テクノロジー解説

サービス統合型ルータの活用法 (1)3G ワイヤレス WAN最適化ソリューション

シスコのサービス統合型ルータ(Cisco ISR)は、ワンボックスにさまざまなアプリケーションを搭載することができます。今回は地理的に離れた拠点間を結ぶ WAN(Wide Area Network)回線に注目してみます。

3G ワイヤレス WAN とその課題

WAN 回線は、LAN 回線に比べて帯域が狭く、遅延が大きく、回線品質が低いという特性があります。日本国内では光ファイバなどを媒体とするブロードバンド回線の普及が進んでいるため、高速な WAN が一般的になってはいますが、地域によっては光ファイバ接続サービスが提供されていないところもありますし、建物の制約のため思うように回線を引けないこともあります。また、回線を提供するプロバイダーとの契約などが必要となるため、開通までに時間がかかることもあります。このような有線ブロードバンド接続が利用できない場面でも、第 3 世代(3G)移動体通信網のサービス開始に伴い、無線での高速データ通信が可能になっています。3G ワイヤレス WAN は、ISDN に変わるバックアップ回線として、あるいは物理的な制約のある場所のメイン回線として利用されています。

このように導入が容易で費用も手頃な 3G ワイヤレス WAN ですが、3G は伝送遅延が比較的大きいという問題があります。たとえば、日本国内での有線ブロードバンド接続における伝送遅延が 20〜30 ミリ秒程度であるのに対し、3G ワイヤレスでは 120 ミリ秒ほどになることもあります。シスコには、遅延を緩和する WAN 高速化技術によって、安定した WAN 回線を安価に実現できるソリューションがあります。しかも、この 2 つの技術をワンボックスで提供できるのです。3G ワイヤレスと WAN 最適化ソリューションを組み合わせることで、どのようなことが可能になるかを紹介します。

3G ワイヤレス WAN の課題を WAN 高速化で補完

3G ワイヤレス WAN の最適化ソリューションを組み合わせた場合にどのような効果が得られるのか、FTP トラフィックに対する効果を測定してみましょう。

Cisco WAASテクノロジーによる3G mobile環境の最適化

このテストは、HSDPA 対応、速度理論値 3.6Mbps の回線を経由して、20MB のファイルをユーザ 10 人がダウンロードするという想定の下に実施しました。トラフィックの生成には Apache JMeter、監視には TCP Monitor Plus というソフトウェアを使用して、受信側端末のスループットを計測しています。

WAASテスト

※画像をクリックすると、大きな画面でビデオが再生されます popup_icon

WAAS オフのときは平均 3Mbps 程度であった受信スループットが、WAAS による最適化を有効にすると 90Mbps〜120Mbps 程度まで上がるのがおわかりいただけると思います。このように、シスコ サービス統合型ルータでは、3G WAN と WAAS の組み合わせにより、遅延の少ない、安定した 3G ワイヤレス WAN を提供することが可能になります。

3G ワイヤレス、WAN 最適化のいずれのテクノロジーについても、さまざまなベンダーが製品を発売していますが、Cisco ISR ではこれらの機能をワンボックスで実現できるという大きな特徴があります。別々のアプライアンスを導入する場合に比べて、サービスの相互運用性、システムサポートの容易さ、管理効率の高さ、設置面積の縮小など、多くの利点を通して企業の総所有コスト(TCO)削減を導くことができます。

今回ご紹介した製品
製品 機能
Cisco サービス統合型ルータ(ISR)
Cisco サービス統合型ルータ(ISR)
  • セキュリティ、音声、ワイヤレス、WAN 最適化など、ネットワークに必要とされるサービスに応じて機能を拡張可能
  • 2009 年 10 月リリースの第 2 世代では、サービスの仮想化、グリーン対応、ビデオ アーキテクチャのサポート、運用性の向上、第 1 世代に比べ最大8倍のパフォーマンスを実現
第 3 世代ワイヤレス WAN 高速 WAN インターフェイス カード(HWIC-3G-HSPA モジュール)
第 3 世代ワイヤレス WAN 高速 WAN インターフェイス カード(HWIC-3G-HSPA モジュール)
  • サービス統合型ルータに装着して 3G 移動体通信網でのデータ通信を行うための HWIC(高速 WAN インターフェイス カード)モジュール
  • HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)/HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)をサポート、ダウンリンクは最高 7.2Mbps、アップリンクは最高 5.76Mbps
Cisco Service Ready Engine (SRE)
Cisco Service Ready Engine (SRE)
Cisco Service Ready Engine (SRE)
  • 第 2 世代サービス統合型ルータに、シスコ、サードパーティ、およびカスタムのアプリケーションをホストする機能を提供するルータ ブレード
  • ホスト ルータのリソースとは独立して動作する独自のプロセッサ、ストレージ、ネットワーク インターフェイスおよびメモリを装備
  • 2010年第3四半期に Cisco WAAS ソリューションをサポート予定
Cisco Wide Area Application Service(WAAS)ネットワーク モジュール
Cisco Wide Area Application Service(WAAS)ネットワーク モジュール
※ NME-WAE を第 2 世代サービス統合型ルータで使用する際には、アダプターの装着が必要です。
  • サービス統合型ルータに装着して Cisco WAAS ソリューションを実現するためのモジュール
  • 既存のネットワークに変更を加えることなく最適化が可能

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