テクノロジー解説

SRST(Survivable Remote Site Telephony)

SRSTは、ルータに搭載されたCisco IOSソフトウェアの機能の1つで、「Survivable Remote Site Telephony」という名称をそのまま日本語にすると、「リモートサイトのテレフォニー機能を生き延びさせることができる」機能ということになります。なぜ、何のためにSRSTが必要なのか、どのような状況でリモートサイトはSRSTに助けてもらわなければならないのかについて、説明していきます。

IPテレフォニー環境の要素
IPテレフォニーを導入する際に必要となる要素には、次のようなものがあります。
  • IP電話
  • Cisco Unified CallManager
  • ボイスゲートウェイ
IP電話は、Cisco Unified IP Phone 7900シリーズや、Cisco IP Communicatorに代表されるソフトフォンなどです。Cisco Unified CallManagerは呼処理サーバとも呼ばれ、電話での通話を処理します。これは、従来の電話環境であればPBXにあたるものです。そして、ボイスゲートウェイは公衆電話回線網(PSTN)との接続を可能にします。いわゆる「外線電話」です。
社内のIP電話から発信される通話を考えてみましょう。外線でも内線でも、すべての通話はCisco Unified CallManagerが制御します。したがって、電話からの発信は、必ずCisco Unified CallManagerを経由することになります。
この図では、Cisco Unified CallManagerをインストールした複数のサーバから構成される「Cisco Unified CallManager クラスタ」が使用されていますが、小規模なサイトの場合には、Cisco Unified CallManager Expressを導入し、1台のルータが呼処理とボイスゲートウェイの両方の役割を担う場合もあります。

複数サイトで構成されるネットワークでの呼処理
企業の規模が大きくなり、本社だけでなく、支社や営業所などにもIPテレフォニーを拡張することになったとき、どのように呼処理サーバを配置するかに、次の2つが考えられます。
  1. 各サイトに呼処理サーバを配置し、サイト間をPSTNで接続する
  2. 呼処理サーバを1か所に集中させ、データ通信で使用しているWAN回線を利用してリモートサイトのIPテレフォニーを実現する
(2) のほうが便利そうです。(1) の方法では、サイトごとに呼処理サーバが必要になるため、導入コストがサイト単位で追加され、管理も面倒で運用コストがかさみます。(2) の方法をとれば、集中管理が可能になるだけでなく、インフラストラクチャをデータ通信と共有するため経済的です。さらに将来的にメッセージングサービスやモビリティサービスを導入する際にも、1か所にサービスを集中させることができます。

中央集中型呼処理の問題点
中央集中型で呼処理を行う場合にも、問題はあります。すべての通話はCisco Unified CallManagerを経由しなければならないため、もしもWAN回線に障害が発生した場合には、リモートサイトの電話環境がすべて止まってしまうということです。支社から本社への電話はもちろん、支社から営業所、同じ営業所内、また外線への電話さえも不通になってしまうのです。
電話は、重要な連絡手段です。電話が不通になるというのは、社内でのイライラだけでなく、社外にいるお客様にも迷惑となり、生産性の低下を招き、顧客からの評価を落とすことになります。

そのため、集中管理型の呼処理を導入する際には、通常は集中管理で呼処理を行っていても、回線障害などが発生したときにはリモートサイトで独立して呼処理を代わりに実行できるような冗長化によって、アベイラビリティを高める仕組みが必要になります。それが「SRST」です。

ブランチ オフィスでの呼処理の冗長化
SRSTは、呼処理バックアップ冗長化のための機能です。リモートサイトのルータに導入すると、常に中央にあるCisco Unified CallManagerにアクセスできることを監視するようになります。そして、WANリンクの障害などによってCisco Unified CallManagerにアクセスできないことを検出すると、呼処理をルータ自身が実行するように自動設定します。これで、リモートオフィスでのテレフォニー サービスは継続されます。
WAN 接続が復旧すると、システムは呼処理をCisco Unified CallManager クラスタに自動的に移行します。Cisco Unified CallManagerへのアクセスについての検出、呼処理のための設定、復旧まで含めて、すべて自動で実行されるため、SRST の設定はインストール時に 1 度実行するだけで済みます。WAN回線の障害のために管理者がリモートサイトに出向く必要はありません。

Cisco IOSのCisco Unified SRST機能について詳しくは、下記の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/jp/product/hs/iptel/srstel/



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