テクノロジー解説

Data Center 3.0 を支える仮想化

Data Center 3.0 を支える仮想化 その実装と課題

 データセンター全体が1つのコンピュータのようになり、そのネットワークはプラットフォームになる − Cisco Data Center 3.0 のビジョンは、仮想化によって支えられており、リソースの柔軟な利用を可能にし、面倒な管理からの開放を可能にします。しかし、仮想化を導入してデータセンターを再構築していこうとすると、現実には理想的な環境にたどりつく前に、多くの問題を解決していかなければなりません。

 シスコは時代の流れを先取りし、次世代データセンターの実装に発生するだろう問題を解決するソリューションを開発しています。これから仮想化によってデータセンターを発展させていこうとするなら、サーバ仮想化によって引き起こされる問題、さらにその先のビジョンに向けて解決しなければならない課題についての知識を持っていることが重要になるのです。

Cisco Data Center 3.0ビジョン

 時代は、グリーンITの観点からリソース使用率の向上を、セキュリティの観点から機器の集中管理を求めています。つまり、メインフレーム時代(Data Center 1.0時代)のようにデータセンターにリソースを集中させたほうが、管理が容易となり、セキュリティ上の問題も減らすことができます。しかし、Web2.0、SaaS、PaaSなどの動的なサービスを迅速に提供するためには、分散環境(Data Center 2.0時代)のようにすべての人がコンピュータ リソースを手軽に利用できることが重要になります。過去の利点を活かし、さらに新たなニーズにも対応可能な仕組みを併せ持った新しいアーキテクチャが必要になっているのです。

 Cisco Data Center 3.0では、データセンター全体を1つの大きなコンピュータへと進化させようとしています。このようなデータセンターでは、CPU、メモリー、ハードディスク、ネットワークといったITリソースが、必要な時に必要な分だけ、アプリケーションに割り当てられます。サーバという小さな箱の中で行われているリソースの割り当てが、データセンター全体で実行されるのです。そして、ネットワークは、それを実現するためのプラットフォームとなります。

Cisco Data Center 3.0を実現するためのステップ

 データセンターを1つの大きなコンピュータにするためには、統合化、仮想化、自動化のステップが必要です。

統合化

 現在、多くの企業では、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器といったコンピューティング デバイスを、部門ごとに管理している「サイロ状態」となっています。また、物理的にも本社、支社、支店、データセンターといった場所に分散して設置されています。

 Data Center 3.0の最初のステップである「統合化」では、これらの機器をデータセンターへと集約し、重複して設置していた機器を統合します。さらにサーバやストレージ機器についても、ブレードあるいは仮想サーバ テクノロジーを用いて統合化していきます。

 機器を接続するネットワークについても、これまではサーバ用のネットワーク、ストレージ用のネットワーク、LANといったように別々の通信プロトコルやI/O規格を使用していたものを、イーサネット ベースの通信プロトコルとI/O規格に統一します。

仮想化

 複数の部門に分かれていた機器を物理的に統合したとしても、部門ごとに必要なサービスを引き続き提供する必要があります。そのためには、物理機器からソフトウェアの部分を切り離して管理する「仮想化」のテクノジーが必要です。仮想化テクノロジーを導入すれば、物理的には1台のサーバであっても、そのなかには論理的な複数のサーバ(VM; 仮想マシン)を動作させることができます。

 仮想化により、リソースの最適化が可能になります。ある部門のサーバとして割り当てたリソースは、物理サーバの設定を変えることなく拡張が必要になったときに増やすことができます。これにより、システムが簡素化し、冗長化の強化、管理コストの削減につながります。

自動化

 仮想化テクノロジーによって、リソースの有効活用、迅速なサービス展開、堅牢なシステムといった利点がもたらされる一方で、適切なリソースの割り当てや論理機器の設定は、柔軟性があるだけに煩雑になってしまう可能性があります。

 仮想化の次のステップでは、これらの管理を自動化します。ユーザやアプリケーションといった単位で、一度に最適なプロビジョニングが可能な環境。それが自動化です。

 シスコは、仮想サーバ ベンダー等と一緒に、この自動化のためのソリューションを提供します。

データセンター仮想化への道

 Cisco Data Center 3.0ビジョンにおいても、次世代データセンターにとってのキーは「仮想化」にあります。たとえば、サーバの仮想化は、1つの物理サーバの上に複数の仮想サーバを稼動させ、複数のOSを動作させることができるため、サーバの台数を減らして管理を簡素化する技術として注目されており、多くの企業で導入が始まっています。さらにCisco Data Center 3.0では、データセンター自身を仮想化しようとしているのです。ネットワークをプラットフォームとして活用することで、仮想サーバは、データセンターインフラの中で最適なリソースを常に選択することが可能になるのです。

 簡単に、その過程を見てみましょう。

Cisco Data Center 3.0実現のための課題

 仮想化された環境では、ネットワーク アクセス レイヤは仮想マシンをサポートするために現状より帯域、遅延、トポロジーなどの面で進化するが必要あります。つまり次世代データセンターを実現しようとすると、従来のITシステムやネットワークの設計・運用では考慮する必要のなかった課題を意識する必要が出てきます。ここで、仮想化に伴う課題をまとめておきます。

課題1:仮想マシンごとに複数のネットワークおよびI/Oが必要

  • 1台の物理サーバに複数のLAN、サービス コンソール、VMKarnelといった接続が必要になります。
  • ネットワーク ストレージの必要性が増大し、SAN接続比率が上昇します。

課題2:ネットワーク トラフィックの増大

  • 1台の物理サーバに複数の仮想マシンが存在するため、1つの物理サーバにより多くの帯域が必要とされます。
  • 仮想マシンの技術を採用することによりサーバ同士のやり取りが増え、サーバ間のトラフィックも増大します。

課題3:仮想マシンのモビリティのためにフラットなL2ネットワークが必要

  • 同じIPアドレスを保持したままで物理マシン間を仮想マシンが移動するために最適なL2ネットワークが必要となります。
  • L2ネットワークで利用されているSTP(スパニング ツリー プロトコル)を大規模L2ネットワークに適用すると、ブロックポートが多くなるという問題が発生します。パフォーマンスにおいてもネットワーク効率においても、STPに代わるL2トポロジーが必要となります。

課題4:仮想マシンを個別に認識できない

  • ネットワークやストレージから個々の仮想マシンを識別できなければなりません。
  • ネットワーク ポリシーを、物理サーバごとでなく、仮想マシンごとに設定する必要があります。また、仮想マシンは物理サーバ間を移動するため、仮想マシンが移動しても同じネットワーク ポリシーが適用されるようになっていなければなりません。
  • 物理サーバの中には、マシン間を接続するための仮想スイッチが必要です。これらの仮想スイッチのネットワークは、サーバの内部に含まれているにもかかわらず、ネットワーク管理者が設計、設定、管理できるようになっている必要があります。

課題5:仮想環境での運用負荷

  • 仮想化によって、設定やトラブルシュートが煩雑になる可能性があります。
  • 仮想マシンや仮想スイッチは目に見えないため、その扱いが難しくなります。

 シスコは、これらの課題にいち早く取り組み、それぞれにソリューションを開発しています。

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