に割り当てることができる点です。たとえば,SNAに帯域幅の50%が割り当てられていて,実際には30%しか使用していない場合,SNAが要求するまでの間,待ち行列の次のプロトコルが残りの20%を使用できます。カスタム・キューイングはさらに,フレーム・リレーなどのパケットスイッチング技術を上手に利用することによって,専用回線の予想スループットを維持します。
トラフィックの詳細
優先順位付け技法を上手に利用するために,ネットワーク管理者はトラフィックを待ち行列に割り当てる方法を柔軟に考える必要があります。たとえば,トークンリングLAN上にSNAとNetBIOSのトラフィックが両方ともある企業では, NetBIOSトラフィックよりSNAトラフィック(通常はこちらの方が基幹)を優先せざるをえないでしょう。このようなこまやかさを実現するために,Cisco社はLANサービス・アクセス・ポイント(SAP)という,フレームで伝送するプロトコルを指定するLANフレームのフィールドで,優先待ち行列を指定できるようにしています。Ciscoルータはさらに,SDLCトラフィック,任意のルーティング・プロトコル群,任意のTCP/IPポートについて,優先扱いをサポートします。TCP/IPポートでの制御がサポートされるということは,FTPよりTelnetトラフィックを優先するといったように,アプリケーションのレベルまで考慮できるのです。
従来のSNA環境では,さらに細かいレベルでの優先順位付けが可能です。たとえば,特定の論理ユニット(LU)のトラフィックを優先して,ターミナル・トラフィックがプリンタ・トラフィックより優先されるようにしなければならない場合があります。Cisco社では,SDLCまたはトークンリングSNAのどちらかのトラフィックを伝送するときに,所定の物理ユニット(PU)に対応するLUアドレスを使用して優先順位 を指定する機能をサポートしています。さらに,カスタマ・サービス・トラフィックが管理用トラフィックより優先されるようにする目的などで,特定のSDLC回線を他の回線より優先しなければならないこともあります。
まとめ
カスタム・キューイングとプライオリティ出力キューイングのどちらが優先順位 付け手法として適しているかは,ネットワーク要件によって決まります。- プライオリティ出力キューイングは,基幹データに重点を置き,輻輳している間もできるだけ,基幹トラフィックが除外されたり遅延したりしないようにする環境に適しています。
- カスタム・キューイングは,すべてのプロトコルに最小限のサービス・レベルを保証しなければならない環境に適しています。
Cisco社製品を使用すると,どちらのタイプのキューイングでも,各待ち行列に所属するトラフィックを判別 する際に,細かいレベルで優先順位を指定することができます。
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