|
Cisco WAAS は、WAN を経由するアプリケーション アクセスを最適化する機能を提供します。さらにファイルサーバの統合に必要な Cisco WAFS(Wide Area File Services)の機能も利用できます。Cisco WAFSは、WAN経由でのファイル アクセスに対して、LAN上でのサーバアクセスに近いレスポンスを可能にします。
Cisco WAAS が提供する WAN 最適化技術とファイル キャッシュの機能によって、WAN経由でのファイルアクセスおよびアプリケーション サーバへのアクセス速度が解決されます。その具体的な手法を見ていきましょう。
最初に紹介するCisco WAASの機能は、Cisco WAFSによって実装されていたものと同じです。これは、拠点にあるWAASとデータセンターに設置されたWAASが常に同期しており、WAN経由でアクセスしなくて済む要求を判断して、ローカルで高速に処理する機能があることです。
データの一貫性と同時性を保証したうえで、WAN切断時の耐障害性も確保できます。
Cisco WAASは、Cisco WAFSの機能にアプリケーション サーバ アクセスへの対応が追加されているということができます。それは、データ転送量を劇的に削減するDRE(Data Redundancy Elimination)という機能によって実現されています。これは、データのパターンを学習し、重複するデータの転送を削減します。
Cisco WAASの特長の1つは、TCP/IPでのファイル転送の特性に着目して設計されている点です。たとえば、サイズの大きいファイルを転送する場合を考えてみます。TCPを使って一度に運べるデータ量には制限がありますから、多くのファイルは小さなデータに分割されて転送されます。この小さなデータは、順番どおりに送信先に届くよう、ときどき着信を確認しながら転送することになります。Cisco WAASでは、これを先読みしてディスクに蓄積することにより、LAN 経由でファイルサーバにアクセスしているようなスピードでのファイル転送を可能にしているのです。この機能をTFO(TCP Flow Optimization)といいます。
以上のようなCisco WAASの機能により、WANを経由したアプリケーション アクセスのパフォーマンスは、大幅に改善されます。実際、4倍~100倍のレスポンスタイムの改善があったというデータもあります。
実は、Cisco WAASの最大の特徴は、サーバやアプリケーションに何の変更をすることなく、通信の最適化と転送データの圧縮・削減機能を実現する点にあります。既存ネットワーク機器で利用しているQoSやクライアントごとのモニタリングなどの機能は、そのまま使い続けることができるのです。 |
|
|