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コラボレーションの問題

テクノロジー、経済、社会の大きな流れによって、どのような組織でもコラボレーションの重要性が以前より高まってきています。しかし、正しく理解するには注意すべき点があります。

  * 当資料は、米国で発表されたニュースリリースの抄訳です。

これは、組織でのコラボレーションに関するシリーズ(全 4 回)の 第 1 回です。

2009 年11 月 9 日、チャールズ・ウォルトナー

シスコシステムズの最高経営責任者であるジョン チェンバーズは、市場の変化について語り、それを活かすことで有名です。チェンバーズは、世界中の企業がビジネスの近代史の中でも特に大きな転換期を迎えていると確信しています。

また、昨年のハーバード ビジネス レビューによるインタビューの中でチェンバーズは、「ビジネスモデルとリーダーシップに注目すると、命令と支配によるマネジメントから、コラボレーションとチームワークによるマネジメントへの大きな変化が起こっています。この変化は、組み立てラインと同じくらい画期的だと言えるかもしれません」と語っています。

このように確信するのには、はっきりした理由があります。シスコではコラボレーション テクノロジーを活用し、コラボレーションを意識した行動を奨励し、またコラボレーションを促進するマネジメントの実践を進めたことで、2008 年度に 6 億 9100 万ドルのコスト削減と 4.9% の生産性向上を果たしました。

シスコはコラボレーションをリードするプログラムを提供し、数十億ドルの市場機会の獲得に向けて迅速にリソースを編成する一方で、自社の業務を改善する大規模な取り組みを開始しました。シスコは自社のコラボレーションを改善することで、900% の投資回収率を見込んでいます。

コラボレーションに必要なこと

組織でコラボレーションを促進するには、多くの人々が一緒に仕事をする必要があります。そしてシスコだけでなく、コラボレーションに向けて取り組みを行う企業は必ず、「コラボレーションは非常に難しい」という厳しい現実に直面しています。

コラボレーションの手段、場所、時間は、テクノロジーによって得ることができますが、組織のチームワークを促進することは難しい課題となります。それは、企業の集団での働き方や行動を変えること、さらには意識を変えることが必要だからです。

カリフォルニア大学バークレー校の経営学の教授で、『Collaboration』の著者でもあるモーテン・ハンセン氏は、コラボレーションへの取り組みに行き詰っている企業や、取り組みを先送りしている企業は、さらに大きな課題に直面する可能性があると述べています。

「企業は、仕事のやり方の構造的転換期に直面しています」とハンセン氏は言います。

企業のコラボレーションへの取り組みにリスクを生み出すものとして、ハンセン氏は 5 つの大きなトレンドを挙げています。それは、グローバル化、専門家の増加、社外の人々と取り組む「オープン イノベーション」の必要性、生産性向上における次の波の探求、そしてテクノロジーです。

テクノロジーはハンセン氏が「ターボチャージング」と表現するように、その他の流れを加速するものです。仮想ワークスペース、Wiki、ブログ、ビデオ通信などのさまざまなネットワーキング テクノロジーによって、組織のコラボレーション方法、つまり人々と情報の「点と点をつなぐ」方法が改善されています。

「こういった流れを総合すると、コラボレーションが仕事の未来像として示されます」と、ハンセン氏は語ります。 しかし、これは重要なポイントですが、コラボレーションは必ずしも望ましいことだとは限りません。コラボレーションには実際にコストがかかります。ハンセン氏は、人々やグループを集めて結束を高めるには、時間、費用、リソースがすべて必要だと述べています。 「何十年もの間、人々は会議で無駄な時間を過ごしてきました。正しい意識を持ってコラボレーションを行わなければ、Cisco TelePresence などの仮想コミュニケーション ツールは、会議の効率を上げるための役には立ちません」と、ハンセン氏は語ります。 その鍵となるのが、「適切なコラボレーション」を行うことだとハンセン氏は述べています。つまり、コラボレーションにかかる正確なコストを算定し、ビジネス上の利益と比較して検討する必要があるということです。

コラボレーションを正しく理解する

ハンセン氏は、ある IT コンサルタント会社の 180 のチームを調べました。ソフトウェアを導入するための大規模なプロジェクトで、多くのチームが社内の人々とコラボレーションを行い、入札についての情報や意見を集めていました。

入札のプロセスについての経験がないメンバーで構成されたチームではコラボレーションが有効でしたが、経験豊富なメンバーのチームがコラボレーションを行った場合、過去の実績と比較してその効果はわずかに下回っていたことが分かりました。

ハンセン氏は、経験豊富なメンバーのチームは、専門知識があることでコラボレーションが阻害されてしまい、不要なやりとりで時間を無駄にしてしまっていたと述べています。

このような例は、コラボレーションを促進することに関心がある企業への教訓となります。しかし、コラボレーションに関する新たなネットワーキング テクノロジーの活用によって、企業が多くのものを得られるということに間違いはありません。

アンドリュー・マカフィー氏(マサチューセッツ州のケンブリッジにある MIT デジタル ビジネス センターの主任研究科学者)は、Web 2.0 の新しいコラボレーション用ツールは、企業が「車輪の再発明を繰り返す」のを避けるのに役立っていると言います。

また、ブログ、動画、Wiki を使って従業員が「自分の仕事を説明する」ことが簡単になると、企業にとっての長年の課題への取り組みが進むとマカフィー氏は語ります。 さらに、こういったソーシャル ネットワーキング ツールは、イントラネット、ERP(Enterprise Resource Planning; 企業リソース計画)アプリケーションや CRM(Customer Relationship Management; 顧客関係管理)ソフトウェアなどの既存のビジネス アプリケーションを補完するものだ、とも語っています。 このようなテクノロジーが経営のさまざまな面で役立っている一方で、各従業員の知識や経験を集めて利用できるようにすることに関しては、まだ効果が上がっていません。

「多くの作業で、特に知識の共有に関しては、効果的なツールを見つけ出すのに苦労してきました。新しいコミュニケーション テクノロジーのおかげで、知識共有に役立つツールも利用できるようになりました」とマカフィー氏は述べています。

マカフィー氏は「エンタープライズ 2.0」という用語を作った人物ですが、Web 2.0 の新しいネットワーキング ツールを「自然発生する」アプリケーションと定義しています。その理由は、優れたアイデア、関連するコンテンツ、専門知識を持った人々を見つける方法は、こういったプラットフォーム上での人々の交流によって時間とともに自然に発生するからです。

コラボレーションを開始するにあたって

Web 2.0 は、より効果的で効率的なコラボレーションの方法を生み出すのに役立っていますが、テクノロジーはコラボレーションの要素の一部に過ぎません。単純にテクノロジーを配備するだけでは行き詰まることになると、専門家は警告しています。成功のためには包括的な取り組みが必要です。

シスコでは、組織のコラボレーションを効果的に実施するという課題に取り組んでいるお客様を支援するために、コラボレーションの促進に関心のあるエグゼクティブ向けのベスト プラクティス ガイドを作成しました。これをコラボレーション フレームワークと呼んでいます。このシリーズの次の回では、このコラボレーション フレームワークの主な要素と、そういった取り組みがシスコでどのように実践されているかについて説明します。

シスコ コラボレーション フレームワークは、社内でコラボレーションを促進するために企業が行っているさまざまな取り組みをベースにしています。また、14 の多様な企業で構成されるグループから収集した意見も反映し、組織のコラボレーションを促進するための最善の方法を探求しています。コラボレーション コンソーシアム(Collaboration Consortium)として知られるそのグループには、スタットオイル、ランド研究所、ウィプロ、マヒンドラ グループ、ノバルティス、スタンフォード大学のメディア X 研究所などが参加しています。

フランシス・ジョアネット氏(シスコのコラボレーション コンソーシアムの運営を支援した人物で、SBT Advisors の業務執行社員)によると、組織のコラボレーションを改善する最も重要なステップとは、テクノロジーではなく、業務上のニーズによってコラボレーションを進める必要があると認識することです。ジョアネット氏は「コラボレーションの実現にはテクノロジーが必要ですが、コラボレーションの取り組みにおいて肝心なのは、業務に合わせて進めることです。生産性の向上、コストの削減、品質の改善にどのように役立つかを検討する必要があります」と語ります。

コラボレーションで特に難しいのは、企業文化を変革させることだとジョアネット氏は言います。またジョアネット氏は、コラボレーションには展開のための時間、それも長い時間がかかるということを、企業が認識する必要があるとも言います。

たとえば、シスコは現在、コラボレーションを活用する取り組みを開始してから 8 年目となっています。素晴らしい進歩を遂げているのは確かですが、まだやるべきことがあるということを、最高経営責任者のジョン チェンバーズから一般の社員まで認識しています。

ジョアネット氏は語ります。「コラボレーションは特効薬ではありませんが、企業が目的を達成するのに役立つ重要なツールになってきているのは間違いありません」

チャールズ・ウォルトナー:カリフォルニア州ピードモント在住のフリー ライター

シスコシステムズ合同会社について

シスコシステムズ合同会社は、米国シスコ(NASDAQ:CSCO)の日本法人です。シスコは、ビジネスの基盤となるインテリジェントなネットワーキングソリューションから、音声、映像、データ、ストレージ、セキュリティ、エンターテイメントをはじめとする新しい分野、そして、人々の仕事や生活、娯楽、学習のあり方を一変させることのできるネットワーク プラットフォームの提案を目指しています。 シスコの会社概要・詳細は以下のWebサイトでご参照頂けます。
<http://www.cisco.com/jp>

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