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スマート化が進む物流業界


スマート化が進む物流業界

  * 当資料は、米国で発表されたFeature Articleの抄訳です。

著者:アン・フィールド (Anne Field)
ニューヨーク・タイムズ、Bloomberg BusinessWeek向けに、アントレプレナーや中小企業に関する記事を執筆するジャーナリスト 


2015年10月19日

ドライバーや車両のパフォーマンスから複雑なスケジュールの問題に至るまで、IoEテクノロジーはあらゆるものに関する洞察をリアルタイムで提供してくれます。

米国のSaia LTL Freight社ではしばらく前から、センサーを使って燃料の使用状況やドライバーの運転状況、エンジンのパフォーマンス等さまざまな基準についてのデータを集め始めました。しかし、それらの情報はトラックが毎月の保守点検などの際に拠点に戻ってきた時にしかダウンロードできませんでした。最近になって、ジョージア州を拠点とする運送会社The Johns Creek(ジョンズ・クリーク社)が保有する3,600台の車両にInternet of Everything (IoE)をベースにしたシステムを導入し、各車に搭載したセンサーを通じて、本社のモニタリングチームにデータをリアルタイムで送信できるようになりました。

その結果、この会社では5,000人程のドライバー1人ひとりについて、1日の運転時間から走行方向を変えて次の幹線道路に入れるかどうかといったことまで、よりきめ細かに状況が確認できるようになりました。こうした情報を基に、ドライバーの行動を改善するために次の手を打つことができます。

Saia社、運送担当バイスプレジデント、ブライアン・バリウス(Brian Balius)氏は、「最終的にはオペレーションを効率化することが当社の目標です。そして、すべては車両自体から送られるデータによって進められます」と述べています。

今や企業は、サプライチェーンのあらゆる局面にIoEテクノロジーを導入しようとしており、運送会社もまた例外ではありません。Saia社が見出したように、センサーベースのシステムを導入することでオペレーションに役立つ数多くのデータが提供でき、マネージャーはパフォーマンスに対する洞察がリアルタイムで得られるだけでなく、他の情報と合わせてさまざまな予測ができるようになります。こうした動きを進めることで、収益率を格段に引き上げることが可能です。物流大手DHLトレンド研究所やシスコ コンサルティングサービスが行った最近の研究によれば、テクノロジーがサプライチェーンや物流会社に与える経済効果は1兆9,000億ドルに及ぶと予想されています。

ここで、こうしたイノベーションが物流業界において、どのような形で利益をもたらすことになるのか、いくつかの事例を取り上げてみます。

予測に基づく事前の保守点検とトラブルシューティング

IoEシステムによって車両の健全性に関するデータを提供し、修理が必要になると技術者に通知します。その代表的な例が、2012年にVolvo、DHLをはじめとする関連各社が組んで立ち上げた研究プロジェクトです。「Maintenance on Demand(オンデマンド・メンテナンス)」と呼ばれるこのプロジェクトでは、給油系統や制動系統等、車の各所にセンサーを組み込み、搭載ユニットに送信されたデータは、さらにメンテナンスプラットフォームに送られました。問題が発生する可能性が検知されると、ドライバーに通知することが可能になっていました。

食品や医薬品など厳しい温度管理が必要な積荷については、システムがリアルタイムで寒暖の変化を検知し、配送トラックの周辺環境を監視して温度が上がりすぎると集中管理チームに警告を発します。管理チームは状況をドライバーに知らせ、車両を点検する必要があることを伝えます。扉をきつく締め直すなど、簡単な処置で問題を改善できることが良くあります。

スケジュールの効率化

電車の車両を考えてみましょう。操車場に集められた車両をやりくりして次の運行に回していくまでの手順には、非常に多くの要素が関わってきます。例えば、車両編成を組み直し、方向を揃えて適切な軌道に乗せなければならず、限られた本数の線路で必要な車両をすべて対応させるためには、一見しただけではわからない複雑な技能が求められます。その結果、車両が必要以上に長い時間、操車場に置かれたままになることもあり得ます。

こうしたことを踏まえ、ゼネラルエレクトリック(GE)は操車場にある全車両を検出できるシステムを開発しました。このシステムは、車両の移動から出発前の点検作業までを含め、さまざまな作業に携わるすべての係員に送られる詳細な指示書を伴って配車計画を作成します。GEグローバルリサーチセンター、主任サイエンティスト、スリニバス・ボラプラガダ(Srinivas Bollapragada)氏によれば、このシステムによって、操車場に戻ってきた車両が再度運行されるまでの「滞留時間」を最大10%短縮することができます。

ドライバーの健康と安全

長距離トラックになると、一般的にドライバーの1回の運転時間は長時間になり、米国トラック協会(ATA)によれば、年間走行距離は平均10万マイル(16万q)にも及びます。長時間の運転は集中力が散漫になりやすくなるため、瞳孔の開き具合など、いくつかの指標から疲労の兆候を追跡する車載カメラを導入する会社もあります。ドライバーが眠気に襲われていることを検知すると、システムによってアラームが鳴り、シートが振動するようになっています。

この点に関し、Saiaのシステムは、車間距離が狭まり前の車に近づきすぎたり、合図を出さずに車線変更を行ったりといった行為を検知すると、大きな警告音を発します。「ドライバーが居眠りしそうになった時に、側溝に突っ込む前にそれを見つけます」とバリウス氏は言及します。さらに、車載カメラは一部始終を記録しているため、ドライバーが急ブレーキをかけるなど、通常の範囲を超える何らかの異常事態を検知した場合、発生の前後10秒の状況が社内の安全専門家に示されます。バリウス氏によれば、これによってドライバーの行動が別の車に反応したためなのか、単に基準を超えただけなのかを判断することができます。全てのデータを追跡して評価することができるため、その後、ドライバーに対して改善すべき点が報告されます。より深刻な問題を起こしかねないケースについては、バリウス氏の説明によれば、ドライバーがターミナルに戻るのを待って対応することになります。

* 米国で発表されたFeature Articleの内容は、以下をご参照ください。
<Logistics get a lot smarter>