テクノロジー解説

Cisco EnergyWise テクノロジー

 地球温暖化は全世界的な問題として、我々の日常生活でも一人一人が気をつけるべき段階にきているとの認識が定着してきました。温室効果ガスの約9割はエネルギー起源の二酸化炭素であり、地球温暖化対策の推進のためには省エネルギー対策の強化が求められています。
 これまで、IT分野においてもさまざまなベンダーがハードウェアの省電力化を進めてきました。ITユーザ側としては、できるだけ省電力設計の製品を購入することも大事ですが、その前に事業所内の消費電力量を把握する必要があります。

 Cisco EnergyWise は、ネットワークを中心に電力消費を管理するテクノロジーです。IT機器から照明やエレベーターといったビル設備まで、幅広い機器の電源を一元管理することで、無駄な電力消費を削減します。

無駄な電力消費がどこにあるか

 一人1台のPCが当たり前になった今、オフィスのなかには、電力を必要とするIT機器がますます増えています。12億7400万トンといわれる日本のCO2排出量の内訳を見てみると、製造業36.1%、運輸業19.9%に次いでオフィスから発生するCO2は18.0%と第3位になっています。あらゆる業種にとって、オフィスの消費電力の見直しが、温室効果ガス削減への第一歩となります。
 では、オフィスの電力消費削減のために、どのような対策が考えられるでしょうか。たとえば、IP電話を取り上げてみましょう。社内には、従業員の机の上のほか、会議室や受付にも電話機はあります。しかし、すべての電話機が365日24時間使われるわけではありません。就業時間外の受付、夜間の会議室など、時間帯によっては電源を切ってしまっても問題ない電話機があります。また、業務時間が終わったら留守番電話応答にしてもよければ、使用されない電話機の台数はさらに増えるでしょう。
 簡単な試算をしてみることにします。Cisco Unified IP Phoneの消費電力を5.23Wとし、社内に1000台の電話機があるとします。平日には10時間、週末の2日間は電話を使うことがないと仮定すると、電話を使用しない時間が1週間で約100時間、1年間では約5,000時間となります。

 5.23W × 5000時間 × 1000台 = 2万6600kW時

つまり、年間2万6600kW時の電力削減となります。事業所の電気代を1W時11円とすると、年間292,600円の経費削減が可能ということです。

シスコでは、このような運用をすることで自社ではどの程度の電力使用量の削減が可能なのかWeb上で試算するツールを公開しています。ぜひ、お試しください。

 > Cisco EnergyWise 計算ツールにアクセスする

ツールの使い方については、Cisco EnergyWise のFLASHムービーのなかで説明しています。

 > FLASHムービーを観る

ネットワークを使ってIT機器を制御する「Cisco EnergyWise」

 時間が来たら機器の電源を落とすようなスケジュール管理ができるだけでもかなりの省電力になることが、ご紹介したIP電話の例でお分かりいただけたと思います。シスコは、IT機器の多くがネットワークに接続されていることを利用して、ネットワーク経由で電力消費をコントロールするソリューションを提供しています。それが、「Cisco EnergyWise」です。

 Cisco EnergyWiseは段階的に展開され、第一段階ではPoE(Power over Ethernet)で給電を受けているIP電話やネットワーク カメラ、無線LANアクセスポイントなどが対象となります。

 第二段階では、IPネットワークに接続されている機器すべてが対象となり、最終段階では空調・換気・照明といったビル施設全体を制御するようになります。ビルオートメーションのシステムも“ネットワーク”であり、これと連携することでさらに電力消費を削減することができるようになるのです。

Cisco EneryWiseの機能

 Cisco EnergyWiseは、現在、Cisco Catalyst スイッチに実装されています。なお、この機能はソフトウェアのアップデートのみで実装されるため、Cisco EnergyWiseのために新たにスイッチを購入する必要はありません。どのように機能するのかをご紹介しましょう。

電力使用量を把握
 EnergyWiseでは、各デバイスの消費電力をモニタして死活監視のプロトコルに乗せてCisco Catalystスイッチに送っています。これにより、これにより、たとえば「3階の電力使用量は」とか「IP電話機の電力使用量は」といった数値を算出できます。



デバイスの種類と重要度によって電力を制御
 スイッチに接続されている制御したい各機器に「Importance(重要度)」という値を設定します。IP電話機を例にすると、重要度が高い、つまりいつでも使える状態でないといけないような電話機はImportanceの値を大きく、会議室の電話機のようなものは値を小さく設定します。また、各デバイスは機器の種類やロケーションによってドメインを設定できます。つまり、「IP電話機のグループ」とか「大坂支社の営業フロア」といったグループ分けをして、各デバイスごとだけでなくこのグループごとに制御することができます。

 EnergyWiseの電力制御命令は、Cisco CatalystスイッチからLAN内に配布されますが、このときに「Priority(優先順位)」という値をつけます。たとえば、「営業所の会議室のIP電話だけOFFに」という指令の場合、次の図のようになります。



 このEnergyWise指示は、「IP電話機のグループの中で、Importanceが50より小さい電話機の電源を切れ」という内容です。営業の電話機はImportanceを70に、会議室の電話機は40に設定してあるので、この場合は会議室の電話の電源だけが切れるという仕組みです。

 さらにEnergyWiseでは、たとえば「夜間は会議室エリアである3階の電話機は電源を落とす」とか「全体の電力使用量がある値を超えたら機器を省電力モードに移行する」といった運用をすることができます。あらかじめポリシーを設定して、時間が来たり電力使用量が閾値を超えたら自動的にEnergyWise指示を流すのです。

オフィス全体を一括制御すればさらなる省電力が実現

 最初のIP電話の例をCisco EnergyWiseにあてはめてみましょう。9時から17時の営業時間以外はIP電話の電源をオフにすると設定することにします。これでIP電話の消費電力が年間64%も削減されることになります。



 さらに次期EnergyWiseによって、LANに接続されているクライアントPCやプリンタ・複合機などの電力制御もできるようになれば、より効果的にオフィスの電力消費量を抑えることができます。また、空調や照明機器、その他のビル設備との連携が実現すれば、さらに事業所としての省電力効果は上がることでしょう。

 現在、シスコでは、この分野について各ベンダーとの協力を始めているところです。さまざまな業種・業界との連携により、このEnergyWiseは社会全体の省エネルギーに貢献できる技術なのです。

Cisco EnergyWiseのコンセプトに協力いただける企業はご連絡を!
Energywise-j@cisco.com

Cisco EnergyWise テクノロジーについては、下記のサイトをご覧ください。
http://www.cisco.com/jp/go/energywise/

Cisco EnergyWise の実装に関する詳細については、下記のサイトをご覧ください。
http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/switches/energywise/

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