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[目次]
- ◆[プロビジョニングの要件]
- ◆[自動プロビジョニングの目標]
- ◆[プロビジョニングアーキテクチャ]
- ◆[セルフプロビジョニングの実施]
- ◆[セルフプロビジョニング・システムによるサービスの拡張]
- ◆[その他の有用な利点]
- ◆[投資回収率]
- ◆[まとめ]
| プロビジョニングの要件 |
ケーブル網を使ってデータ通信を行う加入者にも、これと同じレベルの自動化が必要です。インターネットへのアクセスだけを設定する場合も、先進的なパーソナルサービスを利用する場合も、MSO(ケーブルテレビ運営統括会社)は管理コストを削減し、加入者の急増に対応できるシステムを構築する必要があります。自動化は、加入者の全利用期間を通じて、次のような処理が必要になります。
- 加入者の登録
- サービスのプロビジョニング
- サービスに対する課金
- アカウント有効期限の手続き
- 新しい有料サービスの導入
- ローミング加入者のダイヤルインサービス
- VPN(仮想プライベートネットワーク)の自動設定
- 自動化された外部委託のLAN(ローカルエリアネットワーク)管理
ケーブル業界には、このようなソリューションに対する膨大な需要があります。ケーブル網を使ったデータ通 信ネットワークは基本的にはLANですが、LANベースのソフトウェアがこれまで扱ったことのない大規模なスケールを要求します。さらに、ネットワークの観点からの加入者サービスの管理、新規サービスのプロビジョニングなどは、従来の自動処理ではまったく考慮されていなかった問題です。
このような総合ソリューションの構築は、ケーブル運用の革命ともいえるものです。オンラインとダイヤルインの両方の顧客とネットワークデバイスに広帯域プロビジョニングを提供できるだけでなく、大幅なツール変更を行わずに、数百万人の顧客に対応できるスケーラビリティが必要になります。また、キャリア規模の信頼性を備えた完全なセルフ・プロビジョニング機能も必要です。さらに、新しい有料イベントやサービスを導入しながら、事業者のオーバヘッドを著しく削減し、収益を増大することが求められます。
したがってMSOは、より豊富なインターネット知識を提供できるとともに、ケーブル網を使ったデータ通信ネットワークの利点および問題点を完璧に理解している必要があります。
| セルフ・プロビジョニングとは? -メディアワン社の見解- メディアワン社の社内資料には、初期登録というプロビジョニング作業に関する記述のなかで、セルフ・プロビジョニングの利点が明解に説明されています(以下は、メディアワン社の許可を得て掲載しています)。 「加入者装置の自動プロビジョニングとは、加入者宅からケーブル網データ通 信サービスを使って、コンピュータ支援によって加入者コンピュータとケーブルモデムのプロビジョニングを行うことです。自動プロビジョニングには、主に4つの利点があります。それは、手動設定にともなうエラーの削減、装置プロビジョニングの容易な規模拡張、加入者による装置プロビジョニングの変更、そして加入者による将来的なオプションの導入です。技術者の出張作業が不要になれば、加入者のデータを破壊してしまう危険がなくなり、必要なサポート要員数も減らすことができます。代わりに、加入者自身がプロビジョニング・ツールを使用することになるのです。近い将来、最小限の支援で、加入者によるコンピュータまたはイーサネットインタフェースの切替えが可能になるでしょう。長期的には、技術者の支援を受けずに、加入者自身が自分で利用するサービスのプロビジョニングが行えるようになります。」 “A Cable Operator's View”メディアワン 1997年1月 |
| 自動プロビジョニングの目標 |
管理コストの削減 現在の加入者サインアップは、多額のコストを要します。実際に、多くのMSOはコスト回収に半年から1年かかっています。サインアップのコストを回収できても、サービスセンターの加入者ヘルプデスクでは1回のサポート電話に40~75ドルの経費がかかり、加入者1人から得られる利益の1~2カ月分に相当します。さらに、最も高いのが加入者の課金上の問題を解決するために必要となる電話のコストです。
加入者プロビジョニング・システムによって上記のような問題を自動処理できれば、管理コストは著しく削減されます。 より柔軟な市場トライアルと新規サービス導入 現在のシステムでは、MSOが望むようなマーケティングプロモーションはサポートされません。自動システムを導入すれば、MSOは、各種サインアップのWebページで加入者を指定するだけで、複数の無料トライアルのテストを簡単に実行できます。また、トライアルの効果について、すぐにフィードバックが得られます。
現在のシステムでは、新規サービスを導入するのに1年近くかかっています。しかも、加入者数が飛躍的に増加しているため、導入が遅れるという悪循環が生じています。ケーブル事業者では、1~2年のうちにIPテレフォニーを導入する計画です。しかし、現在のプロビジョニング・システムのままでは、10万人以上の導入待ち加入者が発生することになります。 顧客満足度の増大 現在のケーブルシステムサインアップにおける加入者側の問題の1つは、自宅での設置日を調整しなければならないことです。自動プロビジョニングが可能になれば、Webインタフェースを通じてサインアップし、サービスオプションを選択できるようになり、加入者にとって非常に便利になります。
| プロビジョニングアーキテクチャ |
物理的なインフラ 図1は、ネットワークデバイスに基づく汎用アーキテクチャを示しています。IPネットワークデバイスを中心とした、全国規模、地域規模、およびヘッドエンドのコンポーネントが記されています。さらに、この図には含まれていませんが、通 常、高可用性サーバおよび複数の相互接続スイッチおよびルータによる冗長構成が設定されます。
図1:ネットワークデバイスを中心とした汎用アーキテクチャ
この図で注意していただきたいのは、サーバのインフラ(Web、E-mail、DNS、DHCP)です。これは一般 的に、地域データセンターのマスターサーバと、ヘッドエンドのプロキシまたはセカンダリサーバによって構成されます。お客さまの近くにサーバを置くことによってローカル機能が改善されるとともに、地域データセンター障害時の冗長性を確保できるという2つの利点があります。
加入者側での設定が必要になるプロビジョニングは、基本サービスを提供するサーバと、加入者宅の装置(ケーブルモデムおよびPC)ということになります。 プロビジョニングアーキテクチャの要件 プロビジョニング・システムは、多数の加入手続きとサービス開始を、最短時間の管理作業で行えるように設計します。また、ユーザーアカウントおよびサービスの追加、移動、削除もできなければなりません。このレベルの自動化を実現するには、アーキテクチャが次の要件を満たしている必要があります。
- 統合および配備の容易性 --- ケーブルデータネットワークは、白紙状態から開始するわけではありません。既存の物理環境に統合し、既存のカスタマサービスと課金システムを組み込む必要があります。
- スケーラビリティ --- ケーブル事業者の多くは、自社のシステムを開始してすぐに2000人を超える加入者数に対応できないといった問題に直面します。むやみにドメイン名の提供や変更を行っても、法外な管理コストが生じるだけです。
- システムの高速性の活用 --- ケーブルの最大の利点は、他のインターネットアクセス方式に比べて、通信速度が著しく速いことです。
- キャリアクラスの信頼性 --- プロビジョニング・システムは、ネットワークのコアシステムと同様の高い信頼性を必要とします。特にテレフォニーサービスを提供している場合には、信頼性は非常に重要になります。
- 加入者が、CSR(カスタマサービス代理店)に電話します。
- CSRは加入者情報を入手し、加入手続きを開始します。CSRは、加入者と相談し、加入者宅での設置日を決めます。
- ケーブルネットワーク専門とパソコン専門の2名の技術者が、加入者宅を訪問します。
- 加入者地区のケーブルプラントの状況に応じて、ケーブル技術者がいくつかの作業を行います。通 常は、(家電からのアップストリームノイズを阻止するため)既存のハイパスフィルタをコンビネーションフィルタと双方向スプリッタに交換します。スプリッタにより、加入者のセットトップボックスとケーブルモデムに同軸ケーブルを接続します。次にケーブルモデムを設置します。加入者配線でデータネットワーキングの要件をサポートできない場合には、必要に応じて追加の配線作業を行います。
- ケーブル技術者は、ケーブルモデムのネットワークハードウェアアドレスを確認し、CSRに電話してコールバックを受けます。CSRは、ケーブルモデムデータベースに情報を入力し、HFCネットワークへの接続を許可します。
- コンピュータ技術者は、加入者のパソコンにIPネットワーキング機能とイーサネットカ-ドが含まれていることを確認し、クライアントソフトウェアをインストールします。また、このソフトウェアの設定を行って、設定が適正かどうか確認します。さらに、ケーブル技術者とともに、パソコンとケーブルモデムを接続します。
MSOはプロビジョニングのコストを発表していませんが、上記の作業から、サインアップのコストが高く、コスト回収に時間がかかっていることは明らかです。また、加入者とCSRとの相互調整に高いコストが必要になるのは、サインアップ時だけに限りません。サービスの変更、アップグレード、移転、課金の訂正など、加入者の契約期間中に発生するこれらの手続きには、すべて人間の介在が必要になり、販売利益が少なくキャッシュフローが重視されるケーブル事業者の収益性にとって大きなマイナスとなっています。
| セルフプロビジョニングの実施 |
顧客中心の自動プロビジョニング これまでの説明から、加入者のサインアップとサービスの維持には、膨大な営業経費がかかることが明白になりました。しかし、新しいプロビジョニングプロセスによる削減コストは直接純利益につながるので、料金設定をめぐる激しい競争が生じると考えられます。
加入者による自己登録は従来の方式よりはるかに単純で、手動プロセス関連の管理作業の多くは不要になります。図2は、加入者のネットワークへの参入を自動処理するためのネットワークにおけるサーバエレメント間の関連を示しています。図中のプロビジョニングサーバを実行するのは、通 常、MSOまたはMSOの統括事業者です。
図2:自己登録のためのサーバ構成

お客さま側では、上図の複雑な関連処理は、次の単純なステップに集約されます。
- モデムを買ってくる。
- パソコンとモデムを接続する。
- パソコンを起動する。
- ブラウザを開始し、加入者情報を入力する。
- インターネットにアクセスする。
実際には、MCNS標準が幅広く適用されるまでは、技術者が加入者宅を訪問してケーブルモデムの接続と配線の確認を行わなければならないので、現時点では、上記レベルの簡単なプロビジョニングを実施しているMSOはありません。
自動プロセスを実施する場合には、いくつかの重要事項に注意する必要があります。
- セルフプロビジョニング・システムでは、サービスゾーンと呼ばれる一時的な「アクセス状態」が発生します。この状態での加入者または装置は、サービス登録、遅滞料金の支払い、その他の管理作業を行うためのプロビジョニングサーバだけに接続できます。
- サーバとの対話は、RFCベースのプロトコルとRPCの組合せによって行われます。
- LDAPの加入者情報を自動更新し、他のアプリケーション(電子メールやWebサービスなど)を利用できるようになります。
- セルフプロビジョニング・システムは、Windows NTおよびSun Solarisの両システムで運用しますが、他のプラットフォームに移植していく必要があります。
- プロビジョニングサーバは、大規模なMSOに期待される登録速度に対応できるよう、高性能マルチスレッドサーバを使用しなければなりません。
| セルフプロビジョニング・システムによるサービスの拡張 |
新規サービスの迅速な導入 プロビジョニングプロセスを自動化したセルフプロビジョニング・システムは、新規サービスの導入にも柔軟に対応できる安定した基盤を備えていなければなりません。ディレクトリに入力されたサービスパラメータによって、レジストラのサーバは、IPアドレスの適正な「品質」を迅速に判断し、さらには、サービスを特定する適正フィルタセット情報をネットワークインフラに戻す必要があります。
アウトソースのダイヤルイン セルフプロビジョニングアーキテクチャの大きな利点は、MSOが、LANおよびダイヤルインの両方のビジネスネットワーク管理を完全にアウトソーシングできることです。ケーブルネットワークに接続しているLANユーザは、それぞれの環境に応じた適正な属性とともにプロビジョニングされます。ダイヤルインユーザーは、特定の組織に属していると認識され、その組織に固有のパラメータによって認証およびプロビジョニングされます。
Webコンテンツおよびサービスのパーソナル化 DHCPサーバには、加入者のIPアドレスをLDAPディレクトリに書き込むという非常に優れた機能があります。この機能によって、加入者の個人情報とネットワークアドレス間のリンクを継続的に更新できます。図3は、Webサーバなどの他のサービスが、クライアントPCのIPアドレスに対応するお客さま名をLDAPサーバに問い合わせることによって、加入者を特定できるという利点を示しています。お客さまがWebサーバにログインしたかどうかに関係なく、カスタマイズした広告または他のコンテンツを表示できます。
図3:バックエンドアップデートによるサービスのカスタマイズ
| その他の有用な利点 |
全利用期間における加入者の管理 加入者の利用期間中は、管理業務の負担を増大するさまざまな事態が発生します。
- お客さまの支払いが期日より大幅に遅滞している場合、カスタマサービスから電話連絡する必要があります。
- 加入者がパソコンやネットワークインタフェースカードを変更した場合、加入者はカスタマサービスに連絡する必要があります。
- 加入者がドメイン名の変更を希望した場合、加入者はカスタマサービスに連絡し、カスタマサービスからネットワーク担当者に変更要求を伝える必要があります。
セルフプロビジョニング・システムは、これらの問題の解決に役立ちます。支払いが大幅に遅滞している加入者への電話連絡コストを削減するには、このような加入者に対して、システムが、クレジットカードまたは他の支払い期日に基づく再登録を強制します。また、多くのお客さま側の問題についても、お客さま自身が「解決」できるようになり、カスタマサービスに連絡しなくても済むようになります。
| 投資回収率 |
配備/保守コスト 最終的に、動的な自動プロビジョニングの試行では、このようなシステムの投資回収率が問題になります。次にあげる分野では、非常に優れた投資回収率を期待することができます。
- ネットワーク運用 --- 現時点ではアナリストによる正式なレポートはありませんが、シスコでは、新規情報によるデータベースおよびネットワークデバイスの更新/保守に必要な業務に基づいて、MSOは、年間にお客さま2000人につき約10万ドルのネットワーク管理コストを削減できると推定しています。この値は、非常に大規模な企業ネットワークにおいて、ネットワーク運用グループが達成した削減コストの金額に近いものです。
- フィールド業務 --- フィールド業務では、加入者宅への訪問に要した多数の技術者を1名に減らすことで、膨大なコストを削減できます。あるMSOは、この分野で3年間に、お客さま50万人につき約5000万ドルのコストを削減できると見積っています。
- カスタマサービス業務 --- カスタマサービス業務では、CSRで加入者情報を入力する必要がなくなるので、加入者1人あたりのサービスについて、最大20分の時間を削減できます。また、サービス変更要求、ドメイン名変更要求、アカウント停止、アカウント再開など、加入者アカウントの保守業務にかかる管理コストも大幅に削減されます。
収益源 MSOでは、次の2つから新しいデータ収益を期待できます。
- より迅速なお客さまのプロビジョニング
- 新規サービスの開始
IPネットワークとケーブル業界の両方を理解しているシスコは、MSOが、VPNや広告主限定マーケティングといった、新サービスを提供できる製品や新機能を開発するには、まさに理想的な立場にいます。また、MSOがIP接続による小規模事業に参入するにつれ、アウトソースされたLAN管理の需要が倍増するでしょう。
| まとめ |
