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Cisco Wide Area File Services(WAFS)

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Cisco Wide Area File Services(WAFS)

技術概要


Cisco Wide Area File Services


Cisco® Wide Area File Services (WAFS)は、複数のブランチ オフィスを持つ企業や組織に、ローカル ファイル サービス機能を備えたセンター統合型ストレージ環境を提供します。Cisco WAFSの導入により、サーバとストレージをセンターに統合してバックアップおよびデザスタ リカバリ プロセスを一元化しながら、同時にWAN上でLANのような高速ファイル アクセスを実現することができます。

Cisco WAFSソリューションの利点は次のとおりです。
  • Total Cost of Ownership(TCO;総所有コスト)の削減 - ファイル サーバとプリント サーバを統合し、ブランチ オフィスでの信頼性に欠けるテープ バックアップを廃止できます。
  • データ保護の強化 - ブランチで生成された全ファイルのマスタ コピーがデータ センターに保管され、より完全なデータ保護と一元化されたデザスタ リカバリ プランの実装が可能になるだけでなく、ストレージ リソースの包括的な管理および使用が可能になります。
  • 管理作業の省力化 - IT管理者が、ストレージ使用量の割り当て、バックアップ、デザスタ リカバリ、復元、アクセス制御、セキュリティ ポリシーといったファイル サービスの集中管理を行うことができます。
  • グローバルなファイル共有 - Cisco WAFSを使用すると、サイト間で一貫性のあるファイル共有を実現できるので、ユーザの生産性が向上し、分散型コラボレーションを有利に進めることができます。

Cisco WAFSは、高度なプロトコル レベルのキャッシング、圧縮、およびネットワーク最適化技術によって、WAN上のファイル サーバ アクセスで問題となる遅延の影響を最小限に抑えます。標準的なファイル システム プロトコル(WindowsではCommon Internet File System [CIFS]、UNIXではNetwork File System [NFS])がWAN上で効率的に動作できるようにするとともに、ロッキング、コヒーレンシ(一貫性)、セキュリティ、データ整合性といったプロトコル セマンティックを維持します。Cisco WAFSソリューションを使用するために、クライアント コンピュータやファイル サーバにソフトウェアをインストールする必要はありません。Cisco WAFSの動作は、エンドユーザには完全に透過的であり、既存のネットワークおよびストレージ インフラストラクチャにシームレスに統合されます。

この資料では、Cisco WAFSソリューションの技術概要を説明し、製品のアーキテクチャ、主要なコンポーネントと機能、ハードウェア プラットフォームであるFile Engineを紹介します。製品機能についての詳細は、『WAFS User Guide』をご参照ください。

Cisco WAFSの展開

Cisco WAFSソリューションは、Cisco File Engineアプライアンスを使用して展開します。図1に、一般的な展開例を示します。WAFSは通常、次のコンポーネントで構成されます。
  • Edge File Engine - ファイル サーバやプリント サーバに代わって各ブランチ オフィスまたはリモート キャンパスに配置するファイル キャッシュ コンポーネント。センター ストレージのキャッシュ ビューに対し、ローカル クライアントがLANに近い高速のリード/ライト アクセスを実行できるようにします。
  • Core File Engine - データ センターに配置するサーバ側コンポーネント。1台以上のファイル サーバまたはネットワーク接続型ストレージ(NAS)サーバに接続し、リモートのEdge File Engineの代わりに、WAN用に最適化されたファイル要求を実行します。
  • WAFS Central Manager - すべてのFile Engineの集中管理、設定、モニタ、およびメンテナンスを実行するためのWebによるGUIベースの管理コンポーネント。
図1 Cisco WAFSの展開


Cisco WAFSのアーキテクチャ

図2に、Cisco WAFSのアーキテクチャを示します。File EngineはWAFSソフトウェアをプリロードした状態で出荷されるので、導入とインストールが容易で、Edge File Engine、Core File Engine、またはWAFS Central Managerのいずれかのコンポーネントとして動作させることができます。管理者は使用可能なコンポーネント(Edge File Engine、Core File Engine、またはCentral Manager)の中から1つまたは複数を選んでアクティブ化することができます。このようなアクティブ化されたコンポーネントとして設定されたアプライアンスを、WAFSゲートウェイと呼ぶ場合があります。

特定のアプライアンスで、Central Managerコンポーネントをアクティブにする必要があります。Central Managerは、物理的な位置に関わらず、ゲートウェイの論理グループを制御する役割を果たします。

図2 Cisco WAFSのアーキテクチャ


Cisco WAFSの展開は一般に、リモート サイトに分散された複数のEdge File Engineと、センターのファイル サーバへのアクセスを提供するサーバ側の1台以上のCore File Engineで構成されます。論理的には、WindowsおよびUNIXのユーザとアプリケーションは、それぞれ標準のCIFSプロトコルおよびNFSプロトコルを使用してセンターのファイル サーバと連携します。この連携は、他のCIFSまたはNFSファイル サーバまたはNASにアクセスする場合と同じです。

物理的には、すべてのファイル サーバ要求は最初にローカルのEdge File Engineに送信され、そこでファイル システム キャッシュを使用してローカルで要求を処理するか、それともセンターのファイル サーバに要求を転送するかが決定されます。後者の場合、Edge File EngineはCIFS要求またはNFS要求をカプセル化し、Cisco WAFSのトランスポート プロトコルを使用して、WAN(TCP/IP)経由でCore File Engineに要求を効率的に配信します。Core File Engineは、WAFS要求を標準的なCIFS要求またはNFS要求にデコードし、実際のファイル サーバにその要求を発行したあと、応答を再びWAFSプロトコルにカプセル化したうえでEdge File Engineに配信し、最終的にCIFS/NFSクライアントまで返します。

Cisco WAFSアーキテクチャの大きな特長は、ネットワーク ファイル サーバ プロトコル レイヤ(CIFSおよびNFS)で動作する点です。つまりWAFSは、NFSおよびCIFSのサーバ レイヤおよびクライアント レイヤを(それぞれEdge File EngineおよびCore File Engineに)独自に実装し、CIFSおよびNFSの要求と応答を直接管理します。具体的には、ユーザがCIFSセッションを開始するたびに、WAFSはそのユーザ用にファイル サーバへの仮想チャネルを維持します。この仮想チャネルでは、CIFSのあらゆるセマンティックがサポートされます。

Cisco WAFSアーキテクチャのもう1つの重要な特長は、Edge File Engineが実際のファイル サーバとは対照的に、リモート ファイル サーバの純粋なキャッシングおよび高速化システムとして動作する点です。これにはさまざまな面で重要な意味があります。たとえば、WAFSでユーザや権限を定義および管理する必要がなく、またキャッシュの容量を管理する必要もありません。さらに、Edge File Engine内部のストレージをバックアップする必要もありません。Edge File Engineに保管されるのは、元のファイルの一時的なコピーにすぎないからです。したがって、WAFSの運用とメンテナンスは非常に簡単に行うことができ、システム管理のためのITリソースは最小限で済みます。

コンポーネント接続の要約
WAFSソリューションの各コンポーネントは、次のように接続します。
  • Core File Engine、CIFSおよびNFSファイル サーバ - Core File Engineコンポーネントは、同じ場所にある複数のファイル サーバに接続でき、これらのファイル サーバへのLAN接続を仲介します。負荷分散およびフェールオーバーのために、複数のCore File Engineをクラスタ化することができます。Core File Engineのクラスタを定義した場合、そのクラスタを単一の「論理」Core File Engineとして管理できます。
  • Edge File Engine、CIFSおよびNFSクライアント - 各Edge File Engineコンポーネントは、複数のCIFSクライアントおよびNFSクライアントを同時に管理できます。Edge File Engineは、クライアントへのLAN接続を仲介します。各Edge File Engineコンポーネントは、CIFSおよびNFSの両方のクライアントをサポートします。
  • Core File Engine、Edge File Engine(WAN接続) - 各Core File Engineが、複数のEdge File Engineにサービスを提供します。Edge File Engineは、それぞれ別のファイル サーバに対応する複数のCore File Engineに接続することもできますし、共通のファイル サーバ セットに対応するCore File Engineクラスタに接続することもできます。また、その両方に接続することも可能です。
  • Central Manager、Edge File Engine、Core File Engine - 1台のManagerが企業内のすべてのゲートウェイを制御します。
ネーム スペース
Edge File Engineは外見上、LANの標準的なホストであり、クライアントはEdge File Engineに接続してリモート ファイル サーバのデータにアクセスします。NFSクライアントの場合、Edge File EngineはローカルのDomain Name Server(DNS)テーブルに登録され、元の各ファイル サーバによってエクスポートされたディレクトリごとに1つのマウント ポイントをエクスポートします。その後、NFSクライアントは標準のMountプロトコルを使用して、エクスポートされたディレクトリに接続できます。Edge File EngineはCore File Engineを通じて、元のファイル サーバの関連ディレクトリに“仮想的に”マウントされます。Core File Engineは標準のMountプロトコルを使用して、元のファイル サーバから関連ディレクトリを物理的にマウントします。

CIFSクライアントの場合、1つのEdge File Engineが複数のリモート ファイル サーバを表します。Edge File EngineにはWINS、DNS、またはブロードキャストを使用して、論理ファイル サーバ名を登録できます。論理名はEdge File Engineホストに対応付けられ、そのホストは適切なCore File Engineを通じてデータ センターの適切なファイル サーバに対応付けられます。このように、Windowsクライアントはネットワークの近隣をブラウジングし、使用可能な(論理)ファイル サーバが見つかると、標準のSession Setup CIFSコマンドを使用してファイル サーバに接続します。論理ファイル サーバに対応する実際の名前については、管理者が元のファイル サーバの別名として任意の名前を選ぶことができますが、名前の矛盾を防ぐために、元のファイル サーバとまったく同じ名前にすることはできません*。一般的には、従来ブランチで使用していた旧ファイル サーバ名に従った論理ファイル サーバ名にします。これにより、ユーザが従来どおりの論理ファイル サーバ名を使用できるので、センター ファイル サーバへの透過的な移行が可能になります。

DFSおよびネットワーク ドライブを使用したグローバル ネーム スペース

展開方法によっては、管理者がすべてのブランチで共通のファイル サーバ名を使用できるようにするため、グローバル ネーム スペースを提供する場合があります。サイト間で文書を共有する必要がある場合、これは特に便利です。センター ファイル サーバに共通のネットワーク ドライブ レターを使用することに合意するのが簡単な方法です。その場合、各ブランチでは、そのネットワーク ドライブを論理ファイル サーバ名に対応付けます(センターからstartupまたはloginスクリプトを使用して、自動的にマッピングを実行できます)。

もう1つの方法は、Distributed File System(DFS)を使用することです。DFSはMicrosoftによって提供された論理ネーム スペース メカニズムであり、物理ファイル サーバに対応付けられたフォルダおよびファイルの論理ツリーを使用できます。Cisco WAFSはDFSをサポートしています。論理ファイル サーバは特定の論理フォルダに対応するDFSレプリカとして登録することができ、「サイト情報」を使用してユーザをファイル サービス用のローカル レプリカに対応付けます。DFSのグローバル ネーム スペース以外の副次的な利点は、フェールオーバーが簡単であるという点です。Edge File Engineに障害が発生すると、クライアントは自動的に第2のレプリカ(ローカルのスタンバイ Edge File Engineまたは元のファイル サーバ)を使用します。

* 環境によっては、矛盾を生じさせずに同じ名前を使用することができます。詳細は『Deployment Guide』を参照してください。

システムの主な機能

データの読み書きとメタデータ キャッシング
ファイル キャッシングはCisco WAFSの中心的な機能です。Edge File Engine上のファイル キャッシュ モジュールが、WAN経由でファイル サーバを呼び出すことなく、大部分のクライアント要求(ファイルの読み取りなど)をローカルで処理します。その他のコマンド(ファイルの書き込みなど)の場合は、Edge File Engineはユーザの要求にローカルで応答するとともに、ユーザ応答を遅延させることなく、ファイル サーバに対して非同期的にコマンドを発行します。キャッシュの主な機能は次のとおりです。
  • キャッシュのストレージ容量を自己管理 - ストレージが満杯になると、最近使用していないファイルをキャッシュから削除して、新しいファイル用のディスク スペースを解放します。したがって、キャッシュ ストレージは、元のレポジトリの一部の利用頻度の高いファイルのみに使用されます。
  • 高速なI/O検索用に最適化されたファイル ベースの専用データベースにメタデータを保存 - メタデータはRAMにもキャッシングされるので、キャッシュに実際のファイル データが存在しないときも、メタデータが中心となる処理(ブラウジングなど)をはじめとして、頻繁にアクセスするメタデータの応答時間が短縮されます。
  • セグメント ベースのキャッシング - Cisco WAFSはファイル全体をキャッシングしなくても、クライアントの読み取り要求を処理できます。具体的には、ランダム アクセスをサポートしているので、要求したバイト範囲がEdge File Engineに到着した時点ですぐにクライアント要求に応答します。書き込みの場合も同様に、ファイル全体を送信するのではなく、実際に更新されたファイルのセグメントだけをファイル サーバに伝播します。したがってWAFSは、(たとえ頻繁であっても)少しずつ変更が加えられる非常に大容量のファイルを使用するアプリケーションに対応できます。
  • 先読みキャッシング - キャッシュにファイルが存在しないとき、アプリケーションがファイルの順次読み取りを実行していることをCisco WAFSが認識すると、ファイルの残りの部分もアプリケーションに読み取られることを予測して、バックグラウンドでファイルを読み込み、その後の読み取り動作の遅延を短縮します。
  • 非同期的なバッファ書き込み - Cisco WAFSは効率的で一貫性のある書き込み動作をサポートしています。クライアント要求と非同期的に、Edge File EngineからCore File Engineへ(さらにはファイル サーバへ)バッファ書き込み処理を進め、効率性を高めています。ただしWAFSは、Core File Engineへの更新を連続的にストリーミングして、ファイル サーバにまだコミットされていないキャッシュの更新量を最小限にします。最も重要な点として、Closeコマンドが発行された時点でバッファに格納されたデータをすべてファイル サーバにフラッシュし、ファイル サーバで発生している可能性のある書き込みエラー(ディスク割り当て量の超過など)をアプリケーションが認識できるようにします。
  • ネガティブ キャッシング - 要求されたファイルが存在しないことがわかっている場合に、WAN上で無駄な往復を行わないために、Cisco WAFSはネガティブ キャッシングを実装しており、存在しなくなったファイルに関する情報をキャッシュに保存します。この機能は、存在しない可能性の高い特定のディレクトリ内の特定のファイル(コンフィギュレーション ファイルなど)を何度も検索するアプリケーションで非常に役立ちます。
プロトコル シグナリング動作の最適化

データおよびメタデータのキャッシングだけでなく、Cisco WAFSは特定のシグナリング メッセージのプロトコル レベルのキャッシングを適用します。このときプロトコル セマンティックに悪影響を及ぼすことはありません。その例としては、Microsoft Remote Procedure Call(MS-RPC)キャッシング、Openキャッシング、および一連のロックを単一の合成ロック要求に変換するLockリダクション技法があります。

同時性とコヒーレンシ(一貫性)
ロッキングと共有モード
Cisco WAFSはCIFS Open共有モードを完全にサポートしており、これらのモードをFile Open要求とともにファイル サーバに伝播します。したがってMicrosoft WordやExcelなどのアプリケーションで共有ファイルにアクセスする場合に、適正なサイト間アクセス動作がサポートされます。さらに、共有モードがファイル サーバまで伝播されるので、ファイル サーバに直接接続しているクライアント(File Engine経由ではなく)による同時アクセスからもファイルが保護されます。

同様に、すべてのCIFSバイト範囲ロック要求がファイル サーバに渡されるので、ファイル システム ロックを使用するアプリケーションの適正なグローバル動作が確保されます。NFSの場合、ローカル ロックがサポートされ、マルチユーザのサイト内アクセスでもロック セマンティックが保たれます。

コヒーレンシ(一貫性)
Edge File Engineコンポーネント内のデータ キャッシュは、頻繁にアクセスするデータの一時的な記憶域としての役割を果たします。クライアントがファイルまたはデータのブロックを要求すると、Edge File Engineコンポーネントは最初にローカル キャッシュを調べます。要求されたデータがローカルに存在して“新しい”状態であるとみなされる場合、そのデータが即時にクライアントに提供されます。データが存在しない場合、またはデータが無効(古くなっているか期限切れになっている)の場合には、リモート サーバから最新のデータを取得します。キャッシュのデータを新しい状態に保つためのポリシーおよびアルゴリズムのことを、コヒーレンシ(coherency)といいます。

Cisco WAFSでは、「オープン/クローズ」のグローバル コヒーレンシ モデルが採用されています。このモデルでは、ユーザがファイルを開くとき、そのファイルは別のユーザ(同じサイトのユーザ、別のサイトのユーザ、またはファイル サーバに直接アクセスするユーザを含む)によって最後に閉じられた時点での最新バージョンであるとみなされます。

特定のファイルを1つのサイトのユーザしか使用しない(サイト間でのファイル共有が行われない)ことが明らかな場合、Cisco WAFSにはオプションの「ローカル コヒーレンシ」モードが用意されています。このモードはサイト内部に限って完全なコヒーレンシを提供します。そのため、Microsoft Accessのように幅広い「シグナリング」動作を必要とするアプリケーションの場合は特にパフォーマンスが向上します。ローカル コヒーレンシ モードは、特定のファイル、ファイル タイプ、ディレクトリ、さらにはファイル サーバ シェア全体まで、任意の粒度で定義することができます。

アクセス制御と認証
エンドツーエンド アーキテクチャの一部であるCisco WAFSは、アクセス制御および認証に関する決定をファイル サーバに一任しています。したがって、WAFSはパフォーマンスを向上させるために以前の決定の結果をキャッシングできますが、実際にはこれらの定義を永続的に管理して維持する必要がありません。

CIFSの場合、(セッション確立時の)ユーザ認証および(ファイルOpen要求ごとの)許可は、ファイル サーバによって直接管理されます。したがって、個々のファイルの新しいユーザや新しい権限を定義する必要がなく、Cisco WAFSの設定が大幅に簡素化されます。

特定のドメインで定義されているユーザが別のドメイン内のファイルにアクセスする場合、Cisco WAFSはドメイン間の認証および許可もサポートしています。Windowsでは、これはtrusted-domainメカニズムによって透過的に管理されます。UNIXでは、WAFSはUNIXユーザ ディレクトリ サービス(NIS、YPなど)に基づくオプションのドメイン間ユーザ マッピングおよびグループ マッピングが可能です。また、特定のドメインの全ユーザを、ファイル サーバのドメインで特定のUID-GIDマッピングに明示的に対応付けることも可能です。

WANトランスポート レイヤ
NFSおよびCIFSはLANベースのプロトコルであり、WANリンク上での動作は想定されていません。また、ファイル システムにアクセスするアプリケーションも大部分がLANベースのアクセスを前提としているため、WAN経由でのファイル システム アクセスには問題が生じがちです。このような制約に対処するため、Cisco WAFSは、クライアント側およびサーバ側では標準のNFSまたはCIFSを保ちながら、WAN上のEdge File EngineとCore File Engineとの間で独自仕様のアダプテーション プロトコル レイヤを使用しています。図3に、WAFSの階層型ネットワーク アーキテクチャを示します。

図3 WANアダプテーション レイヤ


次に、プロトコルについて要約します。
  • このプロトコルはTCP/IP上に階層化され、Core File Engineごとに1つのポートしか必要としないため、ファイアウォール フレンドリーなプロトコルとなっています。
  • Cisco WAFSが使用するEdge/Core File Engineリンクごとの同時TCP接続の数を設定できます。開いている任意の接続を使用して、要求と応答を送信できます。特に、遅延と損失が大きいWAN接続でTCPパフォーマンスが低下する場合には、データ配信のための複数の要求(および応答)を複数の接続に分けることによりネットワークを有効に使用することができます。また、他のアプリケーションとリンクを共有しなければならない場合に、WAFSによってリンクが飽和状態になるのを防ぐ帯域制御メカニズムも提供しています。
  • プロトコル メッセージ(要求および応答)が圧縮されます。圧縮に先立ってメッセージがエンコードされ、テキスト データでもバイナリ データでも効率的な配信が可能です。メッセージの内容に関わらず、プロトコル レイヤが自動的に圧縮を適用します。
  • 前述したように、Cisco WAFSは書き込み動作をパイプライン化し、WANスループットへの遅延の影響を最小限に抑えます。同様に、WAFSはアプリケーションよりも大きいバッファとTCPウィンドウ サイズを使用して、読み取り要求をパイプライン化します。
ネットワーク障害
Cisco WAFSのトランスポート レイヤは、切断されたソケットで接続を再確立し、応答されなかった要求を再送信することにより、一時的なネットワーク障害に対処します。

切断が長引いた場合、トランスポート レイヤはCisco WAFSアプリケーション レイヤに通知します。「永続的な切断」を検知した場合、システムは切断モードに切り替わり、再接続が実行されるまで、リモート ファイル サーバへのアクセスを拒否します。ただし、このような切断時にも多くのクライアント アプリケーション(Microsoft Wordなど)が動作を続行でき、再接続されると自動的に復旧します。

管理
Cisco WAFS Central Managerは、リモート ゲートウェイの集中的な管理および設定を行い、各ゲートウェイが正常に稼働しているかどうかを監視するとともに、各ゲートウェイから集めたログに基づいて使用状況の統計レポートを生成します。管理者はWebベースの簡潔なインターフェイスを通じて、設定およびポリシー情報を編集および確認し、使用状況レポートを受信します。WAFSの集中管理機能は、各ゲートウェイ(Edge File EngineおよびCore File Engine)上で稼働するGateway Managerと、1台の代表ゲートウェイ上で稼働するCentral Managerという、2つの管理アプリケーションで構成されます。 WAFS Gateway Managerは、WAFSゲートウェイの設定およびローカル モニタリングを管理し、初期セットアップ用のsetupウィザードを含んでいます。このウィザードには、Central Managerへの接続、ロギング エージェント、および各種のシステム パラメータおよびトラップ(グラフ表示可能)をモニタするSNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)エージェントが含まれます。図4に、Edge File Engineによる統計情報のグラフ例を示します。

Cisco WAFS Central Managerは、次の2つの主な役割を果たします(画面の例は図4を参照)。
  1. Cisco WAFSオーバーレイ ネットワークの管理 - システム内の各種ゲートウェイの接続および相互関係。これには、Edge File Engineから1つまたは複数のCore File Engineへのリンク、接続パラメータの定義、およびゲートウェイのネットワーク表示が含まれます。
  2. ゲートウェイの集合に適用されるグローバル ポリシーの定義。具体的には、特定のファイルのコヒーレンシ レベルを設定するポリシー、および事前配置ジョブを管理者が定義できます。
図4 Edge File Engineによる統計情報の例


事前配置(pre-position)
Cisco WAFSは、キャッシュ ヒット率を改善する目的で、データ センターからのファイルをEdge File Engineに事前配置(または「プッシュ」)する機能を提供しています。管理者はWAFS Central Managerを使用して、ファイルを配布するタイミング、配布するファイル、配布の宛先といったパラメータを柔軟に指定できます。WAFSは効率的な転送のためにトランスポート レイヤを採用しており、足りないブロックだけを転送します。また、(たとえばファイル分散ジョブによってピーク時間帯に影響が及ぶのを防ぐために)特定の時間枠に限ってファイルをプッシュしたり、(頻繁なキャッシュ リサイクリングを防ぐために)転送するファイルの量を規制することも可能です。

プリント サービス
Cisco WAFSは、ファイル サービスに加えてプリント サービスもブランチ ユーザに提供するので、ブランチで独自のプリント サーバを配置する必要がありません。WAFSプリント サービスは標準のWindowsプリント サービスに匹敵し、どのプリンタでも使用できます(rawモードを使用する場合。データのレンダリングはクライアントが対応)。必要に応じてクライアントに自動的にダウンロードされるプリント ドライバのライブラリと、ジョブ ステータスのモニタ機能を含むプリント キュー管理機能を装備しています。

拡張性と信頼性に優れた設計

Cisco WAFSは、拡張性に優れた設計となっています。具体的には、あらゆるクライアント メッセージのうちCore File Engineに到達するのは20%未満であるため、Core File Engineおよびファイル サーバの負荷が大幅に軽減されます。また、Core File Engineが実行するタスクは非常に単純で、WANトランスポート レイヤのデコードが中心になります。キャッシング動作が含まれないので、ステートが保持されません。このようなCore File Engineのステートレスなアーキテクチャにより、複数のCore File Engineのクラスタ化と負荷分散を簡単に実行することができ、Core File Engineデバイスの追加による、ほぼリニアな拡張能力がもたらされます。エッジでは、DFSまたはWeb Cache Communication Protocol(WCCP)を使用して、ユーザ数の増加に対応できます。

Core File Engineがステートレスであることにより、障害発生時にもステートが消失しないため、システムの信頼性にも大きく貢献します。クラスタリングによるフェールオーバーも簡単です。エッジの信頼性は、詳細にモニタされるシステム ウォッチドッグと、障害時にキャッシュ ステートを回復できるトランザクショナル メタデータ データベースによって達成されます。さらに、DFSまたはWCCPによるハイ アベイラビリティも提供されます。

ハードウェア プラットフォーム

Cisco WAFSソリューションは、File Engineアプライアンスとして提供され、複数の構成が用意されています。現在出荷中の構成については、シスコまでお問い合わせください。File Engineアプライアンスには、ワールドクラスのCisco SMARTnet®サービス オプションがご利用いただけます。

その他の資料

Cisco WAFSソリューションの詳細は、以下のURLをご覧いただくか、シスコ代理店までお問い合わせください。
http://www.cisco.com/jp/go/wafs