テクノロジー解説

デスクトップ仮想化の“エクスペリエンス”を強化 - Cisco VXI

企業の IT コスト削減の動きが顕著となる一方で、情報損失やダウンタイムの削減、セキュリティの向上、コンプライアンスの強化といった要望はますます高まっています。こうしたなかで脚光を浴びているのが、「デスクトップ仮想化」です。このテクノロジーを導入する企業の数は年々増加しており、市場は毎年数十パーセントもの成長率で拡大しています。しかし、導入が容易ではない、仮想デスクトップの作成とプロビジョニングに時間がかかる、ネイティブなデスクトップに比べてユーザ体験が劣る、など、さまざまな課題が依然として存在するため、移行に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

こうした状況に対してシスコが提唱するソリューションが、包括的なデスクトップ仮想化ソリューション、Cisco Virtual eXperience Infrastructure(VXI)です。

デスクトップ仮想化とは?

VDI の利点をまとめると、次のようになります。

  • 総所有コスト(TCO)の削減:ハイスペックな PC を社員 1 人に 1 台ずつ用意する必要がなくなるため、導入コストが軽減されます。また、メンテナンス作業をデータセンターで一元化できるので、管理コストの削減が可能です。ある試算によると、デスクトップ仮想化によってユーザあたりの PC サポート コストは 51% 削減されます。これは主に、パソコン故障時の復旧コスト(ソフトウェアのダウンロード、ソフトウェア間の相互運用性の問題の解決、パソコン修理中のエンド ユーザの作業中断時間など)を回避できることによるものです。もちろん、管理ポイントが 1 つになることで、管理者の作業コストも大幅に軽減されます。
  • セキュリティ、制御、コンプライアンス:従来の環境では、OS やアプリケーションのアップデートやセキュリティ パッチのインストールなどを PC ごとに個別に行う必要がありましたが、VDI ではデータセンター側で一括して実施することができます。そのため、管理者がユーザのデスクトップ環境をセキュアに保つことができるようになります。また、ユーザのデータもサーバ側に格納されるため、情報漏洩の危険性が大幅に低下します。さらに、組織や職種に基づいたロールベースのアクセス制御によって企業、業界、行政の規制の遵守を徹底し、コンプライアンスを強化することもできます。
  • 多様なクライアントが利用可能:ユーザ端末として利用できるデバイスの幅を拡げられるのも VDI の大きなメリットです。処理の大半はデータセンター内のサーバで行われ、クライアント側では基本的にユーザ入力の送信と、ネットワーク経由で送られてくるデスクトップ画面の受信/表示のみを行えばよいため、。従来業務に使用していた PC のような高度な処理機能を備えたクライアント(シック クライアント/thick client)だけでなく、処理能力を抑えた低価格のクライアント(シン クライアント/thin client)や、必要なリソースを絞り込んだ超軽量クライアント(ゼロ クライアント/zero client)でも業務を行うことが可能になります。さらに、iPad などの情報端末のビジネス活用なども現実的になります。
デスクトップ仮想化を取り巻く課題

一方で、VDI には導入、管理に伴ういくつかの課題があります。その 1 つは、ハードウェア リソースの増強をサーバ側で行う必要があるため、拡張性が制限されたり、インフラストラクチャのコスト効率が低下したりする可能性があるという点です。仮想デスクトップを利用するユーザが増えた場合、サーバ側でユーザ データを格納するためのストレージを拡張しなければなりません。また、仮想マシンの増加によってパフォーマンスが低下した場合は、サーバのプロセッサやメモリ、さらにはサーバ本体を追加する必要があります。低価格化が進むクライアント PC に比べて、サーバ ハードウェアは高価であるため、クライアント数などの条件によっては、デスクトップ仮想化の方がコスト高となる場合も考えられます。

もう 1 つの課題は、デスクトップ画面を WAN 経由で転送することに伴う問題です。転送中に発生する遅延やパケット ドロップは、ユーザの体感に大きな影響を与えます。VDI がリッチメディアや音声/ビデオ、グラフィック多用型アプリケーションに弱いと言われるのはそのためです。

例として、ビデオのストリーミングを考えてみましょう。仮想デスクトップ上で高画質ビデオを再生すると、帯域の増強などでは対処できない WAN の輻輳による遅延が生じる可能性が考えられます。結果として、LAN 上のユーザにはオリジナルの高画質で表示されるビデオでも、WAN 経由で接続しているブランチ オフィスのユーザには動画の画素欠損、フレーム欠損が生じます。

このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

また、デスクトップ画面転送のためのディスプレイ プロトコルの内訳を、ネットワーク側から識別できないという問題もあります。QoS(Quality of Service)を保証したくても、仮想デスクトップ環境でのプロトコルは、ネットワークにとってはどれも同じものとして扱われます。音声やビデオのフローを他と区別して優先させることができないため、P2P などの他のフローと競合してユーザ体験の低下を招きます。

このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

仮想デスクトップ環境にユーザ体験の最適化を追加する Cisco VXI

では、これらの問題を解決するために、シスコの包括的なデスクトップ仮想化ソリューションである Cisco VXI はどのようなアプローチをとっているのでしょうか。

VXI の論理構成の中心となるのは、Cisco Unified Computing System(UCS)です。コンピューティング、ネットワーク、仮想化、ストレージ アクセスの機能を単一のシステムに集約する Cisco UCS は、必要なソリューションが断片化されているために困難になりやすい VDI にとって理想的なプラットフォームです。Cisco UCS では、サービス プロファイルを使用してリソースをプロビジョニングするという方法が採用されているので、従来の VDI 環境に比べて仮想デスクトップの作成がはるかに迅速であり、ユーザ ワークロードに応じた動的なリソース割り当てが可能です。

デスクトップ仮想化には大きなメモリ領域が必要ですが、Cisco UCS ではシスコ独自の拡張メモリ テクノロジーによって最大 48 のメモリ スロットが利用可能となっており、ユーザの作業に十分なメモリを各仮想デスクトップに確実に割り当てることができます。サーバ ブレード 1 台でサポートできる仮想デスクトップの数は業界トップクラスであり、デスクトップ密度は他のソリューションを 60% 以上も上回るため、TCO の削減にも貢献します。

ネットワーキングについては、Cisco UCS ではユニファイド ファブリック テクノロジーが採用されています。1 本のケーブルでさまざまなプロトコルのトラフィックを伝送できるので、他のデスクトップ仮想化モデルに比べて、購入、電源供給、冷却、構成、管理、安全確保が必要なアダプタおよびデバイスの数が劇的に減少します。ストレージのトラフィックも 10 Gbps イーサネット上で、低遅延かつロスレスで伝送できるので、ストレージが VDI のパフォーマンス ボトルネックになるという問題が軽減されます。

VXI のネットワークは、シスコのボーダレス ネットワーク アーキテクチャに基づく「仮想化に対応したネットワーク」です。ユーザ セッションがどのようなものかをネットワークが認識できるので、QoS とセキュリティのポリシーを仮想デスクトップ インフラストラクチャのレベルで適用し、VDI セッション内でメディアとアプリケーションに優先順位を付けることが可能になりました。

また、WAN の影響を解消するためのテクノロジーとして Cisco Wide Area Application Services(WAAS)が利用されます。冗長データの排除や高度な圧縮によって、WAN 上で伝送されるトラフィックの量を減らし、遅延を軽減することで、Citrix ICA(Independent Computing Architecture)や Microsoft RDP(Remote Desktop Protocol)などの仮想デスクトップ プロトコルを最適化します。さらに、マルチメディア リダイレクト(MMR)と USB リダイレクトも最適化されるので、リッチメディアや USB 周辺機器の利用(ビデオ オンデマンド、印刷など)に必要な帯域幅がさらに抑えられます。また、アプリケーションの特性に応じたプロトコル高速化によるパフォーマンス向上効果もあります。これらの機能によって、エンド ユーザは地理的な場所に関係なく、仮想デスクトップをローカルの PC と同様に、快適に利用できます。

Cisco VXI の実際の物理構成には、シスコ製品以外にもさまざまなコンポーネントが含まれます。シスコのパートナーである VMware や Citrix のデスクトップ仮想化ソフトウェア、EMC や NetApp のストレージ システム、シスコおよび Wyse、DevonIT、IGEL のエンドポイント、Microsoft の各種アプリケーションなどを組み合わせた設計がガイドラインとして用意されており、統合システムとしての検証も完了しているので、デスクトップ仮想化の導入に伴うリスクの軽減と時間の短縮に役立ちます。

仮想デスクトップ環境にユーザ体験の最適化を追加する Cisco VXI

※ 画像をクリックすると、大きく表示されます。popup_icon


従来の VDI ソリューションはテキスト処理中心のオフィス作業向けのものが主流でしたが、最近ではオフィスにおけるビデオ利用の増加が見込まれています。仮想デスクトップ環境における IP 電話、Web 会議、ソーシャル ビデオなどのリッチメディアのユーザ体験を大幅に改善し、かつ導入コストを抑えて管理を簡素化することができる Cisco VXI は、シスコとパートナー企業の協業により実現した、デスクトップ仮想化に理想的なソリューションなのです。

お問い合わせ