Cisco IOS ソフトウェア

10.0 New Features(Cisco IOSリリース10.0の新規機能)

10.0 New Features(Cisco IOSリリース10.0の新規機能)


Date : June 6, 1994

はじめに

リリース10.0となったCisco IOS(Internet Operating System)は、 冗長性、セキュリティ、有用性を高め、資源をよりコストパフォーマンスの高い方法で管理し、効率的に規模を拡大し、新規アプリケーションおよびサービスへの拡張性を備えた新規ソフトウェア機能群が搭載されたため、さらに高度に洗練された。

本プロダクト・ブルティン(PB)は、Cisco IOSリリース10.0に搭載された新機能について説明するものであり、最初に「概観」の項でこの新機能をリストアップする。

IOSリリース10.0の発注に必要な手順およびプラットフォームのサポート状況の詳細については、PB#254を参照のこと。

概観

1.0 バックボーン・プロトコル・ルーティング機能

1.1 IP機能

  • 1.1.1 CIDR(Classless Inter Domain Routing)/BGP4
  • 1.1.2 64MBルート・プロセッサ
  • 1.1.3 ホット・スタンバイ・ルータ・プロトコル
  • 1.1.4 DNsixフェーズ1
1.2 DECnet IVおよびフェーズV(OSI)機能
  • 1.2.1 DECnet IV Prime
  • 1.2.2 DecnetフェーズV ハイ・パフォーマンスSSP
2.0 デスクトップ環境プロトコル機能

 2.1 AppleTalk機能

  • 2.1.1 AppleTalk DDR
 2.2 Banyan Vines機能
  • 2.2.1 Sequenced RTP(Vines 5.5xルーティング)
  • 2.2.2 Vines用逆ARP
 2.3 Novell IPX機能
  • 2.3.1 IPXWAN 1.0
  • 2.3.2 IPXアカウンティング
 2.4 XNS機能
  • 2.4.1 アクセス・リスト内のXNSネット・マスク
3.0 広域ネットワーキング機能

 3.1 シリアル回線用強化機能

  • 3.1.1 圧縮
 3.2 PPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)用強化機能
  • 3.2.1 PPP PAP
  • 3.2.2 PPPアドレス交渉
  • 3.2.3 IPX WAN
 3.3 X.25用強化機能
  • 3.3.1 X.25バーチャル・インタフェース
  • 3.3.2 X.25 1988サポート
 3.4 フレームリレー用機能
  • 3.4.1 DECnet、Vines用逆ARP(RFC 1293)
 3.5 SMDS用強化機能
  • 3.5.1 15桁アドレス指定のサポート
 3.6 ATM対応強化機能
  • 3.6.1 SVCを用いたUNI 3.0のサポート
  • 3.6.2 トラフィック・シェーピング
  • 3.6.3 RFC 1483のサポート
 3.7 ダイアル・オン・デマンド・ルーティング対応 強化機能
  • 3.7.1 AppleTalk DDR
  • 3.7.2 帯域幅オン・デマンド
  • 3.7.3 ISDNサブ-アドレス指定
  • 3.7.4 発信回線識別機能(CLI/ANI)

1.0 バックボーン・プロトコル・ルーティング機能

1.1 IP機能

1.1.1 CIDR(Classless Inter Domain Routing)/BGP4

説明:

パブリック・インターネットは過去2年間で急激な成長を遂げた。インターネットのコア・ルータを経由するルータの数は、10ヶ月ごとにほぼ倍増している。このため、コア・ルータによる経由ルーティング情報の要約を可能にする先進的な手法の提供が重要になっている。

このニーズに応えて、シスコ社のエンジニアはインターネット・サービス・プロバイダおよびIETF(Internet Engineering Task Force)と緊密に連携し、経路要約機能には不可欠なCIDRをサポートできるようにBGPを拡張した。

メリット:

BGP4が搭載されたため、ネットワーク・サービス・プロバイダはネットワーク・マスクを用いて隣接する複数のネットワーク番号を任意に選択して要約できる。このため、増加する経路の処理のためにインターネット内のコア・ルータが消費するメモリの量が、経路の増加率に単純に比例しなくなる。

1.1.2 64MBルート・プロセッサ

説明:

パブリック・インターネットの成長によって、インターネットのコアにあるルータのメモリ容量が極限まで使用されている。コア・ルータはインターネット上にあるすべてのネットワークに関する情報を伝送しなければならない。場合によっては、コア・ルータは代替経路も伝えるべく複数の経路までも伝送している。

シスコ社は、前述のような状況にあるネットワークを今後もサポートできるように64MBのメモリを積める特別なルート・プロセッサを開発した。

1.1.3 ホット・スタンバイ・ルータ・プロトコル

説明:

現在、IPホストはデフォルト・ゲートウェイを使用するように構成されているのが一般的である。サブネット上に複数のルータがある場合は、1番目のルータが使用できなくなるとホストは2番目のルータを認識できない。だが、RIPを使用してこの問題を解決しているIPホストもある。この種のIPホストは1番目のルータが使用できないことを検出してから約10分後に2番目のルータを使い始める。

シスコ社は、1台のルータがLAN上の別のルータの状況を監視し、このルータが使用不可能になった場合にこの機能を引き継げるようにする、ホット・スタンバイ・ルータ・プロトコルを開発した。

メリット:

HSRP(ホット・スタンバイ・ルータ・プロトコル)は、ミッション-クリティカルなアプリケーションを実行するフォールトトレラント・ネットワーク用のプロトコルである。HSRPは、ある重要なルータが、予定されたメンテナンス、電力障害、環境上の問題、または他の理由で使用不可能になった場合に、スタンバイ・ルータに3秒以内にこのルータの機能を確実に引き継がせる。

HSRPはリリース10.0をサポートするすべてのルータで使用できる。

アプリケーションの例:

図のLead Router(リード・ルータ)が使用不可能になった場合は、Standby Router(スタンバイ・ルータ)が一時的に Lead Router のIPアドレスとMACアドレスを引き継ぐ。

1.1.4 DNsixフェーズ1

説明:

米国防衛業界ではトラフィックをセキュリティ分類に応じて分類する一連のセキュリティ標準標準規格を規定している。これらの標準規格は、ルータがネットワーク・インタフェースにセキュリティ分類をラベルし、この情報に基づいてトラフィックを許可または否定することを求めている。

DNsixは標準規格の一部であり、セキュリティ分類規則に違反しているパケットの監査証跡を提示することをルータに求める。

メリット:

DNsixをサポートすることによって、Ciscoルータを安全なネットワークで使用できるようになる。

1.2 DECnet IVおよびフェーズV(OSI)機能

1.2.1 DECnet IV Prime

説明:

DECnet フェーズIV Primeとは、MAC(medium-access control)アドレス指定をローカに管理できるようにする、Token Ringを介したDECnet用のプロトコル仕様である。同仕様は、MACアドレスは必ずネットワーク・アドレスから構成しなければならない、というフェーズIVの限界を打ち破るものである。

シスコ社はDECnet フェーズIV Primeに「バイリンガル」ルータへのサポート機能も搭載している。Token Ringと他の通信タイプとの両方に接続している場合に一般的な構成である、あるLAN上にフェーズIVとフェーズIV Primeとの両方のノードが存在する構成にはバイリンガル・ルータが必要である。たとえば、バイリンガル・ルータの1つとしてEthernetインタフェースとToken Ringインタフェースの両方を備えたルータが挙げられる。このEthernetインタフェースが受け持つ回線は (Ethernetと互換性のあるデータ・リンク・アドレスを指定する)フェーズIVであり、Token Ringインタフェースが処理する回線は(任意のアドレスを指定する)フェーズIV Primeなる。このバイリンガル・ルータは、フェーズIV EthernetノードとフェーズIV Prime Token Ringノード間でパケットを伝送させることができる。

メリット:

フェーズIV Primeをサポートすることのメリットは、Token Ring上の装置がDECnetを実行している場合であっても、ネットワーク管理者がこれらの装置をローカルなMACアドレス管理によって制御できるようになることである。フェーズIV PrimeはToken Ringを介するDECnet仕様の一部であるが、この変更により、システムおよびネットワーク上でDECnetノードとステーション・アドレス制限がある他のプロトコルとが共存できるようになった。

1.2.2 DecnetフェーズV ハイ・パフォーマンスSSP

説明:

IOSリリース10.0を最近発表されたシスコ社のSSPと併用することにより、DECnetフェーズV/OSIネットワーク上でのCisco 7000のルーティング速度が旧バージョン搭載時の10倍に向上する。すでに導入済みのCisco 7000は、標準保守契約に基づき新ソフトウェアにアップグレードできる。SSPのもたらすパフォーマンスの向上が必要なユーザは、現場でのアップグレード・ボードへの交換により導入済みのCisco 7000をアップグレードできる。

メリット:

リリース10.0とSSPの組み合わせがもたらすパフォーマンスの向上は、Cisco 7000がフェーズVへの最も柔軟で最もコストの低い移行経路を提供することから、DECnet フェーズIVネットワークの管理者にとって特に歓迎されるニュースである。

94年5月のBradnerベンチマーク・テスト。ハーバード大学、試験研究所にて。

なお、Wellfleet社は試験参加を辞退した。

2.0 デスクトップ環境プロトコル機能

2.1 AppleTalk機能

2.1.1 AppleTalk DDR

説明:

IP、IPX、およびブリッジングに加えて、シスコ社のDDRソフトウェアはISDNを介してのAppleTalkプロトコルによる静的ルーティングもサポートできるようになった。

メリット:

AppleTalk DDRをサポートしたことにより、ダイアルアップ・リモート・アクセス市場における、重要な新規ビジネス・チャンスを開拓できる。

考慮条件:

AppleTalkは、Novell IPXと同様に、スイッチWAN分野ほど帯域幅コストが重要視されないLAN向けのプロトコルとして開発された「おしゃべりな」プロトコルである。ISDN Bチャンネル・コールのオープニングを制御するにはアクセス・リストを慎重に構成することが必要である。

2.2 Banyan Vines機能

2.2.1 Sequenced RTP(Vines 5.5xルーティング)

説明:

Vines OSのリリース5.50から、Banyan社はSequenced RTPという新規ルーティング・プロトコルを導入した。同プロトコルは、ルーティング・テーブル全を周期的に交換しないため、旧RTPルーティング・プロトコルよりも著しく効率が向上している。Sequenced RTPを稼働中のルータは、ネットワーク内での変更がない場合、シーケンス番号を含む短い周期メッセージ(90秒ごと)を送信する。このシーケンス番号は、最後の変更発生後の状況を反映している、ルーティング・テーブルの状況を参照する。ネットワーク内に実際に変更がある時だけ新規ルーティング情報が送信され、こうした更新によって変更情報が伝播されるにとどまる。

メリット:

Sequenced RTPの活用により、Vinesルーティングを実行する帯域幅効率が著しく向上される。コストのかさむWANを介した通信では特に重要なメリットである。

考慮条件:

シスコ社はSezuenced RTPをサポートする最初のルータ・ベンダーである。このため、Ciscoルータと非Ciscoルータ間のリンク上では、相互運用性を確保できるように旧RTPルーティング・プロトコルを使用しなければならない。

2.2.2 Vines用逆ARP

説明:

逆ARP(Address Resolution Protocol)はRFC 1293に規定された、DLCI(バーチャル・サーキットなど)の他端のルータのネットワーク・レベルのプロトコル・アドレスをDLCIを介してサポートされているすべてのプロトコルごとに決定するための手法である。

厳密には、RFC 1293はIP用の逆ARP(Address Resolution Protocol)だけを規定しているが、同仕様は他のプロトコル用にも使用できるだけの汎用性があるため、IPX、XNS、およびAppleTalkもサポートされている。リリース10.0ではVinesも対象に加わっている。詳細については3.4.1を参照のこと。

2.3 Novell IPX機能

2.3.1 IPXWANバージョン 1.0(RFC 1362)

説明:

IPXWANはリンク開始および交渉プロトコル(Novell社がインフォマーシャルRFC 1362で規定)であり、シリアル回線をはじめとしたWANサービスを介した使用を対象としている。IPXWANの機能には、各WAN接続ごとの「マスター」と「スレーブ」の決定、Novellアドレスの動的割り当て、リンク遅延値の決定などがある。CiscoルータをNovell社製のMPR(マルチプロトコル・ルータ)と相互接続させるにはIPXWANを使わなくてはならない。

メリット:

IPXWANの使用により、接続のマスター側が他方のエンドにNovellアドレスを動的に割り当ることができる。また、接続上で使用される遅延値を往復時間の計測値に基づいて動的に計算できる。

考慮条件:

IPXWANはシリアル回線上のPPPカプセル化を介して動作するように規定されている。この構成はNovell MPRとの相互運用性を確保する場合に必要である。ただしCiscoルータどうし間での動作では、カプセル化方式としてCisco HDLCを選択できる。Novell社を除くと、シスコ社がIPXWANをインプリメントした最初のルータ・ベンダーであるため、他ベンダー製の装置との接続にはIPXWANを使用できない。この場合は、IPXの普通のPPPカプセル化方式がマルチベンダー環境の接続性を確保する基盤となる。

RFC 1362は、シリアル回線に加えてX.25およびフレームリレーを介したIPXWANの動作を規定している。IOSリリース10.0では、IPXWANはシリアル回線を介してのみ構成できる。他のWANタイプは今後のリリースでサポートする計画である。

最近、RFC 1362の第2のバージョンがRFC 1551という新仕様において規定された。同バージョンは、WAN接続を介した複数のルーティング・プロトコルとの交渉(RIP、unnumbered RIP、NLSP、など)をあらたにサポートしている。IPXバージョン2はIOSの今後のリリースでサポートする計画である。

2.3.2 IPXアカウンティング

説明:

IPXアカウンティングは、あるルータを経由するトラフィックに関するパケット単位の統計値を収集する機能である。パケット・カウントはパケットはソース⁄宛先アドレスをペアにする方式で収集され、ソースと宛先間を伝送されるバイトの合計数も記録される。ルータを経由するトラフィックのすべてをアカウンティングの対象とすることも、またはトラフィックのあるサブネットだけを対象とすることもできる。RIPおよびSAP更新など、ルータから発生またはルータで終端するパケットは通常は記録されない。IPXアカウンティングは、旧リリースでサポートされている高度なIP パケット・アカウンティング機能と機能的には同一である。

メリット:

IPXアカウンティングは、ルーティング・バックボーンの使用に対する組織の部門ごとの「課金」方法をインプリメントする必要のあるユーザが最も強いニーズを持つ機能である。また、ネットワークの診断およびプランニングにも役立つ機能である。

考慮条件:

IPXアカウンティングの使用には自律的なスイッチング手法が使用されていないことが必要である。IPXアカウンティングが構成されている場合は、高速スイッチングのパフォーマンスが低くなる。通常の高速スイッチング速度よりも20-30%の低下が予想される。

2.4 XNS機能

2.4.1 アクセス・リスト内のXNSネット・マスク

説明:

これまで、XNSアクセス・リスト内で複数のネットワーク番号をフィルタリングする必要がある場合は、複数のネットワーク番号の中に共通の番号があっても各番号を1つのアクセス・リスト項目に個々に指定しなければならなかった。この新機能によって、1つのアクセス・リスト項目が1つのネットワーク番号マスクを指定できるようになった。指定されたネットワーク番号はマスク部分に該当するすべてのネットワーク番号にフィルタを適用する。

アプリケーションの例:

メリット:

階層的なアドレス指定が使用されているXNSインターネットワーク用のアクセス・リストの構成が非常に容易になる。

3.0 広域ネットワーキング機能

3.1 シリアル回線用強化機能

3.1.1 圧縮

説明:

圧縮は通常はPredictorアルゴリズムと言われる方法を用いて実現されている。同アルゴリズムでは、WANリンクを介してパケットが確実に伝送されており、さらに下部伝送アルゴリズムとしてLAPBが使用されていることを前提としている。

同アルゴリズムは送信側と受信側との両方で共通の辞書を作成する。データは暗示的に作成されるこれらの辞書を用いて圧縮⁄伸張される。

同アルゴリズムの最大圧縮率は4:1を越えるが、実際に使用されているのは2:1である。ファイルが伝送前にあらかじめ圧縮される状況では1:1となる場合もある。

メリット:

圧縮には次のような2大メリットがある。
  1.  スループットが向上し、このためファイル伝送時間が短縮する。
  2.  遅延時間が低下し、このため相互活動性が向上する。

考慮条件:

圧縮によりもたらされる向上は、トラフィック・ソースに大きく依存する。導入時にはトラフィック・ソースの評価を行うこと。

ルータ1台当たりの圧縮能力として、256Kbps相当のデータを圧縮できる。これより高速のリンク、あるいはより低速であってもより多くのリンクを圧縮することにより、ルータ・プロセッサへの負担が過剰にならないように注意すること。

X.25、ISDN、フレームリレー、SMDSなどの他のWAN媒体を介した圧縮は今後のリリースでサポートされる計画である。

3.2 PPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)用強化機能

3.2.1 PPP PAP

説明:

PAPとは、PPP環境においてCHAPにかわる認証プロトコルである。

PAPが使用可能である場合は、ローカル・ルータへ接続しようとするリモート・ルータは認証要求を送るよう要求される。CHAPと異なり、一連の認証プロセスを開始するのはリモート・ルータである。認証要求内に指定されたユーザ名およびパスワードが受諾されると、ローカル・ルータが認証肯定応答を送信する。

メリット:

Ciscoルータがサード・パーティー・ベンダー製のルータとの相互運用性を確保しなければならない場合がある。PAPの主要なメリットはインターネットワーキング業界内で広範囲にサポートされていることである。PPPをサポートしている多くのベンダーはPAPを介した認証機能のみを提供している。

考慮条件:

なし

3.2.2 PPPアドレス交渉

説明:

PPPではネットワーク・アクセス交渉は、データリンク層が確立された 後、および認証後に発生する。

IP(Internet Protocol)では、リモート・ピアは自身のネットワーク・アドレスとしてどの桁にもゼロを指定することにより、ローカル・ピアにアドレスを割り当ててもらわなければならない。リモート・ピアがIPアドレスを指定してしまうと、ローカル・ピアは構成を拒否し、アドレスを割り当てるよう申し出る。TACACSログインを介してリモート・ユーザはリモート・ピアにアドレスを指定できるが、これはTACACSに限られており、IPCPスクリプトではできない。

Novell IPXでは、割り当ての仕組みはIPと同様だが、リモート・ピアがノード・アドレスを指定すると、これに対してローカル・ピアがIPXネットワーク・アドレスを返す。リモート・ピアがネットワーク・アドレスを指定すると、ローカル・ピアは構成を拒否し、アドレスを割り当てを申し出る。

メリット:

Ciscoルータがサード・パーティー・ベンダー製のルータと相互運用性を確保しなければならない場合がある。ネットワーク・アドレス割り当て機能によって標準PPPデータリンクを介してネットワーク・プロトコルを操作することができる。

リモート・ピアが指定したアドレスを拒否する機能はセキュリティ機能である。非認証データリンクを介してネットワーク・アドレスが指定できるということは危険であるため、Ciscoソフトウェアはこの問題の発生を防止している。TACACSログインではリモート・ピア・アドレスをIPアドレスとして指定することができるため、安全な方法である。

考慮条件:

なし

3.2.3 IPX WAN

説明:

IPXWANはPPP仕様に含まれていないが、IPX分野でマルチベンダー間の相互運用性を確保するためにPPPと連携して使用されている。IPXWANは、Novell社がインフォマーシャルRFC 1362で規定したリンク開始および交渉プロトコルである。

IPXWANの詳細については本PBのNovell IPX機能の項を参照のこと。

メリット:

PPPを介してIPXWANを使うことにより、IPXのみをサポートするサード・パーティー製の機器との相互運用性が確保される。現時点ではNovell MPRがこの定義に該当する唯一の機器である。

考慮条件:

IOSリリース10.0ではシリアル回線を介した場合のみIPXWANを構成できる。他のWANタイプは今後のリリースでサポートされる計画である。

3.3 X.25用強化機能

3.3.1 X.25バーチャル・インタフェース

説明:

バーチャル・インタフェースは、各VC(バーチャル・サーキットなど)をルータ上の一個のポートとして見なすことを可能にする新規構成機能である。同機能により、各VCを、VC自身のアドレス、ルーティング・プロトコル、アクセス・リスト、およびルーティング値を用いて構成できる。

たとえば、1つのVCをあるインターネットワーク接続に割り当てることができ、特定のアクセス・リスト群をこのVC上に置くことができる。

次の図では複数のVCから成る1つのパーシャル・メッシュを介して4つのサイトが接続されている。バーチャル・インタフェースを用いると各VCに、ウインドウ・サイズ、接続コスト、または接続のアクセス速度に応じた別々のルーティング値を割り当てることができ、このため最適経路を決定できる。

アプリケーションの例:

メリット:

バーチャル・インタフェースをサポートすることにより、スピリット・ホライズンというルーティング・プロトコル問題を心配せずに任意のトポロジーのネットワークを構成できる。ルーティング値を適切に割り当てることにより、ルータはルータ間のパケット伝送に使用するべきVCを最適に決定できるようになる。

考慮条件:

バーチャル・インタフェースは現段階では優先度待ち行列およびカスタム待ち行列手法をサポートしていない。

3.3.2 X.25 1988サポート

説明:

1984 X.25と1988 X.25間の無視できない相違点は以下のとおりである。

ディフレクション・サービス ディフレクション・サービスとは、DTEによってCLEARパケット内に示され、着信するCALLがネットワークによって別のアドレスへとそらされるように指定するサービスである。

スループット交渉機能 64,000bpsが追加された。

メリット:

1988 X.25のサポートによる主要なメリットは、ディフレクション・サービスをサポートしたことと、スループット交渉機能によるスループットの増加である。特に、相互運用性を保証するために1988 X.25のサポートが必要となるケースが多い。

考慮条件:

Aビット機能が1988 X.25であらたに定義され、1997年の運用を目指すことが規定された。シスコ社では1997年より前にAビット機能をサポートする計画である。

3.4 フレームリレー用機能

3.4.1 DECnetおよびVines用逆ARP(RFC 1293)

説明:

逆ARP(Address Resolution Protocol)はRFC 1293に規定された、DLCI(バーチャル・サーキットなど)の他端のルータのネットワーク・レベルのプロトコル・アドレスをDLCIを介してサポートされているすべてのプロトコルごとに決定するための手法である。

厳密には、RFC 1293はIP用の逆ARP(Address Resolution Protocol)だけを規定しているが、同仕様は他のプロトコル用にも使用できるだけの汎用性があるため、IPX、XNS、およびAppleTalkもサポートされている。リリース10.0ではDECnetおよびVinesがあらたにサポートされた。

逆ARPを使うと、種々のプロトコル・アドレスとDLCIの対応を表す構成情報をネットワーク管理者が手動で入力する必要がなくなる。ルータはフレームリレーLMI(ローカル管理インタフェース)プロトコルを用いてアクティブDLCIを決定し、次に他のルータに対してそのネットワーク・レベル・アドレスを逆ARPを介して問い合わせる。ルータは、この物理インタフェースまたはバーチャル・インタフェース上に構成されるすべてのプロトコルが各DLCI上でアクティブであると見なす。

DLCIがポイント・ツー・ポイント・リンクとして構成されている環境では、逆ARPは必要なく、より高いレベルのアドレスとDLCIとの間に静的地図を設定する必要もない。この場合は、物理インタフェースまたはバーチャル・インタフェースがシリアル回線の場合と同様の方法で構成される。

次の図は単一のDLCIと単一のプロトコルを対象とする逆ARPプロセスを示 している。

アプリケーション例:

メリット:

逆ARPとその動的アドレス発見手法によってフレームリレーを用いたルータの構成が容易になる。設定時間および構成エラーが著しく減少する。

さらに動的アドレス発見手法を使うことで、DLCIの追加または削除時にルータが自動的に再構成されるようになるため、スイッチ管理ソフトウェアおよびルータ管理ソフトウェアの両方を使ってネットワーク内の変更に合わせた設定を行う必要がなくなる。

考慮条件:

逆ARPの使用対象プロトコルは、IP、IPX、XNS、AppleTalk、DECnet、 およびVinesに限られる。

3.5 SMDS用強化機能

3.5.1 15桁アドレス指定のサポート

説明:

SMDSはE.164アドレス指定の使用を規定している。米国ではこのアドレスは11桁しかないが、欧州では15桁である。IOSリリース10.0では15桁アドレスをサポートできるようになった。

メリット:

欧州の必要条件すべてに完全に準拠することとなった。

考慮条件:

なし

3.6 ATM対応強化機能

3.6.1 SVCを用いたUNI 3.0のサポート

説明:

UNI 3.0はATMフォーラムによって定義された仕様であり、CCITT規定標準規格であるQ.93Bのサブセットである。同仕様は、パブリック・ネットワークまたはプライベート・ネットワーク内のユーザ・ネットワーク・インタフェースを介したDTEとDCE間のシグナリング・プロトコルを定義している。

このシグナリング手法はSVCのサポートを実現している。プライベート・ネットワーク用のNSAPとパブリック・ネットワーク用のE.164との2つのアドレス指定モードが定義されている。リリース10.0ではNSAPのみがサポートされている。E.164アドレス指定を用いてSVCをサポートしているパブリック・ネットワークは現時点では存在していない。

地図コマンドを同様に活用することによってX.25 SVCと同様の方法でATM SVCが確立される。次の図では、PVCとSVCの両方を用いたネットワーク・アクセスを管理するためにUNI 3.0を用いるルータが示されている。

メリット:

SVCの主要なメリットは、スイッチ内のPVCを管理する必要がなくなることである。このため、より成熟したユーザ・インタフェースを備えたルータが、SVCを確立すべき時と場合を決定できるようになる。

考慮条件:

最初のソフトウェアではVC当たりのパケット・カウントおよびバイト・カウント機能がないため、VCがアイドルである場合にVCを切断する機能が搭載されていない。同機能は1994年中にはサポートされる計画である。

3.6.2 トラフィック・シェーピング

説明:

トラフィック・シェーピングとは、不必要かつ潜在的に危険性をはらむ輻輳状態を避けるようにATMネットワークを設計するために、ATM DTE機器が必要とする機能である。トラフィック・シェーピングはまた、さまざまなサービス⁄料金レベルを持つキャリアによっても使用される機能である。

トラフィック・シェーピングをインプリメントするには、DTEがピーク・レート、平均レートおよびバースト・サイズの各パラメータを制御できることが必要である。

  • ピーク・レートの設定により、セル間の最少ギャップが制御され短期的なセル損失を減少させる。
  • 平均レートの設定により、各VCの平均スループットが制御され、より長期的なセル喪失を減少させる。
  • バーストサイズの設定により、各VCが必要とするバッファ・サイズを平均レートよりどれだけ増減させるかが制御される。
シスコ社のインプリメントは、同時に8つのピーク・レート待ち行列をサポートでき、VCごとに平均レートとバースト・サイズとを別々に制御できる。8つのピーク・レート待ち行列には任意のレートを割り当てられる。

アプリケーションの例:

次の図では、トラフィック・シェーピング待ち行列システム内にセルを置き、トラフィック・シェーピングが要求した場合にセルが別々の順序出てくることが可能な様子を説明している。

メリット:

トラフィック・シェーピングは、パケット⁄セル損失を最小限にするようにネットワークを調整するための高度な管理機能を提供する。同機能を用いないと、セル損失レートの増加による非効率なパケット伝送によってATMネットワークの機能が麻痺してしまうという危険性がある。

トラフィック・シェーピングは高速シリアル回線を介してATMスイッチを用いずに使用できるという点が重要である。実際に、高速シリアル回線は高速優先度待ち行列を実現できる。

考慮条件:

パケット・レート待ち行列の最大数は8である。

3.6.3 RFC 1483のサポート

説明:

RFC 1483はATM VCへのプロトコル多重化のための次の2つのカプセル化方法を定義している。

VC Muxing:カプセル化層を持たないかわりにあるVC内のすべてのパケットをある特定のプロトコル・タイプ(IP、IPXなど)に属すものも見なす。

LLC/SNAP:802.3および802.5などのLAN上で使用されるカプセル化層である。単一のVC上でネットワーク・レベル・プロトコルをどのように組み合わせても使用できる。

次の図はATMを介した使用を目指して現在討議されている共通プロトコル階層の一部である。

メリット:

考慮条件:

リリース10.0でRFC 1483をサポートすることにより、ファイル・サーバ、スイッチ管理エージェントなどの他の装置との相互運用性が確保された。前述の2つのカプセル化方法をサポートすることにより、Ciscoルータは、それぞれが異なるカプセル化方法をサポートしているSynopticsおよびFore社製のスイッチなどの装置間のゲートウェイとして機能できるようになった。はAAL 5を介したRFC 1483のみがサポートされている。他のカプセル化手法は今後のリリースでサポートされる計画である。

3.7 ISDN対応強化機能

3.7.1 AppleTalk DDR

説明:

IP、IPX、およびブリッジングに加えて、シスコ社のDDRソフトウェアはISDNを介してのAppleTalkプロトコルによる静的ルーティングもサポートできるようになった。

メリット:

AppleTalk DDRをサポートしたことにより、CiscoルータのDDRプロトコル・サポート力が強化する。

考慮条件:

AppleTalkは、Novell IPXと同様に、スイッチWAN分野ほど帯域幅コストが重要視されないLAN向けのプロトコルとして開発された「おしゃべりな」プロトコルである。ISDN Bチャンネル・コールのオープニングを制御するにはアクセス・リストを慎重に構成することが必要である。

3.7.2 帯域幅オン・デマンド

説明:

シスコ社のISDNルータは単一の宛先に対する2つのBチャンネルコールを同時にサポートできるようになった。動的トリガーが最初のコール上のローディングしきい値となることで「必要に応じて」2つのコールがサポートされる。2番目の接続が確立されると、2つのBチャンネルを介してデータがロード-シェアされる。

メリット:

帯域幅オン・デマンド機能を使うとユーザはコストパフォーマンスと効率を高めたまま帯域幅を動的に追加することができる。**(訳注:whereのあと原文抜け)**のような多くのISDNアプリケーションにおいて非常に有効な機能である。

考慮条件:

現在、BOD(帯域幅オン・デマンド)はBRIを備えたCiscoルータで機能する。また、Multiple Basic RateおよびPrimary Rate Interface ISDNがCiscoルータ上で使用できるようになれば、BODはこれらによってサポートされる計画である。BODはシスコ社独自の機能であるため、他ベンダー製のISDN機器との相互運用性はない。

3.7.3 ISDNサブ-アドレス指定

説明:

1つのISDNバス上で多くのISDN装置を接続できるが、この場合にはISDNバス上の特定の装置にダイアルできることが重要である。サブ-アドレス指定のサポートによりCiscoルータはコール設定メッセージ内にサブ-アドレス情報を伝送することも、この情報に応答することもできるようになった。

メリット:

ISDNサブ-アドレスのサポートにより、1つのISDNバス上に多くのISDN装置が接続されている環境にCiscoルータを間違いなく統合できるようになった。

考慮条件:

サブ-アドレスのサポート対象はISDN BRIサービスに限られる。

3.7.4 発信回線識別機能(CLI/ANI)

説明:

ISDNサービス・プロバイダが提供する機能である。CLIは、コール設定時のコール認証を求めて発信ISDN装置の番号を受信側のISDN装置に示す。

メリット:

発信回線識別機能(CLI)はPPP使用時にPAPまたはCHAP認証機能とともに使用できるもう1つのセキュリティ機能である。CLI使用時にはCiscoルータは発信装置のISDN番号を参照し、この番号を既知発信装置のリストと照らし合わせることができる。このISDN番号がリストにない場合はコールが拒否される。

考慮条件:

特定のサービス・プロバイダ間および特定の国どうしの国際リンクを介するとCLIが使用できない場合がある。ISDN PABXを介してISDN機器が接続されている場合は、PABXが通過させるCLIが、通過させたいCLIとは異なる場合がある。